マダニに噛まれたら?症状・対処法・病院受診の目安を解説

アウトドアや農作業、ペットの散歩など、自然と触れ合う場面で遭遇するリスクがあるマダニ。「気づいたら皮膚に刺さっていた」という経験をお持ちの方もいるかもしれません。マダニは単なる虫刺されとは異なり、感染症を媒介する危険な節足動物です。適切な処置を行わないと、重篤な合併症を引き起こすこともあります。この記事では、マダニに噛まれたときに知っておくべき症状や対処法、病院への受診タイミングについて、できるだけわかりやすく解説します。


目次

  1. マダニとはどんな生き物か
  2. マダニに噛まれやすい場所・シーズン
  3. マダニに噛まれたときの症状
  4. マダニが媒介する主な感染症
  5. マダニに噛まれたときの正しい対処法
  6. やってはいけないNG対処法
  7. 病院受診の目安とタイミング
  8. マダニに噛まれないための予防策
  9. まとめ

この記事のポイント

マダニに噛まれた際は火で焼く・無理に引き抜くなどのNG対処を避け、速やかに医療機関を受診することが重要。致死率の高いSFTSなど感染症の発症リスクがあるため、除去後も2〜4週間は発熱・発疹などの体調変化を観察し、症状が現れたら即受診すること。

🎯 マダニとはどんな生き物か

マダニは、クモやサソリと同じ節足動物の仲間で、昆虫とは異なります。体長は通常1〜3ミリメートルほどですが、吸血すると1センチメートル以上に膨らむこともあります。日本には約50種類以上のマダニが生息しており、山林や草むら、河川敷などに多く分布しています。

マダニは哺乳類、鳥類、爬虫類などの動物に寄生して血を吸いながら成長します。幼虫・若虫・成虫のライフサイクルを経て、それぞれのステージで吸血を行います。吸血時間は数日にわたることもあり、その間に唾液を介して様々な病原体を宿主に感染させることがあります。

よく混同されるイエダニやツツガムシとは異なる生き物で、それぞれ媒介する感染症も異なります。マダニが特に問題とされるのは、致死率の高い感染症を媒介するケースがあるためです。国内でもマダニによる感染症で死亡するケースが毎年報告されており、決して他人事ではありません。

Q. マダニが活発に活動する季節と場所はどこですか?

マダニは主に春から秋(3〜11月)に活発で、気温15度以上になると動き始め、5〜8月がピークです。山林・草むら・農耕地・河川敷などに多く生息しますが、都市部の公園にも存在します。地面から30〜60センチの草や低木の葉先で獲物を待ち構えています。

📋 マダニに噛まれやすい場所・シーズン

マダニが多く生息する場所としては、山林・森林、草むら、農耕地、河川敷などが挙げられます。都市部の公園にも生息していることがあり、「自分には関係ない」とは言い切れません。マダニは草の葉先や低木の枝に潜んで獲物が通るのを待ち、触れたものに素早く移動して皮膚に取り付きます。

特にリスクが高いのは次のような行動や職業です。ハイキングやキャンプ、登山などのアウトドア活動、農業・林業・造園業などの屋外作業、ゴルフや野外スポーツ、野生動物や野生鳥類との接触、ペット(特に犬)の散歩などです。ペットが屋外からマダニを連れ帰り、室内で人を刺すケースも報告されています。

マダニが活発に活動するシーズンは主に春から秋(3月〜11月頃)で、気温が15度を超えると活動が活発になります。特に5〜8月は活動のピーク時期です。ただし、冬でも暖かい日には活動することがあるため、一年を通じて注意が必要です。

マダニは高温多湿を好み、落ち葉や草の陰に多く潜んでいます。低木の葉先や草の茎の高さ(地面から30〜60センチ程度)に多く待機しており、人や動物が通るときに脚の先端のフック状の器官を使って素早く付着します。

💊 マダニに噛まれたときの症状

マダニに噛まれた場合、最初は痛みやかゆみをほとんど感じないことが多いです。これはマダニの唾液に麻酔様の物質が含まれているためです。そのため、気づかないうちに長時間吸血されているケースが少なくありません。

マダニに噛まれた直後から数日以内に現れる局所症状としては、以下のものがあります。皮膚にマダニが食い込んでいる(黒いゴマ粒〜小豆大程度)、刺された部位の赤みや腫れ、軽度のかゆみや痛み(ない場合もある)などです。マダニを取り除いた後も、刺咬部位に赤い丘疹や硬結が残ることがあります。

