皮膚に現れる赤いあざや斑点でお悩みではありませんか。生まれつきある赤あざ、年齢とともに増える赤いほくろのようなできもの、子どもの体に突然現れた赤い盛り上がり。これらの症状は血管腫や血管奇形と呼ばれる血管の異常によるものかもしれません。
血管腫は皮膚科で診察・治療できる疾患であり、近年は診断技術や治療法が大きく進歩しています。池袋で血管腫の診察を受けたいとお考えの方に向けて、本記事では血管腫・血管奇形の種類、原因、症状、そして最新の治療法について詳しく解説します。

📋 目次
- 血管腫とは?皮膚科で診る赤あざの基本知識
- 国際分類による血管腫の種類分け
- 主な血管腫の種類と特徴
- 乳児血管腫(いちご状血管腫)
- 老人性血管腫(チェリースポット)
- 血管奇形の種類と症状
- 単純性血管腫(毛細血管奇形)
- 静脈奇形・動静脈奇形
- くも状血管腫
- 現代の治療法と効果
- レーザー治療(Vビーム)
- 内服治療・硬化療法・外科的切除
- 受診のタイミングと注意点
- まとめ
🩺 血管腫とは?皮膚科で診る赤あざの基本知識
血管腫・血管奇形とは、血管が異常に拡張したり増殖したりすることで皮膚に現れる良性の病変を指します。一般的に「赤あざ」と呼ばれるものがこれに該当し、赤色や紫色、青色など血管内の血液の色が透けて見えることが特徴です。
📖 血管腫と血管奇形の違い
血管腫は血管の内側を覆う血管内皮細胞が異常に増殖することで生じる腫瘍性の病変であり、代表的なものに乳児血管腫があります。一方、血管奇形は血管の形成過程で生じた構造的な異常であり、細胞の異常増殖は伴いません。
🔍 診断の重要性
血管腫・血管奇形は顔面に現れることが多く、特に赤ら顔のレーザー治療と混同されることがありますが、病態や治療法は大きく異なります。正確な診断により適切な治療法を選択することが重要です。
💡 皮膚科での治療のメリット
近年、血管腫の原因や種類についての研究が進み、皮膚科での専門的な診断と治療により、多くの症例で良好な改善が期待できるようになりました。
📊 国際分類による血管腫の種類分け
血管腫・血管奇形の診断と治療において、現在国際的に標準とされているのがISSVA分類です。この分類は1996年に作られ、その後も研究の進歩に伴って改訂が重ねられています。
🔬 脈管性腫瘍(血管腫)
血管内皮細胞の増殖を本態とするもので、増殖期と退縮期という特徴的な経過をたどります。良性のものが大部分ですが、まれに悪性のものも存在します。
代表的な疾患として以下があります:
- 乳児血管腫
- 先天性血管腫
- 房状血管腫
🫀 脈管奇形(血管奇形)
血管の形成異常によって生じるもので、細胞の増殖を伴いません。自然に消退することはなく、成長とともに大きくなる傾向があります。
異常を生じた血管の種類によって分類されます:
- 毛細血管奇形
- 静脈奇形
- 動静脈奇形
- リンパ管奇形
📚 日本の診療ガイドライン
日本においても「血管腫・脈管奇形・血管奇形・リンパ管奇形・リンパ管腫症診療ガイドライン2022」が発表され、ISSVA分類に基づいた診療が推進されています。
🍓 主な血管腫の種類と特徴
👶 乳児血管腫(いちご状血管腫)
乳児血管腫は、皮膚の表面や内部にできる赤あざの一種で、未熟な毛細血管が増殖することで現れる良性の腫瘍です。見た目が赤くいちごのような外観を呈することから、いちご状血管腫とも呼ばれています。
⏰ 発症時期と経過
乳児血管腫の特徴的な経過:
- 出生直後には目立たないことが多い
- 生後数日から1か月ころから赤みが現れ、徐々に盛り上がる
- 生後5から7週で急速に大きくなる
- 生後5か月までにピーク時の80%の大きさに達する
- 1歳ごろから5歳から7歳にかけて徐々に自然消退
⚠️ 後遺症の可能性
かつては自然消退を待つ経過観察が主流でしたが、自然消退後も25から68%程度で何らかの後遺症が残ることが分かっています。このため、早期治療の重要性が認識されるようになりました。
🍒 老人性血管腫(チェリースポット)
