ほうれい線がない人の特徴とは?目立たない理由を医師が徹底解説

はじめに

鏡を見たとき、口元に刻まれた深い線が気になった経験はありませんか?一方で、同年代でもほうれい線がほとんど目立たない人もいます。この違いはどこから来るのでしょうか。

ほうれい線は、加齢とともに誰にでも現れる自然な現象ですが、その深さや目立ち方には大きな個人差があります。本記事では、ほうれい線がない人、あるいは目立たない人の特徴について、医学的な観点から詳しく解説していきます。

骨格の特徴、肌質、生活習慣、そして遺伝的要因まで、さまざまな角度からほうれい線の目立ちにくさの理由を探ります。また、ほうれい線を予防・改善するための具体的な方法や、医療機関で受けられる治療についてもご紹介します。

ほうれい線の基礎知識

ほうれい線とは

ほうれい線は、鼻の両脇から口角に向かって伸びる線のことで、医学的には「鼻唇溝(びしんこう)」と呼ばれています。これは表情筋の動きや皮膚の構造によって形成される溝で、実は赤ちゃんにも存在しています。

若いうちはほとんど目立ちませんが、加齢とともに深く刻まれるようになり、顔の印象を大きく左右する要因となります。多くの人が気にする美容上の悩みの一つとされています。

ほうれい線ができるメカニズム

ほうれい線が深くなる主な原因は、以下のようなメカニズムによるものです。

皮膚の老化による影響

皮膚は表皮、真皮、皮下組織の3層構造になっています。真皮層には、肌の弾力を保つコラーゲンやエラスチンといった線維成分が豊富に含まれています。これらの成分は加齢とともに減少し、その質も低下していきます。

厚生労働省の研究によると、皮膚のコラーゲン量は20代をピークに減少し始め、40代では約半分にまで減少するとされています。コラーゲンやエラスチンが減少すると、皮膚の弾力性が失われ、重力に逆らえなくなった皮膚がたるみ、ほうれい線として現れるのです。

表情筋の衰えと脂肪の移動

顔には30種類以上の表情筋がありますが、これらの筋肉も加齢とともに衰えていきます。特に、頬を支える筋肉の力が弱まると、頬の脂肪が下垂し、ほうれい線を深くする要因となります。

日本形成外科学会の研究では、顔面の皮下脂肪は加齢とともに重力の影響で下方に移動することが報告されています。この脂肪の移動により、頬がこけたり下がったりして、ほうれい線が目立つようになります。

骨格の変化

意外に知られていませんが、顔の骨格も加齢とともに変化します。特に上顎骨や頬骨の骨量が減少すると、皮膚や軟部組織を支える土台が不安定になり、ほうれい線が深くなる原因となります。

米国の研究によると、40代以降、顔面骨の骨密度は徐々に低下し、骨の吸収が進むことが明らかになっています。これにより、若い頃に比べて顔の立体構造が変化し、ほうれい線が目立ちやすくなるのです。

紫外線ダメージの蓄積

紫外線は皮膚の老化を促進する最大の外的要因です。紫外線、特にUVAは真皮層まで到達し、コラーゲンやエラスチンを破壊する酵素の産生を促進します。

日本皮膚科学会によると、紫外線による光老化は自然な加齢による老化よりも皮膚への影響が大きく、長年の紫外線暴露がほうれい線を深くする大きな要因となることが指摘されています。

ほうれい線の深さと年齢の関係

ほうれい線の深さは年齢とともに変化しますが、その進行速度には個人差があります。一般的には以下のような傾向が見られます。

  • 20代:表情を動かした時にのみ軽く線が現れる程度
  • 30代:無表情の状態でも薄く線が見えるようになる
  • 40代:線が深くなり、常に目立つようになる
  • 50代以降:さらに深くなり、影のように見えることもある

