
夏から秋にかけて、気づかないうちに肌に赤みやかゆみが生じ、「もしかしてダニに刺された?」と疑った経験はありませんか。ダニ刺されは虫刺されのなかでも症状が長引きやすく、かゆみが激しいために日常生活に支障をきたすこともあります。また、ダニの種類によっては感染症を引き起こす危険なものも存在するため、正しい知識を持っておくことがとても重要です。この記事では、ダニ刺されの特徴的な症状や蚊・ノミなど他の虫刺されとの見分け方、自宅でできる対処法と病院を受診すべきタイミングについてわかりやすく解説します。
目次
- ダニとはどんな生き物?家庭に潜む種類を知ろう
- ダニ刺されの典型的な症状とその特徴
- ダニの種類別にみる症状の違い
- 蚊・ノミ・トコジラミとの見分け方
- ダニ刺されが起こりやすい場所と時期
- 自宅でできるダニ刺されの応急処置と対処法
- こんな症状が出たら病院へ:受診の目安
- ダニが媒介する感染症について
- ダニ刺されを予防するための日常的な対策
- まとめ
この記事のポイント
ダニ刺されは刺後数時間〜1日以上でかゆみが出現し1〜2週間持続する。マダニ刺傷後の発熱・発疹はSFTS等の重篤な感染症を示す可能性があり速やかな受診が必要。予防には布団の乾燥機使用・室内湿度50%以下の維持・野外活動後の全身確認が有効。
🎯 ダニとはどんな生き物?家庭に潜む種類を知ろう
ダニは昆虫ではなく、クモやサソリと同じ「クモ綱」に属する節足動物です。世界には5万種以上のダニが存在するとされており、そのうち人間を刺したり、健康に影響を与えたりするものはごく一部です。しかし、私たちの生活空間にはさまざまな種類のダニが生息しており、無意識のうちに被害を受けていることも少なくありません。
家庭内でとくに問題となるダニには以下のような種類があります。
まず、ヒョウヒダニ(チリダニ)は日本の家庭でもっとも多く見られるダニで、体長は0.2〜0.5mm程度と非常に小さく、肉眼ではほとんど見えません。人を直接刺すことはありませんが、その死骸や糞がアレルゲンとなってアレルギー性鼻炎や気管支喘息を引き起こします。カーペット、布団、ソファなどに多く生息しています。
次に、ツメダニは体長0.5〜1mm程度で、ヒョウヒダニなどをエサとする肉食性のダニです。人を刺すことがあり、強いかゆみを引き起こします。夏場から秋にかけて繁殖が活発になり、布団や畳の上でじっとしているときに刺されることが多いです。
イエダニは体長0.6〜1mm程度で、ネズミに寄生するダニです。ネズミが家屋内に侵入した際に持ち込まれることが多く、ネズミの血を吸いますが、ネズミがいなくなると人を刺すこともあります。腹部や脇の下など皮膚の薄い部分を好んで刺す傾向があります。
マダニは体長2〜8mm(吸血後は1cm以上になることも)と比較的大きく、野山や草むらに生息しています。人やペットに寄生して長時間にわたり吸血し、さまざまな感染症を媒介するため、とくに注意が必要です。
