「急に熱が出たけれど、どこを受診すればいいの?」「普通の風邪なのか、インフルエンザなのか、それとも新型コロナなのか分からない…」このような不安を感じたことはありませんか。発熱は私たちの身体が病原体と戦っているサインですが、その原因はさまざまです。特に感染症が流行する季節には、自分だけでなく周囲の方への感染拡大を防ぐためにも、適切な受診方法を知っておくことが大切です。
本記事では、発熱外来の基本的な役割から、受診すべきタイミング、診療の流れ、自宅でのセルフケア方法まで、発熱時に知っておきたい情報を分かりやすく解説します。いざというときに慌てないよう、ぜひ参考にしてください。

目次
- 発熱外来とは何か
- 発熱外来の歴史と制度の変遷
- 発熱外来の対象となる症状
- 発熱外来を受診すべきタイミング
- 発熱外来の受診方法と流れ
- 発熱外来で行われる検査
- 発熱外来の費用について
- 発熱外来を受診する際の持ち物と準備
- 風邪・インフルエンザ・新型コロナの違い
- 発熱時の自宅でのセルフケア
- 解熱剤の正しい使い方
- こんな症状があればすぐに受診を
- 家族が発熱したときの対応
- 感染症を予防するために
- まとめ
🏥 発熱外来とは何か
発熱外来とは、発熱や咳、喉の痛みなど感染症が疑われる症状を持つ患者さんを、一般の患者さんとは別のスペースや時間帯で診察するために設けられた専用の外来診療のことです。
通常の診療とは異なり、感染症の疑いがある患者さんを他の患者さんと分離して診察することで、院内感染を防止し、医療従事者や他の来院者への感染拡大を防ぐことを目的としています。
発熱外来では、以下のような感染症の診断と治療が行われます:
- 新型コロナウイルス感染症
- インフルエンザ
- その他の感染症
診察では、問診、視診、聴診、触診といった基本的な診察に加え、必要に応じて抗原検査やPCR検査などの検査が実施されます。
発熱外来の最大の目的は「感染症の拡大を予防すること」にあります。感染力の強いウイルスや細菌による感染症の場合、適切な感染対策を講じないまま一般の患者さんと同じ待合室や診察室を使用すると、院内で感染が広がってしまう恐れがあります。
🔄 発熱外来と一般外来の違い
発熱外来と一般外来には、いくつかの重要な違いがあります。
診察場所の違い:
- 一般の診察室とは別のエリアで診察
- 駐車場での診察
- 専用の隔離スペースでの診察
予約方法の違い:
- 事前の電話予約が必要
- ウェブ予約システムの利用
- 来院時間の調整による接触機会の最小化
待機場所の違い:
- 車内での待機
- 一般待合室とは別の専用スペース
📚 発熱外来の歴史と制度の変遷
発熱外来という概念が日本で広く認知されるようになったのは、2003年のSARS流行がきっかけでした。SARSは感染力が強く、院内感染が世界各地で発生したことから、感染が疑われる患者さんを一般の患者さんから分離して診察する必要性が認識されるようになりました。
その後、2009年の新型インフルエンザ(A/H1N1)の世界的流行時にも、発熱外来は重要な役割を果たしました。この時期には、保健所に設置された発熱相談センターが窓口となり、症状のある方の受診先を振り分けるシステムが構築されました。
🦠 新型コロナウイルス感染症と発熱外来
2020年以降の新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより、発熱外来はこれまでにないほど多くの医療機関で設置されるようになりました。当初は感染症指定医療機関や大規模病院が中心でしたが、感染者数の増加に伴い、地域のクリニックや診療所でも発熱外来を設ける施設が急増しました。
⚖️ 2024年4月以降の制度変更
新型コロナウイルス感染症は、2023年5月8日に感染症法上の位置づけが2類相当から5類に変更されました。そして、2024年4月1日からは新型コロナウイルス感染症も完全に通常の医療提供体制に移行しています。
