
夏になると悩む人が増えるあせも。かゆみや赤みが続くと、手元にあるヘパリン類似物質(ヒルドイドなど)を塗ってみようかと考える方も多いのではないでしょうか。ヘパリン類似物質は保湿効果が高いことで知られており、乾燥肌のケアやニキビ跡の改善などにも使われていますが、果たしてあせもにも有効なのでしょうか。この記事では、ヘパリン類似物質の基本的な性質から、あせもへの効果と限界、正しい使い方や注意点まで、皮膚科的な観点でわかりやすく解説します。
目次
- あせもとはどんな肌トラブルか
- ヘパリン類似物質とは何か
- ヘパリン類似物質があせもに効くといわれる理由
- あせもの種類とヘパリン類似物質が向く場合・向かない場合
- ヘパリン類似物質の正しい使い方
- ヘパリン類似物質使用時の注意点
- あせもを悪化させないための日常ケア
- 市販品と処方薬の違い
- こんなときは皮膚科を受診しよう
- まとめ
この記事のポイント
ヘパリン類似物質はあせもを直接治す薬ではなく、保湿・抗炎症作用で皮膚バリア機能の回復を補助する。回復期や予防ケアに有効だが、膿や細菌感染を伴う場合は皮膚科受診が必要。
🎯 あせもとはどんな肌トラブルか
あせも(汗疹/かんしん)は、汗が皮膚の表面や皮膚の内部に溜まることで生じる炎症性の皮膚疾患です。正式名称を「汗疹(かんしん)」といい、英語では「heat rash(ヒートラッシュ)」や「miliaria(ミリアリア)」とも呼ばれています。
汗腺(エクリン腺)は体温調節のために汗を分泌しますが、高温多湿の環境や激しい運動などによって大量の汗をかくと、汗の出口である汗孔(かんこう)が角質や汚れによって詰まってしまうことがあります。この詰まりによって汗が正常に排出されず、皮膚内部や表皮に汗が漏れ出すことで炎症反応が起こるのがあせもの本質です。
あせもが発生しやすい部位は、汗がたまりやすく蒸れやすい箇所です。具体的には、首のまわり、わきの下、肘の内側、膝の裏、背中、乳幼児の場合は頭皮や額なども挙げられます。症状としては、細かい赤いブツブツ、かゆみ、ひりひり感、灼熱感などが代表的です。
あせもは子どもに多いイメージがありますが、大人でも汗をかきやすい季節には誰でも発症する可能性があります。特に皮膚のバリア機能が低下している人や、アトピー性皮膚炎の既往がある人は、あせもを起こしやすい傾向があります。
Q. あせもとは何が原因で起こる皮膚トラブルですか?
あせも(汗疹)は、大量の汗によって汗孔が角質や汚れで詰まり、汗が皮膚内部に漏れ出すことで炎症が起こる皮膚疾患です。首まわりや脇など蒸れやすい部位に赤いブツブツやかゆみが生じ、大人でも夏季に発症します。
📋 ヘパリン類似物質とは何か
ヘパリン類似物質とは、ヘパリンという天然の抗凝固物質に化学構造が似た合成物質のことです。医薬品としては「ヘパリン類似物質」という成分名で知られており、ヒルドイドというブランド名が広く知られています。ドラッグストアでも市販品が購入できることから、多くの方に身近な成分です。
ヘパリン類似物質の主な作用は大きく三つに分けられます。
一つ目は保湿作用です。ヘパリン類似物質は水分を引きつける性質(親水性)が非常に強く、皮膚の角質層に水分を補給し、長時間にわたって保持します。この保湿効果は非常に高く、乾燥肌やアトピー性皮膚炎のスキンケアに広く使われています。
二つ目は血行促進作用です。ヘパリン類似物質は毛細血管の血流を改善する効果があります。これにより、組織への酸素や栄養の供給が改善され、皮膚の代謝が活性化されます。この作用が、傷跡やケロイド、妊娠線などの改善に活用されています。
三つ目は抗炎症作用です。ヘパリン類似物質には軽度の炎症を抑える作用があり、赤みやかゆみを和らげる効果が期待されています。ただし、ステロイド外用剤のような強力な抗炎症作用はないため、強い炎症には対応しきれないこともあります。
