「朝しっかり洗顔したのに、昼にはもうテカっている」「メイクが崩れやすくて困る」「毛穴の黒ずみが目立つ」——そんなお悩みを抱えていませんか。これらは脂性肌(オイリー肌)の方に多く見られる典型的なお悩みです。
脂性肌は皮脂の分泌が過剰な状態の肌を指し、見た目のテカリやベタつきだけでなく、ニキビや毛穴トラブルなど様々な肌荒れを引き起こす原因にもなります。しかし、脂性肌は正しい知識と適切なケアによって改善できる可能性があります。
この記事では、脂性肌のメカニズムから原因、そして日常生活で実践できる改善方法、さらに医療機関で受けられる治療法まで、皮膚科医の知見に基づいて詳しく解説します。脂性肌でお悩みの方が、健やかな肌を取り戻すためのヒントとしてお役立てください。

目次
- 脂性肌(オイリー肌)とは何か
- 脂性肌の原因と改善方法
- 脂性肌とインナードライの見分け方
- 脂性肌が引き起こすトラブルと対策
- 効果的なスキンケア方法と生活習慣
- 医療機関での治療法とケア
- まとめ
🔍 脂性肌(オイリー肌)とは何か
脂性肌とは、皮脂腺から分泌される皮脂の量が通常よりも多い肌質のことを指します。「オイリー肌」「油性肌」とも呼ばれ、肌の水分量と皮脂量のバランスにおいて、油分が優位になっている状態です。
✨ 脂性肌の特徴と見分け方
脂性肌には以下のような特徴があります。
- 顔全体、特にTゾーン(額・鼻・あご)がテカリやすい
- 触るとベタつきを感じる
- 皮脂の分泌が多いため、毛穴が開きやすく目立ちやすい
- メイクをしても時間が経つと崩れやすく、ファンデーションが浮いてしまう
- 毛穴に皮脂や汚れが詰まりやすく、黒ずみや角栓ができやすい
- 過剰な皮脂はアクネ菌の栄養源となるため、ニキビができやすい
📊 肌タイプの分類と皮脂の役割
肌は一般的に、水分量と皮脂量のバランスによって4つのタイプに分類されます。
- 普通肌:水分と皮脂のバランスが取れた理想的な状態
- 乾燥肌:水分も皮脂も少なく、カサつきやすい肌質
- 脂性肌:水分・皮脂ともに多いか、または皮脂が過剰な状態
- 混合肌:部位によって脂性と乾燥が混在している状態(Tゾーンはテカるのに頬はカサつく)
皮脂が持つ本来の役割について理解しておきましょう。皮脂は決して「悪者」ではなく、健康な肌を維持するために欠かせない存在です。皮脂は毛穴の中にある皮脂腺から分泌される油分で、汗腺から分泌される汗と混ざり合って「皮脂膜」を形成します。
🛡️ 皮脂膜のバリア機能
- 水分蒸発を防ぐ:角質層に含まれる水分が外に逃げないよう、油分の膜がフタのような働きをしています
- 外部刺激からの保護:異物の侵入や細菌の繁殖を防ぐバリア機能を果たしています
- pH調整:皮脂膜はpH4〜6の弱酸性を示し、雑菌の繁殖を抑える働きもあります
🔬 脂性肌の原因と改善方法
脂性肌になる原因は一つではなく、様々な要因が複合的に関係しています。ここでは主な原因について詳しく解説します。
🧬 ホルモンバランスと遺伝要因
皮脂の分泌量は、主に男性ホルモン(アンドロゲン)の一種であるテストステロンによってコントロールされています。テストステロンは男性だけでなく女性の体内でも分泌されており、皮脂腺を刺激して皮脂の分泌を促進します。
肌質は遺伝の影響を受けやすいことがわかっています。ご両親が脂性肌の場合、子どもも脂性肌になりやすい傾向があります。皮脂の分泌量に関係する酵素「5αリダクターゼ」の量は遺伝によるものが大きいとされています。
🍔 生活習慣と食生活の影響
以下のような生活習慣の乱れは、ホルモンバランスを崩し、皮脂の過剰分泌につながります。
- 睡眠不足:自律神経の交感神経が優位になり、男性ホルモンの分泌が増加
