はじめに
「鼻にしこりができた」「触ると硬いコロコロとしたものがある」——このような症状でお悩みではありませんか。もしかすると、それは粉瘤(ふんりゅう)かもしれません。
粉瘤は皮膚にできる良性腫瘍の一種で、顔や首、背中など全身のさまざまな部位に発生します。特に鼻周辺は皮脂腺が発達しているため、粉瘤ができやすい部位の一つとして知られています。顔の中心に位置する鼻にできた粉瘤は、見た目が気になるだけでなく、放置すると炎症を起こして痛みや腫れを伴うこともあるため、早期の適切な対応が重要です。
本記事では、鼻にできる粉瘤について、その原因や症状、治療法、よく似た疾患との見分け方まで、詳しく解説していきます。池袋周辺で粉瘤の治療をお考えの方は、ぜひ最後までお読みください。

粉瘤(ふんりゅう)とは何か
粉瘤の基本的な特徴
粉瘤は、医学的には「表皮嚢腫(ひょうひのうしゅ)」や「アテローム」とも呼ばれる良性の皮下腫瘍です。皮膚の下に袋状の構造物(嚢腫)が形成され、その中に角質や皮脂などの老廃物が蓄積することで発生します。
兵庫医科大学病院の解説によると、粉瘤は皮膚の袋の中に角質や皮脂がたまって徐々に大きくなっていく良性の腫瘍であり、背中や顔、首にできることが多いものの、全身のどこにでも発生する可能性があります(参考:兵庫医科大学病院 みんなの医療ガイド)。
粉瘤の主な特徴として、以下の点が挙げられます。
腫瘍の中央に黒い点(開口部)が見られることが多く、この部分で皮膚の外と腫瘍内部がつながっています。皮膚のすぐ下にコロコロとしたしこりとして触れることができ、数か月経過しても自然に消えることはありません。
また、多くの場合は痛みなどの自覚症状がないため放置されやすいものの、時間の経過とともに少しずつ大きくなっていきます。強く圧迫すると、中央の黒い点から白色のペースト状の内容物が出てくることがあり、これには独特の不快な臭いを伴います。
粉瘤ができるメカニズム
粉瘤は、本来であれば皮膚から自然に剥がれ落ちるはずの垢(角質)や皮脂が、何らかの原因で皮膚の内側に溜まってしまうことで形成されます。
皮膚の一部が内側に入り込んで袋状の構造を作り、その袋の中に老廃物が蓄積されていきます。この袋は一度できてしまうと自然に消失することはなく、袋ごと完全に取り除かない限り、中身を絞り出しても再び溜まってしまいます。
形成外科で切除する皮下腫瘍の中では、粉瘤が最も頻度の高い腫瘍とされており、非常にありふれた疾患です。
鼻に粉瘤ができる原因
なぜ鼻に粉瘤ができやすいのか
鼻は顔の中でも特に皮脂腺が発達している部位であり、毛穴の密度も高いことから、粉瘤が発生しやすい場所の一つです。
鼻周辺は日常的にさまざまな刺激を受けやすい部位でもあります。鼻をよく触る癖がある方や、頻繁に鼻をかむ方は、その刺激によって皮膚の表面に微細な傷ができ、そこから表皮細胞が皮膚の深部に入り込んで粉瘤が形成される可能性があります。
また、鼻の皮膚は凹凸が多いため、メイクや汚れが残りやすく、毛穴詰まりを起こしやすいという特徴もあります。これらの要因が重なることで、鼻周辺に粉瘤が発生するリスクが高まると考えられています。
粉瘤の発生原因について
粉瘤ができる明確な原因は、現在の医学でもはっきりとは解明されていません。しかし、いくつかの要因が関与していると考えられています。
外傷やケガ、ニキビなどによる皮膚への刺激がきっかけとなり、表皮細胞が皮膚の深部(真皮)に入り込んでしまうことで袋状の構造ができると考えられています。また、手のひらや足の裏にできる粉瘤については、ヒトパピローマウイルス(HPV)への感染が原因となっているケースもあることが分かっています。
さらに、粉瘤ができやすい体質というものも存在します。複数の粉瘤が同時に発生したり、繰り返しできたりする方は、体質的な要因が関係している可能性があります。
皮脂腺からの皮脂分泌が活発な方や、ホルモンバランスが乱れやすい方、発汗量の多い方なども、粉瘤ができやすい傾向にあるとされています。
鼻にできた粉瘤の症状と経過
初期症状
鼻に粉瘤ができた初期段階では、皮膚の下に小さなしこりとして触れる程度で、見た目にはほとんど変化がありません。この時点では痛みやかゆみなどの自覚症状もなく、「なんとなくコロコロしたものがある」程度の認識であることがほとんどです。
