
「なぜか片方の目だけ涙が止まらない」「特に理由もないのに片目だけ涙がこぼれる」そんな経験をしたことはありませんか?涙は両目から出るものというイメージがありますが、実際には片目だけに涙が出る症状を訴える方は少なくありません。この症状は、目の表面の問題から涙の排出経路の異常、さらには神経や全身疾患まで、さまざまな原因によって引き起こされます。放置してしまうと症状が悪化したり、見えにくさや不快感が日常生活に影響したりすることもあります。この記事では、片目だけ涙が出る原因として考えられる疾患や状態を詳しく解説し、自分でできる対処法と眼科を受診すべきタイミングについてわかりやすくお伝えします。
目次
- 涙が出る仕組みとは
- 片目だけ涙が出る主な原因
- 涙道閉塞(るいどうへいそく)とは
- 逆さまつげ(睫毛内反・睫毛乱生)が原因の場合
- ドライアイが原因で片目だけ涙が出ることがある?
- 結膜炎・角膜炎など炎症が原因の場合
- アレルギーが原因の場合
- 眼瞼下垂・眼瞼内反が原因の場合
- 神経・脳疾患との関係
- 子どもに多い先天性涙道閉塞
- 自分でできる対処法と日常生活での注意点
- 眼科を受診すべき目安とタイミング
- まとめ
この記事のポイント
片目だけ涙が出る原因は涙道閉塞・逆さまつげ・ドライアイ・結膜炎・神経疾患など多岐にわたる。2週間以上続く場合や痛み・視力変化を伴う場合は眼科を受診することが重要。
🎯 涙が出る仕組みとは
涙の仕組みについて正しく理解することが、片目だけ涙が出るという症状を理解するための第一歩です。涙は「涙腺(るいせん)」という組織で作られ、目の表面(角膜・結膜)を潤した後、「涙道(るいどう)」と呼ばれる排水路を通って鼻の奥へと流れていきます。
涙腺は上まぶたの外側にあり、涙を分泌する役割を担っています。分泌された涙は目の表面を覆い、まばたきによって目頭の方向に運ばれます。目頭には「涙点(るいてん)」という小さな穴があり、ここから涙小管(るいしょうかん)・涙嚢(るいのう)・鼻涙管(びるいかん)という経路を通って、最終的に鼻腔内へと排出されます。
涙が止まらずにあふれ出る状態を「流涙(りゅうるい)」または「流涙症」といいます。この状態が起こる原因は大きく2つに分けられます。一つは涙の分泌量が増えすぎること(分泌過多)、もう一つは涙の排出経路が詰まったり狭くなったりすること(排出障害)です。片目だけに症状が出る場合、多くのケースでは左右どちらか一方の眼球や涙道に局所的な問題が生じていることが考えられます。
Q. 片目だけ涙が出る原因で最も多いものは何ですか?
片目だけ涙が出る原因として最も頻度が高いのは「涙道閉塞」です。涙の排出経路である涙点・涙小管・鼻涙管のどこかが詰まり、涙が鼻腔へ流れずに目からあふれ出ます。中高年以降の女性に多く、加齢による粘膜の変性や炎症後の瘢痕化が主な原因です。
📋 片目だけ涙が出る主な原因
片目だけ涙が出る原因はさまざまですが、大きく以下のカテゴリーに分類することができます。それぞれについて、以降のセクションで詳しく解説します。
まず、涙の排出経路に問題がある場合として「涙道閉塞」や「涙点狭窄」が挙げられます。これは涙の出口や通り道が詰まってしまうことで、涙がうまく排出されずにあふれ出る状態です。次に、目の表面を刺激するものとして「逆さまつげ」「異物混入」「コンタクトレンズのトラブル」などがあります。まつげや異物が目の表面に触れることで、反射的に涙の分泌量が増えます。
また、目の炎症や感染症である「結膜炎」「角膜炎」「麦粒腫(ものもらい)」なども片目だけに現れることが多く、涙が増える原因になります。「ドライアイ」も実は流涙症の一因となることがあり、目の乾燥が刺激となって涙の反射分泌が起こります。さらに「アレルギー性結膜炎」は花粉の飛散量や接触する環境によって左右差が生まれることがあります。
