
夏場や運動後に頭皮がかゆくてたまらない、赤くなっている、小さなブツブツができているという経験はありませんか。頭皮は汗腺が多く密集しているうえに、髪の毛で覆われているため、あせもができやすい部位のひとつです。しかし頭皮のあせもは顔や体幹のあせもと比べて見えにくく、対処が遅れてしまうことも少なくありません。この記事では、頭皮にあせもができる仕組みやその特徴、市販薬や処方薬の選び方、そして日常的なケアの方法について、わかりやすく丁寧に解説していきます。
目次
- 頭皮にあせもができる仕組み
- 頭皮のあせもの種類と見分け方
- 頭皮のあせもに使える市販薬の種類と選び方
- 処方薬が必要なケースとその種類
- 頭皮のあせもに薬を塗る際の正しい使い方
- あせもを悪化させないための日常ケア
- 頭皮のあせもと間違えやすい皮膚疾患
- 皮膚科受診のタイミングと診察で行われること
- まとめ
この記事のポイント
頭皮のあせもは汗腺密度が高く髪で蒸発しにくい構造が原因。市販のローション型抗ヒスタミン薬で対処し、1〜2週間改善しない場合は皮膚科を受診し処方薬の使用を検討する。
🎯 頭皮にあせもができる仕組み
あせもは医学的に「汗疹(かんしん)」と呼ばれる皮膚疾患です。汗を分泌するエクリン汗腺の出口(汗孔)が何らかの原因で詰まり、行き場を失った汗が皮膚の内部に溜まって炎症を起こすことで発症します。
頭皮は顔や手のひらと並んで、身体の中でも汗腺の密度が非常に高い部位です。一般的に頭部の皮膚には1平方センチメートルあたり数百個の汗腺が存在するとされており、大量の汗をかきやすい構造になっています。それに加えて頭皮は髪の毛に覆われているため、汗が蒸発しにくく、高温多湿な環境になりやすいという特徴があります。
汗孔が詰まる原因としては、過剰な発汗、皮脂や汚れの蓄積、シャンプーやトリートメントのすすぎ残し、頭皮に密着するような帽子やヘルメットの着用などが挙げられます。特に夏場の屋外活動やスポーツ、長時間の帽子着用はリスクを高める要因となります。
また頭皮は自分では直接確認しにくいため、あせもが発生していても気づかずに放置してしまうケースがあります。かゆみが出始めた段階で何らかのケアを始めることが、症状を悪化させないための重要なポイントです。
Q. 頭皮にあせもができやすい理由は何ですか?
頭皮は1平方センチメートルあたり数百個の汗腺が密集し、髪の毛で覆われているため汗が蒸発しにくい構造です。過剰な発汗や皮脂の蓄積、シャンプーのすすぎ残し、帽子・ヘルメットの長時間着用が重なると汗孔が詰まりやすくなり、あせもが発生します。
📋 頭皮のあせもの種類と見分け方
あせもにはいくつかの種類があり、それぞれ皮膚内での汗の漏れ出す深さによって症状が異なります。適切な薬を選ぶためにも、自分の症状がどのタイプに当てはまるかを大まかに把握しておくことが役立ちます。
最も軽症なタイプは「水晶様汗疹(すいしょうようかんしん)」と呼ばれるものです。汗孔が皮膚のごく浅い部分(角質層)で詰まることで、透明または白っぽい小さな水ぶくれが多数できます。かゆみや痛みをほとんど伴わず、数日で自然に治癒することが多いです。新生児や高熱が続いたあとの大人に見られることがあります。
次に一般的なタイプは「紅色汗疹(こうしょくかんしん)」です。これはいわゆる「汗疹」として最もよく知られているタイプで、汗孔が皮膚のやや深い部分(表皮)で詰まり、赤いブツブツと強いかゆみが生じます。頭皮のあせもで問題になるのはほとんどがこのタイプです。かゆみが強いため、ついつい掻いてしまい、掻き傷から細菌感染を引き起こすリスクがあります。