ただし、これはあくまでも平均的な傾向であり、生活習慣やスキンケア、遺伝的要因などによって、個人差が大きく現れます。

ほうれい線がない人・目立たない人の特徴

同じ年齢でも、ほうれい線の目立ち方には大きな個人差があります。ここでは、ほうれい線が目立たない人に共通する特徴を、さまざまな観点から見ていきましょう。

1. 骨格的な特徴

頬骨の位置と形状

骨格は、ほうれい線の目立ちやすさに大きく影響します。特に重要なのが頬骨の位置です。頬骨が高く、前方に張り出している人は、頬の脂肪や皮膚がしっかりと支えられるため、ほうれい線が目立ちにくい傾向があります。

日本美容外科学会の研究では、頬骨の位置が高く、前方突出度が大きい顔型の人は、加齢によるほうれい線の進行が遅いことが報告されています。これは、骨格が皮膚や軟部組織の「土台」として機能し、重力による下垂を防ぐためです。

上顎骨の発達

上顎骨がしっかりと発達し、前方に突出している人も、ほうれい線が目立ちにくいとされています。上顎骨が後退していたり、小さかったりすると、口元周辺の皮膚がたるみやすく、ほうれい線が深くなる傾向があります。

顔の立体構造

全体的に顔の立体感がある人、つまり平坦ではなく凹凸のある顔立ちの人は、ほうれい線が目立ちにくいとされています。これは、骨格や脂肪の配置が立体的であることで、皮膚のテンションが均等に保たれやすいためです。

2. 皮膚の特徴

肌質と厚み

皮膚の厚さは、ほうれい線の目立ちやすさに大きく関係します。真皮層が厚く、コラーゲンやエラスチンが豊富に含まれている肌は、弾力性があり、ほうれい線が目立ちにくい傾向があります。

一般的に、以下のような肌質の人はほうれい線が目立ちにくいとされています。

  • 皮脂分泌が適度にあり、乾燥しにくい肌
  • キメが整っていて、ハリのある肌
  • 毛穴が小さく目立たない肌

日本皮膚科学会の研究によると、乾燥肌の人は正常肌の人に比べて、皮膚のバリア機能が低下しており、外的刺激によるダメージを受けやすく、結果として老化が進行しやすいことが明らかになっています。

コラーゲン産生能力

遺伝的にコラーゲンの産生能力が高い人は、加齢によるコラーゲンの減少が緩やかであり、ほうれい線が目立ちにくい傾向があります。肌の弾力を維持する能力が高いため、たるみにくく、ほうれい線も深くなりにくいのです。

皮下脂肪の量と分布

適度な皮下脂肪は、皮膚をふっくらと支える役割を果たします。痩せすぎている人は、頬の脂肪が少ないため、ほうれい線が目立ちやすくなることがあります。

一方で、過度に皮下脂肪が多い場合も、重力の影響で脂肪が下垂しやすく、ほうれい線を深くする原因となります。適度な皮下脂肪を保ち、その分布が均等であることが理想的です。

3. 表情筋の特徴

表情筋の柔軟性と筋力

顔の表情筋が柔軟で、適度な筋力を保っている人は、ほうれい線が目立ちにくい傾向があります。特に、大頬骨筋や小頬骨筋といった頬を支える筋肉がしっかりしていると、皮膚のたるみを防ぎ、ほうれい線の進行を遅らせることができます。

表情の癖が少ない

笑顔は素敵なものですが、長年の表情の癖によって、特定の部位にシワができやすくなることがあります。ただし、これは避けられないものでもあります。笑わないことでほうれい線を防ごうとするよりも、適切なスキンケアと予防が重要です。

無表情を保つことは表情筋の衰えにつながり、かえって老化を促進する可能性があるため、自然な表情を大切にしながら、適切なケアを行うことが推奨されています。

4. 生活習慣の特徴

紫外線対策の徹底

ほうれい線が目立たない人の多くは、若い頃から紫外線対策を徹底していることが多いです。日焼け止めの使用、帽子や日傘の活用など、日常的に紫外線から肌を守る習慣がある人は、光老化の進行が遅く、ほうれい線も目立ちにくくなります。

日本皮膚科学会の調査では、20代から継続的に日焼け止めを使用している人は、使用していない人に比べて、40代以降の肌年齢が平均5〜10歳若く保たれることが報告されています。