- ストレス:副腎からアンドロゲン(男性ホルモン)が分泌され、皮脂分泌を促進
- 運動不足:血行不良により肌のターンオーバーが乱れる
脂っこい食事は、揚げ物、スナック菓子、ファストフードなどに含まれる飽和脂肪酸が皮脂分泌を促進します。また、糖質の過剰摂取は血糖値を急上昇させ、インスリンの分泌を促します。インスリンには皮脂腺を刺激する作用があり、皮脂分泌量の増加につながります。
🧼 間違ったスキンケアと紫外線ダメージ
皮脂を取りすぎるような過度な洗顔や、洗浄力の強すぎるクレンジング・洗顔料の使用は、逆効果になることがあります。肌は必要な皮脂まで奪われると、バリア機能を維持しようとしてさらに多くの皮脂を分泌します。
紫外線は肌にダメージを与え、ターンオーバーのサイクルを乱します。その結果、肌は乾燥を防ごうとして皮脂を過剰に分泌するようになり、脂性肌が悪化する原因となります。
💧 脂性肌とインナードライの見分け方
肌表面がベタつくからといって、必ずしも「脂性肌」とは限りません。実は内側が乾燥している「インナードライ肌」の可能性もあります。この2つを混同すると、適切でないケアを続けてしまい、肌状態が悪化することがあります。
🔍 インナードライ肌の特徴
インナードライ肌とは、肌の表面は皮脂でベタついているのに、角質層の内側は水分が不足して乾燥している状態を指します。「隠れ乾燥肌」とも呼ばれます。肌が内部の乾燥を感知し、これ以上水分を逃さないように防御反応として皮脂を過剰に分泌するためです。
📋 症状による見分け方
洗顔後の肌状態
- 脂性肌:洗顔後もあまりつっぱらず、しばらくすると顔全体がうっすりとテカる
- インナードライ肌:洗顔直後につっぱり感やカサつきを感じやすい
日中の肌状態
- 脂性肌:顔全体がベタつき、部分的なカサつきはあまり見られない
- インナードライ肌:Tゾーンはベタつくが、頬や口周りにカサつきやゴワつきがあり、肌が硬く感じられる
🎯 それぞれに適したケアの違い
脂性肌の場合:適度な洗顔と皮脂コントロールを意識したケアが中心(ただし、皮脂を取りすぎないよう注意が必要)
インナードライ肌の場合:保湿が最優先。表面のベタつきに惑わされず、角質層にしっかりと水分を与え、それを逃がさないケアを心がけましょう。
😰 脂性肌が引き起こすトラブルと対策
脂性肌を放置していると、様々な肌トラブルを引き起こす可能性があります。主なトラブルとそのメカニズム、対策を解説します。
🔴 ニキビとその対策
脂性肌の方が最も悩まされやすいのがニキビです。過剰に分泌された皮脂が毛穴に溜まり、古い角質と混ざり合って角栓(コメド)となり、毛穴を塞ぎます。毛穴が塞がれた状態では、皮脂を栄養源とするアクネ菌が増殖しやすくなり、炎症が起こって赤く腫れたニキビへと発展します。
⚫ 毛穴の開き・黒ずみの改善
皮脂の分泌が多いと、毛穴は常に皮脂で押し広げられた状態になり、毛穴が開いて目立つようになります。また、毛穴に詰まった皮脂や汚れが空気に触れて酸化すると、黒く変色します。これが「毛穴の黒ずみ」や「いちご鼻」と呼ばれる状態です。
💄 化粧崩れとその他のトラブル
脂性肌の方にとって、メイクの持ちの悪さは深刻な悩みです。過剰な皮脂がファンデーションの油分と混ざり合い、メイクが浮いたり、ヨレたりしてしまいます。
また、過剰な皮脂が肌表面で酸化すると、肌がくすんで見えるようになり、炎症を引き起こして赤ら顔の原因となることもあります。赤ら顔でお悩みの方は、Vビーム治療などの専門的な治療法もありますので、皮膚科専門医にご相談ください。
✨ 効果的なスキンケア方法と生活習慣
脂性肌の改善には、日々のスキンケアと生活習慣の見直しが非常に重要です。ポイントを押さえた正しいケアを行いましょう。
🧽 正しい洗顔とスキンケア
