低血圧の人の特徴とは?症状・原因・対策を徹底解説

はじめに

「朝なかなか起きられない」「立ち上がるとめまいがする」「いつも体がだるい」──こうした症状に悩まされている方は少なくありません。これらの症状の背景には「低血圧」が隠れていることがあります。

高血圧はよく知られている健康問題ですが、低血圧についてはあまり注目されることがなく、「体質だから仕方ない」と諦めている方も多いのではないでしょうか。しかし、低血圧が日常生活に支障をきたしている場合、適切な対策を講じることで症状を改善できる可能性があります。

本記事では、低血圧の人に見られる特徴から、その原因、具体的な症状、そして日常生活でできる対策まで、総合的に解説していきます。

低血圧とは

低血圧の定義

血圧とは、心臓が血液を送り出すときに血管の壁にかかる圧力のことです。心臓が収縮して血液を送り出すときの血圧を「収縮期血圧(最高血圧)」、心臓が拡張して血液を受け取るときの血圧を「拡張期血圧(最低血圧)」といいます。

低血圧には、高血圧のような明確な国際的診断基準が定められていません。しかし、WHO(世界保健機関)では、収縮期血圧が100mmHg以下、拡張期血圧が60mmHg以下の状態を低血圧と定義しています。日本においても、一般的に収縮期血圧が100mmHg未満を低血圧の目安としています。

低血圧は病気なのか

重要なのは、血圧が低いこと自体が必ずしも病気ではないということです。血圧が低くても何の症状もなく、日常生活に支障がない場合は治療の必要はありません。実際、若い女性などでは血圧が80mmHg台でも無症状で健康に過ごしている方も多くいらっしゃいます。

低血圧が問題となるのは、血圧の低下によって脳や体の組織に送られる血液が不足し、めまい、立ちくらみ、倦怠感などの不快な症状が現れる場合です。このような症状がある場合は、適切な対処や治療が必要となります。

高血圧との違い

高血圧は心筋梗塞や脳卒中などの重大な疾患のリスクを高めるため、厳密な管理が必要とされます。一方、低血圧は生命に直結する危険性は比較的低いものの、日常生活の質を大きく低下させることがあります。

また、高血圧には明確な診断基準とガイドラインがありますが、低血圧には統一された基準がないため、症状の有無によって対応が判断されます。

低血圧の分類

低血圧は、その原因や発症の仕方によっていくつかのタイプに分類されます。

本態性低血圧(一次性低血圧)

本態性低血圧は、低血圧全体の約9割を占める最も一般的なタイプです。特定の原因疾患がなく、遺伝的な体質によって血圧が慢性的に低い状態が続きます。

このタイプの低血圧は、若い女性に多く見られる傾向があります。やせ型で虚弱体質の方、筋肉量が少ない方に多いとされています。家族に低血圧の方がいる場合、遺伝的な要因が関与している可能性が高いと考えられます。

症状がない場合は特に問題ありませんが、全身倦怠感、めまい、頭痛、動悸などの症状が現れることもあります。

起立性低血圧

起立性低血圧は、急に立ち上がったときや長時間立っているときに血圧が急激に低下し、めまいや立ちくらみを起こすタイプです。日本循環器学会の「失神の診断・治療ガイドライン」によれば、仰向けに寝た状態から立ち上がって3分以内に収縮期血圧が20mmHg以上低下する場合を起立性低血圧と定義しています。

これは、血圧をコントロールする自律神経がうまく機能しないことが主な原因です。通常、立ち上がると重力によって血液が下半身に集まりますが、健康な人では自律神経が即座に血管を収縮させ、心臓のポンプ機能を高めて血圧を維持します。しかし、この調整機能がうまく働かないと、脳への血流が一時的に不足してしまいます。

症候性低血圧(二次性低血圧)

症候性低血圧は、他の疾患や薬剤が原因で起こる低血圧です。原因となる主な疾患には以下のようなものがあります。

心臓の疾患

  • 不整脈
  • 心筋梗塞
  • 心不全
  • 弁膜症

内分泌系の疾患

  • 甲状腺機能低下症
  • アジソン病(副腎皮質機能低下症)
  • 糖尿病

その他の原因

  • 大量出血
  • 脱水
  • 低栄養状態
  • 貧血
  • 薬剤の副作用(降圧薬、抗うつ薬、利尿薬など)

