
毎年春になると、くしゃみや鼻水だけでなく、目の周りが真っ赤になってひどくかゆくなる――そんな症状に悩まされている方は少なくありません。花粉症と聞くと鼻や目の症状をイメージしがちですが、実は目の周りの皮膚にも深刻なトラブルが起きることがあります。かゆいからと擦ってしまい、気づけば皮膚が荒れてボロボロに…という経験をした方もいらっしゃるのではないでしょうか。目の周りは皮膚が非常に薄くデリケートなため、花粉によるアレルギー反応が出やすく、一度荒れると治りにくい部位でもあります。この記事では、花粉症によって目の周りに赤みやかゆみが生じるメカニズムから、皮膚科での適切な治療法、日常生活でできるセルフケアまで、幅広く詳しく解説していきます。
目次
- 花粉症で目の周りが赤くなるのはなぜ?
- 目の周りの赤みを引き起こす花粉の種類と時期
- 花粉症による目の周りの症状の特徴
- かゆくて擦ってしまう「擦過」の危険性
- 皮膚科ではどんな治療を行うのか
- 眼科と皮膚科、どちらを受診すべきか
- 日常生活でできる目の周りのセルフケア
- 花粉症の目の周りの症状を悪化させるNG行動
- 花粉症の根本治療:アレルゲン免疫療法について
- まとめ
この記事のポイント
花粉症による目の周りの赤みやかゆみは、花粉の直接接触と摩擦が主因。皮膚科ではステロイド外用薬や抗ヒスタミン薬で治療し、舌下免疫療法による根本改善も可能。こすらず冷却・保湿が重要なセルフケア。
🎯 花粉症で目の周りが赤くなるのはなぜ?
花粉症は、スギやヒノキなどの植物の花粉が体内に入り込んだとき、免疫系がそれを「異物」と認識して過剰に反応することで生じるアレルギー疾患です。通常、花粉症と言えばくしゃみ・鼻水・鼻づまりといった鼻の症状や、目のかゆみ・充血といった眼症状が代表的ですが、これに加えて目の周りの皮膚にも炎症が起こることがあります。
目の周りの皮膚に赤みやかゆみが生じる主な理由は、大きく分けて2つあります。
一つ目は、花粉が直接皮膚に触れることによる「接触性アレルギー」です。空気中に浮遊している花粉は非常に小さく、顔の露出した部分、特に目の周りのような薄い皮膚に付着しやすい性質があります。花粉が皮膚に触れると、その刺激によってアレルギー反応が起き、ヒスタミンなどの化学物質が放出されます。これが炎症を引き起こし、赤みやかゆみの原因となります。
二つ目は、目のかゆみから来る「摩擦」です。花粉症で目がかゆくなると、無意識のうちに目をこすってしまいます。目の周りの皮膚は顔の中でも特に薄く(頬の皮膚の3分の1以下とも言われます)、こするという行為が皮膚のバリア機能を著しく低下させます。バリア機能が損なわれると、さらに花粉や外部刺激が皮膚に侵入しやすくなり、炎症が悪化するという悪循環に陥ります。
また、花粉症の症状を抑えようとして点眼薬や点鼻薬を使用したり、涙や鼻水を頻繁に拭いたりすることも、皮膚への刺激となって赤みを悪化させることがあります。花粉症シーズンに目の周りの肌荒れが増える背景には、こうした複合的な要因が絡み合っているのです。
