生理前に唇が荒れる原因と対策|ホルモンバランスと唇荒れの関係を解説

「生理前になると決まって唇が荒れてしまう」「ピリピリと痛んだり、皮がめくれたりして困っている」と感じている女性は少なくありません。生理前の唇荒れは偶然ではなく、月経周期に伴うホルモンバランスの変動が深く関係しています。唇は顔の中でも特に皮脂腺が少なく、乾燥や外部刺激の影響を受けやすいパーツです。そこにホルモンの変化が加わることで、毎月繰り返す悩みになってしまうケースは多くあります。この記事では、生理前に唇が荒れるメカニズムから、日常的に実践できるケア方法まで、医療的な観点を交えながら詳しく解説します。


目次

  1. 生理前に唇が荒れやすい理由とは
  2. 月経周期とホルモンバランスの関係
  3. 黄体期に起こる体の変化と唇への影響
  4. 唇が荒れやすい人に共通する生活習慣
  5. 唇荒れを悪化させるNG行動
  6. 生理前の唇荒れに効果的なセルフケア
  7. 食事や栄養素から唇を守る方法
  8. 市販の薬やリップケアアイテムの選び方
  9. 皮膚科・クリニックを受診する目安
  10. まとめ

この記事のポイント

生理前の唇荒れは、黄体期のプロゲステロン増加による皮膚バリア機能の低下が主因。低刺激リップでの保湿・水分補給・ビタミンB群の摂取が有効で、水ぶくれや改善しない症状は皮膚科受診が推奨される。

🎯 生理前に唇が荒れやすい理由とは

唇は顔の皮膚の中でも非常に薄く、デリケートな部位です。通常の皮膚には皮脂腺や汗腺が存在しており、これらが自然な保湿バリアを形成しています。しかし唇には皮脂腺がほとんどなく、汗腺も存在しないため、もともと水分を保持する機能が非常に低いという特徴があります。そのため、外気の乾燥や気温の変化、摩擦などの刺激を受けると、すぐに水分が失われてカサカサと乾いた状態になってしまいます。

そこに、生理前特有のホルモンバランスの変動が重なることで、唇荒れが一段と起きやすくなります。具体的には、排卵後から生理前にかけての時期(黄体期)にプロゲステロンというホルモンが増加し、皮膚や粘膜のコンディションに影響を与えることが知られています。また、免疫機能や自律神経にも変化が生じるため、体全体のバリア機能が低下しやすくなり、それが唇の荒れとして現れることがあります。

さらに、生理前はストレスを感じやすく、睡眠の質が下がったり、食欲が変化したりと生活全般に影響が出やすい時期でもあります。こうした複合的な要因が重なることで、唇荒れが生理前の定番の悩みになってしまうのです。

Q. 生理前に唇が荒れやすいのはなぜですか?

排卵後から生理前の黄体期にプロゲステロンが増加し、皮膚や粘膜のバリア機能が低下するためです。唇はもともと皮脂腺がなく乾燥しやすい部位であり、体温上昇による水分蒸発の増加や免疫機能・自律神経の変化が重なることで、荒れが起きやすくなります。

📋 月経周期とホルモンバランスの関係

女性の体は月経周期に合わせて、さまざまなホルモンの分泌量が変動しています。月経周期はおおよそ28日前後(個人差があります)で、大きく分けると「卵胞期」「排卵期」「黄体期」「月経期」の4つのフェーズに分類されます。それぞれの時期によってエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌バランスが異なり、体や肌のコンディションに大きな影響を与えます。

月経終了後から排卵日にかけての卵胞期は、エストロゲンの分泌が盛んになる時期です。エストロゲンには皮膚のコラーゲン生成を促進する働きや、肌の水分保持能力を高める作用があるとされています。そのため、この時期は比較的肌のコンディションが整いやすく、「肌の調子がいい」と感じる女性が多いです。

一方、排卵後から生理前にかけての黄体期は、プロゲステロンが優位になります。プロゲステロンには皮脂の分泌を促す作用がある一方で、肌の水分保持能力を低下させる傾向があるとも指摘されています。また、体温が上昇して体全体が熱をもちやすくなり、血流の変動なども起きるため、肌や粘膜が不安定な状態になりやすいのです。この黄体期の影響が唇にも及び、荒れやすい状態をつくり出していると考えられています。

