多汗症の種類を徹底解説|原発性多汗症の特徴・原因・治療法を医師が紹介

🔥「手汗がひどくて書類が濡れてしまう」「脇汗が気になって人前に出るのが怖い」「緊張すると足の裏がびっしょりになる」——このような症状に悩んでいる方は、もしかすると多汗症かもしれません。多汗症は単なる「汗っかき」ではなく、日常生活に支障をきたすほどの過剰な発汗が特徴的な疾患です。特に原発性多汗症は、明確な原因疾患がないにもかかわらず特定の部位に大量の汗をかく症状で、日本人の約5〜7%が罹患しているといわれています。本記事では、多汗症の種類や原発性多汗症の特徴、診断基準、そして効果的な治療法について詳しく解説します。

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📋 目次

  1. 📌 多汗症とは?基本的な定義と特徴
  2. 📌 多汗症の2つの種類|原発性と続発性の違い
  3. 📌 原発性多汗症の部位別分類と症状
  4. 📌 原発性多汗症の原因とメカニズム
  5. 📌 原発性多汗症の診断基準
  6. 📌 多汗症の重症度分類
  7. 📌 原発性多汗症の治療法
  8. 📌 多汗症とワキガの関係
  9. 📌 日常生活でできる多汗症対策
  10. 📌 医療機関を受診する目安

🎯 多汗症とは?基本的な定義と特徴

💡 このセクションでは、多汗症の基本的な定義と、普通の発汗との違いについて詳しく解説します

多汗症とは、体温調節に必要な量を超えて過剰に発汗する疾患です。人間の体は、暑いときや運動したときに汗をかいて体温を調節しますが、多汗症の方は、特に暑くない環境や安静時でも大量の汗をかいてしまいます。

通常の発汗と多汗症の発汗には、明確な違いがあります。通常の発汗は体温が上昇したときに全身で起こり、体温が下がれば自然と止まります。一方、多汗症の発汗は、体温調節とは関係なく、特定の部位で過剰に起こることが特徴です。

多汗症の有病率は、日本人の約5〜7%と推定されており、決して珍しい疾患ではありません。しかし、「汗をかくのは体質だから仕方ない」と考えて医療機関を受診しない方も多く、適切な治療を受けられていないケースが少なくありません。

⚠️ 注意!
多汗症による問題は、単に汗をかくことだけではありません。手汗によって仕事の書類が濡れてしまう、脇汗で服にシミができて人前に出られない、足汗で靴の中が蒸れて不快になるなど、日常生活や社会生活に大きな支障をきたすことがあります。また、周囲の目が気になって対人関係に消極的になったり、自己肯定感が低下したりするなど、精神的な影響も無視できません。

🔍 多汗症の2つの種類|原発性と続発性の違い

💡 このセクションでは、多汗症を原発性と続発性に分類し、それぞれの特徴と見分け方を徹底解説します

多汗症は、その原因によって「原発性多汗症」と「続発性多汗症」の2つの種類に大別されます。この分類を理解することは、適切な治療を受けるために非常に重要です。

🔸 原発性多汗症とは

原発性多汗症は、他の疾患や薬剤の影響ではなく、汗腺自体の機能亢進によって引き起こされる多汗症です。「原発性」とは、明確な原因疾患がないことを意味しており、「本態性多汗症」とも呼ばれます。

原発性多汗症の最大の特徴は、発汗部位が限定されていることです。手のひら、足の裏、脇、顔、頭部など、特定の部位に集中して過剰な発汗が起こります。このため、「局所性多汗症」という名称で呼ばれることもあります。

原発性多汗症は、思春期前後に発症することが多く、遺伝的要因が関与していると考えられています。家族内で同様の症状を持つ方がいることも珍しくありません。

🔸 続発性多汗症とは

続発性多汗症は、他の疾患や薬剤、ホルモン異常などが原因で引き起こされる多汗症です。原発性多汗症とは異なり、基礎疾患を治療することで改善が期待できる場合があります。

