
「仕事が忙しくなると肌がかゆくなる」「緊張したり落ち込んだりすると、アトピーの症状がひどくなる気がする」——そう感じたことのある方は少なくないはずです。ストレスとアトピー性皮膚炎の関係は、多くの患者さんが実感として持っている一方で、その仕組みについて詳しく知る機会はあまりないかもしれません。実際のところ、ストレスはアトピー性皮膚炎の症状に大きく影響することが、医学的にも明らかになっています。この記事では、ストレスがアトピーを悪化させるメカニズムから、日常生活でできる対策まで、わかりやすく解説していきます。
目次
- アトピー性皮膚炎とはどんな病気か
- ストレスが体に与える影響
- ストレスがアトピーを悪化させる仕組み
- アトピーによるかゆみがストレスを生む「悪循環」
- ストレスとアトピーに関わるホルモンの役割
- アトピーを悪化させる主なストレス要因
- ストレス管理がアトピー治療に重要な理由
- 日常生活でできるストレス対策
- 皮膚科・クリニックでの治療アプローチ
- まとめ
この記事のポイント
ストレスはコルチゾール過剰分泌や免疫バランス乱れを通じてアトピーを悪化させ、アトピーのかゆみや外見の悩みが新たなストレスを生む悪循環が生じる。スキンケア・薬物療法に加えて睡眠改善や心理的サポートを含む総合的アプローチが重要である。
🎯 1. アトピー性皮膚炎とはどんな病気か
アトピー性皮膚炎は、強いかゆみを伴う湿疹が繰り返し現れる慢性的な炎症性皮膚疾患です。乳幼児期に発症することが多いですが、成人になってから初めて発症したり、子どもの頃に治まったと思っていた症状が大人になって再燃したりするケースも珍しくありません。
アトピー性皮膚炎の大きな特徴は、皮膚のバリア機能が低下していることです。健康な皮膚であれば、外部からの刺激やアレルゲンをある程度遮断できますが、アトピー患者の皮膚はその防御機能が弱く、ちょっとした刺激でも炎症反応が起きやすい状態にあります。
また、アトピー性皮膚炎は単純に「皮膚だけの問題」ではなく、免疫システムの過剰反応も深く関わっています。特にTh2細胞と呼ばれる免疫細胞が過剰に活性化し、IL-4やIL-13などのサイトカインが炎症を引き起こすことが知られています。こうした免疫的な過剰反応が、かゆみや赤み、湿疹といった症状として現れるわけです。
アトピー性皮膚炎の発症や悪化には、遺伝的な要因だけでなく、環境的な要因も大きく影響します。ハウスダスト、ダニ、食物アレルギー、乾燥した気候、汗、そしてストレスなどが主な悪化因子として挙げられています。中でもストレスは、コントロールが難しく、現代社会で特に注目されている悪化因子の一つです。