また、エストロゲンとプロゲステロンのバランスが崩れることで、自律神経の働きにも影響が出ます。自律神経が乱れると血行不良が起きやすくなり、末梢の血流が悪化します。唇は毛細血管が集中している部位でもあるため、血行不良の影響を受けやすく、栄養や酸素が届きにくくなることで荒れが促進されることがあります。

💊 黄体期に起こる体の変化と唇への影響

黄体期(排卵後から生理前までの約2週間)は、プロゲステロンの働きによってさまざまな身体的・精神的な変化が起こりやすい時期です。これはPMS(月経前症候群)とも関連しており、多くの女性がイライラや頭痛、むくみ、肌荒れ、便秘などの症状を経験します。こうした症状の中に唇荒れも含まれることが多いのです。

黄体期に唇が荒れやすくなる主な要因をいくつか挙げてみましょう。

まず、免疫機能の変化です。黄体期にはプロゲステロンの影響で免疫系が一時的に変化することが知られています。これは受精卵を異物として排除しないための仕組みとも言われていますが、その結果として皮膚や粘膜のバリア機能が低下し、外部からの刺激やウイルス・細菌に対して弱くなることがあります。口唇ヘルペスが再発しやすいのも黄体期の特徴です。

次に、水分バランスの変化です。黄体期にはプロゲステロンの作用で体が水分を溜め込もうとする傾向があり、むくみが生じやすくなります。逆説的に思えるかもしれませんが、体の水分が局所に偏ることで、唇などの末梢組織には十分な水分が行き届かず、乾燥が進む場合があります。

さらに、体温上昇の影響もあります。黄体期は基礎体温が高温相に入り、体温が0.3〜0.5度ほど上がります。体が熱を帯びると、呼吸や皮膚からの水分蒸発量が増え、全身的に乾燥しやすくなります。唇は特に水分が蒸発しやすい部位なので、体温上昇の影響をダイレクトに受けやすいのです。

また、精神的なストレスや睡眠の質の低下も黄体期に起こりやすく、これらが唇荒れをさらに悪化させる要因となります。ストレスがかかると副腎皮質からコルチゾールというホルモンが分泌され、皮膚のバリア機能を低下させることが研究でも示されています。

Q. 唇が荒れているときに避けるべき行動は?

最も避けるべきは唇を舌で舐める行為です。一時的に潤うように感じますが、唾液が蒸発する際に唇の水分も奪われ、唾液中の酵素が粘膜を刺激して炎症が悪化します。また、めくれた皮を指や歯でむく行為は細菌感染を招くリスクがあるため厳禁です。辛い食べ物や酸っぱいものも控えましょう。

🏥 唇が荒れやすい人に共通する生活習慣

生理前の時期に唇荒れが特にひどくなる人には、日常生活の中でいくつかの共通した習慣が見られることがあります。これらを把握することで、生理前のケアをより効果的に行えるようになります。

水分摂取量が少ない人は唇が荒れやすい傾向があります。体全体の水分が不足すると、皮膚や粘膜の潤いも低下します。コーヒーや紅茶などのカフェインを含む飲み物を多く摂る人は利尿作用によって脱水しやすくなるため、意識的に水や麦茶などを補給する習慣をつけることが大切です。

睡眠不足や不規則な生活も唇荒れに関係しています。睡眠中は成長ホルモンが分泌され、皮膚の修復・再生が行われています。睡眠が不十分だと皮膚のターンオーバーが乱れ、唇の回復も遅くなります。特に生理前は精神的に不安定になりやすく、睡眠の質が下がりやすい時期でもあるため、より意識して睡眠環境を整えることが重要です。

栄養の偏りも大きな要因の一つです。特にビタミンB群(B2・B6など)や鉄分、亜鉛が不足すると、口の周りや唇が荒れやすくなることが知られています。生理前は鉄分が不足しがちになる時期でもあり、栄養バランスの偏った食事が続くと唇荒れを引き起こしやすくなります。インスタント食品や甘いものを好んで食べる習慣がある場合は、栄養状態の見直しが必要かもしれません。

また、外出時にマスクをつける機会が多い人も要注意です。マスクの着脱によって唇の水分が奪われやすく、摩擦による刺激も加わります。マスクの内側に蒸気がこもって濡れた状態が続いた後に外すと、急激に水分が蒸発して乾燥が進むこともあります。