適切な保湿ケア

乾燥は肌の老化を加速させる大きな要因です。毎日の保湿ケアを怠らず、肌の水分量を適切に保っている人は、ほうれい線が目立ちにくい傾向があります。

特に、セラミドやヒアルロン酸といった保湿成分を含むスキンケア製品を適切に使用し、肌のバリア機能を維持することが重要です。

質の良い睡眠

睡眠中には成長ホルモンが分泌され、肌の修復や再生が行われます。質の良い睡眠を十分にとっている人は、肌のターンオーバーが正常に機能し、ほうれい線が目立ちにくくなります。

厚生労働省の健康づくりのための睡眠指針では、成人に対して6〜8時間の睡眠が推奨されており、特に22時から2時の間に深い睡眠をとることが肌の健康に良いとされています。

バランスの取れた食事

栄養バランスの取れた食事は、肌の健康維持に不可欠です。特に以下の栄養素は、ほうれい線の予防に役立ちます。

  • タンパク質:コラーゲンの原料となり、肌の弾力を維持
  • ビタミンC:コラーゲンの生成を促進し、抗酸化作用がある
  • ビタミンE:抗酸化作用があり、肌の老化を防ぐ
  • ビタミンA:ターンオーバーを正常化し、肌の健康を保つ
  • オメガ3脂肪酸:肌の炎症を抑え、バリア機能を強化

適度な運動習慣

定期的な運動は、血行を促進し、肌への栄養供給を改善します。また、適度な運動はストレスの軽減にもつながり、コルチゾールなどのストレスホルモンの過剰分泌を防ぎます。

ストレスホルモンの過剰分泌は、コラーゲンの分解を促進し、肌の老化を加速させるため、運動によるストレス管理は間接的にほうれい線の予防につながります。

禁煙

喫煙は肌の老化を著しく促進します。タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させ、肌への血流を悪化させます。また、喫煙によって大量の活性酸素が発生し、コラーゲンやエラスチンを破壊します。

日本皮膚科学会の研究では、喫煙者は非喫煙者に比べて、ほうれい線をはじめとする顔のシワが平均で1.5倍多いことが報告されています。

適度な水分摂取

体内の水分量は、肌の潤いに直接影響します。1日1.5〜2リットル程度の水分を摂取することで、肌の水分量を保ち、ほうれい線の目立ちにくい健康な肌を維持できます。

5. 遺伝的要因

遺伝子による影響

肌の老化速度には、遺伝的な要因が大きく関わっています。コラーゲンやエラスチンの産生能力、抗酸化酵素の活性、DNAの修復能力などは、遺伝子によって大きく左右されます。

親やきょうだいにほうれい線が目立たない人が多い場合、自分も遺伝的にほうれい線ができにくい可能性があります。ただし、遺伝的要因だけでなく、生活習慣の影響も大きいため、適切なケアを行うことが重要です。

民族的な特徴

民族によっても、ほうれい線の目立ちやすさには違いがあります。一般的に、アジア人は欧米人に比べて真皮層が厚く、皮脂分泌が多いため、ほうれい線が目立ちにくいとされています。

また、骨格の特徴も民族によって異なり、これがほうれい線の目立ちやすさに影響を与えています。

6. ホルモンバランス

女性ホルモンの影響

女性ホルモンのエストロゲンは、コラーゲンの産生を促進し、肌の弾力を保つ役割があります。閉経前でエストロゲンの分泌が十分にある女性は、肌のハリが維持されやすく、ほうれい線が目立ちにくい傾向があります。

一方、閉経後はエストロゲンの分泌が急激に減少するため、コラーゲンの産生が低下し、ほうれい線が深くなりやすくなります。日本女性医学学会によると、閉経後5年間で皮膚のコラーゲン量は約30%減少するとされています。

