
ふとした瞬間に頭皮を触ったら、赤いできものを発見した——そんな経験をしたことがある方は少なくないでしょう。頭皮は髪の毛で覆われているため、鏡で確認しにくく、気づかないうちにできものが大きくなっていたというケースも珍しくありません。「痛みがないから放っておいても大丈夫かな」「ニキビと同じで自然に治るかも」と考えてしまいがちですが、頭皮の赤いできものには早めに皮膚科を受診すべきものも含まれています。この記事では、頭皮に赤いできものができる主な原因から症状の特徴、自宅でできるケア方法、そして放置した場合のリスクまでを幅広く解説していきます。
✅ 放置するとどうなるかのリスク
✅ 今すぐできるセルフケア方法
✅ 受診すべき症状のチェックリスト
- 😰 ニキビだと思って放置→実は粉瘤で手術が必要に
- 😰 炎症が広がって脱毛が止まらなくなった
- 😰 帯状疱疹を見逃して後遺症が残った
目次
- 頭皮に赤いできものができる主な原因
- 毛嚢炎(もうのうえん)とは
- 脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)とは
- 頭皮ニキビの特徴と見分け方
- 粉瘤(ふんりゅう)が頭皮にできた場合
- その他に考えられる疾患
- 頭皮の赤いできものを放置するリスク
- 自宅でできるセルフケアと予防法
- こんな症状がある場合は早めに受診を
- 皮膚科・クリニックでの主な治療法
- まとめ
この記事のポイント
頭皮の赤いできものは毛嚢炎・脂漏性皮膚炎・粉瘤・帯状疱疹など原因が多様で、放置すると瘢痕性脱毛症などのリスクがある。2週間以上続く場合や強い痛み・腫れがある場合は皮膚科への早期受診が推奨される。
💡 頭皮に赤いできものができる主な原因
頭皮に赤いできものができる原因は一つではなく、生活習慣・皮脂の分泌量・細菌やカビの繁殖・ストレスなど、さまざまな要因が複雑に絡み合っています。まずは大きな分類として、どのような原因が考えられるかを整理してみましょう。
頭皮は顔の皮膚と同様に皮脂腺が発達しており、1日に分泌される皮脂量は顔よりも多いと言われています。皮脂が毛穴に詰まると、雑菌が繁殖しやすい環境が整い、炎症が起きてできものとして現れます。また、免疫機能の低下やホルモンバランスの乱れも、頭皮トラブルを引き起こす一因となります。
主な原因としては、以下のようなものが挙げられます。細菌感染による毛嚢炎、皮脂分泌の異常と真菌(カビ)の繁殖による脂漏性皮膚炎、毛穴の詰まりによる頭皮ニキビ、皮膚の下に袋状の構造が形成される粉瘤、そしてアレルギー反応や接触性皮膚炎といったものです。それぞれ症状の特徴や対処法が異なるため、自分のできものがどれに当てはまるかを把握することが重要です。