⚠️ 唇荒れを悪化させるNG行動

唇が荒れているときに無意識にやってしまいがちな行動が、実は症状を悪化させる原因になっていることがあります。生理前に唇荒れが起きやすいと分かっている人は、特に以下の行動に気をつけましょう。

唇を舐める行動は最もよくないNG行動の一つです。乾燥が気になると反射的に舌で唇を湿らせてしまうことがありますが、これは一時的に水分を補給しているように見えて、実際には唾液が蒸発する際に唇の水分も一緒に奪ってしまいます。また、唾液にはアミラーゼなどの酵素が含まれており、これが唇の粘膜を刺激して炎症を悪化させることもあります。

皮をむいてしまう行動も要注意です。唇が荒れると皮がめくれてきますが、それを指や歯でむいてしまうと、まだ完全に剥離していない部分まで傷つけてしまいます。表皮が傷つくと細菌感染のリスクが高まり、さらに荒れが広がる原因になります。

刺激の強い食べ物を摂ることも避けたほうがいいでしょう。辛い食べ物、酸っぱいもの、塩分が高いスナック菓子などは、荒れた唇の粘膜に直接触れて刺激となります。生理前に食欲が増す人も多いですが、こうした刺激物は唇の炎症を悪化させる可能性があるため、できるだけ控えるようにしましょう。

さらに、リップクリームを塗りすぎることも問題になることがあります。保湿のためにリップクリームを頻繁に塗る習慣があると、唇が自分で保湿する能力を失ってしまう「リップ依存」の状態に陥ることがあります。また、香料や防腐剤を含むリップクリームを使い続けることで、接触性皮膚炎(かぶれ)を引き起こすケースもあります。リップクリームは適度に使用し、成分にも注意を払うことが大切です。

アルコールを多く含むリップ製品(例えばメンソール系のもの)も、乾燥した唇には刺激が強すぎることがあります。荒れている時期には、できるだけシンプルで低刺激な成分のものを選ぶようにしましょう。

Q. 唇荒れ予防に効果的な栄養素は何ですか?

粘膜の健康維持にはビタミンB2(レバー・納豆・卵)とビタミンB6(まぐろ・バナナ・アボカド)が特に重要です。皮膚の修復を助ける鉄分(赤身肉・ほうれん草)と亜鉛(牡蠣・大豆製品)も欠かせません。一方、砂糖の過剰摂取やアルコールはビタミンB群を消耗させるため、生理前はできるだけ控えることが推奨されます。

🔍 生理前の唇荒れに効果的なセルフケア

生理前の唇荒れは、日常的なセルフケアで症状を予防・緩和できることが多いです。月経周期を意識しながら、排卵後から生理前にかけて集中的にケアを行うことで、荒れを最小限に抑えることができます。

まず大切なのは、こまめな保湿です。唇は他の皮膚部位と比べて水分が蒸発しやすいため、乾燥を感じたらすぐに保湿することが基本です。リップクリームはワセリンやホホバオイル、シアバターなどが主成分の、シンプルで刺激の少ないものがおすすめです。特に就寝前に厚めに塗ってラップで覆う「リップパック」を行うと、翌朝の唇の潤いが格段に違います。ただし、ラップは肌に密着させすぎず、呼吸ができる程度にとどめてください。

水分補給も欠かせません。1日1.5〜2リットルを目安に水分を摂ることで、体全体の乾燥予防につながります。ただし、一度に大量に飲むのではなく、こまめに少量ずつ摂取することが体への吸収効率を高めます。温かい飲み物は体を温めて血行促進にも効果があるため、特に生理前の体温が上がりがちな時期でも、冷たいものより常温か温かいものを選ぶといいでしょう。

室内の加湿も有効です。乾燥した室内環境は唇の水分蒸発を加速させます。特に冬場や冷暖房が効いている時期は、加湿器を活用したり、濡れたタオルを干したりして湿度を50〜60%程度に保つよう心がけましょう。

また、紫外線対策も忘れずに行いましょう。紫外線は唇の粘膜を傷つけ、乾燥や炎症を悪化させる原因になります。UVカット成分が配合されたリップクリームを日中に使用することで、紫外線ダメージを軽減できます。

ストレスマネジメントも唇荒れ対策として効果的です。軽い運動(ウォーキングやヨガなど)、入浴、深呼吸など、自分なりのリラクゼーション方法を持っておくと、生理前の精神的な不安定さをやわらげるのに役立ちます。ストレスホルモンであるコルチゾールが減少することで、皮膚のバリア機能の低下を防ぎ、唇荒れの予防にもつながります。