Q. 花粉症で目の周りの皮膚が荒れる原因は?
花粉症による目の周りの皮膚荒れには2つの主因があります。1つは空気中の花粉が薄い目周りの皮膚に付着し、アレルギー反応を起こすこと。もう1つは目のかゆみから無意識にこすってしまい、皮膚のバリア機能が低下することで炎症が悪化する悪循環です。
📋 目の周りの赤みを引き起こす花粉の種類と時期
日本では、花粉症を引き起こす植物の種類が豊富にあり、季節によって原因となる花粉が変わります。目の周りの赤みや皮膚トラブルが特に多く見られるシーズンと、その原因花粉を把握しておくことは、適切な対策を取るうえで非常に重要です。
最も多くの人が悩まされるのが、2月から4月にかけてのスギ・ヒノキ花粉の時期です。スギ花粉は1月下旬から飛散が始まり、ピーク時の飛散量は非常に多くなります。日本の花粉症患者の約7割はスギ花粉が原因とされており、この時期に目の周りの症状を訴える患者さんが皮膚科にも多く来院します。ヒノキはスギの時期が終わる3月下旬から5月上旬にかけて飛散し、スギアレルギーを持つ方はヒノキにも交差反応を示すことが多いため、長期間にわたって症状が続きやすいです。
5月から6月はカモガヤをはじめとするイネ科の植物が花粉を飛散させます。イネ科の花粉は比較的粒子が大きく、遠くまで飛びにくい特性がありますが、草地や公園の近くに住んでいる方は注意が必要です。
8月から10月にかけては、ブタクサやヨモギといったキク科の植物が花粉を飛ばします。これらは秋の花粉症の原因として知られており、「夏が終わったのに鼻水が止まらない」「目の周りがかゆい」という症状が秋に現れる場合は、これらの花粉が原因である可能性があります。
さらに、スギ花粉が特に多い年には、PM2.5などの大気汚染物質が花粉と結合することで、アレルギー反応がより強く出やすいとされています。都市部では排気ガスや化学物質との相乗効果で、目の周りの皮膚症状が悪化しやすい環境にあることも覚えておきましょう。
💊 花粉症による目の周りの症状の特徴
花粉症によって引き起こされる目の周りの皮膚症状には、いくつかの特徴的なパターンがあります。これらの症状を正確に把握することで、適切なケアや治療につなげることができます。
最もよく見られる症状は、まぶたの赤みとかゆみです。特に上まぶたや下まぶたの際の部分に赤みが生じ、かゆみを伴います。かゆみが強い場合は、皮膚がヒリヒリとした痛みに変わることもあります。
次に多いのが、まぶたの腫れです。アレルギー反応によってヒスタミンが分泌されると、血管が拡張し、皮膚に体液が滲み出すことでむくみが生じます。朝起きたときにまぶたが腫れている、という経験をされた方も多いのではないでしょうか。これは夜間に横になることで体液が目の周りに集まりやすくなるためでもあります。
また、皮膚の乾燥と落屑(皮膚がパラパラと剥がれる状態)も花粉症シーズンに多く見られます。繰り返す摩擦と花粉の刺激によって皮膚のバリア機能が低下し、水分が蒸発しやすくなることで乾燥が進みます。乾燥した皮膚はさらにかゆくなるため、引っ搔きや摩擦が繰り返され、症状が慢性化してしまうことがあります。
症状が重い場合には、まぶたの皮膚が苔癬化(皮膚が厚くなってゴワゴワした状態になること)したり、湿疹のような状態になることもあります。これは「アレルギー性接触皮膚炎」や「アトピー性皮膚炎の悪化」として皮膚科的な治療が必要な状態です。
なお、花粉症による目の周りの症状は、化粧品や花粉対策スプレーなどのアレルギー反応と区別がつきにくい場合があります。症状が特定の製品を使い始めてから出た場合や、花粉シーズン以外にも年中続く場合は、別の原因が疑われますので、皮膚科での検査が推奨されます。