続発性多汗症の原因となる疾患には、以下のようなものがあります。

📌 内分泌疾患としては、甲状腺機能亢進症(バセドウ病)、糖尿病、褐色細胞腫、末端肥大症などが挙げられます。甲状腺機能亢進症では代謝が活発になり、全身性の発汗が増加します。糖尿病では自律神経障害によって発汗異常が起こることがあります。

📌 神経疾患としては、パーキンソン病、脊髄損傷、末梢神経障害などがあります。これらの疾患では、自律神経の調節機能が障害されることで発汗異常が生じます。

📌 感染症では、結核やHIV感染症などで盗汗(寝汗)を伴う発汗が見られることがあります。悪性腫瘍、特にリンパ腫では、寝汗や発熱、体重減少などの症状を伴うことがあります。

📌 更年期障害では、エストロゲンの低下によってホットフラッシュと呼ばれる発汗発作が起こることがあります。突然顔や上半身がほてり、大量の汗をかく症状が特徴的です。

📌 薬剤性の多汗症も続発性多汗症に含まれます。抗うつ薬、解熱鎮痛薬、ホルモン製剤、一部の降圧薬などが原因となることがあります。

🔸 原発性と続発性の見分け方

原発性多汗症と続発性多汗症を見分けるポイントはいくつかあります。

発汗部位について
原発性多汗症では手のひら、足の裏、脇など特定の部位に限局しているのに対し、続発性多汗症では全身性の発汗が多いという特徴があります。

発症年齢について
原発性多汗症は25歳以下で発症することが多いのに対し、続発性多汗症は成人以降に発症するケースが多く見られます。

発汗のタイミングについて
原発性多汗症では日中に起こり、睡眠中は止まることが特徴です。続発性多汗症では、寝汗を伴うことがあります。

随伴症状について
続発性多汗症では基礎疾患に伴う他の症状(動悸、体重減少、発熱など)が見られることがあります。


🔸 原発性と続発性の見分け方

📋 原発性多汗症の部位別分類と症状

💡 このセクションでは、発汗部位別の症状と日常生活への具体的な影響について詳しく解説します

原発性多汗症は、発汗が起こる部位によってさらに細かく分類されます。それぞれの部位特有の症状や日常生活への影響について詳しく見ていきましょう。

🦠 手掌多汗症(手のひらの多汗症)

手掌多汗症は、手のひらに過剰な発汗が起こる状態で、原発性局所多汗症の中で最も多い部位の一つです。日本人における有病率は約5.3%と報告されており、非常に多くの方が悩んでいます。

手掌多汗症の症状は、軽度のものから重度のものまでさまざまです。軽度の場合は手のひらが湿っている程度ですが、中等度になると汗が光って見えるようになります。重度になると、汗が滴り落ちるほどの発汗が起こります。

🚨 日常生活への深刻な影響
📌 仕事では、書類が汗で濡れてしまう、パソコンのキーボードやマウスが滑る、精密作業がしにくいなどの問題が生じます。
📌 対人関係では、握手を避けてしまう、手をつなぐことができないなど、コミュニケーションに支障をきたすことがあります。
📌 学生の場合は、テストの答案用紙が濡れる、文字が滲むなどの問題もあります。

🦠 足蹠多汗症(足の裏の多汗症)

足蹠多汗症は、足の裏に過剰な発汗が起こる状態です。有病率は約2.8%とされており、手掌多汗症と併発することも多いです。

足蹠多汗症の症状は、靴の中が常に蒸れている状態から、靴下がびしょ濡れになるほどの発汗まで幅広くあります。足の裏の汗は、靴の中に閉じ込められるため、蒸れによる不快感や臭いの原因になりやすいという特徴があります。

足蹠多汗症による日常生活への影響としては、靴の中が蒸れて不快、靴や靴下が傷みやすい、足の臭いが気になる、水虫などの真菌感染症のリスクが高まるなどがあります。また、床が滑りやすくなって転倒のリスクが高まることもあります。

🦠 腋窩多汗症(脇の多汗症)

腋窩多汗症は、脇に過剰な発汗が起こる状態で、原発性局所多汗症の中で最も患者数が多いとされています。日本人における有病率は約5.8%と報告されています。

腋窩多汗症の症状は、脇の下がじっとりと湿っている程度から、汗が服に染み出して目に見えるシミになるほどの発汗まであります。特に緊張したときやストレスを感じたときに症状が悪化することが多いです。

