
虫刺されの痒みがなかなか治まらず、「もう何日も経つのにまだ痒い」「掻いてしまって余計ひどくなった」と悩んでいる方は少なくありません。夏を中心に、蚊やダニ、ブヨなどに刺される機会は多く、多くの場合は数日で症状が落ち着きますが、体質や虫の種類によっては1〜2週間以上痒みが続くこともあります。本記事では、虫刺されの痒みがずっと続く理由と、症状を和らげるための正しい対処法について、医療の観点からわかりやすくご説明します。
目次
- 虫刺されで痒みが起こるメカニズム
- 虫刺されの痒みがずっと続く主な原因
- 痒みが長引きやすい虫の種類
- 掻いてしまうと症状が悪化する理由
- 虫刺されの痒みに対する正しいセルフケア
- 市販薬の選び方と使い方
- 病院を受診すべき症状・タイミング
- 医療機関での治療方法
- 痒みを予防するための対策
- 子ども・アレルギー体質の方への注意点
- まとめ
この記事のポイント
虫刺されの痒みが長引く原因はアレルギー反応・掻き壊し・二次感染・繰り返し刺傷で、冷却と適切な外用薬が基本対処法。発熱・腫れ拡大・アナフィラキシー症状は速やかに医療機関を受診すること。
🎯 1. 虫刺されで痒みが起こるメカニズム
虫刺されによる痒みは、虫が皮膚を刺したときや吸血したときに注入される唾液成分に対して、私たちの体が起こす免疫反応です。蚊を例に挙げると、吸血の際に抗凝固物質や麻酔成分を含む唾液を皮膚に注入します。この唾液成分が異物として認識されると、体内の免疫細胞が反応し、ヒスタミンをはじめとするさまざまな化学物質が放出されます。
ヒスタミンは皮膚の神経を刺激して痒みを引き起こすと同時に、血管を拡張させて皮膚の赤みや腫れをもたらします。この一連の反応が「アレルギー反応」であり、即時型(刺されてすぐに症状が出る)と遅延型(数時間〜数日後に症状が出る)の2種類があります。
即時型反応は刺された直後から数十分以内に現れ、皮膚が赤くなって盛り上がり、強い痒みを感じます。遅延型反応は刺されてから数時間後あるいは翌日以降に現れ、赤みや硬結(皮膚が硬く盛り上がる状態)、痒みを伴います。成人では即時型が主体になることが多いのに対し、子どもでは遅延型反応が強く出やすいといわれています。また同じ人でも、体調や免疫の状態によって反応の強さが変わることがあります。
Q. 虫刺されの痒みが長引く主な原因は何ですか?
虫刺されの痒みが長引く主な原因は、アレルギー反応の強さ、掻き壊しによる皮膚バリア機能の低下、二次細菌感染、ダニや繰り返しの刺傷による継続的な刺激の4つです。特にアトピー性皮膚炎など免疫が過剰に反応しやすい体質の方は、症状が数週間以上遷延しやすい傾向があります。
📋 2. 虫刺されの痒みがずっと続く主な原因
通常の蚊刺されであれば、症状は数日から1週間程度で自然に落ち着くことがほとんどです。しかし「ずっと痒い」と感じる場合には、いくつかの原因が考えられます。
まず挙げられるのが、アレルギー反応の強さです。同じ虫に刺されても、アレルギー反応が強い体質の方は炎症が長引きやすく、数週間以上痒みが続くことがあります。特に免疫が過剰に反応している状態(アトピー性皮膚炎や他のアレルギー疾患を持つ方など)では、症状が遷延しやすい傾向があります。