この制度変更に伴い、厚生労働省の通達により、外来対応医療機関(いわゆる発熱外来)の指定制度は2024年3月末で廃止されました。これにより、多くの医療機関では従来の「発熱外来」という特別な診療枠から、通常の診療の中で発熱患者さんにも対応する体制へと移行しています。
ただし、これは発熱患者の診療が行われなくなったということではありません。多くの医療機関では、引き続き発熱患者さんの診療を行っており、感染対策として患者さんの動線を分けるなどの工夫を継続しているところも少なくありません。現在では「発熱優先外来」や「発熱患者対応外来」といった名称で診療を続けている施設もあります。
🌡️ 発熱外来の対象となる症状
発熱外来を受診すべきかどうか迷われる方も多いと思います。ここでは、発熱外来の対象となる代表的な症状について解説します。
🔥 発熱
発熱外来を受診する目安として、一般的には体温が37.5℃以上の場合が挙げられます。ただし、平熱には個人差がありますので、普段の体温より明らかに高い場合は受診を検討しましょう。
発熱は、体内に侵入した病原体(ウイルスや細菌など)と戦うために、身体が意図的に体温を上げている状態です。つまり、発熱は身体の防御反応の一つであり、必ずしも悪いことではありません。しかし、発熱の原因を特定し、適切な治療を受けることは重要です。
😷 呼吸器症状
発熱に加えて、以下のような呼吸器症状がある場合は、感染症の可能性が高いため発熱外来の対象となります。
- 咳:喉に侵入したウイルスや細菌、ほこりなどの異物を外に出すための防御反射
- 喉の痛み:ウイルスや細菌が喉に付着し、炎症を起こすことで感じる痛み
- 鼻水:大量の分泌液を出して鼻に入ってきた異物を洗い流したもの
特に温度差による咳が続いている場合は、感染症以外の原因も考えられるため、医師による適切な診断が重要です。
😴 全身症状
発熱に伴って以下のような全身症状が現れることもあります。
- 倦怠感:身体全体がだるく、動きたくない感覚
- 関節痛・筋肉痛:特にインフルエンザで顕著に見られる症状
- 悪寒(寒気):体温が上昇する過程で感じることが多い症状
➕ その他の症状
以下のような症状がある場合も、発熱外来の対象となることがあります。
- 頭痛:発熱に伴って起こることが多く、特にインフルエンザで顕著
- 味覚・嗅覚障害:現在の変異株では頻度が減少
- 下痢・嘔吐:新型コロナウイルス感染症で一定の割合で見られる
⏰ 発熱外来を受診すべきタイミング
発熱したからといって、すべての方がすぐに発熱外来を受診する必要があるわけではありません。症状の程度や経過によっては、自宅で様子を見ることができる場合もあります。
🚨 受診を検討すべき状況
以下のような状況に当てはまる場合は、発熱外来の受診を検討しましょう。
- 37.5℃以上の発熱が続いている場合、特に38℃以上の高熱
- 発熱に加えて、強い咳や喉の痛み、鼻水などの症状
- 感染者との接触後の体調不良
- 周囲での感染症流行時
また、解熱剤が効かない場合は、より重篤な感染症の可能性もあるため、早めの受診が推奨されます。
⏱️ 検査に適したタイミング
インフルエンザや新型コロナウイルス感染症の検査には、適切なタイミングがあります。
インフルエンザの場合:
- 症状が出てから12時間以降、48時間以内が検査の目安
- 抗インフルエンザ薬は発症から48時間以内に使用が必要
新型コロナウイルス感染症の場合:
- 症状出現から1日程度経過してから検査を受けると精度が高い
🏠 自宅で様子を見てもよい場合
以下のような場合は、まず自宅で安静にして様子を見ることも選択肢の一つです。
- 症状が比較的軽く、微熱程度(37℃台前半)
- 水分や食事が取れており、日常生活に大きな支障がない
- 抗原検査キットで陰性が確認でき、症状も軽い
📝 発熱外来の受診方法と流れ
発熱外来の受診方法は、通常の外来診療とは異なる点がいくつかあります。スムーズに受診するために、一般的な流れを把握しておきましょう。