腋窩多汗症が日常生活に与える影響は大きく、服選びに制限が出る(汗ジミが目立つ色や素材を避ける)、制汗剤を何度も塗り直す必要がある、人前で腕を上げることができないなどの問題があります。また、脇汗に伴う臭いが気になり、対人関係に消極的になってしまう方も少なくありません。

腋窩多汗症とワキガ(腋臭症)は異なる疾患ですが、併発していることもあります。多汗症は汗の量の問題であり、ワキガは汗の臭いの問題です。ワキガの原因や特徴については「ワキガの原因は遺伝?親から子へ受け継がれる仕組みと対策を医師が解説」で詳しく解説しています。

🦠 頭部・顔面多汗症

頭部・顔面多汗症は、頭皮や顔に過剰な発汗が起こる状態です。有病率は約4.7%とされています。

頭部・顔面多汗症の症状は、頭から汗が滴る、顔が常にテカテカしている、額から汗が流れるなどがあります。特に緊張する場面や人前で話すときに症状が悪化しやすいです。

⚠️ 見た目への直接的な影響
頭部・顔面多汗症は、見た目に直接影響するため、患者さんにとっての精神的負担が大きい傾向があります。化粧が崩れやすい、髪型が崩れる、人と目を合わせるのが恥ずかしいなどの悩みを抱える方が多いです。また、飲食店での食事中に汗が料理に落ちることを気にして外食を避けるようになる方もいます。

🔸 複数部位の多汗症

原発性多汗症は、複数の部位に同時に発症することも珍しくありません。手のひらと足の裏、手のひらと脇など、2か所以上の部位で過剰な発汗が起こるケースが多く見られます。複数部位に症状がある場合は、それぞれの部位に適した治療を組み合わせることが必要になることがあります。

🔍 原発性多汗症の原因とメカニズム

💡 このセクションでは、原発性多汗症の原因として考えられている要因とメカニズムを科学的に解説します

原発性多汗症の正確な原因は、まだ完全には解明されていません。しかし、いくつかの要因が関与していると考えられています。

⚡ 自律神経の過剰反応

原発性多汗症の主な原因として、交感神経の過剰な活動が挙げられます。汗腺は交感神経によって制御されており、交感神経が活発になると汗腺が刺激されて発汗が促されます。原発性多汗症の方は、この交感神経の反応が過剰になっていると考えられています。

通常、交感神経は「闘争か逃走か」の反応に関わる神経系で、緊張や興奮、ストレスを感じたときに活発になります。原発性多汗症の方は、わずかな刺激でも交感神経が過剰に反応し、大量の発汗を引き起こしてしまいます。

🧬 遺伝的要因

原発性多汗症には遺伝的要因が関与していることが知られています。研究によると、原発性多汗症患者の約30〜50%に家族歴があるとされています。親や兄弟姉妹に多汗症がある場合、自分も発症するリスクが高くなります。

ただし、多汗症に関与する具体的な遺伝子はまだ特定されていません。複数の遺伝子が関与する多因子遺伝の可能性や、環境要因との相互作用なども考えられています。

🧠 心理的要因

原発性多汗症は、心理的要因によって症状が悪化することがあります。緊張やストレス、不安を感じると交感神経が活発になり、発汗が増加します。

特に問題となるのは、「汗をかいてしまうのではないか」という予期不安です。多汗症の方は、人前に出る場面や緊張する場面で「また汗をかいてしまうかも」と考えることで、かえって交感神経が刺激され、実際に大量の汗をかいてしまうという悪循環に陥りやすいです。

💡 重要ポイント
心理的要因は多汗症の「原因」ではなく、「悪化要因」であることを理解しておくことが重要です。多汗症は決して「気持ちの問題」ではなく、身体的な疾患です。

💧 汗腺の数や反応性

原発性多汗症の方の汗腺が、そうでない方と比べて数が多いのか、それとも個々の汗腺の反応性が高いのかについては、研究結果が分かれています。一部の研究では、多汗症患者の汗腺の数は通常と変わらないが、アセチルコリン(交感神経の神経伝達物質)に対する反応性が高いと報告されています。

