
ある日、手のひらを見たときに見慣れないほくろを発見して「これは何だろう」と気になった経験はないでしょうか。手のひらのほくろは体の他の部位と比べると出現頻度が低いため、いざ見つけると不安を感じる方も少なくありません。ほくろそのものは多くの場合、良性の色素性病変ですが、手のひらや足の裏など、摩擦が加わりやすい部位のほくろは、稀に悪性黒色腫(メラノーマ)との鑑別が必要になることがあります。本記事では、手のひらにほくろができる原因から、注意すべき見た目のサイン、受診の目安、クリニックで行われる検査や治療の流れまで、幅広くわかりやすくご説明します。
👇 こんなリスクがあります
- ⚡ メラノーマ(悪性黒色腫)の発見が遅れる可能性
- 📌 「ただのほくろ」と放置して手遅れになるケースも
- 🔸 どのタイミングで受診すればいいか、わからないまま不安が続く
- ✅ ABCDEルールで自分のほくろをすぐセルフチェックできる
- ✅ 「受診すべきサイン」が明確にわかる
- ✅ クリニックの検査・治療の流れがイメージできる
目次
- 📌 ほくろとはどのような皮膚病変か
- 📌 手のひらにほくろができる原因
- 📌 手のひらのほくろが持つ特徴
- 📌 注意すべきほくろの見た目のサイン(ABCDEルール)
- 📌 手のひらのほくろと悪性黒色腫(メラノーマ)の関係
- 📌 手のひらのほくろで受診すべきタイミング
- 📌 クリニックで行われる検査・診断の流れ
- 📌 ほくろの治療方法について
- 📌 手のひらのほくろを予防・悪化させないためのポイント
- 📌 まとめ
この記事のポイント
手のひらのほくろは多くが良性だが、日本人に多い末端黒子型黒色腫が好発する部位のため、ABCDEルールで定期的にセルフチェックし、形・色・大きさの変化があれば皮膚科専門医へ早期受診することが重要。
💡 1. ほくろとはどのような皮膚病変か
ほくろの正式名称は「色素性母斑(しきそせいぼはん)」または「母斑細胞母斑(ぼはんさいぼうぼはん)」といいます。皮膚の色を作り出すメラニン色素を産生する細胞「メラノサイト」が、皮膚の中で集まって塊を形成したものがほくろです。メラノサイトが変化した「母斑細胞(ぼはんさいぼう)」が集積することで、皮膚の表面に茶色から黒色の色素班として現れます。
ほくろは生まれつきのものと、生後に新たに出現するものの2種類に大別されます。生まれつきのほくろは「先天性母斑」と呼ばれ、母体内でメラノサイトが皮膚へ移動する過程で生じると考えられています。一方、後天的に現れるほくろは「後天性母斑」と呼ばれ、多くは成長とともに徐々に形成されます。一般的に後天性のほくろは20代から30代にかけて最も増えやすく、加齢とともに変化することもあります。
ほくろの色は薄いベージュから茶色、濃い茶色、黒色まで幅があります。形も平坦なものからドーム状に盛り上がったもの、半球状に突起したものなど多様です。皮膚の中でのメラノサイトの位置によって「表皮内母斑」「真皮内母斑」「複合母斑」などに分類されます。これらはいずれも基本的には良性ですが、中には変化に注意が必要なほくろも存在します。