最も重症なタイプは「深在性汗疹(しんざいせいかんしん)」で、汗孔が真皮層で詰まります。皮膚の表面に近い色の変化は少ないものの、硬い盛り上がりができ、体温調節に障害をきたすことがあります。熱帯地域で多く見られる特殊なタイプで、一般的な生活環境ではあまり多くありません。
頭皮のあせもを見分ける際のポイントとしては、かゆみの強さ、ブツブツの色(透明・白・赤)、患部の硬さ、発症した状況(帽子をかぶった後、運動後など)などが参考になります。ただし頭皮の状態は自分では確認しにくいため、家族に確認してもらうか、後述する皮膚科を受診することが確実な方法です。
💊 頭皮のあせもに使える市販薬の種類と選び方
軽度から中等度の頭皮のあせもには、まず市販薬(OTC医薬品)を試してみることが一般的なアプローチです。市販薬にはいくつかの成分が含まれており、それぞれ異なる作用を持っています。症状に合わせて適切なものを選ぶことが大切です。
あせもに使用される市販薬には大きく分けてローション・液体タイプ、クリーム・軟膏タイプ、パウダータイプがあります。頭皮のあせもに対しては、髪の毛の間にも塗布しやすいローション・液体タイプや、ノズル付きで患部に届きやすいタイプが特に使いやすいとされています。
成分で見ると、かゆみを抑えるための抗ヒスタミン薬(クロルフェニラミンマレイン酸塩、ジフェンヒドラミン塩酸塩など)が配合されているものが多く見られます。これらは皮膚のかゆみを引き起こすヒスタミンの働きをブロックすることでかゆみを和らげます。
炎症や赤みが強い場合には、軽度のステロイド成分(ヒドロコルチゾン酢酸エステルなど)が含まれた市販薬も選択肢のひとつです。ただし頭皮へのステロイド使用は、長期間にわたる使用は避けるべきとされており、使用期間には注意が必要です。市販ステロイド薬は一般的に弱いランクのものが多いですが、それでも自己判断で長期使用することは推奨されません。
かゆみを局所的に鎮めるリドカインやジブカイン塩酸塩などの局所麻酔成分が配合されたものや、冷感成分としてメントールやカンファーが含まれているものもあります。メントールは清涼感によってかゆみを一時的に和らげる効果があり、頭皮のあせもに使われる製品に多く含まれています。ただしメントールは皮膚への刺激となることもあるため、敏感肌の方は使用前に注意が必要です。
また炎症を鎮めるための非ステロイド系の成分としてグリチルリチン酸ジカリウムが使われているものもあります。ステロイドに比べると作用は穏やかですが、長期使用にも比較的適しているとされています。
市販薬を選ぶ際のポイントをまとめると以下のようになります。かゆみが主な症状であれば抗ヒスタミン成分配合のもの、赤みや炎症が強ければ弱いランクのステロイドが含まれるもの、清涼感を求めるならメントール配合のもの、頭皮への塗りやすさを重視するならノズル付きのローションタイプを選ぶとよいでしょう。ただしいずれも症状が改善しない場合や悪化する場合は、自己判断で継続せず皮膚科への受診を検討してください。
Q. 頭皮のあせもに適した市販薬の選び方を教えてください。
頭皮のあせもには、髪の間にも塗布しやすいノズル付きローション・液体タイプが最適です。かゆみが主な症状には抗ヒスタミン成分(クロルフェニラミンマレイン酸塩など)配合を、赤みや炎症が強い場合は弱いランクのステロイド配合を選びましょう。清涼感を求めるならメントール配合も有効です。
🏥 処方薬が必要なケースとその種類
市販薬で対処できる軽度のあせもとは異なり、症状が重い場合や二次感染が疑われる場合、またはアトピー性皮膚炎などの基礎疾患がある場合には、皮膚科を受診して処方薬を使用することが必要になります。
