嘔吐と下痢が同時に起きたときの対処法|原因・受診目安を医師が解説

嘔吐と下痢が同時に起きると、体力が急速に奪われ、どう対処すればよいか不安になる方も多いでしょう。これらの症状は感染性胃腸炎食中毒など、さまざまな原因で引き起こされます。適切な対処を行わないと、脱水症状を起こしたり、症状が長引いたりする可能性があります。本記事では、嘔吐と下痢が同時に発生したときの正しい対処法から、原因となる疾患、病院を受診すべきタイミングまで、医学的な観点から詳しく解説します。

図10

目次

  1. 嘔吐と下痢が同時に起きる主な原因
  2. 嘔吐と下痢が同時に起きたときの対処法
  3. 水分補給の正しい方法
  4. 食事の注意点と回復期の食べ方
  5. 市販薬の使用について
  6. 病院を受診すべき症状の目安
  7. 子どもや高齢者の場合の注意点
  8. 感染拡大を防ぐための対策
  9. よくある質問
  10. まとめ

この記事のポイント

嘔吐・下痢が同時に起きた際は脱水予防を最優先し、経口補水液を少量ずつ補給する。下痢止めは感染症時には控え、高熱・血便・激しい腹痛・1週間以上の症状持続時は医療機関を受診すること。

🤢 嘔吐と下痢が同時に起きる主な原因

嘔吐と下痢が同時に発生する場合、消化管に何らかの問題が生じていることを示しています。これらの症状は、体が有害な物質を排出しようとする防御反応の一種です。原因を正しく理解することで、適切な対処につなげることができます。

🦠 感染性胃腸炎(ウイルス性)

感染性胃腸炎は、嘔吐と下痢が同時に起きる最も一般的な原因です。特にノロウイルスロタウイルスによる感染が多く見られます。

ノロウイルスは冬季に流行しやすく、突然の激しい嘔吐から始まり、その後下痢症状が続くのが特徴です。ロタウイルスは主に乳幼児に多く見られ、水のような白っぽい下痢が特徴的です。

ウイルス性胃腸炎は通常、数日から1週間程度で自然に回復しますが、脱水症状に注意が必要です。感染力が非常に強いため、家庭内での二次感染にも注意しなければなりません。

🦠 細菌性胃腸炎

細菌による胃腸炎も、嘔吐と下痢を引き起こす重要な原因です。代表的な原因菌として以下が挙げられます:

  • サルモネラ菌
  • カンピロバクター
  • 腸炎ビブリオ
  • 病原性大腸菌

細菌性胃腸炎の場合、ウイルス性と比較して発熱を伴うことが多く、血便が見られることもあります。また、潜伏期間が比較的長く、食事から12時間から72時間後に発症することが多いです。重症化する可能性もあるため、症状が強い場合は早めの受診が推奨されます。

🍽️ 食中毒

食中毒は、病原性のある細菌やウイルス、寄生虫、または毒素を含む食品を摂取することで発症します。

黄色ブドウ球菌による食中毒は、食後1時間から6時間という短い潜伏期間で激しい嘔吐と下痢を引き起こします。これは菌が産生する毒素によるものです。

また、魚介類に含まれるアニサキスという寄生虫が原因となることもあり、この場合は激しい腹痛を伴います。食中毒は夏季に多いイメージがありますが、ノロウイルスによる食中毒は冬季に多発するため、年間を通じて注意が必要です。

⚠️ その他の原因

感染症以外にも、嘔吐と下痢が同時に起きる原因はいくつかあります:

  • 過度のストレスや不安による自律神経のバランスの乱れ
  • 特定の薬の副作用(特に抗生物質)
  • 食物アレルギーや乳糖不耐症
  • 虫垂炎や腸閉塞などの外科的疾患

症状が持続する場合は医療機関での診察が重要です。

高桑康太 医師・当院治療責任者

嘔吐と下痢が同時に起きる場合、多くは感染性胃腸炎が原因ですが、症状の経過や患者さんの状態を総合的に判断することが重要です。特に高熱や血便を伴う場合は細菌性の可能性が高く、適切な診断と治療が必要になります。自己判断だけでなく、症状が強い場合や長引く場合は医療機関を受診することをおすすめします。