剤形としては、クリーム、ローション、泡状(フォーム)、ゲル、スプレーなど多様なタイプが販売されており、使用する部位や使用感の好みに合わせて選ぶことができます。
💊 ヘパリン類似物質があせもに効くといわれる理由
ヘパリン類似物質があせもに効くといわれる背景には、あせもの発症メカニズムとヘパリン類似物質の作用が一部合致している点があります。
あせもが生じるメカニズムの一つとして、皮膚のバリア機能の低下が挙げられます。皮膚のバリア機能が低下すると汗孔が詰まりやすくなり、あせもが発生しやすくなります。また、一度あせもができると、炎症によってさらにバリア機能が低下するという悪循環に陥ることもあります。
ここでヘパリン類似物質の保湿作用が関係してきます。皮膚のバリア機能を維持・回復するためには適切な保湿が重要であり、ヘパリン類似物質によって角質層の水分量を補うことで、皮膚のバリア機能の回復を助けることができると考えられています。
また、あせもによる軽度の赤みやかゆみに対して、ヘパリン類似物質の抗炎症作用が一定の効果を発揮することも期待されています。炎症を軽度に抑えることで、かゆみによるかき壊しを防ぎ、症状の悪化を食い止める効果があるとされています。
さらに、血行促進作用によって皮膚の代謝が改善されると、詰まった汗腺の回復が促進される可能性も考えられています。皮膚の自己修復能力が高まることで、あせもからの回復を助ける役割が期待されているのです。
ただし、ここで重要な点があります。ヘパリン類似物質はあせもを直接治す薬ではありません。あくまでも皮膚のバリア機能の回復を助け、軽度の炎症を和らげるというサポート的な役割を担うものです。あせもの根本的な原因(汗孔の詰まり)に直接作用する薬ではないという点を理解しておく必要があります。
Q. ヘパリン類似物質はあせもにどのような効果がありますか?
ヘパリン類似物質はあせもを直接治す薬ではありませんが、高い保湿作用で皮膚バリア機能の回復を補助し、軽度の抗炎症作用でかゆみや赤みを和らげます。あせもの回復期・アフターケア・予防的スキンケアとして活用するのが適切な使い方です。
🏥 あせもの種類とヘパリン類似物質が向く場合・向かない場合
あせもにはいくつかの種類があり、ヘパリン類似物質が有効かどうかはそのタイプによっても異なります。あせもの種類を理解することで、適切なケアの選択につながります。
あせもは主に以下の三種類に分類されます。
一つ目は、水晶様汗疹(すいしょうようかんしん)と呼ばれるタイプです。汗管の閉塞が比較的表面に近い角質層で起こり、透明または白色の小さな水疱(水ぶくれ)が現れます。かゆみはほとんどなく、自然に消えることが多い軽症のあせもです。乳幼児や高熱のある患者さんに多くみられます。
二つ目は、紅色汗疹(こうしょくかんしん)です。最も一般的なあせもで、多くの人がイメージするあせもはこのタイプです。汗管の閉塞が表皮のより深い部分で起こり、赤い小さなブツブツが現れます。強いかゆみや灼熱感を伴うことが多く、日常生活に支障をきたすこともあります。
三つ目は、深在性汗疹(しんざいせいかんしん)です。汗管の閉塞が真皮層という皮膚の深い部分で起こります。皮膚色の丘疹(きゅうしん)が現れ、かゆみは少ないですが、汗が出ないことによる体温調節障害が起こることがあります。熱帯地方での長期滞在者に多く、日本ではあまりみられません。
ヘパリン類似物質が比較的向いているのは、紅色汗疹(一般的なあせも)の回復期や、あせもが落ち着いてきた後のアフターケアです。炎症が軽度で、皮膚のバリア機能の回復を助けたいときに活用できます。また、あせもの予防的なケアとして、バリア機能を高める目的での使用も理にかなっています。
