粉瘤(ふんりゅう)の治療法として近年注目を集めているのが「くりぬき法」です。従来の切開法と比較して傷跡が小さく、手術時間も短いことから、多くの患者さんに選ばれています。しかし、すべての粉瘤にくりぬき法が適用できるわけではなく、腫瘍の大きさや状態によって最適な治療法は異なります。この記事では、粉瘤のくりぬき法について、そのメリット・デメリット、従来の切開法との違い、そして治療を受ける際の注意点まで詳しく解説します。粉瘤でお悩みの方が、ご自身に合った治療法を選択するための参考にしていただければ幸いです。

目次
- 粉瘤とは?基本的な知識と症状
- 粉瘤のくりぬき法(へそ抜き法)とは
- くりぬき法の5つのメリット
- くりぬき法のデメリットと注意点
- 従来の切開法との違いを徹底比較
- くりぬき法が適応となる条件
- くりぬき法の手術の流れ
- 術後の経過とケア方法
- くりぬき法の費用について
- よくある質問
- まとめ
🔍 粉瘤とは?基本的な知識と症状
粉瘤は、皮膚の下にできる良性の腫瘍(できもの)の一種です。医学的には「表皮嚢腫(ひょうひのうしゅ)」とも呼ばれ、皮膚科や形成外科で最も多く見られる皮下腫瘍のひとつです。
📍 粉瘤ができる仕組み
粉瘤は、何らかの原因で皮膚の一部が皮下に入り込み、袋状の構造物(嚢腫)を形成することで発生します。この袋の中には、本来皮膚の表面から剥がれ落ちるはずの角質(垢)や皮脂が溜まっていきます。
袋の内側は皮膚と同じ構造になっているため、新陳代謝によって常に老廃物が産生され、袋は徐々に大きくなっていきます。
粉瘤ができる明確な原因は完全には解明されていませんが、以下の要因が指摘されています:
- 毛穴の詰まり
- 外傷
- ウイルス感染(ヒトパピローマウイルスなど)
- 体質的要因
🎯 粉瘤の特徴と症状
粉瘤には以下のような特徴があります:
- しこり感:皮膚の下に弾力のあるしこりとして触れる
- 可動性:触ると少し動く感じがする
- 開口部:腫瘍の中央部に黒い点(へそ)が見られる
- 内容物:開口部を押すと臭いのある白っぽい内容物が出る
粉瘤ができやすい部位:
- 顔
- 首
- 背中
- 耳たぶ
- 脇
- お尻
大きさは数ミリから数センチまでさまざまで、放置すると徐々に大きくなることが多いです。
⚠️ 粉瘤が炎症を起こすとどうなるか
粉瘤は通常、痛みを伴わない腫瘤として存在しますが、細菌感染を起こすと「炎症性粉瘤」となり、以下の症状が現れます:
- 赤く腫れる
- 強い痛み
- 急激な腫大
- 発熱
- 膿の形成・排出
炎症を繰り返すと、周囲の組織との癒着が生じ、手術が複雑になることがあります。そのため、できるだけ炎症を起こす前に治療を受けることが望ましいとされています。
粉瘤が炎症を起こした際の対処法について詳しく知りたい方は、粉瘤が炎症を起こしたときの対処法|原因・症状・治療法を医師が解説をご参照ください。
🏥 粉瘤のくりぬき法(へそ抜き法)とは
くりぬき法は、粉瘤を摘出するための手術法のひとつで、「へそ抜き法」「パンチ法」とも呼ばれています。従来の切開法と比較して、より小さな傷跡で粉瘤を取り除くことができる低侵襲な治療法として注目されています。
📅 くりぬき法の歴史と背景
くりぬき法は、1988年に日本の皮膚科医によって報告された手術法で、その後改良が加えられながら普及してきました。従来の切開法では粉瘤の直径と同じか、それ以上の切開が必要でしたが、くりぬき法では特殊な円筒形のメス(トレパン・パンチ)を使用することで、最小限の切開で腫瘍を摘出できるようになりました。
⚙️ くりぬき法の原理
くりぬき法では、粉瘤の中央にある開口部(へそ)を中心に、直径2〜6ミリ程度の円形の穴を開けます。
手術の流れ:
- 円形の小さな穴を開ける
- 袋の中に溜まった内容物(角質や皮脂)を押し出して排出
- 内容物を出すと袋がしぼむため、小さな穴からでも袋(嚢腫壁)を引き出せる
