餅は小さく切ると安全?何センチが目安か医師が解説【窒息予防】

お正月の定番である餅は、毎年窒息事故が報告される危険な食品でもあります。特に高齢者や小さなお子さんがいるご家庭では、餅を小さく切って食べることが推奨されていますが、「具体的に何センチに切ればいいの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。本記事では、餅による窒息事故を防ぐための適切なサイズの目安や正しい切り方、安全に餅を楽しむための食べ方について、医学的な観点から詳しく解説します。ご家族みんなで安心してお餅を楽しむために、ぜひ参考にしてください。

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目次

  1. 餅による窒息事故の現状と危険性
  2. 餅を小さく切る目安は何センチ?年齢別の推奨サイズ
  3. 餅の正しい切り方とコツ
  4. 小さく切る以外の窒息予防対策
  5. 餅を安全に食べるための調理法と食べ方
  6. 窒息が起きた場合の応急処置
  7. 特に注意が必要な方と餅の代替品
  8. よくある質問
  9. まとめ

🚨餅による窒息事故の現状と危険性

餅は日本の伝統的な食文化に欠かせない食品ですが、その特性から毎年深刻な窒息事故を引き起こしています。まずは餅がなぜ危険なのか、そしてどのような事故が起きているのかを正しく理解しましょう。

📊毎年発生する餅による窒息事故

消費者庁や東京消防庁の統計によると、餅による窒息事故は毎年お正月の時期に集中して発生しています。

東京消防庁管内だけでも、以下のような状況となっています:

  • 毎年100人前後が餅を喉に詰まらせて救急搬送
  • そのうち約9割が65歳以上の高齢者
  • 特に元日から1月3日の三が日に事故が集中
  • この時期は例年の約2倍の搬送件数

厚生労働省の人口動態統計によれば、食品による窒息死亡事故の中で餅は常に上位を占めており、年間の死亡者数は数十名から100名程度に上ります。これは他の食品と比較しても非常に高い数値であり、餅の危険性を如実に示しています。

⚠️餅が窒息を起こしやすい理由

餅が他の食品と比べて窒息を起こしやすい理由は、その独特の物理的特性にあります。

餅の危険な特性:

  • 強い粘着性:加熱すると粘り気が非常に強くなり、喉や気道に付着して取れにくい
  • 温度による硬さの変化:口に入れた直後は柔らかくても、体温で冷えると急速に硬化
  • 唾液の吸収の悪さ:唾液をはじいてしまうため、滑りが悪く飲み込みにくい

さらに、餅は温度によって硬さが大きく変化します。口に入れた直後は柔らかくても、体温で冷えると急速に硬くなり、噛み切りにくくなります。十分に噛まないまま飲み込もうとすると、大きな塊のまま喉に詰まってしまうのです。

👥高齢者と子どもが特に危険な理由

高齢者のリスク要因

  • 咀嚼力(噛む力)の低下
  • 嚥下機能(飲み込む力)の衰え
  • 唾液分泌量の減少
  • 喉頭・咽頭の感覚の鈍化
  • 誤嚥時の反射能力の低下

高齢者が餅による窒息事故の大半を占める理由は、加齢に伴う身体機能の低下にあります。高齢になると、咀嚼力(噛む力)が低下し、餅を十分に小さくかみ砕くことが困難になります。また、嚥下機能(飲み込む力)も衰えるため、食べ物をスムーズに食道へ送り込むことが難しくなります。

子どものリスク要因

  • 咀嚼・嚥下機能がまだ発達途中
  • 乳歯から永久歯への生え変わりによる噛む力の不安定さ
  • 食べ物を飲み込む際の協調運動の未熟さ
  • 食べながら遊んだり話したりする傾向

子どもの場合は、まだ咀嚼や嚥下の機能が発達途中であることが主な理由です。乳歯から永久歯への生え変わり時期には噛む力が不安定になりますし、食べ物を飲み込む際の協調運動も未熟です。

📏餅を小さく切る目安は何センチ?年齢別の推奨サイズ

餅による窒息事故を防ぐ最も基本的な対策は、餅を小さく切ることです。では、具体的に何センチに切ればよいのでしょうか。年齢や個人の状態に応じた適切なサイズの目安をご紹介します。

