はじめに
「ヒック、ヒック」と突然始まるしゃっくり。大切な会議中や静かな場所で起こると、恥ずかしい思いをした経験がある方も多いのではないでしょうか。しゃっくりは医学的には「吃逆(きつぎゃく)」と呼ばれ、多くの場合は一時的なもので自然に治まります。しかし、なかには長時間続いたり、頻繁に繰り返したりする場合もあり、生活の質を大きく低下させることがあります。
本記事では、しゃっくりのメカニズムから、自宅で試せる効果的な止め方、医学的に推奨される対処法、そして医療機関を受診すべきタイミングまで、しゃっくりに関する包括的な情報をお届けします。

しゃっくりとは?そのメカニズムを理解する
しゃっくりの定義
しゃっくり(吃逆)とは、横隔膜(おうかくまく)が不随意的に痙攣(けいれん)し、それに伴って声門が急速に閉鎖することで「ヒック」という特徴的な音が出る現象です。医学用語では「singultus(シンガルタス)」とも呼ばれます。
横隔膜は、胸腔と腹腔を隔てる筋肉でできた膜状の組織で、呼吸運動において重要な役割を果たしています。通常の呼吸では、横隔膜が収縮して下がることで胸腔が広がり、肺に空気が入ります。しかし、しゃっくりの際には、この横隔膜が突然かつ不規則に収縮し、急激に空気が肺に吸い込まれます。
しゃっくりが起こるメカニズム
しゃっくりは以下のような複雑なメカニズムで発生します。
- 横隔膜の刺激:何らかの原因で横隔膜や横隔神経(おうかくしんけい)が刺激されます。横隔神経は、首の付け根から横隔膜まで伸びている神経で、横隔膜の動きをコントロールしています。
- 不随意的な収縮:刺激を受けた横隔膜が、意思とは無関係に突然収縮します。この収縮は非常に強く、急激です。
- 声門の閉鎖:横隔膜の収縮とほぼ同時に、声門(せいもん)と呼ばれる喉の奥にある声帯の間の隙間が急速に閉じます。声門が閉じる時間は約35ミリ秒という非常に短い時間です。
- 特徴的な音の発生:急激に吸い込まれた空気が閉じた声門にぶつかることで、「ヒック」という特徴的な音が発生します。
このサイクルが一定のリズムで繰り返されるのがしゃっくりの特徴です。
しゃっくりの種類
しゃっくりは、その持続時間によって以下の3つに分類されます。
1. 急性しゃっくり(一過性しゃっくり) 持続時間が48時間未満のもので、最も一般的なタイプです。多くの場合、数分から数時間で自然に治まります。健康な人でも日常的に経験するもので、特別な治療を必要としないことがほとんどです。
2. 持続性しゃっくり 48時間以上1ヶ月未満続くしゃっくりです。このレベルになると、睡眠障害や食事困難などの問題が生じることがあり、医療機関での診察が推奨されます。
3. 難治性しゃっくり 1ヶ月以上継続するしゃっくりで、最も重篤なタイプです。このような場合、何らかの基礎疾患が隠れている可能性が高く、専門的な医療介入が必要となります。生活の質が著しく低下し、体重減少や疲労、うつ状態などを引き起こすこともあります。
しゃっくりの主な原因
しゃっくりは様々な原因で引き起こされます。一般的な原因から、医学的な注意が必要な原因まで、詳しく見ていきましょう。
日常生活で起こりやすい原因
1. 食事関連
- 早食い・大食い:急いで食べたり、一度に大量の食べ物を摂取したりすると、胃が急激に膨張し、横隔膜を刺激します。
- 炭酸飲料の摂取:炭酸ガスが胃を膨張させ、横隔膜を刺激します。
- 熱いもの・冷たいものの急な摂取:温度の急激な変化が食道や胃を刺激し、それが横隔神経に影響を与えることがあります。