Q. 嘔吐と下痢が同時に起きる主な原因は何ですか?

嘔吐と下痢が同時に起きる主な原因は、ノロウイルスやロタウイルスによる感染性胃腸炎です。次いで、サルモネラ菌やカンピロバクターなどによる細菌性胃腸炎、食中毒が挙げられます。細菌性の場合は高熱や血便を伴うことが多く、早めの受診が推奨されます。

💊 嘔吐と下痢が同時に起きたときの対処法

嘔吐と下痢が同時に起きたとき、まず落ち着いて対処することが大切です。体は有害なものを排出しようとしているため、無理に止めようとせず、体の自然な反応を尊重しながら、脱水を防ぐことを最優先に考えましょう。

🛌 まず安静にする

嘔吐と下痢が起きている間は、体力が急速に消耗されます。対処のポイントは以下の通りです:

  • 無理をせず、横になって安静にする
  • 嘔吐時は体を横向きにして、吐物が気道に入らないようにする
  • 室温を快適に保つ
  • 汗をかいたら着替えて体を冷やさないようにする

特に意識がもうろうとしている場合や、眠気が強い場合は、仰向けで寝ると誤嚥の危険があります。

⏰ 嘔吐直後は飲食を控える

嘔吐直後に水分や食事を摂ると、再び嘔吐を誘発してしまうことがあります。

嘔吐した直後は30分から1時間程度は何も口にせず、胃を休ませることが重要です。この間に嘔吐が治まってきたら、少量の水分から摂取を始めます。

焦って一気に飲もうとすると、また吐いてしまう可能性があるため、スプーン1杯程度の少量から始め、様子を見ながら徐々に量を増やしていきましょう。

💧 脱水予防を最優先に

嘔吐と下痢が続くと、体から大量の水分と電解質が失われます。脱水症状は以下のような症状として現れます:

  • めまい
  • 頭痛
  • 尿量の減少
  • 口の渇き
  • 皮膚の弾力低下

重度の脱水は意識障害や腎機能障害を引き起こす可能性があるため、水分補給は最も重要な対処法です。

🌡️ 体温管理に気をつける

発熱を伴う場合は、体温管理も重要です:

  • 高熱時は氷枕や冷却シートで頭や脇の下を冷やす
  • 寒気を感じているときは無理に冷やさない
  • 腹痛時の腹部の温めは慎重に行う

感染性胃腸炎の急性期に腹部を温めすぎると炎症を悪化させる可能性もあるため、痛みの状態を見ながら調整してください。

💧 水分補給の正しい方法

嘔吐と下痢が同時に起きているとき、正しい水分補給の方法を知っておくことは非常に重要です。間違った方法で水分を摂ると、かえって嘔吐を誘発したり、電解質バランスを崩したりする可能性があります。

⚗️ 経口補水液の活用

脱水時の水分補給には、経口補水液が最も適しています。経口補水液は、水分と電解質(ナトリウム、カリウムなど)がバランスよく配合されており、腸から効率的に吸収されるよう設計されています。

薬局やドラッグストアで販売されている市販の経口補水液を常備しておくと安心です。スポーツドリンクも水分補給に使えますが、糖分が多く電解質濃度が低いため、経口補水液と比較すると脱水時の補給としては理想的ではありません。

ただし、経口補水液が手元にない場合は、スポーツドリンクを水で薄めて飲むことで代用できます。

🥄 飲み方のコツ

水分補給で最も大切なのは、少量ずつこまめに摂取することです。正しい飲み方は以下の通りです:

  1. スプーン1杯(約5ml)程度から始める
  2. 5分から10分おきに少しずつ飲む
  3. 嘔吐がなければ徐々に量を増やす
  4. 最終的に1回50ml程度を15-20分おきに摂取
  5. 常温か少し冷やした程度の温度で飲む

一度に大量の水分を摂ると、胃が刺激されて嘔吐を誘発してしまいます。

❌ 避けるべき飲み物

脱水時に避けるべき飲み物もあります:

  • コーヒーや紅茶(カフェインによる利尿作用)
  • アルコール(利尿作用と胃腸への刺激)
  • 炭酸飲料(胃の膨満と嘔吐誘発)
  • 果汁100%ジュース(高糖分による下痢悪化)
  • 牛乳(消化負担)

