重い物の持ち方のコツ|腰や体を痛めない正しい方法を解説

引っ越しや買い物、仕事の荷物運びなど、日常生活の中で重い物を持つ場面は意外と多いものです。しかし、何気なく行っているその動作が、腰痛や筋肉・関節の怪我につながることがあります。「重い物を持ったら腰が痛くなった」「荷物を運んでいたら肩を傷めた」という経験をお持ちの方も少なくないのではないでしょうか。重い物の持ち方には、体への負担を最小限に抑えるための正しいコツがあります。この記事では、日常生活や職場で実践できる安全な重い物の持ち方と、怪我を予防するための知識を詳しく解説します。


目次

  1. 重い物を誤った方法で持つとどうなる?
  2. 重い物を持つときの基本的な正しい姿勢
  3. 重い物の持ち方・持ち上げ方のコツ6つ
  4. 重い物を運ぶときのコツ
  5. シーン別・重い物の持ち方のポイント
  6. 重い物を持ったあとのケア方法
  7. 重い物の持ち方を補助するグッズの活用
  8. こんなときは要注意!無理な重量を避けるべき場面
  9. 腰痛や怪我の予防に役立つ日頃の習慣

🎯 重い物を誤った方法で持つとどうなる?

まず、正しい持ち方を学ぶ前に、誤った持ち方がどれほど体に影響を与えるかを理解しておきましょう。

人間の腰椎(腰の骨)は、体を前に曲げた姿勢で重い物を持ち上げると、非常に大きな負荷がかかります。例えば、体重60kgの人が前かがみの姿勢で10kgの荷物を持ち上げると、腰椎にかかる力は150kg以上になるという研究報告もあります。これは、腰の筋肉や椎間板(脊椎の骨と骨の間にあるクッションの役割を持つ組織)にとって非常に大きなストレスです。

誤った持ち方が続くと、以下のような問題が生じるリスクがあります。

急性腰痛(いわゆるぎっくり腰)は、重い物を持ち上げた瞬間に腰の筋肉や靭帯が過度な力で引っ張られ、炎症や損傷が起きる状態です。突然の激しい痛みが走り、しばらく動けなくなることもあります。

椎間板ヘルニアは、椎間板の中にある髄核(やわらかいゲル状の組織)が外に飛び出し、神経を圧迫する状態です。持続的な腰痛や足のしびれ・痛みが現れ、悪化すると手術が必要になることもあります。

筋肉・腱の損傷も重い物を誤った方法で持つことで、背中や肩、腕の筋肉や腱を傷めることがあります。特に、ひねりを加えながら持ち上げる動作は非常に危険です。

関節への影響としては、膝や股関節も重い物を持つ際に大きな負荷がかかりやすい部位です。蓄積されたダメージは、変形性関節症などの慢性的な問題につながることもあります。

このように、一見何気ない日常の動作であっても、正しい知識なしに行うと大きなリスクが伴います。

📋 重い物を持つときの基本的な正しい姿勢

重い物を安全に持ち上げるためには、基本となる正しい姿勢を理解することが大切です。以下のポイントを押さえておきましょう。

🦠 背中をまっすぐに保つ

重い物を持ち上げるとき、最も大切なのは背中(背骨)をまっすぐに保つことです。前かがみになって腰を曲げた状態で持ち上げるのではなく、背骨のS字カーブ(自然な湾曲)を保ちながら動作することが重要です。背骨が自然なカーブを保った状態のとき、脊椎は最も力を受けやすい状態になっています。

👴 膝を使って持ち上げる

「腰ではなく膝で持ち上げる」というのは、重い物の持ち方の基本中の基本です。荷物に近づき、膝を曲げてしゃがんだ状態から、脚の力を使って立ち上がるようにして持ち上げます。腰の筋肉よりも、太ももや臀部(お尻)の大きな筋肉群を使うことで、体全体への負担が分散され、腰への集中的な負荷を避けることができます。

🔸 荷物を体に近づける

荷物を体から離した状態で持つと、腰にかかるモーメント(力のかかり方)が大きくなります。荷物はできるだけ体の近く、お腹や胸に引き寄せるようにして持つことで、腰椎にかかる負担を大幅に減らすことができます。