Q. 目の周りのかゆみ対策としてこする以外の方法は?
目の周りがかゆいときは「冷却」が有効です。清潔なタオルや薄布で包んだ保冷剤を数分間目の周りに当てると、血管が収縮しヒスタミンの作用が和らいでかゆみが軽減されます。氷を直接肌に当てると凍傷の恐れがあるため、必ず布で包んで使用してください。
🏥 かゆくて擦ってしまう「擦過」の危険性
花粉症のシーズンに多くの方が経験するのが、目のかゆみに耐えられず、気づけば目をゴシゴシと擦ってしまっているという状況です。この「擦過(さっか)」という行為が、実はさまざまな深刻な問題を引き起こす可能性があることをご存じでしょうか。
皮膚科的な観点から見ると、擦過は皮膚のバリア機能を物理的に破壊します。目の周りの皮膚は非常に薄く、ちょうど卵の薄皮のような繊細な構造をしています。この薄い皮膚を強くこすることで、角質層(皮膚の最外層でバリアの役割を担う部分)が傷つき、水分が失われて乾燥が進みます。さらに、傷ついた皮膚からはアレルゲンや細菌が侵入しやすくなるため、炎症が悪化する一方となります。
眼科的な観点から見ると、目を強くこすることで角膜に傷がつくリスクがあります。繰り返し傷つくことで「円錐角膜」と呼ばれる状態を引き起こすことがあると報告されています。円錐角膜は視力低下の原因となる深刻な疾患であり、重症の場合は角膜移植が必要になることもあります。
また、目を擦ることで網膜剥離のリスクが高まるという報告もあります。特に強度近視の方は眼球の変形が起きやすく、こすることで網膜に物理的なダメージが加わる可能性があるため、注意が必要です。
かゆみを感じたときには、こする代わりに冷たいタオルや保冷剤を清潔なハンカチで包んで目の周りに当てる「冷却」が有効です。冷やすことで血管が収縮し、かゆみの原因となるヒスタミンの作用が和らぎます。また、抗アレルギー薬の点眼薬を使用することで、かゆみの根本原因を抑えることも重要です。
⚠️ 皮膚科ではどんな治療を行うのか
花粉症による目の周りの赤みや湿疹が出た場合、皮膚科を受診することで適切な治療を受けることができます。皮膚科では症状の程度や原因に応じて、以下のような治療が行われます。
まず最も基本的な治療は、外用薬(塗り薬)の使用です。目の周りの皮膚の炎症に対しては、ステロイド外用薬が用いられることがあります。ステロイドと聞くと副作用を心配される方も多いですが、適切な強さのものを適切な期間だけ使用すれば、非常に効果的に炎症を抑えることができます。目の周りはデリケートな部位であり、また皮膚が薄いため、ステロイドが吸収されやすい部位でもあります。そのため、皮膚科医は弱〜中程度の強さのステロイド外用薬を選択し、使用量や期間を丁寧に管理します。自己判断で市販のステロイド薬を使い続けることは、皮膚が薄くなる「皮膚萎縮」や毛細血管が目立つ「毛細血管拡張」などの副作用を招く恐れがあるため、必ず医師の指示に従うことが重要です。
ステロイドを長期間使いたくない場合や、ステロイドが効きにくい場合には、タクロリムス軟膏(プロトピック軟膏)などの非ステロイド性の抗炎症外用薬が用いられることもあります。タクロリムスは免疫抑制作用によって炎症を抑えるもので、特にアトピー性皮膚炎を持つ方の目の周りの皮膚炎に対して有効とされています。ただし、使用開始時に刺激感やほてりが出ることがあり、日焼けに対する注意が必要など、使用上の注意点もありますので、医師の指示のもとで使用することが大切です。
内服薬としては、抗ヒスタミン薬(アレルギーを抑える飲み薬)が処方されることがあります。花粉症のかゆみはヒスタミンという化学物質が大きく関わっているため、ヒスタミンの働きを抑える薬を飲むことで、目の周りのかゆみや赤みを全身的に抑えることができます。最近では眠気が出にくい第2世代の抗ヒスタミン薬も多く、日中の生活への影響を最小限にしながら治療を続けることができます。
また、皮膚のバリア機能を回復させるための保湿剤(ヒアルロン酸や尿素含有クリームなど)も、治療の重要な柱となります。バリア機能が低下すると花粉などのアレルゲンが皮膚に入り込みやすくなるため、保湿によってバリアを整えることが症状の悪化予防につながります。
症状が特に強い場合や、原因がはっきりしない場合には、パッチテストと呼ばれるアレルギー検査が行われることもあります。これは皮膚に様々なアレルゲンを貼り付けて反応を確認するテストで、花粉以外に化粧品や金属などが原因となっていないかを調べることができます。