🧪 手作り経口補水液の作り方

市販の経口補水液が手に入らない場合は、自宅で簡易的に作ることもできます:

材料:

  • 水:1リットル
  • 砂糖:40g(大さじ4杯強)
  • 塩:3g(小さじ半分)
  • レモン汁:少量(飲みやすさのため)

ただし、手作りの場合は正確な電解質濃度を調整することが難しいため、あくまで緊急時の代用として考え、できるだけ早く市販の経口補水液を入手することをおすすめします。作った経口補水液は当日中に使い切り、残ったものは廃棄してください。

Q. 嘔吐と下痢のとき水分補給はどうすればよいですか?

嘔吐と下痢が続く際の水分補給は、経口補水液をスプーン1杯(約5ml)程度から始め、5〜10分おきに少量ずつ摂取するのが基本です。一度に大量に飲むと再度嘔吐を誘発します。コーヒーや炭酸飲料、アルコールは利尿作用や胃腸への刺激があるため避けてください。

🍚 食事の注意点と回復期の食べ方

嘔吐と下痢が起きているとき、食事をどうすればよいか悩む方も多いでしょう。無理に食べる必要はありませんが、症状が落ち着いてきたら、消化に良いものから徐々に食事を再開することが回復への近道です。

🚫 急性期は無理に食べない

嘔吐が続いている急性期には、無理に食事を摂る必要はありません。食欲がないのは体が消化器を休めようとしているサインです。

この時期に無理に食べると:

  • 嘔吐を繰り返す
  • 消化器官に余計な負担をかける
  • 回復を遅らせる

まずは水分補給を優先し、嘔吐が治まり、少し食欲が出てきてから食事を再開しましょう。1日から2日程度食事を摂らなくても、水分が十分に補給できていれば大きな問題にはなりません。

✅ 食事再開時におすすめの食べ物

食事を再開するときは、消化に良く、胃腸に負担をかけない食べ物から始めましょう:

  • おかゆや重湯:最初の食事として最適
  • 具のない味噌汁やすまし汁:水分と塩分を同時に補給
  • うどん:消化が良く、温かいため胃腸に優しい
  • バナナ:カリウムを補給でき、消化も良い
  • すりおろしりんご:ペクチンが腸の調子を整える
  • トースト:油分が少なく消化しやすい

❌ 避けるべき食べ物

回復期に避けるべき食べ物:

  • 脂っこい食べ物(揚げ物、ラーメン、焼肉など)
  • 香辛料の強い食べ物
  • 生野菜や海藻類(食物繊維が多い)
  • 冷たい食べ物や飲み物
  • 乳製品(消化負担)

症状が完全に治まるまで控え、温かいものを中心に摂るようにしましょう。

📈 段階的に食事を戻す

食事は一気に通常の食事に戻すのではなく、段階的に進めていくことが大切です:

  1. 第1段階:重湯やおかゆなどの流動食
  2. 第2段階:軟らかく煮た野菜や白身魚を追加
  3. 第3段階:量を徐々に増やしていく
  4. 第4段階:通常の食事に戻す

通常の食事に戻るまでには数日から1週間程度かかることもありますが、焦らずゆっくり進めることが再発防止につながります。

💊 市販薬の使用について

嘔吐や下痢の症状を和らげるために市販薬を使いたいと考える方も多いでしょう。しかし、これらの薬は使い方を間違えると、かえって回復を遅らせてしまうことがあります。市販薬の適切な使用について理解しておきましょう。

⚠️ 下痢止めの使用には注意が必要

下痢止め(止瀉薬)の使用には注意が必要です。下痢は体が病原体や毒素を排出しようとする防御反応であり、これを無理に止めてしまうと:

  • 有害な物質が腸内に留まる
  • 症状が長引く
  • 悪化する可能性がある

特に細菌性の食中毒や感染性胃腸炎の場合、下痢止めの使用は推奨されません。血便や高熱を伴う場合は、下痢止めを使用せず、必ず医療機関を受診してください。

✅ 整腸剤は使用可能

整腸剤は、腸内環境を整える働きがあり、下痢や軟便の症状を和らげる効果が期待できます:

  • ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌を含む
  • 腸内細菌のバランスを改善
  • 自然な形で症状の回復を助ける
  • 感染性胃腸炎の場合でも使用可能