次に、掻き続けることによる皮膚バリア機能の低下も大きな原因のひとつです。痒みを感じると反射的に掻いてしまいますが、掻くことで皮膚が傷つき、炎症が広がります。炎症が広がるとさらに痒みが増し、また掻いてしまうという「かゆみ・掻破サイクル」(itch-scratch cycle)が形成され、症状が慢性化してしまいます。
また、二次感染(細菌感染)も痒みを長引かせる原因になります。掻き壊した皮膚にブドウ球菌や溶連菌などの細菌が感染すると、「とびひ(伝染性膿痂疹)」など別の皮膚疾患に進展することがあり、それによって症状が長期化します。
さらに、刺された箇所が治りきる前に再び同じ場所を刺されるケース、あるいはダニのように継続的に刺激を受ける環境にいるケースでは、症状が慢性的に続くことがあります。特に布団や畳に潜むイエダニやチリダニなどは夜間に繰り返し刺すため、「虫刺されが治らない」と感じる原因になりやすいです。
💊 3. 痒みが長引きやすい虫の種類
虫刺されの症状の強さや持続時間は、刺した虫の種類によって大きく異なります。
ブヨ(ブト)は、蚊と並んで痒みが長引きやすい代表的な虫です。ブヨは皮膚を噛み切って吸血するため、蚊よりも組織への刺激が強く、強烈な痒みと腫れが2〜3週間、場合によっては1ヶ月以上続くことがあります。刺された直後はほとんど痛みがないため気づかないことも多いですが、数時間後から激しい痒みと腫れが現れるのが特徴です。
ダニ類(マダニ・イエダニ・ツツガムシなど)も痒みが長期化しやすい原因として知られています。ダニに刺された場合、局所の痒みに加えて、ツツガムシ病や日本紅斑熱、SFTSなどのダニ媒介感染症のリスクも考慮する必要があります。特に発熱や倦怠感を伴う場合は早急に医療機関を受診することが重要です。
ノミも繰り返し刺されることが多く、痒みが長引きやすい虫のひとつです。ペットを飼っている家庭では、ネコノミやイヌノミに刺されることがあり、膝から下の部分に複数個所の刺し跡が出ることが特徴です。ノミに刺された跡は小さな赤い丘疹が並び、強い痒みを伴います。
アブも強い痒みと腫れを引き起こします。アブは皮膚をかみ切って吸血するため、傷が大きく、出血を伴うこともあります。局所の腫れが強く出やすく、症状が1〜2週間続くことがあります。
毛虫(イラガ・チャドクガなど)に触れたことによる皮膚炎も、長引く痒みの原因になります。毛虫の毛(毒針毛)が皮膚に刺さることで激しい痒みと発疹が現れ、適切に毒針毛を除去しないと症状が長引きます。
Q. 虫刺されを掻くと症状が悪化する理由を教えてください。
掻く行為は皮膚に物理的刺激を与え、新たな炎症物質を放出させます。これにより「かゆみ・掻破サイクル」が形成されて痒みが慢性化するほか、表皮のバリア機能が破壊されて細菌が侵入しやすくなります。感染が進むと「とびひ」などの二次感染症に進展し、さらに皮膚が苔癬化して治癒が遅れるリスクも高まります。
🏥 4. 掻いてしまうと症状が悪化する理由
痒いところを掻くと一時的にすっきりするような感覚がありますが、医学的にはこれは逆効果です。掻く行為が症状を悪化させるメカニズムを理解しておくことは、適切なケアにつながります。
掻くことで皮膚に物理的な刺激が加わり、新たな炎症物質が放出されます。これにより一時的に痒みが和らいだように感じても、すぐに強い痒みが再び起こります。また、掻くことで皮膚のバリア機能を担う表皮が破壊され、細菌や外来物質が侵入しやすくなります。細菌が侵入して感染が起こると、「とびひ」に代表される二次感染症に進展するリスクが高まります。