- 辛い食べ物:辛味成分が消化器系を刺激し、しゃっくりを誘発することがあります。
- アルコール摂取:特に飲み過ぎた場合、胃の膨張や食道への刺激によってしゃっくりが起こりやすくなります。
2. 呼吸関連
- 急激な温度変化:冷たい空気を急に吸い込んだり、暑い場所から冷房の効いた部屋に入ったりすると、横隔膜が刺激されることがあります。
- 喫煙:タバコの煙が気道を刺激し、しゃっくりの原因となることがあります。
3. 感情的・心理的要因
- 興奮や驚き:急激な感情の変化が自律神経系に影響を与え、しゃっくりを引き起こすことがあります。
- ストレス:精神的なストレスが自律神経のバランスを崩し、横隔膜の動きに影響することがあります。
- 笑いすぎ:大笑いすると横隔膜が激しく動き、その後しゃっくりが起こることがあります。
4. その他の日常的要因
- 空気の飲み込み:チューインガムを噛む、あめを舐める、早口で話すなどの行為で空気を飲み込みすぎると、胃が膨張してしゃっくりの原因になります。
医学的な原因
持続性のしゃっくりや頻繁に繰り返すしゃっくりの場合、以下のような医学的な原因が隠れている可能性があります。
1. 消化器系の疾患
- 胃食道逆流症(GERD):胃酸が食道に逆流することで、食道や横隔神経が刺激されます。
- 胃炎・胃潰瘍:胃の炎症や潰瘍が横隔膜に近い部分に影響を与えることがあります。
- 腸閉塞:腸の通過障害により腹部の圧力が上昇し、横隔膜を刺激します。
- 膵炎:膵臓の炎症が周囲の神経や横隔膜に影響を与えることがあります。
2. 呼吸器系の疾患
- 肺炎:肺の炎症が横隔膜の近くまで及ぶと、しゃっくりを引き起こすことがあります。
- 胸膜炎:胸膜の炎症が横隔神経を刺激します。
- 気管支炎・喘息:気道の炎症や刺激が関連することがあります。
3. 中枢神経系の障害
- 脳卒中:脳の血管障害が延髄の呼吸中枢に影響を与えることがあります。
- 脳腫瘍:腫瘍が呼吸や嚥下をコントロールする脳の部位を圧迫すると、しゃっくりが起こることがあります。
- 髄膜炎・脳炎:脳や脊髄の炎症が神経機能に影響を与えます。
- 多発性硬化症:神経の脱髄により、様々な神経症状の一つとしてしゃっくりが現れることがあります。
4. 代謝性・内分泌系の異常
- 糖尿病:血糖値の急激な変動や糖尿病性神経障害が関連することがあります。
- 腎不全:腎機能の低下により体内に蓄積した毒素が神経を刺激します。
- 電解質異常:ナトリウム、カリウム、カルシウムなどの電解質バランスの乱れが神経や筋肉の機能に影響します。
5. 薬剤性 以下のような薬剤の副作用としてしゃっくりが起こることがあります。
- 麻酔薬
- ステロイド薬
- 抗不安薬や睡眠薬(ベンゾジアゼピン系)
- 化学療法薬
- パーキンソン病治療薬
6. 手術後 全身麻酔を用いた手術後、特に腹部手術や胸部手術の後にしゃっくりが起こることがあります。これは麻酔薬の影響、手術による横隔神経の刺激、術後の炎症などが原因と考えられています。
すぐに試せる!しゃっくりの一般的な止め方
しゃっくりが始まったとき、自宅で簡単に試せる方法をご紹介します。これらの方法は、昔から伝わる民間療法から、医学的な根拠に基づくものまで様々です。すべての人に効果があるわけではありませんが、試してみる価値はあります。
呼吸法による方法
1. 深呼吸をして息を止める 最も一般的な方法の一つです。以下の手順で行います。
- 大きく息を吸い込む
- 10〜20秒間息を止める(苦しくない範囲で)
- ゆっくりと息を吐き出す