粉瘤の大きさは初期には数ミリメートル程度ですが、自然に消えることはなく、少しずつ内容物が蓄積されて大きくなっていきます。
進行した場合の症状
粉瘤を放置していると、徐々に大きくなり、皮膚表面にドーム状の隆起として現れるようになります。大きさは数センチメートルに達することもあり、場合によっては10センチメートルを超えるまで成長することもあります。
鼻にできた粉瘤が大きくなると、見た目への影響が顕著になります。顔の中心という目立つ位置にあるため、人目が気になったり、コンプレックスの原因になったりすることも少なくありません。
また、粉瘤の内部には角質や皮脂などの老廃物が溜まっているため、開口部から独特の不快な臭いが漏れ出ることがあります。この臭いは、古いチーズや納豆のような発酵臭に例えられることがあり、周囲の人に気づかれてしまう場合もあります。
炎症を起こした場合(炎症性粉瘤)
粉瘤が細菌感染を起こしたり、袋の内容物が周囲の組織に漏れ出して異物反応を引き起こしたりすると、「炎症性粉瘤」または「感染性粉瘤」と呼ばれる状態になります。
炎症性粉瘤になると、以下のような症状が現れます。
患部が赤く腫れ上がり、熱を持つようになります。触ると強い痛みを感じ、場合によっては触れなくても痛みを伴うことがあります。腫れがひどくなると、元の粉瘤の何倍もの大きさに膨らむこともあります。
炎症が進行すると、内部に膿が溜まり、ブヨブヨとした感触になります。さらに悪化すると、発熱や倦怠感などの全身症状を引き起こすこともあります。
炎症性粉瘤を放置すると、袋が破裂して膿が流れ出ることがあります。この場合、強い悪臭を伴い、周囲の皮膚組織にダメージを与えます。炎症が治まった後も色素沈着や瘢痕(傷跡)が残りやすくなるため、できるだけ早期に適切な治療を受けることが重要です。
粉瘤とニキビの違い—見分け方のポイント
よくある誤解
鼻にできたしこりを見て、「これはニキビだろう」と自己判断してしまう方は少なくありません。確かに、炎症を起こした粉瘤は赤く腫れてニキビに似た外観を呈することがありますが、粉瘤とニキビは医学的にはまったく異なる疾患です。
ニキビは毛穴が詰まり、そこでアクネ菌などが増殖して炎症を起こす皮膚疾患です。一方、粉瘤は皮膚の下に袋状の構造物ができ、その中に老廃物が溜まることで形成される良性腫瘍です。
この違いを理解しておかないと、適切な治療を受けられないまま症状を悪化させてしまうことがあります。
大きさの違い
ニキビは炎症がどれだけひどくなっても、通常は数ミリメートル程度の大きさにとどまります。大きくなったとしても1センチメートルを超えることはほとんどありません。
一方、粉瘤は放置していると徐々に大きくなり、数センチメートルから、まれに10センチメートルを超える大きさにまで成長することがあります。「最初は小さかったのに、だんだん大きくなってきた」という場合は、粉瘤の可能性が高いといえます。
経過の違い
ニキビは適切なケアや市販薬を使用することで、比較的短期間で改善に向かうことがあります。また、炎症が治まれば自然に治癒することもあります。
粉瘤は袋状の構造そのものが原因であるため、自然に消えることはありません。薬を塗ったり、市販のニキビ治療薬を使用したりしても、袋を取り除かない限り根本的な治療にはなりません。
開口部の有無
粉瘤には、しこりの中央に「開口部」と呼ばれる小さな黒い点が見られることがあります。これは毛穴の出口が詰まり、皮脂が酸化して黒く見えているものです。
ただし、黒ニキビにも同様に黒い点が見られるため、この特徴だけで見分けることは難しい場合があります。
臭いの有無
粉瘤と他の皮膚疾患を見分ける重要なポイントの一つが「臭い」です。粉瘤の内部には角質や皮脂などの老廃物が溜まっているため、強く圧迫すると内容物とともに独特の不快な臭いが発生します。炎症を起こしている場合は、触れなくても臭いを感じることがあります。
ニキビの場合は、このような強い悪臭を伴うことは通常ありません。
しこりの感触
粉瘤は皮膚の下に存在する袋状の塊であるため、触ると弾力のあるしこりとして感じられます。コリコリとした固さがあり、皮膚と一緒に動く傾向があります。
ニキビは皮膚表面の毛穴を中心とした炎症であり、粉瘤ほど明確なしこりとして触れることは少ないです。
鼻にできるその他の疾患との違い
