
「自分はワキガなのだろうか」「なぜワキガになってしまうのだろう」と悩んでいる方は少なくありません。ワキガ(腋臭症)は日常生活や人間関係に影響を及ぼすことがあり、その原因を正しく理解することが改善への第一歩になります。ワキガは単なる「汗の臭い」とは異なり、特定の汗腺の働きによって生じる体質的な症状です。この記事では、ワキガがなぜ発生するのか、そのメカニズムや関与する因子を医学的な視点から丁寧に説明し、日常のケアから医療機関での治療まで幅広く解説します。
目次
- ワキガとは何か
- ワキガの原因となる汗腺の種類
- ワキガはなぜなる?主なメカニズム
- 遺伝との関係
- ワキガになりやすい人の特徴
- ワキガの臭いが強くなる要因
- ワキガの自己チェック方法
- ワキガと多汗症の違い
- 日常生活でできるワキガのセルフケア
- 医療機関での治療法
- まとめ
この記事のポイント
ワキガはアポクリン腺からの分泌物を皮膚常在菌が分解することで発生し、ABCC11遺伝子による遺伝性が高い体質的症状。日常ケアで臭いを抑えられるほか、ボトックス注射や手術など医療機関での治療も有効。
🎯 1. ワキガとは何か
ワキガとは、医学的には「腋臭症(えきしゅうしょう)」と呼ばれる状態で、わきの下から独特の強い臭いが発生する症状です。日本では人口の約10〜16%がワキガ体質であると言われており、決して特別珍しいことではありません。欧米では発生率がさらに高く、白人や黒人では約80〜90%に及ぶとされています。
ワキガの臭いは「酸っぱいような」「スパイシーな」「動物のような」と表現されることが多く、一般的な汗の臭いとは明確に異なります。この独特の臭いは、皮膚の表面に存在する細菌が特定の汗腺から分泌された汗を分解することで発生します。
ワキガは病気ではなく体質的なものですが、本人や周囲の人にとって生活上の支障になることがあります。適切な知識を持つことで、過剰な心配を避けながら適切な対処ができるようになります。
Q. ワキガの臭いはどのように発生するのか?
ワキガの臭いは、わきの下に集中するアポクリン腺から分泌された汗に含まれるタンパク質・脂質などを、皮膚の常在菌(コリネバクテリウムなど)が分解することで発生します。この過程で「3-メチル-2-ヘキセン酸」などの揮発性物質が生成され、一般的な汗臭さとは異なる独特の臭いが生じます。
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📋 2. ワキガの原因となる汗腺の種類
ワキガを理解するうえで、まず汗腺の種類について知ることが重要です。人間の皮膚には主に2種類の汗腺が存在します。
🦠 エクリン腺(外分泌腺)
エクリン腺は全身に分布しており、成人の体全体に約200〜500万個存在すると言われています。特に手のひら、足の裏、額などに多く集まっています。エクリン腺から分泌される汗はほぼ水分であり、サラサラしていてほとんど無臭です。主な役割は体温調節であり、暑いときや運動時に大量の汗を出して体を冷やします。
エクリン腺からの汗は基本的に臭いの原因にはなりにくいのですが、長時間放置したり、皮膚表面の細菌が繁殖したりすることで、蒸れた臭いが生じることがあります。これはいわゆる「汗臭さ」であり、ワキガとは異なるものです。
👴 アポクリン腺(大汗腺)
ワキガの直接的な原因となるのがアポクリン腺です。アポクリン腺はエクリン腺と異なり、特定の部位にのみ存在します。主にわきの下、乳輪周囲、陰部、耳の中などに分布しています。アポクリン腺は毛根に隣接して存在しており、毛包に開口しています(エクリン腺は皮膚の表面に直接開口しています)。
アポクリン腺から分泌される汗には、タンパク質、脂質、糖質、アンモニア、フェロモン様物質などが含まれており、エクリン腺の汗よりもはるかに複雑な成分で構成されています。分泌直後は無臭または微弱な臭いしかありませんが、皮膚表面の細菌によって分解されることで独特の臭い物質が生成されます。