- 袋を完全に摘出
この方法のポイントは、粉瘤の「へそ」と呼ばれる開口部を確実に含めて切除することです。へそは粉瘤と外界をつなぐ部分であり、ここを取り残すと再発の原因となります。
🔧 使用する器具
くりぬき法では、トレパンまたはバイオプシーパンチと呼ばれる円筒形の器具を使用します。
器具の特徴:
- 皮膚に円形の穴を開けるための専用医療器具
- 直径2mm、3mm、4mm、5mm、6mmなど様々なサイズ
- 粉瘤の大きさや状態に応じて適切なサイズを選択
✅ くりぬき法の5つのメリット
くりぬき法には、従来の切開法と比較して多くのメリットがあります。ここでは、くりぬき法の主な5つのメリットについて詳しく解説します。
🎯 メリット1:傷跡が小さく目立ちにくい
くりぬき法の最大のメリットは、傷跡が非常に小さいことです。
傷跡の比較例:
- 従来法:直径2センチの粉瘤 → 約3センチの傷跡
- くりぬき法:直径2センチの粉瘤 → 4〜6ミリ程度の傷跡
この特徴は、顔や首、腕など露出部にできた粉瘤の治療において特に重要です。傷跡が小さければ、術後の見た目の問題も軽減され、患者さんの心理的負担も少なくなります。
⏰ メリット2:手術時間が短い
くりぬき法は、従来の切開法と比較して手術時間が短いのも大きなメリットです。
手術時間の目安:
- 小さな粉瘤:5〜10分程度
- 大きなもの:15〜20分程度
- 従来の切開法:30分以上かかることも
手術時間が短いことのメリット:
- 患者さんの身体的・精神的負担の軽減
- 局所麻酔の使用量が少なくて済む
- 麻酔に関連するリスクの低減
🪡 メリット3:縫合が不要または最小限で済む
くりぬき法では、多くの場合、縫合(縫い合わせ)が不要です。小さな円形の傷は、自然治癒によって徐々に収縮し、閉じていきます。これを「二次治癒」といいます。
縫合不要のメリット:
- 抜糸のための通院が不要
- 患者さんの負担が大幅に軽減
- 抜糸時の痛みや不快感がない
ただし、傷が大きい場合や出血が多い場合には、1〜2針程度の縫合を行うこともあります。それでも従来法と比較すると縫合数は少なく、負担は軽減されます。
💊 メリット4:術後の痛みが少ない
くりぬき法は低侵襲な手術であるため、術後の痛みが比較的少ないのも特徴です。
痛みが少ない理由:
- 切開範囲が小さい
- 周囲の組織へのダメージが最小限
- 術後の腫れや炎症が軽度
多くの患者さんは、市販の鎮痛剤で痛みをコントロールでき、日常生活への支障も最小限です。術後の痛みが少ないことは、仕事や学校への早期復帰にもつながります。
🏠 メリット5:日帰り手術が可能
くりぬき法は、局所麻酔下で行う日帰り手術として実施されます。
日帰り手術のメリット:
- 入院の必要がない
- 手術当日に帰宅可能
- 仕事や家庭への影響を最小限に抑制
- 手術前の検査も簡便
- 初診時に診察と手術を同日実施も可能
忙しい現代人にとって、入院を必要としない治療法は大きなメリットといえるでしょう。
粉瘤の日帰り手術について詳しく知りたい方は、粉瘤の日帰り手術とは?手術の流れや費用、術後の注意点を医師が解説をご参照ください。
⚠️ くりぬき法のデメリットと注意点
くりぬき法には多くのメリットがありますが、すべての粉瘤に適応できるわけではありません。ここでは、くりぬき法のデメリットや注意点について解説します。
📏 デメリット1:大きな粉瘤には適さない場合がある
くりぬき法は、小さな穴から袋を引き出して摘出する方法であるため、あまりに大きな粉瘤には適さないことがあります。
適応の限界:
- 一般的に直径3〜4センチを超える粉瘤
- 皮膚との癒着が強い粉瘤
- 完全に摘出することが困難な場合
大きな粉瘤の場合は、従来の切開法の方が確実に摘出でき、再発のリスクも低くなります。
🔥 デメリット2:炎症が強い場合は適応外となることがある
粉瘤が強い炎症を起こしている場合(炎症性粉瘤)、くりぬき法での完全摘出が困難なことがあります。