このタイプの低血圧は、原因となっている疾患や薬剤への対処が必要となります。

食後低血圧

食後低血圧は、食事の後30分から1時間前後に血圧が低下する状態です。食後は消化のために消化管に血液が集まるため、心臓に向かう血液が減少し、血圧が低下しやすくなります。

高齢者や自律神経の働きが弱い方に多く見られ、食後に冷や汗、倦怠感、胃もたれ、吐き気、眠気などの症状が現れることがあります。

低血圧の人に見られる身体的特徴

低血圧の方には、いくつかの身体的な特徴が見られることが多いとされています。

やせ型・虚弱体質

愛知県薬剤師会の資料によると、低血圧の人は「無力性体質」を示し、やせ型で虚弱体質の方が多い傾向にあります。筋肉量が少ないと、下半身に集まった血液を心臓に押し戻す力が弱くなるため、低血圧になりやすいと考えられています。

顔色が青白い

低血圧では全身に十分な血液が行き渡らないため、顔色が青白く見えることがあります。これは、血流不足による酸素供給の低下や、貧血を併発していることが関係しています。

冷え性

低血圧の方は血液の循環が悪く、末梢の血管まで十分な血液が届きにくいため、手足の冷えを感じやすい傾向があります。特に冬季は寒がりで、冷え性に悩む方が多いとされています。

内臓下垂を伴いやすい

筋力が弱く、腹筋などが十分に発達していない場合、内臓が下垂しやすくなります。これにより胃腸の働きが悪くなり、食欲不振や消化不良などの症状が現れることがあります。

女性に多い傾向

統計的に、低血圧は男性よりも女性に多く見られます。厚生労働省のデータによると、20代女性の平均血圧は105.7/63.8mmHgで、20代男性の115.3/67.7mmHgと比べて低い値となっています。

女性に低血圧が多い理由として、以下の要因が考えられています。

筋肉量の違い 女性は男性に比べて筋肉量が少ない傾向があります。筋肉は血液を心臓に戻すポンプの役割を果たすため、筋肉量が少ないと血液循環が滞りやすくなります。

女性ホルモンの影響 女性ホルモン(エストロゲン)には末梢血管を拡張する働きがあり、これが血圧を低下させる要因となります。19歳から64歳の青壮年期では、女性の方が男性よりも血圧が低い傾向にありますが、更年期以降は女性でも血圧が高くなる方が増え、70歳代では性差がほとんど見られなくなります。

ダイエットによる影響 若い女性では、過度なダイエットによる栄養不足が低血圧の原因となることもあります。

低血圧の人に現れやすい症状

低血圧の方が訴える症状は多岐にわたります。公益財団法人日本心臓財団によると、以下のような症状が頻度の高い順に現れるとされています。

めまい・立ちくらみ

最も多い症状がめまいや立ちくらみです。血圧が下がると、体の最も高い位置にある脳への血液供給が減少するため、めまいやふらつきを感じやすくなります。特に立っているときに症状が現れやすく、脳への血液供給が大きく減ると失神を起こすこともあります。

起立性低血圧の場合、急に立ち上がった瞬間にひどい立ちくらみが起こり、その場で倒れてしまうこともあります。転倒により頭部や顔面を強打すると、脳出血やくも膜下出血などの重篤な外傷につながる危険性があるため、注意が必要です。

朝起き不良・朝が苦手

低血圧の方は朝なかなか起きられず、特に午前中は元気が出ない傾向があります。人の体は、起きて活動している間は自律神経の交感神経が活発で、眠っているときは副交感神経が活発に働きます。

低血圧の方はこの自律神経のバランスが崩れていることが多く、目が覚めてもすぐに活発に動けるほど交感神経が働いてくれません。血圧をコントロールする仕組みが、しばらくの間きちんと作動しないため、朝から午前中にかけての時間帯がつらくなるのです。

一方で、午後になると徐々に調子が出てくる方が多いのも、低血圧の特徴的なパターンです。

全身倦怠感・疲労感

「体がだるい」「疲れやすい」という症状も低血圧の方によく見られます。血液の循環が悪く、体の各組織に十分な酸素や栄養が届きにくいため、慢性的な倦怠感や疲労感を感じやすくなります。