Q. 皮膚科では花粉症の目周りの症状にどんな治療をする?
皮膚科では症状の程度に応じて複数の治療を行います。炎症にはステロイド外用薬や非ステロイド性のタクロリムス軟膏、内服の抗ヒスタミン薬などが処方されます。またバリア機能の回復を目的とした保湿剤も治療の重要な柱です。ステロイド薬は医師の指示なく自己判断で使い続けると副作用のリスクがあるため、必ず医師の指導のもとで使用してください。
🔍 眼科と皮膚科、どちらを受診すべきか
花粉症の時期に目の周りに症状が出た場合、「眼科と皮膚科、どちらに行けばよいのか」と迷う方も多いと思います。それぞれの専門領域が異なるため、症状に合わせた使い分けが重要です。
眼科を受診すべき場合は、目のかゆみ・充血・目やに・ゴロゴロ感・涙が止まらないなど、目そのものに症状が出ているときです。これらはアレルギー性結膜炎の典型的な症状であり、眼科で点眼薬を処方してもらうことで効果的に症状を抑えることができます。また、目の見え方が変わった、痛みが強い、物がかすんで見えるなどの症状がある場合は、花粉症以外の目の病気の可能性があるため、速やかに眼科を受診してください。
皮膚科を受診すべき場合は、まぶたや目の周りの皮膚に赤み・かゆみ・湿疹・腫れ・皮がむけるなどの皮膚症状が出ているときです。目の周りの皮膚トラブルは皮膚科の専門領域であり、適切な外用薬の選択や皮膚のケア指導を受けることができます。特に、症状が慢性化している場合や、炎症が強い場合、アトピー性皮膚炎の既往がある場合は、皮膚科での管理が重要です。
実際には、目の症状と皮膚の症状が同時に出ることが多いため、眼科と皮膚科を並行して受診することが最も効果的です。眼科で目のかゆみに対する点眼薬を処方してもらいながら、皮膚科でまぶたの皮膚炎の治療を受けるというアプローチが、症状の総合的な改善につながります。また、総合病院のアレルギー科では、花粉症全体を包括的に管理してもらうことも可能です。
いずれにしても、「かゆいのは花粉症だから仕方がない」と諦めず、適切な医療機関を受診することが大切です。花粉症による目の周りの症状は、適切な治療を行えば十分にコントロールできるものです。
📝 日常生活でできる目の周りのセルフケア
医療機関での治療と並行して、日常生活でのセルフケアを徹底することが、花粉症シーズンを乗り越えるための大切な要素となります。目の周りの赤みやかゆみを悪化させないために、具体的なケア方法をご紹介します。
まず、花粉を体に取り込まないための「花粉対策」が基本となります。外出時は花粉用のメガネをかけることで、目の周りへの花粉の付着を大幅に減らすことができます。一般的なメガネと比べて、専用の花粉対策メガネは顔への密着度が高く、より効果的に花粉をブロックします。マスクも鼻への花粉侵入を防ぐと同時に、顔全体への花粉付着を軽減する効果があります。
帰宅後はすぐに洗顔を行うことが重要です。顔に付着した花粉を速やかに洗い流すことで、皮膚への刺激を最小限に抑えることができます。ただし、洗顔の際には注意点があります。強くこすらず、泡をたっぷり作って優しく洗うことが大切です。目の周りは特に力を入れず、泡をそっと転がすようにして洗いましょう。洗顔後はすぐに保湿ケアを行うことも忘れないでください。
保湿ケアは花粉症シーズンの皮膚ケアにおいて特に重要な役割を果たします。目の周りの皮膚のバリア機能を保つために、低刺激の保湿クリームやジェルを洗顔後に丁寧に塗布しましょう。アルコール・香料・着色料が含まれていない、肌に優しい製品を選ぶことをおすすめします。市販品ではセラミド配合やヒアルロン酸配合のものが保湿効果が高く、皮膚科でも推奨されることが多いです。