さらに、掻き続けることで皮膚が慢性的な炎症状態に置かれ、「苔癬化(たいせんか)」と呼ばれる皮膚が厚くなる変化が起こることもあります。苔癬化した皮膚は痒みが慢性化しやすく、治癒が遅くなります。
就寝中に無意識のうちに掻いてしまうことも多く、朝起きると虫刺されの跡が拡大していることもあります。このような場合は就寝前に抗ヒスタミン薬を服用するか、患部に包帯や絆創膏を貼っておくことで掻き壊しを防ぐことができます。
⚠️ 5. 虫刺されの痒みに対する正しいセルフケア
虫刺されによる痒みを和らげるためには、刺された直後から適切な対処を行うことが重要です。
まず、刺された直後は患部をよく洗いましょう。流水と石けんで患部とその周囲を丁寧に洗浄することで、虫の唾液成分や菌を洗い流すことができます。刺された直後に洗浄することで炎症の広がりを抑える効果が期待できます。
次に、冷やすことが有効です。保冷剤や冷たいタオルを清潔なハンカチやガーゼで包んで患部に当てることで、血管収縮と神経の鎮静化により痒みを抑えることができます。ただし、氷を直接肌に当て続けると凍傷を起こす可能性があるため注意が必要です。冷却は1回10〜15分程度にとどめ、様子を見ながら行いましょう。
患部を清潔に保つことも大切です。不潔な手で触ると二次感染のリスクが高まります。患部を触る場合は必ず手洗いを行い、できるだけ触らないようにしましょう。衣服や包帯で患部を覆うことも、触れる機会を減らすのに役立ちます。
患部を高温のお湯で温める方法は推奨されません。血管拡張によって炎症が悪化する可能性があるため、特に腫れが強い場合は温めることを避けてください。
また、患部をかばうような姿勢で生活することも意識してみましょう。例えば足首付近を刺された場合、足を下げたままの姿勢が続くと血流の滞りにより腫れが長引くことがあります。可能であれば足を心臓よりも高い位置に上げることで、腫れや不快感が軽減しやすくなります。
🔍 6. 市販薬の選び方と使い方
薬局やドラッグストアで購入できる市販薬には、虫刺されの痒みに対応したさまざまな種類があります。成分の特徴を理解した上で選ぶことが大切です。
虫刺され用の市販外用薬には、主にジフェンヒドラミン(抗ヒスタミン成分)、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルやデキサメタゾン吉草酸エステルなどのステロイド成分が含まれているものがあります。ステロイドを含む塗り薬は炎症を抑える効果が高く、使用できる部位(顔・頭部・粘膜付近には使用不可)や期間(連続使用は2週間以内が目安)に制限があります。
一方、ステロイドを含まない非ステロイド系の外用薬もあります。ジフェンヒドラミンやクロタミトンなどの抗ヒスタミン・鎮痒成分を主体とした製品は、比較的幅広い部位に使用でき、ステロイドに抵抗感がある方にも選ばれています。
内服薬(飲み薬)については、抗ヒスタミン薬が市販でも購入可能です。塗り薬と併用することで、全身の痒みを抑える効果が期待できます。ただし、眠気を催すものが多いため、車の運転や高所作業の前後の使用には注意が必要です。
なお、子どもや妊婦・授乳中の方が使用する場合は、使用前に薬剤師や医師に相談することをおすすめします。また、同じ薬を長期間(2週間以上)使用しても症状が改善しない場合は、医療機関を受診することが望ましいです。