皮膚科で処方される薬として最も一般的なのは、ステロイド外用薬です。市販薬のステロイドは最も弱いランク(ランク5のweakに相当)がほとんどですが、処方薬では症状に応じてmild(ランク4)からstrong(ランク2)程度のものが使われることもあります。頭皮への処方ではローションやゲルなど、髪の間に塗りやすい剤形が選ばれることが多いです。代表的な成分としては、デキサメタゾン、ベタメタゾン吉草酸エステル、クロベタゾール酪酸エステルなどが挙げられます。
あせもに二次感染(とびひや毛包炎など)が合併している場合には、抗菌薬の外用薬や内服薬が処方されることがあります。外用の抗菌薬としてはフシジン酸ナトリウム、オゼノキサシンなどが使われます。感染が広範囲にわたる場合や、膿が多い場合などには内服の抗生物質(セファレキシン、アモキシシリンなど)が処方されることもあります。
かゆみが非常に強く、睡眠の妨げになっている場合などには、抗ヒスタミン薬の内服が処方されることもあります。これにより全身のかゆみを抑え、掻き壊しによる悪化を防ぐ効果が期待されます。
ステロイドを長期使用することへの不安を持つ方も多いですが、医師の指示に従った使用であれば安全性は十分に管理されています。自己判断で途中でやめたり、逆に長期間使い続けたりすることが問題を引き起こすことがあるため、処方された薬については医師や薬剤師の指示をしっかり守ることが重要です。
なお近年ではステロイドを使わない選択肢として、タクロリムスなどの免疫調整薬(プロトピック)が使われることもありますが、頭皮のあせもの治療でこれらが第一選択になることは少なく、主にアトピー性皮膚炎の合併がある場合などに検討されます。

⚠️ 頭皮のあせもに薬を塗る際の正しい使い方
薬を正しく使うことは治療効果を最大限に引き出すための基本です。特に頭皮は他の部位と異なり、髪の毛があることで塗布が難しく、正しい使い方を知っておくことが重要です。
まず薬を塗る前には、頭皮を清潔な状態にしておくことが前提です。シャンプーで丁寧に洗い、しっかりすすいだあと、タオルドライして頭皮をある程度乾かしてから薬を塗布します。濡れた状態に塗ると薬が流れてしまい、十分な効果が得られないことがあります。ただし完全に乾燥させる必要はなく、しっとりとした状態でも問題ありません。
ローションやゲルタイプの薬は、ノズルを直接頭皮に当てて少量ずつ塗布し、指で軽くなじませるように塗り広げます。このとき髪の毛を分けながら、実際の患部に薬が届くよう意識することが大切です。クリームや軟膏タイプの場合は先に少量を指先に取り、髪を分け分け患部に直接塗布します。
薬の量については、多く塗れば効果が高まるわけではありません。ステロイド外用薬については「FTU(フィンガーチップユニット)」という単位で適切な量の目安が示されることがあります。1FTUとは成人の人差し指の第1関節から先端までに乗る量(約0.5グラム)で、手のひら2枚分の面積に使う量の目安とされています。頭皮全体を治療する場合は皮膚科で適切な量について確認しておくとよいでしょう。
薬を塗る頻度は製品や処方の指示に従うことが基本です。一般的には1日1〜2回の使用が多いですが、薬の種類によって異なります。また薬を塗った後すぐにシャンプーするのは効果が薄れるため避けましょう。夜間のシャンプー後に薬を塗布し、翌朝のシャンプー前まで効果を保つというサイクルが効果的なケースもあります。
なお、薬を塗った後に帽子をかぶったり、頭部を強く覆ったりすることは避けてください。密閉された環境はステロイドの吸収を過度に高めたり、あせもをさらに悪化させたりする可能性があります。通気性のよい環境で過ごすことが治癒を助けます。
目や口など粘膜の近い部位への使用は避け、万が一入った場合はすぐに水で洗い流してください。また子どもの頭皮に使用する場合は、大人向けの製品をそのまま使うのではなく、年齢に適した製品や医師に処方されたものを使用することが重要です。