まぶたの異常として「眼瞼内反(がんけんないはん)」「眼瞼下垂(がんけんかすい)」「眼瞼外反(がんけんがいはん)」なども流涙の原因となります。加えて、神経系の問題(顔面神経麻痺など)や、ごくまれに脳疾患が関与することもあります。
💊 涙道閉塞(るいどうへいそく)とは
片目だけ涙が出る原因として最も頻度が高いのが「涙道閉塞」です。涙道は前述のとおり、涙点から始まり涙小管・涙嚢・鼻涙管を経て鼻腔に至る細いトンネルのような構造をしています。このどこかが詰まってしまうと、涙が排出されず目からあふれ出てしまいます。
涙道閉塞は特定の年齢に限らず起こりますが、中高年以降の女性に多く見られる傾向があります。加齢によって涙道の粘膜が変性したり、炎症によって瘢痕化(はんこんか)したりすることが主な原因です。また、顔面への外傷や手術後、鼻の炎症(慢性副鼻腔炎など)が波及することでも閉塞が起こることがあります。
涙道閉塞の症状は常に涙があふれることですが、悪化すると涙嚢内に細菌が繁殖して「涙嚢炎(るいのうえん)」を起こすことがあります。涙嚢炎になると、目頭の下あたりが腫れて痛みが出たり、膿のような目やにが出たりすることがあります。
治療としては、細い器具を使って涙道を洗浄・拡張する「涙道ブジー」という処置や、内視鏡を用いた「涙道内視鏡手術」、シリコン製のチューブを涙道に留置する「涙管チューブ挿入術」などが行われます。重篤な場合には、新しい涙の排水路を外科的に作る「涙嚢鼻腔吻合術(DCR)」が選択されることもあります。
また、涙道が完全に閉塞する前段階として「涙点狭窄」があります。これは涙の出口である涙点が狭くなった状態で、加齢や炎症・ドライアイ治療に使う点眼薬の影響などで起こります。この場合も涙道閉塞と同様の症状が現れます。
🏥 逆さまつげ(睫毛内反・睫毛乱生)が原因の場合
逆さまつげは、まつげが眼球の方向に向いて角膜や結膜に当たってしまう状態です。「睫毛内反(しょうもうないはん)」とも呼ばれ、片方のまぶただけに生じることもよくあります。まつげが目の表面を繰り返し刺激することで、目がゴロゴロする・涙があふれる・充血するといった症状が現れます。
逆さまつげの中でも、まつげが不規則な方向に生えている状態を「睫毛乱生(しょうもうらんせい)」といいます。これは加齢によってまぶたの筋肉や皮膚がたるんでくることで起こりやすくなります。また、まぶたの内側がめくれて全体的にまつげが眼球に当たってしまう「眼瞼内反(がんけんないはん)」の場合も、逆さまつげと似た症状が出ます。
子どもの場合は「先天性睫毛内反」が比較的多く見られます。これはまぶたの皮膚が内側に折れ込む形状になっているために起こるもので、成長とともに自然に改善することも多いです。ただし、角膜に傷がつき続けると視力に影響が出る可能性があるため、症状が強い場合は眼科での相談が必要です。
治療としては、問題のあるまつげを除去する「抜毛」が一時的な処置として行われますが、まつげは再び生えてくるため根本的な解決にはなりません。根本治療としてはまぶたを外向きに整える手術が選択されます。
Q. ドライアイなのに涙があふれるのはなぜですか?
ドライアイで目の表面が乾燥すると、その刺激が神経を介して涙腺に伝わり、反射的に大量の涙が分泌される「反射性流涙」が起こります。ただしこの涙は目を保護するムチンや油分が不足しているためすぐ蒸発し、乾燥と流涙を繰り返します。「涙が出るから大丈夫」と見過ごさないことが重要です。
⚠️ ドライアイが原因で片目だけ涙が出ることがある?