アポクリン腺の数や大きさには個人差があり、ワキガ体質の人はアポクリン腺が多く、かつ活発に機能していることが多いとされています。アポクリン腺はホルモンの影響を強く受けており、思春期になると急激に発達・活性化します。
💊 3. ワキガはなぜなる?主なメカニズム
ワキガが発生するメカニズムは、大きく以下のステップで説明できます。
🔸 ステップ1:アポクリン腺からの分泌
アポクリン腺は精神的なストレスや緊張、ホルモンの変化などによって刺激を受け、汗を分泌します。この汗には前述の通り、タンパク質・脂質・糖質などの有機成分が豊富に含まれています。アポクリン腺の分泌は自律神経(特にアドレナリン)によってコントロールされており、感情的な興奮や性的刺激によっても促進されます。
💧 ステップ2:皮膚細菌による分解
アポクリン腺から分泌された汗が皮膚表面に達すると、そこに常在している細菌(主にコリネバクテリウムやスタフィロコッカスなど)が有機成分を分解します。この細菌による分解の過程で、揮発性の臭い物質が産生されます。
特に重要な臭い物質として知られているのが、「3-メチル-2-ヘキセン酸(3M2H)」と「3-ヒドロキシ-3-メチルヘキサン酸(HMHA)」です。これらはワキガの臭いの主要成分であり、細菌が汗中の前駆物質を分解することで生成されます。また、「アンドロステノン」や「アンドロステノール」などのステロイド系成分も臭いに関与しています。
✨ ステップ3:臭いの揮発と拡散
細菌によって生成された臭い物質は揮発性があるため、体温によって蒸発し、周囲に拡散します。わきの下は衣服で覆われており、汗が蒸発しにくく、細菌が繁殖しやすい環境であることも、臭いが集中して発生する要因の一つです。
このように、ワキガの臭いは「アポクリン腺から分泌される特殊な汗」と「皮膚の細菌」の相互作用によって生じるものであり、単に汗が多いから臭うというわけではありません。アポクリン腺の活性度、皮膚に存在する細菌の種類と量、皮膚環境などが複雑に絡み合っています。
Q. ワキガと遺伝子の関係はどうなっているか?
ワキガにはABCC11遺伝子が深く関与しており、GG型・GA型を持つ人はアポクリン腺が活発に働きやすくワキガになりやすい傾向があります。両親ともにワキガ体質の場合、子どもへの遺伝確率は約75〜90%とされています。また同遺伝子は耳垢の湿り気とも関連し、湿性耳垢の人はワキガになりやすいとされています。
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🏥 4. 遺伝との関係
ワキガが「なぜなるのか」を考えるとき、遺伝的要因は非常に重要な位置を占めています。ワキガは遺伝性が高く、両親ともにワキガ体質の場合、子どもがワキガになる確率は約75〜90%とされています。片親だけがワキガの場合でも、約50〜65%の確率で遺伝すると言われています。
近年の研究では、ABCC11遺伝子(ATP-binding cassette transporter C11)という遺伝子がワキガと深く関係していることが明らかになっています。この遺伝子はアポクリン腺の機能や分泌物の成分に影響を与えており、ワキガ体質かどうかを決定する重要な遺伝子的要因の一つです。
ABCC11遺伝子には「GG型」「GA型」「AA型」の3種類があります。GG型またはGA型を持つ人はアポクリン腺が活発に機能しやすく、ワキガになりやすい傾向があります。一方、AA型の人はアポクリン腺の活動が比較的穏やかで、ワキガになりにくいとされています。興味深いことに、同じABCC11遺伝子が耳垢の湿り気にも関係しており、耳垢が湿っている(湿性耳垢)人はワキガになりやすく、乾いている(乾性耳垢)人はなりにくいという相関関係があります。
日本人では乾性耳垢の人が多く(約70〜80%)、そのため欧米と比較してワキガの発生率が低い傾向があります。自分の耳垢の状態を確認することが、ワキガの簡易的なチェックの一つになるとも言えます。