Q. 手のひらにほくろができる主な原因は何ですか?
手のひらのほくろは、遺伝的要因・紫外線・物理的摩擦・ホルモンバランスの変化などが原因で生じます。ペンや工具を繰り返し握ることによる皮膚への刺激や、運転中に無意識に紫外線を浴びることも要因の一つとして考えられています。
📌 2. 手のひらにほくろができる原因
手のひらにほくろができる原因は、他の部位と基本的には同じメカニズムで起こります。ただし、手のひらは日常生活の中で摩擦や圧力、紫外線の影響を受けやすい部位でもあるため、いくつかの要因が組み合わさることがあります。
まず挙げられるのが遺伝的な要因です。親や祖父母にほくろが多い場合、子どもにもほくろができやすい傾向があります。メラノサイトの分布や活性は遺伝的に影響を受けることが知られており、手のひらのほくろも例外ではありません。
次に紫外線の影響があります。手のひらは日常的に外部に露出することが多い部位であり、紫外線を浴びる機会が少なくありません。紫外線はメラノサイトを刺激してメラニンの生産を促し、ほくろの形成や色素沈着の原因になることがあります。屋外での作業や運転中など、無意識に手のひらが紫外線にさらされている場面は意外に多いものです。
また、物理的な刺激も関係するとされています。手のひらは日常的に多くの摩擦や圧力を受ける部位です。たとえばペンを握る、工具を使う、スポーツでラケットやグリップを握るといった動作が繰り返されることで、皮膚細胞への刺激が蓄積し、メラノサイトの活性化につながる可能性があります。ただし、この点については現時点で確定的な医学的エビデンスがあるわけではなく、要因の一つとして考えられている段階です。
さらに、ホルモンバランスの変化もほくろの出現に関与することがあります。妊娠中や思春期、更年期など、ホルモンが大きく変化する時期には、既存のほくろが濃くなったり、新たなほくろが出現したりすることがあります。これはメラノサイトの活性がホルモンの影響を受けるためです。
年齢とともに新たなほくろが増えることも自然な現象の一つです。特に20代から30代にかけては後天性のほくろが増えやすく、手のひらを含む全身にほくろが出現することがあります。一方で、加齢により既存のほくろが薄くなったり、変化したりすることもあります。
✨ 3. 手のひらのほくろが持つ特徴
手のひらのほくろには、体の他の部位のほくろとは異なるいくつかの特徴があります。まず、手のひらは「無毛部(むもうぶ)」と呼ばれる体毛が生えない部位です。一般的なほくろは体毛を伴うことがありますが、手のひらのほくろには毛が生えません。これは無毛部の皮膚構造の違いによるものです。
手のひらの皮膚は、足の裏や手足の指先と同様に「末端黒子型(まったんこくしがた)」のほくろが生じやすい部位です。この末端黒子型は日本人を含むアジア人に多く見られる特徴的な色素性病変で、欧米人には比較的少ないとされています。
また、手のひらは常に摩擦や圧力にさらされているため、ほくろが刺激を受けやすい環境にあります。このことが、手のひらのほくろに変化が生じやすい一因になることもあります。たとえば、ほくろの表面が少し盛り上がる、色が変わるといった変化が、単なる摩擦によるものなのか、あるいは別の原因によるものなのかを見極めることが重要になります。
さらに、手のひらのほくろは皮膚科的には「末端黒子型黒色腫(まったんこくしがたこくしょくしゅ)」との鑑別が特に重要とされる部位です。悪性黒色腫(メラノーマ)の中でも、日本人に多いとされるこのタイプは手のひら、足の裏、爪周辺などに生じやすく、早期発見と適切な診断が非常に大切です。