高桑康太 医師・当院治療責任者

餅のサイズを小さくすることは重要ですが、それだけでは不十分です。個々の咀嚼・嚥下能力に合わせたサイズ調整と、ゆっくりよく噛んで食べるという基本的な食べ方を守ることで、窒息リスクを大幅に減らすことができます。特に高齢の方は前年まで大丈夫だったサイズでも、身体機能の変化により危険になる可能性があるため、毎年見直すことをお勧めします。

👨一般成人の場合の推奨サイズ

健康な成人であっても、餅を丸ごと食べることは避けるべきです。市販の切り餅は通常5cm×3cm程度の大きさがありますが、これをそのまま食べると窒息のリスクがあります。

一般成人の推奨サイズ:2〜3cm角程度

この大きさであれば、一口で食べても口の中で十分にかみ砕くことができ、飲み込む際も気道を完全にふさぐリスクが低くなります。ただし、2〜3cm角に切ったとしても、よく噛まずに急いで飲み込めば窒息の危険性はあります。サイズを小さくすることは、あくまで安全対策の一つであり、これだけで完全に安全というわけではありません。

👴高齢者の場合の推奨サイズ

65歳以上の高齢者、特に咀嚼や嚥下に不安がある方の場合は、より小さく切る必要があります。

高齢者の推奨サイズ:1〜1.5cm角程度

これは親指の先ほどの大きさで、一口で無理なく噛んで飲み込める量です。

特に注意が必要な高齢者

  • 入れ歯を使用している方
  • 脳卒中の既往がある方
  • パーキンソン病などの神経疾患がある方
  • 認知症の方

これらの方は嚥下機能が特に低下している可能性があるため、餅を1cm以下の極小サイズに切るか、あるいは餅自体を避けることを検討してください。

👶子どもの場合の推奨サイズ

子どもに餅を食べさせる場合は、年齢に応じたサイズ調整が必要です。

年齢別推奨サイズ

  • 3歳未満:❌餅を食べさせない(咀嚼・嚥下機能が未発達)
  • 3〜5歳:1cm角以下(奥歯が生えそろっていないことが多い)
  • 6〜12歳:1.5〜2cm角程度(歯の状態に応じて調整)

まず前提として、3歳未満の乳幼児には餅を食べさせないことが強く推奨されています。3歳未満の子どもは咀嚼機能や嚥下機能が未発達であり、餅のような粘り気のある食品を安全に食べることは困難です。

6〜12歳の学童期の子どもであれば、1.5〜2cm角程度のサイズが目安となります。ただし、乳歯から永久歯への生え変わり時期には噛む力が不安定になるため、歯の状態に応じてサイズを調整してください。

📋サイズの目安一覧表

年齢・状態別の餅の推奨サイズ

  • 一般成人:2〜3cm角
  • 65歳以上の高齢者:1〜1.5cm角
  • 嚥下機能に不安のある高齢者:1cm以下
  • 3〜5歳の幼児:1cm以下
  • 6〜12歳の学童:1.5〜2cm角
  • 3歳未満の乳幼児:❌与えない

これらはあくまで目安であり、個人の咀嚼力や嚥下機能には大きな個人差があります。自分や家族の状態をよく観察し、必要に応じてより小さいサイズに調整することが大切です。少しでも不安がある場合は、かかりつけ医や言語聴覚士に相談することをおすすめします。

✂️餅の正しい切り方とコツ

餅を小さく切ることの重要性はわかっても、実際に切るのは意外と難しいものです。餅は粘り気が強く、包丁にくっついてしまったり、うまく切れなかったりすることがあります。ここでは、餅を上手に切るためのコツをご紹介します。

🥢生の餅を切る場合

つきたての餅や、冷蔵保存していた柔らかい餅を切る場合の方法をご紹介します。

水を使った切り方

  1. 包丁を水で濡らしてから切る
  2. 数回切るごとに包丁についた餅を拭き取る
  3. 再度包丁を水で濡らして切り続ける

餅取り粉を使った切り方

  1. 餅の表面に片栗粉やコーンスターチをまぶす
  2. まな板にも粉をふっておく
  3. 包丁にも粉をつけて切る

切り方のポイント

  • 包丁を前後に動かすのではなく、上から真下に押し切る
  • 無理に力を入れすぎると餅がつぶれるため、適度な力加減で
  • 一度に大きく切ろうとせず、少しずつ切る