- これを2〜3回繰り返す
原理:息を止めることで血中の二酸化炭素濃度が上昇し、呼吸中枢がリセットされます。また、横隔膜の動きが一時的に止まることで、痙攣のサイクルが断ち切られる可能性があります。
2. 紙袋呼吸法
- 紙袋を口と鼻に当てる
- 紙袋の中で数回呼吸する(30秒〜1分程度)
注意:ビニール袋は使用しないでください。窒息の危険があります。また、心臓や肺に疾患がある方は医師に相談してから行ってください。
原理:再呼吸により血中の二酸化炭素濃度が上昇し、呼吸のリズムがリセットされます。
3. ゆっくりとした腹式呼吸
- 鼻からゆっくりと息を吸いながら、お腹を膨らませる
- 口からゆっくりと息を吐きながら、お腹をへこませる
- これを5〜10回繰り返す
原理:横隔膜を意識的にコントロールすることで、不随意的な痙攣を抑制します。また、副交感神経が優位になり、リラックス効果も得られます。
飲食による方法
1. 冷たい水をゆっくり飲む
- コップ1杯の冷たい水を、少しずつゆっくりと飲む
- 一口ずつ、時間をかけて飲むのがポイント
原理:冷たい水が食道を通過することで、迷走神経が刺激され、しゃっくりのリズムが途切れる可能性があります。
2. 逆さまから水を飲む(前かがみ飲み)
- コップに水を入れる
- 上半身を前に倒す
- コップの反対側の縁から水を飲む
注意:水をこぼしやすいので注意が必要です。むせないように少量ずつ飲みましょう。
原理:通常とは異なる姿勢で飲むことで、横隔膜や食道への刺激パターンが変わり、しゃっくりが止まることがあります。
3. 砂糖を舐める
- ティースプーン1杯の砂糖をそのまま口に入れる
- ゆっくりと舐めながら溶かす
原理:甘味が口腔内や咽頭の神経を刺激し、迷走神経を介して横隔膜の痙攣を抑制する可能性があります。
注意:糖尿病の方や血糖値に問題がある方は避けてください。
4. レモンを噛む・レモン汁を飲む
- レモンのくし切りを噛む、またはレモン汁を少量飲む
原理:強い酸味が感覚神経を刺激し、しゃっくりの反射を中断させる可能性があります。
物理的な刺激による方法
1. 舌を引っ張る
- 清潔な手やガーゼで舌先をつかむ
- 優しく前方に引っ張り、数秒間保持する
原理:舌咽神経や迷走神経が刺激され、横隔膜の痙攣が抑制される可能性があります。
2. 耳を塞ぐ
- 両手の人差し指で両耳の穴をしっかりと塞ぐ
- 20〜30秒間そのままの状態を保つ
原理:耳を塞ぐことで迷走神経が刺激され、自律神経系のバランスが変化し、しゃっくりが止まることがあります。
3. 驚かせる
- 予期しないタイミングで「わっ!」と驚かせる
原理:急激な驚きによって自律神経系が反応し、しゃっくりのリズムが途切れることがあります。ただし、心臓に問題がある方や高齢者には推奨されません。
姿勢による方法
1. 膝を抱える
- 椅子に座るか床に座る
- 両膝を胸に引き寄せて抱える
- この姿勢を1〜2分間保持する
原理:腹部が圧迫されることで、横隔膜への刺激が変化し、痙攣が止まる可能性があります。
2. 前かがみになる
- 椅子に座った状態で、上半身を前に倒す
- 頭を膝に近づけるようにする
原理:横隔膜の位置が変わることで、痙攣のパターンが変化します。
医学的に推奨されるしゃっくりの止め方
家庭で試せる方法でしゃっくりが止まらない場合、医学的な根拠に基づいた方法を試すことができます。また、医療機関では以下のような治療法が用いられることがあります。
バルサルバ法(Valsalva maneuver)
