
皮膚の下にやわらかいしこりを触れたとき、「これって大丈夫?」「放置して悪化しない?」と不安になっていませんか?
💡 この記事を読めば、血管脂肪腫の画像診断(エコー・MRI・CT)の見え方や、脂肪肉腫など悪性腫瘍との違いが正しく理解でき、適切な治療を受けるための判断ができるようになります。
🚨 「ただの脂肪のかたまりだろう」と放置してしまうと、悪性との鑑別が遅れるリスクがあります。しこりに気づいたら、早めの受診が大切です。
💬 こんな方にぴったりの記事です
✅ 皮膚の下にしこりがあって不安
✅ 血管脂肪腫と診断されたが詳しく知りたい
✅ 手術が必要かどうか判断したい
目次
- 血管脂肪腫とはどのような腫瘍か
- 血管脂肪腫の症状と発生しやすい部位
- 血管脂肪腫の画像診断の重要性
- 超音波(エコー)検査での血管脂肪腫の画像所見
- MRI検査での血管脂肪腫の画像所見
- CT検査での血管脂肪腫の画像所見
- 通常の脂肪腫・血管脂肪腫・その他腫瘍との画像上の違い
- 血管脂肪腫の診断フローと病理検査の役割
- 血管脂肪腫の治療方法と手術の適応
- 血管脂肪腫に関してよくある疑問
- まとめ
この記事のポイント
血管脂肪腫は脂肪組織と血管成分が混在する良性腫瘍で、若年男性の前腕に好発し圧痛を伴う。MRI脂肪抑制画像や造影検査が鑑別診断に有効で、脂肪肉腫との区別には画像診断と病理検査が不可欠。治療は局所麻酔下の外科的切除が基本となる。
💡 血管脂肪腫とはどのような腫瘍か
血管脂肪腫(angiolipoma)は、脂肪組織と血管成分が混在して形成される良性の軟部腫瘍です。通常の脂肪腫と非常によく似た見た目をしていますが、腫瘍内部に豊富な毛細血管を含む点が大きな特徴であり、病理学的にも明確に区別されます。
血管脂肪腫は比較的若い年代、特に10代後半から30代にかけての男性に多く見られる傾向があります。一方で、通常の脂肪腫は中高年層に多く発生することが知られており、この発症年齢の違いも両者を区別するうえでのひとつの手がかりとなります。
腫瘍の大きさは多くの場合2cm以下と小さく、皮下脂肪層に存在します。複数の腫瘍が同時に発生する多発例が比較的多いことも特徴のひとつです。組織学的には、成熟した脂肪細胞の間に増生した小血管(毛細血管)が散在しており、血管内には特徴的なフィブリン血栓が形成されていることが確認されます。
一般的に悪性化することはないとされており、良性腫瘍として分類されますが、腫瘍の性質や位置によっては画像診断で悪性との鑑別が問題になる場合もあるため、適切な評価が必要です。