🔥硬くなった餅を切る場合

時間が経って硬くなった餅は、そのまま切ろうとすると非常に危険です。硬い餅を無理に切ろうとすると、包丁が滑って怪我をする恐れがあります。

電子レンジで柔らかくする方法

  1. 餅を水にくぐらせる
  2. 耐熱皿に置き、ラップをかけずに加熱
  3. 10〜20秒程度の短時間で様子を見る
  4. 表面が柔らかくなったら取り出して切る

水に浸しておく方法

  1. 硬くなった餅を水に浸す
  2. 30分〜1時間程度置く
  3. 表面が柔らかくなったら切る

⚠️注意点

  • 電子レンジで加熱しすぎると餅がドロドロになる
  • 水に浸しすぎると餅の風味が損なわれる
  • 加熱は短い時間から様子を見ながら行う

🍽️調理後に小さくする方法

餅を焼いたり煮たりした後に小さくすることも可能です。

煮た餅の場合

  • お雑煮やぜんざいの中で箸やスプーンでちぎりながら食べる
  • 柔らかく煮えた餅は力を入れなくても簡単にちぎれる

焼いた餅の場合

  • 焼き上がってすぐの熱いうちにキッチンバサミで切る
  • 表面がカリッとして中が柔らかい状態が切りやすい
  • 冷めてくると再び切りにくくなるため、食べる直前に切る

事前準備の方法

  • 餅を最初から小さく切っておき、それを調理する
  • 小さく切った餅を冷凍保存しておくと便利
  • お正月前に準備しておけば、必要なときにすぐ使える

🛡️小さく切る以外の窒息予防対策

餅を小さく切ることは窒息予防の基本ですが、それだけでは十分とは言えません。より安全に餅を楽しむために、サイズ以外の予防対策についても知っておきましょう。

🧘食べる前の準備

口の中を潤しておく

  • 食事前にお茶や水を飲んで口の中を湿らせる
  • 特に高齢者は口腔内が乾燥しやすいため重要
  • 口の中が乾燥していると餅が張り付きやすくなる

喉の調子をチェック

  • 食べる前に「あー」と発声してみる
  • 声がかすれていたり出にくい場合は注意
  • 喉の調子が悪いときは餅を食べることを控える

体調を確認

以下の状態のときは餅を食べることを避ける:

  • 風邪を引いているとき
  • 疲れているとき
  • 眠気があるとき
  • 体調が優れないとき

これらの状態では咀嚼や嚥下の機能が低下している可能性があり、無理に餅を食べず、体調が回復してから楽しむようにしましょう。

🍽️食べ方の注意点

正しい食べ方

  • 一口の量を少なくする
  • 最低でも30回以上噛むことを意識
  • 十分に噛むことで餅が小さくなり、唾液と混ざって飲み込みやすくなる

適切な姿勢

  • 背筋を伸ばし、やや前かがみの姿勢で食べる
  • 寝転がりながら食べない
  • のけぞった姿勢で食べない

避けるべき行為

  • ❌テレビを見ながらの「ながら食べ」
  • ❌スマートフォンを操作しながら食べる
  • ❌話しながら食べる(口の中に餅が入っている状態での会話)
  • ❌急いで食べる

特にお正月は家族が集まって賑やかになりがちですが、餅を食べている間は静かに食事に集中することを心がけましょう。

👀見守りの重要性

見守りが必要な人

  • 高齢者
  • 子ども
  • 嚥下機能に不安がある方

高齢者や子どもが餅を食べる際は、必ず誰かが近くで見守るようにしましょう。万が一窒息が起きた場合、早期発見と迅速な対応が生死を分けます。

観察するポイント

  • 顔色や表情
  • 食べ方
  • むせている様子がないか
  • 苦しそうな表情をしていないか
  • 声が出なくなっていないか

一人暮らしの高齢者の対策

  • 餅を食べる際に家族や知人に連絡を入れる
  • ビデオ通話でつながりながら食事をする
  • 救急対応がしやすい場所で食事をする
  • 周囲に窒息時に使える道具を用意しておく

🍲餅を安全に食べるための調理法と食べ方

餅の調理法や食べ方を工夫することで、窒息のリスクをさらに減らすことができます。ここでは、より安全に餅を楽しむための調理法と食べ方をご紹介します。

✅おすすめの調理法

煮る調理法(推奨)

  • お雑煮、ぜんざい、おしるこなど汁物に入れて調理
  • 餅が柔らかくなり、喉を通りやすくなる
  • 汁と一緒に食べることで餅がまとまりやすくなる
  • 飲み込みやすくなる効果が期待できる