めんちょう(面疔)との違い
めんちょうは、鼻先や顎先など顔の中心部にできるおできの一種で、「鼻の頭にできためんちょう」を特に「めんちょう鼻」と呼ぶことがあります。
めんちょうは毛穴や皮脂腺に細菌(主に黄色ブドウ球菌)が感染して化膿することで発生します。赤みがかった腫れや痛み、かゆみといった症状が現れ、悪化すると硬いしこりになったり、さらに腫れ上がったりすることがあります。
めんちょうは抗生物質の内服や軟膏で治療できることが多いのに対し、粉瘤は手術による摘出が必要です。
鼻せつとの違い
鼻せつは、特に鼻毛が生えている部分(鼻の入り口付近)に黄色ブドウ球菌などが感染して化膿し、うみを伴う赤くて硬いしこりができる状態です。
鼻せつの特徴として、鼻の入り口付近に直径数ミリメートル程度の痛みを伴う赤い腫れができます。腫れが進行すると、鼻の先端が赤く腫れ上がり、さらに悪化すると鼻づまりや頭痛など、体にさまざまな不調を引き起こすこともあります。
鼻せつの治療は、原因菌に効果がある抗生物質を内服または軟膏で行うことが一般的ですが、膿が多く溜まった場合は切開手術が必要になることもあります。
脂肪腫との違い
脂肪腫は脂肪細胞が増殖してできる良性の腫瘍で、粉瘤と同様に皮膚の下にしこりとして触れることがあります。ただし、脂肪腫は主に背中や肩、首の後ろ、腕、太ももなどにできやすく、鼻にできることは比較的まれです。
脂肪腫と粉瘤の見分け方として、触った感触の違いが挙げられます。脂肪腫は脂肪でできているため、粉瘤に比べて柔らかく、ブヨブヨとした感触があります。また、脂肪腫は周囲の組織と被膜で分かれているため、指で押すと皮膚と関係なく動く傾向があるのに対し、粉瘤は皮膚と一緒に動きます。
粉瘤の治療法
基本的な治療方針
粉瘤は良性腫瘍であるため、放置しても直接命に関わることはありません。しかし、自然に消えることはなく、放置すると徐々に大きくなったり、炎症を起こしたりする可能性があります。
粉瘤の根本的な治療は、袋状の構造物(嚢腫)を外科手術で完全に取り除くことです。薬物療法や市販薬では袋そのものを除去することはできないため、根治にはなりません。
抗生物質の内服で炎症を一時的に抑えることはできますが、袋が残っている限り再発の可能性があります。
手術の方法
粉瘤の手術には、主に「切開法(切除縫縮法)」と「くり抜き法(へそ抜き法)」の2種類があります。
切開法は、粉瘤がある部分の皮膚を紡錘形(葉っぱのような形)に切開し、袋状の構造物を周囲の組織から剥がしながら丸ごと摘出する方法です。袋を破らないように丁寧に取り出すことで、再発のリスクを最小限に抑えることができます。切開した部分は糸で縫合し、約1週間後に抜糸を行います。
くり抜き法は、専用の円筒状の器具(トレパン)やメスを使って粉瘤の中央に小さな穴を開け、そこから内容物を絞り出した後に、しぼんだ袋を抜き取る方法です。切開範囲が小さいため傷跡が目立ちにくく、顔などの目立つ部位の粉瘤に適しています。縫合しないケースもあり、術後の回復も早い傾向があります。
どちらの方法を選択するかは、粉瘤の大きさ、場所、炎症の有無、過去の経過などを総合的に判断して決定されます。
顔・鼻の粉瘤治療における配慮
顔、特に鼻にできた粉瘤の治療では、傷跡をできるだけ目立たなくすることが重要なポイントになります。
形成外科や皮膚科の専門医は、顔の粉瘤を治療する際、皮膚のシワの向きに沿って切開したり、くり抜き法を選択したりするなど、傷跡が最小限になるようさまざまな工夫を行います。
鼻周辺は凹凸があり、特殊な形状をしているため、医師の技術と経験が傷跡の仕上がりに大きく影響します。顔の粉瘤治療を検討する場合は、形成外科専門医など、傷跡の治療に詳しい医師がいる医療機関を選ぶことをおすすめします。
炎症を起こしている場合の治療
粉瘤が炎症を起こして赤く腫れている場合(炎症性粉瘤)は、治療の流れが通常とは異なります。
炎症が軽度の場合は、抗生物質の内服で炎症を抑え、腫れが落ち着いてから手術を行うことがあります。
炎症が強く、膿が溜まっている場合は、まず局所麻酔をして皮膚を切開し、膿を排出する処置(切開排膿)を行います。その後、数日から数週間かけて傷の洗浄と消毒を続け、炎症が完全に治まってから、残った粉瘤の袋を摘出する手術を行います。
