
川や山など自然の多い場所でアウトドアを楽しんでいると、気がつかないうちに虫に刺されてしまうことがあります。その中でも特に注意が必要なのが「ブヨ(ブユ)」です。ブヨに刺された場合、蚊の刺し傷とは比べものにならないほど強いかゆみや腫れが生じ、場合によっては刺された跡がなかなか消えず、長期間にわたって悩まされることもあります。本記事では、ブヨの虫刺され跡ができるメカニズムから、正しいケア方法、医療機関を受診すべきタイミングまで、わかりやすく解説していきます。
目次
- ブヨとはどんな虫?蚊との違いについて
- ブヨに刺されるとどうなる?症状の特徴
- ブヨの虫刺され跡が残りやすい理由
- 刺された直後にやるべき応急処置
- 跡を残さないための日常的なケア方法
- 市販薬の選び方と使い方のポイント
- 掻きむしりが跡を悪化させる理由
- 色素沈着やケロイドになってしまったら
- 医療機関を受診すべきサインとは
- ブヨに刺されないための予防策
この記事のポイント
ブヨは皮膚を噛み切って傷つけるため蚊より炎症が強く跡が残りやすい。刺後は洗浄・冷却・早期投薬が基本で、掻きむしりは色素沈着を悪化させる。症状が長引く場合はアイシークリニックなど皮膚科への受診を推奨。
🎯 ブヨとはどんな虫?蚊との違いについて
ブヨ(学名:Simuliidae)は、双翅目(ハエの仲間)に属する小型の吸血昆虫です。日本各地に分布しており、地域によって「ブユ」「ブト」「ブヨ」など様々な呼び方があります。体長は2〜5mm程度と非常に小さく、外見は黒っぽいコバエのような見た目をしています。幼虫は清流などきれいな水の中に生息しているため、登山やキャンプ、川遊びをする際に遭遇しやすい昆虫です。
蚊との大きな違いは「刺し方」にあります。蚊は針状の口器を皮膚に刺して血を吸うのに対し、ブヨは皮膚を噛み切って傷口を作り、そこに唾液を注入して血を吸います。この「噛み切る」という刺し方のために、皮膚へのダメージが蚊よりもはるかに大きくなります。また、刺された瞬間にほとんど痛みを感じないことも特徴のひとつです。麻酔作用を持つ成分が唾液に含まれているため、気づかないうちに刺されてしまうことが多いのです。
ブヨが活動しやすい時間帯は、早朝から午前中にかけてと、夕方から日没にかけての薄暗い時間帯です。特に気温が15〜20℃程度の春から夏にかけてが活動のピークとなります。川沿いや林の中など、清流の近くに生息することが多く、標高の高い山岳地帯にも多く存在します。
Q. ブヨと蚊の刺し方はどう違うのか?
ブヨは蚊のように針を刺すのではなく、皮膚を噛み切って傷口を作り、そこに唾液を注入して血を吸います。そのため皮膚へのダメージが蚊より大きく、強い炎症が生じます。また唾液に麻酔成分が含まれるため、刺された瞬間はほとんど痛みを感じません。
📋 ブヨに刺されるとどうなる?症状の特徴
ブヨに刺された直後は、前述のように麻酔成分の影響でほとんど痛みを感じません。しかし、時間が経過するにつれて症状が現れ始めます。刺されてから数時間後に強いかゆみと腫れが起き、翌日には症状がピークに達することが多いとされています。
主な症状としては以下のようなものが挙げられます。刺された部位が赤くなり、蚊よりも広範囲にわたって腫れ上がります。直径5cm以上に腫れることも珍しくありません。また、かゆみの強さも蚊とは比較にならないほど激しく、我慢できないほどの不快感を伴うことがあります。さらに、刺された箇所に水ぶくれ(水疱)が形成されることもあり、これが破れると傷口から細菌感染のリスクが高まります。
