
💬 「子供のまぶたが片方だけ下がってる…気のせい?」
そう感じたことがある親御さん、その直感は正しいかもしれません。
子供の眼瞼下垂は、放置すると視力が一生回復しない「弱視」につながるリスクがあります。
でも、早期に気づいて適切な治療を受ければ、視力の発達を守ることができます。
この記事を読めば、
✅ 眼瞼下垂かどうかを見分けるサイン
✅ いつまでに病院へ行くべきか
✅ 手術の時期・治療の流れ
…がすべてわかります。
⚠️ 読まずにいると、「あのとき早く気づいていれば…」と後悔するケースも。
お子さんの目の未来のために、ぜひ最後までご覧ください。
目次
- 眼瞼下垂とはどんな状態?
- 子供の眼瞼下垂の主な原因
- 子供の眼瞼下垂で見られる症状・サイン
- 弱視・視力発達への影響
- 眼瞼下垂の診断・検査
- 子供の眼瞼下垂の治療法
- 手術のタイミングと年齢
- 治療後の経過とケア
- 日常生活で保護者が気をつけること
- まとめ
この記事のポイント
子供の眼瞼下垂は弱視や視力発達障害を引き起こすリスクがあり、早期発見・早期治療が重要。原因は先天性(眼瞼挙筋発育不全)と後天性(神経・筋疾患など)に分類され、重症例では生後数週間以内の緊急手術が必要な場合もある。
💡 眼瞼下垂とはどんな状態?
眼瞼下垂(がんけんかすい)とは、上まぶたが通常よりも下がった状態のことを指します。まぶたを持ち上げる筋肉(眼瞼挙筋)やそれを動かす神経に何らかの問題があることで、目が十分に開かなくなります。
通常、上まぶたの縁は黒目(角膜)の上部から1〜2ミリ程度の位置にあります。これが黒目の中央付近やそれ以下まで下がっている場合、眼瞼下垂と診断されます。程度は軽度から重度まで様々で、片側だけに現れる場合(片側性)と両側に現れる場合(両側性)があります。
大人の眼瞼下垂は加齢による筋肉の緩みが主な原因ですが、子供の場合は生まれつきの構造的な問題や、神経・筋肉の疾患が原因であることが多く、成人とは異なるアプローチが必要です。特に子供では、視力が発達する大切な時期にまぶたが視野を遮ることで、深刻な影響が生じる可能性があるため、早期発見と適切な対応が求められます。
Q. 子供の眼瞼下垂はなぜ弱視につながるのか?
子供の眼瞼下垂では、下がったまぶたが視軸を遮ることで網膜に鮮明な映像が届かなくなり、弱視が生じます。視力発達が活発な生後3ヶ月〜8〜10歳の「感受性期」に治療が遅れると、視力回復が困難になるため早期対応が重要です。
📌 子供の眼瞼下垂の主な原因
子供の眼瞼下垂は、大きく「先天性」と「後天性」に分けられます。それぞれの原因について詳しく見ていきましょう。
✅ 先天性眼瞼下垂
先天性眼瞼下垂は、生まれつきまぶたが下がっている状態で、子供の眼瞼下垂のなかで最も多いタイプです。原因のほとんどは、まぶたを持ち上げる筋肉である眼瞼挙筋の発育不全です。この筋肉が胎内での発育過程で十分に形成されなかったために、まぶたを正常に持ち上げる力が弱くなります。
先天性眼瞼下垂の多くは孤発例(家族歴のない単独の症例)ですが、遺伝的な要因が関与する場合もあります。また、一部の染色体異常や先天性症候群(例:ターナー症候群など)に伴って現れることもあります。