Q. 頭皮のあせもで皮膚科を受診すべきタイミングはいつですか?
市販薬を1〜2週間使用しても改善しない場合や悪化している場合は皮膚科受診が必要です。患部から膿が出る・腫れ・強い熱感がある場合は二次感染が疑われ早急な受診が求められます。脱毛を伴う場合は頭部白癬など別疾患の可能性もあるため、速やかに専門医へ相談してください。
🔍 あせもを悪化させないための日常ケア
薬による治療と同様に、あせもを悪化させないための日常的なケアも非常に重要です。適切なケアを続けることで、症状の早期改善と再発予防につながります。
最も基本的なケアは、頭皮を清潔に保つことです。汗をかいたあとはなるべく早めにシャンプーを行い、皮脂や汗の成分が汗孔を塞がないようにすることが大切です。ただしシャンプーのしすぎは頭皮の保護膜となる皮脂を過度に取り除いてしまうため、1日1回が目安です。特に夏場など汗をかきやすい時期には、低刺激で洗浄力が強すぎないシャンプーを選ぶとよいでしょう。
シャンプー後のすすぎは十分に行ってください。シャンプーやコンディショナーのすすぎ残しは汗孔を詰まらせる原因になります。特に頭皮に近い部分まで丁寧にすすぐことが重要です。また洗い方についても、爪を立てて強く掻くような洗い方は頭皮を傷つけてしまうため、指の腹を使って優しくマッサージするように洗いましょう。
ドライヤーの使い方にも注意が必要です。高温の熱風を頭皮に近づけすぎると、乾燥や刺激による炎症を悪化させることがあります。ドライヤーは頭皮から15〜20センチ以上離して使用し、温風と冷風を交互に当てるなど、過度な熱が一か所に集中しないよう工夫しましょう。
帽子やヘルメットの使用は頭皮のあせもを悪化させる大きな要因のひとつです。長時間の着用が避けられない場合は、吸汗性・通気性の高い素材のものを選ぶ、定期的に外して頭皮を換気するなどの工夫をしてください。ヘルメットの内側に汗を吸収するインナーを使用することも効果的です。
就寝時の枕カバーは清潔に保つことも大切です。汗を吸ったまま使い続けることは頭皮のあせもを悪化させる原因になります。枕カバーをこまめに洗濯し、清潔な状態を維持しましょう。吸水性・通気性の高い素材(綿など)の枕カバーを選ぶことも役立ちます。
また室内の温度・湿度管理も重要です。特に就寝中に大量に発汗している場合は、エアコンや扇風機を活用して室温・湿度を適切に保つことで、あせもの発生リスクを下げることができます。一般的には室温26〜28度、湿度60%以下が快適な範囲とされています。
かゆみがあるときはついつい掻いてしまいたくなりますが、掻くことで皮膚のバリアを壊し、細菌感染を招いてしまいます。かゆみが強い場合は冷たいタオルや保冷剤(タオルで包んだもの)を当てて冷やすことで一時的にかゆみを和らげることができます。また抗ヒスタミン成分の市販薬を適切に使用することも掻き壊しを防ぐのに役立ちます。
📝 頭皮のあせもと間違えやすい皮膚疾患
頭皮のかゆみやブツブツをあせもだと思っていたが、実は別の疾患だったというケースは少なくありません。適切な治療を受けるためにも、頭皮のあせもと症状が似た疾患について知っておきましょう。
まず脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)です。皮脂の分泌が多い頭皮に多く見られる炎症性疾患で、フケのような白や黄色のうろこ状のものが生じ、かゆみを伴うことがあります。マラセチアというカビ(真菌)の一種が関与していることが多く、抗真菌薬のシャンプーや外用薬が使われます。あせもとは異なり、季節を問わず発症しやすく、皮脂の分泌が多い脂性肌の方に多い傾向があります。
次に頭皮の毛包炎です。毛穴(毛包)に細菌が感染して炎症を起こす状態で、赤みを帯びた小さなブツブツが毛穴を中心にできます。あせもと見た目が似ていますが、毛穴を中心に膿を伴うことが多いのが特徴です。治療には抗菌薬の外用薬や内服薬が用いられ、あせもの薬だけでは改善しません。
頭部白癬(ずぶはくせん)は白癬菌(いわゆる水虫の原因菌)が頭皮に感染するもので、脱毛を伴うことがあります。主に子どもに多く見られますが、免疫力が低下した大人にも起こりえます。抗真菌薬の内服が必要な疾患であり、あせもの薬では対処できません。
アトピー性皮膚炎は慢性的な皮膚疾患で、頭皮にも発症することがあります。強いかゆみと皮膚の乾燥、赤み、苔癬化(皮膚が厚くなること)などが特徴です。あせもは主に夏に悪化し、涼しくなると改善しやすいのに対して、アトピー性皮膚炎は通年性で季節を問わず症状が続く点が異なります。治療はステロイド外用薬や保湿剤、タクロリムス軟膏などが用いられます。
接触性皮膚炎(かぶれ)は特定の物質に触れることで生じるアレルギー反応または刺激反応です。シャンプー、ヘアカラー剤、整髪料などが原因となることがあります。原因物質に触れた部位に一致して赤みやかゆみ、水ぶくれが生じる点が特徴で、接触した物質を特定して使用を中止することが基本的な対処法です。
乾癬(かんせん)は皮膚の細胞が過剰に増殖することで、厚いうろこ状のプラークが形成される慢性疾患です。頭皮にも発症しやすく、フケが大量に出るように見えることがあります。あせもとは性質が大きく異なり、免疫に関わる治療薬が必要になる場合もあります。
これらの疾患はそれぞれ異なる原因と治療法を持つため、自己判断でケアを続けても改善しない場合には皮膚科を受診して正確な診断を受けることが重要です。特に症状が長引く場合や悪化する場合、脱毛が見られる場合などは早めの受診を検討してください。