📞 事前予約
多くの発熱外来では、事前の予約が必要です。予約方法は医療機関によって異なりますが、主に以下の方法があります。
- 電話予約:最も一般的な方法。現在の症状や発熱の経過を確認
- ウェブ予約・アプリ予約:専用システムから予約、事前問診票の入力
- LINE予約:友だち登録後、メッセージで予約
予約なしでの直接来院は推奨されていません。院内感染を防ぐため、必ず事前に連絡してから受診するようにしましょう。
🚗 来院と待機
予約した時間に医療機関に到着したら、指示に従って待機します。
- 車で来院:駐車場で待機し、電話で到着を知らせて車内で順番を待つ
- 徒歩・公共交通機関:専用の待機スペースや屋外のテントなどで待機
待機中はマスクを着用し、他の方との距離を保つようにしましょう。
❓ 問診
診察に先立って、問診が行われます。問診では以下のような情報を確認されます:
- 現在の症状(発熱、咳、喉の痛み、鼻水など)
- 症状が始まった時期
- 体温の推移
- 周囲に感染者がいるかどうか
- 持病の有無
- 現在服用している薬
- アレルギーの有無
🩺 診察と検査
問診の後、医師による診察が行われます。
- 視診:顔色、表情、発汗の有無、喉の状態、皮膚の色、発疹の有無を確認
- 聴診:聴診器を使って肺や心臓の音を聴き、異常の有無を確認
- 検査:必要に応じてインフルエンザや新型コロナウイルスの抗原検査やPCR検査
💊 診断と処方
検査結果と診察所見をもとに、医師が診断を行い、必要な薬が処方されます。処方箋は、院内で薬を受け取れる場合と、近隣の調剤薬局で受け取る場合があります。感染症の場合は、調剤薬局への処方箋のFAX送信や、配送サービスに対応している場合もあります。
💳 会計
診察終了後、会計を行います。感染対策のため、現金以外の支払い方法(クレジットカード、電子マネー、後日払いなど)を推奨している医療機関もあります。
🔬 発熱外来で行われる検査
発熱外来では、症状や診察所見に応じて、さまざまな検査が行われます。ここでは、代表的な検査について解説します。
🧪 抗原検査
抗原検査は、ウイルスの表面にあるタンパク質(抗原)を検出する検査です。鼻やのどから検体を採取し、専用のキットで検査を行います。
検査結果は15〜30分程度で判明するため、診察中に結果を確認できることが大きなメリットです。
- インフルエンザ抗原検査:発症から12〜24時間以降に行うとより正確
- 新型コロナウイルス抗原検査:インフルエンザよりも早い段階から検出可能
- 同時検査キット:インフルエンザと新型コロナウイルスを同時に検査可能
🧬 PCR検査
PCR検査は、ウイルスの遺伝子を増幅して検出する検査です。抗原検査よりも感度が高く、より正確な診断が可能です。
- 検体:鼻咽頭ぬぐい液や唾液から採取
- 結果判明:数時間から1〜2日
- 現在の使用頻度:抗原検査で十分な精度が得られるため減少
🩸 その他の検査
症状や診察所見によっては、以下のような検査が追加で行われることもあります。
- 血液検査:白血球数やCRP(炎症反応)を確認
- 胸部レントゲン検査:肺炎が疑われる場合
- 尿検査:尿路感染症が疑われる場合
💰 発熱外来の費用について
発熱外来を受診した際の費用について、制度の変更を踏まえて解説します。
💵 基本的な費用
発熱外来での診察には、初診料または再診料に加え、検査費用や処方薬の費用がかかります。
通常の保険診療となるため、健康保険が適用され、自己負担割合(1割・2割・3割)に応じた金額を支払います。
- 診察代:3割負担で3,000円〜7,000円程度
- 薬代:一般的な風邪薬で1,000円〜3,000円程度
🧪 検査費用
新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行して以降、検査費用は自己負担となっています。
- 医師が必要と判断:保険診療として自己負担割合に応じた費用