脂性肌のスキンケアで最も気をつけるべきなのが洗顔です。皮脂を気にするあまり、洗顔を過度に行うことは避けましょう。
洗顔の正しい方法
- 洗顔は朝と夜の1日2回を基本とする
- 洗顔料はしっかりと泡立て、たっぷりの泡で優しく洗う
- 手でゴシゴシとこすらず、泡を転がすようなイメージで洗う
- すすぎは30〜36℃程度のぬるま湯で丁寧に行う
- 洗顔後はタオルで優しく押さえるように水分を拭き取る
脂性肌でも保湿は必要です。「ベタつくから保湿しない」という考えは逆効果です。洗顔後は化粧水でしっかりと水分を補給し、乳液や美容液で保湿しましょう。
🍋 皮脂コントロール成分と紫外線対策
脂性肌の方におすすめの成分をご紹介します。
- ビタミンC誘導体:過剰な皮脂分泌を抑える働きがある
- ライスパワーNo.6エキス:皮脂腺に直接働きかけて皮脂分泌を抑制する効果が認められている
- 収れん化粧水:一時的に毛穴を引き締める効果がある
紫外線は肌のターンオーバーを乱し、脂性肌を悪化させる原因になります。日焼け止めは毎日欠かさず塗りましょう。
🌙 生活習慣の改善と栄養管理
1日6〜7時間程度の睡眠時間を確保し、ストレス管理を心がけましょう。質の良い睡眠は、肌の健康だけでなく全身の健康にも重要です。睡眠の質を上げる方法について詳しく知りたい方は、専門的なアドバイスも参考にしてください。
脂性肌の改善に効果的な栄養素を意識して摂取しましょう。
- ビタミンB2:脂質の代謝に深く関わる(レバー、うなぎ、納豆、卵、牛乳、しめじなど)
- ビタミンB6:皮脂分泌のコントロールに関与(マグロ、カツオ、サンマなどの青魚、鶏ささみ、バナナなど)
- ビタミンC:皮脂の酸化を防ぐ抗酸化作用(いちご、キウイ、柑橘類、ピーマン、ブロッコリーなど)
- ビタミンA:皮膚や粘膜を健康に保つ(緑黄色野菜、レバーなど)
脂性肌の改善には、食生活の見直しも重要なポイントです。脂っこい食べ物や糖質の多い食べ物は控えめにし、バランスの良い食事を心がけましょう。
🏥 医療機関での治療法とケア
セルフケアだけでは改善が難しい場合や、より積極的に脂性肌を治療したい場合は、皮膚科や美容皮膚科での治療も選択肢の一つです。
🧪 ケミカルピーリングとイオン導入
ケミカルピーリングは、グリコール酸やサリチル酸などの薬剤を肌に塗布し、古い角質を除去する治療法です。毛穴に詰まった皮脂や角栓を取り除き、肌のターンオーバーを正常化させる効果があります。
イオン導入は、微弱な電流を利用して、ビタミンCなどの美容成分を肌の深部まで浸透させる治療法です。皮脂分泌を抑える効果やニキビの炎症を鎮める効果が期待できます。
💊 内服・外用治療
症状が重い場合は、内服薬による治療が行われることもあります。ビタミンB2やビタミンB6を含むビタミン剤、ニキビを伴う場合の抗生物質、重度の脂性肌に対してはイソトレチノイン(ビタミンA誘導体)が使用されることがあります。
外用治療では、ニキビを伴う脂性肌の場合、アダパレン(ディフェリンゲル)や過酸化ベンゾイル(ベピオゲル)などの外用薬(塗り薬)が処方されることがあります。
🔬 レーザー治療と受診のタイミング
美容皮膚科では、レーザーを使った毛穴治療やスキンリジュビネーション(肌の若返り)治療が行われています。フラクショナルレーザーなどは、肌に微細な穴を開けることで肌の再生を促し、毛穴の開きや肌質の改善を目指す治療です。
以下のような場合は、医療機関への相談をおすすめします。
- セルフケアを続けても改善が見られない場合
- ニキビが繰り返しできて治りにくい場合
- ニキビ跡やクレーターが気になる場合
- 肌の状態が急に変化した場合

📝 まとめ