バルサルバ法は、医学的に効果が認められている方法の一つです。
手順:
- 大きく息を吸い込む
- 鼻と口を閉じた状態で、お腹に力を入れて息を吐こうとする(実際には息は出ない)
- 10〜15秒間この状態を保つ
- ゆっくりと息を吐き出す
原理:胸腔内圧が上昇することで、迷走神経が刺激され、心拍数や血圧が変化します。これにより自律神経系が調整され、横隔膜の痙攣が止まることがあります。
注意:心臓疾患や緑内障のある方は、医師に相談してから行ってください。
鼻咽腔刺激法
医療機関で行われることが多い方法です。
方法:
- 細い柔らかいカテーテルや綿棒を鼻から挿入し、鼻咽腔(びいんくう)を刺激する
原理:鼻咽腔の刺激により、迷走神経と舌咽神経が活性化され、しゃっくりの反射弧が中断されます。
胃の減圧
胃の膨満がしゃっくりの原因となっている場合に有効です。
方法:
- 胃管(鼻から胃に挿入する細いチューブ)を用いて胃の内容物や空気を排出する
適用:主に入院患者や、胃の膨満が明らかな場合に行われます。
薬物療法
持続性のしゃっくりや難治性のしゃっくりに対しては、薬物療法が検討されます。
主な薬剤:
- クロルプロマジン(Chlorpromazine)
- 唯一、日本とアメリカの食品医薬品局(FDA)が難治性しゃっくりの治療薬として承認している薬剤
- 中枢神経系に作用し、しゃっくりの反射を抑制
- 副作用:眠気、低血圧、錐体外路症状など
- メトクロプラミド(Metoclopramide)
- 消化管運動促進薬で、胃の蠕動を改善
- 胃食道逆流症に伴うしゃっくりに特に有効
- 副作用:錐体外路症状、眠気など
- バクロフェン(Baclofen)
- 筋弛緩薬で、中枢神経系に作用
- 難治性しゃっくりに対して効果が報告されている
- 副作用:眠気、めまい、脱力感など
- ガバペンチン(Gabapentin)
- 抗てんかん薬で、神経の過剰な興奮を抑える
- 中枢性のしゃっくりに有効なことがある
- 副作用:眠気、めまいなど
- オメプラゾール・ランソプラゾール
- プロトンポンプ阻害薬(胃酸分泌抑制薬)
- 胃食道逆流症が原因のしゃっくりに有効
注意:これらの薬剤は医師の処方が必要です。自己判断で服用しないでください。
神経ブロック
難治性しゃっくりで薬物療法が無効な場合、神経ブロックが検討されることがあります。
方法:
- 横隔神経ブロック:局所麻酔薬を用いて横隔神経の伝達を一時的に遮断
- 星状神経節ブロック:交感神経の活動を抑制
適用:非常に限定的で、他の治療法が無効な場合の選択肢となります。
外科的治療
極めて稀ですが、あらゆる治療法が無効な難治性しゃっくりに対して、外科的治療が検討されることがあります。
方法:
- 横隔神経切断術:横隔神経の一部を切断する
- 迷走神経刺激療法:植え込み型の装置で迷走神経を電気刺激
適用:最終手段であり、メリットとリスクを十分に検討した上で実施されます。
長引くしゃっくりの影響
48時間以上続く持続性しゃっくりや、1ヶ月以上続く難治性しゃっくりは、生活の質を著しく低下させる可能性があります。
身体的影響
1. 睡眠障害 しゃっくりが続くと、深い睡眠がとれず、睡眠不足や不眠症に陥ることがあります。睡眠不足は免疫力の低下や日中の集中力低下を招きます。
2. 食事困難 しゃっくりがあると食事を摂ることが困難になり、栄養不足や体重減少につながることがあります。特に高齢者では、誤嚥のリスクも高まります。
3. 疲労・消耗 持続的な横隔膜の収縮により、体力が消耗し、全身の疲労感が強くなります。