Q. 血管脂肪腫が好発する年齢や部位はどこですか?
血管脂肪腫は10代後半から30代の若年男性に多く発生し、前腕(特に内側)が最もよく見られる部位です。次いで上腕・体幹・大腿に発生します。腫瘍は2cm以下の小さなものが多く、複数同時に発生する多発例も比較的多い特徴があります。
📌 血管脂肪腫の症状と発生しやすい部位
血管脂肪腫の最も特徴的な症状は、触れると痛みを感じるしこり(有痛性腫瘤)です。通常の脂肪腫では触れても痛みを感じないことが多いのに対し、血管脂肪腫では圧迫すると痛みが生じるケースが多く、これが患者さんが受診するきっかけになることがよくあります。ただし、痛みの程度は個人差が大きく、まったく痛みを感じない場合もあります。
しこりの質感はやわらかく、皮膚の表面からは移動しやすい(可動性がある)ことが多いです。皮膚の色調変化(発赤や変色)はほとんど見られません。腫瘍を構成する血管成分が多い場合は、触れたときに硬めに感じられることもあります。
発生しやすい部位については、前腕(特に内側)が最も多く、次いで上腕・体幹・大腿などに発生します。頭頸部や手足の末端に発生することは比較的少ないとされています。複数のしこりが集中して発生する多発例では、前腕や体幹に広範に分布することがあります。
また、血管脂肪腫の中には「細胞性血管脂肪腫(cellular angiolipoma)」と呼ばれる、血管成分の割合が非常に高い亜型が存在します。この亜型は脂肪成分が少ないため、画像診断での評価がより難しく、悪性腫瘍との鑑別に注意が必要とされています。
✨ 血管脂肪腫の画像診断の重要性
皮膚の下に触れるしこりを評価する際、医師は問診・視診・触診に加えて、画像検査を組み合わせて診断を行います。血管脂肪腫の場合、画像診断が重要となる理由はいくつかあります。
まず、肉眼では区別できない複数の腫瘍の性質を事前に把握できる点が挙げられます。腫瘍の深さ・大きさ・内部構造・周囲組織との境界などを可視化することで、手術が必要かどうか、どのような手術アプローチをとるべきかを計画する際の重要な情報となります。
次に、悪性腫瘍(脂肪肉腫など)との鑑別に役立つという点があります。脂肪肉腫の中には、外見や触診では脂肪腫・血管脂肪腫と区別がつきにくいものがあるため、画像で内部の不均一性・石灰化・腫瘍の増大傾向などを確認することが不可欠です。
さらに、多発例においては個々の腫瘍の位置を術前に正確に把握しておくことで、手術の効率化や取り残しの防止に役立ちます。
現在、血管脂肪腫の画像診断に用いられる主な検査は、超音波(エコー)検査・MRI検査・CT検査の3種類です。それぞれの検査には特徴があり、使い分けが重要となります。
Q. 血管脂肪腫のMRI検査ではどのような所見が見られますか?
血管脂肪腫のMRI検査では、脂肪抑制画像において血管成分に対応する残存信号が確認されるのが重要な特徴です。通常の脂肪腫では信号が均一に抑制されますが、血管脂肪腫では不均一な残存信号が残ります。造影MRIでは血管成分に点状・網状の造影効果が認められることがあります。
🔍 超音波(エコー)検査での血管脂肪腫の画像所見
超音波(エコー)検査は、放射線被ばくがなく、リアルタイムに観察できる利点があるため、皮下腫瘍の初期評価として最もよく用いられる画像検査です。血管脂肪腫の超音波所見には、以下のような特徴があります。
エコー輝度(明るさ)については、通常の脂肪腫と同様に高エコー(周囲の組織より明るく見える)を示すことが多いです。しかし、腫瘍内の血管成分の割合が高くなるにつれて、内部が不均一になったり、低エコー成分(暗く見える部分)が混在したりするようになります。
腫瘍の境界については、多くの場合は比較的明瞭な境界を持ち、周囲の皮下脂肪と区別できます。ただし、血管成分の多い細胞性血管脂肪腫では境界が不明瞭に見えることがあり、悪性腫瘍との鑑別が問題になる場合があります。