かゆみが出たときは、前述のとおり冷やすことが効果的です。清潔なハンカチや薄いタオルで包んだ保冷剤を数分間目の周りに当てることで、かゆみを和らげることができます。冷蔵庫で冷やしたアイマスクなども便利に使えます。ただし、直接皮膚に氷を当てることは凍傷の恐れがあるため避けてください。
室内では空気清浄機を使用することで、室内への花粉の拡散を抑えることができます。また、洗濯物を外に干すと花粉が付着してしまうため、花粉の多い時期は室内干しか乾燥機を使用することをおすすめします。花粉の飛散量が多い日(特に晴れた日の日中から午後にかけて)は、なるべく外出を控えることも一つの対策です。天気予報などで花粉情報を確認する習慣をつけましょう。
目のかゆみを和らげるために市販の目薬を使用する方も多いと思いますが、点眼後には目の周りに薬液が流れ出ることがあります。そのままにしておくと皮膚への刺激になる場合がありますので、清潔なティッシュペーパーで押さえるようにして、余分な液を吸い取ってから保湿ケアをしましょう。
Q. 花粉症を根本から改善する舌下免疫療法とはどんな治療?
舌下免疫療法は、スギ花粉のアレルゲンを含む錠剤を毎日舌の下で吸収させることでアレルギー反応を長期的に軽減する治療法です。保険適用で受けられ、自宅で実施できるため通院負担が少ないのが特徴です。治療期間は3〜5年が推奨され、花粉シーズン外の6〜11月頃に開始します。
💡 花粉症の目の周りの症状を悪化させるNG行動
花粉症シーズンに目の周りの皮膚トラブルを起こしやすい方の中には、知らず知らずのうちに症状を悪化させてしまっているケースも少なくありません。以下に挙げるNG行動に心当たりがある場合は、今すぐ見直すことをおすすめします。
まず最もやってしまいがちなのが、かゆいときに目をこする行動です。これについてはすでに述べたとおり、皮膚のバリア機能を破壊し、症状を悪化させる大きな原因となります。どうしてもかゆいときは冷却で対処するようにしましょう。
次に注意したいのが、スクラブ洗顔や毛穴ケア製品の使用です。花粉症シーズンは肌が敏感になっているため、粒子の入ったスクラブ洗顔料やピーリング成分(AHA・BHAなど)が含まれたスキンケア製品は、この時期は控えることをおすすめします。
アルコール成分の含まれた化粧水や収れん化粧水も、荒れた目の周りの皮膚には刺激が強すぎることがあります。スキンケア製品を選ぶ際は、成分表示を確認し、できるだけシンプルで低刺激なものを選びましょう。
花粉症の時期に「おしゃれをしたい」という気持ちはよくわかりますが、アイシャドウやアイライナーなどのアイメイクは目の周りの皮膚への刺激となります。特に荒れがひどいときは、アイメイクを控えることが皮膚の回復を助けます。メイクをする場合は、クレンジングに注意が必要です。目の周りを強くこするようなクレンジング方法は避け、素早くオフできるマイルドなクレンジング製品を選ぶと良いでしょう。
入浴時に熱いお湯に長時間浸かることも、かゆみを悪化させる原因の一つです。熱によって血管が拡張し、ヒスタミンの分泌が促進されてかゆみが増すことがあります。花粉症シーズンは少しぬるめのお湯(38〜40℃程度)で入浴するよう心がけましょう。
睡眠不足や過度のストレスもアレルギー反応を悪化させることが知られています。花粉症シーズンはただでさえ体への負担が大きいため、十分な睡眠を確保し、ストレスを適切に解消することが症状の管理にも役立ちます。
ドライアイに悩む方の中には、目薬を頻繁に使用する方もいますが、防腐剤が含まれた目薬を大量・頻繁に使用すると、目の周りの皮膚に防腐剤が付着して刺激になることがあります。点眼後は皮膚への液だれに注意しましょう。防腐剤フリーのタイプを選ぶことも一つの対策です。
✨ 花粉症の根本治療:アレルゲン免疫療法について