ただし、遺伝的な要因があるからといって必ずワキガになるわけではありません。後述するような環境的・生活習慣的な要因も組み合わさって臭いの強さが決まるため、遺伝子を持っていても適切なケアによって臭いを抑えることは十分に可能です。
⚠️ 5. ワキガになりやすい人の特徴
ワキガの発症や臭いの強さには、遺伝以外にもさまざまな要因が影響しています。以下のような特徴を持つ人はワキガになりやすい、あるいは臭いが強くなりやすいとされています。
📌 思春期・ホルモンバランスの変化がある人
アポクリン腺は性ホルモンの影響を強く受けています。思春期になると性ホルモンの分泌が増加し、それに伴ってアポクリン腺が急激に発達・活性化します。そのため、ワキガの症状は思春期を境に現れることが多く、10代前半から後半にかけて臭いに気づくケースが多いです。
また、女性では月経周期に合わせてホルモンバランスが変動するため、排卵期や月経前に臭いが強くなることがあります。妊娠中や更年期にもホルモンバランスが大きく変化するため、臭いに変化が生じることがあります。
▶️ わきの毛が濃い人
わきの毛(腋毛)はアポクリン腺の分泌物を吸着・保持する性質があります。腋毛が多いと、汗や細菌が毛に付着して長時間留まるため、細菌による分解が進みやすく臭いが強くなる傾向があります。また、腋毛が多い環境は湿気がこもりやすく、細菌が繁殖しやすい状態になります。
🔹 肥満傾向にある人
体脂肪が多いと体温が上昇しやすく、汗をかきやすくなります。また、わきの下のひだや摩擦によって蒸れやすくなり、細菌が繁殖しやすい環境が生まれます。さらに、脂肪組織は一部のホルモンを産生する機能があり、アポクリン腺の活性に影響を与えることもあります。
📍 ストレスが多い人
精神的なストレスや緊張状態は、アドレナリンの分泌を促し、アポクリン腺の活動を活発にします。緊張したときにわきの下が湿るような経験は多くの方がお持ちだと思いますが、これはアポクリン腺が感情に反応して分泌を増やすためです。日常的にストレスが多い生活を送っている人は、アポクリン腺が常に刺激されやすい状態にあるとも言えます。
💫 特定の食事習慣がある人
食生活もワキガの臭いの強さに影響を与えます。動物性脂肪やタンパク質を多く含む食事(肉類・乳製品など)は、アポクリン腺の分泌物を増加させたり、皮膚細菌の働きを活性化したりする可能性があります。また、ニンニクや玉ねぎ、香辛料などの強い臭いを持つ食品も、体臭を強める要因になります。
🔍 6. ワキガの臭いが強くなる要因
ワキガ体質であっても、以下のような状況や環境下では臭いが特に強くなることがあります。日常生活の中でこれらの要因に注意することが、臭いのコントロールにつながります。
🦠 衛生状態の悪化
入浴や洗浄が不十分だと、皮膚表面に細菌が増殖しやすくなります。アポクリン腺からの分泌物が長時間皮膚に残っていると、細菌による分解が進み臭いが強くなります。特に夏場や運動後は汗の量が増えるため、こまめなケアが必要です。
👴 通気性の悪い衣服の着用
化学繊維や厚手の素材の衣服は、わきの下の通気性を低下させます。湿気がこもることで細菌が繁殖しやすくなり、臭いが強まります。また、衣服の繊維に細菌や臭い物質が吸着して残留すると、洗濯後も臭いが残ることがあります。
🔸 飲酒
アルコールを摂取すると、体内での代謝過程でアセトアルデヒドが生成されます。これが皮膚から排出される際に体臭を強める可能性があります。また、飲酒による体温上昇で汗の分泌が増加することも臭いを強める要因になります。
💧 疲労・睡眠不足
疲労や睡眠不足は自律神経のバランスを乱し、ホルモンバランスにも影響を与えます。これによってアポクリン腺の分泌が変化し、臭いが強くなることがあります。また、免疫機能の低下によって皮膚の細菌バランスが崩れることも考えられます。
✨ 加齢
一般的に加齢に伴い「加齢臭」が増加することは知られていますが、ワキガの臭いも年齢とともに変化することがあります。加齢臭の原因物質であるノネナールはエクリン腺からの分泌に関係しますが、ホルモンバランスの変化や皮膚の細菌叢の変化によって、ワキガの臭いのパターンも変わることがあります。