📝 原発性多汗症の診断基準

💡 このセクションでは、医師が多汗症を診断する際に使用する具体的な基準と検査方法を詳しく解説します

原発性多汗症の診断は、主に問診と臨床症状に基づいて行われます。国際的に認められている診断基準を用いて、医師が総合的に判断します。

📋 原発性局所多汗症の診断基準

原発性局所多汗症は、以下の診断基準を用いて診断されます。

📌 大基準
原因不明の局所的な過剰発汗が6か月以上続いていることが必要です。

📌 小基準
以下の6項目のうち2項目以上を満たす必要があります。

✅ 第一に、発汗部位が両側性かつ左右対称であること。
✅ 第二に、日常生活に支障をきたしていること。
✅ 第三に、週に1回以上の頻度で過剰発汗のエピソードがあること。
✅ 第四に、発症年齢が25歳以下であること。
✅ 第五に、家族歴があること。
✅ 第六に、睡眠中は局所的な発汗が止まること。

これらの基準を満たし、かつ続発性多汗症を引き起こす可能性のある基礎疾患や薬剤使用がない場合に、原発性局所多汗症と診断されます。

🔬 診断のための検査

多汗症の診断では、発汗量を客観的に評価するための検査が行われることがあります。

📌 ヨード・デンプン反応試験(マイナー法)は、発汗部位にヨード液を塗り、その上にデンプン粉をかける検査です。汗をかいた部位が青紫色に変色するため、発汗部位を視覚的に確認できます。

📌 換気カプセル法は、発汗量を定量的に測定する方法です。特定の部位にカプセルを装着し、乾燥空気を流して水分量の変化を測定します。研究目的で使用されることが多い検査です。

📌 重量測定法は、ガーゼやろ紙を一定時間発汗部位に当て、その重量変化から発汗量を測定する方法です。腋窩多汗症の診断では、5分間で50mg以上の発汗がある場合に多汗症と判定されることがあります。

続発性多汗症を除外するために、甲状腺機能検査や血糖値検査など、必要に応じて血液検査が行われることもあります。

📊 多汗症の重症度分類

💡 このセクションでは、多汗症の重症度を評価する方法と治療方針の決定について解説します

多汗症の治療方針を決定するうえで、重症度の評価は重要です。いくつかの評価尺度が用いられています。

📋 HDSS(Hyperhidrosis Disease Severity Scale)

HDSSは、多汗症の重症度を4段階で評価する尺度で、臨床現場で広く使用されています。患者さん自身が以下の4つの段階から、自分の状態に最も近いものを選びます。

📌 レベル1発汗は全く気にならず、日常生活に全く支障がない状態です。
📌 レベル2発汗は我慢できるが、日常生活に時々支障がある状態です。
📌 レベル3発汗はほとんど我慢できず、日常生活に頻繁に支障がある状態です。
📌 レベル4発汗は我慢できず、日常生活に常に支障がある状態です。

💡 治療の目安
一般的に、レベル3以上の場合は治療が推奨されます。

📏 部位別の重症度評価

🔸 手掌多汗症の場合
視覚的な評価として3段階に分類されることがあります。
📌 軽度:「手のひらが湿っている」状態
📌 中等度:「汗の水滴ができる」状態
📌 重度:「汗が滴り落ちる」状態

🔸 腋窩多汗症の場合
発汗量や衣服への影響などで評価されます。
📌 軽度:「脇が湿っている程度」
📌 中等度:「衣服に汗染みができる」
📌 重度:「汗が滴り落ちる、または着替えが必要」

💊 原発性多汗症の治療法

💡 このセクションでは、多汗症の具体的な治療法を効果・費用・副作用の観点から詳しく解説します

原発性多汗症には、さまざまな治療法があります。症状の重症度や発汗部位、患者さんのライフスタイルなどを考慮して、最適な治療法が選択されます。

💊 外用療法(塗り薬)