花粉症の症状は毎年繰り返されるものですが、その根本的な原因であるアレルギー体質そのものを変えることができる治療法が「アレルゲン免疫療法」です。この治療法は花粉症の症状を毎年薬でコントロールするだけでなく、アレルギー反応の程度を長期的に軽減させることを目指すもので、保険適用で受けることができます。
アレルゲン免疫療法には、大きく分けて「皮下注射免疫療法」と「舌下免疫療法」の2種類があります。
皮下注射免疫療法は、アレルゲン(スギ花粉エキスなど)を少量から徐々に増量しながら皮下注射していく治療法です。これを数年間にわたって継続することで、アレルゲンに対する過剰な免疫反応を抑える「脱感作」が起こります。効果が高い反面、毎回クリニックに通院して注射を受ける必要があること、まれにアナフィラキシーなどの副作用が起こるリスクがあることなどが課題とされています。
一方、舌下免疫療法は、スギ花粉やダニのアレルゲンを含む錠剤や液体を毎日舌の下に置いて吸収させる治療法です。自宅で行えるため通院の負担が少なく、皮下注射免疫療法と比べてアナフィラキシーのリスクも低いとされています。日本では2014年にスギ花粉に対する舌下免疫療法薬が承認され、現在多くのアレルギー科や耳鼻咽喉科、皮膚科でも実施されています。
舌下免疫療法の具体的な流れとしては、まず花粉シーズン外(通常は6月〜11月頃)に治療を開始します。最初の数日間は少量から始めて体の反応を確認し、徐々に用量を増やしながら維持量に達したら、そのまま毎日服用を続けます。効果が現れ始めるまでに数ヶ月かかることが多く、推奨される治療期間は3〜5年です。
免疫療法によって花粉症のアレルギー反応全体が軽減されると、目の周りの皮膚症状を含むすべての花粉症症状が改善される可能性があります。「毎年花粉症がひどくて仕事や生活に支障が出る」「薬を飲んでも症状がよくコントロールできない」という方は、免疫療法について医師に相談してみることをおすすめします。
なお、免疫療法は誰にでも適応できるわけではなく、重篤な心疾患や自己免疫疾患がある方、妊娠中の方などは慎重な対応が必要です。また、スギ花粉の飛散時期(1月〜5月頃)には治療を新規開始できないため、治療を希望する場合は花粉シーズンが終わった夏頃から検討を始めるとスムーズです。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では、花粉シーズンになると目の周りの赤みや皮膚の荒れを主訴に来院される患者様が増える傾向にあり、「かゆくてつい擦ってしまう」というお声を非常に多くいただきます。目の周りの皮膚は特にデリケートで、摩擦によってバリア機能が低下すると炎症が慢性化しやすいため、かゆみを感じた際はこすらず冷却で対処していただくことをまず大切にお伝えしています。適切な外用薬と保湿ケアを組み合わせることで症状は十分にコントロールできますので、「花粉症だから仕方ない」と諦めずに、お気軽にご相談ください。」
📌 よくある質問
主な原因は2つあります。一つは花粉が皮膚に直接触れることで起きるアレルギー反応、もう一つは目のかゆみから無意識に目をこすってしまう摩擦によるバリア機能の低下です。目の周りの皮膚は頬の3分の1以下と非常に薄くデリケートなため、炎症が起きやすく悪循環に陥りやすい部位です。
冷却が効果的です。清潔なハンカチやタオルで包んだ保冷剤を目の周りに数分間当てると、血管が収縮してかゆみの原因であるヒスタミンの作用が和らぎます。冷蔵庫で冷やしたアイマスクも便利です。なお、氷を直接皮膚に当てると凍傷の恐れがあるため避けてください。