感染症を発症した場合、噛まれてから数日〜2週間程度の潜伏期間を経て全身症状が現れます。発熱(38度以上の高熱になることもある)、頭痛、筋肉痛・関節痛、食欲不振、悪心・嘔吐、下痢などが主な症状です。発熱は感染症の種類によって38度台から40度を超えることもあります。

さらに重篤なケースでは、血小板や白血球の減少、肝機能障害、腎機能障害、出血傾向、意識障害なども起こりえます。これらの症状が出た場合は、速やかに医療機関を受診することが非常に重要です。

また、マダニに噛まれた全員が感染症を発症するわけではありません。マダニがすべての感染症を保有しているわけではなく、また吸血時間が短ければ感染リスクは下がるとされています。それでも、可能性がゼロではないため、噛まれた後は体調の変化に十分注意してください。

Q. マダニに噛まれたときのNG対処法を教えてください。

マダニに噛まれた際は、火で焼く・無理にひねって引き抜く・アルコールや油を塗る・素手でつぶすといった行為は厳禁です。これらはマダニが病原体を含む分泌物を皮膚内に逆流させる危険があります。放置も吸血時間が延び感染リスクが高まるため、速やかに医療機関を受診してください。

🏥 マダニが媒介する主な感染症

マダニが媒介する感染症は複数あり、それぞれ異なる病原体によって引き起こされます。日本国内で特に注意が必要な感染症を以下に紹介します。

🦠 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)

SFTSは、SFTSウイルスを持つマダニに噛まれることで感染するウイルス感染症です。2013年に日本で初めて確認されて以来、毎年100件前後の患者が報告されており、致死率は6〜30%程度と非常に高い感染症です。現在のところ有効なワクチンや特効薬はありません。

主な症状は発熱(38〜40度台)、消化器症状(悪心・嘔吐・下痢・腹痛)、血小板減少、白血球減少、肝機能・腎機能障害などです。重症化すると多臓器不全や出血傾向、神経症状(意識障害、けいれんなど)が現れ、死亡に至ることもあります。高齢者や免疫機能が低下している方は特に重症化しやすいとされています。

分布は西日本(九州・中国・四国地方)に多いものの、近年は関東・東北地方でも確認されており、全国的に注意が必要です。

👴 日本紅斑熱

日本紅斑熱はリケッチアという細菌の一種(Rickettsia japonica)がマダニを介して感染することで起こります。潜伏期間は2〜8日程度で、発熱(38〜40度)、発疹(体幹から四肢へと広がる赤い発疹)、刺し口(刺咬部位の赤みや壊死)が特徴的な三主徴です。

重症化すると播種性血管内凝固症候群(DIC)や多臓器不全を起こすことがあり、死亡例も報告されています。ドキシサイクリンなどの抗菌薬による早期治療が有効であり、早めの診断・治療開始が重要です。西日本を中心に分布していますが、全国的に発生しています。

🔸 ライム病

ライム病はボレリア(Borrelia burgdorferi sensu lato)という細菌によって引き起こされる感染症で、欧米では特に多く報告されています。日本でも北海道を中心に発生しており、年間数件〜十数件程度の患者が報告されています。

噛まれてから数日〜4週間後に、刺咬部位に遊走性紅斑(中心から広がるリング状の赤い発疹)が出現するのが特徴です。発熱、倦怠感、関節痛なども伴います。治療が遅れると、関節炎、神経症状(脳炎、顔面神経麻痺など)、心臓症状(心炎など)が出ることもあります。抗菌薬による治療が有効です。

💧 野兎病(ツラレミア)

野兎病はFrancisella tularensisという細菌が原因の感染症で、マダニのほか野兎など野生動物との接触でも感染します。日本では近年ほとんど報告されていませんが、過去に北海道で患者が確認されています。発熱、潰瘍性病変、リンパ節腫大などが主な症状で、抗菌薬で治療します。

✨ ダニ媒介性脳炎

ダニ媒介性脳炎ウイルスによる感染症で、欧州・ロシアなどに多いですが、日本でも北海道でウイルスを保有するマダニが確認されています。発熱・頭痛・脳炎症状が特徴で、ワクチンが海外では利用可能ですが、日本では未承認です。

⚠️ マダニに噛まれたときの正しい対処法

マダニに噛まれているのを発見したときは、焦らず適切に対処することが大切です。以下に正しい対処の手順を説明します。

📌 まず確認すること

皮膚に付着しているものがマダニかどうかを確認します。マダニは体が皮膚に食い込んでいる状態で発見されることが多く、黒い点のように見えます。体を引っ張ると動く場合は、まだ吸血前の可能性があります。完全に食い込んでいる場合は、無理に引き抜こうとしないことが重要です。