炎症による問題:
- 周囲の組織との境界が不明瞭
- 袋が脆くなって破れやすい
- 完全摘出の困難
このような場合の対処法:
- まず炎症を抑える処置(切開排膿や抗生剤投与)
- 炎症が落ち着いてから根治的な手術を実施
🔄 デメリット3:再発のリスク
くりぬき法では、袋(嚢腫壁)を完全に取りきれないと再発するリスクがあります。
再発しやすいケース:
- 袋が破れて一部が残った場合
- 癒着が強くて完全摘出が困難だった場合
- 手術手技が不適切だった場合
ただし、熟練した医師が適切に手術を行えば、再発率は従来の切開法と大きく変わらないとされています。
粉瘤の再発について詳しく知りたい方は、粉瘤が再発する原因とは?繰り返す理由と根本的な治療法を医師が解説をご参照ください。
🩹 デメリット4:術後の傷の管理が必要
くりぬき法では縫合しないことが多いため、傷が自然に閉じるまでの間、適切な傷の管理が必要です。
管理が必要な事項:
- 傷口からの浸出液の処理
- 毎日のガーゼ交換
- 創部の洗浄
- 傷が完全に閉じるまで2〜4週間程度
- 感染リスクへの注意
👨⚕️ デメリット5:医師の技術に依存する
くりぬき法は、小さな穴から袋を取り出すという繊細な操作を要するため、医師の技術と経験が治療結果に大きく影響します。
技術不足による問題:
- 袋が破れて内容物が残る
- 袋を取り残して再発
- 手術時間の延長
- 合併症のリスク増加
そのため、くりぬき法での治療を希望する場合は、この手術法に習熟した医師のいる医療機関を選ぶことが重要です。
🆚 従来の切開法との違いを徹底比較
粉瘤の手術には、くりぬき法のほかに従来の切開法(紡錘形切除法)があります。ここでは、両者の違いを詳しく比較します。
✂️ 切開の大きさと方法
従来の切開法:
- 粉瘤の直径に合わせて紡錘形(木の葉型)に皮膚を切開
- 切開線の長さは粉瘤の直径と同程度かそれ以上
- 例:2センチの粉瘤 → 3〜4センチの切開
くりぬき法:
- 粉瘤の大きさに関わらず2〜6ミリ程度の円形の穴
- 切開の大きさの違いが、傷跡の違いに直結
🔍 摘出方法の違い
従来の切開法:
- 粉瘤を周囲の組織から丁寧に剥離
- 袋を破らないように一塊として摘出
- 粉瘤全体を直接視認しながら操作
- 確実な摘出が可能
くりぬき法:
- まず内容物を排出して袋をしぼませる
- 小さな穴から袋を引き出して摘出
- 内容物を出すことで袋が小さくなる
- 袋が破れやすいという側面もある
🪡 縫合と傷の治り方
従来の切開法:
- 切開部を縫合して閉じる
- 傷は比較的早く閉じる(1〜2週間で抜糸)
- 傷跡は線状
- 皮膚のしわの方向に沿って切開すれば目立ちにくい
くりぬき法:
- 多くの場合縫合せずに治癒させる(二次治癒)
- 傷が完全に閉じるまでに2〜4週間程度
- 最終的な傷跡は非常に小さい
- 傷が閉じるまでの間はケアが必要
🎯 適応となる粉瘤の違い
従来の切開法:
- 大きさや状態を問わず、ほぼすべての粉瘤に適応
- 大きな粉瘤に適している
- 炎症を繰り返して周囲と癒着している粉瘤に最適
- 確実な摘出が可能
くりぬき法:
- 比較的小さな粉瘤(一般的に直径3センチ以下)
- 初発で炎症のない粉瘤に適している
- 経験豊富な医師であれば適応範囲が広がる
⏱️ 手術時間と患者負担の比較
比較表:
| 項目 | くりぬき法 | 従来の切開法 |
|---|---|---|
| 手術時間 | 5〜20分程度 | 15〜40分程度 |
| 麻酔量 | 少ない | やや多い |
| 術後の痛み | 軽度 | 中等度 |
| 縫合 | 不要または最小限 | 必要 |
| 抜糸 | 不要の場合が多い | 必要 |
| 通院回数 | 少ない | やや多い |
どちらの方法が適しているかは、粉瘤の状態や患者さんのライフスタイルを考慮して決定されます。