Q. 頭皮の毛嚢炎はなぜ起きるのか?
毛嚢炎は、毛穴の奥にある毛嚢に黄色ブドウ球菌などの細菌が感染して起こる炎症です。免疫力の低下や皮膚バリアの損傷が誘因となり、不十分なシャンプー・帽子による蒸れ・過労などが悪化要因として挙げられます。軽症では自然治癒することもありますが、重症化すると膿が溜まり、切開処置が必要になる場合もあります。
📌 毛嚢炎(もうのうえん)とは
毛嚢炎とは、毛穴の奥にある毛嚢(毛根を包む組織)に細菌が感染して起こる炎症のことです。頭皮は毛穴が密集しているため、毛嚢炎が起きやすい部位の一つです。原因となる細菌は主に黄色ブドウ球菌で、皮膚の常在菌ですが、免疫力の低下や皮膚バリアの損傷があると過剰に増殖して感染を引き起こします。
毛嚢炎の症状は、毛穴を中心とした赤い丘疹(きゅうしん)やニキビのような小さな膿疱(のうほう)が現れることです。触れると痛みや痒みを感じることが多く、複数箇所にまとまって出ることもあります。軽症のものは数日で自然に治癒することもありますが、深部にまで炎症が及ぶと「深在性毛嚢炎」となり、硬いしこりが残ったり、膿が大量に溜まって「癤(せつ)」「癰(よう)」と呼ばれるより重篤な状態に進行することもあります。
毛嚢炎を悪化させる要因としては、不十分なシャンプーによる皮脂や汚れの蓄積、蒸れやすい環境(帽子の長時間使用など)、過度な搔き傷、過労や睡眠不足による免疫力の低下などがあります。とくに夏場は汗によって頭皮環境が悪化しやすく、毛嚢炎が発生しやすい季節です。治療には抗菌薬の外用薬や、重症の場合は内服薬が使用されます。
✨ 脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)とは
脂漏性皮膚炎は、皮脂腺が多い部位に生じる慢性的な皮膚の炎症です。頭皮はとくに発症しやすい部位で、赤みや鱗屑(りんせつ:フケのようなもの)、痒みを主な症状とします。見た目としては赤い斑点や炎症を伴う厚いフケが特徴で、赤いできものとして認識されることもあります。
発症の原因として重要なのが、マラセチアという真菌(カビの一種)の関与です。マラセチアは皮膚の常在菌ですが、皮脂を分解する過程で皮膚に刺激を与え、炎症反応を引き起こします。皮脂の分泌が多い人、ストレスが多い人、免疫機能が低下している人などに発症しやすいとされています。また、HIVウイルス感染者やパーキンソン病患者にも高率で見られることが知られており、全身状態との関連も指摘されています。
脂漏性皮膚炎は慢性的に経過し、症状が軽快と悪化を繰り返す傾向があります。完全に治癒することが難しい疾患であるため、症状をコントロールしながら付き合っていく姿勢が大切です。治療には抗真菌成分を含んだシャンプーや外用薬が使用されることが多く、炎症が強い場合にはステロイド外用薬が処方されることもあります。
Q. 頭皮の粉瘤を放置するとどうなる?
頭皮の粉瘤(ふんりゅう)は自然に消えることがほとんどなく、放置すると細菌感染により急激に赤く腫れ上がる「炎症性粉瘤」に進行します。炎症を繰り返すと周囲組織と癒着して手術が難しくなるため、しこりに気づいた時点で早めに皮膚科へ相談することが推奨されます。根本治療は袋ごと摘出する手術です。
🔍 頭皮ニキビの特徴と見分け方
頭皮ニキビは、顔のニキビと同じメカニズムで発生します。毛穴に皮脂や古い角質が詰まり、そこにアクネ菌(Cutibacterium acnes)が繁殖することで炎症が起きます。頭皮は皮脂腺が多いため、皮脂分泌が活発な思春期や、ホルモンバランスが乱れやすい時期に多く見られます。
頭皮ニキビの症状は、赤くて小さなできもの(丘疹)や、白っぽい膿を持つ膿疱として現れます。触れると痛みを感じることが多く、つぶしてしまうと炎症が悪化したり、色素沈着や瘢痕(はんこん)が残るリスクがあります。毛嚢炎と外見上は似ていますが、ニキビは毛穴の詰まりが主な原因であるのに対し、毛嚢炎は細菌感染が主因という点で異なります。