Q. 虫刺されで緊急に病院を受診すべき症状は何ですか?
呼吸困難・意識の低下・広範な蕁麻疹などアナフィラキシーの症状が現れた場合は直ちに救急車を呼んでください。また、マダニやツツガムシに刺された後の発熱・倦怠感はSFTSなどダニ媒介感染症の可能性があり早急な受診が必要です。腫れや赤みの拡大・患部のじゅくじゅきも二次感染のサインとして受診を検討すべき症状です。
📝 7. 病院を受診すべき症状・タイミング
多くの虫刺されは自然に回復するか、市販薬で対処できますが、以下のような症状が見られる場合は早めに医療機関を受診してください。
まず、アナフィラキシーの症状が現れた場合は緊急対応が必要です。アナフィラキシーとは、虫刺されに対する強いアレルギー反応によって全身症状が急激に起こる状態で、蕁麻疹・皮膚の広範な発赤、呼吸困難・喘鳴、嘔吐・下痢、意識の低下・失神などが典型的な症状です。このような症状が出た場合は直ちに救急車を呼ぶか、最寄りの救急医療機関を受診してください。過去にアナフィラキシーを起こしたことがある方は、アドレナリン自己注射薬(エピペン®)を携帯するよう医師から指導されている場合があります。
次に、刺されてから数日以上経過しても症状が改善しない、あるいは悪化している場合は受診を検討しましょう。特に腫れや赤みが拡大している、患部がじゅくじゅくしている、熱感・痛みが強まっているといった症状は、二次感染(細菌感染)のサインである可能性があります。
発熱を伴う場合も注意が必要です。マダニやツツガムシに刺された後に発熱が出た場合は、ダニ媒介感染症の可能性を考え、早急に内科または皮膚科を受診してください。特にSFTS(重症熱性血小板減少症候群)は死亡例も報告されている重篤な感染症であり、早期の診断と治療が予後を左右します。
また、痒みが数週間以上続く場合や、広範囲に症状が広がっている場合、繰り返し同じ場所を刺されているように感じる場合(ダニや南京虫などが疑われる場合)も、皮膚科への受診をおすすめします。
子どもの場合は症状が大人よりも強く出やすく、自分で症状をうまく伝えられないこともあります。高熱を伴う場合や激しく泣き続ける場合などは早めに受診するようにしましょう。
💡 8. 医療機関での治療方法
皮膚科を受診した場合、虫刺されの症状に応じたさまざまな治療が行われます。
外用薬(塗り薬)では、市販薬よりも高い濃度・強度のステロイド外用薬が処方されることが多いです。炎症の程度や部位に応じてステロイドの強さ(クラス)を使い分けるのが一般的です。強い炎症には「very strong」クラスや「strong」クラスの製剤が使用され、顔面などデリケートな部位にはより弱いクラスや非ステロイド系の薬剤が選択されます。
内服薬(飲み薬)としては、抗ヒスタミン薬が処方されることがあります。市販の抗ヒスタミン薬よりも効果が持続するタイプや、眠気の少ないタイプなど、患者さんの生活スタイルや症状に合わせた薬剤が選ばれます。痒みが強い夜間は眠気の出る抗ヒスタミン薬を選ぶことで、就寝中の掻き壊しを防ぐ効果も期待できます。
二次感染(細菌感染)が疑われる場合は、抗生物質の外用薬や内服薬が処方されます。感染の程度が軽ければ外用の抗生物質のみで対応できますが、感染が広がっている場合や発熱を伴う場合は内服や点滴での抗生物質投与が必要になることもあります。
ダニ媒介感染症が疑われる場合は、内科や感染症科と連携しながら、抗菌薬(ドキシサイクリンなど)による治療が行われます。血液検査によってダニ媒介感染症の有無を確認することが多く、早期の治療開始が回復につながります。
また、アレルギー反応が強い方や繰り返し重篤な反応を起こす方に対しては、アレルギー科での詳しい検査(血液検査による特異的IgE抗体の測定など)が行われ、アドレナリン自己注射薬の携帯指導など予防的な対応が取られることもあります。