切開法とくりぬき法の詳しい比較については、粉瘤の切開法とくり抜き法の違いとは?手術方法や傷跡・費用を比較解説をご参照ください。
🎯 くりぬき法が適応となる条件
くりぬき法はすべての粉瘤に適用できるわけではありません。ここでは、くりぬき法が適応となる条件と、適応外となるケースについて解説します。
✅ くりぬき法に適した粉瘤の特徴
くりぬき法が最も適しているのは、以下のような特徴を持つ粉瘤です。
大きさ:
- 直径3センチ以下が目安
- 小さい粉瘤ほど内容物を出した後に摘出しやすい
炎症の状態:
- 炎症を起こしていない
- 炎症が軽度である
- 袋と周囲組織の境界が明瞭
開口部の状態:
- 粉瘤の中央に開口部(へそ)がはっきりと確認できる
- 開口部が閉じていない
部位:
- 顔や首、腕など露出部
- 傷跡を最小限にしたい部位
- 患者さんの美容的な希望
❌ くりぬき法が難しいケース
以下のようなケースでは、くりぬき法よりも従来の切開法が推奨されます。
大きさの問題:
- 直径4センチ以上の粉瘤
- 内容物を出しても袋が大きく、小さな穴から摘出困難
炎症の問題:
- 炎症を繰り返している粉瘤
- 周囲との癒着が強い
- 袋が脆くなっている
- 過去に破裂したことがある
- 過去に切開排膿を受けたことがある
部位の問題:
- 頭皮の粉瘤で毛髪が袋に入り込んでいる
- 関節の上など動きの多い部位
- 深い位置にある粉瘤
🔥 炎症性粉瘤への対応
粉瘤が炎症を起こしている場合(炎症性粉瘤)の対応は、炎症の程度によって異なります。
軽度の炎症:
- くりぬき法で対応可能な場合がある
- 内容物と袋を摘出することで炎症の鎮静化と根治を同時達成
強い炎症:
- 二段階のアプローチを採用
二段階アプローチ:
- 第一段階:切開排膿 + 抗生剤による炎症の沈静化
- 第二段階:炎症が落ち着いた後(1〜3ヶ月後)に根治手術
この方法により、確実な治療と傷跡の最小化を両立させることができます。
🏥 くりぬき法の手術の流れ
ここでは、アイシークリニック池袋院でのくりぬき法の一般的な流れを解説します。
🩺 診察と手術前の準備
診察での評価項目:
- 粉瘤の大きさ測定
- 位置の確認
- 炎症の有無
- 皮膚との癒着の程度
- エコー検査による内部構造の確認
粉瘤の状態を総合的に評価し、くりぬき法が適切かどうかを判断します。
説明事項:
- 手術の内容
- メリット・デメリット
- 術後の経過
- 費用
- リスクと合併症
手術スケジュール:
- 診察当日の手術も可能
- 後日予約制での手術
- 手術前の食事制限は特になし
- 当日はシャワーを浴びて清潔な状態で来院
💉 麻酔
局所麻酔の実施:
- 粉瘤の周囲に麻酔薬を注射
- 手術部位を完全に麻痺させる
- 注射時にチクッとした痛みあり
- 麻酔が効いた後は手術中の痛みはほとんどなし
- 麻酔効果は手術後も1〜2時間程度継続
⚕️ 手術の実際
手術手順:
- 切開:
- 粉瘤の開口部(へそ)を中心にトレパンで円形の穴を開ける
- 穴の大きさは2〜6ミリ程度
- 内容物の排出:
- 穴から粉瘤の内容物(角質や皮脂)を圧出
- 内容物を出すと袋がしぼむ
- 袋の摘出:
- しぼんだ袋を鉗子で引き出す
- 周囲から剥離しながら慎重に摘出
- 袋を破らないよう注意深く操作
- 取り残しがないことを確認
- 止血・創部処理:
- 必要に応じて止血
- 傷の状態によっては1〜2針縫合
- 多くの場合は軟膏とガーゼで覆って終了
⏰ 手術時間
時間の目安:
- くりぬき法の手術時間:5〜20分程度
- 麻酔や説明を含む全体時間:30分程度
- 粉瘤の大きさや状態により変動
🏠 術後の経過とケア方法
くりぬき法の術後は、適切なケアを行うことで傷の治りを促進し、合併症を予防することができます。
🌅 術直後〜当日
術直後の状態:
- 傷口を軟膏とガーゼで保護した状態で帰宅
- 麻酔が切れると多少の痛みを感じることあり