多汗症治療の第一選択として、外用療法があります。塩化アルミニウム製剤が広く使用されており、汗腺の出口を物理的に塞ぐことで発汗を抑制します。

塩化アルミニウムは、10〜20%程度の濃度で処方されることが多く、就寝前に発汗部位に塗布し、翌朝洗い流すという使用法が一般的です。効果が現れるまでに数週間かかることがありますが、継続使用することで発汗量の減少が期待できます。

副作用としては、皮膚の刺激感やかゆみ、かぶれなどがあります。特に脇や足など皮膚が薄い部位では刺激を感じやすいことがあります。

2020年には、日本初の原発性腋窩多汗症治療薬として、ソフピロニウム臭化物配合外用剤が保険適用となりました。この薬剤は、汗腺にあるムスカリン受容体を阻害することで発汗を抑制します。1日1回の塗布で効果が得られ、塩化アルミニウムに比べて皮膚刺激が少ないとされています。

⚡ イオントフォレーシス

イオントフォレーシスは、水道水に微弱な電流を流し、その中に発汗部位を浸すことで発汗を抑制する治療法です。主に手掌多汗症や足蹠多汗症に対して行われます。

治療のメカニズムは完全には解明されていませんが、電流によって汗腺の機能が一時的に低下すると考えられています。1回20〜30分程度の治療を週に数回行い、効果が現れるまで継続します。効果が出た後も、維持療法として週1〜2回の治療を続ける必要があります。

副作用は少なく、軽度の皮膚刺激やピリピリ感が生じることがある程度です。自宅用の機器も市販されており、通院の負担を軽減できることがメリットです。

💉 ボトックス注射

ボツリヌス毒素製剤(ボトックス)の局所注射は、多汗症に対して高い効果が認められている治療法です。ボツリヌス毒素は、神経と汗腺の間の信号伝達を阻害することで、発汗を抑制します。

腋窩多汗症に対しては保険適用となっており、重度の原発性腋窩多汗症で外用療法が効果不十分な場合に選択されます。効果は通常4〜6か月程度持続し、その後は再注射が必要になります。

手掌多汗症に対しても効果がありますが、手のひらは知覚神経が豊富で注射時の痛みが強いため、事前に局所麻酔を行うことが一般的です。

💊 内服療法

抗コリン薬の内服は、全身的に発汗を抑制する治療法です。プロパンテリン臭化物などが使用されることがありますが、口渇、便秘、排尿障害、視力調節障害などの副作用があるため、慎重に使用する必要があります。

精神的な要因が症状悪化に関与している場合は、抗不安薬やSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)などが処方されることもあります。

🔥 ミラドライ

ミラドライは、マイクロ波を照射して汗腺を破壊する治療法です。主に腋窩多汗症に対して行われ、切開を伴わないため傷跡が残りにくいことが特徴です。

マイクロ波は皮膚の表面を通過し、汗腺が存在する深さに熱を集中させて汗腺を破壊します。破壊された汗腺は再生しないため、1回の治療で長期的な効果が期待できます。

ミラドライの効果や仕組みについては「ミラドライの効果と持続期間|半永久的に汗・ニオイを抑える仕組みを解説」で詳しく解説しています。また、施術後の経過については「ミラドライ術後の経過を徹底解説|ダウンタイムや注意点を医師が紹介」をご参照ください。

🏥 交感神経遮断術(ETS手術)

胸腔鏡下交感神経遮断術(ETS)は、胸部の交感神経を切断または焼灼することで、発汗を抑制する手術です。主に手掌多汗症に対して行われ、保険適用となっています。

効果は非常に高く、手術直後から手のひらの発汗が劇的に減少します。しかし、代償性発汗という副作用に注意が必要です。代償性発汗とは、手術後に手のひらの発汗が減少する代わりに、背中や胸、太ももなど他の部位で発汗が増加する現象です。代償性発汗の程度には個人差がありますが、場合によっては手術前よりも生活の質が低下してしまうこともあるため、十分な説明を受けたうえで手術を検討する必要があります。