⚠️注意点

  • 煮た餅は非常に柔らかくなり、伸びやすくなる
  • 伸びた餅を一気に吸い込むと喉に絡まる危険性
  • 少しずつ噛み切りながら食べることが重要

大根おろしとの組み合わせ

  • 大根に含まれる消化酵素が餅の粘り気を和らげる
  • 飲み込みやすくなる効果
  • 「からみ餅」として美味しく安全に楽しめる

❌避けたほうがよい調理法と食べ方

焼き餅の注意点

  • 表面が乾燥して内部は柔らかい状態
  • 外側のパリッとした部分が口の中の水分を吸収
  • 餅全体が口腔内に張り付きやすくなる

焼き餅を食べる場合の対策

  • 醤油や味噌などの調味料をつける
  • お茶と一緒に食べる
  • より小さいサイズに切って食べる

きなこ餅の注意点

  • きなこの粉が気管に入ってむせやすい
  • むせた拍子に餅も一緒に気道に入る危険性

きなこ餅を安全に食べる方法

  • きなこに砂糖と少量の水を混ぜてペースト状にする
  • 粉が飛び散りにくくなり、むせにくくなる

絶対に避けるべき食べ方

  • ❌餅を勢いよく吸い込むようにして食べる
  • ❌柔らかく伸びた餅を吸い込む
  • ❌一度に大量の餅を口に入れる

🍵飲み物との組み合わせ

推奨される飲み物

  • ✅温かいお茶
  • ✅温かい汁物
  • ✅温かい飲み物全般

効果

  • 口の中が潤い、餅が飲み込みやすくなる
  • 一口餅を食べたら、一口お茶を飲むリズムで食べる

避けるべき飲み物

  • ❌冷たい飲み物(口の中の温度が下がり、餅が硬くなる)
  • ❌アルコール(筋肉を弛緩させ、喉の筋肉の働きが鈍くなる)

アルコールとの併用が危険な理由

  • 喉の筋肉の働きが鈍くなる
  • 判断力が低下する
  • 餅をよく噛まずに飲み込んでしまう可能性
  • 一度に大量の餅を口に入れてしまう可能性

お酒を楽しむ席では、餅を食べるのは酔いが覚めてからにしましょう。

🚑窒息が起きた場合の応急処置

万全の対策をしていても、窒息事故が起きてしまう可能性はゼロではありません。万が一の場合に備えて、窒息時の応急処置の方法を知っておくことは非常に重要です。適切な応急処置ができれば、命を救える可能性が大きく高まります。

窒息時の対処法については、誤嚥なのにむせない?危険な「不顕性誤嚥」の原因・症状・予防法を解説でも詳しく解説していますので、併せてご参照ください。

🔍窒息のサインを見逃さない

窒息の主なサイン

  • 突然声が出なくなる
  • 激しく咳き込む
  • 喉に手を当てる仕草をする
  • 顔色が青白くなる
  • 唇が紫色になる(チアノーゼ)
  • 苦しそうな表情をする
  • 意識がもうろうとする

特に危険なサイン

  • 咳き込むことすらできない
  • 声も出せず、咳も出ない状態
  • これは気道が完全にふさがれている状態で非常に危険

高齢者の場合、窒息しても苦しそうな表情を見せないことがあります。特に認知症の方は、窒息しているという認識が薄く、パニックにならない場合があるため、周囲の人が常に注意深く観察することが大切です。

🤚背部叩打法の手順

意識がある場合の応急処置として、まず背部叩打法を行います。

背部叩打法の手順

  1. 窒息者の横に立つ
  2. 片手で胸を支えながら前かがみにさせる
  3. もう一方の手のひらの付け根で肩甲骨の間を強く4〜5回叩く
  4. 叩く方向は、やや頭側に向かって斜め上に叩く

ポイント

  • 異物が口の方向に移動しやすくする
  • 背部叩打法で効果がない場合は腹部突き上げ法を試す
  • 両方の方法を交互に繰り返しながら救急車の到着を待つ

🫸腹部突き上げ法(ハイムリック法)の手順

腹部突き上げ法は、腹部を圧迫することで横隔膜を押し上げ、肺の空気を急激に排出させて異物を押し出す方法です。

腹部突き上げ法の手順

  1. 窒息者の背後に回る
  2. 両腕を脇の下から回して抱えるようにする
  3. 片方の手で握りこぶしを作り、親指側をみぞおち(へそとみぞおちの中間あたり)に当てる
  4. もう一方の手でその握りこぶしを包み込む
  5. 素早く手前上方に向かって突き上げる
  6. 異物が出るまで繰り返す