脂性肌は、皮脂の過剰分泌によってテカリやベタつき、ニキビ、毛穴トラブルなど様々な悩みを引き起こします。しかし、原因を正しく理解し、適切なケアを行うことで改善が期待できます。
脂性肌改善のポイント
- 肌タイプの正確な把握:脂性肌だと思っていても、実はインナードライの可能性もある
- 適切なスキンケア:洗顔は優しく、保湿はしっかり行う(皮脂を取りすぎるケアは逆効果)
- 生活習慣の見直し:睡眠、ストレス管理、食生活の改善が皮脂コントロールにつながる
- 栄養バランス:ビタミンB2、B6、Cなど肌に良い栄養素を意識して摂取し、脂っこい食事や糖質の過剰摂取は控える
- 医療機関での治療:セルフケアで改善しない場合は、専門医に相談する
脂性肌の改善には時間がかかることもありますが、毎日のケアを継続することで、肌は必ず応えてくれます。焦らず、自分の肌と向き合いながら、健やかな肌を目指していきましょう。
肌の状態に不安がある方、なかなか改善しない方は、ぜひ一度当院にご相談ください。患者様一人ひとりの肌状態に合わせた適切なアドバイスと治療をご提案いたします。
よくある質問
脂性肌は遺伝的要因が関係することがあります。皮脂の分泌量に関わる酵素「5αリダクターゼ」の量は遺伝による影響が大きく、ご両親が脂性肌の場合、お子様も脂性肌になりやすい傾向があります。ただし、遺伝的要因があっても、適切なスキンケアや生活習慣の改善により、症状を軽減することは可能です。
はい、脂性肌でも保湿は必要です。「ベタつくから保湿しない」という考えは逆効果になることがあります。水分と油分のバランスが崩れた肌はバリア機能が低下し、かえって皮脂の過剰分泌を招く可能性があります。洗顔後は化粧水でしっかりと水分を補給し、乳液や美容液で適度に保湿することが大切です。
あぶらとり紙は適度に使用する分には問題ありませんが、使いすぎには注意が必要です。必要な皮脂まで取り除いてしまうと、肌が皮脂不足を感知してさらに皮脂を分泌する悪循環に陥ることがあります。使用は1日1〜2回程度にとどめ、軽く押さえる程度にしましょう。少しのテカリであれば、ティッシュで軽く押さえるだけでも十分です。
脂性肌の改善期間は個人差がありますが、適切なスキンケアや生活習慣の改善を始めてから、一般的に2〜3ヶ月程度で変化を実感される方が多いです。肌のターンオーバーサイクルは約28日間のため、最低でも1〜2ヶ月は継続してケアを行うことが重要です。ただし、根本的な体質改善には時間がかかるため、焦らず継続することが大切です。
脂性肌の治療において、保険適用されるかどうかは症状や治療内容によって異なります。ニキビを伴う脂性肌の場合、外用薬(ディフェリンゲル、ベピオゲルなど)や内服薬は保険適用となることがあります。一方、ケミカルピーリングやレーザー治療などの美容的な治療は自費診療となることが多いです。まずは皮膚科で診察を受け、症状に応じた適切な治療法をご相談ください。
📚 参考文献
- ビタミンB2の働きと1日の摂取量|健康長寿ネット(公益財団法人長寿科学振興財団)
- ビタミンB2|「健康食品」の安全性・有効性情報(国立健康・栄養研究所)
- 日本人の食事摂取基準(2025年版)|厚生労働省
- 皮膚のうるおいを保つ物質とバリア機能|マルホ株式会社
- 日本皮膚科学会 – 皮膚科診療ガイドライン
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
脂性肌の原因は多岐にわたりますが、特にホルモンバランスと生活習慣の影響が大きいです。生活習慣の改善だけでも皮脂分泌が落ち着くケースも多いため、まずは睡眠とストレス管理から見直すことをお勧めします。ただし、根本的な体質改善には時間がかかるため、医療機関での治療と並行して行うとより効果的です。