Q. ストレスが皮膚バリア機能を低下させる仕組みは?
慢性的なストレスによりコルチゾールが過剰分泌されると、皮膚のバリア維持に必要なフィラグリンの産生が減少し、保湿成分であるセラミドの合成も妨げられます。その結果、皮膚の水分が蒸発しやすくなり、乾燥が進んでバリア機能がさらに低下する悪循環が生じます。
📋 2. ストレスが体に与える影響
ストレスという言葉は日常的に使われますが、医学的には「外部からの刺激(ストレッサー)に対して体が示す反応」のことを指します。人間の体は、ストレスを感じると「闘争か逃走か(fight-or-flight)」と呼ばれる生理的な反応を示します。これは太古の昔、危険から身を守るために備わった本能的な反応です。
ストレスを感じると、脳の視床下部から指令が出て、副腎からアドレナリンやコルチゾールといったホルモンが分泌されます。これらのホルモンは心拍数を上げ、血圧を高め、筋肉に血液を集中させるなど、緊急事態に対応するための体の準備を整えます。
短期的なストレスであれば、こうした反応は体にとって有益なものです。しかし、現代社会のように慢性的に続くストレス(仕事のプレッシャー、人間関係の悩み、睡眠不足など)が続くと、ストレスホルモンが長期間にわたって高い状態が維持され、体に様々な悪影響をもたらします。
免疫機能の低下、消化器系の不調、心臓や血管への負担、睡眠障害、そして皮膚への影響——慢性ストレスはこれらすべてと関連しています。特に皮膚は「第二の脳」とも呼ばれるほど、神経系との結びつきが深く、ストレスの影響を受けやすい臓器です。
💊 3. ストレスがアトピーを悪化させる仕組み
ストレスがアトピー性皮膚炎を悪化させる経路は、複数あることがわかっています。それぞれを順に見ていきましょう。
🦠 皮膚バリア機能の低下
ストレスを受けると、体内でコルチゾールの分泌が増加します。コルチゾールは本来、炎症を抑える働きを持っていますが、慢性的に過剰分泌されると皮膚の細胞の機能に悪影響を与えます。具体的には、皮膚のバリア機能を保つうえで重要なフィラグリンというタンパク質の産生が減少したり、皮膚の保湿に必要なセラミドの合成が妨げられたりします。その結果、皮膚の水分が蒸発しやすくなり、乾燥が進んでバリア機能がさらに低下するという悪循環が生まれます。
👴 免疫バランスの乱れ
ストレスは免疫系にも直接影響を与えます。ストレスを受けると、Th1細胞とTh2細胞のバランスが乱れ、アトピー性皮膚炎に関わるTh2系の反応が優位になることが報告されています。Th2細胞が過剰に活性化すると、IgE抗体の産生が増加し、アレルギー反応が起きやすくなります。また、IL-4やIL-13などの炎症性サイトカインが増加し、皮膚の炎症が悪化します。
🔸 神経ペプチドによる炎症促進
ストレスを感じると、皮膚の神経からサブスタンスPやニューロペプチドYといった神経ペプチドが放出されます。これらの物質は皮膚の免疫細胞(マスト細胞)を刺激し、ヒスタミンなどの炎症物質を放出させます。ヒスタミンはかゆみを引き起こす主要な物質の一つであり、ストレスがかゆみを直接的に増強させる経路となっています。
💧 掻破行動の増加
ストレスは心理的な緊張状態を生み出し、かゆみの感受性を高めます。同じ程度のかゆみの刺激であっても、ストレスを受けているときのほうが強くかゆみを感じやすくなることが知られています。さらに、ストレス状態では無意識に皮膚を搔いてしまう行動(掻破)が増えることもあり、これが皮膚のバリアをさらに傷つけて炎症を悪化させます。
Q. アトピーとストレスはなぜ悪循環に陥るのか?
アトピー性皮膚炎のかゆみによる睡眠不足、外見への悩み、長期治療への焦りが新たな精神的ストレスを生み出します。そのストレスが免疫バランスを乱してアトピーをさらに悪化させ、悪化した症状がまたストレスを増やすという双方向の負の連鎖が形成されます。
🏥 4. アトピーによるかゆみがストレスを生む「悪循環」
アトピー性皮膚炎とストレスの関係で特に注目すべきなのは、「悪循環」の問題です。ストレスがアトピーを悪化させるだけでなく、アトピーそのものがストレスを生む原因にもなるという、双方向の関係があります。