- 市販の鎮痛剤で対処できる程度の痛み
当日の注意事項:
- 激しい運動は避ける
- 飲酒は控える
- 安静に過ごす
- 手術部位を濡らさないよう注意
- シャワー時は防水テープで保護
- 入浴は控える
📅 術後1〜7日目
傷の状態:
- 術後数日間は傷から浸出液(滲み出る液体)が出ることあり
- 浸出液は正常な治癒過程の一部
- ガーゼが濡れたら交換
- 傷口を清潔に保つ
医療機関での対応:
- 術後1〜3日目に再診
- 傷の状態を確認
- 縫合した場合は術後7〜14日目頃に抜糸
🔄 術後1〜4週間
二次治癒の過程:
- 縫合しなかった場合、傷は自然に閉じる
- 傷が完全に閉じるまで2〜4週間程度
- 毎日の傷の洗浄が必要
- 軟膏を塗ってガーゼで保護
良好な治癒の兆候:
- 傷が徐々に小さくなる
- 赤みや腫れが改善
- 浸出液の減少
注意すべき症状:
- 赤みや腫れが強くなる
- 膿が出る
- 強い痛み
- 発熱
これらの症状がある場合は感染の可能性があるため、早めに受診してください。
🎯 傷跡の経過
治癒過程:
- 傷が閉じた後もしばらく赤みを帯びる
- 新しい皮膚が形成されている証拠
- 時間とともに徐々に周囲の皮膚と馴染む
- 最終的な傷跡の状態が落ち着くまで3〜6ヶ月程度
傷跡ケアの推奨事項:
- 紫外線対策(日焼け止めの使用)
- 保湿ケア
- ケロイド体質の方は医師に相談
🚶♀️ 日常生活の制限
早期復帰可能な活動:
- 手術翌日からデスクワークなどの軽い仕事
- 最小限の日常生活制限
制限される活動:
- 激しい運動:傷が安定するまで(1〜2週間程度)控える
- 重いものを持つ作業:同様に1〜2週間程度控える
- 入浴:傷が完全に閉じるまでシャワー浴が基本
- プールや温泉:傷が閉じるまで避ける
その他の注意事項:
- 飲酒や喫煙は傷の治りを遅らせる可能性
- 控えめにすることが望ましい
粉瘤手術後のケアについて詳しく知りたい方は、粉瘤手術後のケア完全ガイド|傷跡を綺麗に治すための注意点と過ごし方をご参照ください。
💰 くりぬき法の費用について
粉瘤の手術は、保険適用となるため、比較的負担の少ない費用で治療を受けることができます。
🏥 保険適用について
粉瘤は良性腫瘍ではありますが、以下の理由により手術による摘出は保険適用となります:
- 放置すると大きくなる可能性
- 炎症を起こす可能性
- 日常生活への支障
- 根治的治療の必要性
くりぬき法も従来の切開法と同様に、保険診療として実施可能です。
💵 費用の目安
3割負担の場合の手術費用:
| 粉瘤の大きさ | 手術費用(目安) |
|---|---|
| 直径2センチ未満 | 4,000〜5,000円程度 |
| 2〜4センチ | 10,000〜12,000円程度 |
| 4センチ以上 | 13,000〜15,000円程度 |
追加でかかる費用:
- 初診料または再診料
- 処方箋料
- 病理検査料:1,000〜3,000円程度
病理検査について:
- 摘出した組織を顕微鏡で調べる検査
- 悪性でないことの確認
- 診断の確定のために実施
正確な費用は、粉瘤の状態や手術の内容によって異なりますので、診察時に確認することをお勧めします。
💳 自費診療の場合
以下の場合は自費診療となることがあります:
- 美容目的での粉瘤摘出
- 保険適用外の特殊な処置
- 患者さんの特別な希望による処置
自費診療の場合の費用は医療機関によって異なりますので、事前に確認してください。

❓ よくある質問
くりぬき法は局所麻酔下で行うため、手術中の痛みはほとんどありません。麻酔注射時にチクッとした痛みを感じる程度です。術後、麻酔が切れると軽い痛みを感じることがありますが、市販の鎮痛剤で十分対処できる程度です。多くの患者さんは、思っていたより痛くなかったとおっしゃいます。