- 患者希望で実施:全額自己負担となることがある
💊 治療薬の費用
2024年4月以降、新型コロナウイルス感染症の治療薬についても公費負担が終了し、他の疾患と同様に保険診療での自己負担となっています。
- 抗インフルエンザ薬:3割負担で2,000円〜9,000円程度
- 新型コロナ治療薬:3割負担で15,000円〜30,000円程度
🎒 発熱外来を受診する際の持ち物と準備
発熱外来をスムーズに受診するために、事前に準備しておきたいものをまとめました。
📋 必ず持参するもの
- 健康保険証:必須。マイナンバーカードも使用可能だが従来の保険証も持参推奨
- 診察券:以前に受診したことがある場合
- 各種医療証:子ども医療証、高齢受給者証、公費負担医療の受給者証など
📖 あると便利なもの
- お薬手帳:現在服用している薬がある方は必須
- 体温の記録:発熱の推移をメモしておく
- 症状のメモ:いつからどのような症状があるかを整理
🦠 感染対策グッズ
- マスク:必須。不織布マスクが推奨
- 替えのマスク:汗や咳で汚れた場合の交換用
- ティッシュ・ハンカチ:咳やくしゃみ時の口元カバー
- アルコール消毒液:手指消毒用
💳 支払いの準備
- 現金:ある程度の現金を準備
- キャッシュレス決済:クレジットカードや電子マネー(接触を減らすため推奨)
🤧 風邪・インフルエンザ・新型コロナの違い
発熱を伴う感染症として代表的な風邪、インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症について、それぞれの特徴と違いを解説します。
😮💨 風邪の特徴
風邪は、ライノウイルスやコロナウイルス(従来型)など、200種類以上のウイルスによって引き起こされる感染症の総称です。
- 発熱:37〜38℃程度の微熱にとどまることが多い
- 症状:喉の痛み、鼻水、くしゃみ、咳などの上気道症状が中心
- 全身症状:比較的軽い
- 経過:しっかり休養を取れば2〜4日程度で改善
- 治療:特効薬がなく、対症療法が中心
🤒 インフルエンザの特徴
インフルエンザは、インフルエンザウイルス(A型またはB型)による感染症で、毎年11月頃から流行が始まり、1〜3月にピークを迎えます。
- 発熱:38℃以上の急激な高熱
- 症状:悪寒、頭痛、関節痛、筋肉痛、強い倦怠感が突然現れる
- 潜伏期間:1〜3日と比較的短い
- 経過:約1週間程度で回復
- 合併症リスク:高齢者や基礎疾患のある方、小児では肺炎や脳症のリスク
- 治療:抗インフルエンザ薬あり(発症から48時間以内の服用が重要)
特にインフルエンザB型では腹痛症状が現れることもあり、消化器症状にも注意が必要です。
🦠 新型コロナウイルス感染症の特徴
新型コロナウイルス感染症は、SARS-CoV-2というウイルスによる感染症です。
- 初期症状:風邪と似た症状(喉の痛み、鼻水、咳、発熱)がゆるやかに現れる
- 特徴的症状:現在流行している変異株では特に喉の強い痛み
- 潜伏期間:2〜7日程度
- 味覚・嗅覚障害:オミクロン株以降は頻度が減少
- 経過:軽症の場合は1週間程度で回復
- 後遺症:倦怠感、集中力低下、息切れなどが長期間続くケースも
- 流行パターン:年間を通じて注意が必要
❓ 症状だけで見分けることは困難
風邪、インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症は、いずれも発熱、咳、喉の痛み、倦怠感などの症状が共通しており、症状だけで見分けることは非常に困難です。
一般的な傾向として、インフルエンザは急激な高熱と強い全身症状、新型コロナウイルス感染症は強い咽頭痛が特徴的ですが、個人差も大きく、確実に区別するには検査が必要です。
🏠 発熱時の自宅でのセルフケア
発熱した際に、自宅でどのように過ごせばよいか、セルフケアのポイントを解説します。
😴 安静にする
発熱時は、身体が病原体と戦うためにエネルギーを消費しています。無理に動き回らず、できるだけ安静にして身体を休めることが重要です。