Q. ABCDEルールとは何ですか?
ABCDEルールはほくろの悪性度を自己チェックする目安です。A=非対称性、B=境界の不整、C=色の不均一、D=直径6mm以上、E=短期間での変化、の5項目を確認します。一つでも当てはまる場合は皮膚科専門医への早期受診が推奨されます。
🔍 4. 注意すべきほくろの見た目のサイン(ABCDEルール)
ほくろが良性なのか、注意が必要なのかを自己判断する際の目安として、皮膚科の世界では「ABCDEルール」がよく用いられます。このルールは悪性黒色腫の早期発見を目的として作られたチェックリストで、手のひらのほくろを観察する際にも役立てることができます。
Aは「Asymmetry(非対称性)」を指します。ほくろの形が左右対称でなく、歪んでいたり、片方だけが突出していたりする場合は注意が必要です。良性のほくろは比較的均一な形をしていることが多いです。
Bは「Border(境界)」を指します。ほくろの縁がギザギザしていたり、不規則だったり、周囲の皮膚との境界がはっきりしていない場合は要注意です。良性のほくろは境界が比較的なめらかで明確なことが多いです。
Cは「Color(色調)」を指します。ほくろの中に複数の色が混在している場合、たとえば茶色と黒が混在していたり、赤みがかっていたり、色が部分的に抜けているように見える場合は注意が必要です。均一な一色のほくろは比較的安全とされることが多いですが、色調の不均一さは見逃せないサインです。
Dは「Diameter(大きさ)」を指します。一般的に直径6mm以上のほくろは、悪性の可能性を考慮して精密検査を検討するケースがあります。ただし、大きさだけが唯一の判断基準ではなく、他の要素と合わせて評価することが重要です。
Eは「Evolution(変化)」を指します。ほくろの大きさ、形、色が短期間で変化している場合は、特に注意が必要です。急に大きくなった、色が変わった、出血するようになった、かゆみや痛みが出てきたといった変化は、皮膚科への受診を急ぐべきサインです。
これらのABCDEルールはあくまでも自己チェックの目安であり、専門家による診断の代わりにはなりません。一つでも当てはまる項目があれば、早めに皮膚科を受診することをお勧めします。また、何も当てはまらなくても、気になる変化があれば遠慮なく専門家に相談してください。
💪 5. 手のひらのほくろと悪性黒色腫(メラノーマ)の関係
悪性黒色腫(メラノーマ)は皮膚がんの一種で、メラノサイトが悪性化することで発症します。日本国内での発生頻度はそれほど高くはありませんが、進行が速く、リンパ節や内臓への転移が早期から起こりうるため、早期発見・早期治療が非常に重要な疾患です。
悪性黒色腫にはいくつかのタイプがあり、その中でも日本人を含む東アジア人に多く見られるのが「末端黒子型黒色腫(acral lentiginous melanoma)」です。このタイプは名前の通り、手のひら、足の裏、指先、爪の下などの末端部位に好発します。欧米では全体の悪性黒色腫の中で占める割合が低いのですが、日本人ではこのタイプが最も多く、全悪性黒色腫の約30〜40%を占めるという報告もあります。
末端黒子型黒色腫の初期段階は、色素の濃い平坦な色素班として現れることが多く、一見すると普通のほくろと区別がつきにくいことがあります。そのため、「ずっと前からあったほくろが大きくなってきた」「色が変わってきた」という形で気づかれることが多く、発見が遅れるケースも少なくありません。
ただし、手のひらにほくろがあるからといって、すべてが悪性黒色腫を疑う必要があるわけではありません。多くは良性の色素性母斑です。重要なのは、前述のABCDEルールを参考にしながら定期的に観察し、変化があれば早めに皮膚科専門医に診てもらうことです。
また、悪性黒色腫のリスク因子として挙げられるものには、家族歴(遺伝的な素因)、多数のほくろ、免疫抑制状態、過去の重篤な日焼けなどがあります。これらのリスク因子がある方は特に、定期的な皮膚の観察と定期検診を心がけることが大切です。