甲状腺ホルモンの影響

甲状腺ホルモンも、肌の代謝に重要な役割を果たしています。甲状腺機能が正常に保たれている人は、肌のターンオーバーが適切に行われ、ほうれい線が目立ちにくくなります。

7. 体重の変動

急激なダイエットの影響

短期間で大幅に体重を減らすと、顔の脂肪も急激に減少し、皮膚がたるみやすくなります。これにより、ほうれい線が深くなることがあります。

体重が安定しており、急激な増減がない人は、皮膚のハリが維持されやすく、ほうれい線が目立ちにくい傾向があります。

8. 姿勢とスマートフォンの使用

正しい姿勢の維持

猫背や首を前に突き出すような姿勢を続けると、顔の筋肉や皮膚に不自然な負荷がかかり、たるみやほうれい線を促進します。背筋を伸ばし、正しい姿勢を保つことは、ほうれい線の予防につながります。

スマートフォンの使用時間

長時間、下を向いてスマートフォンを見続けると、重力によって頬の皮膚や脂肪が下に引っ張られ、ほうれい線が深くなる原因となります。スマートフォンを使用する際は、目線の高さまで持ち上げるなどの工夫が推奨されます。

ほうれい線を予防・軽減する方法

ほうれい線がない人の特徴を理解したところで、次は具体的な予防・改善方法について見ていきましょう。

1. 日常のスキンケア

徹底した紫外線対策

紫外線は肌の老化を促進する最大の外的要因です。以下の対策を日常的に行いましょう。

  • 日焼け止めを毎日使用する(SPF30以上、PA+++以上を推奨)
  • 2〜3時間ごとに塗り直す
  • 帽子、日傘、サングラスを活用する
  • 紫外線の強い時間帯(10時〜14時)の外出を避ける

日本皮膚科学会の紫外線対策ガイドラインでは、365日、曇りの日でも日焼け止めを使用することが推奨されています。

適切な保湿ケア

保湿は肌の老化を防ぐ基本です。以下のポイントを押さえましょう。

  • 洗顔後はすぐに化粧水で水分を補給
  • 乳液やクリームで水分を閉じ込める
  • セラミド、ヒアルロン酸、コラーゲンなどの保湿成分を含む製品を選ぶ
  • 季節や肌の状態に合わせて保湿レベルを調整する

レチノール配合化粧品の使用

レチノール(ビタミンA誘導体)は、コラーゲンの産生を促進し、肌のターンオーバーを正常化する効果があります。ほうれい線の改善に効果的な成分として、多くの研究で支持されています。

ただし、レチノールは刺激が強い場合があるため、使用開始時は低濃度のものから始め、徐々に肌を慣らしていくことが重要です。

ビタミンC誘導体の活用

ビタミンC誘導体は、コラーゲンの生成を促進し、抗酸化作用も持つ優れた美容成分です。継続的に使用することで、肌のハリを改善し、ほうれい線を目立たなくする効果が期待できます。

2. 表情筋トレーニング

表情筋を鍛えることで、皮膚を支える力を強化し、たるみやほうれい線を予防できます。以下のエクササイズを毎日行いましょう。

頬の筋肉を鍛えるエクササイズ

  1. 口を大きく「お」の形に開く
  2. そのまま頬を持ち上げるように力を入れる
  3. 5秒間キープして、ゆっくり戻す
  4. 10回繰り返す

口角を上げるエクササイズ

  1. 口を閉じたまま、口角をできるだけ上に引き上げる
  2. 5秒間キープして、ゆっくり戻す
  3. 10回繰り返す

あいうえお体操

  1. 「あ」「い」「う」「え」「お」の形を、それぞれ大げさに作る
  2. 各5秒間キープする
  3. 3セット繰り返す

ただし、表情筋トレーニングは正しい方法で行わないと、かえってシワを深くする可能性があるため、適度に行うことが重要です。

3. マッサージとリンパケア

顔のマッサージは血行を促進し、むくみを解消することで、ほうれい線を目立たなくする効果があります。ただし、強すぎるマッサージは皮膚を伸ばしてしまい、かえってたるみを促進する可能性があるため、優しく行うことが重要です。