症状の持続期間は個人差がありますが、一般的には1〜2週間程度続くことが多く、ひどい場合には1ヶ月近く症状が続くこともあります。また、アレルギー反応が強い方の場合、刺された部位だけでなく全身に症状が出ることもあり、発熱やリンパ節の腫れを伴うケースも報告されています。
ブヨに繰り返し刺された経験のある方は、アレルギー反応が強くなることがあります。これは免疫が過剰に反応するためで、重篤な場合にはアナフィラキシーショックを起こす危険性もあります。アウトドアでブヨが多い地域に行く際は、この点に注意が必要です。
💊 ブヨの虫刺され跡が残りやすい理由
ブヨの虫刺され跡が蚊と比べて残りやすい理由には、いくつかのメカニズムが関係しています。
まず、皮膚へのダメージの大きさです。ブヨは皮膚を噛み切って傷口を作るため、蚊が針を刺すよりも皮膚組織へのダメージが大きくなります。この損傷が回復する過程で、炎症反応が強く起こり、メラニン色素が過剰に産生されることがあります。これが「炎症後色素沈着」と呼ばれる状態で、茶色や黒っぽい跡として皮膚に残ります。
次に、アレルギー反応の強さです。ブヨの唾液に含まれる成分は強力なアレルゲンとなり、刺された部位に激しい炎症を引き起こします。この炎症が長く続くほど、皮膚への影響も大きくなり、跡が残りやすくなります。
さらに、かゆみによる掻きむしりも跡を残す大きな原因です。我慢できないほどの強いかゆみのために、無意識に掻いてしまうことが多く、これによって皮膚がさらに傷つき、炎症が悪化します。掻くことで水疱が破れ、細菌感染を起こすと、さらに深刻な傷跡になるリスクがあります。
また、体質も大きく関係しています。色白の方、肌が乾燥しやすい方、アレルギー体質の方などは、炎症後色素沈着が起きやすく、跡が目立ちやすい傾向があります。紫外線への暴露も色素沈着を悪化させる要因のひとつです。刺された部位を日光に当てることで、メラニンの産生がさらに促進され、跡が濃くなってしまうことがあります。
Q. ブヨに刺された直後の正しい応急処置は?
ブヨに刺されたらすぐに患部を流水と石鹸で洗浄し、ポイズンリムーバーがあれば唾液成分の吸い出しに使用します。その後、保冷剤や冷たいタオルで15〜20分を目安に冷却し、抗ヒスタミン成分やステロイド成分を含む市販の虫刺され薬を早めに塗ることで炎症とかゆみを抑えられます。
🏥 刺された直後にやるべき応急処置
ブヨに刺されたことに気づいたら、できるだけ早く適切な応急処置を行うことが、その後の症状の悪化や跡を残さないために非常に重要です。
最初に行うべきことは、刺された部位を流水でよく洗い流すことです。傷口にブヨの唾液成分や汚れが残っていると炎症が悪化するため、清潔な水で十分に洗浄してください。石鹸を使ってやさしく洗うとより効果的です。
次に、虫刺され専用の吸引器(ポイズンリムーバー)がある場合は、刺された直後に使用することで、皮膚内に注入されたブヨの唾液成分を吸い出す効果が期待できます。アウトドア活動が多い方は、携行品のひとつとして持っておくと安心です。ただし、効果には限界があるため、万能ではありません。
洗浄後は、患部を冷やすことが有効です。保冷剤や冷たいタオルを患部に当てることで、血管を収縮させて炎症反応を抑え、かゆみを和らげることができます。ただし、長時間冷やし続けると凍傷になる恐れがあるため、15〜20分程度を目安に冷却し、休憩を挟みながら行うようにしましょう。
抗ヒスタミン成分やステロイド成分を含む市販の虫刺され薬を早めに塗ることも効果的です。かゆみや炎症を抑えることで、掻きむしりを防ぎ、跡が残るリスクを低減できます。アウトドアに出かける際は、虫刺され薬を必ず持参するようにしましょう。