Q. 日本人の手のひらのほくろが特に注意される理由は?
日本人を含む東アジア人は「末端黒子型黒色腫」が手のひら・足の裏・爪周辺に好発しやすく、日本人の悪性黒色腫全体の約30〜40%を占めます。初期は普通のほくろと見分けにくいため、変化を見逃さず皮膚科専門医に相談することが重要です。

🎯 6. 手のひらのほくろで受診すべきタイミング
手のひらにほくろを見つけた場合、すべてのケースで緊急受診が必要というわけではありませんが、以下のような状況では早めに皮膚科専門医を受診することをお勧めします。
まず、ほくろが短期間で急に大きくなった場合です。数週間から数か月で目に見えて変化した場合は、早めに専門家に診てもらうことが大切です。良性のほくろが突然急成長することは通常ほとんどなく、何らかの変化が起きているサインである可能性があります。
次に、色の変化が見られる場合です。以前と比べてほくろの色が濃くなった、色にムラが出てきた、一部が明らかに黒くなった、あるいは逆に色が部分的に薄くなったといった変化は注意が必要です。
ほくろから出血したり、じくじくと液体が染み出したりする場合も受診が必要です。通常のほくろは自然に出血することはなく、こうした症状は皮膚科的な精査が必要なサインです。
ほくろにかゆみや痛みがある場合も受診のきっかけとしてください。かゆみは炎症を示すこともあり、摩擦による刺激や悪性変化の可能性も含めて評価が必要です。
形が不規則になってきた、境界がぼやけてきた、表面が凹凸になってきたといった変化も、受診を検討すべきサインです。
また、明確な変化がなくても、以前から気になっていたほくろがある場合や、ほくろが直径6mm以上の場合は、一度皮膚科で確認してもらうと安心です。特に家族に悪性黒色腫や皮膚がんの既往がある方は、定期的な皮膚チェックを受けることをお勧めします。
受診の際に迷う方もいらっしゃいますが、「大げさかもしれない」と思って受診を遅らせることで、万が一の際に治療が難しくなることもあります。少しでも気になる変化があれば、早めに相談することが大切です。
💡 7. クリニックで行われる検査・診断の流れ
手のひらのほくろを皮膚科やクリニックで診てもらう際、どのような流れで診断が進むのかをご説明します。事前に知っておくことで、受診への不安が和らぐかと思います。
まず、問診から始まります。いつからほくろがあるか、最近変化を感じたかどうか、家族にほくろや皮膚がんの既往があるか、過去に皮膚の病変を指摘されたことがあるかなどについて確認されます。日常生活での手の使い方や職業、趣味なども参考にされることがあります。
次に視診と触診が行われます。医師が肉眼でほくろの色、形、大きさ、境界、表面の状態などを詳細に観察します。必要に応じて、ほくろを指で軽く触れて硬さや弾力なども確認します。
多くの皮膚科専門医が用いる重要な検査ツールとして「ダーモスコピー」があります。ダーモスコープは皮膚を拡大して観察する特殊な器具で、肉眼では見えない皮膚の深部の構造や色素のパターンを詳細に観察することができます。ダーモスコピーによる観察では、ほくろの色素分布のパターン、血管の走行など、良性と悪性を鑑別するための重要な情報を得ることができます。特に末端黒子型の病変の評価には欠かせない検査です。
ダーモスコピーで異常が疑われる場合や、外見上明らかに問題がありそうな場合は、組織検査(生検)が行われます。局所麻酔を施した後、ほくろの一部または全体を切除して病理検査に提出します。採取した組織を顕微鏡で詳しく調べることで、良性か悪性かを最終的に確定することができます。生検は確定診断のための最も信頼性の高い方法です。
悪性黒色腫が確認された場合は、がんの進行度(ステージ)を評価するために、超音波検査やCT・MRIなどの画像検査が追加されることがあります。リンパ節や他の臓器への転移の有無を確認するための検査です。