十分に休息をとってもなかなか疲れが取れない、些細な作業でもすぐに疲れてしまうといった症状が続く場合は、低血圧が原因の可能性があります。

頭痛・頭重感

低血圧による脳への血流不足が原因で、頭が重く感じたり、頭痛が起こったりすることがあります。繰り返す頭痛や肩こりがある場合、低血圧が背景にある可能性を考える必要があります。

動悸・息切れ

心臓が少ない血液を全身に送ろうとするため、動悸や息切れが起こりやすくなります。少し動いただけでも動悸や息切れを感じる場合があります。

また、たまに心筋に血液が十分に供給されないことによる息切れや胸痛(狭心症)が起こることもあります。

肩こり

血液循環が悪いため、肩や首の筋肉に十分な血液が届かず、肩こりが起こりやすくなります。

胸痛・胸部圧迫感

血圧が極めて低い場合、心臓への血液供給が不足し、胸の痛みや圧迫感を感じることがあります。

集中力の低下

脳への血流が不足すると、集中力や記憶力の低下、判断力の鈍化などが起こることがあります。学業や仕事の効率が低下し、日常生活に支障をきたすこともあります。

食欲不振・胃腸症状

低血圧の方は内臓下垂を伴いやすく、消化器系の機能が低下しがちです。そのため、食欲不振、胃もたれ、悪心、腹痛、下痢、便秘などの胃腸症状が現れることがあります。

不眠

自律神経のバランスが崩れているため、夜間の睡眠の質が低下し、不眠に悩まされることもあります。

失神発作

血圧低下が高度になると、一時的に意識を失う失神発作を起こすことがあります。失神して床に倒れると、脳と心臓が同じ高さになるため、血液が重力に逆らわずに脳に流れることで脳への血流量が増え、脳の損傷が未然に防がれます。しかし、血圧があまりに低くなると脳の損傷を防ぎきれなくなる危険性があります。

低血圧の原因

低血圧の原因は多岐にわたり、複数の要因が重なって起こることも少なくありません。

遺伝的体質

本態性低血圧の場合、遺伝的な要因が大きく関与しています。家族に低血圧の方がいる場合、低血圧になりやすい体質を受け継いでいる可能性があります。

自律神経の機能不全

血圧のコントロールには自律神経が重要な役割を果たしています。自律神経は交感神経と副交感神経から成り立っており、これらがバランスよく働くことで血圧を適切に調整しています。

副交感神経が過剰に優位な状態では、心拍数が遅くなり、血管が拡張することがあり、これが低血圧につながります。また、急激な体位変化に対して自律神経が十分に適応できないと、起立性低血圧が起こります。

ストレスや不規則な生活習慣は自律神経のバランスを崩す原因となります。過度なストレスにさらされていると、血圧を上げる交感神経が常に優位に働き、バランスをとろうとして副交感神経が過剰に働いて血圧を下げてしまうことがあります。

運動不足・筋肉量の不足

運動不足や筋肉量の不足は、低血圧の大きな要因となります。特に下半身の筋肉は「第二の心臓」と呼ばれ、血液を心臓に押し戻すポンプの役割を果たしています。

筋肉量が少ないと、この機能が十分に働かず、血液循環が滞りやすくなります。デスクワークが中心で運動習慣がない方は、低血圧になりやすい傾向があります。

睡眠不足

十分な睡眠が取れていないと、自律神経のバランスが崩れ、血圧のコントロールがうまくいかなくなります。また、睡眠不足は疲労の蓄積にもつながり、低血圧の症状を悪化させる要因となります。

栄養不足・ダイエット

過度なダイエットや偏った食生活による栄養不足は、低血圧の原因となります。特に若い女性では、極端な食事制限によって必要な栄養素が不足し、貧血や低血圧を引き起こすケースが見られます。

たんぱく質、鉄分、ビタミンB群などの栄養素が不足すると、血液の生成や循環に悪影響を及ぼします。

脱水

体内の水分が不足すると、血液量が減少し、血圧が低下します。特に夏場は汗をかくことで体内の水分と塩分(ミネラル)が失われやすくなるため、低血圧の症状が悪化しやすい季節です。