▶️ 医療機関に相談・受診する

マダニが皮膚に食い込んでいる状態では、自己処置よりも医療機関での除去が推奨されます。皮膚科や内科に連絡して受診の相談をしましょう。医師は専用のピンセットや除去ツールを使用して、マダニを安全に取り除きます。

医療機関で取り除いてもらった後は、刺咬部位の消毒と経過観察の指示を受けます。抗菌薬の予防投与が行われるかどうかは、地域・状況・医師の判断によりますが、リスクが高い場合は予防的に抗菌薬が処方されることもあります。

🔹 やむを得ず自己除去する場合

医療機関への受診が難しい場合や、マダニの付着直後で確実に食い込んでいない場合は、自己除去を行うことがあります。その場合は以下の手順に従ってください。

まず、細い先端の細いピンセット(先が曲がっていない、細い鑷子が理想)を用意します。マダニの口元(皮膚に最も近い部分)をピンセットでしっかり挟み、上に向かってゆっくりと、均等な力でまっすぐ引き抜きます。捻ったり、急に引いたりしないようにしましょう。取り除いた後は、刺咬部位を水と石けんで洗い、アルコール消毒または市販の消毒薬で消毒します。取り除いたマダニは、病院受診の際に持参できるようビニール袋などに保管しておくと、種類の同定に役立つことがあります。

📍 除去後の経過観察

マダニを取り除いた後も、最低2〜4週間は体調の変化に注意してください。発熱、発疹(特に刺咬部位周辺や体幹の発疹)、倦怠感、頭痛、筋肉痛、食欲不振などの症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診してください。受診時には、マダニに噛まれた日時と場所、活動内容を医師に伝えると診断の助けになります。

Q. SFTSとはどのような感染症ですか?

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)はSFTSウイルスを持つマダニに噛まれることで感染するウイルス感染症です。致死率は6〜30%と非常に高く、有効なワクチンや特効薬がありません。主な症状は高熱・消化器症状・血小板減少で、重症化すると多臓器不全や意識障害を引き起こすこともあります。

🔍 やってはいけないNG対処法

マダニに噛まれた際によく行われる対処法の中には、状況を悪化させる可能性があるものも多くあります。以下のNG行為を必ず避けてください。

💫 無理やり引き抜く・ひねる

マダニは口器(吻)を皮膚に深く刺し込んでいます。乱暴に引き抜こうとすると、口器が体内に残ったり、マダニの体が破裂して病原体を含む体液が傷口に入り込んだりするリスクがあります。捻ったり、左右に揺さぶったりすることも同様の理由で避けてください。

🦠 火や熱で焼く

ライターや線香などでマダニを焼いて取り除こうとするのは非常に危険です。熱を加えるとマダニが驚いて唾液や胃の内容物を皮膚内に吐き出すことがあり、感染リスクが高まります。また、皮膚に火傷を負うリスクもあります。

👴 アルコールやワセリン、油などを塗る

アルコール、ワセリン、オイル、ガソリンなどをマダニに塗って窒息させようとする方法も推奨されません。これもマダニがストレスを受けて病原体を含む分泌物を逆流させる可能性があります。

🔸 つぶす・つまむ

マダニの体を素手でつぶしたり、不適切な方法でつまんで体液を皮膚に触れさせたりすることも避けてください。マダニの体液に病原体が含まれている場合、皮膚の傷口や粘膜から感染する可能性があります。マダニを素手で触るときは、できるだけゴム手袋などを使用しましょう。

💧 放置する

「そのうち取れるだろう」と放置するのも危険です。マダニは長時間吸血を続けることで感染症のリスクが高まります。特に24時間以上吸血が続いた場合は、感染リスクが上昇するとされています。早期発見・早期除去が最も重要な予防策の一つです。

📝 病院受診の目安とタイミング

マダニに噛まれた場合、医療機関への受診を検討すべきタイミングについて説明します。

✨ 噛まれている最中(除去前)

マダニが皮膚に食い込んでいる状態を発見したら、できる限り早めに医療機関を受診してください。皮膚科や内科、場合によっては救急外来でも対応可能です。医師が専用器具を使って安全に除去し、適切な処置を行います。自己除去のリスクを考えると、受診できる状況であれば医療機関での対応が最も安全です。