頭皮ニキビができやすい人の特徴としては、脂性肌の方、整髪料を多く使う方、シャンプーが不十分な方、睡眠不足やストレスが多い方などが挙げられます。また、シャンプーやトリートメントの成分が頭皮に合わない場合も、毛穴を詰まらせてニキビを引き起こすことがあります。ノンシリコンシャンプーや低刺激性のシャンプーへの切り替えが改善に役立つケースも多く見られます。
頭皮ニキビを毛嚢炎と見分けるポイントとしては、できものの中心に白い膿があるか(ニキビ)、毛穴の周囲が均一に赤くなっているか(毛嚢炎)などが参考になります。ただし、素人判断には限界があるため、症状が繰り返す場合や悪化する場合は皮膚科を受診することをお勧めします。
💪 粉瘤(ふんりゅう)が頭皮にできた場合
粉瘤(アテローマとも呼ばれます)は、皮膚の表皮細胞が皮膚の内側に入り込んで袋状の構造を作り、その中に角質や皮脂などが溜まってできた良性のしこりです。頭皮は粉瘤が発生しやすい部位の一つで、気づいたら頭皮にしこりができていたというケースでは粉瘤が疑われることがあります。
粉瘤自体は感染していない状態では痛みがなく、皮膚の下に丸いしこりとして触れます。表面は正常な皮膚色のことが多いですが、しこりの中央に黒い点(開口部)が見えることがあります。しかし、細菌が感染すると「炎症性粉瘤」となり、急激に赤く腫れ上がって強い痛みを伴うようになります。この状態が頭皮の赤いできものとして気づかれるケースも多いです。
炎症性粉瘤になった場合は、早めに皮膚科を受診することが大切です。膿が溜まっている場合は切開して排膿する処置が行われます。ただし、炎症が治まった後も粉瘤の袋自体が残っている限り、再発する可能性があります。根本的な治療は、炎症が落ち着いた段階での手術による袋ごとの摘出です。粉瘤は自然に消えることはほとんどないため、しこりが気になる場合は早めにクリニックへの相談をお勧めします。
頭皮の粉瘤は髪の毛で見えにくいため、発見が遅れて炎症を起こした状態で気づくことが多いです。定期的に頭皮をチェックする習慣をつけることが早期発見につながります。
🎯 その他に考えられる疾患
頭皮の赤いできものの原因は、上記以外にもさまざまな疾患が考えられます。それぞれの特徴を把握しておくことで、症状への適切な対応が可能になります。
✅ 接触性皮膚炎(かぶれ)
シャンプー、トリートメント、ヘアカラー剤、整髪料などに含まれる成分に対するアレルギー反応や刺激反応として、頭皮が赤くなりできものができることがあります。ヘアカラーに含まれるパラフェニレンジアミン(PPD)はとくにアレルギーを引き起こしやすい成分として知られており、重篤なアレルギー反応を引き起こすこともあります。ヘアカラー後に頭皮が赤くなったり、かゆみやできものが現れた場合は、アレルギー反応の可能性を疑いましょう。
📝 帯状疱疹(たいじょうほうしん)
水痘(水ぼうそう)ウイルスが体内に潜伏し、免疫力が低下した際に再活性化して神経に沿って発疹が出る疾患です。頭皮や顔面に帯状疱疹が出ると、赤いできものや水疱として現れることがあります。発症前から強い痛み(神経痛)を感じるのが特徴で、発疹が現れてからも痛みが続きます。早期に抗ウイルス薬を使用することで重症化を防げるため、疑わしい場合は速やかに受診が必要です。
🔸 乾癬(かんせん)
乾癬は免疫の異常により皮膚細胞が過剰に増殖する慢性の皮膚疾患です。頭皮にも発症し、赤い斑点の上に白っぽい鱗屑(銀白色のフケ状のもの)が付着した特徴的な症状が現れます。かゆみを伴うことが多く、ストレスや感染症などで悪化します。完治が難しい疾患ですが、適切な治療でコントロールできます。
⚡ 毛包炎(ほうほうえん)・せつ・よう
毛嚢炎が悪化した状態として、より深部に炎症が及んだ「せつ(癤)」があります。複数のせつが融合して広い範囲に膿が溜まった状態が「よう(癰)」です。いずれも頭皮に強い痛みと赤い腫れを引き起こし、自然治癒が難しく、皮膚科での切開・排膿処置や抗菌薬治療が必要になります。
🌟 頭皮の皮膚腫瘍
まれではありますが、頭皮にも皮膚がん(有棘細胞がん、基底細胞がんなど)が発生することがあります。長期間同じ場所にできものがあり、次第に大きくなる、形が不規則、出血しやすいといった特徴がある場合は、皮膚腫瘍の可能性も念頭において専門医を受診することが重要です。