一方、ヘパリン類似物質が向かないケースもあります。強い炎症や膿をもったあせも(膿疱性汗疹)には、ヘパリン類似物質だけでは対応が難しく、抗菌薬やステロイド外用剤などの適切な治療が必要です。また、二次感染(あせもに細菌感染が合併した状態)が起きている場合も、ヘパリン類似物質だけのケアでは不十分で、皮膚科を受診して適切な治療を受ける必要があります。

⚠️ ヘパリン類似物質の正しい使い方
ヘパリン類似物質をあせもケアに活用する場合、正しい使い方を守ることが大切です。間違った使い方をすると、効果が薄れるだけでなく、症状を悪化させてしまうこともあります。
まず、使用のタイミングについてです。入浴後10分以内を目安に、皮膚が清潔で少し湿っている状態のときに塗るのが効果的です。皮膚が湿っている状態でヘパリン類似物質を塗ることで、保湿成分が皮膚によく浸透し、水分の保持効果が高まります。
次に、塗り方についてです。あせもが出ている部位やその周囲に薄く均一に塗り広げます。ゴシゴシとこすり込むように塗るのは避け、優しくなじませるように塗るのがポイントです。皮膚に炎症がある場合は特に、刺激を与えないよう注意が必要です。
使用回数については、製品の添付文書に従うことが基本ですが、一般的には1日1回から数回が目安です。ただし、塗りすぎると皮膚がベタついて蒸れやすくなり、かえってあせもを悪化させる可能性があります。あせもケアに使う場合は特に、必要な量を薄く塗ることを意識してください。
剤形の選び方も重要です。あせもができやすい部位は、脇や首まわりなど蒸れやすい場所が多いです。このような部位には、ベタつきが少ないローションタイプやスプレータイプが適しています。クリームタイプは保湿力が高い反面、ベタつきやすいため、あせもができやすい部位への使用には注意が必要です。
塗る量についても気をつけましょう。一般的な保湿剤の使用量の目安として「フィンガーチップユニット(FTU)」という概念があります。1FTUとは、大人の人差し指の第一関節から先に出した量(約0.5g)で、大人の手のひら2枚分の面積(体表面積の約1%)に相当します。あせもができている部分に対して、このような目安を参考に適切な量を塗るようにしましょう。
また、あせもの急性期(炎症が強い時期)には、ヘパリン類似物質を単独で使うよりも、医師の指導のもとでステロイド外用剤などの適切な治療薬を使い、炎症が落ち着いた後のケアにヘパリン類似物質を活用するという使い方がより効果的です。
Q. あせもへのヘパリン類似物質の正しい塗り方を教えてください。
入浴後10分以内の皮膚が清潔で少し湿った状態に、患部とその周囲へ薄く優しくなじませるように塗ります。蒸れやすい脇や首まわりにはローションやスプレータイプが適しています。塗りすぎると蒸れを促進しあせもを悪化させる恐れがあるため注意が必要です。
🔍 ヘパリン類似物質使用時の注意点
ヘパリン類似物質はは比較的安全性の高い薬剤ですが、使用にあたっていくつかの注意点があります。
まず、出血傾向のある方への注意です。ヘパリン類似物質はヘパリンに構造が似た物質であるため、抗凝固作用(血液を固まりにくくする作用)を持っています。外用薬の場合は経皮吸収量が少なく、通常の使用では全身への影響は限定的とされています。しかし、傷口や粘膜、広範囲の皮膚炎がある場合は吸収量が増える可能性があるため、出血性血液疾患がある方や抗凝固薬(ワーファリンなど)を服用している方は医師や薬剤師に相談した上で使用してください。
次に、感染が疑われる皮膚への使用についてです。あせもが悪化して膿が出ている場合や、皮膚が赤く腫れ上がっている場合は、細菌感染(とびひ、毛嚢炎など)が合併している可能性があります。このような状態にヘパリン類似物質だけを塗っていると、感染の治療が遅れてしまいます。感染が疑われる場合は皮膚科を受診し、適切な抗菌薬の治療を受けることが優先されます。