ただし、効果が現れるまでには時間がかかることがあり、即効性は期待できません。

🤢 吐き気止めについて

市販の吐き気止め(制吐薬)は、乗り物酔いや二日酔いに対応したものが多く、感染性胃腸炎による嘔吐に対して十分な効果が得られない場合があります。

嘔吐が激しく水分も摂れない状態が続く場合は、市販薬で対処しようとせず、医療機関を受診することをおすすめします。医療機関では:

  • 点滴による水分・電解質の補給
  • より効果の高い制吐薬の処方

を受けることができます。

🌡️ 解熱鎮痛剤の使用

発熱を伴う場合、解熱鎮痛剤の使用を検討することがあるでしょう:

  • アセトアミノフェン:比較的胃腸への負担が少なく使用しやすい
  • NSAIDs(イブプロフェン、ロキソプロフェンなど):胃腸障害のリスクがあるため注意が必要

嘔吐や下痢がある場合は、NSAIDsは避けたほうが無難です。また、38.5度以下の熱であれば無理に下げる必要はないという考え方もあります。

Q. 下痢止めは感染性胃腸炎に使っても大丈夫ですか?

感染性胃腸炎や細菌性食中毒の際、下痢止めの使用は原則推奨されません。下痢は体が病原体や毒素を排出しようとする防御反応であり、無理に止めると有害物質が腸内に留まり症状が悪化する恐れがあります。血便や高熱を伴う場合は市販薬に頼らず、医療機関を受診してください。

🏥 病院を受診すべき症状の目安

嘔吐と下痢は多くの場合、自宅での対処で回復しますが、中には医療機関での治療が必要なケースもあります。以下のような症状がある場合は、早めに病院を受診することをおすすめします。

💧 脱水症状が疑われる場合

脱水症状のサインを見逃さないことが重要です:

  • 尿の量が極端に減っている
  • 尿の色が濃い
  • 口の中や唇が乾燥している
  • 皮膚をつまんでも元に戻りにくい
  • めまいや立ちくらみがある
  • 頭痛がひどい

特に水分を摂っても吐いてしまい、十分な水分補給ができない状態が半日以上続く場合は、点滴による水分補給が必要になることがあります。

🩸 血便や血液混じりの嘔吐がある場合

以下の症状は緊急性が高いため、すぐに医療機関を受診してください:

  • 便に血液が混じっている
  • 嘔吐物に血液が含まれている
  • 嘔吐物が黒っぽい色(コーヒー残渣様)

これらの症状は細菌性の胃腸炎や、より重篤な腸の疾患、胃や食道からの出血を示している可能性があります。夜間や休日であっても救急外来を受診することをおすすめします。

🌡️ 高熱が続く場合

以下の発熱パターンでは医療機関を受診しましょう:

  • 39度以上の高熱が続く
  • 発熱が3日以上持続する

高熱を伴う胃腸炎は細菌性である可能性が高く、抗生物質による治療が必要になることがあります。また、高熱が続くと体力の消耗が激しく、脱水のリスクも高まります。

😰 激しい腹痛がある場合

通常の胃腸炎でも腹痛を伴うことはありますが、以下のような痛みは注意が必要です:

  • 我慢できないほどの激しい腹痛
  • 特定の部位に集中する痛み(特に右下腹部)
  • 腹部全体が板のように硬くなっている

右下腹部の痛みは虫垂炎の可能性があり、腹部全体が硬くなっている場合は腹膜炎が疑われます。これらは緊急手術が必要になることもある重篤な疾患です。

⏰ 症状が長引く場合

ウイルス性の胃腸炎であれば、通常は1週間程度で回復します。しかし、嘔吐や下痢が1週間以上続く場合は、他の疾患が隠れている可能性があります:

  • 炎症性腸疾患
  • 過敏性腸症候群
  • 甲状腺機能亢進症

長引く症状は医療機関で詳しく検査を受けることをおすすめします。

😵 意識がもうろうとしている場合

重度の脱水や感染症が進行すると、意識がもうろうとしたり、ぐったりして反応が鈍くなったりすることがあります。このような状態は非常に危険であり、すぐに救急車を呼ぶ必要があります。