カラードプラ検査(血流を色で表示する機能)を併用すると、腫瘍内部に血流信号が検出されることがあります。これは腫瘍内の豊富な血管成分を反映しており、通常の脂肪腫と比べて血流が豊富であることを示す所見として参考になります。ただし、腫瘍が小さい場合や血管成分が少ない場合は、血流信号が検出されないこともあります。
後方エコーについては、腫瘍内の血管成分によって後方エコーが増強したり、減弱したりすることがあり、一定のパターンを示さないことも多いです。
超音波検査は簡便で繰り返し実施できる反面、検査者の技術や経験に依存する部分が大きく、腫瘍の種類を確定診断するためには他の画像検査や病理検査が必要となることが一般的です。
💪 MRI検査での血管脂肪腫の画像所見
MRI(磁気共鳴画像)検査は、軟部組織の評価に最も優れた画像検査であり、血管脂肪腫の詳細な評価においても非常に有用です。MRIでは複数のシーケンス(撮影条件)を組み合わせることで、腫瘍の成分や構造を詳しく評価できます。
T1強調画像では、脂肪成分が多い血管脂肪腫は脂肪と同様の高信号(白く明るく見える)を示します。腫瘍内の血管成分については、T1強調画像では脂肪成分の中に低信号成分(暗い部分)として混在して見えることがあります。
T2強調画像では、脂肪成分は中程度から高信号を示します。血管成分が豊富な部分はT2強調画像で高信号を示すことがあり、腫瘍内部の不均一性として確認されます。
脂肪抑制画像(STIR法やfat-sat T1法など)は、血管脂肪腫の評価において特に重要なシーケンスです。脂肪成分に由来する信号を抑制することで、血管成分や線維成分など、脂肪以外の成分を明確に描出できます。血管脂肪腫では、脂肪抑制を行っても消えない残存信号成分が観察されることがあり、これが通常の脂肪腫との重要な鑑別ポイントとなります。通常の脂肪腫は脂肪成分のみからなるため、脂肪抑制画像で信号がほぼ均一に抑制されますが、血管脂肪腫では血管成分に対応する不均一な残存信号が見られます。
造影MRI検査(ガドリニウム造影剤を用いたMRI)では、血管脂肪腫の血管成分が造影剤によって増強(enhanceされる)することがあります。この造影効果の有無や程度・パターンも、腫瘍の評価において参考になる所見です。ただし、通常の脂肪腫は造影効果をほとんど示さないのに対し、血管脂肪腫では内部に点状・網状の造影効果が認められることがあります。
細胞性血管脂肪腫(血管成分の割合が非常に高い亜型)では、脂肪成分が乏しいためMRI上でも脂肪腫らしい所見が得られにくく、悪性腫瘍(特に脂肪肉腫)との鑑別が非常に難しくなる場合があります。このような場合は、病理組織検査による確定診断が必要となります。

🎯 CT検査での血管脂肪腫の画像所見
CT(コンピュータ断層撮影)検査は、体内の構造を断面像として表示する画像検査です。血管脂肪腫のCT所見については、以下のような特徴があります。
CT値(ハウンスフィールド単位:HU)においては、脂肪組織は一般的に負のCT値(-50〜-150HU程度)を示します。血管脂肪腫の多くは脂肪成分を含むため、腫瘍全体または大部分が低CT値(脂肪密度)を示します。一方で、血管成分・フィブリン血栓・線維成分に対応する部分は、脂肪と比較して高いCT値(軟部組織密度)を示します。
このため、CT像では脂肪密度(低吸収)の中に、点状あるいは索状の軟部組織密度(高吸収)成分が混在するパターンが見られることがあります。この不均一な内部構造が、血管脂肪腫のCT上の特徴のひとつです。
造影CT検査(ヨード系造影剤を静脈内投与して撮影するCT)では、血管成分が豊富な部分に造影効果(造影剤の取り込みによる高吸収化)が認められることがあります。通常の脂肪腫では造影効果をほとんど示さないため、造影CTで腫瘍内部に明らかな造影効果が確認された場合は、血管成分を含む腫瘍(血管脂肪腫など)を疑う根拠となります。
ただし、CTは放射線被ばくを伴うことや、MRIと比較して軟部組織の分解能が劣ることなどから、皮下の軟部腫瘍評価においてはMRIが優先されることが多いです。CTは腫瘍内の石灰化の有無を確認したい場合や、体幹部など深部の腫瘍の評価において有用性が高くなります。