Q. ワキガと多汗症の違いは何か?
多汗症は主にエクリン腺から汗が過剰に分泌される状態で、汗自体はほぼ無臭です。一方ワキガは汗の量より成分が問題で、アポクリン腺からの分泌物が細菌に分解されることで独特の臭いが生じます。ただし両方が同時に存在する場合もあるため、アイシークリニックなど専門医療機関での正確な診断が重要です。
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📝 7. ワキガの自己チェック方法
自分がワキガかどうか判断したい場合、いくつかのセルフチェック方法があります。ただし、自分では嗅ぎ慣れてしまっているため客観的な判断が難しいこともあり、気になる場合は医療機関での診断を受けることをおすすめします。
📌 耳垢の状態を確認する
前述のABCC11遺伝子との関連から、耳垢の湿り気を確認することがワキガの簡易チェックに役立ちます。綿棒で耳の入り口部分を軽くぬぐったとき、綿棒が湿っていたり黄色っぽい耳垢が付着していたりする場合(湿性耳垢)は、ワキガ体質である可能性が高いとされています。乾燥した白っぽい粉状の耳垢(乾性耳垢)の場合はワキガのリスクが低い傾向があります。
▶️ 衣服の脇部分の黄ばみを確認する
アポクリン腺からの分泌物に含まれる成分は、衣服の脇部分を黄色く変色させることがあります。白いシャツの脇の部分が使用後に黄ばんでいる場合は、アポクリン腺が活発に分泌していることを示す可能性があります。
🔹 家族にワキガの人がいるか確認する
前述のようにワキガは遺伝性が高いため、両親や兄弟姉妹にワキガの人がいる場合は自分もワキガ体質である可能性があります。
📍 ガーゼを使ったチェック
清潔な状態で、わきの下にガーゼを挟んで数分間過ごし、そのガーゼの臭いを嗅ぐ方法もあります。ただし、自分では慣れてしまっていることが多いため、信頼できる人に確認してもらうのが客観的な判断につながります。
💡 8. ワキガと多汗症の違い
ワキガと混同されやすいものとして「多汗症」があります。この二つは異なる状態であり、それぞれ原因や対処法が違います。
多汗症は、通常よりも過剰に汗をかく状態を指します。主にエクリン腺からの汗の分泌が過剰になることで起こり、手のひら、足の裏、わきの下、顔面などに多く見られます。多汗症の汗自体はほぼ無臭であり、汗の量が多いことが問題になります。
一方、ワキガは汗の量よりも汗の成分と細菌による分解が問題であり、少量の汗でも独特の臭いが発生します。ワキガ体質の人は必ずしも汗の量が多いわけではありません。
ただし、ワキガと多汗症が同時に存在することもあります。多汗症によってエクリン腺からの汗が多く出ると、皮膚が常に湿った状態になり、細菌が繁殖しやすくなるため、アポクリン腺からの分泌物の分解が促進されてワキガの臭いが強まることがあります。つまり、多汗症がワキガの臭いを増幅させる可能性があります。
医療機関では、これらを正確に区別した上で、それぞれに適した治療法を提案します。自分の状態がワキガなのか、多汗症なのか、あるいは両方なのかを専門家に診てもらうことが重要です。
Q. ワキガに対する医療機関での主な治療法は?
医療機関でのワキガ治療には、汗腺の神経伝達を一時的にブロックするボトックス注射、マイクロ波でアポクリン腺を破壊する非切開のミラドライ、アポクリン腺を直接除去する外科手術(切除法・剪除法)、レーザー治療などがあります。アイシークリニックでは患者の症状やライフスタイルに合わせた最適な治療法を提案しています。
✨ 9. 日常生活でできるワキガのセルフケア
ワキガ体質であっても、日常生活の中でのケアによって臭いを大幅に抑えることができます。以下のケア方法を継続して実践することが大切です。
💫 清潔を保つ

わきの下を毎日しっかり洗うことが基本中の基本です。入浴時にはボディソープや石鹸を使って丁寧に洗い、皮膚表面の細菌や分泌物をしっかり除去します。ただし、過度な洗いすぎは皮膚のバリア機能を低下させ、かえって細菌が増殖しやすくなることがあるため注意が必要です。夏場や運動後など、汗をかいた後はシャワーや拭き取りでわきを清潔にすることを意識しましょう。
🦠 腋毛の処理