Q. ダニ刺されの症状は蚊刺されとどう違う?
ダニ刺されは刺された直後には気づきにくく、数時間〜1日以上経過してから強いかゆみが現れる遅延型反応が特徴です。症状は1〜2週間持続し、胸・腹・背中などの体幹部に出やすい点も、刺直後からかゆみが生じ数日で治まる蚊刺されとの大きな違いです。
📋 ダニ刺されの典型的な症状とその特徴
ダニに刺された場合、どのような症状が現れるのでしょうか。種類によって異なる部分もありますが、一般的に共通して見られる症状と特徴があります。
ダニ刺されで最も特徴的な症状は、強いかゆみです。刺された直後にはほとんど気づかないことが多く、数時間から1日以上経ってからかゆみが出てくることがあります。これはダニが吸血の際に注入する唾液成分に対するアレルギー反応(遅延型過敏症)が原因です。かゆみは非常に強く、掻き続けてしまうことで皮膚に傷をつけ、二次感染を起こすこともあります。
皮膚の症状としては、赤みを帯びた小さな丘疹(ブツブツ)が現れ、中心に小さな水疱(水ぶくれ)ができることもあります。刺された部分の周囲が赤く腫れ上がることもあり、皮膚が硬くなって触れると痛みを感じることもあります。
症状が出るまでの時間については、ダニの種類によって異なります。ツメダニやイエダニの場合は刺されてから数時間後にかゆみが出始め、翌日以降に症状がピークに達することが多いです。マダニの場合は吸血中は痛みをほとんど感じず、離れた後に症状が現れます。
症状の持続期間も長いのがダニ刺されの特徴で、蚊に刺された場合と比べると数日から2週間程度症状が続くことがあります。強くかいてしまうと色素沈着が残ったり、傷跡が残ったりすることもあるため、なるべくかかないようにすることが重要です。
刺される部位についても特徴があります。ツメダニは布団の中などで肌が接触する部分、特に体幹(胴体)を刺すことが多く、腕や足よりも胸や腹部、背中などに症状が見られることが多いです。一方、イエダニは柔らかい皮膚がある部分(脇の下、胸部、腹部、太ももの内側など)を好みます。
💊 ダニの種類別にみる症状の違い
ダニの種類によって症状には違いがあるため、それぞれの特徴を理解しておくことは、適切な対処をするうえでとても役立ちます。
ツメダニによる刺されでは、赤い小さな丘疹が主な症状で、強いかゆみを伴います。複数箇所を刺されることが多く、布団や畳に接する部分に症状が出やすいです。朝起きたときに気づくことが多く、就寝中に刺されていることがほとんどです。症状は数日から1週間程度続きます。
イエダニによる刺されは、ツメダニよりもやや大きな赤みや腫れが見られることがあります。主に夜間に刺されることが多く、体の柔らかい部分に集中して症状が現れます。ネズミが家の中に侵入していることを示すサインにもなります。かゆみは非常に強く、掻き破ってしまうことで二次感染を起こしやすい傾向があります。
マダニによる刺されは、他のダニとは異なり、吸血時間が非常に長く(数日間にわたることもある)、刺さったまま皮膚に付着しているのが発見されることがあります。マダニは頭部を皮膚に食い込ませて吸血するため、無理に引き抜こうとすると頭部が残ってしまう危険があります。吸血された部分は赤く腫れ、かゆみや痛みが生じることがあります。とくに注意すべきは、マダニが媒介するさまざまな感染症で、刺された後に発熱や発疹などの症状が出た場合は速やかに医療機関を受診する必要があります。
フタトゲチマダニやヤマトマダニといった種類のマダニに刺された場合、まれに「ダニ麻痺」と呼ばれる神経症状を引き起こすことがあります。これはダニの唾液中に含まれる神経毒素によるもので、脱力感や歩行困難などの症状が現れることがあります。