なお、よく「刺された部位を火で温める」「熱湯で温める」といった民間療法を耳にすることがありますが、これらは皮膚を傷つけたり火傷を引き起こしたりする危険性があるため、行わないようにしてください。科学的な根拠が乏しく、かえって症状を悪化させる可能性があります。
⚠️ 跡を残さないための日常的なケア方法
応急処置の後も、ブヨの虫刺され跡を残さないために日常的なケアを続けることが大切です。
かゆみがある間は、とにかく患部を掻かないことが最優先です。掻きむしると皮膚がさらに傷つき、炎症が悪化するため跡が残りやすくなります。かゆみを感じたときは、軽く叩くように刺激するか、冷やすことで対応しましょう。夜間に無意識に掻いてしまうことを防ぐために、就寝前に薬を塗布し、必要であれば患部をガーゼや包帯で保護するのも有効です。
水疱(水ぶくれ)が形成された場合は、自分で破かないことが重要です。水疱は皮膚を保護するために体が作るバリアの役割を果たしています。意図的に破ると感染のリスクが高まり、傷跡が残りやすくなります。水疱が自然に破れてしまった場合は、清潔なガーゼで保護し、感染予防のためにも医療機関を受診することを検討してください。
患部の保湿ケアも忘れずに行いましょう。乾燥した皮膚は炎症が起きやすく、回復が遅くなります。かゆみや炎症が落ち着いてきたら、低刺激性の保湿クリームやローションで患部を保湿することで、皮膚の回復を促進できます。
紫外線対策も跡を残さないために重要なポイントです。炎症を起こした皮膚は紫外線の影響を受けやすく、日光に当たると色素沈着が悪化することがあります。患部が露出する場合は、日焼け止めを塗るか、衣類や包帯で覆うようにしてください。夏場のアウトドアでは特に注意が必要です。
食生活も回復に影響します。ビタミンCはコラーゲンの生成を助け、皮膚の回復を促進する効果があります。また、ビタミンEは抗酸化作用があり、炎症を抑える効果が期待できます。これらの栄養素を食事でしっかり摂るとともに、免疫力を高めるためにも十分な睡眠とバランスの取れた食事を心がけましょう。
🔍 市販薬の選び方と使い方のポイント
ブヨの虫刺されに使用できる市販薬には、いくつかの種類があります。症状に合わせて適切なものを選ぶことが大切です。
ステロイド外用薬は、炎症を強力に抑える効果があり、ブヨに刺された際の腫れや赤みの改善に有効です。市販品には複数の強さのランクがありますが、ブヨの刺し傷のように強い炎症を伴う場合は、ある程度の強さのステロイドが必要なこともあります。ただし、ステロイドは長期連用すると皮膚が薄くなるなどの副作用が起きる可能性があるため、添付文書に従った使い方を守ることが重要です。症状が改善されない場合や、顔などのデリケートな部位への使用は、医師に相談することをお勧めします。
抗ヒスタミン薬(飲み薬)は、かゆみを内側から抑える効果があります。ブヨの刺し傷によるかゆみは非常に強いため、外用薬だけでは十分に抑えられないこともあります。抗ヒスタミンの飲み薬を併用することで、よりかゆみのコントロールができます。ただし、眠気が出るものが多いため、車の運転などをする際には注意が必要です。
かゆみ止めの外用薬には、ジフェンヒドラミン塩酸塩(抗ヒスタミン成分)やリドカイン(局所麻酔成分)を含むものがあります。これらは患部に直接塗布することで、かゆみを局所的に抑えることができます。冷感成分(メントールなど)が配合されているものは、冷却効果によってかゆみを和らげる効果もあります。
薬を使う際の注意点として、症状が改善してきたら徐々に使用頻度を減らし、不必要に長期間使い続けないことが大切です。また、子どもや妊婦・授乳中の方は使用できない成分が含まれているものもあるため、必ず添付文書を確認するか、薬剤師に相談してから使用してください。