Q. 脂漏性皮膚炎の原因と治療法は?
脂漏性皮膚炎は、皮膚の常在真菌であるマラセチアが皮脂を分解する過程で炎症反応を引き起こす慢性疾患です。赤み・フケ状の鱗屑・かゆみが主な症状で、ストレスや免疫低下で悪化します。治療にはケトコナゾールなど抗真菌成分のシャンプーや外用薬が用いられ、炎症が強い場合はステロイド外用薬が処方されることもあります。
💡 頭皮の赤いできものを放置するリスク
「痛みがないから」「そのうち治るだろう」と頭皮のできものを放置してしまうことには、さまざまなリスクが伴います。どのようなリスクがあるか具体的に見ていきましょう。
まず、毛嚢炎や頭皮ニキビを放置すると、炎症が悪化して膿が増え、周囲の組織にまで感染が広がる可能性があります。重症化するとせつや癰に発展し、切開処置が必要になることもあります。また、炎症が治癒した後にも色素沈着や瘢痕(傷跡)が残ってしまうことがあります。頭皮の場合、瘢痕が形成されると毛根が破壊されて、その部分の毛が生えなくなる「瘢痕性脱毛症」につながることがあります。
粉瘤については、放置しているうちに大きくなり、炎症を繰り返すことで周囲の組織と癒着し、手術がより困難になることがあります。また、炎症性粉瘤を繰り返すことで頭皮の皮膚組織がダメージを受け、治癒後の状態が悪くなる可能性もあります。
帯状疱疹については、早期に治療しないと「帯状疱疹後神経痛」という長期にわたる強い痛みが残ることがあります。頭部に生じた帯状疱疹では、眼に影響が及ぶと視力に関わる合併症を引き起こすことがあり、特に注意が必要です。
脂漏性皮膚炎を適切に治療せず放置すると、慢性化して頭皮の炎症が持続し、毛根へのダメージから抜け毛が増加することがあります。脱毛症(びまん性脱毛)につながるリスクも考えられるため、継続的なケアが必要です。
さらに、かゆみから頭皮を過度に掻いてしまうと、皮膚バリアが壊れて二次感染を起こしやすくなります。掻き傷から細菌が入り込み、より重篤な感染症に発展するケースもあります。また、接触性皮膚炎を引き起こすアレルゲンを使い続けることで、アレルギー反応がより強くなってしまうこともあります。
📌 自宅でできるセルフケアと予防法
頭皮の赤いできものを予防・改善するために、日常生活の中でできるケアがいくつかあります。正しいセルフケアを続けることで、頭皮環境を整え、できものの発生を抑えることができます。
💬 正しいシャンプー方法を身につける
頭皮の清潔を保つことは、できものの予防において最も基本的なケアです。シャンプーをする際は、まず38〜40℃程度のぬるま湯で頭皮と髪をしっかり予洗いします。シャンプー剤は適量を手のひらで泡立ててから頭皮に塗布し、指の腹を使って優しくマッサージするように洗います。爪を立てて洗うと頭皮を傷つけるため避けましょう。すすぎは念入りに行い、シャンプー剤が頭皮に残らないようにすることが大切です。シャンプーの残留は毛穴を詰まらせる原因になります。
洗浄力が強すぎるシャンプーは皮脂を取りすぎて、かえって皮脂分泌を増加させることがあります。頭皮のタイプに合ったシャンプー選びも重要です。脂性肌の方はさっぱりタイプ、乾燥肌の方はしっとりタイプを選ぶとよいでしょう。
✅ 洗髪後の乾燥を徹底する
洗髪後に頭皮が濡れたままの状態でいると、雑菌や真菌が繁殖しやすい環境になります。シャンプー後はタオルで軽く水分を拭き取り、ドライヤーを使って根元から乾かすことを習慣にしましょう。ドライヤーは頭皮から15〜20cm程度離して使用し、熱を当てすぎないように注意します。自然乾燥は手軽ですが、頭皮が長時間湿った状態になるため、できものが気になる方には適していません。