Q. マダニが皮膚に刺さったままのとき自分で抜いてもいい?
マダニを自分で無理に引き抜くと、頭部が皮膚内に残ったり体液が逆流して感染リスクが高まるため、できる限り医療機関で適切な除去処置を受けることが推奨されます。アルコールや熱を当てる民間療法も体液逆流の危険があるため禁忌です。除去後も数週間は体調変化に注意が必要です。
🏥 蚊・ノミ・トコジラミとの見分け方
ダニ刺されと蚊・ノミ・トコジラミなど他の虫刺されを見分けることは、適切な対処をするために重要です。それぞれの特徴を比較してみましょう。
蚊に刺された場合は、刺された直後から赤みとかゆみが出始めることが多く、数時間以内に症状がピークに達します。かゆみは強いものの数日で治まることが多く、皮膚の症状も比較的軽度です。露出している腕や足、首などを刺されることが多く、屋外でも屋内でも発生します。
これに対してダニ刺されは、刺された直後には気づかないことがほとんどで、症状が出るまでに時間がかかります(遅延型反応)。かゆみが非常に強く、症状の持続期間も1週間から2週間と長いのが特徴です。体幹部に症状が出ることが多い点も蚊刺されとは異なります。
ノミに刺された場合は、ダニと同様に強いかゆみが特徴ですが、足首から膝にかけての部位を刺されることが多いです。これはノミが跳躍して人に付着するため、低い位置にある部分を刺しやすいためです。ペットを飼っている家庭での発生が多く、複数箇所を連続して刺されることがあります(「朝食・昼食・夕食」と呼ばれる直線状の刺し跡が特徴的)。
トコジラミ(南京虫)に刺された場合は、就寝中に刺されることが多く、朝起きたときに症状に気づきます。刺し跡が一列や集中して現れることが多く、かゆみは強烈です。ホテルや旅行先での被害が多く、旅行後に症状が出た場合はトコジラミの可能性を疑います。トコジラミは体長5〜8mmと肉眼で確認できる大きさで、布団の縫い目やマットレスの隙間などに隠れています。
症状の現れ方だけで虫の種類を特定することは難しいため、生息環境や発生した状況(屋外か屋内か、旅行後かどうかなど)も合わせて考えることが鑑別の手助けになります。判断がつかない場合は皮膚科を受診することをおすすめします。
⚠️ ダニ刺されが起こりやすい場所と時期
ダニが好む環境や繁殖しやすい条件を知ることで、刺されるリスクを減らすことができます。
屋内でダニが繁殖しやすいのは、高温多湿な環境です。日本では梅雨から夏にかけて(6月〜8月)がダニの繁殖ピークで、その後秋口(9月〜10月)にかけて死骸や糞が増えるため、アレルギー症状が悪化しやすい時期と重なります。ツメダニによる刺害のピークも夏から秋にかけてで、とくに8月から9月が最も被害が多いとされています。
ダニが多く生息する場所としては、布団・枕・マットレス(皮膚のフケや汚れがエサになる)、カーペット・ラグ・畳(繊維の隙間に潜む)、ソファやぬいぐるみ(長期間掃除が行き届きにくい)などが挙げられます。また、積み上げられた衣類や段ボール箱の中にも生息していることがあります。
屋外ではマダニに注意が必要で、山や森林、草むらなどに生息しています。春から秋にかけて活動が活発になり、とくに4月〜10月が被害の多い時期です。ハイキングやキャンプ、草刈りなどの作業後にマダニが体に付着していないか確認することが重要です。
イエダニは年間を通じて発生しますが、ネズミの繁殖と連動して春から夏にかけて増えやすいとされています。マンションや一戸建てにかかわらず、ネズミが侵入した形跡がある場合はイエダニの存在にも注意が必要です。
Q. マダニに刺された後に発熱したら何が疑われる?
マダニ刺傷後の発熱・発疹・頭痛・倦怠感などの全身症状は、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)や日本紅斑熱、ライム病などのダニ媒介感染症の可能性があります。SFTSは致死率が6〜30%と高く、有効なワクチンがないため、症状が現れた際は市販薬での様子見をせず速やかに医療機関を受診してください。
🔍 自宅でできるダニ刺されの応急処置と対処法
ダニに刺されたと気づいたとき、自宅でできる応急処置と対処法について説明します。
まず、刺された部分を清潔にすることが大切です。流水と石鹸で優しく洗い、清潔なタオルで拭いてください。患部をかきむしってしまうと、雑菌が傷口に入り込んで感染症を起こすリスクが高まるため、なるべくかかないようにしましょう。