腋毛を剃ったり短く整えたりすることで、汗や細菌が毛に付着して留まる量を減らすことができます。脱毛処理をすることで、わきの下を清潔に保ちやすくなり、臭いの軽減につながります。ただし、剃った直後は皮膚に微細な傷ができやすく、細菌が侵入しやすくなる可能性もあるため、剃った後のスキンケアも大切です。
👴 制汗剤・デオドラントの使用
市販の制汗剤やデオドラントには、汗の分泌を抑える成分(塩化アルミニウムなど)や抗菌成分、香料などが含まれており、ワキガの臭いを抑える効果があります。製品によって成分や効果が異なるため、自分に合ったものを選ぶことが大切です。
塩化アルミニウムを含む制汗剤は汗腺の開口部をふさいで汗の分泌を抑える働きがありますが、高濃度のものは皮膚刺激が起こることもあります。敏感肌の方は成分を確認しながら使用するとよいでしょう。
🔸 衣服の選択と管理
通気性の良い天然素材(綿・麻など)の衣服を選ぶことで、わきの下の蒸れを防ぐことができます。化学繊維は速乾性があるものの、臭い物質を吸着しやすい性質があります。また、着用後の衣服はすぐに洗濯し、細菌や臭い物質が繊維に定着しないようにすることも重要です。
💧 食生活の改善
動物性脂肪・タンパク質の過剰摂取を控え、野菜・果物・発酵食品を積極的に取り入れることが体臭の改善につながることがあります。腸内環境を整えることも体全体の臭いに影響します。また、ニンニクや辛い食べ物などの刺激物、アルコールの摂取量にも注意しましょう。
✨ ストレス管理と規則正しい生活
ストレスはアポクリン腺の活動を促進させるため、適切なストレス発散法を持つことが大切です。十分な睡眠を確保し、規則正しい生活リズムを維持することで、自律神経のバランスを整え、ホルモンバランスの安定にもつながります。
📌 10. 医療機関での治療法
セルフケアで対応が難しい場合や、ワキガの症状が気になる場合は医療機関に相談することをおすすめします。現在では様々な治療法が存在しており、症状の程度や希望に応じて選択することができます。
📌 外用薬・処方薬
医師が処方する高濃度の塩化アルミニウム溶液などの外用薬は、市販品よりも強力に汗の分泌を抑制することができます。アポクリン腺の活動を抑えることで臭いの発生源を減らします。副作用として皮膚刺激が出ることがあるため、医師の指導のもとで使用することが重要です。
▶️ ボトックス注射(ボツリヌストキシン注射)
ボツリヌストキシン(ボトックス)をわきの下に注射することで、汗腺の神経伝達を一時的にブロックし、発汗を抑制する治療法です。主に多汗症に対して用いられますが、アポクリン腺の活動も抑えることができるため、ワキガの臭い軽減にも効果的です。
効果は一時的(通常6ヶ月〜1年程度)であり、効果が薄れたら再度注射が必要です。注射による痛みはありますが、局所麻酔を使用して行う場合もあります。手術と比較してダウンタイムが少ないことが特徴です。
🔹 ミラドライ(マイクロ波治療)
ミラドライはマイクロ波を使ってわきの下の汗腺(エクリン腺・アポクリン腺)を破壊する治療法です。非侵襲的(切開不要)な治療法であり、麻酔を使用して行います。1〜2回の治療で長期的な効果が期待でき、ダウンタイムも比較的少ないとされています。治療後に腫れや赤みが生じることがありますが、数日〜数週間で改善します。
📍 外科的手術(切除法・剪除法)
ワキガに対する外科的治療の中でも、アポクリン腺を直接除去する手術は最も根本的な治療法と言えます。切除法はわきの皮膚ごとアポクリン腺を切り取る方法で、剪除法(もみ上げ法)は皮膚を切開してアポクリン腺を直接剥ぎ取る方法です。
手術によってアポクリン腺を物理的に除去するため、高い治療効果が期待できます。ただし、手術であるためダウンタイムが必要であり、傷跡が残る可能性もあります。術後のケアや制限事項についても医師の指示に従うことが重要です。
💫 レーザー治療
レーザーを用いてアポクリン腺を熱変性させる治療法もあります。皮膚を切開せずに行えるものもあり、ダウンタイムが比較的少ない点が特徴です。ただし、アポクリン腺が完全に除去されるわけではないため、複数回の治療が必要な場合もあります。