Q. 血管脂肪腫と脂肪肉腫を画像で見分けるポイントは何ですか?
脂肪肉腫を疑う画像所見として、腫瘍径5cm超・非脂肪成分の多さによる内部不均一・厚い隔壁や結節・強い造影効果・筋膜下への深部存在が挙げられます。血管脂肪腫は通常2cm以下の皮下腫瘍であるため、大きさや深さが鑑別の重要なポイントとなります。
💡 通常の脂肪腫・血管脂肪腫・その他腫瘍との画像上の違い
画像診断において、血管脂肪腫を他の腫瘍と正確に鑑別することは、治療方針の決定にとって非常に重要です。ここでは、代表的な腫瘍との画像上の違いについて整理します。
通常の脂肪腫との違いについては、通常の脂肪腫は成熟した脂肪細胞のみから構成されるため、超音波検査では均一な高エコー病変として、MRIでは全シーケンスで脂肪と同一の信号を示し、脂肪抑制画像で均一に信号が抑制されます。CT上でも均一な脂肪密度を示します。一方、血管脂肪腫は血管成分の混在により、超音波では内部が不均一で血流信号が検出されることがあり、MRIでは脂肪抑制画像で残存信号が見られ、造影検査で造影効果を示す点が異なります。有痛性であることも血管脂肪腫を疑う臨床的なポイントです。
脂肪肉腫(悪性腫瘍)との違いについては、脂肪肉腫は悪性の脂肪性腫瘍であり、特に高分化型脂肪肉腫は良性の脂肪腫と画像上の鑑別が難しい場合があります。脂肪肉腫を疑わせる画像所見としては、腫瘍径が5cmを超える大きなものであること、脂肪非含有成分(非脂肪成分)が多く腫瘍内部が不均一であること、厚い隔壁(septa)や結節を伴うこと、造影効果が強いこと、腫瘍が深部(筋膜下)に存在することなどが挙げられます。血管脂肪腫は通常2cm以下の小さな皮下腫瘍であることが多いため、大きなサイズや深部への浸潤を認める場合は脂肪肉腫の可能性を念頭に置いた評価が必要です。
その他の皮下腫瘍との鑑別については、粉瘤(表皮嚢腫)は超音波上で嚢胞状の均一な低エコー病変として見られることが多く、MRIでもT1低信号・T2高信号の嚢胞性病変として描出されます。神経鞘腫は神経に沿って発生し、超音波やMRIで特徴的な内部構造(Antoni A/B領域の混在)を示すことがあります。血管腫はT2強調MRI画像で非常に高い信号(明るく見える)を示す傾向があり、血管脂肪腫との鑑別ポイントとなります。
これらの画像所見の違いを総合的に評価することで、血管脂肪腫の診断精度が高まります。ただし、画像のみで確定診断に至らない場合は、最終的に病理組織検査が必要となります。
📌 血管脂肪腫の診断フローと病理検査の役割
血管脂肪腫の診断は、一般的に以下のような流れで行われます。
まず、患者さんが皮膚科・形成外科・整形外科などを受診し、問診と触診によって腫瘤の性状(大きさ・硬さ・可動性・圧痛の有無など)が確認されます。血管脂肪腫に特徴的な圧痛(押すと痛い)・やわらかさ・多発性・好発年齢などの臨床的特徴が揃っている場合は、この段階で血管脂肪腫が強く疑われます。
次に、画像検査が実施されます。初期評価としてはまず超音波(エコー)検査が行われることが多く、腫瘍の位置・大きさ・内部構造・血流の有無などが評価されます。超音波で得られた情報をもとに、さらに詳細な評価が必要な場合はMRI検査が追加されます。CTは必要に応じて追加されます。
画像検査で血管脂肪腫として矛盾しない所見が確認され、臨床像とも一致する場合は、切除(手術)が計画されます。切除後に摘出した腫瘍を病理検査(顕微鏡による組織学的検査)に提出し、最終診断が確定されます。
病理検査では、腫瘍組織の断面を薄くスライスして染色し、顕微鏡で観察します。血管脂肪腫の組織学的特徴としては、成熟した脂肪細胞の間に増生した小血管(毛細血管)が散在していること、血管内にフィブリン血栓が形成されていること、などが確認されます。これらの特徴を確認することで、血管脂肪腫の確定診断が行われます。
画像所見で悪性腫瘍が強く疑われる場合や、診断が不確かな場合には、切除前に針生検(細い針や太い針で組織の一部を採取する検査)が行われることもあります。ただし、皮下の小さな血管脂肪腫の場合は、直接切除して病理検査に提出する方が一般的なことが多いです。