リンパマッサージの基本

  1. マッサージクリームやオイルを顔全体になじませる
  2. 耳の前から首筋に向かって、リンパを流すようにマッサージ
  3. 顎から耳に向かって、頬を持ち上げるようにマッサージ
  4. 鼻の横から耳に向かって、優しくマッサージ

マッサージは1日1回、入浴後など血行が良い時に行うと効果的です。

4. 生活習慣の改善

質の良い睡眠

睡眠中に分泌される成長ホルモンは、肌の修復と再生に不可欠です。以下の点に注意しましょう。

  • 毎日7〜8時間の睡眠を確保する
  • 就寝時刻と起床時刻を一定に保つ
  • 寝る前のスマートフォンやパソコンの使用を控える
  • 寝室を暗く、静かで快適な温度に保つ

バランスの取れた食事

肌の健康を保つために、以下の栄養素を積極的に摂取しましょう。

  • タンパク質:肉、魚、卵、大豆製品
  • ビタミンC:柑橘類、イチゴ、ブロッコリー、パプリカ
  • ビタミンE:ナッツ類、アボカド、植物油
  • ビタミンA:レバー、ニンジン、カボチャ、ほうれん草
  • オメガ3脂肪酸:青魚、亜麻仁油、クルミ

また、糖質の過剰摂取は「糖化」と呼ばれる現象を引き起こし、コラーゲンを硬くして肌の弾力を低下させるため、注意が必要です。

水分摂取

1日1.5〜2リットルの水を飲むことで、体内の水分バランスを保ち、肌の潤いを維持できます。ただし、一度に大量に飲むのではなく、こまめに摂取することが重要です。

禁煙

喫煙は肌の老化を著しく促進します。禁煙することで、血流が改善し、肌の健康が回復に向かいます。禁煙後、数週間〜数ヶ月で肌の状態が改善することが報告されています。

ストレス管理

慢性的なストレスは、コルチゾールなどのストレスホルモンの分泌を増やし、コラーゲンの分解を促進します。以下の方法でストレスを管理しましょう。

  • 適度な運動(ウォーキング、ヨガなど)
  • 瞑想や深呼吸
  • 趣味の時間を持つ
  • 十分な睡眠
  • 人との交流

5. 姿勢の改善

猫背や首を前に突き出す姿勢は、顔のたるみを促進します。以下の点に注意して、正しい姿勢を保ちましょう。

  • 背筋を伸ばす
  • 顎を引く
  • 肩の力を抜く
  • スマートフォンは目線の高さで使用する
  • 長時間の同じ姿勢を避け、定期的にストレッチする

医療機関でできるほうれい線治療

セルフケアでの改善に限界を感じる場合や、より早く効果を実感したい場合は、医療機関での治療も選択肢の一つです。

1. ヒアルロン酸注入

ほうれい線治療の中で最も一般的な方法です。ヒアルロン酸を直接ほうれい線に注入することで、溝を埋め、目立たなくします。

メリット

  • 即効性がある
  • ダウンタイムがほとんどない
  • 自然な仕上がり

注意点

  • 効果は6ヶ月〜1年程度で、定期的な注入が必要
  • 稀に腫れや内出血が生じることがある

2. ボトックス注射

ボツリヌストキシンを注入し、表情筋の過剰な動きを抑制することで、ほうれい線の形成を予防します。

適応

  • 表情を作った時にできるほうれい線
  • 笑った時に深くなるほうれい線

3. 糸リフト(スレッドリフト)

特殊な糸を皮下に挿入し、たるんだ皮膚を引き上げる治療法です。ほうれい線の原因となる頬のたるみを改善できます。

メリット

  • 切開不要で傷跡が目立たない
  • 1〜2年程度効果が持続
  • コラーゲン産生を促進する効果もある

注意点

  • 人によっては違和感や引きつれを感じることがある
  • 糸が透けて見える可能性がある

4. レーザー治療・高周波治療

レーザーや高周波(RF)を照射し、真皮層のコラーゲン産生を促進する治療法です。

代表的な治療機器

  • サーマクール
  • ウルセラ
  • ハイフ(HIFU)