ストレス

仕事のプレッシャーや人間関係のストレスなども、自律神経のバランスを崩し、低血圧を引き起こす要因となります。

薬剤の副作用

降圧薬、抗うつ薬、抗不安薬、利尿薬、硝酸剤などの薬剤は、副作用として低血圧を引き起こすことがあります。これらの薬を服用している方で低血圧の症状が現れた場合は、主治医に相談することが大切です。

低血圧を改善するための生活習慣

低血圧の症状を改善するためには、日常生活の中でいくつかの工夫を取り入れることが効果的です。

規則正しい生活リズムの確立

低血圧の改善において最も基本となるのが、規則正しい生活リズムを整えることです。

早寝早起きの習慣 就寝時間と起床時間を一定にし、十分な睡眠時間を確保しましょう。睡眠不足は自律神経のバランスを崩す大きな要因となります。理想的には7〜8時間の睡眠を心がけましょう。

朝の光を浴びる 起床後はカーテンを開けて朝の光を浴びることで、体内時計がリセットされ、自律神経が整います。これにより、日中の活動性が高まり、低血圧の症状が軽減されることが期待できます。

ゆっくりとした動作を心がける 急激な体位変化は起立性低血圧を引き起こしやすくなります。ベッドから起き上がるときは、まず上半身を起こして座った状態でしばらく待ち、その後ゆっくりと立ち上がるようにしましょう。

食事の工夫

朝食をしっかり摂る 低血圧の方は朝が苦手なため、ギリギリまで寝ていて朝食を抜いてしまう傾向があります。しかし、朝食は1日の活動に備えて血圧を正常に上昇させるための大切なエネルギー源です。起床後1時間以内に朝食を摂ることをおすすめします。

バランスの良い食事 栄養バランスの取れた食事を心がけることが重要です。特に以下の栄養素を意識して摂取しましょう。

  • たんぱく質:肉類、魚介類、卵、乳製品、大豆製品などから、筋肉や血液を作るたんぱく質をしっかり摂取しましょう。
  • 鉄分:鉄分は血液の生成に不可欠です。レバー、赤身の肉、魚、ほうれん草、小松菜などから積極的に摂取しましょう。
  • ビタミンB群:体内でエネルギーを産生する過程で必要となります。豚肉、レバー、魚、卵、納豆などに豊富に含まれています。
  • 野菜・海藻類:ビタミン、ミネラル、食物繊維を補うために、野菜や海藻類を十分に摂りましょう。
  • 適度な塩分:塩分には血管を収縮させて血圧を上げる作用があります。ただし、高血圧の方には禁忌ですので注意が必要です。低血圧の方の場合、成人で1日あたり7.5g(女性は6.5g)を目安に適度な塩分を摂取することが推奨されています。味噌や漬物などを適度に取り入れるのも一つの方法です。

食事の摂り方にも注意 食後低血圧を起こしやすい方は、以下の点に注意しましょう。

  • 炭水化物を控えめにし、たんぱく質を先に摂る
  • 一度に大量に食べず、少量ずつゆっくり食べる
  • 食べる順番を工夫する(野菜→たんぱく質→炭水化物)
  • 食後はすぐに動かず、しばらく休息を取る

チェダーチーズの活用 チェダーチーズには血圧をコントロールする物質が含まれており、低血圧の症状を緩和させる働きがあるといわれています。

水分補給

こまめな水分補給は、血液の量を増やして血圧を一定に保つことに貢献します。一般的には、成人で1日約1.2リットルの水分補給が目安となりますが、一度に大量に摂取すると腎臓で処理しきれなくなる恐れがあるため、少しずつこまめに補給することが大切です。

特に夏場は発汗による脱水に注意が必要です。スポーツドリンクや経口補水液、麦茶にひとつまみの塩を入れるなどして、水分と塩分を同時に補給しましょう。

カフェインの活用

コーヒーや紅茶などに含まれるカフェインには、交感神経を刺激し、心臓の動きを活性化させる効果が期待できます。また、毛細血管の拡張作用があることから、血流の改善にもつながります。