Q. 血管脂肪腫の手術はどのような方法で行われますか?
血管脂肪腫の手術は基本的に局所麻酔下で行われます。腫瘍上の皮膚を小さく切開し、周囲の組織から腫瘍を剥離して摘出する方法です。小さな単発病変であれば外来で対応できる短時間の手術で済みます。アイシークリニック池袋院では、傷跡がなるべく目立たないよう縫合方法を工夫しています。
✨ 血管脂肪腫の治療方法と手術の適応
血管脂肪腫は良性腫瘍であるため、必ずしも治療が必要というわけではありません。しかし、以下のような場合には治療(手術による切除)を検討することになります。
まず、痛みが強い場合が挙げられます。血管脂肪腫は圧迫すると痛みを生じることが多く、日常生活に支障をきたすほどの有痛性腫瘤は切除の適応となります。次に、腫瘍が増大している場合です。経過観察中に腫瘍が明らかに大きくなってきた場合は、悪性の可能性も念頭に置いて積極的な診断・治療が行われます。また、腫瘍の大きさや位置が美容上・機能上問題となる場合も治療の対象となります。さらに、悪性腫瘍との鑑別が必要な場合には、診断目的での切除生検が行われます。
手術は局所麻酔下で行われることがほとんどで、腫瘍の上の皮膚を小さく切開し、周囲の組織から腫瘍を剥離して摘出します。手術時間は腫瘍の数・大きさ・位置によって異なりますが、小さな単発病変であれば外来で行うことができる短時間の手術です。
多発例では、すべての腫瘍を一度に切除することが難しい場合もあり、症状が強いものや悪性が疑われるものから優先的に切除する場合があります。
切除後の再発率は低いとされていますが、多発例では新しい部位に腫瘍が出現することがあるため、定期的な経過観察が勧められます。
手術を行わない場合は、画像検査(超音波など)を用いた定期的な経過観察が行われます。腫瘍の大きさの変化や新たな症状の出現がないかを確認し、変化があった場合は再評価を行います。
🔍 血管脂肪腫に関してよくある疑問

血管脂肪腫について、患者さんからよく聞かれる疑問をまとめます。
「血管脂肪腫はがんになりますか?」という疑問については、血管脂肪腫自体が悪性腫瘍(がん)に変化するリスクは非常に低いとされており、現時点では血管脂肪腫が悪性化した明確な報告はほとんどないと考えられています。ただし、外見や触診が似ている悪性腫瘍(脂肪肉腫など)と確実に鑑別するためにも、画像診断や病理検査による正確な診断が重要です。
「放置しても大丈夫ですか?」という疑問については、痛みが軽微で腫瘍が小さく、悪性を疑う所見がない場合は、経過観察という選択肢もあります。ただし、腫瘍が増大したり、痛みが強くなったりした場合は医療機関を受診してください。また、5cmを超えるような大きな腫瘤や、深部に存在する腫瘤については、自己判断での放置は避け、専門医による評価を受けることが大切です。
「子どもにも発生しますか?」という疑問については、血管脂肪腫は10代後半からの若年者に多く見られますが、小児への発生は比較的まれとされています。小児に発生する皮下腫瘤には別の疾患(血管腫・リンパ管腫など)が多いため、専門医による評価が推奨されます。
「家族にも同じようなしこりがありますが、遺伝しますか?」という疑問については、一部の多発性脂肪腫症(家族性多発脂肪腫症)の中に血管脂肪腫を含む症例が報告されており、遺伝的背景が関与している可能性が示唆されています。ただし、血管脂肪腫のすべてが遺伝するわけではなく、孤発例(単独で発生する例)も多くあります。
「手術後に傷跡は残りますか?」という疑問については、手術後には切開した部位に傷跡が残ります。傷跡の目立ち方は、腫瘍の位置・大きさ・皮膚の状態・縫合の方法などによって異なります。形成外科・皮膚科などの専門施設では、傷跡がなるべく目立たないよう縫合方法を工夫しています。術後の傷跡のケアについては、担当医に相談するとよいでしょう。