💧 足を肩幅に開く

足を肩幅程度に開くことで、安定した土台を作ることができます。片足を少し前に出すと、さらに安定性が増します。不安定な姿勢での持ち上げは、バランスを崩すリスクがあるため避けましょう。

✨ 腹筋に軽く力を入れる

持ち上げる動作の前に、軽く腹筋(体幹)に力を入れておくと、腰椎を安定させる効果があります。これを「腹腔内圧を高める」といい、腰のコルセット代わりに体幹の筋肉が働くイメージです。深呼吸をして息を少し止めながら持ち上げると自然にこの状態が作られます。ただし、高血圧の方などは息を止めすぎないよう注意が必要です。

💊 重い物の持ち方・持ち上げ方のコツ6つ

基本的な姿勢を踏まえた上で、具体的な持ち方のコツをご紹介します。

📌 コツ1:持ち上げる前に準備動作を行う

いきなり重い物を持ち上げるのではなく、まず荷物の重さを確認することが大切です。荷物を軽く持ち上げてみる(持ち上がらなければ無理しない)、あるいは片端を少し浮かせてみるなどして、重さの見当をつけましょう。また、持ち上げる動作の前に軽くストレッチを行うと、筋肉が温まり怪我のリスクが下がります。

▶️ コツ2:荷物のそばまでしっかり近づく

荷物から離れた状態で手を伸ばして持ち上げようとするのは、腰への負担が非常に大きくなるため危険です。荷物のすぐそばに立ち、両足で荷物を挟むようなイメージで近づいてから持ち上げましょう。

🔹 コツ3:しゃがむときは膝を曲げて腰を落とす

床に置いてある荷物を持ち上げるときは、膝を曲げてしゃがみます。このとき、腰を丸めて前かがみになるのではなく、背中をまっすぐ保ちながら股関節と膝を曲げて体を下げていきます。スクワットをするような動作に近いイメージです。

📍 コツ4:持ち上げるときは脚の力をメインに使う

荷物を握ったら、脚(特に太ももやお尻の筋肉)の力を使って立ち上がるようにして持ち上げます。このとき、上体を先に起こすのではなく、膝を伸ばすのと上体を起こすのをほぼ同時に行うことがポイントです。ゆっくりとコントロールされた動作で行いましょう。

💫 コツ5:ひねる動作を避ける

重い物を持ちながら腰をひねる動作は、椎間板や腰の筋肉・靭帯に大きなダメージを与えます。向きを変えたいときは、腰をひねるのではなく、足を動かして体全体の向きを変えましょう。「足から方向転換する」ことを意識するだけで、腰への負担は大幅に減ります。

🦠 コツ6:下ろすときも同じ姿勢を保つ

多くの人が見落としがちなのが、荷物を下ろすときの姿勢です。持ち上げるときと同様に、膝を曲げてゆっくりと体を下げながら下ろすことが重要です。「持ち上げたから安心」と気を抜いて乱暴に下ろすと、その瞬間に怪我をすることがあります。

🏥 重い物を運ぶときのコツ

持ち上げるだけでなく、運ぶ動作も正しく行うことが大切です。

👴 視界を確保する

重い荷物を持って移動するとき、荷物が大きくて前が見えにくい状態での歩行は非常に危険です。足元の段差や障害物に気づかず転倒し、大きな怪我につながることがあります。荷物を持つ前に移動経路を確認し、障害物を取り除いておきましょう。また、可能であれば視界が確保できる向きで荷物を持つようにします。

🔸 歩幅は小さく、ゆっくり歩く

重い物を持ちながら大股で速く歩くと、バランスを崩しやすくなります。歩幅を小さくして、ゆっくりと安定した歩き方を心がけましょう。特に、階段や段差がある場所では慎重に行動することが必要です。

💧 重さを均等に分散させる

買い物袋などを持つ場合は、左右の手に均等に重さを分けることが重要です。片手だけに重い荷物を持ち続けると、体が傾き、腰や肩に偏った負担がかかります。できるだけ左右のバランスを意識しましょう。