十分な睡眠を確保することも非常に重要です。就寝前のスマートフォンやパソコンの使用を控えて、規則正しい睡眠スケジュールを意識しましょう。睡眠中は皮膚の修復・再生が活発に行われるため、唇の回復にとって睡眠の質はとても重要な要素です。

📝 食事や栄養素から唇を守る方法

唇の健康を内側から支えるためには、日々の食事で特定の栄養素を意識して摂取することが効果的です。特に生理前は体の代謝が変化し、栄養の消耗が増す時期でもあるため、バランスの良い食事を心がけることが大切です。

ビタミンB2(リボフラビン)は、口唇炎や口角炎の予防に重要な役割を果たす栄養素です。粘膜の健康を維持する働きがあり、不足すると口の周りや唇が荒れやすくなることが知られています。レバー、納豆、卵、牛乳、ほうれん草などに多く含まれているため、積極的に取り入れると良いでしょう。

ビタミンB6も唇の健康に関わる重要な栄養素です。タンパク質の代謝を助け、皮膚や粘膜の正常な状態を維持する働きがあります。まぐろ、鶏ささみ、バナナ、アボカド、ナッツ類などに豊富に含まれています。女性ホルモンの代謝にも関与しているため、生理前の栄養補給として特に意識したい栄養素です。

ビタミンAは皮膚や粘膜の正常な機能を維持するために不可欠な栄養素です。不足すると粘膜が乾燥しやすくなり、唇荒れのリスクが高まります。レバー、うなぎ、卵黄、乳製品などに含まれているほか、体内でビタミンAに変換されるβカロテンは、にんじん、かぼちゃ、ほうれん草などの緑黄色野菜に多く含まれています。

鉄分も見逃せない栄養素です。生理前から生理中にかけて鉄分が失われやすく、貧血気味になると血行が悪化して唇の色や状態に影響することがあります。赤身の肉、レバー、ほうれん草、ひじきなどを積極的に摂るとともに、ビタミンCと一緒に摂取することで鉄の吸収率を高めることができます。

亜鉛は細胞の再生を促進し、皮膚の修復に欠かせないミネラルです。牡蠣、牛肉、豚肉、大豆製品などに多く含まれています。亜鉛が不足すると皮膚のターンオーバーが乱れ、唇荒れが回復しにくくなることがあります。

また、脂質の中でも不飽和脂肪酸(オメガ3脂肪酸など)は皮膚の保湿バリアを整えるのに役立ちます。青魚(さば、いわし、さんまなど)、亜麻仁油、えごま油などを適度に取り入れることで、唇を含む皮膚全体のコンディションを内側から整えることができます。

逆に、砂糖の過剰摂取やアルコールはビタミンB群の消耗を促すため、生理前にはできるだけ控えるようにしましょう。生理前に甘いものが食べたくなるのはホルモンバランスの変化による自然な現象ですが、過剰摂取は唇荒れを含む肌トラブルを悪化させる原因になります。

Q. 唇荒れで皮膚科を受診すべき目安は?

セルフケアを2週間続けても改善しない場合や、唇に水ぶくれや強い痛み・痒みが現れた場合は口唇ヘルペスが疑われるため、早めに皮膚科を受診してください。PMS症状全体が日常生活に支障をきたすほど重い場合は婦人科への相談も有効で、ホルモンバランスを整える治療により唇荒れが改善するケースもあります。

💡 市販の薬やリップケアアイテムの選び方

唇荒れのセルフケアとして、市販のリップクリームや薬を上手に活用することも大切です。ただし、製品の選び方を間違えると、かえって症状を悪化させてしまうことがあるため、成分や目的に応じた選択が必要です。

まず、保湿目的のリップケアアイテムを選ぶ際には、シンプルな成分のものを選ぶことが基本です。ワセリン(白色ワセリン)は純度が高いものであれば、皮膜を形成して水分の蒸発を防ぐ優れた保湿剤として機能します。敏感な状態の唇にも使いやすく、低刺激で安心して使えます。市販のリップクリームの中にもワセリンを主成分としたものが多数販売されています。

ヒアルロン酸やセラミドが配合されたリップケア製品は、皮膚の水分を引き付けたり、バリア機能を補強したりする効果が期待できます。これらの成分は皮膚科学的に保湿効果が認められており、乾燥が強い時期には積極的に選んでいいでしょう。