Q. 子どもが虫刺されで特に注意すべき点は何ですか?
子どもは免疫系が発達途上で皮膚バリア機能も弱いため、蚊刺されでも大きく腫れる「あおむし腫れ」など強い反応が出やすいです。市販の虫除けスプレーに含まれるディートは生後6ヶ月未満の乳児には使用不可で、薬剤の年齢制限確認が必須です。発熱を伴う場合や症状が強い場合は早めに小児科または皮膚科を受診することを推奨します。
✨ 9. 痒みを予防するための対策
虫刺されを完全に防ぐことは難しいですが、リスクを減らすためのさまざまな対策があります。
虫除けスプレーや塗り薬(忌避剤)の使用は、最も一般的で効果的な予防方法のひとつです。成分にはディート(DEET)やイカリジン(ピカリジン)などがあり、それぞれ有効成分の濃度によって効果の持続時間が異なります。ディートは高濃度製品が長時間効果を発揮しますが、生後6ヶ月未満の乳児には使用できません。イカリジンはディートよりも皮膚への刺激が少なく、より幅広い年齢に使用できますが、有効成分の濃度と使用上の注意をよく確認した上で使用してください。
服装についても工夫できます。肌の露出を減らすために、長袖・長ズボンを着用することが有効です。特にブヨやダニが多い山や林の中、草むらを歩くときは、首元・手首・足首などをしっかりカバーすることをおすすめします。明るい色の服装は虫を引き寄せにくいとされています。
室内での対策としては、蚊取り線香や電気式の蚊取り器、網戸の使用などが有効です。ダニ対策としては、布団を定期的に天日干しし、掃除機による清掃を徹底することが重要です。また、ペットを飼っている場合は、ペット自身のノミ・ダニ対策を動物病院に相談しながら行いましょう。
アウトドア活動時は、活動する場所や季節に応じた虫の情報を事前に確認し、リスクの高い時間帯(夕暮れ時や早朝など)の屋外活動を控えることも効果的です。川沿いや水辺はブヨが多く、草や落ち葉が積もった場所はマダニが潜んでいることがあります。山林に入った後は全身のチェックを行い、マダニに食いつかれていないか確認しましょう。
なお、汗をかいたままにしておくと蚊などを引き寄せやすいとされています。屋外活動後はシャワーや洗顔などで汗を流すことも予防に役立ちます。
📌 10. 子ども・アレルギー体質の方への注意点

子どもや特定のアレルギー体質を持つ方は、虫刺されへの対応において特別な注意が必要です。
子どもの場合、免疫系が発達途上であることや皮膚のバリア機能が大人より弱いことから、虫刺されに対してより強い反応を示しやすいです。特に乳幼児は蚊に刺されただけでも大きく腫れ上がることがあり、「あおむし腫れ」と呼ばれることもあります。このような強い反応が繰り返される場合や、刺された後に発熱・グズりが続く場合は、小児科や皮膚科に相談することをおすすめします。
また、「虫刺されアレルギー(昆虫アレルギー)」が疑われる子どもでは、一度専門医によるアレルギー評価を受けることが大切です。ハチに刺されてアナフィラキシーを起こしたことがある場合は、アドレナリン自己注射薬を携帯するよう指導されることがほとんどです。
アトピー性皮膚炎のある方は、皮膚のバリア機能が低下していることが多く、虫刺されによる炎症が通常よりも広がりやすく、かつ長引きやすい傾向があります。アトピー性皮膚炎の治療を継続しながら、虫刺されへの対応も皮膚科医と相談することが望ましいです。
ハチアレルギーのある方については特別な注意が必要です。スズメバチ・アシナガバチ・ミツバチなどに刺されると、アレルギーを持つ方は数分以内にアナフィラキシーを起こす可能性があります。このような方は、アウトドアや農作業など刺されるリスクのある環境に入る際には、アドレナリン自己注射薬を常に携帯し、周囲の人に使い方を伝えておくことが重要です。また、ハチが飛んでいる場所に近づかない、鮮やかな花柄の服や強い香りの香水を避けるといった行動上の注意も大切です。
妊娠中・授乳中の方も、使用できる薬剤に制限があるため、自己判断で市販薬を使用する前に薬剤師や産婦人科医に相談してください。特に内服の抗ヒスタミン薬やステロイド外用薬については、使用の可否や適切な強さについて医師・薬剤師の指示を仰ぐことが安全です。