📝 整髪料の使い方に注意する
ヘアワックスやスプレーなどの整髪料は、毛穴を詰まらせる原因になることがあります。整髪料を使用した日は、しっかりとシャンプーで洗い落とすことが大切です。また、整髪料が頭皮に直接つかないように気をつけることも有効です。頭皮にできものができやすい方は、整髪料の使用を一時的に控えてみることで改善するケースもあります。
🔸 生活習慣を整える
頭皮の健康は全身の健康状態と密接に関係しています。睡眠不足や過度なストレスは免疫力を低下させ、皮膚のバリア機能を弱めます。十分な睡眠(7〜8時間が目安)を確保し、ストレスを適切に解消することが頭皮トラブルの予防につながります。また、脂質や糖質の多い食事は皮脂分泌を増加させることがあるため、バランスの良い食事を心がけましょう。ビタミンB2・B6を含む食品(レバー、乳製品、魚など)は皮膚の健康維持に役立ちます。
⚡ 帽子や寝具の清潔を保つ
帽子や枕カバーなど、頭皮と接触するものは定期的に洗濯して清潔を保つことが大切です。とくに夏場は汗をかきやすく、帽子や枕カバーに雑菌が繁殖しやすくなります。できものが気になる時期は、枕カバーをこまめに取り替えることをお勧めします。また、帽子を長時間かぶり続けると頭皮が蒸れるため、適度に外して換気する習慣をつけましょう。
🌟 頭皮を過度に触らない
かゆみがあるとついつい頭皮を掻いてしまいがちですが、爪による引っ掻きは皮膚バリアを傷つけ、感染リスクを高めます。かゆみが強い場合は、冷やすことで一時的に和らげることができます。できものをつぶす行為も厳禁です。細菌が広がって周囲に炎症が拡大したり、跡が残ったりすることがあります。
Q. 頭皮のできもので皮膚科を受診すべき目安は?
頭皮のできものが2週間以上改善しない場合、急激な腫れや強い痛みがある場合、発熱を伴う場合、脱毛が見られる場合は早めの皮膚科受診が必要です。また、帯状疱疹が疑われる場合は発症後72時間以内の受診が重要です。放置すると瘢痕性脱毛症など後遺症につながるリスクがあるため、自己判断は避けることが大切です。
✨ こんな症状がある場合は早めに受診を
軽度の頭皮のできものはセルフケアで改善することもありますが、以下のような症状がある場合は、早めに皮膚科を受診することをお勧めします。
できものが急に赤くなって腫れ上がり、強い痛みを伴う場合は、炎症性粉瘤や深在性毛嚢炎の可能性があります。放置すると症状が悪化するため、速やかな受診が必要です。特に発熱を伴う場合は、感染が深部に及んでいる可能性があり注意が必要です。
できものと同じ側の顔面や頭部に沿って強い痛みや焼けるような感覚がある場合は、帯状疱疹の初期症状である可能性があります。帯状疱疹は発症後72時間以内に抗ウイルス薬を開始することで重症化を防ぎやすくなるため、疑わしい症状があれば迷わず受診してください。
できものが2週間以上経過しても改善しない、または大きくなっている場合も受診のサインです。自然治癒を期待していても改善が見られない場合は、医師による正確な診断が必要です。また、セルフケアを続けているにもかかわらず繰り返しできものができる場合も同様です。
できものの部分から毛が抜けてきた場合や、頭皮に脱毛が見られる場合も要注意です。炎症による毛根へのダメージが疑われ、早期治療によって脱毛の進行を食い止める必要があります。
ヘアカラー後に頭皮が赤くなり、ひどい痒みや腫れ、じゅくじゅくした状態が現れた場合はアレルギー反応が疑われます。症状が顔面や首にまで及ぶ場合は、アナフィラキシーなどの重篤なアレルギー反応に進展する危険性もあるため、すぐに医療機関を受診してください。