- 横になって休むことで、身体の回復に必要なエネルギーを確保
- トイレや食事など必要最低限の活動にとどめる
- 回復に専念する
💧 水分補給
発熱時は、汗をかくことで体内の水分が失われやすくなります。脱水症状を防ぐために、こまめな水分補給を心がけましょう。
- 推奨飲料:スポーツドリンクや経口補水液(塩分やミネラル補給)
- 飲み方:一度に大量ではなく、少量ずつこまめに
- 下痢・嘔吐時:特に経口補水液での水分補給が重要
🍲 栄養補給
発熱で体力を消耗しきってしまうと、回復に時間がかかることがあります。できるだけ食事を取り、栄養を補給しましょう。
- 食欲がない場合:無理に食べる必要はないが、おかゆやスープ、ゼリーなど消化の良いものを少しずつ
- 避けるべき食事:ラーメンやピザなど脂肪分の多い食事(消化にエネルギーを使うため)
🌡️ 体温管理
発熱時の体温管理は、熱の段階によって対応を変えることがポイントです。
熱の上がり始め(寒気があるとき):
- 身体を温めることが大切
- 掛け布団を追加、電気毛布や湯たんぽを使用
- まだ頭を冷やす必要はない
熱が上がりきった後(寒気がなくなったら):
- 布団を減らし、氷枕などで頭を冷やす
- 首、脇の下、足の付け根など、太い血管がある場所を冷やすと効果的
🏠 室内環境
- 室温:20〜25℃程度に保つ
- 湿度:50〜60%程度に保つ(加湿器使用や濡れタオルを干す)
- 換気:1〜2時間に1回程度、窓を開けて空気を入れ替える
👕 着替え
発熱時は汗をかきやすくなります。汗をかいたら、こまめに着替えるようにしましょう。
- 着脱しやすいゆったりとしたパジャマや下着を準備
- 汗で濡れたままの衣服は体温調節を妨げ、不快感の原因となる
💊 解熱剤の正しい使い方
発熱時に解熱剤を使うべきかどうか、迷う方も多いと思います。ここでは、解熱剤の正しい使い方について解説します。
🎯 解熱剤の役割
解熱剤は、脳にある体温調節中枢に作用して、高くなった体温を下げる働きをします。
ただし、解熱剤は病気そのものを治す薬ではなく、発熱による不快な症状を一時的に緩和するための薬です。解熱剤を使用しても、感染症の原因となっているウイルスや細菌が排除されるわけではありません。
⏰ 解熱剤を使うタイミング
発熱があるからといって、必ずしも解熱剤を使う必要はありません。発熱は身体が病原体と戦うための防御反応であり、ある程度の発熱は回復に必要なプロセスでもあるからです。
解熱剤を使用する目安:
- 高熱(38℃以上)が続いて身体がつらいとき
- 発熱のせいで水分や食事が取れないとき
- 発熱のせいで眠れないとき
一方、38℃以上あっても比較的元気で、水分や食事が取れている場合は、解熱剤を使わずに様子を見ることも選択肢の一つです。
また、解熱剤を飲むタイミングについても、適切な判断が重要です。
💊 解熱剤の種類
市販の解熱剤には、大きく分けて2種類あります。
アセトアミノフェン(カロナール、タイレノールなど):
- 比較的穏やかに作用
- 胃への負担が少ない
- 空腹時にも服用しやすい
- 小児や妊婦、高齢者にも使用可能
NSAIDs(イブプロフェン、ロキソプロフェンなど):
- 解熱作用に加えて抗炎症作用も持つ
- 喉の痛みや関節痛なども緩和
- 胃への負担が大きい(空腹時の服用は避ける)
⚠️ 解熱剤使用の注意点
- 用法・用量:決められた量以上の服用は危険
- 使用間隔:通常6〜8時間以上空ける
- 効果がない場合:病気自体が重い可能性があるため医療機関を受診
- 子どもの使用:子ども用製品を使用し、体重に応じた適切な量を投与
🌡️ 熱中症には効かない
アセトアミノフェンなどの解熱剤は、感染症などによる発熱には効果がありますが、熱中症による体温上昇には効果がありません。
熱中症は体温調節中枢のコントロールが効かなくなって体温が上昇するものであり、解熱剤が作用する仕組みとは異なるためです。