アトピーの患者さんが日常的に抱えるストレスは、一般的な人が想像する以上に大きいものです。夜中にかゆみで目が覚めて十分な睡眠が取れない、肌の状態が気になって外出や人との交流を避けるようになる、長年の治療の繰り返しに疲れを感じる、「なぜ自分だけ」という焦りや孤独感を覚える——こうした心理的な負担は蓄積され、精神的なストレスとなります。
このストレスがさらにアトピーを悪化させ、悪化したアトピーがさらなるストレスを生む——この悪循環から抜け出せずにいる患者さんは非常に多く、アトピー性皮膚炎の治療において精神的なサポートが重要とされる理由の一つでもあります。
また、睡眠不足もこの悪循環を加速させます。かゆみによる睡眠障害はアトピー患者さんの多くが経験しており、睡眠が取れないことでさらにストレスホルモンの分泌が増え、免疫バランスが乱れ、炎症が悪化するという経路が形成されます。睡眠はアトピーの管理においても非常に重要な要素です。
⚠️ 5. ストレスとアトピーに関わるホルモンの役割
ストレスとアトピーの関係を理解するうえで、ホルモンの働きについて少し詳しく見てみましょう。
✨ コルチゾール
副腎皮質から分泌されるコルチゾールは、「ストレスホルモン」と呼ばれることが多いホルモンです。急性のストレス時には抗炎症作用を発揮しますが、慢性的なストレスにより長期間にわたって過剰分泌が続くと、皮膚のバリア機能を低下させ、免疫系にも悪影響を及ぼします。また、長期的にコルチゾールに曝された皮膚細胞は、やがてコルチゾールへの反応が鈍くなる「ステロイド抵抗性」のような状態になることも指摘されています。
📌 アドレナリン・ノルアドレナリン
ストレス時に分泌されるアドレナリンやノルアドレナリンは、皮膚の血管収縮や免疫細胞への直接的な影響を通じて、皮膚の炎症反応に関与することが知られています。また、これらのホルモンは皮膚の神経終末にも作用し、かゆみの感受性を高める可能性があります。
▶️ CRH(副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン)
脳の視床下部から分泌されるCRHは、コルチゾールの分泌を促すホルモンです。興味深いことに、このCRHは皮膚の組織でも産生されることがわかっており、皮膚のマスト細胞を直接活性化してヒスタミンの放出を促す可能性があります。つまり、ストレスが脳から皮膚に直接シグナルを送り、炎症を引き起こす経路が存在することが示唆されています。
🔹 セロトニン・エンドルフィン
一方、ストレスが和らぎリラックスした状態になると、セロトニンやエンドルフィンといった「幸せホルモン」の分泌が促されます。これらのホルモンは免疫バランスを整える方向に働き、アトピーの症状を緩和させる可能性があります。ストレス管理や心理的なアプローチがアトピーの治療に効果をもたらす背景には、こうしたホルモンの変化も関わっています。
Q. アトピー患者が日常で実践できるストレス対策は?
規則正しい睡眠の確保、ウォーキングやヨガなどの適度な運動、深呼吸や瞑想によるリラクゼーション法が有効です。また、症状と気持ちを記録する「アトピー日記」でストレスとの関連パターンを把握することや、患者コミュニティへの参加で孤立感を和らげることも効果的です。
🔍 6. アトピーを悪化させる主なストレス要因
一口に「ストレス」といっても、アトピー患者さんに影響を与えるストレス要因は多岐にわたります。主なものを挙げてみましょう。
📍 精神的・心理的ストレス
仕事や学業でのプレッシャー、職場や家庭での人間関係の悩み、経済的な不安、将来への不安感、試験や重要なイベントの前の緊張——これらは誰もが経験する日常的なストレスですが、アトピー患者にとっては症状悪化の引き金になることがあります。特に試験前や仕事の繁忙期に症状がひどくなるという声は、患者さんから非常によく聞かれます。
💫 睡眠不足・生活リズムの乱れ
睡眠不足は身体的なストレスの一種であり、免疫機能の低下やホルモンバランスの乱れを招きます。アトピーのかゆみにより睡眠が妨げられるだけでなく、スマートフォンの長時間使用や不規則な生活習慣による睡眠不足も、症状の悪化につながります。
🦠 疲労・過労
身体的な疲労もストレスの一つです。過労状態では免疫システムのバランスが崩れやすく、アトピーの炎症反応が悪化しやすくなります。「疲れているときに肌が荒れる」という経験をした方も多いでしょう。