かゆみを抑えるために、市販のステロイド含有外用薬(弱〜中程度の強さのもの)を使用することが効果的です。ヒドロコルチゾンやプレドニゾロンなどを含む市販薬が薬局で入手できます。かゆみが強い場合は、抗ヒスタミン薬の内服も効果があります。市販の抗アレルギー薬(セチリジン、ロラタジンなど)を指示通りに服用してください。
患部を冷やすことも一時的なかゆみ緩和に効果的です。冷たいタオルや保冷剤(直接皮膚に当てず、タオルで包む)で冷やすと、かゆみや腫れが和らぎます。ただし、長時間の冷却は避けてください。
マダニが皮膚に刺さったまま付着している場合は、特別な対処が必要です。自分で無理やり引き抜こうとすると、マダニの頭部が皮膚の中に残ってしまったり、体液が逆流して感染リスクが高まったりします。マダニが付着していることに気づいたら、できる限り医療機関を受診して適切な除去処置を受けることを強くおすすめします。
どうしても自分で除去しなければならない場合は、先の細いピンセットをマダニの頭部(皮膚に食い込んでいる部分)のできるだけ近くにあて、ゆっくりと垂直に引き抜くようにしましょう。民間療法として行われることがある、熱やアルコールを当てる方法は、マダニが体液を逆流させる危険があるため絶対に行わないでください。除去後は患部を消毒し、数週間は体調の変化に注意が必要です。
症状が軽度の場合は上記の対処で改善することが多いですが、症状が強かったり長引いたりする場合は皮膚科への受診をおすすめします。
📝 こんな症状が出たら病院へ:受診の目安
自宅での処置で対応できる場合もありますが、以下のような状況では速やかに医療機関を受診することが重要です。
刺された部位の症状が強い場合、具体的には患部が大きく腫れている、赤みが広がっている、膿が出ている、熱感が強い、痛みが激しいなどの症状は、二次感染や強いアレルギー反応の可能性があります。これらの症状は自己処置で改善しないため、皮膚科での診察が必要です。
全身症状が出ている場合も要注意です。発熱、悪寒、頭痛、筋肉痛、関節痛などの症状が刺された後に現れた場合は、ダニが媒介する感染症を発症している可能性があります。とくにマダニに刺された後にこのような症状が出た場合は、重篤な感染症の可能性があるため、すぐに医療機関を受診してください。
アレルギー反応が強く出ている場合も緊急性があります。じんましん(蕁麻疹)が全身に広がる、顔が腫れる、呼吸が苦しい、めまいや意識が遠くなるなどの症状はアナフィラキシーショックの可能性があり、救急対応が必要です。
市販薬で改善しない場合も受診の目安です。1週間程度市販薬を使用してもかゆみや皮膚症状が改善しない場合、または症状が悪化している場合は皮膚科を受診しましょう。医師から適切な強さのステロイド外用薬や抗ヒスタミン薬が処方されます。
小さな子どもや高齢者、アレルギー疾患のある方は症状が重くなりやすいため、早めの受診を心がけてください。皮膚科では皮膚の状態を診て、必要に応じて血液検査や培養検査などを行い、適切な治療を提供します。
Q. 家庭内でダニ刺されを予防する効果的な方法は?
屋内ダニ予防には3つの対策が有効です。①週2〜3回の掃除機がけで布団・カーペットのダニを除去する、②布団を50℃以上の乾燥機に20〜30分かけてダニを死滅させる、③エアコンや除湿機で室内湿度を50%以下に保ちダニの繁殖を抑制する、の組み合わせが効果的です。
💡 ダニが媒介する感染症について
ダニ刺されで特に警戒すべきことの一つが、ダニが媒介する感染症です。とくにマダニが媒介する疾患は重篤化することがあるため、十分な注意が必要です。
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は、SFTSウイルスに感染したマダニに刺されることで発症する感染症です。日本では2013年に初めて確認されて以来、毎年患者が報告されています。発症すると発熱(38〜40℃)、消化器症状(嘔吐、下痢、腹痛)、血小板の減少、白血球の減少などが現れます。致死率は6〜30%とされており、とくに高齢者や免疫が低下している方では重症化しやすいです。現時点では有効なワクチンや特効薬がないため、予防が非常に重要です。