老人性血管腫は毛細血管の増殖によってできる良性の皮膚腫瘍で、赤いほくろのような見た目からチェリースポットやルビースポットとも呼ばれています。
📈 発症時期と特徴
老人性という名前がついていますが、実際には20代から30代で出現することも珍しくありません。加齢とともに増加する傾向があり、40代を過ぎると自然な加齢変化の一部として捉えられています。
💡 治療の必要性
老人性血管腫は完全に良性であり、悪性化することはありません。痛みやかゆみを伴うことも少なく、健康上の問題を引き起こすことはないため、必ずしも治療は必要ありません。ただし見た目が気になる場合には、レーザー治療などで目立たなくすることができます。
🔴 血管奇形の種類と症状
🩸 単純性血管腫(毛細血管奇形)
単純性血管腫は皮膚の真皮にある毛細血管が局所的に異常を起こし、拡張した状態になっている疾患です。ISSVA分類では毛細血管奇形に分類され、ポートワイン母斑とも呼ばれます。
顔面に現れる単純性血管腫は、鼻の赤みによる毛細血管拡張と症状が似ている場合がありますが、生まれつき存在する点で区別されます。
⭐ 特徴と経過
単純性血管腫の特徴:
- 生まれたときから存在する平坦な赤あざ
- 乳児血管腫とは異なり自然に消退することはない
- 境界が明瞭で均一な紅斑
- 色は明るいピンク色から濃い紫色まで様々
🫧 静脈奇形・動静脈奇形
静脈奇形(海綿状血管腫)
静脈奇形は従来、海綿状血管腫や筋肉内血管腫と呼ばれていた疾患で、胎生期における脈管形成の過程で血管内皮細胞の低形成や血管壁の平滑筋の欠損などが起こり、静脈系の脈管が拡張した状態です。
動静脈奇形
動静脈奇形は動脈と静脈が正常の毛細血管を介さずに直接つながってしまった先天性の病変です。毛細血管を通さないために動脈から静脈に直接血液が流れ込み、さまざまな症状を引き起こします。
🕷️ くも状血管腫
くも状血管腫は毛細血管拡張症の一種で、中心部から毛細血管が放射状に広がる様子がクモの脚のように見えることからこの名前がついています。
🧬 原因
くも状血管腫の発生にはエストロゲンの上昇が関連していると考えられています。肝硬変などの肝障害がある方、経口避妊薬を内服中の方、妊娠中の方に多発する傾向があります。
💊 現代の治療法と効果
🔴 レーザー治療(Vビーム)
レーザー治療は血管腫・血管奇形の治療において最も一般的に用いられる方法です。特に色素レーザーであるVビームは、赤い色に反応するレーザーで、血管腫や血管奇形の治療に広く使用されています。
⚙️ 治療の仕組み
Vビームの治療メカニズム:
- 波長595nmのレーザー光を照射
- 血液中のヘモグロビン(赤血球)に選択的に吸収
- 吸収された光エネルギーは熱に変換
- 異常に増えた血管を破壊
📈 治療効果
単純性血管腫では、乳幼児期にレーザー治療を受ければ7割強で薄くすることができるとされています。単純性血管腫と乳児血管腫に対するレーザー治療は健康保険が適用されます。
💊 内服治療・硬化療法・外科的切除
プロプラノロール内服
プロプラノロールは乳児血管腫に対して非常に高い効果があることが発見され、2016年に乳児血管腫治療薬として承認されました。現在は乳児血管腫に対する第一選択の治療となっています。
硬化療法
硬化療法は静脈奇形やリンパ管奇形に対して行われる治療法です。特殊な薬剤(硬化剤)を病変内に注入し、わざと炎症を起こして治癒させることで血管を潰していく方法です。
外科的切除
外科的な手術治療は病変を切除し、単純縫縮または皮膚移植などで覆う治療です。レーザー治療や硬化療法で効果が得られない場合の最終手段として選択されます。
🏥 受診のタイミングと注意点
血管腫・血管奇形の診察は皮膚科または形成外科で受けることができます。以下のような場合には早めに受診することをお勧めします。
👶 赤ちゃんの赤あざに気づいたとき
乳児血管腫は生後数週間から急速に大きくなる可能性があります。生後1か月健診などで乳児血管腫が見つかったら、できるだけ早期に専門医を受診することが推奨されています。
⚠️ 機能に影響を及ぼす可能性がある部位にある場合