これらの治療は、皮膚の深部に熱エネルギーを与えることで、コラーゲンの再構築を促し、肌のハリを改善します。

メリット

  • 切開や注射が不要
  • 自然に徐々に効果が現れる
  • 肌質全体の改善も期待できる

注意点

  • 効果の実感までに数ヶ月かかる
  • 複数回の治療が必要な場合がある

5. 脂肪注入

自分の脂肪を採取し、ほうれい線周辺に注入する方法です。頬のボリュームを増やすことで、ほうれい線を目立たなくします。

メリット

  • 自分の組織を使用するため、拒絶反応のリスクが低い
  • 効果が長期間持続する

注意点

  • 脂肪採取部位の手術が必要
  • 注入した脂肪の一部が吸収される可能性がある

6. 外科手術(フェイスリフト)

重度のたるみやほうれい線に対しては、フェイスリフト手術が適応となる場合があります。皮膚や筋膜を引き上げ、余分な皮膚を切除することで、劇的な改善が期待できます。

メリット

  • 効果が長期間持続(5〜10年程度)
  • 根本的な改善が可能

注意点

  • 手術に伴うリスクがある
  • ダウンタイムが長い(2週間〜1ヶ月程度)
  • 費用が高額

治療法の選択

どの治療法が適しているかは、ほうれい線の深さや原因、年齢、予算、ダウンタイムの許容度などによって異なります。治療を受ける際は、経験豊富な医師としっかり相談し、自分に最適な方法を選択することが重要です。

まとめ

ほうれい線がない人、あるいは目立たない人には、骨格、肌質、生活習慣、遺伝など、さまざまな特徴があることがわかりました。

ほうれい線が目立たない人の主な特徴

  1. 頬骨が高く、前方に張り出している骨格
  2. 真皮層が厚く、コラーゲンが豊富な肌質
  3. 適度な皮下脂肪と良好な分布
  4. 表情筋の柔軟性と適度な筋力
  5. 徹底した紫外線対策
  6. 適切な保湿ケアの習慣
  7. 質の良い睡眠とバランスの取れた食事
  8. 正しい姿勢の維持
  9. 遺伝的な要因

これらの特徴のすべてを持っている必要はありませんが、多くの要素が組み合わさることで、ほうれい線が目立ちにくい状態が維持されます。

今日からできること

遺伝や骨格は変えられませんが、生活習慣やスキンケアは今日から改善できます。以下のポイントを意識して、ほうれい線の予防・改善に取り組みましょう。

  • 毎日の日焼け止め使用
  • 適切な保湿ケア
  • バランスの取れた食事と十分な水分摂取
  • 質の良い睡眠
  • 適度な運動とストレス管理
  • 正しい姿勢の維持
  • 禁煙

また、セルフケアでの改善に限界を感じる場合は、医療機関での治療も検討してみましょう。ヒアルロン酸注入や糸リフト、レーザー治療など、さまざまな選択肢があります。

ほうれい線は自然な加齢現象の一つですが、適切なケアと生活習慣の改善によって、その進行を遅らせることは十分に可能です。諦めずに、できることから始めてみましょう。

参考文献

  1. 日本皮膚科学会「皮膚科Q&A:しわ・たるみ」
    https://www.dermatol.or.jp/qa/qa11/
  2. 日本形成外科学会「顔面の加齢変化」
    https://jsprs.or.jp/
  3. 厚生労働省「紫外線環境保健マニュアル」
    https://www.env.go.jp/chemi/uv/uv_manual.html
  4. 日本女性医学学会「更年期と皮膚の変化」
    https://www.jmwh.jp/
  5. 厚生労働省「健康づくりのための睡眠指針」
    https://www.mhlw.go.jp/
  6. 日本美容外科学会「美容医療の適正な情報提供」
    http://jsaps.com/
  7. 日本抗加齢医学会「アンチエイジング医学」
    https://www.anti-aging.gr.jp/

監修者医師

高桑 康太 医師

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任

佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
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