症状によって受診先が異なります。目のかゆみ・充血・目やになど目そのものの症状は眼科、まぶたや目の周りの赤み・湿疹・皮むけなどの皮膚症状は皮膚科が専門です。両方の症状がある場合は、眼科と皮膚科を並行して受診することが最も効果的です。アイシークリニックでも目の周りのお悩みについてご相談いただけます。
症状の程度に応じて、炎症を抑えるステロイド外用薬や非ステロイド性のタクロリムス軟膏(プロトピック軟膏)、内服の抗ヒスタミン薬などが処方されます。またバリア機能の回復を目的とした保湿剤も治療の重要な柱です。ステロイド薬は医師の指示なく自己判断で使い続けると副作用のリスクがあるため、必ず医師の指導のもとで使用してください。
「アレルゲン免疫療法」という選択肢があります。中でも自宅で毎日行える「舌下免疫療法」は、スギ花粉のアレルゲンを含む錠剤を舌下で吸収させる方法で、保険適用で受けられます。治療期間は3〜5年が推奨されており、花粉シーズン外の6〜11月頃に開始します。毎年症状がひどい方は、花粉シーズン後に医師へ相談することをおすすめします。
🎯 まとめ
花粉症による目の周りの赤みや皮膚トラブルは、多くの方が毎年悩まされる症状ですが、適切な知識と対策があれば症状を大幅に軽減することができます。この記事でお伝えしたことを振り返ってみましょう。
花粉症が目の周りの皮膚に悪影響を与えるのは、花粉の直接接触によるアレルギー反応と、かゆみによる摩擦の2つが主な原因です。目の周りの皮膚は非常に薄くデリケートなため、炎症が起きやすく、また一度傷つくと回復しにくい部位でもあります。かゆいからといって目をこする行為は、皮膚のバリア機能を破壊するだけでなく、角膜にもダメージを与える可能性があるため、絶対に避けなければなりません。
皮膚科では症状の程度に応じて、ステロイド外用薬やタクロリムス軟膏、抗ヒスタミン薬などを用いた治療を行います。目の症状(かゆみ・充血など)には眼科、皮膚症状(赤み・湿疹など)には皮膚科というように、症状に合わせて適切な診療科を受診することが重要です。両方の症状がある場合は、それぞれの専門科を並行して受診することをおすすめします。
日常生活では、花粉を体に取り込まないための対策(マスク・花粉用メガネの着用)、帰宅後の速やかな洗顔と保湿ケア、そしてかゆくても擦らないという基本的なことを徹底することが大切です。スクラブ洗顔やアルコール含有スキンケア、熱いお風呂などはかゆみを悪化させるため、花粉症シーズン中は控えることをおすすめします。
また、毎年繰り返す花粉症に根本的な改善を求める方には、舌下免疫療法などのアレルゲン免疫療法という選択肢もあります。花粉シーズン前から医師に相談し、計画的に治療を進めることで、数年後の花粉症シーズンを楽に過ごせるようになる可能性があります。
目の周りの赤みやかゆみを「花粉症だから仕方ない」と諦めず、皮膚科や眼科を積極的に活用しながら、快適な毎日を取り戻してください。アイシークリニック池袋院では、目の周りのお悩みについて専門的な視点からサポートしておりますので、気になる症状がございましたらお気軽にご相談ください。
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📚 参考文献
- 厚生労働省 – 花粉症の基本情報、スギ・ヒノキ等の花粉飛散時期、アレルギー疾患の予防と対策に関する公式情報
- 日本皮膚科学会 – 花粉症による接触性皮膚炎・アトピー性皮膚炎の悪化、ステロイド外用薬やタクロリムス軟膏の使用指針、目の周りの皮膚炎に対する治療ガイドライン
- PubMed – 花粉によるまぶた周囲の接触性アレルギー皮膚炎、アレルゲン免疫療法(舌下免疫療法・皮下注射免疫療法)の有効性および円錐角膜リスクに関する査読済み学術文献
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務