4. 脱水 食事や水分摂取が困難になることで、脱水状態になるリスクがあります。
5. 逆流性食道炎の悪化 しゃっくりにより腹圧が変動し、胃酸の逆流が起こりやすくなります。
精神的・社会的影響
1. ストレス・不安 しゃっくりが止まらないことへの不安や、いつ起こるかわからない恐怖がストレスとなります。
2. うつ状態 長期間のしゃっくりにより、気分の落ち込みやうつ状態になることがあります。
3. 社会生活への支障 会議や公共の場でしゃっくりが起こることへの恐怖から、外出を控えたり、社会活動が制限されたりすることがあります。
4. 対人関係への影響 しゃっくりによるコミュニケーションの困難さから、人間関係に問題が生じることがあります。
医療機関を受診すべきケース
以下のような場合は、自己判断せず、医療機関を受診することをお勧めします。
緊急性の高いケース
すぐに受診が必要な症状:
- しゃっくりとともに、激しい胸痛や呼吸困難がある
- しゃっくりとともに、突然の激しい頭痛、めまい、意識障害がある
- しゃっくりとともに、ろれつが回らない、手足の麻痺がある
- しゃっくりとともに、激しい腹痛や吐血がある
これらの症状は、脳卒中、心筋梗塞、大動脈解離などの重篤な疾患の可能性があります。救急車を呼ぶか、直ちに救急外来を受診してください。
早めの受診が推奨されるケース
1. しゃっくりが48時間以上続く 持続性しゃっくりは、何らかの基礎疾患が隠れている可能性があります。早めに内科を受診しましょう。
2. 頻繁にしゃっくりを繰り返す 1日に何度もしゃっくりが起こる、毎日のようにしゃっくりがあるという場合は、受診をお勧めします。
3. しゃっくりとともに以下の症状がある
- 体重減少
- 食欲不振
- 嚥下困難(飲み込みにくさ)
- 持続する咳
- 発熱
- 夜間の盗汗(大量の寝汗)
- 胸やけや胃の不快感
- 黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)
4. 最近、以下のようなことがあった
- 手術を受けた(特に胸部や腹部の手術)
- 新しい薬を開始した
- 頭部や首の外傷を受けた
受診時に医師に伝えるべき情報
医療機関を受診する際は、以下の情報を整理しておくと、診断に役立ちます。
1. しゃっくりに関する情報
- いつから始まったか
- どのくらいの頻度で起こるか
- 1回のしゃっくりがどのくらい続くか
- 何かきっかけがあったか
- どのような止め方を試したか、その効果
2. 随伴症状
- しゃっくり以外にどのような症状があるか
3. 既往歴と現在の健康状態
- これまでにかかった病気
- 現在治療中の病気
- 服用している薬やサプリメント
- アレルギーの有無
4. 生活習慣
- 食生活
- 飲酒・喫煙習慣
- ストレスの有無
検査について
しゃっくりの原因を調べるために、以下のような検査が行われることがあります。
1. 血液検査
- 一般的な血液検査(血算、生化学検査)
- 電解質のバランス
- 腎機能・肝機能
- 血糖値
- 炎症反応(CRP、白血球数)
2. 画像検査
- 胸部X線検査:肺や心臓の異常を調べる
- 腹部X線検査:腸閉塞などの有無を確認
- CT検査:より詳細に臓器の状態を評価
- MRI検査:脳や脊髄の異常を調べる
3. 内視鏡検査
- 上部消化管内視鏡(胃カメラ):食道、胃、十二指腸の状態を直接観察
4. その他の検査
- 心電図:心臓の異常を調べる
- 肺機能検査:呼吸機能を評価
- 神経学的検査:脳神経や反射の状態を確認