👴 外見に対する悩みや自己嫌悪
アトピー性皮膚炎の患者さん、特に顔や首など目立つ場所に症状が出る場合、外見に対する強いコンプレックスや自己嫌悪を抱えることがあります。「人に見られたくない」「外出が怖い」という気持ちが社会生活を制限し、さらなるストレスと孤立感を生むことがあります。
🔸 治療への焦りや不満
長年にわたって治療を続けているにもかかわらず、なかなか改善が見られないことへの焦り、ステロイド外用薬への恐れや副作用の心配、「完治するのか」という不安感——こうした治療に関連したストレスも、アトピーの悪化要因になります。
📝 7. ストレス管理がアトピー治療に重要な理由
以上に見てきたように、ストレスはアトピー性皮膚炎の病態に多面的に関与しています。そのため、アトピーの治療において、ストレス管理は外用薬や保湿ケアと同様に重要な要素として位置づけられています。
実際に、アトピー性皮膚炎の治療ガイドラインでも、皮膚の炎症を抑える薬物療法(ステロイド外用薬や免疫抑制剤など)、スキンケア(保湿・清潔)、悪化因子の除去という三本柱の中に、「心理的なサポート」や「生活環境の改善」が含まれています。ストレスを適切に管理することは、薬の効果を最大限に発揮させるうえでも欠かせません。
また、「ストレスでアトピーが悪化する」という事実を患者さん自身が理解することも非常に重要です。なぜなら、自分の症状がストレスと連動していることに気づくことで、症状が出たときに「なぜ今これだけひどいのか」が理解でき、適切な対処が取りやすくなるからです。自分の体の反応パターンを把握することは、アトピーとうまく付き合っていくための大きな助けになります。
さらに近年では、「心身相関」という考え方が医療の現場でも重視されるようになっています。皮膚科学と心療内科・精神科の両面からアプローチする「心身皮膚科」という分野も発展しており、アトピーを含む皮膚疾患と心理的要因の関係に対する科学的な理解が深まっています。
Q. 重症アトピーに使われる新しい治療薬とは?
従来のステロイド外用薬で効果が不十分な中等症〜重症のアトピー性皮膚炎には、デュピルマブ(デュピクセント)などの生物学的製剤やJAK阻害薬が使用されています。これらは炎症の根本原因に作用して症状を大幅に改善し、生活の質(QOL)の向上やストレス軽減にもつながると報告されています。
💡 8. 日常生活でできるストレス対策
では実際に、ストレスとアトピーの悪循環を断ち切るために、日常生活でどのような対策が有効なのでしょうか。実践しやすいものを中心に紹介します。
💧 良質な睡眠を確保する
睡眠はストレス回復の基本です。できるだけ規則正しい睡眠リズムを保ち、7〜8時間の睡眠を確保することを心がけましょう。就寝前のスマートフォン使用を控える、寝室の温度・湿度を適切に保つ(アトピーには乾燥が大敵です)、入浴でリラックスするなど、睡眠の質を上げる工夫が効果的です。かゆみで眠れない場合は、就寝前の保湿ケアを丁寧に行うとともに、必要であれば抗ヒスタミン薬の使用について担当医に相談してみてください。
✨ 適度な運動を取り入れる
適度な運動はストレス発散に効果的であり、セロトニンやエンドルフィンの分泌を促します。ウォーキング、ヨガ、水泳(プールの塩素が肌に刺激になる場合は注意が必要)など、無理なく続けられる運動を選びましょう。ただし、激しい運動は発汗を促し、かゆみを悪化させることもあるため、運動後はシャワーで汗を流し、すぐに保湿ケアを行うことが大切です。
📌 リラクゼーション法を実践する
深呼吸、瞑想、マインドフルネス、漸進的筋弛緩法などのリラクゼーション技法は、自律神経のバランスを整え、ストレスホルモンの分泌を抑える効果があることが研究でも示されています。特にマインドフルネスは、「今この瞬間に意識を向ける」ことでかゆみへの過剰な反応を和らげる効果があるとして、アトピー患者へのアプローチとしても注目されています。毎日5〜10分程度から始めてみるだけでも、継続することで効果を感じやすくなります。
▶️ ストレスの「見える化」と書き出し

自分が何にストレスを感じているのかを明確にすることも、対処の第一歩です。日記やメモに気になることを書き出すだけでも、頭の中が整理されてストレスが軽減されることがあります。症状の変化とその日の出来事・気持ちを記録する「アトピー日記」をつけることで、自分の症状とストレスの関連パターンが見えてくるという患者さんも多くいます。