日本紅斑熱は、リケッチア属の細菌に感染したマダニに刺されることで発症します。主な症状は発熱、頭痛、発疹(顔面・手のひら・足の裏を含む全身に広がる)で、刺し口(刺された部分が黒色痂皮になる)が特徴的です。抗菌薬(テトラサイクリン系など)が有効で、早期治療で回復しますが、治療が遅れると重症化することがあります。
ライム病は、ボレリアと呼ばれる細菌を保有するマダニ(主にシュルツェマダニ)に刺されることで感染します。感染初期には刺し口の周囲に特徴的な皮膚症状(遊走性紅斑:赤い輪状の発疹が広がる)が現れることがあります。進行すると関節炎、心疾患、神経症状などを引き起こすことがあります。抗菌薬による治療が有効です。日本での発生は欧米と比べて少ないですが、山間部での感染例が報告されています。
ダニ媒介性脳炎は、ウイルスを持つマダニに刺されることで感染するウイルス性脳炎です。日本では北海道で感染例が報告されており、インフルエンザ様症状に続いて脳炎症状(頭痛、発熱、意識障害など)が現れることがあります。
ツツガムシ病はダニではなくツツガムシ(トロンビクリダエ科の幼虫)に刺されることで発症しますが、広い意味でダニ類による感染症として分類されることがあります。発熱、発疹、刺し口(黒色痂皮)が主な症状で、テトラサイクリン系抗菌薬が有効です。日本各地で発生しており、秋(10〜11月)と春(3〜5月)に患者が増える傾向があります。
これらの感染症に共通して重要なのは、マダニに刺された後に発熱や発疹、倦怠感などの症状が出た場合は、すぐに医療機関を受診し、マダニに刺された可能性があることを医師に伝えることです。
✨ ダニ刺されを予防するための日常的な対策

ダニ刺されを予防するためには、屋内での対策と屋外での対策に分けて考えることが効果的です。
屋内でのダニ対策についてご説明します。まず、定期的な掃除機がけが基本です。カーペットや畳、ソファなどはダニが生息しやすいため、週2〜3回は丁寧に掃除機をかけましょう。掃除機のフィルターを通じてダニの死骸や糞を吸い取ることで、アレルゲンの量を減らすことができます。
布団の管理も重要です。布団は定期的に天日干しをするか、乾燥機にかけましょう。ダニは50℃以上の熱に弱く、20〜30分の乾燥機使用でほとんどのダニを死滅させることができます。天日干しだけでは布団の内部まで温度が上がりにくいため、乾燥機と組み合わせると効果的です。布団乾燥機もダニ対策に有効です。また、防ダニ加工のシーツやカバーを使用することもおすすめです。
室内の湿度管理も効果的です。ダニは温度20〜30℃、湿度60〜80%の環境を好みます。エアコンや除湿機を使って室内の湿度を50%以下に保つことで、ダニの繁殖を抑制できます。換気を積極的に行うことも重要です。
ネズミを家に侵入させないことも、イエダニ対策として重要です。ネズミの侵入経路となりやすい隙間や穴を塞ぎ、食べ物を密閉容器に保管するなどの対策を取りましょう。
屋外でのマダニ対策についてもご説明します。山や草むらに行く際は、長袖・長ズボンを着用し、なるべく肌の露出を少なくしてください。靴下や長ズボンの裾をしっかりと重ね、ダニが入り込めないようにしましょう。明るい色の服を着ると、マダニが付着した場合に発見しやすくなります。
虫除けスプレーも効果的です。ディート(DEET)やイカリジン(ピカリジン)を含む虫除け製品は、マダニに対しても一定の効果があるとされています。露出した皮膚や衣服に適切に使用しましょう。ただし、子どもへの使用には年齢制限があるため、製品の説明書をよく確認してください。
帰宅後の確認も忘れずに行いましょう。山や草むらから戻ったら、入浴前に全身をくまなくチェックし、マダニが付着していないか確認してください。マダニは体に付着した後、皮膚の薄い部分(耳の後ろ、ひじの内側、ひざの裏、わき、鼠径部など)に移動して吸血することが多いため、これらの部位を重点的に確認します。衣服はすぐに洗濯し、必要に応じて乾燥機にかけると安心です。
ペットを飼っている場合は、ペットのダニ対策も重要です。定期的なグルーミングや動物病院でのダニ予防薬の使用により、ペットを通じたダニの持ち込みを防ぎましょう。