アレルギー反応についても知っておく必要があります。ヘパリン類似物質の製品には、主成分以外にも保存料や香料などの添加物が含まれていることがあります。まれにこれらの成分にアレルギーを起こすことがあり、使用後に赤みやかゆみが増したり、発疹が広がったりした場合はすぐに使用を中止して医療機関を受診してください。
乳幼児への使用についても注意が必要です。乳幼児は皮膚が薄く、成分の吸収率が大人に比べて高い傾向があります。赤ちゃんや乳幼児のあせもに使用する場合は、必ず小児科や皮膚科の医師に相談してから使用するようにしましょう。
使用量と使用頻度についても注意が必要です。前述のように、あせもができやすい部位は蒸れやすい場所であることが多く、ヘパリン類似物質を塗りすぎるとかえって蒸れを促進し、あせもを悪化させる可能性があります。特に夏場は汗をかきやすく、薬剤が流れてしまうため、過剰に塗ることなく、適切な量を心がけてください。
また、ヘパリン類似物質は血行を促進する作用があるため、入浴直後や運動直後など、すでに血流が促進されている状態での使用には一部注意が必要なケースがあります。一般的な使用では問題になることは少ないですが、肌が敏感になっているときや、赤みが強い炎症部位には、ひりひり感を感じることがあります。
📝 あせもを悪化させないための日常ケア
ヘパリン類似物質を上手に活用するとともに、日常生活の中でのセルフケアもあせもの予防や改善において非常に重要です。
皮膚を清潔に保つことが基本です。汗をかいたらこまめにシャワーで洗い流すか、濡れタオルで優しく拭き取るようにしましょう。ただし、石けんやボディソープを使い過ぎると皮膚のバリア機能を壊してしまうため、強くこするのは禁物です。シャワーは熱すぎない温度(38〜40度程度)で行い、タオルで拭くときも優しくポンポンと水分を吸い取るようにしてください。
衣類の選択も重要なポイントです。汗を吸収しやすく、通気性の良い素材の衣類を選ぶことがあせも予防の基本です。綿素材は肌触りが良く吸汗性に優れていますが、吸収した汗が乾きにくい面もあります。吸汗速乾性に優れた機能性素材も選択肢の一つです。ナイロンやポリエステルのみの化学繊維は蒸れやすいため、あせもが出やすい方には不向きな場合があります。また、ゆとりのあるサイズの服を選び、皮膚への摩擦や締め付けを最小限にすることも大切です。
室温の管理も忘れずに行いましょう。高温多湿の環境があせもの大きな原因です。エアコンや扇風機を上手に使って室温と湿度を適切に管理することが、あせも予防に効果的です。特に睡眠時は体温が上がりやすく、汗をかきやすいため、寝室の温度管理は重要です。
かくことへの注意も必要です。あせものかゆみは強く、ついかいてしまうことがありますが、かくことで皮膚のバリア機能がさらに低下し、悪循環に陥ります。また、かき壊すことで細菌感染を引き起こすリスクも高まります。かゆみが強い場合は、冷たいタオルや保冷剤をタオルで包んで患部を冷やすことで、かゆみを和らげることができます。
保湿ケアの継続も重要です。あせもが改善した後も、皮膚のバリア機能を高く保つために保湿ケアを継続することが大切です。ヘパリン類似物質のような保湿剤を日常的に使うことで、あせもが繰り返しにくい皮膚環境を整えることができます。特に入浴後の保湿は、スキンケアの基本として習慣化しましょう。
また、食事や生活習慣も皮膚の健康に影響します。ビタミンCやビタミンEなどの抗酸化ビタミン、皮膚の代謝に関わるビタミンB群を含む食品をバランス良く摂取することが、皮膚のバリア機能を支えることにつながります。