先天性眼瞼下垂のなかには、「マーカス・グン現象(Marcus Gunn jaw-winking phenomenon)」と呼ばれる特殊なタイプもあります。これは、口を動かしたり噛んだりするときにまぶたが動く(ウィンクのように動く)という特徴的な症状を示します。顎を動かす神経(三叉神経)と、まぶたを動かす神経(動眼神経)が異常につながっていることで起こると考えられています。
📝 後天性眼瞼下垂
後天性眼瞼下垂は、生まれた後に何らかの原因でまぶたが下がってくる状態です。子供の場合、以下のような原因が考えられます。
神経原性眼瞼下垂は、まぶたを動かす神経(動眼神経)に問題が生じることで起こります。動眼神経麻痺の原因としては、外傷、脳腫瘍、動脈瘤などがあり、緊急性が高い場合もあるため注意が必要です。特に、突然現れた眼瞼下垂に瞳孔散大(片方の瞳孔が大きくなる)を伴う場合は、速やかに医療機関を受診することが重要です。
筋原性眼瞼下垂には、重症筋無力症が代表的な原因として挙げられます。重症筋無力症は、筋肉と神経の接合部での信号伝達が正常に行われなくなる自己免疫疾患で、眼瞼下垂が初発症状として現れることが多い疾患です。眼瞼下垂が日内変動(夕方になるほど悪化する)を示す場合、この疾患の可能性を考える必要があります。
外傷性眼瞼下垂は、まぶたや周辺部への直接的な外傷によって生じます。転倒や衝突などで眼瞼挙筋が損傷した場合に起こります。また、眼周囲の手術(眼科手術など)後に生じることもあります。
機械的眼瞼下垂は、まぶた自体の腫瘍や腫れ(霰粒腫、麦粒腫など)によって物理的にまぶたが押し下げられる状態です。原因となっている腫れが解消されれば、多くの場合、まぶたの状態も改善します。
✨ 子供の眼瞼下垂で見られる症状・サイン
子供は自分の目の見え方を言葉でうまく伝えられないことが多いため、保護者が日常生活のなかでサインを見つけることがとても大切です。以下のような様子が見られる場合は、眼科での受診を検討してみましょう。
🔸 外見上のサイン
片方または両方のまぶたが下がっている、目の開きが左右で違う、まぶたの位置が非対称に見えるといった外見上の変化は、眼瞼下垂の最もわかりやすいサインです。特に写真を撮ったときに、片目だけ細く映っていることに気づく保護者の方も多くいます。
⚡ 代償的な姿勢・動作
まぶたが下がって視野が狭くなると、子供は無意識にそれを補おうとします。よく見られる代償的な動作として、あごを上げて物を見る(頭を後ろに傾ける)、眉毛を常に持ち上げている、額にしわがよっている、といったものがあります。これらの姿勢を長期間続けると、首や肩への負担、斜頸(首が傾いた状態)につながることもあります。
🌟 目の使い方に関するサイン
目を細めて見ようとする、テレビや本に顔を近づける、眩しそうにする、疲れやすく目をよくこするといった様子も見られることがあります。また、眼瞼下垂がある側の目をあまり使わないために、斜視(目の位置がずれる)が生じることもあります。
💬 乳幼児で特に注意したいサイン
乳幼児では、視力検査で自分の状態を伝えることができません。そのため、授乳中や抱っこのときによく目を細めている、片方の目だけをつぶりやすい、視線が合いにくいといった様子に注目することが大切です。新生児健診や乳幼児健診では医師が確認しますが、普段の生活で気になることがあれば、健診を待たずに眼科を受診することをお勧めします。