📌 噛まれた後の経過観察中

マダニを取り除いた後も、以下のような症状が現れたら速やかに受診してください。

38度以上の発熱が続く場合、刺咬部位が著しく赤くなったり腫れたりした場合、刺咬部位を中心としたリング状の発疹(遊走性紅斑)が現れた場合、体幹・四肢に発疹が出た場合、頭痛・筋肉痛・関節痛が強くなってきた場合、悪心・嘔吐・下痢などの消化器症状が続く場合、倦怠感が強くなり日常生活に支障が出る場合、意識がぼんやりする・手足がしびれるなど神経症状が現れた場合などです。

特にSFTSは致死率が高く、発症後の重症化が速いことがあります。発熱が出た場合は「マダニに噛まれたことがある」という事実を医師に必ず伝えてください。この情報が診断に大きく影響します。

▶️ 受診する診療科

マダニ除去のみを目的とする場合は皮膚科が適しています。発熱や全身症状がある場合は内科(総合内科・感染症内科)への受診が適切です。症状が重篤な場合(高熱・意識障害・出血傾向など)は救急病院に連絡してから受診してください。

受診時に伝える情報として、マダニに気づいた日時と場所(山林・農地・公園など)、噛まれた可能性がある行動(登山・農作業・ペットの散歩など)、マダニの付着期間(気づいてからどのくらい経つか)、現在の症状と発症時期、最近の旅行歴(特に国内外の山林地帯への旅行)を整理しておくとスムーズです。

🔹 保険診療と費用について

マダニ除去は保険診療の対象です。受診前に保険証を持参してください。血液検査(感染症の有無を調べるため)が追加で行われることもあり、検査内容によって費用は変わります。感染症が疑われる場合は、追加の検査費用がかかることもありますが、早期治療のためには必要なプロセスです。

Q. マダニ刺咬後に病院を受診する際の準備は?

受診時は保険証を持参し、マダニに気づいた日時・場所・活動内容(登山・農作業など)、付着期間、現在の症状と発症時期、最近の山林地帯への旅行歴を整理して医師に伝えてください。マダニ除去は保険診療の対象で、感染症確認のための血液検査が追加される場合もあります。

💡 マダニに噛まれないための予防策

マダニに噛まれるリスクを下げるためには、アウトドア活動時の服装や行動に気をつけることが有効です。

📍 適切な服装をする

長袖・長ズボンを着用し、肌の露出をできるだけ減らしましょう。首元はタオルや首巻きで覆い、靴下は長めのものを使用して、ズボンの裾を靴下の中に入れるようにすると効果的です。帽子や手袋も着用するとさらに安心です。色は薄い色(白・ベージュなど)を選ぶと、付着したマダニを早期に発見しやすくなります。

💫 虫よけ剤を使用する

ディート(DEET)やイカリジン(ピカリジン)を含む虫よけ剤は、マダニに対しても一定の忌避効果があります。露出している皮膚に使用するほか、衣服に使用できるタイプのスプレーも活用すると効果的です。ただし、虫よけ剤のみに頼らず、服装との組み合わせで対策を強化してください。

ディートは有効成分濃度が高いほど効果が長持ちしますが、小児への使用には年齢制限があります(12歳未満には30%以下、2歳未満は1日1回まで、など)。イカリジンは年齢制限が少なく、子どもにも使いやすい成分です。

🦠 草むらや茂みへの立ち入りを避ける

マダニは草の葉先や低木に多く待機しているため、なるべく整備された道を歩くことが大切です。草むらに座ったり、草の上に寝転んだりするのは避けましょう。休憩時は木製のベンチや防水シートなどを使用することをおすすめします。

👴 帰宅後すぐに確認する

アウトドア活動後は、できるだけ早く全身を確認しましょう。マダニが好んで付着する部位は、頭部・耳の周り・首、わきの下、腰・腹部、膝の裏、股間・陰部周辺、足首などです。特に体毛の多い部分や皮膚のひだに入り込んでいることがあります。シャワーを浴びながら全身をくまなくチェックする習慣をつけましょう。

着ていた衣類も要注意です。マダニが衣服に付着していることがあるため、アウトドアから帰ったら衣類を室内に持ち込む前に表面を払い、洗濯機で洗うか乾燥機にかけることをおすすめします。高温の乾燥機はマダニを死滅させる効果があります。

🔸 ペットの管理にも気をつける

犬や猫を屋外に連れ出した後は、ペットの体もチェックする習慣をつけましょう。ペット用のダニ予防薬(スポットオンタイプや首輪タイプなど)を使用することも有効です。ペットに付着したマダニが室内に持ち込まれることを防ぐため、定期的なグルーミングと動物病院でのダニ対策相談をおすすめします。