緊急で治療を開始する必要がある場合:
- 眼の近くにある血管腫:まぶたが開かなくなり視力の発達を妨げる可能性
- 鼻や口、首にできた場合:気道や食道を圧迫する可能性
📈 急速に大きくなっている場合
早急な対応が必要な症状:
- 急激に増大する血管腫
- 潰瘍を形成して出血や痛みを伴う場合
😟 見た目が気になる場合
老人性血管腫やくも状血管腫など、健康上は問題がなくても見た目が気になる場合には治療を受けることができます。レーザー治療により目立たなくすることが可能です。

よくある質問
血管腫は血管内皮細胞が異常に増殖する腫瘍性の病変で、乳児血管腫のように増殖期と退縮期という経過をたどります。一方、血管奇形は血管の形成異常による構造的な異常で、細胞の増殖は伴わず自然に消退することはありません。ISSVA分類に基づいた正確な診断により、それぞれに適した治療法を選択することが重要です。
乳児血管腫は1歳頃から5-7歳にかけて自然消退しますが、25-68%程度で毛細血管拡張、皮膚の萎縮、たるみ、瘢痕などの後遺症が残ることが分かっています。現在は早期治療により後遺症を軽減できるため、プロプラノロール内服やレーザー治療による積極的な治療が推奨されています。
血管腫・血管奇形のレーザー治療は、一度の照射で完全に消えることはなく、複数回の治療が必要です。単純性血管腫では5-15回程度、乳児血管腫では病変の状態により回数が異なります。保険適用の場合は3か月以上の間隔をあけて治療を行います。顔や頚部の病変は効果が高く、四肢特に下肢は効果が低い傾向があります。
老人性血管腫(チェリースポット)は完全に良性の皮膚腫瘍で、悪性化することはありません。健康上の問題を引き起こすこともなく、痛みやかゆみを伴うことも少ないため、必ずしも治療は必要ありません。ただし、見た目が気になる場合にはレーザー治療で目立たなくすることが可能です。
単純性血管腫と乳児血管腫に対するVビームレーザー治療は健康保険が適用されます。また、乳児血管腫に対するプロプラノロール内服治療も保険適用です。ただし、老人性血管腫やくも状血管腫などの美容目的の治療は自費診療となります。保険適用の治療では3か月以上の治療間隔が必要です。
📝 まとめ
血管腫・血管奇形は血管の異常によって皮膚に赤あざや赤い斑点が現れる良性の疾患です。近年はISSVA分類に基づいた診断が国際的に標準化され、それぞれの疾患に対して最適な治療法を選択できるようになりました。
乳児血管腫に対してはプロプラノロール内服とレーザー治療の組み合わせが効果的であり、早期に治療を開始することで後遺症を軽減できます。単純性血管腫に対してはVビームなどの色素レーザーによる治療が主流となっており、乳幼児期から治療を開始することで高い効果が期待できます。
静脈奇形や動静脈奇形に対しては硬化療法や塞栓術、外科的切除など、病変の状態に応じた治療法が選択されます。老人性血管腫やくも状血管腫は健康上は問題ありませんが、見た目が気になる場合にはレーザー治療で改善することが可能です。
血管腫・血管奇形でお悩みの方は、まずは皮膚科または形成外科を受診して正確な診断を受けることをお勧めします。専門医による適切な診断と治療により、赤あざの悩みを解消できる可能性があります。
📚 参考文献
- 日本皮膚科学会 – 血管腫・血管奇形診療ガイドライン
- 厚生労働省 – 血管腫・脈管奇形・血管奇形・リンパ管奇形・リンパ管腫症診療ガイドライン2022
- 国際血管腫・血管奇形学会(ISSVA) – ISSVA分類2018
- 日本形成外科学会 – 血管腫・血管奇形治療指針
- 日本小児科学会 – 乳児血管腫診療の手引き
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
血管腫と血管奇形の区別は治療方針を決める上で極めて重要です。従来は混同されがちでしたが、ISSVA分類の普及により、より正確な診断と効果的な治療が可能になりました。特に乳児血管腫に対するプロプラノロール治療の導入は画期的で、多くの患者さんで良好な治療成果を上げています。