🔍 多汗症とワキガの関係

💡 このセクションでは、多汗症とワキガの違いと関係性について、メカニズムから治療法まで詳しく解説します

多汗症とワキガ(腋臭症)は、混同されやすい症状ですが、実際には異なる疾患です。ただし、両者が併存していることも多く、関連性について理解しておくことは重要です。

🔸 多汗症とワキガの違い

多汗症は「汗の量」の問題であり、ワキガは「汗の臭い」の問題です。

多汗症は、エクリン腺からの発汗が過剰になる状態です。エクリン腺から分泌される汗は、そのほとんどが水分であり、本来は無臭です。

一方、ワキガは、アポクリン腺から分泌される汗に含まれる成分が、皮膚表面の細菌によって分解されることで独特の臭いを発する状態です。アポクリン腺は脇の下、外陰部、乳輪周囲など限られた部位にのみ存在します。

⚠️ 多汗症がワキガの臭いを強める可能性

多汗症の方がワキガを併発している場合、大量の汗によって脇の下が常に湿った状態になり、細菌が繁殖しやすい環境が作られます。その結果、アポクリン腺からの分泌物がより多くの細菌によって分解され、臭いが強くなる可能性があります。

また、大量の汗が衣服に染み込むことで、汗と細菌が蓄積し、臭いがより目立つようになることもあります。

ご自身がワキガかどうか気になる方は、「ワキガのセルフチェック方法|自分でできる7つの確認ポイントを医師が解説」も参考にしてください。また、耳垢の状態とワキガの関係については「ワキガと耳垢の関係とは?湿性耳垢でわかるワキガ体質のメカニズムと対策を医師が解説」で詳しく解説しています。

💊 治療法の選択

多汗症とワキガが併存している場合は、両方の症状に対応できる治療法を選択することが効率的です。例えば、ミラドライは、エクリン腺とアポクリン腺の両方を破壊することができるため、多汗症とワキガの両方に効果が期待できます。

ミラドライとワキガ手術の違いについては「ミラドライとワキガ手術を徹底比較!効果・費用・ダウンタイムの違い」で詳しく解説しています。

✨ 日常生活でできる多汗症対策

💡 このセクションでは、医療機関での治療と併行して実践できる、効果的な日常生活対策をご紹介します

医療機関での治療と並行して、日常生活でもいくつかの対策を行うことで、多汗症の症状を軽減できる可能性があります。

👕 衣服の選び方

通気性の良い素材の衣服を選ぶことが大切です。綿や麻などの天然素材は汗を吸収しやすく、通気性も良いため、蒸れを軽減できます。速乾性のある機能性素材も効果的です。

脇汗が気になる場合は、脇汗パッドやインナーを活用することで、外側の衣服に汗染みが付くのを防げます。また、汗染みが目立ちにくい色や柄の服を選ぶことも一つの方法です。白や黒は比較的汗染みが目立ちにくい色です。

🧴 制汗剤の使い方

市販の制汗剤(デオドラント)を効果的に使用することで、軽度の多汗症であれば症状をコントロールできることがあります。

制汗剤は、汗をかいてからではなく、清潔な肌に塗布することが重要です。入浴後や就寝前に塗布するのが効果的とされています。また、ロールオンタイプやスティックタイプは、スプレータイプよりも有効成分が肌に密着しやすいため、効果が持続しやすいです。

🧘 ストレス管理

精神的な緊張やストレスは、多汗症の症状を悪化させる要因となります。リラックス法や呼吸法を身につけることで、交感神経の過剰な反応を抑えられることがあります。

具体的な方法としては、深呼吸、瞑想、ヨガ、適度な運動などがあります。自分に合ったストレス解消法を見つけ、日常的に実践することが大切です。ストレス発散の具体的な方法については「ストレス発散方法がわからない方へ|今日からできる科学的に効果的な対処法」も参考にしてください。

🍽️ 食生活の見直し

辛い食べ物、熱い食べ物、カフェイン、アルコールなどは、発汗を促進する可能性があります。多汗症の症状がひどいときは、これらの摂取を控えめにすることが効果的な場合があります。

また、バランスの良い食事を心がけ、体重を適正に保つことも重要です。肥満は発汗量を増加させる要因となります。

🏥 医療機関を受診する目安

💡 このセクションでは、医療機関を受診するべきタイミングと緊急度の高い症状について解説します

多汗症の症状で医療機関を受診すべきかどうか迷っている方も多いかもしれません。以下のような場合は、早めの受診をおすすめします。

📌 日常生活に支障をきたしている場合
積極的に治療を検討してください。仕事や学業に影響が出ている、対人関係に消極的になっている、精神的なストレスを強く感じているといった状況であれば、治療によって生活の質が大きく改善する可能性があります。