一般的に、炎症を起こしている状態での手術は、袋と周囲の組織が癒着しているため技術的に難しくなります。また、炎症後は傷跡が残りやすくなる傾向があります。そのため、できれば炎症を起こす前に手術を受けることが望ましいとされています。
粉瘤手術の流れと術後のケア
手術前の診察と検査
粉瘤の手術を受ける際は、まず医師による診察が行われます。視診や触診で粉瘤かどうかを確認し、他の腫瘍との鑑別のためにエコー検査が行われることもあります。
診察では、粉瘤の大きさ、部位、炎症の有無、過去の既往歴などを確認し、最適な治療方法を決定します。
手術当日の流れ
粉瘤の手術は、多くの場合、日帰りで行うことができます。手術時間は粉瘤の大きさや状態にもよりますが、おおむね15分から30分程度です。
手術の流れとしては、まず手術部位にマーキングを行い、局所麻酔を注射します。麻酔が十分に効いてから切開を行うため、手術中の痛みはほとんどありません。麻酔注射時に少しチクッとした感覚がありますが、その後は痛みを感じることなく手術を受けられます。
切除した組織は、確定診断をつけるために病理検査に提出されることがあります。
術後の経過と注意点
手術後は、患部にガーゼや絆創膏を貼って保護します。出血を防ぐため、手術当日は圧迫して止血することが大切です。
手術翌日からは、シャワーで患部を優しく洗い流すことができます。石鹸を泡立てて優しく洗浄し、清潔に保つことで感染を予防します。ただし、入浴(湯船に浸かること)は、傷が上皮化するまで(汁が出なくなるまで)控えるようにしましょう。
手術当日と翌日は、飲酒や激しい運動を避けてください。血行が良くなることで、再出血するリスクがあります。
縫合を行った場合は、約1週間後に抜糸のために通院します。顔以外の部位や、頭、手のひら、足の裏など特殊な部位では、2週間後になることもあります。
抜糸後は日常生活の制限はほとんどなくなりますが、傷跡のケアは継続することが推奨されます。紫外線を避けたり、医療用テープで保護したりすることで、傷跡をより目立たなくすることができます。
傷跡について
粉瘤の手術後の傷跡は、時間の経過とともに徐々に目立たなくなっていきます。
手術直後は赤みのある線状の傷跡になりますが、1〜3か月かけて少しずつ薄くなり、白い線状の傷跡へと変化していきます。通常、1年程度で傷跡はかなり目立たなくなります。
ただし、傷跡の治り方には個人差があり、体質や粉瘤の大きさ、炎症の有無などによっては傷跡が目立って残る場合もあります。ケロイド体質の方は、特に注意が必要です。
粉瘤手術にかかる費用
保険適用について
粉瘤の手術は、健康保険が適用される医療行為です。診察、検査、手術、病理検査といった粉瘤治療に関わる一連の医療費について、保険診療として3割負担(または1〜2割負担)で受けることができます。
費用の目安
粉瘤の手術費用は、粉瘤の大きさや発生部位によって異なります。
費用に影響する要因として、粉瘤ができた場所が「露出部」か「非露出部」かという点があります。露出部とは、顔、首、肘から手首・指先にかけての部分、膝から足先にかけての部分など、半袖・半ズボンを着た状態でも外から見える部位を指します。非露出部は、胸、腹、腰、上腕、大腿など、衣服で隠れる部位です。
一般的に、露出部にある粉瘤の方が、非露出部にあるものより手術費用が高くなります。また、粉瘤の大きさが大きいほど、費用も高くなります。
3割負担の場合、手術費用の目安はおおむね5,000円から18,000円程度です。これに加えて、初診料・再診料、処方料、検査費用、病理検査費用などが別途かかります。
鼻は「露出部」に分類されるため、他の部位に比べてやや費用が高くなる傾向がありますが、保険適用のため比較的負担の少ない金額で治療を受けることができます。
民間の医療保険について
民間の医療保険(生命保険会社や共済組合の医療保険・医療特約)に加入している場合、契約内容によっては粉瘤の手術に対して手術給付金を受け取れることがあります。
給付金を受け取るには、手術を受けた本人が保険会社に申請手続きを行う必要があります。給付の可否や金額は保険商品によって異なりますので、詳しくはご加入の保険会社にお問い合わせください。
粉瘤の手術の術式名は「皮膚・皮下腫瘍摘出術」となります。
粉瘤を放置するリスク
大きくなり続ける