注意点

  • ❌妊婦には行わない
  • ❌著しく肥満している方には行わない
  • これらの場合は胸部突き上げ法(胸の中央を圧迫)を行う
  • 腹部突き上げ法実施後は必ず医療機関を受診(内臓損傷の可能性)

💔意識がない場合の対応

窒息者の意識がなくなった場合は、直ちに以下の対応を行います:

対応手順

  1. 119番通報を直ちに行う
  2. 心肺蘇生法を開始する
  3. 胸骨圧迫(心臓マッサージ)を行う
  4. 胸骨圧迫の合間に口の中を確認し、異物が見えたら指で取り除く
  5. AEDが近くにある場合は使用の準備をする

心肺蘇生法のポイント

  • 胸の中央を5cm以上の深さで圧迫
  • 1分間に100〜120回のペースで圧迫
  • 窒息による心停止の場合、胸骨圧迫で胸腔内圧が変化し、異物が排出される可能性

📞救急車を呼ぶタイミング

餅が喉に詰まった場合は、躊躇せずに119番通報してください。

すぐに救急車を呼ぶべき状況

  • 顔色が悪い
  • 意識がもうろうとしている
  • 応急処置をしても改善しない
  • 声が出ない状態が続く

119番通報時の伝え方

  • 「餅を喉に詰まらせた」と明確に伝える
  • 窒息者の年齢
  • 意識の有無
  • 現在の状態

電話口のオペレーターが指示を出してくれるので、それに従いながら救急車の到着を待ちましょう。「もう少し様子を見よう」と思っているうちに、状態が急激に悪化する可能性があります。

👨‍⚕️特に注意が必要な方と餅の代替品

窒息リスクが特に高い方には、餅自体を避けることも選択肢の一つです。また、どうしても餅を食べたい場合は、より安全な代替品を利用することも検討してください。

⚠️餅を避けたほうがよい方

以下のような方は、餅を食べることに特に注意が必要であり、場合によっては餅を避けることを検討してください。

嚥下障害のある方

  • 脳卒中の後遺症がある方
  • パーキンソン病の方
  • ALS(筋萎縮性側索硬化症)の方
  • その他の神経疾患がある方

これらの疾患により嚥下機能が低下していることが多く、餅による窒息リスクが非常に高くなります。

認知症の方

  • 重度の認知症の方は特に注意
  • 食べ物をよく噛まずに飲み込んでしまう
  • 適切な量を認識できない
  • 介護者が注意していても事故が起きる可能性

口腔機能に問題のある方

  • 歯がほとんどない方
  • 入れ歯の具合が悪い方
  • 口腔乾燥症(ドライマウス)がひどい方

餅を十分に噛むことができないため、大きな塊のまま飲み込んでしまう危険性があります。

🔄餅の代替品の紹介

窒息リスクが心配な方には、餅の食感を楽しめる代替品がいくつかあります。

介護食用の餅

  • 「やわらか餅」
  • 「介護用餅」
  • 通常の餅よりも粘り気が少ない
  • 口の中でほどけやすいように作られている
  • 見た目や味は餅に近い

白玉団子

  • 餅よりも粘り気が少ない
  • 飲み込みやすい特性
  • 一口サイズ以下に小さく作る
  • よく噛んで食べる必要あり

豆腐餅

  • 水切りした豆腐と片栗粉を混ぜて加熱
  • 餅のようなもちもちした食感
  • 豆腐が入っている分、通常の餅よりも柔らかい
  • 喉を通りやすい

👪家族で話し合うことの大切さ

お正月を迎える前に、家族で餅の食べ方について話し合っておくことをおすすめします。

話し合うポイント

  • 餅を食べるかどうか
  • 食べる場合のサイズはどうするか
  • 誰が見守るか
  • 窒息時の対応方法の共有

一人暮らしの高齢者への対策

  • お正月に一人で餅を食べないよう注意喚起
  • 家族が訪問する
  • ビデオ通話でつながりながら食事をする
  • 万が一の場合に備えた連絡体制の確保

高齢の方の中には、「昔から餅を食べてきたから大丈夫」とおっしゃる方もいます。しかし、身体機能は年々変化していくものです。昨年大丈夫だったからといって今年も大丈夫とは限りません。家族が優しく、しかし粘り強く、安全な食べ方を提案することが大切です。

👪家族で話し合うことの大切さ

❓よくある質問

餅は何歳から食べさせても大丈夫ですか?