✨ 長距離を運ぶときは途中で休憩する

長い距離を重い物を持って歩くときは、適度に途中で荷物を置いて休憩することを躊躇わないでください。筋肉が疲労した状態で無理に続けると、姿勢が崩れて怪我のリスクが高まります。「これくらい平気」という過信が怪我の原因になることも多いです。

📌 カートや台車を積極的に活用する

重い物を運ぶ際は、無理に手で運ぼうとせず、台車やカート、キャリーバッグなどの道具を積極的に使いましょう。これらの道具を使うだけで、体への負担を劇的に減らすことができます。「道具を使うのが面倒」と感じる方もいるかもしれませんが、怪我をしてから後悔するよりも、道具を使って安全に作業することの方がはるかに重要です。

⚠️ シーン別・重い物の持ち方のポイント

重い物を持つ場面は様々です。シーン別に特に注意すべきポイントをご紹介します。

▶️ 買い物袋・スーパーのレジ袋を持つとき

日常的な買い物での荷物も、積み重なると体への負担になります。できるだけ左右均等に荷物を持つことが基本です。エコバッグやリュックサックを活用すると、両手が使えて安全ですし、体の中心(背中)に重心を置けるため腰への負担も少なくなります。特に長距離を歩く場合は、リュックサックが最も体への負担が少ない選択肢です。

🔹 引っ越しの荷物を持つとき

引っ越し作業は、重い物を繰り返し持ち上げる動作が続くため、特に怪我のリスクが高い場面です。作業前に十分なストレッチを行い、腰痛ベルトやサポーターを着用することも有効です。段ボールを持つときは、必ず膝を曲げてしゃがんでから持ち上げましょう。また、無理に一人でやろうとせず、複数人で協力して作業することが安全です。重い家具(冷蔵庫や洗濯機など)は、専門の業者に依頼することを強くおすすめします。

📍 職場・倉庫での荷物作業

職場で重い物を扱う機会が多い方は、腰への負担が蓄積しやすく、職業性腰痛の原因になります。作業前のウォームアップ、正しい持ち方の徹底、重量制限の遵守(一般的に男性で25kg、女性で15kgを目安とすることが多い)が重要です。また、定期的に姿勢を変えたり、休憩を取ったりすることも大切です。職場によっては、パワーアシストスーツなどの補助機器が導入されている場合もあります。

💫 子どもや高齢者を抱き上げるとき

子どもや高齢の家族を抱き上げる機会がある方も多いでしょう。人を抱き上げる場合も基本は同じで、できるだけ体に近づけてから膝の力で持ち上げます。子どもが動いた場合にバランスを崩しやすいため、特に注意が必要です。また、毎日繰り返す動作であるため、腰痛の予防のために体幹を鍛えることも重要です。

🦠 高い場所に荷物を置くとき

棚の高い場所に重い物を置く作業は、肩や首、背中への負担が大きくなります。背伸びをした不安定な体勢での作業は特に危険です。踏み台や脚立を使って、できるだけ体と棚の高さを近づけてから作業しましょう。また、高い場所に重い物を置くこと自体を避け、重い物は低い棚や床に近い場所に収納することが安全です。

👴 車のトランクへの荷物の積み下ろし

車のトランクへの荷物の積み下ろしは、中腰の不自然な姿勢になりやすく、腰痛の原因になりやすい場面です。できるだけトランクの縁に近づき、荷物をトランクの縁に当てながら滑らせるように入れるとよいでしょう。深いトランクの奥に荷物を置くときは、膝をトランクの縁につけて体を安定させてから行うと安全です。

🔍 重い物を持ったあとのケア方法

重い物を持った後は、体のケアを行うことで次の日の疲労感や筋肉痛を軽減することができます。

🔸 ストレッチで筋肉をほぐす

作業後は、使った筋肉を丁寧にストレッチしましょう。特に腰回りと太もも(ハムストリングス)のストレッチが効果的です。

腰のストレッチとして、仰向けに寝て両膝を胸に引き寄せ、ゆっくりと左右に倒す動作が有効です。腰の筋肉が気持ちよく伸びるのを感じながら、10〜20秒程度キープします。

