
目やにや目の充血、まぶたの腫れなどの症状が出たとき、「市販の目薬で何とかならないか」と考える方は少なくありません。病院を受診する時間がなかったり、費用を抑えたかったりする場合に、ドラッグストアで購入できる薬を探す方も多いでしょう。そのような状況でゲンタマイシンという成分名を耳にした方もいるかもしれません。ゲンタマイシンは抗菌薬の一種で、眼科領域をはじめとしてさまざまな感染症の治療に使われています。しかし、この薬が市販されているのか、どこで手に入るのかについて、正確な情報を知らない方も多いのが現状です。この記事では、ゲンタマイシンがどのような薬なのか、市販で購入できるのかどうか、安全に使用するための注意点などについて詳しく解説します。
目次
- ゲンタマイシンとはどのような薬か
- ゲンタマイシンは市販で購入できるのか
- ゲンタマイシンが処方薬である理由
- 市販の抗菌目薬との違い
- ゲンタマイシンを入手する方法
- ゲンタマイシンの主な用途と適応疾患
- ゲンタマイシンの使用方法と注意点
- 副作用と使用を避けるべきケース
- 自己判断での使用が危険な理由
- 目の感染症が疑われるときにすべきこと
- まとめ
この記事のポイント
ゲンタマイシンは日本国内で市販されておらず、医師の処方箋が必要な医療用医薬品である。自己判断での使用や個人輸入は耐性菌リスクや副作用の危険があるため、目や皮膚の感染症が疑われる場合は医療機関を受診することが重要。
🎯 1. ゲンタマイシンとはどのような薬か
ゲンタマイシン(gentamicin)は、アミノグリコシド系と呼ばれる種類の抗生物質です。1963年にアメリカの製薬会社シェーリング社によって開発され、現在も世界中で幅広く使用されている抗菌薬の一つです。細菌の70Sリボソームに結合してタンパク質合成を阻害することで、細菌の増殖を抑える仕組みを持っています。
ゲンタマイシンが作用できる細菌の範囲は比較的広く、グラム陰性菌に対して特に強い効果を持ちます。緑膿菌、大腸菌、クレブシエラ菌、シュードモナス菌などのグラム陰性菌に対して高い抗菌力を発揮します。また、黄色ブドウ球菌などのグラム陽性菌にも一定の効果があります。このような幅広い抗菌スペクトルを持つことから、眼科、耳鼻科、皮膚科など複数の診療科で使用されています。
日本国内でのゲンタマイシンを含む製剤としては、点眼薬(目薬)、軟膏、注射薬などがあります。点眼薬は結膜炎や角膜炎などの目の感染症治療に使われ、軟膏は皮膚感染症に使われることが多いです。注射薬は全身性の重篤な感染症に使用されますが、副作用の管理が必要なため入院環境での使用が一般的です。
なお、ゲンタマイシンは古くから使用されてきた薬であることから、一部の細菌ではゲンタマイシンに対する耐性が生まれてきています。耐性菌の問題は現代医療における重大な課題の一つであり、適切な使用によって耐性菌の出現を防ぐことが求められています。
Q. ゲンタマイシンは日本国内で市販されていますか?
ゲンタマイシンは日本国内で市販されていません。医師の処方箋が必要な「医療用医薬品」に分類されており、ドラッグストアや薬局で処方箋なしに購入することは不可能です。入手するには眼科・皮膚科などの医療機関を受診し、医師に処方してもらう必要があります。
📋 2. ゲンタマイシンは市販で購入できるのか
結論から言うと、ゲンタマイシンを含む医薬品は日本国内では市販されていません。ゲンタマイシンは医師の処方箋が必要な「医療用医薬品(処方薬)」に分類されており、ドラッグストアや薬局で自由に購入することはできない薬です。
日本では医薬品は大きく「医療用医薬品」と「一般用医薬品(OTC医薬品)」に分類されています。一般用医薬品はドラッグストアなどで処方箋なしに購入できる薬であり、いわゆる「市販薬」です。一方、医療用医薬品は医師の診察を受けて処方箋を発行してもらわなければ入手できない薬です。ゲンタマイシンは後者に分類されており、市販されることはありません。
インターネット上の一部のサイトでは、海外製のゲンタマイシン製剤が個人輸入できるかのような情報が掲載されていることがあります。しかし、個人輸入による医薬品の入手は、品質の保証がされていないこと、使用方法が不明確であること、日本の薬事法に抵触する可能性があることなど、多くのリスクを伴います。そのため、安易に個人輸入で入手することは避けるべきです。
また、海外では一部の国でゲンタマイシン製剤が市販されているケースもありますが、各国の薬事規制は異なります。日本においては医師の処方が必要な薬であることを正しく理解しておく必要があります。
💊 3. ゲンタマイシンが処方薬である理由
ゲンタマイシンが処方薬として管理されている理由は、この薬が持つ副作用のリスクと、適切な使用のために医師による診断が必要だからです。
まず、ゲンタマイシンには腎毒性(腎臓への毒性)と耳毒性(聴覚神経への毒性)という重大な副作用があります。特に注射薬として全身投与する場合は、腎機能や聴力への影響が生じる可能性があり、定期的なモニタリングが必要です。点眼薬や軟膏として局所投与する場合はリスクが低くなりますが、それでも医師の管理のもとで使用することが安全です。
次に、目の感染症には細菌性のものだけでなく、ウイルス性のものやアレルギー性のものもあります。症状だけを見ると区別がつきにくいことも多く、正確な診断なしに抗菌薬を使用しても意味がないばかりか、病態を悪化させる可能性があります。たとえばウイルス性の結膜炎に抗菌薬を点眼しても効果はなく、むしろ適切な治療の開始が遅れる恐れがあります。
また、抗菌薬の不適切な使用は薬剤耐性菌を生み出す原因となります。必要のない場面で抗菌薬を使用することは、その薬が必要なときに効かなくなるリスクを高め、社会全体の問題につながります。こうした理由から、ゲンタマイシンは処方薬として管理されており、医師の診察と判断のもとで使用されるべき薬となっています。
さらに、ゲンタマイシンを使用すべき細菌かどうかを判断するためには、感受性検査などの医学的な検査が必要なこともあります。自己判断でどの抗菌薬が適切かを決めることは非常に難しく、医師による適切な診断と処方が重要です。