一般的に3歳未満の子どもには餅を食べさせないことが推奨されています。3歳以上であっても、子どもの咀嚼力や嚥下機能の発達には個人差があるため、最初は1cm以下の非常に小さなサイズに切り、大人が必ず見守りながら少量から始めてください。子どもが上手に噛んで飲み込めることを確認しながら、徐々に量やサイズを調整していくことが大切です。

餅を小さく切れば完全に安全ですか?

餅を小さく切ることは窒息リスクを軽減する効果的な対策ですが、これだけで完全に安全になるわけではありません。小さく切った餅でも、よく噛まずに飲み込んだり、口の中で複数の餅がまとまって大きな塊になったりすると、窒息する可能性があります。サイズを小さくすることに加えて、よく噛むこと、一度にたくさん口に入れないこと、お茶と一緒に食べることなど、複数の対策を組み合わせることが重要です。

入れ歯の人は餅を食べても大丈夫ですか?

入れ歯を使用している方は、天然の歯と比べて噛む力が弱くなる傾向があるため、餅を食べる際は特に注意が必要です。入れ歯がしっかりフィットしていない場合や、噛み合わせが悪い場合は、餅を十分に噛み砕くことが難しくなります。入れ歯の方が餅を食べる場合は、1cm以下の極小サイズに切り、通常以上によく噛んでから飲み込むようにしてください。入れ歯の調子が悪いときは、餅を食べることを控えることをおすすめします。

お雑煮の餅と焼き餅、どちらが安全ですか?

一般的に、お雑煮など汁物に入れて十分に煮た餅のほうが、焼き餅よりも安全性が高いと言われています。煮た餅は柔らかくなり、汁と一緒に食べることで飲み込みやすくなります。一方、焼き餅は表面が乾燥して口の中の水分を吸収し、張り付きやすくなる特性があります。ただし、煮た餅も伸びやすくなるため、一気に吸い込まないよう注意が必要です。どちらの調理法でも、小さく切ってよく噛んで食べることが基本です。

一人暮らしの高齢者が餅を食べる場合、どのような対策がありますか?

一人暮らしの高齢者が餅を食べる場合は、万が一に備えた対策が重要です。まず、餅を食べるときは家族や知人に電話やビデオ通話でつながっておくことをおすすめします。また、餅を1cm以下の極小サイズに切り、お茶を用意して少量ずつゆっくり食べることを心がけてください。携帯電話を手の届く場所に置いておくことも大切です。嚥下機能に不安がある場合は、介護用の「やわらか餅」を利用するか、餅自体を避けることも検討してください。

📝まとめ

餅による窒息事故は、毎年お正月の時期に多発しています。特に高齢者や子どもは窒息リスクが高いため、適切な対策を講じることが重要です。

餅の推奨サイズまとめ

  • 一般成人:2〜3cm角
  • 高齢者:1〜1.5cm角
  • 子ども(3〜5歳):1cm以下
  • 3歳未満:❌与えない

ただし、嚥下機能に不安がある方は、さらに小さいサイズにするか、餅自体を避けることを検討しましょう。

安全に餅を食べるための複数の対策

  • 小さく切る
  • よく噛む(最低30回以上)
  • お茶と一緒に食べる
  • 落ち着いた姿勢で食事に集中
  • 誰かに見守ってもらう
  • 応急処置の方法を覚えておく

餅を安全に食べるためには、小さく切ることに加えて、よく噛むこと、お茶と一緒に食べること、落ち着いた姿勢で食事に集中すること、誰かに見守ってもらうことなど、複数の対策を組み合わせることが大切です。

万が一窒息が起きた場合に備えて、背部叩打法や腹部突き上げ法などの応急処置の方法も覚えておきましょう。また、解熱剤が効かない原因とは?対処法と受診の目安を医師が解説でも触れているように、体調不良時には無理をせず、体調が回復してから餅を楽しむことも大切です。

お正月は家族が集まる大切な時期です。餅を安全に楽しみながら、皆さまが素敵な新年を迎えられることを願っています。少しでも心配なことがあれば、かかりつけ医にご相談ください。


📚 参考文献

監修者医師

高桑 康太 医師

保有資格

ミラドライ認定医

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任
  • 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
  • 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
  • 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
  • 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報

佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
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