アイシークリニック池袋院では、しゃっくりの原因を特定するための適切な検査を行い、必要に応じて専門医療機関へのご紹介も行っております。
しゃっくりの予防法
しゃっくりを完全に防ぐことは難しいですが、以下のような生活習慣の改善により、しゃっくりの発生頻度を減らすことができます。
食事に関する予防法
1. ゆっくりと食べる 早食いは胃の急激な膨張や空気の飲み込みにつながります。一口一口をよく噛んで、時間をかけて食事をしましょう。目安として、1回の食事に20〜30分かけることが推奨されます。
2. 適量を心がける 大食いは胃を過度に膨張させ、横隔膜を刺激します。腹八分目を意識しましょう。
3. 炭酸飲料を控える 炭酸飲料はしゃっくりの原因となりやすいので、頻繁にしゃっくりが起こる方は摂取を控えめにしましょう。
4. 極端な温度の食べ物・飲み物を避ける 熱すぎるもの、冷たすぎるものは、消化管を刺激します。適温のものを摂取しましょう。
5. 辛い食べ物に注意 辛味成分が刺激となることがあります。しゃっくりが起こりやすい方は、辛さを控えめにしましょう。
6. アルコールを控える 過度の飲酒はしゃっくりの原因となります。適度な量を心がけましょう。
生活習慣に関する予防法
1. ストレスを管理する ストレスは自律神経のバランスを崩し、しゃっくりの原因となることがあります。以下のようなストレス対策を取り入れましょう。
- 十分な睡眠をとる
- 適度な運動をする
- 趣味やリラックスできる時間を持つ
- 瞑想や深呼吸などのリラクセーション法を実践する
2. 禁煙する タバコの煙は気道を刺激し、しゃっくりの原因となることがあります。禁煙は全身の健康にもプラスです。
3. 急激な温度変化を避ける 暑い場所から急に冷房の効いた部屋に入るなど、急激な温度変化はしゃっくりを誘発することがあります。温度差のある場所への移動は、徐々に体を慣らしながら行いましょう。
4. 空気を飲み込む習慣を改善する
- チューインガムを噛みすぎない
- あめを舐めすぎない
- 早口で話さない
- 口呼吸を避け、鼻呼吸を心がける
基礎疾患の管理
胃食道逆流症や糖尿病など、しゃっくりの原因となる基礎疾患がある場合は、その疾患をしっかりと管理することが重要です。
胃食道逆流症の管理:
- 食後すぐに横にならない
- 就寝時は上半身を少し高くする
- 油っこい食事、香辛料、カフェイン、アルコールを控える
- 医師が処方した薬をきちんと服用する
糖尿病の管理:
- 血糖値をコントロールする
- 定期的に医師の診察を受ける
- 食事療法・運動療法を実践する

よくある質問(FAQ)
A. 一般的なしゃっくりは、数分から30分程度で自然に治まることがほとんどです。多くの場合、特別な対処をしなくても止まります。ただし、48時間以上続く場合は持続性しゃっくりと呼ばれ、医療機関の受診が推奨されます。
Q2. 子どものしゃっくりは大人と同じ方法で止めて大丈夫ですか?
A. 子どものしゃっくりも基本的には自然に治まりますが、心配な場合は以下の方法を試すことができます。
- 少量の水をゆっくり飲ませる
- ゆっくりと深呼吸をさせる
- 静かな環境で落ち着かせる
ただし、驚かせたり、強い刺激を与えたりする方法は避けてください。乳幼児の場合、しゃっくりは成長過程で頻繁に起こる正常な現象ですので、過度に心配する必要はありません。頻繁に起こる、長時間続く、哺乳や食事に支障がある場合は、小児科医に相談しましょう。
Q3. しゃっくりがあるときに運動しても大丈夫ですか?