特に一人暮らしの方は、症状が軽いうちに周囲の人に連絡を取っておくことが大切です。

👶 子どもや高齢者の場合の注意点

嘔吐と下痢は、子どもや高齢者では特に注意が必要です。これらの年齢層は脱水になりやすく、重症化するリスクも高いため、早めの対応が求められます。

👶 乳幼児の場合

乳幼児は体が小さく、体重に対する水分の割合が高いため、嘔吐や下痢による水分喪失の影響を受けやすいです。また、自分で喉の渇きを訴えることができないため、保護者が注意深く観察する必要があります。

乳幼児の脱水サイン:

  • おむつが6時間以上濡れていない
  • 泣いても涙が出ない
  • ぐったりしている
  • 機嫌が極端に悪い
  • 唇や舌が乾いている
  • 大泉門(頭のへこみ)がへこんでいる

母乳やミルクは嘔吐が落ち着いていれば、少量ずつ与えて問題ありません。離乳食を開始している赤ちゃんは、症状が落ち着くまで離乳食を一時中断し、母乳やミルク、経口補水液での水分補給を優先しましょう。

👦 学童期の子どもの場合

学童期の子どもは、自分の症状をある程度伝えることができますが、まだ十分な判断力がないため、水分補給を嫌がったり、食べたいものを要求したりすることがあります。

対処のポイント:

  • 経口補水液を凍らせてシャーベット状にする
  • 好きなフレーバーのものを選ぶ
  • 学校や習い事は症状が完全に治まるまで休ませる
  • 十分な休養を取らせる

感染性胃腸炎の場合、学校保健安全法では出席停止の対象となることがあります。

👴 高齢者の場合

高齢者は、若い人と比べて体内の水分量が少なく、腎臓の機能も低下しているため、脱水になりやすい傾向があります。また、喉の渇きを感じにくくなっているため、脱水に気づきにくいという問題もあります。

高齢者特有の注意点:

  • 意識的に水分を摂るよう心がける
  • 持病(糖尿病、心臓病、腎臓病)への影響に注意
  • 普段服用している薬の吸収への影響を考慮
  • 誤嚥性肺炎のリスクを避ける(嘔吐時は体を横向きに)

症状が続く場合は早めにかかりつけ医に相談することをおすすめします。

Q. 嘔吐と下痢があるとき病院に行く目安を教えてください

嘔吐と下痢が続く際に医療機関を受診すべき目安は、39度以上の高熱が続く、血便・血液混じりの嘔吐がある、脱水症状(尿量減少・口の乾燥・めまい)がある、激しい腹痛がある、症状が1週間以上続く場合です。意識がもうろうとしている場合はすぐに救急車を呼んでください。

🛡️ 感染拡大を防ぐための対策

感染性胃腸炎の多くは非常に感染力が強く、家庭内や施設内で急速に広がることがあります。自分自身の回復を図りながら、周囲への感染を防ぐことも重要です。

🧼 手洗いの徹底

感染拡大を防ぐ最も効果的な方法は、手洗いの徹底です。以下のタイミングで必ず石けんで手を洗いましょう:

  • トイレの後
  • 嘔吐物や下痢便の処理後
  • 食事の前
  • 患者の看護後

流水で30秒以上かけて、指の間や爪の間、手首まで丁寧に洗うことが大切です。ノロウイルスはアルコール消毒では十分に不活化できないため、アルコール消毒だけに頼らず、必ず石けんと流水で洗うようにしてください。

🧽 嘔吐物・便の処理方法

嘔吐物や下痢便には大量のウイルスや細菌が含まれているため、適切に処理することが重要です。

処理手順:

  1. 使い捨ての手袋とマスクを着用
  2. 可能であればエプロンやガウンも着用
  3. ペーパータオルで外側から内側に向けて拭き取る
  4. ビニール袋に入れて密封して廃棄
  5. 0.1%の次亜塩素酸ナトリウム溶液で消毒
  6. 使用した手袋やマスクもビニール袋に廃棄
  7. 最後に必ず手を洗う

次亜塩素酸ナトリウム溶液は、市販の塩素系漂白剤を50倍に薄めたもので作ることができます。

🧺 リネン類や衣類の取り扱い

嘔吐物や下痢便で汚れた衣類やシーツは、他の洗濯物とは分けて洗いましょう:

  1. 付着した汚物を取り除く
  2. 0.02%の次亜塩素酸ナトリウム溶液に30分以上浸ける
  3. 通常の洗濯を行う
  4. 可能であれば高温で乾燥

色柄物は色落ちする可能性があるため、熱水(85度以上)で1分以上洗うことで消毒することもできます。

🏠 家庭内での隔離

可能な限り感染拡大を防ぐため、以下の対策を行いましょう:

  • 患者は個室で過ごす
  • トイレは患者専用にするか、使用後に消毒
  • タオルや食器は共用しない
  • 患者専用のものを用意

症状が治まってからも、便中にはしばらくウイルスが排出され続けることがあるため、症状が消失してから少なくとも2日間は注意が必要です。

👨‍🍳 調理に関する注意

嘔吐や下痢の症状がある人は、他の人の食事を調理しないようにしましょう:

  • 症状が治まってからも少なくとも2日間は調理を控える
  • やむを得ず調理する場合は手洗いを徹底
  • 使い捨ての手袋を着用
  • 食品は85度以上で1分以上加熱
👨‍🍳 調理に関する注意

❓ よくある質問

嘔吐と下痢が同時に起きた場合、何科を受診すればよいですか?

内科または消化器内科を受診してください。小児の場合は小児科が適しています。症状が重い場合や夜間・休日の場合は、救急外来を受診することも選択肢となります。アイシークリニック池袋院でも対応可能ですので、お気軽にご相談ください。

嘔吐と下痢は何日くらいで治りますか?

ウイルス性胃腸炎の場合、嘔吐は1日から2日で治まることが多く、下痢は数日から1週間程度続くことがあります。ただし、原因や個人の体力によって回復期間は異なります。1週間以上症状が続く場合は医療機関を受診してください。

嘔吐と下痢があるときに仕事や学校に行ってもよいですか?

感染性胃腸炎の可能性がある場合、症状があるうちは仕事や学校を休むことをおすすめします。周囲への感染を防ぐためだけでなく、十分な休養を取ることが回復を早めます。症状が完全に治まってから最低でも2日間は様子を見てから復帰することが望ましいです。

経口補水液とスポーツドリンクの違いは何ですか?

経口補水液は脱水時の水分・電解質補給を目的に作られており、ナトリウムなどの電解質濃度が高く、糖分は控えめです。一方、スポーツドリンクは運動時のエネルギー補給も目的としているため、糖分が多く電解質濃度は低めです。脱水時には経口補水液のほうが適しています。

嘔吐と下痢があるときにお風呂に入ってもよいですか?

体調が悪いときの入浴は体力を消耗するため、症状が強い急性期は控えたほうがよいでしょう。症状が落ち着いてきたら、短時間のシャワーであれば問題ありません。ただし、めまいや立ちくらみがある場合は転倒の危険があるため、入浴は避けてください。

家族に感染させないためにはどうすればよいですか?

手洗いの徹底が最も重要です。トイレや洗面所は使用後に消毒し、タオルや食器は共用しないようにしましょう。嘔吐物や便の処理は手袋とマスクを着用して行い、次亜塩素酸ナトリウムで消毒してください。可能であれば患者は個室で過ごすことが望ましいです。

📝 まとめ

嘔吐と下痢が同時に起きたときは、まず落ち着いて対処することが大切です。最も重要なのは脱水を防ぐことであり、少量ずつこまめに経口補水液などで水分を補給しましょう。

食事は無理に摂る必要はなく、症状が落ち着いてから消化に良いものを徐々に再開してください。市販の下痢止めは感染症の場合には使用を控え、整腸剤で腸内環境を整えることを優先しましょう。

以下の場合は早めに医療機関を受診してください:

  • 高熱が続く
  • 血便がある
  • 脱水症状が見られる
  • 激しい腹痛がある
  • 症状が1週間以上続く

特に子どもや高齢者は重症化しやすいため、より注意深く観察することが必要です。また、感染性胃腸炎の場合は周囲への感染を防ぐため、手洗いの徹底や嘔吐物の適切な処理を心がけてください。


📚 参考文献

監修者医師

高桑 康太 医師

保有資格

ミラドライ認定医

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任
  • 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
  • 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
  • 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
  • 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報

佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
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