Q. 掻きむしりがブヨの刺され跡を悪化させる理由は?
ブヨの刺し傷を掻きむしると、爪が皮膚をさらに傷つけて真皮層にまでダメージが及び、ケロイドや肥厚性瘢痕が残るリスクが高まります。また掻く刺激でヒスタミンが追加放出されかゆみと炎症が悪循環し、メラニン色素の産生も促進されるため、色素沈着がより濃く広範囲になる原因となります。
📝 掻きむしりが跡を悪化させる理由
ブヨの虫刺されによる強烈なかゆみに耐えきれず、つい掻いてしまうことは非常によくあることです。しかし、掻きむしることは様々な点で症状を悪化させ、跡が残る原因になります。
まず、掻くことで皮膚がさらに傷つきます。ブヨに刺された皮膚はすでにダメージを受けており、そこをさらに爪で引っ掻くと、表皮が破れて真皮層にまでダメージが及ぶことがあります。真皮層に傷が到達すると、修復の過程でケロイドや肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)と呼ばれる盛り上がった傷跡が残るリスクが高まります。
次に、掻くことで炎症が悪化します。皮膚を掻くと刺激によってヒスタミンなどの炎症物質がさらに放出され、かゆみと炎症が悪化するという悪循環に陥ります。「掻けば掻くほどかゆくなる」という経験をした方は多いと思いますが、これはまさにこのメカニズムによるものです。
また、掻くことで細菌感染のリスクが高まります。爪の間には多くの細菌が存在しており、傷口から細菌が侵入すると「とびひ(伝染性膿痂疹)」や蜂窩織炎(ほうかしきえん)などの感染症を引き起こす可能性があります。これらは適切な抗菌薬での治療が必要となり、さらに深刻な傷跡につながることがあります。
炎症後の皮膚では、メラニン色素を産生するメラノサイトが過剰に活性化されます。掻くという物理的刺激がこの活性化をさらに促進するため、色素沈着がより濃く、より広い範囲に生じることになります。
かゆみを抑えるためには、薬を適切に使用することが最も効果的です。冷却や軽く叩くことも一時的なかゆみの緩和に役立ちます。子どもの場合は特に、知らないうちに掻いてしまうことが多いため、爪を短く切っておくことや、患部をガーゼで覆うことが有効です。
💡 色素沈着やケロイドになってしまったら
ブヨの虫刺され跡が色素沈着やケロイドとして残ってしまった場合、自然に消えるのを待つ方法と、医療機関での治療を受ける方法があります。
炎症後色素沈着は、適切なケアを続けることで時間とともに薄くなることが多いです。一般的には数ヶ月から1年程度かけて自然に改善することが期待できます。ただし、紫外線への暴露を避けることと、患部を傷つけないことが回復の大前提です。
色素沈着に対して市販されているものとして、ビタミンC誘導体やトラネキサム酸を含む美白化粧品があります。これらはメラニンの産生を抑制する働きがあり、長期間使用することで色素沈着を薄くする効果が期待できます。ただし、劇的な改善を期待するものではなく、時間がかかります。
医療機関では、より効果的な治療が受けられます。ハイドロキノンは美白効果が高い成分として知られており、皮膚科で処方される外用薬として使用されています。メラニンの合成を阻害する効果があり、色素沈着の改善に有効です。ただし、刺激性があるため、使用方法は医師の指示に従う必要があります。
レーザー治療も色素沈着の改善に有効な選択肢のひとつです。フラクショナルレーザーやQスイッチレーザーなどを用いることで、メラニン色素を分解し、色素沈着を改善する効果が期待できます。肌の状態や色素沈着の程度によって適切なレーザーの種類や施術回数が異なるため、専門医に相談することが大切です。
ケロイドや肥厚性瘢痕が形成された場合は、医療機関での対応が必要です。ステロイドの局所注射は、盛り上がった傷跡を平らにする効果があります。また、シリコンジェルシートを患部に当て続けることで、傷跡を柔らかくする効果が期待できます。重度のケロイドの場合は、手術による切除後に放射線治療を組み合わせる方法も選択肢のひとつです。