また、できものが長期間同じ場所に存在し、次第に大きくなる・固くなる・表面が不規則・出血しやすいといった特徴がある場合は、皮膚腫瘍の可能性も除外するために専門医の診察を受けることが重要です。
🔍 皮膚科・クリニックでの主な治療法

頭皮の赤いできものに対して、皮膚科やクリニックではどのような治療が行われるのでしょうか。疾患ごとに主な治療法を紹介します。
💬 毛嚢炎・頭皮ニキビの治療
軽症の毛嚢炎・頭皮ニキビには、抗菌薬を含む外用薬(ゲンタマイシンなど)や、アダパレンなどのレチノイド系外用薬が処方されます。症状が重い場合や広範囲に及ぶ場合は、抗菌薬の内服薬(テトラサイクリン系やマクロライド系など)が使用されることがあります。また、近年ではニキビ治療として過酸化ベンゾイルやクリンダマイシンなどの外用薬も使用されています。
✅ 脂漏性皮膚炎の治療
脂漏性皮膚炎には、抗真菌薬(ケトコナゾールやミコナゾールなど)を含む外用薬やシャンプーが用いられます。市販品ではケトコナゾール配合のシャンプーが購入できる場合もあります。炎症が強い場合には、ステロイド外用薬が短期的に使用されることがあります。症状が慢性的に続く場合は、長期的なマネジメントが必要となります。
📝 粉瘤の治療
炎症を起こしている粉瘤(炎症性粉瘤)に対しては、まず切開して膿を排出する処置(切開排膿)が行われます。感染が強い場合は抗菌薬の内服も行われます。炎症が落ち着いた後、根本的な治療として粉瘤の袋ごと摘出する手術が行われます。手術は局所麻酔下で行われ、比較的短時間で完了します。粉瘤の大きさや炎症の程度によって、保険診療が適用されることが一般的です。
近年では「くり抜き法(トレパン法)」と呼ばれる、小さな穴を開けて粉瘤の内容物を排出しながら袋ごと取り出す方法も普及しています。傷跡が小さく、術後の回復も早い利点があります。
🔸 接触性皮膚炎の治療
接触性皮膚炎には、原因となるアレルゲンや刺激物質との接触を避けることが最も重要です。ヘアカラーが原因の場合はカラーリングを中止し、シャンプーなどが原因の場合は製品の変更を検討します。炎症症状に対しては、ステロイド外用薬や抗ヒスタミン薬の内服が用いられます。アレルギーの原因を特定するためにパッチテストが行われることもあります。
⚡ 帯状疱疹の治療
帯状疱疹には、抗ウイルス薬(アシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビルなど)の内服が基本となります。発症後早期(できれば72時間以内)に開始することで、症状の軽減や帯状疱疹後神経痛の予防につながります。痛みが強い場合は鎮痛薬も併用されます。また、50歳以上の方には帯状疱疹ワクチン(シングリックスなど)による予防接種も選択肢の一つです。
🌟 乾癬の治療
乾癬の治療には、ステロイド外用薬やビタミンD3誘導体外用薬(カルシポトリオールなど)が使用されます。頭皮の乾癬には、ローション剤やシャンプー剤が使いやすく処方されることが多いです。重症の場合は光線療法(紫外線療法)や免疫抑制薬、生物学的製剤が用いられることもあります。乾癬は長期的な管理が必要な疾患であるため、皮膚科専門医と連携しながら治療を続けることが大切です。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「頭皮のできものは髪に隠れて気づきにくく、当院では「いつの間にか大きくなっていた」「炎症を繰り返している」といった状態でご来院される患者さまが少なくありません。毛嚢炎・粉瘤・脂漏性皮膚炎など原因によって治療法が異なりますので、「たかが頭皮のできもの」と自己判断せず、2週間以上症状が続く場合や痛み・腫れが強い場合はお早めにご相談ください。早期に適切な診断と治療を受けることで、瘢痕性脱毛症などの後遺症を防ぎ、頭皮の健康を守ることにつながります。」