🔹 人とのつながりを大切にする
孤立感や孤独はストレスを増大させます。信頼できる家族や友人に自分の状態を話す、アトピー患者同士の交流グループやオンラインコミュニティに参加してみるなど、人とのつながりを意識的に保つことが心理的なサポートになります。「自分だけではない」という安心感は、精神的な負担を和らげるうえで大きな力を持ちます。
📍 食事と腸内環境を整える
腸内環境は免疫系と密接に関わっており、近年では「腸脳皮膚軸(gut-brain-skin axis)」という概念も注目されています。発酵食品(ヨーグルト、納豆、漬物など)や食物繊維を多く含む食品を積極的に取り入れることで腸内環境を整え、それが免疫バランスの改善を通じてアトピーの症状緩和につながる可能性があります。また、バランスのよい食事は体のストレス耐性を高める土台にもなります。
💫 かゆみへの対処策を持つ
かゆみを感じたときに搔かずに済む方法をあらかじめ持っておくことも重要です。患部を冷やす(保冷剤をタオルで包んで当てる)、保湿クリームを塗る、深呼吸をして意識をそらすなどの方法が有効なことがあります。「搔いてはいけない」と強く意識しすぎることもストレスになるため、まずは「搔く量を減らす」「搔き方を工夫する(手の甲で押す)」という段階的な目標設定も現実的です。
✨ 9. 皮膚科・クリニックでの治療アプローチ
日常生活でのセルフケアに加え、医療機関での適切な治療もアトピーのコントロールには欠かせません。特にストレスと密接に関わるアトピーの治療では、近年様々なアプローチが用いられています。
🦠 外用薬・内服薬による炎症コントロール
アトピー治療の基本は、炎症を抑えるための外用薬(ステロイド外用薬、タクロリムス軟膏など)と保湿剤の適切な使用です。炎症が落ち着いていれば、かゆみによるストレスが軽減され、それがさらなる症状の安定につながります。「薬を塗りすぎると怖い」という思いが治療への不安(=ストレス)を生むことがありますが、使用量・頻度について医師に具体的に確認することで、不安を和らげることができます。
👴 生物学的製剤・JAK阻害薬
近年、中等症〜重症のアトピー性皮膚炎に対して、デュピルマブ(デュピクセント)をはじめとする生物学的製剤や、JAK阻害薬(バリシチニブなど)が使用されるようになっています。これらの薬剤は従来の治療で効果が不十分だった患者さんに高い効果を示しており、症状の大幅な改善によって生活の質(QOL)が向上し、ストレスの軽減にもつながることが報告されています。
🔸 心理的サポートとの連携
アトピーの症状が精神的な問題と深く結びついている場合、皮膚科治療だけでなく、心療内科や精神科との連携が有効なことがあります。認知行動療法(CBT)はアトピー患者の掻破行動の改善に効果があることが示されており、「習慣逆転法(habit reversal training)」などの心理的技法が症状コントロールに役立てられています。
💧 患者教育とコーチング
アトピー性皮膚炎の管理において、患者さん自身が病気の仕組みや治療法を正しく理解することは非常に重要です。アイシークリニック池袋院のような専門クリニックでは、患者さんの状態に合わせた丁寧な説明と生活指導を行い、ストレスを含む悪化要因を一緒に洗い出して対策を考えることが可能です。「どんなことが気になっているか」「どんな場面でひどくなるか」を医師に率直に伝えることが、より適切な治療につながります。
✨ 保湿・スキンケア指導
適切な保湿ケアは皮膚バリア機能を補い、外部刺激への反応を抑えることでアトピーの悪化を防ぐ基本中の基本です。「どの保湿剤を選ぶか」「いつどのように塗るか」といった具体的なスキンケアの方法を専門家に確認することで、日々のケアに対する迷いや不安(これもストレスの一種です)を減らすことができます。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では、アトピー性皮膚炎の患者様からお話を伺うと、仕事の繁忙期や人間関係のお悩みをきっかけに症状が悪化したというケースを非常に多く経験しており、ストレスが皮膚のバリア機能の低下や免疫バランスの乱れを通じて症状に直結していることを日々実感しています。最近の傾向として、外用薬による炎症コントロールと並行して、睡眠環境の見直しやストレス要因の整理を一緒に行うことで、症状が安定しやすくなる患者様が多くいらっしゃいます。「肌の不調は心のサインでもある」という視点を大切に、お一人おひとりの生活背景にも目を向けながら、焦らず丁寧に治療を進めてまいりますので、気になることはどうぞ遠慮なくご相談ください。」