Q. ブヨの刺され跡の色素沈着は医療機関で治せるか?
医療機関ではブヨの刺され跡による色素沈着に対し、メラニン合成を阻害するハイドロキノン外用薬の処方や、フラクショナルレーザー・Qスイッチレーザーによるメラニン色素の分解治療が選択肢として挙げられます。アイシークリニックでも色素沈着やケロイドの相談を受け付けており、肌の状態に応じた治療を提案しています。
✨ 医療機関を受診すべきサインとは
ブヨの虫刺されは多くの場合、適切なケアによって自然に改善します。しかし、以下のような症状が見られる場合は、速やかに医療機関を受診することをお勧めします。
一つ目は、アレルギー反応が強い場合です。刺された部位の腫れが非常に広範囲にわたる場合や、全身に蕁麻疹が出る場合、喉や口の中が腫れる感覚がある場合、呼吸が苦しい場合などは、アナフィラキシーの可能性があります。これは生命に関わる緊急事態であるため、すぐに救急医療機関を受診してください。
二つ目は、感染が疑われる場合です。患部が赤く熱を持ち、ズキズキと痛む場合、膿が出てくる場合、腫れが日に日に広がる場合、リンパ節が腫れる場合、発熱がある場合などは、細菌感染が起きている可能性があります。このような状態は放置すると感染が広がり、重篤な状態になる恐れがあるため、早めの受診が必要です。
三つ目は、症状が長引く場合です。一般的には1〜2週間程度で症状が改善してきますが、それ以上かゆみや腫れが続く場合、市販薬を使用しても改善が見られない場合は、皮膚科を受診して適切な治療を受けましょう。より強いステロイド外用薬や内服薬が必要なこともあります。
四つ目は、傷跡が気になる場合です。色素沈着が濃く残っている、ケロイドのような盛り上がりができている、傷跡が目立つ部位にあってコンプレックスになっているなどの場合は、皮膚科や美容皮膚科に相談することで、改善のための治療を受けられます。
子どもの場合は、大人よりも皮膚が薄くデリケートであるため、症状が重くなりやすい傾向があります。高熱や激しい腫れ、ひどいかゆみが続く場合は、早めに小児科や皮膚科を受診するようにしましょう。
アイシークリニック池袋院では、虫刺され跡の色素沈着やケロイドなどに対する相談を受け付けています。症状が気になる方は、専門医に相談することをお勧めします。
📌 ブヨに刺されないための予防策

ブヨの虫刺されは、適切な予防策を取ることである程度防ぐことができます。アウトドア活動を安全に楽しむためにも、ブヨに刺されないための知識を身につけておきましょう。
服装による対策が最も基本的な予防策です。ブヨは皮膚を露出している部分を刺すため、できるだけ肌の露出を減らすことが重要です。長袖・長ズボンを着用し、靴下を履いて足首まで覆うようにしましょう。首元も衣類で覆うか、タオルを巻くなどして保護してください。白や明るい色の衣類はブヨを引き寄せにくいとも言われており、カラー選択の参考にすると良いでしょう。
虫よけ剤の使用も効果的です。市販の虫よけ剤には、ディート(DEET)やイカリジン(ピカリジン)を有効成分として含むものがあります。これらの成分はブヨに対しても忌避効果があるとされています。使用する際は、製品の説明書に従って適切な量を使用し、目や口などの粘膜には使用しないようにしてください。また、子どもに使用する場合は、年齢に応じた製品を選ぶことが重要です。
活動する時間帯や場所を考慮することも有効です。ブヨが最も活発に活動するのは早朝と夕方であるため、この時間帯はなるべく外での活動を避けるか、特に厳重な対策を取るようにしましょう。また、ブヨは風が強い場所では活動しにくいため、川沿いや林の中などの風通しの悪い場所では特に注意が必要です。
強い香りのする化粧品や香水は、虫を引き寄せる可能性があるため、アウトドアでは控えることをお勧めします。逆に、ラベンダーやユーカリ、シトロネラなどの精油(エッセンシャルオイル)は虫よけ効果があると言われており、自然派の虫よけとして活用されることもあります。ただし、精油は直接皮膚に塗ると刺激になることがあるため、適切に希釈して使用してください。
ブヨが多い地域への外出前には、刺された場合の応急処置グッズを準備しておきましょう。虫刺され薬、ポイズンリムーバー、冷却シートや保冷剤、清潔なガーゼや包帯などをまとめて携行すると安心です。また、アレルギー反応が強い方は、万が一の際に備えてアレルギーの既往や飲んでいる薬などを家族や同行者に伝えておくことも大切です。