食後に血圧が下がりやすい方は、食後のコーヒータイムを意識して取り入れるとよいでしょう。ただし、飲み過ぎはかえって不眠の原因となるため注意が必要です。

アルコールは控える

アルコールには血管を広げる作用があるため、アルコールが血液中にある間は血圧が低くなります。血圧が低めの方は、お酒を飲むと起立性低血圧による失神を起こしやすくなるので、アルコールは控えめにしましょう。

適度な運動

下半身の筋肉を鍛える 低血圧の方は、手足といった身体の末端部から血液が心臓にうまく戻らないケースが多く見られます。末梢部の筋肉、特に下半身の筋肉を使う運動をすると、血流改善とともに低血圧の症状の改善が期待できます。

具体的には、脚の血液循環に重要な「ふくらはぎ」の筋肉を鍛えつつ、無理なく運動できるよう、ウォーキングやストレッチなどを行うのがよいでしょう。

適度な有酸素運動 1日20〜30分程度、少なくとも週3日の運動が理想的です。激しい運動ではなく、散歩や軽いジョギング、サイクリングなど、無理なく続けられる運動を選びましょう。

運動を習慣づけることで、筋肉量が増え、血液循環が改善されるだけでなく、自律神経のバランスも整います。ただし、起立性低血圧の方は運動中にふらつきや失神による転倒リスクもあるため、最初はベッドやマットの上でのストレッチなどから始めることをおすすめします。

ストレス管理

過度なストレスは自律神経のバランスを崩す大きな要因となります。ストレスや疲れがたまっている時は、深呼吸やため息をつくことも、交感神経の緊張を和らげるための対策の一つとなります。

趣味の時間を持つ、リラックスできる環境を作る、十分な休息を取るなど、自分なりのストレス解消法を見つけることが大切です。

弾性ストッキングの活用

症状の原因によっては、血液が脚の静脈から心臓まで戻るのを補助するために、ふくらはぎと太ももを覆う弾性ストッキングの着用が勧められることもあります。

入浴方法の工夫

40℃前後のお湯に首までしっかりと10分程度つかることで、血液循環が促進されます。ただし、低血圧の方は入浴で血圧が下がりやすいため、以下の点に注意しましょう。

  • 熱すぎるお湯は避ける
  • 長時間の入浴は控える
  • 入浴前後の水分補給を忘れずに
  • 浴槽から出るときはゆっくりと

寝る姿勢の工夫

上半身を少し高くして寝ることで、起立性低血圧の症状が軽減される場合があります。枕やクッションを使って、上半身を10〜20度程度高くする工夫をしてみましょう。

いつ医療機関を受診すべきか

以下のような場合は、医療機関の受診を検討しましょう。

日常生活に支障がある症状が続く場合

めまいや立ちくらみ、倦怠感などのつらい自覚症状が続き、日常生活や仕事、学業に支障をきたしている場合は、主治医の診察を受けることをおすすめします。

症状が急速に悪化した場合

比較的急速に低血圧の症状が出現してきた場合は、出血性疾患や脱水症、心臓疾患などの可能性があります。早めの受診が必要です。

失神発作を繰り返す場合

失神を繰り返す場合は、不整脈や心臓の疾患、神経系の病気などが隠れている可能性があります。転倒による外傷のリスクもあるため、必ず医療機関を受診してください。

他の症状を伴う場合

低血圧に加えて、発熱、激しい頭痛、胸痛、呼吸困難、意識障害などの症状がある場合は、重篤な疾患の可能性があります。速やかに医療機関を受診してください。

低血圧の治療

原因疾患の治療

症候性低血圧の場合は、まず原因となっている疾患の治療が優先されます。心臓疾患、内分泌疾患、貧血などがある場合は、それらに対する適切な治療を行います。

薬剤が原因である場合には、薬を減らしたり他の薬に変更したりして対処します。

薬物療法

生活習慣の改善を行っても症状が続いて生活に支障がある場合には、血圧を維持する薬を使用することがあります。

主に使用される薬剤には以下のようなものがあります。

  • 昇圧薬(塩酸ミドドリン、メチル硫酸アメジニウム、塩酸エチレフリンなど)
  • 漢方薬(半夏白朮天麻湯、当帰芍薬散、桂枝茯苓丸など)