Q. 子供の眼瞼下垂の先天性と後天性の違いは?
先天性眼瞼下垂は生まれつき眼瞼挙筋の発育不全により生じ、子供に最も多いタイプです。後天性は生後に動眼神経麻痺・重症筋無力症・外傷などが原因で発症します。後天性では突然の発症に瞳孔散大や頭痛を伴う場合、緊急受診が必要です。
🔍 弱視・視力発達への影響
子供の眼瞼下垂が特に深刻な問題となる理由のひとつが、弱視(amblyopia)のリスクです。弱視とは、眼球そのものに異常がないにもかかわらず、視力が正常に発達しない状態を指します。
人間の視力は、生後から両目で鮮明な映像を見ることで徐々に発達します。この発達が最も活発な時期を「感受性期(視覚の感受性期)」と呼び、生後3ヶ月頃から始まり、8〜10歳頃まで続くとされています。この期間中に、片方の目が鮮明な映像を受け取れない状態が続くと、その目の視力が正常に発達せず、弱視になってしまいます。
眼瞼下垂がある場合、以下のようなメカニズムで弱視が生じることがあります。
まず、まぶたが下がることで視軸(物を見るための光の通り道)が遮られ、網膜に鮮明な映像が届かなくなります。これを「遮蔽弱視(deprivation amblyopia)」といい、弱視のなかでも最も重篤で治療が難しいタイプとされています。まぶたが瞳孔を完全に覆っている重症の場合、発症から数日〜数週間という非常に短い期間で弱視が生じることもあり、緊急性の高い状態です。
次に、眼瞼下垂があることで角膜(目の表面)の形が変形し、乱視が生じることがあります。乱視があると映像がぼやけて見え、これが原因で弱視になる場合もあります。
さらに、片側性の眼瞼下垂では、下がっているほうの目を使わずに良いほうの目だけで見ようとすることで、使われない目の視力発達が遅れる「不同視弱視」が生じることもあります。
弱視の治療には、感受性期の終わりまでに適切な視覚刺激を与えることが重要で、治療が遅れるほど視力の回復が困難になります。このため、子供の眼瞼下垂は「急ぎすぎない」ではなく、「早めに専門家に相談する」という姿勢が大切です。
💪 眼瞼下垂の診断・検査
子供の眼瞼下垂が疑われる場合、まずは眼科または小児眼科を受診します。診断では、病歴の聴取と視診を中心に、いくつかの専門的な検査が行われます。
✅ 問診・病歴確認
いつ頃からまぶたの下がりに気づいたか、生まれた直後からあったのか、途中から気になるようになったのか、変動(時間帯や疲れ具合による変化)はあるか、家族に同様の症状がある人はいるか、出産時に産鉗子(さんかんし)を使用したかどうか(先天性眼瞼下垂との関連が指摘されている)、といった情報を確認します。
📝 視力・屈折検査
子供の年齢に応じた方法で視力検査を行います。乳幼児には、視運動眼振(OKN)テスト、選好注視法(PL法)、視覚誘発電位(VEP)などの客観的な検査が行われます。3歳以上では絵視力表、5歳以上では通常の視力表が使われることが多いです。屈折検査(近視・遠視・乱視の程度を調べる検査)も行い、弱視の有無を評価します。
🔸 眼瞼下垂の程度を調べる検査
眼瞼下垂の程度を客観的に評価するために、以下のような測定が行われます。眼裂幅(まぶたの開きの幅)の測定、MRD(瞳孔から上まぶた縁までの距離)の測定、眼瞼挙筋機能(上まぶたの動きの範囲)の評価などが含まれます。これらの結果をもとに、眼瞼下垂の重症度と治療の必要性を判断します。
⚡ 原因の鑑別
先天性か後天性か、また原因となる疾患が何かを調べるために、神経学的検査、画像検査(MRIやCTスキャン)、血液検査などが必要に応じて行われます。特に後天性の眼瞼下垂では、重症筋無力症の検査(アイス・テストや薬理学的テスト、血液中の抗体検査など)や、動眼神経麻痺の原因を探るための画像検査が重要です。
🌟 斜視・両眼視機能の評価
眼瞼下垂に伴って斜視がないかどうか、両目で物を立体的に見る機能(両眼視機能)が正常かどうかも確認します。これらの評価は、治療計画を立てるうえで重要な情報となります。