「目が乾燥しているのに涙が出る」というのは矛盾しているように感じるかもしれませんが、実際にはドライアイが原因で涙があふれ出ることがあります。これは「反射性流涙」と呼ばれる現象です。
ドライアイでは目の表面を覆う涙の膜(涙液層)が不安定になり、目の表面が乾燥します。この乾燥による刺激が神経を介して涙腺に伝わり、反射的に大量の涙が分泌されることがあります。しかし、この反射性の涙は目の表面をうまくコーティングするための成分(ムチンや油分)が不足しているため、すぐに蒸発してしまい、目の乾燥が繰り返されます。
ドライアイが片目だけに現れることは少ないですが、生活習慣(例えばパソコンやスマートフォンを見る際の姿勢・片目だけコンタクトを使用しているなど)や、片目だけのまぶたのトラブルによって、一方の目だけドライアイが強く出ることがあります。また、コンタクトレンズの装用は涙の膜を不安定にさせるため、コンタクトを使用している目だけドライアイ症状が強くなることもあります。
ドライアイが疑われる場合には、人工涙液の点眼薬や涙液の分泌を促すような点眼薬を使用するとともに、生活環境の見直し(加湿器の使用・休憩の取り方など)も大切です。
🔍 結膜炎・角膜炎など炎症が原因の場合
片方の目に炎症が起きている場合も、その目だけ涙が多くなることがあります。代表的なものとして「結膜炎」と「角膜炎」が挙げられます。
結膜炎は白目の表面を覆う結膜に炎症が起こる疾患で、細菌・ウイルス・アレルギーなどが原因になります。片方の目だけに感染が起こることもあり、充血・目やに・異物感・涙などの症状が現れます。特にウイルス性の結膜炎(「はやり目」とも呼ばれるアデノウイルス感染症など)は感染力が強く、片目に始まって数日後にもう片方の目にも広がることがあります。
角膜炎は角膜(黒目の部分)に炎症が起きる疾患です。細菌・ウイルス・真菌(カビ)・アカントアメーバなどが原因となり、コンタクトレンズの不適切な使用によって生じることも多くあります。角膜炎では強い痛み・光過敏(光を眩しく感じる)・涙・視力低下などが現れ、重篤な場合は視力に影響が残ることがあるため早急な治療が必要です。
「麦粒腫(ばくりゅうしゅ)」いわゆるものもらいも、まぶたに細菌感染が起きることで腫れ・痛み・涙などの症状を引き起こします。多くの場合片目に生じます。
これらの炎症による流涙は原因の治療が優先されます。自己判断での市販薬使用には注意が必要で、特に角膜炎を疑う場合は速やかに眼科を受診することが重要です。
📝 アレルギーが原因の場合
花粉症やハウスダストなどのアレルギーが原因となって涙が出ることがあります。「アレルギー性結膜炎」と呼ばれるこの状態は、通常は両目に症状が出ることが多いですが、さまざまな状況によって片目だけに症状が強く出ることがあります。
例えば、外を歩いているときに風向きによって片方の目だけに多く花粉が入った場合や、ペットが片方の目をなでた場合、就寝時に特定の方向に顔を向けており枕カバーのハウスダストが片方の目にだけ当たっているような場合などです。
アレルギー性結膜炎では、涙に加えて目のかゆみ・充血・目やにといった症状が伴うことが多いです。目をこすることでさらに症状が悪化することがあるため、なるべく目に触れないようにすることが大切です。治療としては抗アレルギー点眼薬が用いられ、症状が強い場合はステロイド点眼薬が処方されることもあります。
また、コンタクトレンズを使用している方では、レンズに付着した花粉やタンパク質がアレルギーの原因となる「巨大乳頭結膜炎(GPC)」を引き起こすことがあります。この場合もコンタクトを使用している片目だけに症状が出ることがあります。