「どの科を受診すればいいですか?」という疑問については、皮膚科・形成外科・整形外科が一般的な受診科目となります。腫瘤の位置や症状に応じて適切な診療科が異なるため、まずはかかりつけ医に相談し、適切な専門科を紹介してもらうことも一つの方法です。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では、前腕や上腕に圧痛を伴う小さなしこりを主訴に受診される若い世代の患者様に、血管脂肪腫が確認されるケースを多く経験しています。通常の脂肪腫と見た目が似ていても、超音波検査やMRIを組み合わせることで血管成分の有無を丁寧に評価し、脂肪肉腫などの悪性腫瘍との鑑別を適切に行うことが大切です。「押すと痛いしこり」が気になっている方は、自己判断で放置せず、まずはお気軽にご相談ください。」
💪 よくある質問
最大の違いは腫瘍内部に豊富な血管成分を含む点です。通常の脂肪腫は脂肪細胞のみで構成されますが、血管脂肪腫は脂肪組織と毛細血管が混在しています。また、押すと痛みを感じる「有痛性」であること、10〜30代の若年男性に多く発生することも血管脂肪腫の特徴です。
MRI検査が最も有用です。特に脂肪抑制画像を用いることで、通常の脂肪腫では均一に抑制される信号が、血管脂肪腫では血管成分に対応する残存信号として確認できます。また造影MRIで血管成分の造影効果を評価することで、悪性腫瘍との鑑別にも役立ちます。
血管脂肪腫が悪性化するリスクは非常に低く、現時点では悪性化した明確な報告はほとんどないとされています。ただし、外見が似ている脂肪肉腫などの悪性腫瘍と確実に見分けるためにも、自己判断で放置せず、専門医による画像診断や病理検査を受けることが重要です。
基本的に局所麻酔下で腫瘍上の皮膚を小さく切開し、周囲組織から腫瘍を剥離して摘出します。小さな単発病変であれば外来で行える短時間の手術です。当院では傷跡がなるべく目立たないよう縫合方法を工夫しています。術後の傷跡ケアについては担当医にご相談ください。
皮膚科・形成外科・整形外科が一般的な受診科目です。腫瘤の位置や症状によって適切な診療科が異なるため、まずかかりつけ医に相談し、専門科を紹介してもらう方法もあります。当院(アイシークリニック池袋院)でも皮下腫瘍の診断・治療に関するご相談を承っております。
🎯 まとめ
血管脂肪腫は、脂肪組織と豊富な血管成分が混在した良性の軟部腫瘍です。若年男性の前腕などに好発し、圧痛(押すと痛み)を伴うしこりとして気づかれることが多いのが特徴です。
画像診断においては、超音波検査・MRI検査・CT検査がそれぞれ異なる役割を果たします。超音波検査では腫瘍内部の不均一性や血流信号の確認、MRI検査では脂肪抑制画像での残存信号や造影効果による血管成分の評価、CT検査では脂肪密度の中に混在する軟部組織成分の確認が可能です。特にMRI検査は軟部腫瘍の評価に優れており、通常の脂肪腫や悪性腫瘍との鑑別に重要な情報を提供します。
血管脂肪腫は基本的に良性であり悪性化のリスクは低いとされていますが、外見が似ている脂肪肉腫などの悪性腫瘍との正確な鑑別のためにも、適切な画像診断と病理検査による確定診断が不可欠です。治療は外科的切除が基本であり、局所麻酔下での切除術が外来で行われることがほとんどです。
皮膚の下に気になるしこりを感じた場合は、自己判断せずに早めに専門医を受診し、適切な診断を受けることをお勧めします。アイシークリニック池袋院では、皮下腫瘍の診断と治療に関するご相談を承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
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📚 参考文献
- 日本皮膚科学会 – 血管脂肪腫を含む皮下腫瘍の診断基準・治療ガイドラインに関する情報、および良性・悪性腫瘍の鑑別に関する学会見解
- 日本形成外科学会 – 血管脂肪腫の外科的切除適応・手術方法・術後管理に関する情報、および皮下軟部腫瘍の診療指針
- PubMed – 血管脂肪腫の超音波・MRI・CT画像所見、脂肪肉腫との鑑別診断、病理組織学的特徴に関する国際的な査読済み医学文献
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務