良性と診断された場合は、定期的な経過観察を行いながら問題がなければそのままにすることもありますし、本人の希望や医師の判断で除去を選択することもあります。
Q. 手のひらのほくろを悪化させないためのポイントは?
手のひらにも日焼け止めやUV手袋で紫外線対策を行い、ほくろを自己処置で傷つけないことが大切です。月に一度スマートフォンで撮影して変化を記録するセルフチェックを習慣にすることで、早期に異常を発見しやすくなります。保湿ケアも皮膚のバリア機能維持に効果的です。
📌 8. ほくろの治療方法について
手のひらのほくろに対して行われる治療方法は、ほくろの性質(良性・悪性)やサイズ、患者さんの希望などによって異なります。以下に主な治療方法をご紹介します。
良性のほくろに対して最もよく行われる治療の一つが「切除術」です。局所麻酔を行い、ほくろを含む皮膚を外科的に切り取り縫合する方法です。確実にほくろを除去できるうえ、切除した組織を病理検査に提出することができるという利点があります。術後は縫合糸が残るため、一定期間後に抜糸が必要です。傷跡は時間とともに目立たなくなりますが、完全に消えるわけではありません。
「くり抜き法(パンチ法)」は、円形の専用刃(パンチ)を使ってほくろを円柱状にくり抜く方法です。小さなほくろに適しており、縫合が不要な場合もあります。手術の手技が比較的シンプルで、日帰りで行えることが多いです。
「レーザー治療」は、特定の波長のレーザー光をほくろに照射してメラニン色素を破壊する方法です。炭酸ガス(CO2)レーザーやQスイッチNd:YAGレーザーなどが用いられます。傷跡が比較的目立ちにくいというメリットがある一方、切除した組織が残らないため病理検査ができないという点があります。このため、悪性が疑われるほくろにはレーザー治療は適しておらず、良性と確認されたほくろに限定されます。また、深いほくろや大きなほくろには複数回の施術が必要になることがあります。
悪性黒色腫が確認された場合の治療は、ステージによって大きく異なります。初期段階であれば、がんを十分なマージンをとって外科的に切除します。進行している場合は、免疫チェックポイント阻害薬や分子標的薬による薬物療法、放射線治療などが組み合わせられることがあります。治療は皮膚科専門医や皮膚科・形成外科・腫瘍内科が連携して行います。
手のひらは日常的によく使う部位であるため、術後のケアも重要です。傷口が乾燥しないようにする、縫合部分に過度な力をかけない、水作業の際は防水テープや手袋で保護するなど、クリニックの指示に従ってケアを行うことが大切です。
治療方法の選択については、ほくろの状態や部位、大きさ、患者さんの希望などを総合的に考慮して、担当医と相談しながら決定することが大切です。アイシークリニック池袋院では、患者さん一人ひとりの状況に合わせた丁寧なカウンセリングのもと、最適な治療法をご提案しております。
✨ 9. 手のひらのほくろを予防・悪化させないためのポイント

ほくろそのものを完全に予防することは難しいですが、日常生活の中でほくろへの悪影響を最小限にするための工夫は可能です。以下のポイントを参考にしてください。
紫外線対策を徹底することが基本です。手のひらへの紫外線ケアは見落とされがちですが、外出時には日焼け止めを手の甲だけでなく手のひらにも塗ること、UV手袋を活用することなどが有効です。紫外線はほくろの色を濃くしたり、皮膚全体のダメージを積み重ねたりすることで、長期的なリスクを高める可能性があります。
過度な摩擦や刺激を避けることも大切です。手のひらのほくろは日常生活の中で自然に摩擦を受けてしまいますが、意識的に強くこすったり、ほくろを自分で引っ掻いたり削ったりするようなことは避けてください。自己処置でほくろを傷つけると、炎症を起こすほか、正確な診断が難しくなることもあります。
定期的にほくろの状態をセルフチェックすることも重要です。月に一度程度、鏡や写真を使って手のひらのほくろの状態を観察する習慣をつけると、変化に早期に気づきやすくなります。スマートフォンのカメラで撮影して記録しておくと、前の状態と比較しやすく便利です。
免疫機能を低下させない生活習慣も、皮膚の健康を守るうえで大切です。十分な睡眠、バランスのとれた食事、適度な運動、禁煙などは全身の健康を支えるとともに、皮膚の免疫機能を維持する助けになります。
悪性黒色腫の家族歴がある方や、多数のほくろがある方は、定期的に皮膚科専門医によるスクリーニング検査を受けることをお勧めします。専門医による定期的な皮膚観察は、早期発見への最も効果的な手段の一つです。