ダニ刺されを繰り返す方や、ダニアレルギーが疑われる方には、アレルゲン免疫療法(減感作療法)という治療法もあります。これはダニのアレルゲンを少量から徐々に体に慣らしていくことで、アレルギー反応を軽減させる治療法で、長期的な改善が期待できます。アレルギー科や皮膚科で相談してみましょう。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「蚊に刺されたと思っていたが、症状が長引いて心配になった」とおっしゃる方も少なくありません。ダニ刺されは症状が出るまでに時間がかかることが多く、かゆみが強いためついかいてしまいがちですが、二次感染を防ぐためにもできるだけかかないようにしていただくことが大切です。特に野外活動後に発熱や発疹などの全身症状を伴う場合はマダニが媒介する感染症の可能性もありますので、市販薬での様子見に頼らず、早めに専門の医療機関をご受診ください。」
📌 よくある質問
主な違いは症状が出るまでの時間と持続期間です。蚊は刺された直後からかゆみが出て数日で治まりますが、ダニ刺されは数時間〜1日以上経ってからかゆみが現れ、1〜2週間続くことがあります。また、ダニ刺されは体幹部(胸・腹・背中)に症状が出やすい点も特徴です。
患部を流水と石鹸で清潔に洗い、市販のステロイド含有外用薬を使用するのが基本です。かゆみが強い場合は抗ヒスタミン薬の内服も効果的です。また、冷たいタオルや保冷剤(タオルで包んで使用)で患部を冷やすと一時的に症状が和らぎます。かきむしると二次感染を起こすため注意してください。
自分で無理に引き抜こうとすると、マダニの頭部が皮膚内に残ったり体液が逆流して感染リスクが高まるため、できる限り医療機関を受診して適切な除去処置を受けてください。アルコールや熱を当てる民間療法は体液逆流の危険があるため絶対に行わないでください。除去後も数週間は体調の変化に注意が必要です。
以下の場合は早めに受診してください。①患部の腫れや赤みが強い・膿が出ている、②市販薬を1週間使用しても改善しない、③マダニに刺された後に発熱・発疹・頭痛・倦怠感などの全身症状が現れた場合です。特に全身症状はダニが媒介する感染症の可能性があるため、当院などの皮膚科に速やかにご相談ください。
主に3つの対策が有効です。①週2〜3回の掃除機がけで布団・カーペット・ソファのダニを除去する、②布団を乾燥機(50℃以上・20〜30分)にかけて定期的にダニを死滅させる、③エアコンや除湿機で室内湿度を50%以下に保ちダニの繁殖を抑制する、です。これらを組み合わせることで屋内のダニ被害を効果的に減らせます。
🎯 まとめ
ダニ刺されは、強いかゆみや赤みが長く続くという特徴があります。蚊などの他の虫刺されと比べて症状が出るまでに時間がかかり、かゆみの持続期間も長いため、気づかないうちに悪化させてしまうことも少なくありません。また、マダニが媒介する感染症(重症熱性血小板減少症候群・日本紅斑熱・ライム病など)は重篤化することがあるため、野外活動後に発熱や発疹などの症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診することが大切です。
日常生活においては、定期的な掃除と布団の管理で屋内のダニを減らすこと、野外活動時には適切な服装と虫除けで身を守ること、帰宅後は全身をチェックすることが予防の基本となります。ダニ刺されが疑われる症状が出た場合は、患部を清潔にし、かきむしらないようにしながら、市販薬で対処するのが基本です。症状が強い場合や改善しない場合は、アイシークリニック池袋院などの皮膚科を早めに受診し、適切な治療を受けることをおすすめします。正しい知識とケアで、ダニ刺されの被害を最小限に抑えましょう。
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📚 参考文献
- 厚生労働省 – マダニ対策や重症熱性血小板減少症候群(SFTS)などダニ媒介感染症に関する予防・注意喚起情報、および家庭内ダニ対策の基本的指針
- 国立感染症研究所 – SFTS・日本紅斑熱・ライム病・ダニ媒介性脳炎・ツツガムシ病など、ダニが媒介する各種感染症の疫学データ・症状・発生動向に関する詳細情報
- 日本皮膚科学会 – ダニ刺されの皮膚症状・鑑別診断(蚊・ノミ・トコジラミとの比較)、ステロイド外用薬や抗ヒスタミン薬を用いた標準的治療法、およびアレルゲン免疫療法に関する専門的指針
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務