ただし、これらの薬剤には副作用もあるため、医師の指示に従って適切に使用することが重要です。

東洋医学による治療

漢方薬や鍼灸など、東洋医学による治療が効果を上げる場合もあります。体質に合わせた漢方薬の選択や、経絡を刺激する鍼灸治療が、症状の改善に役立つことがあります。

低血圧に関する誤解

低血圧は「うらやましい体質」なのか

「低血圧はうらやましい体質」と言われることがありますが、これは大きな誤解です。確かに、高血圧に比べて心血管疾患のリスクは低いものの、日常生活に支障をきたす症状に悩まされている方にとっては、決して「うらやましい」状態ではありません。

症状がない場合は問題ありませんが、つらい症状がある場合は適切な対処が必要です。

低血圧は治療できないのか

「低血圧は体質だから治療できない」と考えている方も多いですが、これも誤解です。生活習慣の見直しによって多くの場合、症状の改善が期待できます。また、必要に応じて薬物療法も選択肢となります。

決して「体質だから」と諦めずに、できることから対策を始めることが大切です。

低血圧と他の疾患との鑑別

低血圧の症状は、他の疾患の症状と似ていることがあります。以下のような疾患との鑑別が重要です。

貧血

めまいや立ちくらみ、倦怠感などの症状は貧血でも見られます。血液検査によって貧血の有無を確認することが大切です。

甲状腺機能低下症

倦怠感、冷え性、体重増加などの症状は甲状腺機能低下症でも見られます。血液検査で甲状腺ホルモンの値を測定することで診断できます。

うつ病

朝起きられない、倦怠感、意欲の低下などの症状は、うつ病でも見られます。精神科や心療内科での評価が必要な場合もあります。

自律神経失調症

自律神経失調症の症状は低血圧の症状と重なる部分が多くあります。両者は密接に関連していることが多く、総合的な評価が必要です。

年代別の注意点

10代・学生

子どもや学生の低血圧も少なくありません。学校で立ちくらみがしたり、集中力の低下で勉強に差し支えたり、朝起きられずに不登校のきっかけになったりすることもあります。

起立性調節障害として知られるこの状態は、思春期特有の自律神経の不安定さが関係しています。多くの場合、成長とともに改善されますが、症状が強い場合は医療機関への相談が必要です。

20代〜30代女性

この年代の女性は最も低血圧が多い層です。仕事や家事、育児などで忙しく、生活リズムが乱れやすい時期でもあります。無理なダイエットによる栄養不足にも注意が必要です。

規則正しい生活と適切な栄養摂取を心がけることが重要です。

高齢者

高齢者では、複数の薬を服用していることが多く、薬剤性の低血圧に注意が必要です。また、食後低血圧も高齢者に多く見られます。

高齢者の低血圧は転倒による骨折のリスクを高めるため、特に注意が必要です。

まとめ

低血圧は、高血圧に比べて注目されることが少ない健康問題ですが、日常生活の質を大きく低下させる可能性があります。低血圧の人には以下のような特徴が見られることが多くあります。

身体的特徴

  • やせ型・虚弱体質
  • 顔色が青白い
  • 冷え性
  • 筋肉量が少ない
  • 若い女性に多い

症状の特徴

  • めまい・立ちくらみ
  • 朝が苦手で午前中の調子が悪い
  • 全身倦怠感・疲労感
  • 頭痛・頭重感
  • 動悸・息切れ
  • 集中力の低下

生活上の特徴

  • 朝食を抜きがち
  • 不規則な生活リズム
  • 運動不足
  • ストレスを抱えやすい

低血圧の多くは本態性低血圧であり、遺伝的体質によるものですが、生活習慣の見直しによって症状の改善が期待できます。規則正しい生活リズム、バランスの良い食事、適度な運動、十分な水分補給、ストレス管理などを心がけることが大切です。

症状がない場合は特に治療の必要はありませんが、日常生活に支障をきたすような症状がある場合は、決して「体質だから」と諦めずに、医療機関を受診することをおすすめします。適切な診断と治療により、より快適な日常生活を送ることができるようになります。

健康長寿ネット日本医師会などの信頼できる医療情報源も参考にしながら、ご自身の健康管理に役立ててください。


参考文献

監修者医師

高桑 康太 医師

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任

佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
PAGE TOP
電話予約
0120-226-002
1分で入力完了
簡単Web予約