🚨 こんな症状があればすぐに受診を
多くの発熱は自宅での療養で回復しますが、中には緊急の対応が必要な場合もあります。以下のような症状がある場合は、すぐに医療機関を受診してください。
🫁 呼吸に関する症状
- 息が苦しい、息切れがする
- 急に息苦しくなった
- 少し動くだけでも息苦しい
- 肩で息をしている
- 横になれない・座らないと息ができない
- 長く続く胸の痛みがある
- 唇や爪の色が紫色(チアノーゼ)になっている
🧠 意識に関する症状
- 意識がぼんやりしている
- 呼びかけに対する反応が弱い
- もうろうとして返事がない
- いつもと様子が違う
💧 脱水に関する症状
- 水分が全く取れない
- 尿が極端に少ない
- ぐったりして動けない
🌡️ 高熱が続く場合
- 38℃以上の高熱が4日以上続いている場合
- 41℃を超える高熱
また、咳が2週間以上続く場合は、感染症以外の疾患の可能性もあるため、医師の診察を受けることが重要です。
👶 乳幼児の場合
- 生後3ヶ月未満の赤ちゃんが38℃以上の発熱をした場合
- けいれんを起こした場合
👴 高齢者や基礎疾患のある方
- 高齢者や糖尿病、心臓病、呼吸器疾患などの基礎疾患がある方は重症化のリスクが高い
- 高齢者は発熱しにくいため、熱が出なくても倦怠感や食欲低下で感染症が進行している場合がある
👨👩👧👦 家族が発熱したときの対応
家族の中に発熱した人がいる場合、感染拡大を防ぎながら適切にケアすることが大切です。
🏠 生活空間の分離
- 可能であれば、発熱した家族とは別の部屋で過ごす
- 難しい場合でも、できるだけ距離を保つ
- 寝室を分けることで夜間の感染リスクを減らす
💨 換気の徹底
- 1〜2時間に1回、5〜10分程度窓を開けて空気を入れ替える
- 対角線上にある2か所の窓を開けると効率よく換気できる
🧼 手洗いの徹底
- 発熱した家族の看護をした後は、必ず石けんで手を洗う
- ドアノブ、トイレ、洗面所など、共用部分に触れた後も手洗いを実施
- アルコール消毒も有効
🧽 共用部分の消毒
- トイレ、洗面所、浴室など家族で共用する場所をこまめに清掃・消毒
- ドアノブ、スイッチ、リモコンなどをアルコールや次亜塩素酸ナトリウムで拭き取り
🍽️ 物品の共有を避ける
- タオル、食器、コップなどは発熱した家族と共用しない
- 使用した食器は通常の洗剤で洗えば問題ないが、別々に洗うとより安心
🛁 入浴の順番
- 発熱した家族の入浴は家族の中で最後に
- 入浴後は浴室の換気を十分に行う
😷 マスクの着用
- 発熱した家族と接触する際は、お互いにマスクを着用
- 特に飛沫感染を防ぐために重要
👤 看護する人を限定する
- 可能であれば、看護をする人を1人に限定して感染リスクを減らす
- 高齢者や基礎疾患のある方、妊婦、乳幼児は接触を避ける
🛡️ 感染症を予防するために
発熱を引き起こす感染症にかからないためには、日頃からの予防が大切です。
🧼 手洗い・手指消毒
手洗いは、感染症予防の基本中の基本です。
- 外出先から帰ったとき、食事の前、トイレの後などに石けんで20秒以上洗う
- 手を洗えない状況では、アルコール消毒液を使用
💧 うがい
- 帰宅時のうがいで喉に付着した病原体を洗い流す
- 水やうがい薬を使用
😷 マスクの着用
- 咳やくしゃみの症状がある場合や人混みに出かける場合に着用
- 自分が感染している場合の飛沫拡散防止効果
- 周囲からの飛沫を吸い込むのを防ぐ効果
💨 適度な湿度の維持
- 室内の湿度を50〜60%程度に保つ
- 空気の乾燥は喉や鼻の粘膜を傷め、ウイルスに感染しやすくなる
😴 十分な睡眠と栄養
- 免疫力を維持するために重要
- 十分な睡眠とバランスの取れた食事
- 睡眠不足や栄養不足は免疫力を低下させる
特に亜鉛は免疫機能に重要な役割を果たすため、バランスの良い食事を心がけることが大切です。
💉 ワクチン接種
- インフルエンザや新型コロナウイルス感染症のワクチンは感染リスクを低下させ、重症化を防ぐ