Q. 子供の眼瞼下垂手術はどのように術式が選ばれるか?
眼瞼挙筋の機能が4〜5mm以上残っている場合は眼瞼挙筋前転術が選択されます。機能がほぼない重症例には前頭筋つり上げ術が用いられ、シリコンロッドまたは大腿筋膜が使われます。手術時期は弱視リスクや全身状態を考慮して専門医が総合的に判断します。

🎯 子供の眼瞼下垂の治療法
子供の眼瞼下垂の治療は、原因や重症度、弱視の有無などによって大きく異なります。主な治療法について説明します。
💬 弱視の治療(アイパッチ・点眼薬)
眼瞼下垂によって弱視が生じている場合、まず弱視の治療を優先することがあります。弱視の治療は、良いほうの目をアイパッチで覆ったり、アトロピン点眼薬で意図的にぼかしたりすることで、弱視になっているほうの目を強制的に使わせ、視力の発達を促す方法が取られます。
ただし、まぶたで視軸が完全に遮られている重症の場合は、弱視の治療よりも先に手術でまぶたを持ち上げることが必要になります。
✅ 手術治療
子供の眼瞼下垂の根本的な治療は手術です。手術の方法は、眼瞼挙筋の機能がどの程度残っているかによって選択されます。
眼瞼挙筋前転術(挙筋短縮術)は、眼瞼挙筋の機能がある程度残っている場合(眼瞼挙筋機能が4〜5mm以上)に行われる術式です。まぶたを持ち上げる筋肉を短くすることで、まぶたが上がりやすくします。筋肉の機能が活かせる分、より自然な動きに近い結果が期待できます。
前頭筋つり上げ術(前頭筋吊り上げ術)は、眼瞼挙筋の機能がほとんどない重症の先天性眼瞼下垂(眼瞼挙筋機能が3mm以下)に用いられます。まぶたと眉毛上の前頭筋(額の筋肉)をシリコンロッドや筋膜(太ももから採取した自己組織)などの吊り紐でつなぎ、眉を持ち上げる力でまぶたを開けられるようにします。眼瞼挙筋を使う術式に比べると、まぶたの動きがやや不自然になることがありますが、重症の眼瞼下垂には非常に有効な方法です。
シリコンロッドを使用した吊り上げ術と、大腿筋膜を使用した吊り上げ術では、それぞれ利点と欠点があります。シリコンロッドは採取手術が不要で手術時間が短いものの、感染や異物反応のリスクがあること、長期的にはたるみが生じやすいことが知られています。大腿筋膜は自己組織であるため生体親和性が高く長期的な成績が安定していますが、太ももに採取のための傷ができること、小さな子供では必要な量の筋膜を採取しにくいことが課題です。
📝 原因疾患の治療
後天性眼瞼下垂の場合は、原因となっている疾患の治療が優先されます。重症筋無力症であれば、コリンエステラーゼ阻害薬(ピリドスチグミンなど)の投与や免疫抑制療法が行われます。多くの場合、内科的治療によって眼瞼下垂が改善しますが、治療に反応しない場合には手術を検討することもあります。動眼神経麻痺が原因の場合は、原因(腫瘍、血管病変など)への治療が優先されます。
💡 手術のタイミングと年齢
子供の眼瞼下垂の手術時期については、専門家の間でも慎重な議論が続いているテーマです。手術のタイミングは、子供の年齢、眼瞼下垂の重症度、弱視の有無や進行度、全身状態などを総合的に判断して決定されます。
🔸 緊急手術が必要なケース
まぶたが瞳孔を完全に覆っている重症の先天性眼瞼下垂では、弱視の発症を防ぐために生後早期(数週間〜数ヶ月以内)に手術が必要になることがあります。このような場合、たとえ生後間もない乳児であっても、弱視のリスクが優先されるため、手術を急ぐ判断がなされることがあります。
⚡ 待機的手術を選択するケース
まぶたが瞳孔を遮っておらず、弱視のリスクが低い軽〜中等度の眼瞼下垂では、急いで手術を行う必要はないと判断されることがあります。この場合、定期的な眼科検診で視力・屈折・弱視の有無を注意深くモニタリングしながら、適切な時期を見極めます。
待機的手術の場合、全身麻酔のリスクが低くなる3〜5歳頃や、就学前の年齢を目安とすることが多いです。ただしこれはあくまで一般的な目安であり、個々の状態によって大きく異なります。
🌟 手術年齢と術式の選択
前頭筋つり上げ術で大腿筋膜を使用する場合は、十分な量の筋膜が採取できるようになる3歳以降が推奨されることが多いです。一方、シリコンロッドを用いる術式は年齢制限が低いため、緊急性が高い乳幼児にも対応できます。
また、小児の手術は全身麻酔下で行われるため、麻酔科医との連携や小児手術に精通した医療チームのもとで行われることが重要です。手術を受ける施設の選択も、治療の成否に大きく影響します。
いずれのケースでも、「この子の場合はいつ手術をするのがベストか」は、担当医が子供の状態を継続的に評価しながら判断することになります。保護者の方は、定期的な受診を欠かさず、担当医と十分なコミュニケーションをとることが大切です。