高齢者の場合は、皮膚が薄くなりバリア機能が低下しているため、虫刺されによる傷が治りにくかったり、感染を起こしやすかったりすることがあります。また、複数の薬を服用していることも多く、抗ヒスタミン薬との飲み合わせに注意が必要です。自己判断での市販薬使用には注意し、かかりつけ医に相談するようにしましょう。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では、虫刺されによる痒みが「なかなか治らない」とお悩みになって受診される患者様が多く、特に掻き壊しによる二次感染やダニによる繰り返しの刺傷が症状を長引かせているケースが少なくありません。痒みを感じたら早めに冷却と適切な外用薬でケアし、我慢できない場合は迷わずご相談いただくことで、慢性化を防ぐことができます。アナフィラキシーが疑われる全身症状が現れた際はすぐに救急へ、そのほかの症状でも数週間以上改善しない場合や発熱を伴う場合は早めに受診されることを強くお勧めします。」
🎯 よくある質問
蚊などによる一般的な虫刺されであれば、数日から1週間程度で自然に落ち着くことがほとんどです。ただし、ブヨに刺された場合は2〜3週間、体質やアレルギー反応の強さによっては1ヶ月以上続くこともあります。症状が長引く場合は皮膚科への受診をご検討ください。
掻く行為によって皮膚に物理的な刺激が加わり、新たな炎症物質が放出されます。さらに皮膚のバリア機能が壊れて細菌が侵入しやすくなり、「とびひ」などの二次感染を引き起こす恐れがあります。また「かゆみ・掻破サイクル」が形成され、症状が慢性化してしまうため、できる限り掻かないことが重要です。
炎症が強い場合はステロイド成分(プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルなど)を含む外用薬が効果的です。ステロイドに抵抗がある方は、ジフェンヒドラミンなどの抗ヒスタミン成分配合の塗り薬も選択肢になります。なお、顔や粘膜付近へのステロイド使用は避け、2週間以上改善しない場合は医療機関へご相談ください。
以下の場合は早めに受診してください。①腫れや赤みが拡大している、患部がじゅくじゅくしているなど二次感染が疑われる場合、②マダニやツツガムシに刺された後に発熱・倦怠感がある場合、③呼吸困難・意識の低下など全身症状(アナフィラキシー)が現れた場合は直ちに救急車を呼ぶ必要があります。アイシークリニックでも症状が長引く場合はご相談いただけます。
基本的な対処法(洗浄・冷却・外用薬使用)は大人と同様ですが、子どもは免疫系が発達途上で皮膚のバリア機能も弱いため、大人より強い反応が出やすい点に注意が必要です。市販薬の使用は年齢制限や使用量の確認が必要で、乳幼児への一部の虫除け成分(ディートなど)は使用不可です。症状が強い場合や発熱を伴う場合は早めに小児科または皮膚科を受診しましょう。
📋 まとめ
虫刺されの痒みがずっと続く原因は、アレルギー反応の強さ、掻き壊しによる炎症の悪化、二次感染、繰り返しの刺傷など、さまざまな要因が絡み合っています。痒みを感じたら、まず患部を清潔にして冷やし、市販の抗ヒスタミン外用薬やステロイド外用薬を適切に使用することが基本的な対処法です。掻いてしまうと症状が悪化するため、できる限り我慢し、冷却や薬の使用で痒みをコントロールすることが重要です。
症状が数週間経っても改善しない場合、腫れや赤みが拡大している場合、発熱を伴う場合、または全身症状(呼吸困難・意識の低下など)が現れた場合は、速やかに医療機関を受診してください。特にアナフィラキシーが疑われる場合は一刻を争う緊急事態ですので、ためらわず救急車を呼ぶことが命を守ることにつながります。
日頃から虫除けスプレーの使用や服装の工夫、室内環境の整備など、虫刺されを予防する習慣を取り入れることも大切です。子どもやアレルギー体質の方、妊婦・高齢者など特別な配慮が必要な方は、自己対処に限界を感じたら早めに専門家に相談するようにしましょう。アイシークリニック池袋院では、虫刺されに関する皮膚トラブルをはじめ、さまざまな肌の悩みについて専門的な診療を行っております。症状が長引いてお困りの場合は、ぜひお気軽にご相談ください。
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📚 参考文献
- 日本皮膚科学会 – 虫刺されの痒みのメカニズム、アレルギー反応(即時型・遅延型)、ステロイド外用薬の使用基準、掻破による皮膚バリア機能低下と二次感染に関する皮膚科学的根拠
- 国立感染症研究所 – ダニ媒介感染症(SFTS・ツツガムシ病・日本紅斑熱など)の感染リスク、症状、早期受診の重要性に関する感染症疫学情報
- 厚生労働省 – 虫刺されに関連する感染症予防対策、忌避剤(ディート・イカリジン)の使用上の注意、アナフィラキシー対応を含む公衆衛生上の指針
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務