また、ほくろが気になる部位に保湿ケアを怠らないことも皮膚の健康維持に役立ちます。手のひらは洗い物など水を使う機会が多く乾燥しやすい部位です。乾燥によって皮膚のバリア機能が低下すると、外部刺激に対して敏感になりやすくなります。ハンドクリームなどで適切に保湿することで、皮膚の状態を良好に保ちましょう。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では、手のひらや足の裏のほくろを気にして来院される患者様が一定数いらっしゃいますが、多くの方が「大げさかと思ったけれど、来てよかった」とおっしゃいます。日本人に多い末端黒子型黒色腫は初期段階では普通のほくろと見分けがつきにくいため、「なんとなく気になる」という直感は大切にしていただきたいと思います。変化が気になる場合はどうぞ一人で悩まず、まずは気軽にご相談ください。」
🔍 よくある質問
手のひらのほくろの多くは良性の色素性母斑ですが、日本人に多い「末端黒子型黒色腫」はこの部位に好発します。日本人の悪性黒色腫の約30〜40%を占めるタイプです。すべてが危険というわけではありませんが、変化が気になる場合は早めに皮膚科専門医への相談をお勧めします。
「ABCDEルール」を目安にセルフチェックできます。非対称性(A)・境界の不整(B)・色の不均一(C)・直径6mm以上(D)・短期間での変化(E)の5項目が確認ポイントです。ただし、あくまで自己チェックの目安であり、確定診断は皮膚科専門医によるダーモスコピーや生検が必要です。
まず問診・視診・触診が行われ、続いて「ダーモスコピー」という専用器具で皮膚の深部構造や色素パターンを詳細に観察します。悪性が疑われる場合は、局所麻酔のもとでほくろを採取する「生検(組織検査)」を行い、顕微鏡による病理検査で最終的な診断を確定します。
良性のほくろには「切除術」「くり抜き法(パンチ法)」「レーザー治療」などがあります。切除術は確実性が高く病理検査も可能です。レーザー治療は傷跡が比較的目立ちにくい反面、病理検査ができないため良性と確認されたほくろのみに適用されます。最適な方法は医師との相談のうえで決定します。
主に3つのポイントが大切です。①手のひらにも日焼け止めやUV手袋で紫外線対策をする、②ほくろを強くこすったり自己処置で傷つけたりしない、③月に一度スマートフォンで撮影して変化を記録するセルフチェックを習慣にする、です。また、保湿ケアで皮膚のバリア機能を維持することも効果的です。
💪 まとめ
手のひらにほくろができることは、必ずしも深刻な問題を意味するわけではありません。多くは良性の色素性母斑であり、特に治療を必要としないケースも多くあります。しかし、手のひらや足の裏などの末端部位は、日本人に多い末端黒子型黒色腫が好発する部位でもあるため、変化に対して注意深く向き合うことが大切です。
ABCDEルールを活用した定期的なセルフチェックを習慣にし、非対称性・境界の不整・色の不均一・大きさの変化・急速な変化といったサインを見逃さないようにしましょう。特に短期間での変化、出血、かゆみ、痛みが現れた場合は、早めに皮膚科専門医を受診することをお勧めします。
皮膚科では視診・ダーモスコピー・必要に応じた生検といった検査を通じて、ほくろが良性か悪性かを正確に診断することができます。良性と判断された場合でも、経過観察や患者さんの希望に応じた切除などの選択肢が用意されています。
「これくらいのほくろで病院に行くのは大げさかな」と感じる方も多いかと思いますが、皮膚疾患の多くは早期発見・早期治療が経過を大きく左右します。手のひらのほくろが気になったら、一人で不安を抱えずに、まず専門家に相談する一歩を踏み出してください。アイシークリニック池袋院では、皮膚のお悩みについて丁寧にご説明し、患者さんに合った対応をご提案しています。お気軽にご相談ください。
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📚 参考文献
- 日本皮膚科学会 – 悪性黒色腫(メラノーマ)の定義・種類・末端黒子型黒色腫の特徴・ABCDEルールによる診断基準・治療方法(切除術・薬物療法など)に関する専門的な情報源として参照
- 厚生労働省 – 皮膚がん(悪性黒色腫)に関するがん対策・早期発見の重要性・受診推奨に関する公的情報源として参照
- PubMed – 日本人における末端黒子型黒色腫(acral lentiginous melanoma)の発生頻度・統計データ(全悪性黒色腫の約30〜40%を占めるという報告)・ダーモスコピーによる診断に関する医学的エビデンスの参照元として使用
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務