Q. 頭皮のあせもと間違えやすい皮膚疾患には何がありますか?
頭皮のあせもは脂漏性皮膚炎・毛包炎・アトピー性皮膚炎・接触性皮膚炎などと症状が似ており混同されやすいです。脂漏性皮膚炎は抗真菌薬、毛包炎は抗菌薬が必要など治療法が異なります。あせもの薬だけでは改善しないケースもあるため、症状が長引く場合は皮膚科での正確な診断が重要です。
💡 皮膚科受診のタイミングと診察で行われること

軽度の頭皮のあせもであれば市販薬と日常ケアで改善することも多いですが、以下のような場合には皮膚科を受診することをおすすめします。
市販薬を1〜2週間使用しても症状が改善しない、または悪化しているという場合が典型的な受診のタイミングです。またかゆみや赤みが非常に強く、日常生活や睡眠に支障が出ている場合も受診の判断基準になります。
患部から膿が出ている、腫れがある、熱感が強いなどの場合は二次感染が疑われます。このような状況では抗菌薬の使用が必要になることが多いため、できるだけ早めに皮膚科を受診してください。
脱毛が生じている場合も要注意です。あせも自体が直接脱毛を引き起こすことはほとんどありませんが、脱毛を伴う場合には頭部白癬や円形脱毛症など別の疾患の可能性があります。
乳幼児や子どもの場合は、大人よりも皮膚が薄く敏感であるため、症状が出た早い段階で受診することが推奨されます。また市販薬の中には年齢制限があるものも多いため、適切な薬の選択のためにも医師への相談が安心です。
皮膚科での診察では、まず問診で症状の経過、日常生活の状況(帽子の使用頻度、シャンプーの種類など)、既往歴、アレルギー歴などが確認されます。続いて視診(目で見ること)と必要に応じた触診が行われます。
頭皮の状態をより詳しく確認するためにダーモスコープ(皮膚を拡大して観察する器具)が使用されることもあります。真菌感染が疑われる場合には、頭皮から採取したスケール(角質)を顕微鏡で観察する真菌検査が行われることがあります。接触性皮膚炎が疑われる場合にはパッチテストが実施されることもあります。
診断がついた後は、症状の程度に応じた外用薬の処方、必要であれば内服薬の処方、そして生活指導が行われます。医師から処方された薬については、用法・用量をしっかり守り、症状が改善しても指示された期間は使用を続けることが治療の基本です。
なお皮膚科の受診に抵抗を感じる方もいますが、頭皮の疾患は皮膚科の専門医が最も得意とする分野のひとつです。美容皮膚科ではなく一般皮膚科への受診が適切であり、正確な診断と治療を受けることで多くのケースで早期に改善を見込めます。「これくらいは大したことない」と自己判断で放置することが、症状の長期化や合併症につながるリスクがあることを念頭に置いておきましょう。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では、夏場を中心に頭皮のかゆみやブツブツを訴えて来院される患者さんが増える傾向にあり、自己判断でしばらく市販薬を使い続けた後に受診されるケースも少なくありません。頭皮のあせもは脂漏性皮膚炎や毛包炎と見た目が似ているため、正確な診断なしに対処を続けると症状が長引いてしまうことがあります。かゆみや赤みが1〜2週間で改善しない場合は、ぜひお早めに皮膚科へご相談ください。適切な診断と治療で、多くの方が短期間で快適な状態に戻ることができます。」
✨ よくある質問
頭皮は汗腺の密度が非常に高く、髪の毛で覆われているため汗が蒸発しにくい構造になっています。そこに過剰な発汗、皮脂や汚れの蓄積、シャンプーのすすぎ残し、帽子やヘルメットの長時間着用などが重なると汗孔が詰まりやすくなり、あせもが発生しやすくなります。