くりぬき法は低侵襲な手術であるため、手術翌日からデスクワークなどの軽い仕事への復帰が可能です。ただし、激しい運動を伴う仕事や、患部に負担がかかる作業は1〜2週間程度控えることが推奨されます。顔など目立つ部位の手術の場合は、傷の状態によって復帰時期を調整することもあります。
どちらの方法が良いかは、粉瘤の大きさ、状態、位置、患者さんの希望によって異なります。くりぬき法は傷跡が小さいというメリットがありますが、大きな粉瘤や炎症が強い場合は切開法の方が確実に摘出できます。診察時に医師と相談し、ご自身の粉瘤に最適な方法を選択することをお勧めします。
くりぬき法でも、袋(嚢腫壁)を完全に取りきれなかった場合は再発する可能性があります。ただし、経験豊富な医師が丁寧に手術を行えば、再発率は従来の切開法と大きく変わりません。万が一再発した場合は、再度手術を行うことで根治が可能です。
軽度の炎症であれば、くりぬき法で対応できる場合があります。ただし、強い炎症を起こして膿が溜まっている場合は、まず切開排膿を行い、炎症が落ち着いてから根治手術を行うことが多いです。炎症の程度によって対応が異なりますので、まずは診察を受けて医師の判断を仰いでください。
はい、顔の粉瘤にもくりぬき法は適応できます。むしろ、傷跡が小さくて済むくりぬき法は、顔など露出部の粉瘤治療に特に適しています。ただし、粉瘤の大きさや状態によっては、より確実な切開法が推奨される場合もあります。顔の粉瘤でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。
くりぬき法の傷跡は、通常2〜6ミリ程度の小さな点状または線状になります。治癒直後は赤みがありますが、時間とともに徐々に周囲の皮膚と馴染んでいき、最終的にはほとんど目立たなくなることが多いです。傷跡の目立ち方は個人差がありますが、従来の切開法と比較すると格段に小さく目立ちにくいです。
📝 まとめ
粉瘤のくりぬき法は、傷跡が小さく、手術時間も短い低侵襲な治療法として多くの患者さんに選ばれています。
くりぬき法の5つのメリット:
- 傷跡が小さく目立ちにくい
- 手術時間が短い
- 縫合が不要または最小限で済む
- 術後の痛みが少ない
- 日帰り手術が可能
一方で、くりぬき法にはデメリットや注意点もあります:
- 大きな粉瘤や炎症が強い粉瘤には適さない場合がある
- 再発のリスクがある
- 術後の傷の管理が必要
- 医師の技術に依存する
くりぬき法と従来の切開法には、それぞれ長所と短所があり、どちらが適しているかは粉瘤の状態や患者さんの希望によって異なります。
粉瘤でお悩みの方は、まずは専門医の診察を受け、ご自身に最適な治療法について相談されることをお勧めします。
アイシークリニック池袋院では、粉瘤の治療について、くりぬき法を含む様々な手術法に対応しております。経験豊富な医師が、患者さん一人ひとりの状態に合わせた最適な治療法をご提案いたします。粉瘤についてお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
粉瘤を放置するリスクについて詳しく知りたい方は、粉瘤を放置すると危険?悪化のリスクと早期治療が必要な理由を医師が解説もご参照ください。
📚 参考文献
- 公益社団法人日本皮膚科学会 – 皮膚科診療ガイドライン
- 一般社団法人日本形成外科学会 – 形成外科診療ガイドライン
- 慶應義塾大学医学部皮膚科学教室 – 皮膚腫瘍の診断と治療
- 東京大学医学部附属病院形成外科・美容外科 – 皮膚良性腫瘍の治療法
- 日本皮膚科学会雑誌 – 表皮嚢腫の治療に関する研究
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
医師・当院治療責任者
くりぬき法の成功の鍵は、粉瘤のへそ(開口部)を確実に摘出することです。この部分を取り残すと再発のリスクが高まりますので、手術時には慎重に操作を行います。患者さんの負担を最小限に抑えながら、根治性を確保することを常に心がけています。