Q. あせもで皮膚科を受診すべき目安はいつですか?
皮膚が赤く腫れて膿が出ている場合や、1〜2週間のセルフケアで改善がみられない場合は早めに皮膚科を受診してください。かゆみが強く睡眠に支障をきたす場合や症状が広範囲に及ぶ場合も受診のサインです。アイシークリニックでも症状に応じた治療薬の処方やスキンケア指導を行っています。
💡 市販品と処方薬の違い
ヘパリン類似物質は、ドラッグストアで購入できる市販品と、医師が処方する処方薬の二種類があります。それぞれの違いを理解しておくことで、自分に合った選択ができます。
処方薬のヘパリン類似物質製品(代表例:ヒルドイドクリーム0.3%、ヒルドイドローション0.3%、ヒルドイドソフト軟膏0.3%など)は、有効成分であるヘパリン類似物質の濃度が0.3%に設定されています。医師が診察の上で処方するものであり、保険が適用されるため費用が抑えられます。
市販品(OTC医薬品)は、薬局やドラッグストアで処方箋なしに購入できます。市販品には「ヘパリン類似物質」を有効成分とするものが複数あり、代表的な製品として「ビーソフテン」「ヘパリーナローション」などがあります。市販品の有効成分濃度は処方薬と同じ0.3%のものが多いですが、製品によって剤形や添加物が異なります。
市販品と処方薬の主な違いは、医師の診察が介在するかどうかと、費用面です。市販品は手軽に購入できる反面、自己判断での使用となります。一方、処方薬は保険が適用されるため、費用が抑えられ、症状に合った治療法を受けられるというメリットがあります。
あせもの症状が軽い場合や、過去に皮膚科を受診して問題なかった経験がある場合は、市販のヘパリン類似物質製品を試してみることも選択肢の一つです。ただし、症状が改善しない場合や悪化している場合は、自己判断での使用を続けずに皮膚科を受診することが大切です。
また、ヘパリン類似物質の処方薬は美容目的での使用(シミ、乾燥、美肌目的など)に対しては保険が適用されないことに注意が必要です。保険診療でヘパリン類似物質を処方してもらうには、乾燥皮膚症や皮脂欠乏性湿疹などの皮膚疾患の診断が必要です。あせもの治療という観点では、医師の診察を受けた上で処方してもらうことが適切です。
なお、アイシークリニック池袋院のような美容皮膚科では、自由診療としてヘパリン類似物質を処方・提供している場合もあります。美容目的での使用を希望する場合は、このような専門クリニックに相談することもできます。
✨ こんなときは皮膚科を受診しよう

あせもは一般的に軽症であれば、適切なセルフケアと市販薬で改善することが多いです。しかし、以下のような場合は、自己判断でのケアを続けず、早めに皮膚科を受診することをお勧めします。
皮膚が赤く腫れ上がっている、または膿が出ている場合です。これは細菌感染(毛嚢炎、とびひなど)の合併が疑われます。とびひ(伝染性膿痂疹)はあせもをかき壊すことで起こりやすく、特に子どもでは急速に広がることがあります。抗菌薬による治療が必要なため、速やかに受診してください。
1〜2週間のセルフケアで改善がみられない場合も受診のサインです。適切なケアをしているにもかかわらず症状が続く場合は、あせもではない別の皮膚疾患(アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、湿疹など)の可能性があります。自己判断での治療を続けることで、正しい診断と治療が遅れてしまうことがあります。
広範囲に症状が広がっている場合も注意が必要です。あせもが体の広い範囲に広がっている場合や、首・顔・体幹など複数の部位に同時に出ている場合は、皮膚科での評価が必要です。
かゆみが非常に強く、日常生活や睡眠に支障をきたしている場合も受診をお勧めします。強いかゆみはかき壊しによる悪化や感染のリスクを高めるため、抗ヒスタミン薬やステロイド外用剤などの処方薬で適切にコントロールする必要があります。
乳幼児のあせもが悪化している場合も、早めに小児科または皮膚科を受診してください。乳幼児は皮膚が薄く、感染が広がりやすいため、大人と同じ対応では不十分なことがあります。
また、アトピー性皮膚炎などの基礎疾患がある方は、あせもをきっかけに症状が悪化することがあります。このような場合は自己判断でのケアに頼らず、定期的に皮膚科を受診して状態を管理してもらうことが重要です。