Q. 眼瞼下垂の手術後に保護者が注意すべきことは?
手術後はまぶたが完全に閉じにくい「兎眼」が生じやすく、角膜保護のため処方された目薬や眼軟膏を継続使用することが重要です。また、弱視がある場合は手術後もアイパッチや点眼薬による弱視治療を継続する必要があり、定期的な眼科受診も欠かせません。
📌 治療後の経過とケア
手術後は、まぶたの腫れや内出血が生じますが、これらは時間とともに落ち着いてきます。術後のケアや経過観察についても正しく理解しておきましょう。
💬 術直後の注意点

手術後しばらくの間は、まぶたが完全に閉じにくくなる「兎眼(とがん)」の状態になることがあります。これはまぶたを過度に持ち上げることで、眠っているときにも目が半開きになる状態で、角膜(目の表面)が露出して乾燥・傷つくリスクがあります。そのため、目薬や眼軟膏でしっかり保湿・保護することが必要です。担当医の指示に従って、適切な目薬・軟膏を使用しましょう。
また、術後の感染を防ぐため、清潔を保つことも大切です。目をこすったり、水が直接入ったりしないよう注意し、傷口が完全に癒えるまでは担当医の指示を守るようにしてください。
✅ 弱視治療の継続
眼瞼下垂の手術後も、弱視がある場合は引き続きアイパッチや点眼薬による治療を続ける必要があります。手術でまぶたが上がっただけでは弱視は改善しないため、地道な弱視治療が求められます。保護者の方が積極的に治療をサポートすることが、子供の視力回復に大きく貢献します。
📝 定期的な経過観察
手術後も定期的な眼科受診が必要です。まぶたの状態(過矯正・低矯正の確認)、視力・屈折の変化、弱視の改善具合、乱視の程度などをモニタリングします。子供は成長とともに顔の形や筋肉のバランスが変化するため、術後の状態が変わることがあります。再手術が必要になるケースも少なくないため、長期的なフォローアップが欠かせません。
🔸 学校・保育園・幼稚園との連携
弱視治療中は、アイパッチを日中の活動中に装用する必要があります。保育園や幼稚園、学校では周りの子供と見た目が違うことで、子供が精神的なストレスを感じることもあります。担任の先生や保育士に事情を伝え、子供がアイパッチ治療を受け入れやすい環境を整えることが大切です。近年ではカラフルなデザインのアイパッチも市販されており、子供が積極的に治療に参加できる工夫が広がっています。
✨ 日常生活で保護者が気をつけること
子供の眼瞼下垂を早期に発見し、適切な治療につなげるために、保護者の方が日常生活のなかで意識できることをまとめました。
⚡ 定期的な健診・眼科受診を怠らない
乳幼児健診では眼科的なスクリーニングが行われますが、すべての問題が必ずしも健診で発見されるわけではありません。気になることがあれば健診を待たずに眼科を受診することが大切です。また、「3歳児健診」での視力検査は特に重要です。この健診で異常が疑われた場合は、必ず眼科での精密検査を受けるようにしてください。
🌟 子供の目の様子を日常的に観察する
まぶたの位置に左右差はないか、顎を上げたり頭を傾けたりして物を見ていないか、目をよく細めたりこすったりしていないか、テレビや絵本に顔を近づけていないかといった点を日常的に確認しましょう。スマートフォンやカメラで定期的に写真を撮っておくと、変化に気づきやすくなります。
💬 急な変化には迅速に対応する
これまでになかったまぶたの下がりが突然現れた場合は、速やかに医療機関を受診してください。特に、まぶたの下がりとともに瞳孔(黒目の中の黒い部分)の大きさが左右で異なる場合、眼球の動きが悪くなる場合(斜視が新たに出現した場合)、頭痛や嘔吐を伴う場合は、緊急性が高い疾患(動脈瘤、脳腫瘍など)の可能性があるため、できる限り早く受診することが重要です。
✅ 治療中は根気強くサポートを続ける
弱視の治療は数ヶ月から数年にわたる長期的なプロセスです。子供にとってアイパッチは不快で嫌なものであることが多く、嫌がって外してしまうことも珍しくありません。しかし、アイパッチ治療は毎日きちんと行うことで初めて効果が出るものです。子供が治療を受け入れやすくなるよう、理由をわかりやすく説明し、治療を頑張ったことをほめる、アイパッチを楽しくデコレーションするなど、工夫しながらサポートしてあげましょう。