- 特に高齢者や基礎疾患のある方など、重症化リスクの高い方は接種を検討
インフルエンザワクチンの効果期間を理解して、適切なタイミングで接種を受けることが重要です。
🏃♂️ 人混みを避ける
- 感染症が流行している時期は不要不急の外出を控える
- 人混みを避けることも有効な予防策

よくある質問
2024年4月以降、制度としての「発熱外来」は廃止されましたが、多くの医療機関では引き続き発熱患者さんの診療を行っています。「発熱優先外来」や「発熱患者対応外来」といった名称で診療を続けている施設もありますので、発熱時は事前に医療機関に電話で相談してから受診しましょう。
解熱剤を適切に使用しても熱が下がらない場合は、より重篤な感染症や他の疾患の可能性があります。特に38℃以上の高熱が4日以上続く場合や、呼吸困難、意識障害などの症状がある場合は、すぐに医療機関を受診してください。解熱剤は症状を緩和するものであり、病気そのものを治すものではないことを理解しておくことが重要です。
新型コロナウイルス感染症とインフルエンザの同時感染(フルロナ)は実際に報告されています。症状だけでは区別が困難なため、両方の検査を同時に行える検査キットも利用されています。同時感染の場合、症状が重篤化する可能性もあるため、発熱や呼吸器症状がある場合は早めに医療機関を受診し、適切な検査を受けることが重要です。
感染症の種類によって隔離期間は異なりますが、一般的には発症から5日間かつ解熱後24時間は他の家族との接触を最小限にすることが推奨されています。新型コロナウイルス感染症の場合、発症から5日間経過し、かつ症状軽快から24時間経過するまでは感染リスクが高いとされています。ただし、個人差もあるため、医師の指示に従うことが最も重要です。
発熱時は汗により水分と電解質が失われるため、経口補水液やスポーツドリンクが最も適しています。これらには適切な塩分とミネラルが含まれており、効率的な水分補給が可能です。下痢や嘔吐を伴う場合は特に経口補水液が推奨されます。一度に大量に飲むのではなく、少量ずつこまめに摂取することが重要です。カフェインを含む飲み物は利尿作用があるため避けましょう。
📝 まとめ
発熱外来は、感染症が疑われる患者さんを他の患者さんと分離して診察し、院内感染を防ぐために設けられた診療体制です。2024年4月以降、制度としての「発熱外来」の指定は終了しましたが、多くの医療機関では引き続き発熱患者さんへの対応を行っています。
発熱した場合は、まず事前に医療機関に電話連絡をしてから受診するようにしましょう。予約なしでの直接来院は、院内感染のリスクを高める可能性があります。
発熱時の対応で最も重要なのは、症状の程度を正しく判断し、適切なタイミングで医療機関を受診することです。軽症の場合は自宅での療養も可能ですが、呼吸困難や意識障害、高熱が続く場合は迷わず医療機関を受診してください。
また、日頃からの感染症予防も重要です。手洗い・うがい・マスク着用といった基本的な感染対策に加え、十分な睡眠と栄養、適度な運動により免疫力を維持することで、感染症にかかるリスクを減らすことができます。
発熱は身体からの重要なサインです。適切な知識を持って対応し、必要に応じて医療機関を受診することで、早期回復と感染拡大の防止につながります。
📚 参考文献
- 厚生労働省 – 新型コロナウイルス感染症について
- 国立感染症研究所 – 感染症情報
- 日本小児科学会 – 小児の発熱に関するガイドライン
- 日本呼吸器学会 – 呼吸器感染症診療ガイドライン
- 日本感染症学会 – 感染症診療の手引き
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
発熱外来の設置は、医療機関にとって大きな負担でしたが、院内感染を防ぎながら発熱患者さんを安全に診療するために不可欠でした。現在も感染対策を継続しながら、より効率的で患者さんにとって負担の少ない診療体制の構築に努めています。