皮膚科では、症状に応じてステロイド外用剤、抗ヒスタミン薬(内服・外用)、抗菌薬など、適切な治療薬を処方してもらえます。また、スキンケアの具体的な方法についてもアドバイスを受けることができます。あせもで困っている方は、一度専門家に相談することで、より早く、より確実に改善への道筋をつけることができます。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では、夏になるとあせもでお悩みの患者さんが増え、手元にあったヘパリン類似物質を塗ってみたものの改善しないというご相談を多くいただきます。ヘパリン類似物質は皮膚のバリア機能回復や軽度の炎症を和らげるという点であせものケアをサポートする効果が期待できますが、あくまでも補助的な役割であり、膿を持ったあせもや細菌感染が疑われる場合には適切な治療薬が必要です。セルフケアで1〜2週間経っても改善がみられない場合や症状が悪化している場合は、早めに皮膚科を受診していただくことで、より早い回復への道筋をつけることができますので、どうかお気軽にご相談ください。」
📌 よくある質問
ヘパリン類似物質はあせもを直接治す薬ではありません。皮膚のバリア機能の回復を助ける保湿作用と、軽度の炎症を和らげる抗炎症作用によって、あせものケアをサポートする補助的な役割を担うものです。特にあせもが落ち着いた回復期やアフターケア、予防的なスキンケアとしての活用が適しています。
入浴後10分以内を目安に、皮膚が清潔で少し湿っている状態のときに塗るのが最も効果的です。皮膚が湿っている状態で塗ることで保湿成分がよく浸透し、水分保持効果が高まります。また、あせもができやすい蒸れやすい部位には、ベタつきの少ないローションタイプやスプレータイプを選ぶことをお勧めします。
有効成分の濃度はどちらも0.3%で同じものが多いですが、主な違いは医師の診察が介在するかどうかと費用面です。処方薬は保険が適用されるため費用が抑えられ、症状に合った治療法を受けられます。市販品は手軽に購入できる反面、自己判断での使用となります。症状が改善しない場合は皮膚科の受診をお勧めします。
膿をもったあせも(膿疱性汗疹)や、細菌感染が合併している場合はヘパリン類似物質だけでの対応は難しく、抗菌薬やステロイド外用剤などの適切な治療が必要です。また、出血性血液疾患がある方や抗凝固薬を服用中の方、乳幼児に使用する場合は、事前に医師や薬剤師へ相談してから使用してください。
1〜2週間セルフケアを続けても改善がみられない場合や、皮膚が赤く腫れ上がっている・膿が出ている場合は早めに皮膚科を受診してください。また、かゆみが強く日常生活や睡眠に支障をきたす場合、症状が広範囲に広がっている場合も受診のサインです。当院でも症状に応じた適切な治療薬の処方やスキンケアのアドバイスを行っています。
🎯 まとめ
ヘパリン類似物質はあせもに対して、皮膚のバリア機能の回復を助ける保湿作用と、軽度の炎症を和らげる抗炎症作用という観点から一定の効果が期待できる成分です。特に、あせもが落ち着いた後の回復期やアフターケア、あせもの予防的なスキンケアとして活用することは理にかなっています。
ただし、ヘパリン類似物質はあせもを直接治す薬ではなく、あくまでも皮膚環境を整えるためのサポート的な役割を担うものです。強い炎症がある急性期のあせも、膿をもったあせも、細菌感染が合併したあせもには対応が難しく、皮膚科での適切な治療が必要です。
日常ケアとしては、皮膚を清潔に保つこと、蒸れにくい服装を選ぶこと、室内の温度・湿度管理を行うこと、かき壊しを防ぐことなど、生活習慣全体を見直すことがあせも予防の基本です。ヘパリン類似物質を正しく活用しながら、これらのセルフケアを組み合わせることで、あせもとより上手に付き合うことができます。
症状が改善しない場合や悪化している場合は、自己判断でのケアを続けず、早めに皮膚科を受診することをお勧めします。専門家の指導のもとで適切な治療を受けることが、あせもの早期改善への近道です。あせもで悩んでいる方は、ぜひ皮膚科に相談してみてください。
📚 関連記事
- 大人のあせもに効く薬の選び方と正しいケア方法を解説
- あせもの見分け方を徹底解説|似た皮膚トラブルとの違いと対処法
- あせもを治す方法を徹底解説|原因・症状・予防まで
- あせもに亜鉛華軟膏は効果的?正しい使い方と注意点を解説
- ポララミンの強さと特徴を解説|抗ヒスタミン薬の効果・副作用・使い方
📚 参考文献
- 日本皮膚科学会 – あせも(汗疹)の分類・診断基準および治療ガイドライン、ヘパリン類似物質を含む外用薬の適応に関する学会公式情報
- 厚生労働省 – ヘパリン類似物質製剤(ヒルドイド等)の適正使用に関する通知・医薬品情報、市販品と処方薬の位置づけに関する行政情報
- PubMed – 汗疹(miliaria)の発症メカニズム・治療に関する査読済み臨床研究論文、ヘパリン類似物質の抗炎症・保湿・血行促進作用に関するエビデンス
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務