💪 よくある質問
外見上は似ていますが、できものの中心に白い膿がある場合は頭皮ニキビ、毛穴の周囲が均一に赤くなっている場合は毛嚢炎の可能性があります。ただし、素人判断には限界があります。症状が繰り返す場合や悪化する場合は、皮膚科を受診して正確な診断を受けることをお勧めします。
2週間以上経過しても改善しない場合や、急に赤く腫れて強い痛みが出た場合は早めの受診が必要です。放置すると炎症の悪化や瘢痕性脱毛症(炎症による毛根破壊で毛が生えなくなる状態)につながるリスクがあります。発熱を伴う場合は特に注意が必要です。
主なセルフケアとして、38〜40℃のぬるま湯で指の腹を使った丁寧なシャンプー、洗髪後のドライヤーによる十分な乾燥、整髪料の使用を控えること、帽子や枕カバーの清潔維持が効果的です。また、睡眠不足やストレスを避け、バランスの良い食事を心がけることも頭皮環境の改善につながります。
ヘアカラーに含まれるパラフェニレンジアミン(PPD)などによるアレルギー反応が疑われます。すぐにカラーリングを中止し、症状が強い場合は速やかに皮膚科を受診してください。痒みや腫れが顔面・首にまで広がる場合は、重篤なアレルギー反応の可能性があるため、特に迅速な受診が必要です。
痛みがなくても粉瘤(ふんりゅう)の可能性があります。粉瘤は自然に消えることがほとんどなく、放置すると細菌感染により急激に腫れ上がる「炎症性粉瘤」に進行することがあります。また、長期間同じ場所に存在し、少しずつ大きくなる場合は皮膚腫瘍の除外も必要なため、当院へお早めにご相談ください。
🎯 まとめ
頭皮に赤いできものができる原因は、毛嚢炎・脂漏性皮膚炎・頭皮ニキビ・粉瘤・接触性皮膚炎・帯状疱疹・乾癬など多岐にわたります。それぞれ症状の特徴や原因が異なるため、適切な治療法も変わってきます。
共通して言えることは、頭皮のできものは放置せずに早めに対処することが大切だということです。軽症のうちに適切なセルフケアや治療を行えば、重症化や合併症を防ぎ、瘢痕性脱毛症のような後遺症を避けることができます。日頃から正しいシャンプー習慣と生活習慣を整えることが、頭皮を健康に保つ基本となります。
「なんとなく気になるけれど、受診するほどでもないかな」と感じている方も、できものが2週間以上続いたり、痛みや腫れが強くなったりした場合は迷わず皮膚科を受診することをお勧めします。アイシークリニック池袋院では、頭皮のできものや皮膚トラブルについてのご相談を承っています。一人で悩まず、気になる症状は早めに専門医へ相談するようにしましょう。
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📚 参考文献
- 日本皮膚科学会 – 毛嚢炎・脂漏性皮膚炎・乾癬・帯状疱疹・接触性皮膚炎・粉瘤などの診断基準や治療ガイドラインの参照
- 厚生労働省 – 頭皮疾患を含む皮膚疾患全般に関する公衆衛生情報および患者向け健康情報の参照
- 国立感染症研究所 – 毛嚢炎の原因菌(黄色ブドウ球菌)や帯状疱疹ウイルス(水痘帯状疱疹ウイルス)に関する感染症情報および疫学データの参照
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務