これらの治療法はそれぞれにメリットとデメリットがあります。どの治療法が最適かは、症状の程度、体質、ライフスタイル、費用などを考慮して医師と相談しながら決めることが大切です。アイシークリニック池袋院では、患者さんの状態や希望に合わせた治療法をご提案しています。まずは気軽にご相談ください。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では、ワキガのお悩みで来院される患者さんの多くが「自分だけがこんなに臭うのではないか」と長年一人で抱え込んでこられた方々です。しかし記事でも解説している通り、ワキガはアポクリン腺の特性や遺伝的体質によるものであり、決してご本人の不潔さや生活の乱れが原因ではありません。最近の傾向として、セルフケアから医療的治療まで選択肢の幅が広がっており、一人ひとりの体質やライフスタイルに合わせた最適な方法をご提案できますので、まずはお気軽にご相談ください。」
🎯 よくある質問
ワキガの臭いは、わきの下に集中するアポクリン腺から分泌された汗に含まれるタンパク質・脂質などを、皮膚の常在菌が分解することで発生します。この過程で「3-メチル-2-ヘキセン酸」などの揮発性物質が生成され、一般的な汗臭さとは異なる独特の臭いが生じます。
ワキガは遺伝性が高く、両親ともにワキガ体質の場合、子どもに遺伝する確率は約75〜90%とされています。片親のみの場合でも約50〜65%の確率で遺伝します。また、ABCC11遺伝子が深く関与しており、耳垢が湿っている方はワキガになりやすい傾向があります。
いくつかのセルフチェック方法があります。綿棒で耳垢を確認し湿っている場合はワキガの可能性があります。また、白いシャツの脇部分の黄ばみや、家族にワキガの方がいるかどうかも目安になります。ただし自分では臭いに慣れてしまうことも多いため、気になる場合は医療機関での診断をお勧めします。
多汗症は主にエクリン腺からの汗が過剰に分泌される状態で、汗自体はほぼ無臭です。一方ワキガは汗の量より成分が問題で、アポクリン腺からの分泌物が細菌に分解されることで独特の臭いが生じます。ただし両方が同時に存在する場合もあり、正確な診断のために専門医への相談が重要です。
主な治療法として、ボトックス注射(汗腺の働きを一時的に抑制)、マイクロ波を使ったミラドライ(切開不要でアポクリン腺を破壊)、アポクリン腺を直接除去する外科手術(切除法・剪除法)、レーザー治療などがあります。当院では患者さんの症状や生活スタイルに合わせた最適な治療法をご提案していますので、お気軽にご相談ください。
📋 まとめ
ワキガはなぜなるのかについて、そのメカニズムから遺伝的背景、生活習慣との関係まで詳しく解説しました。ワキガは、わきの下に集中して存在するアポクリン腺から分泌された特殊な汗が、皮膚の常在菌によって分解されることで独特の臭いが発生する現象です。遺伝的要因が大きく影響しており、特にABCC11遺伝子との関連が明らかになっています。
一方で、遺伝的な体質があったとしても、日々の清潔ケア、生活習慣の改善、ストレス管理などによって臭いを大幅に抑えることは可能です。また、セルフケアでは対応しきれない場合には、ボトックス注射や手術など医療機関での治療も有効な選択肢です。
重要なのは、ワキガは「本人の不潔さ」や「怠慢」によるものではなく、体質的・遺伝的なものであるという点を正しく理解することです。一人で悩まず、専門の医療機関に相談することで、生活の質を向上させるための具体的なアドバイスや治療を受けることができます。ワキガの臭いが気になっている方は、ぜひ一度アイシークリニック池袋院にご相談ください。専門のスタッフが丁寧にお話を伺い、最適な対処法をご提案いたします。
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📚 参考文献
- 日本皮膚科学会 – 腋臭症(ワキガ)の定義・診断・治療法に関する皮膚科学的解説。アポクリン腺の機能やワキガのメカニズム、治療選択肢についての医学的根拠として参照。
- PubMed – ABCC11遺伝子とワキガ(腋臭症)の関連性、耳垢の湿性・乾性との相関、人種間の発生率の差異に関する査読済み研究論文群。遺伝的メカニズムの根拠として参照。
- 日本形成外科学会 – 腋臭症に対する外科的治療法(切除法・剪除法)およびその他の医療的治療の適応・効果・リスクに関する形成外科学的情報として参照。
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務