太もも裏のストレッチとして、床に座って片足を伸ばし、ゆっくりと前屈する動作が効果的です。太もも裏の筋肉(ハムストリングス)が腰とつながっているため、ここをほぐすことで腰の緊張も和らぎます。

💧 入浴で血行を促進する

作業後に入浴することで、筋肉の疲労回復を促すことができます。ぬるめのお湯(38〜40度程度)にゆっくりつかることで、血行が良くなり、筋肉の緊張がほぐれます。ただし、強い痛みや腫れがある場合は、入浴は避けてアイシング(冷却)を行い、医療機関に相談することをおすすめします。

✨ 痛みがある場合の初期対応

重い物を持った後に痛みが出た場合は、まず安静にすることが基本です。急性の痛み(特に最初の48〜72時間)に対しては、アイスパックなどを使った冷却が炎症を抑えるのに効果的です。市販の湿布や痛み止めも一時的な対処として有効ですが、痛みが強い場合や長引く場合は、自己判断せずに医療機関を受診しましょう。

📝 重い物の持ち方を補助するグッズの活用

正しい持ち方を実践するとともに、補助グッズを上手に活用することも体を守る有効な手段です。

📌 腰部サポートベルト(腰痛ベルト)

腰部サポートベルトは、腰椎をサポートし、重い物を持つ際の腰への負担を軽減する効果があります。引っ越しや重い荷物を扱う仕事の際に着用することで、腰痛の予防や悪化の防止が期待できます。ただし、サポートベルトはあくまで補助的なものであり、正しい持ち方の代わりにはなりません。また、常時着用すると腰回りの筋肉が弱くなる可能性があるため、重作業のときだけ使用するのが理想的です。

▶️ グリップ手袋・作業手袋

手袋を着用することで、荷物の滑り止め効果が高まり、しっかりと荷物をつかむことができます。滑って荷物を落としそうになると、瞬間的に無理な力がかかり怪我のリスクが高まるため、グリップ力のある手袋の活用は効果的です。

🔹 台車・ハンドトラック

引っ越しや重い荷物の移動には、台車やハンドトラック(Lの字型の手押し台車)が非常に役立ちます。重い段ボールや機材を一度に複数個まとめて運ぶことができ、作業効率も上がります。職場や倉庫だけでなく、引っ越しの際にもレンタルできる場合があります。

📍 ストラップ・移動補助ベルト

大型の家具や家電を移動させる際には、専用の移動補助ベルト(フォニチャームーバーベルトなど)が便利です。二人で使用することで、重い家具を安全に運ぶことができます。一人での大型家具の移動は非常に危険なため、できる限り避けましょう。

💫 スライド式の滑り台(ファニチャースライダー)

家具の脚の下に設置することで、重い家具を引きずって移動させることができる道具です。持ち上げることなく家具を移動できるため、腰への負担を大幅に減らすことができます。床を傷つけにくいタイプのものも販売されています。

💡 こんなときは要注意!無理な重量を避けるべき場面

どれほど正しい持ち方を実践しても、体の状態や状況によっては、重い物を持つこと自体を避けるべき場合があります。

🦠 腰痛や怪我がある状態のとき

現在、腰痛や筋肉・関節の痛みがある場合は、重い物を持つことを避けましょう。痛みがある状態で無理に作業を続けると、症状が悪化したり、慢性化したりする可能性があります。まずは医療機関を受診し、適切な治療を受けることが優先です。

👴 妊娠中のとき

妊娠中は、体の重心が変化し、腰への負担が増えています。また、妊娠によってホルモンの影響で関節が緩みやすくなっており、怪我のリスクが高まります。重い物を持つことは、腰痛を悪化させるだけでなく、転倒のリスクもあるため、できる限り避けることが望ましいです。

🔸 高齢になるにつれて

加齢に伴い、筋力や骨密度、バランス能力が低下します。特に骨粗しょう症がある場合は、無理な重量を持つことで骨折のリスクが高まります。高齢の方は、若い頃と同じ感覚で重い物を扱うのではなく、自分の体力に合わせた重量に制限することが大切です。