📝 精神的なサポートも忘れずに
眼瞼下垂は外見上の特徴を伴うことがあるため、子供が成長するにつれて見た目を気にし始めたり、友達から指摘されて傷つくことがあります。子供の気持ちに寄り添い、「治療中であること」「良くなるために頑張っていること」をポジティブに伝えることが大切です。学校や保育園でのいじめや孤立が心配な場合は、担任の先生と連携して対応することも検討してください。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では、「写真を撮ったときにまぶたの開きが左右で違う」と気づいた保護者の方が受診されるケースが多く、日常的な観察が早期発見につながっていると実感しています。子供の眼瞼下垂は弱視を引き起こす可能性がある一方で、適切な時期に適切な治療を行うことで視力の発達を守ることができますので、少しでも気になるサインがあれば、まずお気軽にご相談ください。お子さんの大切な視機能を守るために、保護者の方と二人三脚で丁寧に対応してまいります。」
🔍 よくある質問
先天性の場合は生まれつきまぶたが下がっているため、新生児期から気づくことがあります。写真撮影時に片目だけ細く映ることで気づく保護者の方も多くいます。乳幼児健診でのスクリーニングも有効ですが、気になるサインがあれば健診を待たずに眼科を受診することをお勧めします。
まぶたが視軸を遮ることで、網膜に鮮明な映像が届かなくなり、弱視が生じるリスクがあります。特に視力発達が活発な生後3ヶ月〜8〜10歳の「感受性期」に適切な治療を受けないと、視力回復が困難になる場合があります。気になるサインがあれば早めに専門医へご相談ください。
手術時期は眼瞼下垂の重症度や弱視の有無によって異なります。まぶたが瞳孔を完全に覆う重症例では、弱視予防のため生後数週間〜数ヶ月以内に緊急手術が必要なケースもあります。一方、弱視リスクが低い場合は全身麻酔のリスクが下がる3〜5歳頃を目安に手術を検討することが多いです。
手術でまぶたが上がっても、弱視が生じている場合はアイパッチや点眼薬による弱視治療を継続する必要があります。手術はあくまで視軸を確保するためのものであり、弱視そのものは別途治療が必要です。弱視治療は数ヶ月から数年にわたることもあり、保護者の根気強いサポートが大切です。
はい、突然現れた眼瞼下垂は速やかな受診が必要です。特に、瞳孔の左右差・眼球の動きの悪さ・頭痛や嘔吐を伴う場合は、動脈瘤や脳腫瘍など緊急性の高い疾患の可能性があります。このような症状が見られた際は、できる限り早く医療機関を受診してください。
💪 まとめ
子供の眼瞼下垂は、見た目の問題だけでなく、視力や脳の発達に直接関わる重要な医学的状態です。特に弱視のリスクがある場合は早期発見・早期治療が視力の予後を大きく左右するため、日常生活のなかで子供の目の様子を注意深く観察することが何よりも大切です。
「まぶたの開きが左右で違う」「顎を上げて物を見ている」「目を細めることが多い」といったサインに気づいたら、まずは眼科または小児眼科に相談することをお勧めします。治療は眼瞼下垂の原因や重症度によって異なり、弱視治療、手術、原因疾患の治療などを組み合わせて行われます。手術のタイミングは個々の状態に応じて専門医が判断しますが、弱視予防の観点から早急な対応が求められるケースもあります。
治療後も定期的な受診と継続的なフォローアップが重要で、弱視治療は長期間にわたることもあります。保護者の方のサポートが、子供の視力回復と健やかな発達に大きな力となります。何か気になることがあれば、ひとりで悩まず、専門の医療機関に早めに相談してください。
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📚 参考文献
- 日本形成外科学会 – 眼瞼下垂の定義・原因・手術術式(眼瞼挙筋前転術・前頭筋つり上げ術)に関する専門的情報
- 日本美容外科学会 – 眼瞼下垂の診断基準・治療法および手術適応に関する学会ガイドライン情報
- PubMed – 小児先天性眼瞼下垂と弱視リスク・手術タイミングに関する国際的な臨床研究文献
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務