薬用リップクリームの場合、ビタミンEやグリチルリチン酸(抗炎症成分)などが配合されているものは、炎症を抑えながら保湿ケアができます。ただし、メントール・カンフル・ハッカなどの清涼成分が入っているものは荒れた唇への刺激が強いため、症状が出ている時期には避けるようにしましょう。

唇荒れがひどく、炎症や痛みを伴う場合には、市販の口唇炎向けの薬(第2類・第3類医薬品として販売されているもの)を試してみるのも一つの方法です。ステロイド(弱いクラス)が配合されている外用薬は炎症を抑える効果がありますが、長期連用は避け、症状が改善しない場合は医療機関を受診することをおすすめします。

また、口唇ヘルペスが疑われる場合(唇の周囲に水ぶくれや小さな水疱が集まって現れる場合)は、一般的なリップケアではなく、抗ウイルス薬の外用薬が必要です。市販でも購入可能ですが、症状が重かったり繰り返したりする場合は早めに皮膚科を受診しましょう。

リップクリームを選ぶ際は、香料・着色料・防腐剤が少ないものを選ぶことをおすすめします。特に敏感肌の方や、リップクリームを使うとかえって荒れるという方は、アレルギーテスト済みの製品や皮膚科医推奨の製品を選ぶと安心です。

✨ 皮膚科・クリニックを受診する目安

生理前の唇荒れの多くはセルフケアで改善が期待できますが、症状によっては医療機関を受診する必要があります。どのような場合に受診を検討すべきか、目安を知っておくことが大切です。

まず、セルフケアを2週間程度続けても改善が見られない場合や、むしろ悪化している場合は、皮膚科への受診をおすすめします。単純な乾燥による唇荒れであれば、適切なケアで比較的早く回復しますが、改善しない場合は別の原因が隠れている可能性があります。

唇に水ぶくれが現れたり、その周囲にひりひりとした痛みや痒みがある場合は、口唇ヘルペス(単純ヘルペスウイルスによる感染症)が疑われます。口唇ヘルペスは免疫機能が低下する生理前に再発しやすいことが知られており、抗ウイルス薬による治療が必要です。早期に受診することで症状を短期間に抑えることができます。

唇が全体的に赤くただれたり、口の周りにも炎症が広がったりしている場合は、接触性皮膚炎(かぶれ)や口唇炎が疑われます。特定のリップクリームや食べ物、歯磨き粉などに含まれる成分がアレルゲンとなっている可能性があり、皮膚科でのパッチテストや処方薬による治療が有効です。

唇荒れが生理前だけでなく、月経周期に関係なく常に続いている場合も受診の目安になります。この場合は甲状腺機能の低下や鉄欠乏性貧血、アトピー性皮膚炎などの基礎疾患が原因となっている可能性があり、血液検査などを含めた総合的な評価が必要です。

PMSの症状が全体的に重く、唇荒れ以外にも日常生活に支障をきたすほどのイライラ・憂鬱・身体症状がある場合は、婦人科や産婦人科に相談することをおすすめします。低用量ピルや漢方薬などでホルモンバランスを整える治療を行うことで、PMS症状全体が改善され、唇荒れも起きにくくなるケースがあります。

クリニックを受診する際は、症状が出ているタイミング(生理周期のどの時期か)や、使用しているケア製品、飲んでいるサプリメントや薬などを事前に整理しておくと、スムーズな診察につながります。アイシークリニック池袋院でも、肌トラブルに関するご相談を承っていますので、気になる症状がある場合はお気軽にご相談ください。

👨‍⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】

高桑康太 医師(当院治療責任者)より

「当院では、生理前になると繰り返し唇が荒れるとお悩みの女性患者様からのご相談を多くいただいており、その多くが黄体期のホルモン変動という共通した背景を持っています。唇荒れはセルフケアで改善できるケースも多い一方で、口唇ヘルペスの再発や接触性皮膚炎が隠れている場合もあるため、症状が繰り返される・なかなか治らないと感じたら、自己判断せずにお気軽にご相談ください。月経周期と体のリズムを丁寧に把握しながら、お一人おひとりに合ったケアの方法をご提案してまいります。」

📌 よくある質問

生理前に唇が荒れやすいのはなぜですか?