💧 疲労が蓄積しているとき

疲労が蓄積した状態では、筋肉が本来の力を発揮できず、正しい姿勢を保つことが難しくなります。「疲れているのに頑張ろうとした結果、怪我をしてしまった」というケースは少なくありません。十分な休息を取ってから作業するか、翌日に持ち越すことも重要な判断です。

✨ 足場が不安定なとき

濡れた床や砂利道、狭い場所など、足場が不安定な状況での重い物の持ち上げは非常に危険です。転倒するリスクが高まるだけでなく、バランスを崩した際に体に大きな負担がかかります。足場が整った安全な場所で作業できるよう、環境を整えてから行いましょう。

✨ 腰痛や怪我の予防に役立つ日頃の習慣

重い物を安全に持ち扱うためには、日頃からの体づくりも重要です。正しい持ち方の知識があっても、そもそもの筋力や柔軟性が低ければ、怪我のリスクは高まります。

📌 体幹トレーニングで腰を守る

体幹(腹部・背部・臀部の筋肉群)を鍛えることは、腰椎の安定性を高め、腰痛の予防に非常に効果的です。特に腹横筋と呼ばれる深層の腹筋は、腰椎を内側から支えるコルセットのような役割を果たします。

プランク(腕立て伏せの姿勢で静止する運動)は、体幹全体を効率よく鍛えられる代表的なエクササイズです。初めは10〜20秒から始め、徐々に時間を延ばしていきましょう。毎日少しずつ続けることが大切です。

ドローイン(お腹をへこませながら呼吸する運動)は、深層の腹筋を意識して鍛える方法です。仰向けに寝てゆっくりと息を吐きながらお腹をへこませ、その状態を数秒キープします。これを繰り返すことで、体幹の安定性が高まります。

▶️ 下半身の筋力をつける

重い物を持つ際に腰ではなく膝の力を使うためには、太もも(大腿四頭筋・ハムストリングス)やお尻(大臀筋)の筋力が重要です。スクワットは、これらの筋肉をまとめて鍛えられる非常に効果的な運動です。正しいフォームで行えば膝への負担も少なく、安全に続けることができます。

🔹 柔軟性を高めるストレッチ

筋肉の柔軟性が低いと、動作の制限が生まれ、無理な動きで怪我をするリスクが高まります。特に、太もも裏(ハムストリングス)、股関節、腸腰筋(腰と太ももをつなぐ筋肉)の柔軟性を高めることが腰痛予防に効果的です。毎日入浴後など、筋肉が温まったタイミングでストレッチを行う習慣をつけましょう。

📍 正しい姿勢を日常的に意識する

重い物を持つときだけでなく、日常生活での姿勢も腰痛予防に大きく関わります。デスクワークや長時間の立ち仕事では、猫背や骨盤の傾きが腰への慢性的な負担につながります。椅子に座るときは深く腰掛けて背もたれを使い、モニターの高さを目線に合わせるなど、姿勢に関する環境を整えることも重要です。

💫 適切な体重管理

体重が増えると、それだけ腰椎や膝関節にかかる負担も増えます。適切な体重を維持することは、重い物を持つ際の安全性を高めるだけでなく、日常生活全般における関節・腰痛の予防にもつながります。バランスの取れた食事と適度な運動を心がけましょう。

🦠 定期的に医療専門家に相談する

職業上、継続的に重い物を扱う方は、定期的に整形外科や理学療法士などの専門家に相談することをおすすめします。個人の体の状態や弱点に合わせたアドバイスや、適切なリハビリ・エクササイズを指導してもらうことで、より効果的に体を守ることができます。また、痛みがなくても「なんとなく腰が重い」「動きがぎこちない」と感じる場合は、早めに相談することが慢性化を防ぐポイントです。

👨‍⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】

高桑康太 医師(当院治療責任者)より

「「ちょっと重い物を持っただけなのに…」という経緯でいらっしゃる腰痛患者様が非常に多く、日常の何気ない動作が積み重なって症状につながるケースがあります。特に前かがみの姿勢での持ち上げや、腰をひねりながらの動作は腰椎や椎間板への負荷が格段に大きくなるため、膝を曲げて体に荷物を引き寄せる基本動作を丁寧に意識していただくだけで、リスクを大きく減らすことができます。痛みが出てからではなく、正しい持ち方と日頃の体幹トレーニングを習慣にして予防していただくことが最善ですが、腰や体に違和感を覚えた際にはどうぞお早めにご相談をおすすめいたします。」

📌 よくある質問

重い物を持つとき、腰への負担を減らす一番のコツは何ですか?