頭皮のあせもには、ノズル付きのローション・液体タイプが最も塗布しやすくおすすめです。髪の毛を分けながら患部に直接薬を届けることができます。かゆみが主な症状なら抗ヒスタミン成分配合、炎症・赤みが強ければ弱いランクのステロイド配合のものを症状に合わせて選びましょう。
市販薬を1〜2週間使用しても症状が改善しない、または悪化している場合は、皮膚科の受診をおすすめします。頭皮のあせもは脂漏性皮膚炎や毛包炎など似た疾患と見分けが難しく、自己判断で対処を続けると症状が長引くことがあります。専門医による正確な診断と治療が早期改善につながります。
汗をかいたら早めにシャンプーで頭皮を清潔に保つこと、シャンプーのすすぎ残しをなくすこと、帽子やヘルメットの長時間着用を避けること、かゆくても掻き壊さないことが重要です。就寝時は枕カバーを清潔に保ち、室温26〜28度・湿度60%以下を目安に環境を整えることも再発予防に効果的です。
脂漏性皮膚炎、毛包炎、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎(シャンプーやヘアカラーによるかぶれ)などがあせもと症状が似ており、混同されやすいです。それぞれ原因や治療法が異なるため、市販薬で改善しない場合や症状が長引く場合は、皮膚科で正確な診断を受けることが大切です。
📌 まとめ
頭皮のあせもは、汗腺が密集し髪の毛に覆われた頭皮という特殊な環境の中で起きやすい皮膚トラブルです。見えにくく気づきにくい部位であるからこそ、かゆみや違和感を感じたら早めにケアを始めることが大切です。
市販薬では抗ヒスタミン成分やメントール配合のローションタイプが頭皮には塗布しやすく、症状が軽い場合には有効な選択肢です。ただし炎症が強い場合や二次感染が疑われる場合には、処方薬が必要になることもあります。薬を使用する際には正しい塗り方を守り、指示された期間・頻度で使用することが効果を引き出すポイントです。
日常ケアとして清潔な頭皮環境を保つこと、帽子やヘルメットの長時間着用を避けること、シャンプーのすすぎ残しをなくすこと、掻き壊しをしないことなどが再発予防につながります。また頭皮のあせもに似た脂漏性皮膚炎、毛包炎、接触性皮膚炎などの疾患との見分けも重要で、市販薬で改善しない場合には皮膚科受診を検討することが必要です。
頭皮のかゆみや赤みは生活の質にも影響する不快な症状です。適切な薬選びと日常ケアを組み合わせて、頭皮の健康を守っていきましょう。症状が長引いたり悪化したりする場合は、ぜひ専門の皮膚科医に相談してみてください。
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📚 参考文献
- 日本皮膚科学会 – 汗疹(あせも)の定義・種類(水晶様汗疹・紅色汗疹・深在性汗疹)・治療方針に関する専門的情報、およびステロイド外用薬のランク分類と適切な使用法の根拠として参照
- 厚生労働省 – 市販薬(OTC医薬品)におけるステロイド成分・抗ヒスタミン成分の分類・使用上の注意、およびセルフメディケーションの適切な活用に関する情報の根拠として参照
- PubMed – 頭皮のあせも(Miliaria)の病態メカニズム(エクリン汗腺閉塞・炎症反応)、二次感染合併時の抗菌薬選択、タクロリムスなど非ステロイド系治療の有効性に関する国際的臨床研究・文献の根拠として参照
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務