🚨 緊急度高!以下の症状がある場合
📌 突然発汗量が増えた場合や、以前はなかった部位で発汗するようになった場合は、続発性多汗症の可能性があります。基礎疾患が隠れている可能性があるため、早めに医療機関を受診しましょう。

📌 寝汗がひどい場合も注意が必要です。原発性多汗症は通常、睡眠中は発汗が止まります。睡眠中も大量の汗をかく場合は、感染症や悪性腫瘍、内分泌疾患などが原因の可能性があります。

📌 発汗に伴って他の症状がある場合
例えば発熱、体重減少、動悸、手指の震えなどがある場合は、基礎疾患の精査が必要です。

多汗症の診療は、皮膚科で行われることが一般的です。重症の場合や手術を検討する場合は、多汗症治療を専門に行っている医療機関を受診することをおすすめします。

👨‍⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】

高桑康太医師(当院治療責任者)より

「当院にも多汗症に関するご相談を数多くいただいております。特に春先から夏にかけて相談件数が増える傾向にあり、腋窩多汗症と手掌多汗症の方が多くを占めています。興味深いのは、長年症状に悩んでいたものの『たかが汗だから』と受診をためらっていた方が、実際に治療を受けて『もっと早く来ればよかった』とおっしゃるケースが非常に多いことです。多汗症は適切な治療で症状をコントロールできる疾患です。日常生活に支障を感じている方は、一人で悩まずにお気軽にご相談ください。」

原発性多汗症は治りますか?

原発性多汗症は完全に「治る」というよりも、治療によって症状を「コントロール」することが可能な疾患です。外用療法やボトックス注射は継続的な治療が必要ですが、ミラドライやETS手術は一度の治療で長期的な効果が期待できます。ただし、治療法によっては副作用やリスクもあるため、医師と相談しながら最適な治療法を選択することが大切です。

多汗症の治療は保険適用されますか?

多汗症の一部の治療は保険適用となっています。腋窩多汗症に対するボトックス注射、原発性腋窩多汗症に対するソフピロニウム臭化物配合外用剤、手掌多汗症に対するETS手術などは保険診療で受けることができます。一方、塩化アルミニウム外用剤やイオントフォレーシス、ミラドライなどは保険適用外(自費診療)となることが一般的です。詳しくは医療機関にお問い合わせください。

原発性多汗症は子どもでも発症しますか?

はい、原発性多汗症は子どもでも発症します。原発性局所多汗症の診断基準では「発症年齢が25歳以下」が項目の一つとなっており、思春期前後に発症するケースが多いとされています。小学生や中学生で手汗がひどくなったというご相談も珍しくありません。子どもの場合は、まず外用療法から始めることが多いです。症状が学校生活に影響している場合は、早めに医療機関を受診することをおすすめします。

緊張すると汗をかくのは多汗症ですか?

緊張したときに汗をかくこと自体は正常な生理反応であり、必ずしも多汗症とは限りません。しかし、緊張時の発汗が日常生活に支障をきたすほど過剰であれば、原発性多汗症の可能性があります。原発性多汗症では、緊張やストレスがきっかけで症状が悪化することが多いですが、それは「悪化要因」であり「原因」ではありません。症状の程度が気になる場合は、医療機関で診断を受けることをおすすめします。

多汗症は何科を受診すればいいですか?

多汗症の診療は主に皮膚科で行われています。外用療法やボトックス注射などの治療を受けることができます。重症の場合や手術を検討する場合は、形成外科や胸部外科(ETS手術の場合)を紹介されることもあります。また、多汗症専門外来を設けている医療機関もありますので、お近くで探してみてください。続発性多汗症が疑われる場合は、基礎疾患の精査のために内科を受診することもあります。


📚 参考文献

監修者医師

高桑 康太 医師

保有資格

ミラドライ認定医

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任
  • 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
  • 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
  • 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
  • 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報

佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
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