最も重要な三原則は、「背中をまっすぐ保つ」「腰ではなく膝を使って持ち上げる」「荷物を体に引き寄せる」ことです。前かがみの姿勢で持ち上げると腰椎への負荷が体重の2倍以上になることもあるため、スクワットのように膝を曲げてしゃがんでから、脚の力で立ち上がるイメージで持ち上げましょう。

重い物を持ったあと腰に痛みが出た場合、どう対処すればよいですか?

まず安静にし、痛みが出てから48〜72時間以内はアイスパックなどで冷却して炎症を抑えることが有効です。市販の湿布や痛み止めも一時的な対処として使えますが、痛みが強い場合や長引く場合は自己判断せず、早めに医療機関を受診することをおすすめします。

腰痛ベルトを使えば、重い物を安全に持てますか?

腰部サポートベルトは腰椎をサポートし、負担を軽減する補助的な効果がありますが、正しい持ち方の代わりにはなりません。また、常時着用すると腰回りの筋肉が弱くなる可能性があるため、引っ越しや重作業など、負荷が大きい場面に限定して使用するのが理想的です。

重い物を持ってはいけない場面や状態はありますか?

腰痛や怪我がある状態、妊娠中、強い疲労が蓄積しているとき、足場が不安定な場所では、重い物を持つこと自体を避けることが最善です。また、加齢により筋力や骨密度が低下している高齢の方は、若い頃と同じ感覚で重い物を扱わず、自分の体力に合った重量に制限することが大切です。

日頃からできる腰痛予防のトレーニングはありますか?

体幹を鍛えるプランクやドローイン、下半身を鍛えるスクワットが特に効果的です。プランクは最初10〜20秒から始め、徐々に時間を延ばしましょう。また、太もも裏や股関節のストレッチで柔軟性を高めることも腰痛予防に役立ちます。入浴後など筋肉が温まったタイミングで、毎日少しずつ続けることがポイントです。

🎯 まとめ

重い物の正しい持ち方と体を守るためのコツについて解説してきました。重要なポイントを改めて整理しましょう。

重い物を持つ際の基本は、背中をまっすぐ保ち、膝を使って持ち上げること、そして荷物を体に引き寄せることです。この三原則を守るだけで、腰椎への負担を大幅に減らすことができます。また、ひねる動作を避けることと、荷物を下ろすときにも同じ姿勢を保つことも忘れないでください。

運ぶ際は視界を確保し、左右の重量バランスを整え、道具を積極的に活用することが安全につながります。引っ越しや職場での作業では、無理をせず、適切な休憩と複数人での協力が重要です。

腰痛や怪我がある状態、妊娠中、高齢、強い疲労がある状態、足場が不安定な状況では、重い物を持つこと自体を避けることが最善の選択であることも覚えておきましょう。

そして何より大切なのは、日頃から体幹トレーニングや柔軟体操を行い、体を強く・しなやかに保つことです。正しい知識と体づくりを組み合わせることで、重い物を安全に扱える体を維持しましょう。もし痛みが生じた場合や不安を感じる場合は、自己判断せず、医療専門家に相談することをおすすめします。

📚 参考文献

  • 厚生労働省 – 職場における腰痛予防対策(腰痛予防対策指針)に関する情報。重い物を持つ際の重量制限や正しい作業姿勢、職業性腰痛の予防に関する公式ガイドライン
  • PubMed – 前かがみ姿勢での持ち上げ動作が腰椎にかける負荷や椎間板ヘルニア・急性腰痛のリスクに関する医学的研究文献
  • WHO(世界保健機関) – 筋骨格系疾患(腰痛・関節症など)の世界的な実態と予防に関する公式情報。重い物の取り扱いによる筋肉・関節への影響についての国際的見解

監修者医師

高桑 康太 医師

保有資格

ミラドライ認定医

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任
  • 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
  • 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
  • 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
  • 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報

佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
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