📌 よくある質問
ストレスを受けるとコルチゾールが過剰分泌され、皮膚のバリア機能が低下します。また、免疫バランスが乱れてアレルギー反応が起きやすくなるほか、皮膚の神経からヒスタミンの放出が促されてかゆみが増強されます。これらの複数の経路が重なり、アトピーの症状悪化につながります。
ストレスでアトピーが悪化するだけでなく、かゆみによる睡眠不足・外見への悩み・治療への焦りといったアトピー由来の負担が新たなストレスを生み出します。このストレスがさらに症状を悪化させる「負の連鎖」に陥っている患者様は非常に多く、精神的なサポートも治療の重要な柱となっています。
規則正しい睡眠の確保、適度な運動、深呼吸や瞑想などのリラクゼーション法が有効です。また、症状と気持ちを記録する「アトピー日記」でストレスとの関連パターンを把握したり、信頼できる人や患者コミュニティとのつながりを保つことも、精神的な負担を軽減するうえで効果的です。
症状が精神的な問題と深く結びついている場合、皮膚科の治療と並行して心療内科との連携が有効なことがあります。認知行動療法や習慣逆転法といった心理的技法は、無意識に搔いてしまう行動の改善に効果があることが示されており、当院でもストレス要因の整理を含めた総合的なアプローチを行っています。
従来のステロイド外用薬やタクロリムス軟膏による治療に加え、近年は中等症〜重症の患者様に対してデュピルマブ(デュピクセント)などの生物学的製剤やJAK阻害薬が使用されています。これらは症状を大幅に改善し、生活の質(QOL)の向上やストレス軽減にもつながると報告されています。詳しくは当院にご相談ください。
🎯 まとめ
ストレスとアトピー性皮膚炎の関係は、単なる気のせいではなく、ホルモン分泌、免疫系の変化、神経系への影響など、複数の科学的なメカニズムによって裏付けられています。ストレスがアトピーを悪化させ、アトピーがさらなるストレスを生む——この悪循環を断ち切ることが、アトピーと向き合ううえでの大きな課題です。
大切なのは、アトピーの治療をスキンケアや薬物療法だけに限定せず、ストレス管理や睡眠、生活習慣の改善も含めた総合的なアプローチで取り組むことです。日常生活でできるストレス対策を少しずつ取り入れながら、症状がなかなかコントロールできないときは一人で抱え込まず、専門のクリニックに相談することをおすすめします。
アトピー性皮膚炎は「完全に治せない病気」ではなく、適切な治療と生活管理によって症状をうまくコントロールしながら、快適な生活を送ることが十分に可能な疾患です。「肌の状態と心の状態はつながっている」という視点を持ち、体と心の両方からアプローチすることで、アトピーと上手に付き合っていきましょう。症状や治療に関して気になることがあれば、ぜひアイシークリニック池袋院にご相談ください。
📚 関連記事
- アキレス腱がかゆい原因と対処法|考えられる疾患を解説
- 胸元のブツブツが気になる方へ|原因と対処法を医師が解説
- ニキビの赤みを消す方法|原因から正しいケアまで徹底解説
- 肌の黒ずみを取る方法【簡単ケアから本格治療まで徹底解説】
- 池袋駅前内科・皮膚科クリニックの選び方
📚 参考文献
- 日本皮膚科学会 – アトピー性皮膚炎診療ガイドラインにおける病態・悪化因子・治療方針(ストレス管理・スキンケア・薬物療法の三本柱)に関する記載
- 厚生労働省 – アトピー性皮膚炎の症状・原因・治療に関する公式情報、およびストレスを含む悪化因子と患者のQOLへの影響に関する記載
- PubMed – ストレスとアトピー性皮膚炎の関連メカニズム(コルチゾール・神経ペプチド・Th1/Th2免疫バランス・皮膚バリア機能)に関する査読済み医学文献
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務