排卵後から生理前の「黄体期」にプロゲステロンというホルモンが増加し、皮膚や粘膜のバリア機能が低下するためです。加えて体温上昇による水分蒸発の増加、免疫機能の変化、自律神経の乱れなどが複合的に重なり、もともと皮脂腺がなく乾燥しやすい唇に影響が出やすくなります。

唇が荒れているとき、絶対にやってはいけない行動は?

最も避けるべきは「唇を舐める」行為です。一時的に潤うように感じますが、唾液が蒸発する際に唇の水分も奪い、炎症を悪化させます。また、めくれた皮を指や歯でむく行為も、傷から細菌感染を招くリスクがあるため厳禁です。刺激の強い辛い食べ物や酸っぱいものも控えましょう。

生理前の唇荒れに効果的なセルフケアを教えてください。

排卵後から生理前にかけて、ワセリンやシアバターなど低刺激な成分のリップクリームでこまめに保湿することが基本です。就寝前のリップパックも効果的です。加えて、1日1.5〜2リットルの水分補給、室内の湿度を50〜60%に保つ加湿対策、十分な睡眠確保も唇荒れの予防・緩和に役立ちます。

唇荒れを防ぐために意識して摂るべき栄養素は何ですか?

特にビタミンB2(レバー・納豆・卵など)とビタミンB6(まぐろ・バナナ・アボカドなど)は粘膜の健康維持に重要です。また、鉄分(赤身肉・ほうれん草)と亜鉛(牡蠣・大豆製品)も皮膚の修復を助けます。逆に砂糖の過剰摂取やアルコールはビタミンB群を消耗させるため、生理前はできるだけ控えましょう。

どのような場合に皮膚科や婦人科を受診すべきですか?

セルフケアを2週間続けても改善しない場合や、唇に水ぶくれや強い痛み・痒みが現れた場合(口唇ヘルペスの疑い)は早めに皮膚科を受診してください。また、唇荒れ以外にもPMS症状が日常生活に支障をきたすほど重い場合は婦人科への相談をおすすめします。アイシークリニックでも肌トラブルのご相談を承っています。

🎯 まとめ

生理前に唇が荒れる原因は、月経周期に伴うホルモンバランスの変動、特に黄体期のプロゲステロンの増加が大きく関係しています。これにより皮膚や粘膜のバリア機能が低下し、唇の乾燥や炎症が起きやすくなります。また、黄体期特有の体温上昇・免疫機能の変化・自律神経の乱れ・ストレスや睡眠の質の低下なども複合的に絡み合い、唇荒れを引き起こしやすい状態をつくり出しています。

唇荒れを防ぐためには、まずホルモンバランスの変動を月経周期として理解し、排卵後から生理前にかけての時期に意識的にケアを強化することが重要です。こまめな保湿、水分補給、加湿対策、十分な睡眠、栄養バランスの良い食事(特にビタミンB群・鉄分・亜鉛の摂取)、そして唇を舐めたり皮をむいたりするNG行動を避けることが、効果的な予防・対策となります。

市販のリップケアアイテムを選ぶ際は、成分がシンプルで低刺激なものを選ぶことが基本です。香料や防腐剤が少なく、ワセリンやヒアルロン酸、セラミドが主成分のものが、荒れた唇に向いています。それでも症状が改善しない場合や、水ぶくれ・強い炎症・口唇ヘルペスが疑われる場合は、自己判断せずに皮膚科や婦人科を受診することをおすすめします。

生理前の唇荒れは多くの女性が経験する悩みですが、月経周期と体のコンディションの関係を正しく理解し、適切なケアを続けることで、症状を大幅に軽減できる可能性があります。自分の体のリズムをよく観察しながら、無理なく続けられるケアを日常に取り入れていきましょう。

📚 関連記事

📚 参考文献

  • 日本皮膚科学会 – 口唇炎・口唇ヘルペスの診断基準、皮膚バリア機能に関する医学的知見、接触性皮膚炎の原因と治療方針についての参照
  • 厚生労働省 – ビタミンB2・B6・ビタミンA・鉄分・亜鉛などの栄養素と粘膜・皮膚の健康維持に関する「日本人の食事摂取基準」の参照
  • 国立感染症研究所 – 口唇ヘルペス(単純ヘルペスウイルス感染症)の再発メカニズム・免疫機能低下との関連・抗ウイルス治療に関する情報の参照

監修者医師

高桑 康太 医師

保有資格

ミラドライ認定医

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任
  • 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
  • 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
  • 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
  • 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報

佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
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