粉瘤は放置しても自然に消えることはありません。袋の中に角質や皮脂が蓄積され続けるため、時間の経過とともに徐々に大きくなっていきます。
大きくなった粉瘤は、手術の際に切開範囲も大きくなるため、傷跡も目立ちやすくなります。また、手術時間が長くなったり、合併症のリスクが高まったりすることもあります。
鼻という目立つ位置にある粉瘤が大きくなると、見た目への影響も大きくなります。小さいうちに手術を受けることで、傷跡を最小限に抑えることができます。
炎症・感染のリスク
粉瘤は、細菌感染を起こして炎症性粉瘤になるリスクがあります。炎症を起こすと、赤く腫れて強い痛みを伴い、日常生活に支障をきたすこともあります。
炎症を起こした状態での手術は技術的に難しく、袋を完全に取り除くことが困難になります。その結果、再発のリスクが高まったり、傷跡が残りやすくなったりします。
悪臭の問題
粉瘤の内部には角質や皮脂などの老廃物が溜まっているため、強い悪臭を放つことがあります。粉瘤が大きくなったり、炎症を起こしたりすると、臭いも強くなる傾向があります。
顔という目立つ位置、しかも鼻という臭いに敏感な部位にできた粉瘤から悪臭がすると、対人関係や日常生活に影響を及ぼす可能性があります。
まれに悪性化することがある
粉瘤は基本的に良性の腫瘍ですが、非常にまれに悪性腫瘍(皮膚がん)が発生することがあります。
長期間にわたって粉瘤を放置していた場合や、炎症を繰り返していた場合に、粉瘤の袋の壁から有棘細胞癌などの皮膚がんが発生するケースが報告されています。このようなケースは全体から見ればごくまれですが、リスクをゼロにするためには、早めに手術で摘出することが推奨されます。
粉瘤の予防と日常生活での注意点
完全な予防は難しい
粉瘤の発生原因ははっきりと解明されておらず、体質的にできやすい方もいるため、完全に予防することは難しいとされています。
日常生活での注意点
粉瘤の発生リスクを少しでも減らすため、また既にできている粉瘤を悪化させないため、以下の点に注意することをおすすめします。
皮膚を清潔に保つことは基本です。特に皮脂腺が発達している鼻周辺は、丁寧に洗顔してメイクや汚れを残さないようにしましょう。ただし、過度な洗顔は皮膚に刺激を与えるため、適度なケアを心がけてください。
毛穴詰まりを防ぐスキンケアも大切です。定期的なピーリングや適切な保湿ケアで、毛穴の状態を良好に保ちましょう。
鼻をよく触る癖がある方は、できるだけ触らないように意識してみてください。摩擦や刺激は粉瘤の発生や悪化の原因になる可能性があります。
紫外線対策も重要です。紫外線は皮膚にダメージを与え、さまざまな皮膚トラブルの原因となります。日焼け止めを使用するなど、適切な紫外線対策を行いましょう。
粉瘤ができてしまった場合
既に粉瘤ができてしまった場合は、以下の点に注意してください。
自分で潰そうとしないでください。粉瘤を無理に潰すと、細菌感染を起こして炎症が悪化するリスクがあります。また、潰しても袋が残っている限り再び大きくなります。
気になっても頻繁に触らないようにしましょう。触ることで刺激を与え、炎症のきっかけになることがあります。
粉瘤のような皮膚のしこりに気づいたら、自己判断で様子を見るのではなく、早めに皮膚科や形成外科を受診することをおすすめします。
受診のタイミング
早期受診をおすすめする理由
「痛くないから」「まだ小さいから」と放置してしまう方も多いですが、粉瘤は小さいうちに手術を受けた方がさまざまな面でメリットがあります。
小さいうちに手術を受ければ、切開範囲も小さくて済み、傷跡も目立ちにくくなります。手術時間も短く、身体への負担も最小限です。
また、炎症を起こす前に手術を受けることで、より確実に袋を摘出でき、再発のリスクも低くなります。炎症後は傷跡も残りやすくなるため、炎症を起こす前の早期治療が推奨されます。
こんな症状があればすぐに受診を
以下のような症状がある場合は、できるだけ早く医療機関を受診してください。
粉瘤が赤く腫れている場合は、炎症を起こしている可能性があります。早急な治療が必要です。
痛みや熱感がある場合も、炎症のサインです。放置すると悪化する恐れがあります。
急に大きくなった場合は、炎症や感染の可能性、またはまれに悪性腫瘍の可能性も考えられます。
膿や血液が出てきた場合は、炎症が進行している状態です。適切な処置が必要です。