A. 一般的な短時間のしゃっくりであれば、軽い運動は問題ありません。ただし、しゃっくりが続いている状態での激しい運動は避けた方が良いでしょう。しゃっくりによって呼吸のリズムが乱れているため、運動のパフォーマンスが低下したり、転倒などの事故につながったりする可能性があります。まずはしゃっくりを止めてから運動することをお勧めします。
Q4. 妊娠中のしゃっくりは胎児に影響しますか?
A. 妊娠中のしゃっくりは、通常は胎児に影響を与えません。妊娠中は子宮が大きくなり横隔膜を圧迫するため、しゃっくりが起こりやすくなることがあります。一般的なしゃっくりであれば心配いりませんが、頻繁に起こる、長時間続く、他の症状を伴う場合は、かかりつけの産婦人科医に相談しましょう。
また、胎児自身もお腹の中でしゃっくりをすることがあります。これは胎児が横隔膜の動きを練習している正常な現象で、お母さんはリズミカルな振動として感じることがあります。
Q5. しゃっくりをすると「誰かに噂されている」って本当ですか?
A. これは日本に古くから伝わる迷信の一つで、医学的な根拠はありません。しゃっくりは、横隔膜の不随意的な収縮によって起こる生理現象であり、他人の思考や行動とは関係がありません。同様に、「しゃっくりを100回すると死ぬ」という話も迷信です。ただし、非常に長時間続くしゃっくりは医学的な問題の可能性がありますので、その場合は医療機関を受診してください。
Q6. ペットもしゃっくりをしますか?
A. はい、犬や猫などのペットもしゃっくりをします。特に子犬や子猫では頻繁に見られます。ペットのしゃっくりも人間と同様、横隔膜の痙攣によって起こり、ほとんどの場合は無害で自然に治まります。ただし、頻繁に繰り返す、長時間続く、呼吸困難を伴うなどの場合は、獣医師に相談することをお勧めします。
まとめ
しゃっくりは、多くの場合は一時的で無害な現象ですが、時に生活の質を大きく低下させたり、重大な疾患のサインとなったりすることがあります。本記事でご紹介した様々な止め方を試していただき、自分に合った方法を見つけていただければと思います。
重要なポイントのまとめ:
- しゃっくりのメカニズムを理解する:横隔膜の不随意的な痙攣と声門の急速な閉鎖によって起こります。
- 様々な止め方を試す:呼吸法、飲食による方法、物理的刺激など、複数の方法があります。自分に効果的な方法を見つけましょう。
- 予防も大切:食事の仕方や生活習慣を見直すことで、しゃっくりの発生頻度を減らすことができます。
- 受診のタイミングを知る:48時間以上続く場合や、他の症状を伴う場合は、自己判断せず医療機関を受診しましょう。
- 長引くしゃっくりには専門的治療が必要:持続性・難治性のしゃっくりには、薬物療法などの医学的介入が有効です。
しゃっくりは身近な症状だからこそ、軽視せず、適切に対処することが大切です。本記事が、しゃっくりに関する正しい知識を得て、快適な日常生活を送るための一助となれば幸いです。
参考文献
本記事は、以下の信頼できる医学的情報源を参考に作成いたしました。
- 日本呼吸器学会「呼吸器疾患に関する診療ガイドライン」
https://www.jrs.or.jp/ - 日本消化器病学会「消化器疾患診療ガイドライン」
https://www.jsge.or.jp/ - 厚生労働省「e-ヘルスネット」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/ - 日本神経学会「神経疾患診療ガイドライン」
https://www.neurology-jp.org/ - 日本医師会「健康の森」
https://www.med.or.jp/forest/ - 国立がん研究センター「がん情報サービス」
https://ganjoho.jp/ - 日本内科学会「内科学会雑誌」各種論文
- 日本救急医学会「救急診療指針」
https://www.jaam.jp/
※本記事の情報は2025年11月時点のものです。医療情報は常に更新されていますので、最新の情報については医療機関にご相談ください。
監修者医師
高桑 康太 医師
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務