💧 庭の草刈りや環境整備

自宅の庭や近隣の草むらに潜むマダニのリスクを下げるには、定期的な草刈りが有効です。落ち葉を片付け、草を短く保つことでマダニが生息しにくい環境を作ることができます。農薬や殺虫剤による環境処理も選択肢の一つですが、使用には注意が必要です。

👨‍⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】

高桑康太 医師(当院治療責任者)より

「当院では、マダニに噛まれた後しばらく経ってから発熱や倦怠感が現れ、「原因がわからない」とご来院される患者様も少なくありません。マダニ刺咬後の感染症は潜伏期間があるため、噛まれた事実を医師に伝えていただくことが迅速な診断につながりますので、些細なことでも遠慮なくお申し出ください。正しい知識を持ち、早めにご相談いただくことが、重篤な合併症を防ぐうえで何より大切です。」

✨ よくある質問

マダニに噛まれても痛くないのはなぜですか?

マダニの唾液には麻酔様の物質が含まれているため、噛まれた直後は痛みやかゆみをほとんど感じません。そのため気づかないうちに長時間吸血されているケースが多く、入浴時や帰宅後の全身チェックで初めて発見されることもあります。アウトドア後は鏡などを使った丁寧な確認が重要です。

マダニを自分で取り除く方法はありますか?

医療機関の受診が最優先ですが、やむを得ない場合は先端の細いピンセットでマダニの口元を挟み、捻らずゆっくり真上に引き抜いてください。火で焼く・油を塗る・無理に引きちぎるといった行為は、マダニが病原体を含む分泌物を逆流させる危険があるため絶対に避けてください。

マダニに噛まれた後、何日間体調を観察すればよいですか?

マダニを取り除いた後も、最低2〜4週間は体調の変化に注意してください。感染症によっては数日〜2週間程度の潜伏期間があります。38度以上の発熱、発疹、頭痛、倦怠感、消化器症状などが現れた場合は、マダニに噛まれた事実を医師に伝えたうえで速やかに受診してください。

マダニが媒介する感染症で特に危険なものは何ですか?

特に注意が必要なのは重症熱性血小板減少症候群(SFTS)です。致死率が6〜30%と高く、有効なワクチンや特効薬が現時点では存在しません。発熱・消化器症状・血小板減少などが主な症状で、重症化すると多臓器不全や意識障害を引き起こすこともあります。高齢者や免疫機能が低下している方は特に重症化しやすいとされています。

マダニに噛まれたとき、何科を受診すればよいですか?

マダニの除去のみが目的であれば皮膚科が適しています。発熱や全身症状がある場合は内科(総合内科・感染症内科)を受診してください。症状が重篤な場合(高熱・意識障害・出血傾向など)は救急病院に連絡のうえ受診を。アイシークリニック池袋院でも受診相談を承っていますので、お気軽にご連絡ください。

📌 まとめ

マダニは自然環境に広く生息しており、アウトドア活動や農作業などの際に誰もが遭遇する可能性があります。マダニに噛まれた際の最大のリスクは、感染症の媒介です。特に重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は致死率が高く、早期の対処が命に関わることもあります。

マダニに噛まれていることに気づいたら、無理に引き抜いたり、火で焼いたり、油を塗ったりするなどの誤った対処を避け、できるだけ早く医療機関を受診することが重要です。除去後も2〜4週間は体調の変化に注意し、発熱や発疹などの症状が現れた場合は速やかに受診してください。

予防においては、屋外活動時の適切な服装と虫よけ剤の使用、帰宅後の全身チェック、ペットのダニ対策が基本です。マダニのリスクを正しく理解し、適切な予防と早期対応を心がけることが、感染症から身を守る最も大切な手段となります。症状が不安な方や、マダニに噛まれた後に発熱などが現れた方は、早めに医療機関へご相談ください。

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📚 参考文献

  • 厚生労働省 – マダニ対策(マダニに噛まれないために)に関する公式情報。マダニに噛まれた際の対処法、予防策、受診の目安などの基本情報の参照元として適切
  • 国立感染症研究所 – 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の疫学情報、致死率、患者報告数、症状、診断・治療に関する最新の感染症サーベイランスデータの参照元として適切
  • CDC(米国疾病予防管理センター) – マダニが媒介する感染症(ライム病・ダニ媒介性脳炎など)の国際的な予防・対処ガイドライン、NG対処法(火で焼く・油を塗るなど)の科学的根拠の参照元として適切

監修者医師

高桑 康太 医師

保有資格

ミラドライ認定医

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任
  • 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
  • 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
  • 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
  • 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報

佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
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