Q. 赤ちゃんの片目から涙が止まらない原因は何ですか?
新生児・乳幼児の片目からの流涙は「先天性鼻涙管閉塞」が疑われます。鼻涙管の出口を塞ぐ薄い膜が生後も残ることで起こり、新生児の約6〜20%に見られます。生後12か月までに約90%が自然治癒しますが、目やにや目周りのただれが続く場合は眼科への受診が推奨されます。
💡 眼瞼下垂・眼瞼内反が原因の場合
まぶたの位置や形の異常も、片目だけ涙が出る原因になることがあります。
「眼瞼下垂(がんけんかすい)」は上まぶたが下がってしまう状態で、加齢・コンタクトレンズの長期使用・神経疾患などが原因となります。まぶたが下がることで視野が狭まり、それを補おうとして眉毛を上げる力を使うようになります。この状態が続くと、おでこや目の周りの筋肉が緊張して頭痛や肩こりの原因になることもあります。また、まぶたが目の表面に不均一に接触することで涙の排出に影響が出たり、目の表面への刺激が増したりして涙が出やすくなることがあります。
「眼瞼内反(がんけんないはん)」はまぶたが内側に向きすぎてしまう状態で、まつげが常に角膜に当たるようになります。角膜への慢性的な刺激が涙を引き起こします。逆に「眼瞼外反(がんけんがいはん)」はまぶたが外側に向いてしまう状態で、涙点が目の表面から離れてしまうため涙の排出効率が下がり、涙が目の外にこぼれ出やすくなります。どちらも加齢による組織の弛緩が主な原因ですが、外傷・手術後・神経麻痺などによっても起こります。
これらまぶたの異常は、軽症であれば目薬などで対症療法を行いながら経過観察することもありますが、根本的な改善には手術が必要なことが多いです。
✨ 神経・脳疾患との関係
片目だけ涙が出る症状の中でも、特に注意が必要なのが神経や脳が関係している場合です。
「顔面神経麻痺」は、顔の筋肉を動かす顔面神経が障害されることで起こります。ベル麻痺(原因不明の特発性顔面神経麻痺)やハント症候群(帯状疱疹ウイルスによるもの)が代表的です。顔面神経麻痺では、まぶたをしっかり閉じる力が弱まるため、患側の目が閉じにくくなり、目の表面が乾燥したりゴミが入りやすくなったりします。また、まぶたの閉じ方が不完全なために涙点での涙の吸い込みが不十分になり、涙があふれ出ることがあります。
顔面神経麻痺では涙だけでなく、口が曲がる・顔の片側が動かない・味覚の変化・耳の周囲の痛みや発疹などを伴うことが多く、これらの症状がある場合は早急に医療機関を受診する必要があります。
また、「ワニの涙症候群(鰐の涙症候群)」と呼ばれる特殊な状態があります。これは顔面神経麻痺が回復する過程で神経の再生がうまくいかなかった場合に起こる現象で、食事をするときに涙が出てしまうという特徴的な症状を示します。唾液腺を動かす神経が誤って涙腺の神経に繋がってしまうことで起こります。
さらに、脳卒中(脳梗塞・脳出血)や脳腫瘍などの脳疾患でも、顔面神経への影響から涙の症状が出ることがあります。ただし、これらの場合は他の神経症状(手足の麻痺・言語障害・激しい頭痛など)を伴うことがほとんどです。片目の涙だけが症状という場合は脳疾患の可能性は低いですが、他の気になる症状を伴う場合は迷わず医療機関を受診してください。
📌 子どもに多い先天性涙道閉塞
新生児や乳幼児に片目または両目の流涙が見られる場合、「先天性鼻涙管閉塞(せんてんせいびるいかんへいそく)」が疑われます。これは赤ちゃんが生まれた後も、鼻涙管の出口を塞いでいる薄い膜(ハスネル弁)が開かずに残っているために起こるものです。
先天性鼻涙管閉塞は、新生児の約6〜20%に見られると言われています。症状としては常に涙がたまっている・目やにが多い・目の周りが赤くただれるなどが挙げられます。多くの場合は片目だけに症状が出ますが、両目に出ることもあります。
自然治癒することも多く、生後12か月までに約90%の赤ちゃんで自然に開通すると言われています。そのため、まずは「マッサージ療法」が試みられます。これは目頭の少し下にある涙嚢を指で優しく圧迫するマッサージで、1日数回行うことで閉塞が開通しやすくなるとされています。
炎症(涙嚢炎)を伴う場合は抗菌点眼薬が使われます。マッサージをしても改善がない場合や、繰り返し感染を起こす場合には、細い器具を使って閉塞を物理的に開通させる処置(プロービング)が行われます。この処置は通常1歳前後に行われることが多く、成功率は高いです。