よくある質問
A. 粉瘤が自然に治ることはありません。粉瘤は皮膚の下にできた袋状の構造物に老廃物が溜まったものであり、この袋を取り除かない限り、消えることはありません。一時的に小さくなったように見えても、袋が残っている限りまた大きくなります。
A. 市販の薬で粉瘤を根本的に治すことはできません。抗生物質の塗り薬などで炎症を一時的に抑えることはできる場合がありますが、粉瘤の袋自体を消すことはできません。根治には手術による摘出が必要です。
Q. 手術は痛いですか?
A. 手術は局所麻酔を使用して行うため、手術中の痛みはほとんどありません。麻酔の注射時に少しチクッとした感覚がありますが、それ以降は痛みを感じることなく手術を受けられます。術後は麻酔が切れると軽い違和感や鈍い痛みを感じることがありますが、処方される痛み止めで十分にコントロールできる程度です。
Q. 手術後に再発することはありますか?
A. 粉瘤の袋を完全に摘出すれば、同じ場所に再発することはほとんどありません。ただし、炎症を繰り返していた粉瘤で袋が周囲と癒着している場合など、袋の一部が残ってしまうと再発する可能性があります。また、体質的に粉瘤ができやすい方は、別の場所に新たな粉瘤ができることがあります。
Q. 手術後、仕事は休む必要がありますか?
A. 粉瘤の手術は日帰りで行われ、手術直後から日常生活に戻ることができます。デスクワークであれば、手術当日から問題なく仕事ができます。ただし、手術当日と翌日は激しい運動や飲酒を避ける必要があります。また、患部の状態によっては、医師の指示に従って数日間の安静が必要な場合もあります。
Q. 顔の粉瘤手術後、メイクはいつからできますか?
A. 一般的に、抜糸後(約5〜7日後)からメイクが可能になることが多いです。ただし、患部を直接触らないように注意し、患部以外の部分から始めることをおすすめします。具体的なメイク再開時期については、術後の経過を見て医師に確認してください。
Q. 粉瘤の手術で傷跡は残りますか?
A. 手術で皮膚を切開する以上、完全に傷跡が残らないということはありません。しかし、形成外科専門医による手術では、傷跡が最も目立たない方法を選択し、丁寧な縫合技術によって傷跡をできるだけ小さく、目立たなくする工夫がなされます。傷跡は時間の経過とともに徐々に薄くなり、多くの場合、1年程度でかなり目立たなくなります。
まとめ
鼻にできた粉瘤は、顔の中心という目立つ位置にあるため、見た目が気になったり、放置すると炎症を起こして痛みを伴ったりすることがあります。
粉瘤は良性の腫瘍ですが、自然に消えることはなく、根本的な治療には手術による摘出が必要です。小さいうちに手術を受ければ、傷跡も最小限に抑えることができます。
鼻にしこりができた、触るとコロコロしたものがある、という方は、自己判断で放置せず、早めに皮膚科や形成外科を受診することをおすすめします。
アイシークリニック池袋院では、粉瘤をはじめとする皮膚のできものの診断・治療を行っております。経験豊富な医師が患者様一人ひとりの状態に合わせた最適な治療法をご提案いたします。
鼻の粉瘤でお悩みの方、池袋周辺で粉瘤の治療を検討されている方は、お気軽にご相談ください。
参考文献
- 兵庫医科大学病院「粉瘤(ふんりゅう)」みんなの医療ガイド
https://www.hosp.hyo-med.ac.jp/disease_guide/detail/195 - 公益社団法人日本皮膚科学会「一般公開ガイドライン」
https://www.dermatol.or.jp/modules/guideline/index.php?content_id=2
監修者医師
高桑 康太 医師
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務