テントやキャンプで野外に宿泊する場合は、蚊帳を使用したり、テントのドアや窓をしっかりと閉めたりすることでブヨの侵入を防ぎましょう。薪や炭を焼くキャンプファイアの煙は虫を寄せ付けない効果がありますが、この効果だけに頼るのは危険です。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では、アウトドアシーズンになるとブヨ刺されによるかゆみや腫れ、そして長引く色素沈着のご相談が増える傾向にあります。ブヨは蚊と異なり皮膚を噛み切って傷を作るため炎症反応が強く、市販薬だけでは対処しきれないケースも少なくありませんので、症状が長引いたり跡が気になる場合はどうぞ遠慮なくご相談ください。患者様お一人おひとりの肌の状態に合わせて、適切な外用薬の処方からレーザー治療まで、丁寧にご提案いたします。」
🎯 よくある質問
刺された直後は、患部を流水と石鹸でよく洗い流してください。その後、保冷剤や冷たいタオルで15〜20分程度冷やし、抗ヒスタミン成分やステロイド成分を含む市販の虫刺され薬を早めに塗ることが大切です。ポイズンリムーバーがあれば、刺された直後に使用することで唾液成分を吸い出す効果も期待できます。
ブヨは皮膚を噛み切って傷をつけるため、蚊より皮膚へのダメージが大きく、強い炎症反応が起こります。この炎症がメラニン色素の過剰産生を引き起こし「炎症後色素沈着」として跡が残りやすくなります。さらに、強いかゆみによる掻きむしりが炎症を悪化させ、色素沈着をより濃くする原因にもなります。
掻きむしりは跡を残す大きな原因となるため、できる限り避けてください。掻くことで皮膚がさらに傷つき炎症が悪化するほか、細菌感染のリスクも高まります。かゆみを感じたときは、軽く叩く・冷やす・薬を塗るといった方法で対処しましょう。就寝時は患部をガーゼで覆うと、無意識に掻くことを防げます。
はい、医療機関では市販薬より効果的な治療が受けられます。皮膚科ではハイドロキノンなどの美白外用薬の処方のほか、フラクショナルレーザーやQスイッチレーザーによってメラニン色素を分解する治療も選択肢のひとつです。アイシークリニックでも色素沈着やケロイドのご相談を受け付けており、肌の状態に合わせた治療をご提案しています。
以下の場合は速やかに医療機関を受診してください。①喉の腫れ・呼吸困難・全身の蕁麻疹など、アナフィラキシーが疑われる症状(救急受診)②患部から膿が出る・発熱・腫れが広がるなど、細菌感染が疑われる場合③市販薬を使用しても1〜2週間以上症状が改善しない場合。子どもは症状が重くなりやすいため、早めの受診をお勧めします。
📋 まとめ
ブヨの虫刺されは、蚊と比べて症状が重く、跡が残りやすいという特徴があります。その原因として、ブヨが皮膚を噛み切って傷つける刺し方、強力なアレルギー反応を引き起こす唾液成分、そして我慢できないほどの強いかゆみによる掻きむしりが挙げられます。
刺された直後は、流水で洗浄し、早めに薬を塗って冷やすことが大切です。かゆみが強くてもできるだけ掻かないようにし、水疱は自分で破かないようにしましょう。紫外線を避けること、保湿ケアを続けること、バランスの取れた食事と十分な睡眠で免疫力を高めることも回復を助けます。
症状が長引く場合、感染が疑われる場合、アナフィラキシーの症状が出た場合は速やかに医療機関を受診してください。また、虫刺され跡の色素沈着やケロイドが気になる場合も、皮膚科や美容皮膚科への相談をお勧めします。適切な医療的介入によって、傷跡の改善が期待できます。
アウトドアでの活動を安全に楽しむためにも、ブヨに刺されないための予防策をしっかりと実践することが重要です。服装の工夫、虫よけ剤の使用、活動時間帯の調整などを組み合わせることで、ブヨのリスクを大幅に減らすことができます。万が一刺されてしまった場合でも、正しい知識と適切なケアで症状の悪化を防ぎ、跡を残さないようにしましょう。
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📚 参考文献
- 日本皮膚科学会 – 炎症後色素沈着・ケロイド・肥厚性瘢痕の診断基準や治療方針、ステロイド外用薬の適正使用に関するガイドライン情報
- 国立感染症研究所 – ブヨ(ブユ)を含む吸血昆虫の生態・分布・刺咬症の病態およびアレルギー反応・アナフィラキシーに関する感染症学的情報
- 厚生労働省 – アウトドア活動における虫刺され予防策・ディート等虫よけ剤の安全な使用方法および応急処置に関する公式ガイダンス
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務