お子さんの目の状態が気になる場合は、自己判断せずに眼科を受診して適切なアドバイスをもらうことが大切です。
Q. 片目の涙はどのような状態になったら眼科を受診すべきですか?
片目の涙が2週間以上続く場合や、強い痛み・視力のかすみ・目頭の腫れ・膿・充血・大量の目やにを伴う場合は、早めの眼科受診が必要です。また顔の片側が動かしにくい・口が曲がるなど顔面神経麻痺を疑う症状がある場合は、内科や脳神経外科への緊急受診も検討してください。
🎯 自分でできる対処法と日常生活での注意点

片目だけ涙が出る症状が気になるとき、眼科を受診するまでの間や軽症の場合に自分でできることをいくつか紹介します。ただし、症状が強かったり痛みを伴ったりする場合は、なるべく早く眼科を受診することを優先してください。
まず、目を清潔に保つことが基本です。清潔なガーゼや綿棒を使って、目やにや涙で汚れた目の周りを優しく拭き取りましょう。このとき、強くこするのはNGです。目の表面への刺激が増して症状が悪化することがあります。使い捨てのティッシュや綿棒を使い、使用後はすぐに捨てることで二次感染を防ぎます。
コンタクトレンズを使用している場合は、症状が出ている間はできるだけメガネに切り替えることをお勧めします。コンタクトレンズは目の表面への刺激になるため、炎症や感染症が疑われる場合には使用を中止することが重要です。
市販の人工涙液(防腐剤不使用のものが望ましい)を点眼することで、目の表面の刺激を和らげる効果が期待できます。ただし、市販の抗菌目薬や充血除去目薬は長期使用すると逆効果になることもあるため、使用前に注意書きをよく確認してください。
日常生活では、乾燥した環境はドライアイを悪化させるため、加湿器を使ったり、エアコンや暖房の風が直接目に当たらないよう気をつけましょう。長時間のスマートフォンやパソコンの使用はまばたきの回数を減らして目を乾燥させるため、1時間に10〜15分程度の休憩を取ることが推奨されます。
アレルギーが原因と考えられる場合は、花粉の多い時期には外出を控えたり、マスクやメガネを着用したりすることが有効です。花粉の季節には洗濯物を外に干さないようにするなど、アレルゲンの接触を減らす工夫も大切です。外出後は手をよく洗い、顔を洗って花粉を取り除くことも症状の軽減につながります。
また、睡眠不足や体の疲労は免疫力を低下させ、目のトラブルを起こしやすくします。規則正しい生活習慣を心がけることも、目の健康を守るうえで大切な要素です。
📋 眼科を受診すべき目安とタイミング
片目だけ涙が出る症状が続く場合、どのような状態のときに眼科を受診すればよいのか迷われる方も多いと思います。以下のような症状や状況が当てはまる場合は、なるべく早めに眼科を受診することをお勧めします。
まず、涙に加えて「強い痛み」や「視力の変化(かすみ・ぼやける・見えにくい)」を伴う場合は緊急性が高い可能性があります。角膜炎や緑内障の急性発作など、早急な治療が必要な疾患が隠れていることがあるため、速やかに受診してください。
次に、「目頭が腫れている・膿が出ている」という場合は涙嚢炎の可能性があります。放置すると感染が広がることがあるため、早めの受診が必要です。また、「目が赤くなっている・充血が強い」「大量の目やにがある」という場合も感染性結膜炎や角膜炎が疑われます。
「2週間以上症状が続いている」場合も受診の目安です。一時的な刺激による流涙であれば数日で改善することが多いですが、それ以上続く場合は涙道閉塞や慢性的な炎症など、自然には改善しにくい原因がある可能性があります。
「目をこすると痛い・ゴロゴロする」という場合は逆さまつげや異物が原因の可能性があります。目に異物が入った場合は、無理に取り出そうとせず眼科で適切に除去してもらうことが大切です。
「顔の片側が動かしにくい・口が曲がっている」といった顔面神経麻痺を疑う症状がある場合や、「激しい頭痛・手足の麻痺・言語障害」などの神経症状を伴う場合は、脳神経外科や内科も含めた緊急受診が必要です。このような場合は救急への対応も検討してください。
赤ちゃんや子どもの場合は、生後2〜3か月を過ぎても常に涙がたまっていたり目やにが多かったりする場合は、かかりつけ医か眼科に相談しましょう。
眼科では問診・視力検査・スリットランプを使った細隙灯顕微鏡検査・涙道の検査(涙道洗浄など)などを通じて原因を特定し、適切な治療方針を提案してもらえます。「たかが涙」と思わず、気になる症状がある場合は専門家に相談することが大切です。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では、「なんとなく片目だけ涙が出る」というお悩みで来院される方のうち、涙道閉塞や逆さまつげなど、ご自身では気づきにくい原因が見つかるケースが少なくありません。最近の傾向として、ドライアイによる反射性流涙を「目が潤っているから大丈夫」と見過ごされている患者様も多く、早めにご相談いただくことで症状の悪化を防ぐことができます。片目の涙が2週間以上続く場合や、痛み・充血・視力の変化を伴う場合は、どうぞお気軽に眼科を受診してください。」
💊 よくある質問
片目だけ涙が出る原因として最も頻度が高いのは「涙道閉塞」です。涙の排出経路(涙点・涙小管・鼻涙管など)のどこかが詰まることで、涙が鼻腔へ流れず目からあふれ出ます。中高年以降の女性に多く見られ、加齢による粘膜の変性や炎症後の瘢痕化などが主な原因です。
ドライアイで目の表面が乾燥すると、その刺激が神経を介して涙腺に伝わり、反射的に大量の涙が分泌される「反射性流涙」が起こります。ただしこの涙は目を保護する成分が不足しているためすぐ蒸発し、乾燥と流涙を繰り返します。「涙が出るから大丈夫」と見過ごさず、眼科への相談をお勧めします。
新生児・乳幼児の片目からの流涙は「先天性鼻涙管閉塞」が疑われます。鼻涙管の出口を塞ぐ薄い膜が生後も残ることで起こり、新生児の約6〜20%に見られます。生後12か月までに約90%が自然治癒しますが、目やにが多い・目周りがただれるなどの症状がある場合は眼科への受診をご検討ください。
顔の片側が動かしにくい・口が曲がるといった症状を伴う場合、「顔面神経麻痺」が疑われます。まぶたが完全に閉じられなくなることで目の表面が乾燥し、涙があふれ出やすくなります。この場合は緊急性が高いため、眼科だけでなく内科・脳神経外科への速やかな受診が必要です。
以下の場合は早めの眼科受診をお勧めします。①症状が2週間以上続く、②強い痛みや視力の変化(かすみ・ぼやけ)を伴う、③目頭が腫れている・膿が出ている、④充血や大量の目やにがある。当院でも「片目だけ涙が出る」というお悩みで受診された方から、涙道閉塞や逆さまつげなど気づきにくい原因が見つかるケースが少なくありません。
🏥 まとめ
片目だけ涙が出る症状は、涙道閉塞・逆さまつげ・ドライアイ・結膜炎・アレルギー・まぶたの異常・神経疾患など、実に多くの原因が考えられます。原因によって必要な治療が全く異なるため、自己判断で放置するのは危険なことがあります。
日常的な軽い刺激が原因の場合は自然に改善することもありますが、2週間以上症状が続く場合や、痛み・視力変化・腫れ・充血などの症状を伴う場合は眼科を受診することを強くお勧めします。特に角膜炎や涙嚢炎は放置すると重篤化する可能性があるため、早期受診が視力を守ることにつながります。
目は日常生活において欠かせない大切な器官です。「なんとなく涙が出ているだけ」と軽視せず、気になる症状があれば眼科の専門医に相談することをお勧めします。アイシークリニック池袋院では、流涙症をはじめとするさまざまな目のお悩みに対して、丁寧な診察と適切な治療を提供しています。片目だけ涙が出るという症状でお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください。
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📚 参考文献
- 厚生労働省 – 涙道閉塞・流涙症などの眼科疾患に関する医療情報および眼科診療の基本的な考え方の参照
- 国立感染症研究所 – 結膜炎(はやり目)の原因となるアデノウイルス感染症の感染経路・症状・予防に関する情報の参照
- PubMed – 涙道閉塞・ドライアイによる反射性流涙・先天性鼻涙管閉塞・顔面神経麻痺と流涙症の関係に関する国際的な臨床研究・査読論文の参照
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務