Q. 市販の抗菌目薬とゲンタマイシン点眼薬の違いは何ですか?
市販の抗菌目薬はサルファ剤(スルファメトキサゾール)を主成分とし、軽度の細菌性結膜炎に使用できます。一方、ゲンタマイシンはアミノグリコシド系抗生物質で、緑膿菌など難治性の細菌にも効果を発揮する強力な薬です。その分副作用リスクも高く、医師の管理のもとでの使用が必要です。
🏥 4. 市販の抗菌目薬との違い
ドラッグストアで購入できる抗菌作用を持つ目薬には、サルファ剤(スルファメトキサゾール)を主成分とするものがあります。代表的な市販品としては「サンテ抗菌新目薬」「ロート抗菌目薬」などが挙げられます。これらは処方箋なしで購入できますが、ゲンタマイシンとはまったく異なる成分です。
サルファ剤は細菌の葉酸合成を阻害することで抗菌作用を発揮します。比較的マイルドな抗菌作用を持ち、副作用も少ないとされているため、市販品として使用が認められています。ただし、抗菌スペクトルはゲンタマイシンに比べると狭く、重症の感染症には効果が不十分なこともあります。
一方、ゲンタマイシン点眼薬は市販のサルファ剤系目薬よりも強力な抗菌作用を持ち、緑膿菌などの難治性の細菌にも効果を発揮します。しかし、その分副作用のリスクも高く、適切な診断のもとで使用する必要があります。
市販の抗菌目薬は、軽度の細菌性結膜炎(俗に「はやり目」の細菌性のもの)などに対して一定の効果が期待されますが、症状が重い場合や数日使用しても改善しない場合は、市販薬での対処をやめて医療機関を受診することが重要です。市販薬はあくまでも軽症時の応急的な対処に留めるべきものです。
また、市販の目薬の中には防腐剤が含まれているものも多く、長期使用によって角膜に影響が出るリスクがあります。市販薬であっても、用量・用法を守った使用が必要です。
⚠️ 5. ゲンタマイシンを入手する方法
ゲンタマイシンを適切に入手するためには、医師の診察を受けて処方箋を取得することが唯一の正規の方法です。具体的には、眼科、耳鼻咽喉科、皮膚科、内科などの専門医を受診し、医師が必要と判断した場合に処方箋が交付されます。その処方箋を薬局(保険薬局)に持参することで、ゲンタマイシン製剤を入手できます。
眼科であれば、細菌性結膜炎や角膜炎、麦粒腫(ものもらい)などの感染性眼疾患で処方されることが多いです。耳鼻咽喉科では、外耳炎などの耳の感染症に点耳薬として処方されることがあります。皮膚科では、細菌性皮膚感染症にゲンタマイシン軟膏が処方されることがあります。
また、最近ではオンライン診療を提供するクリニックも増えており、スマートフォンやパソコンを通じて医師の診察を受け、電子処方箋を発行してもらうことで、自宅近くの薬局でゲンタマイシン製剤を入手できるケースもあります。ただし、目の感染症では細隙灯顕微鏡などを使った詳細な診察が必要なことも多く、すべてのケースがオンライン診療に適しているわけではありません。
繰り返しになりますが、インターネット上の個人輸入サイトや、正規ルート以外での入手は安全性の観点から避けるべきです。偽造品や品質の保証されていない製品を使用することで、症状の悪化や予期しない副作用が生じるリスクがあります。薬の品質と安全性を確保するためにも、必ず医師の診察と処方を経て入手してください。
🔍 6. ゲンタマイシンの主な用途と適応疾患
ゲンタマイシンはその高い抗菌力から、さまざまな疾患の治療に使われています。製剤の種類によって適応となる疾患が異なります。
点眼薬(ゲンタシン点眼液など)の主な適応疾患としては、細菌性結膜炎、細菌性角膜炎、麦粒腫(ものもらい)、涙嚢炎、眼瞼炎などが挙げられます。細菌性結膜炎は目の白目部分や上下のまぶたの裏側の粘膜(結膜)に細菌が感染して炎症を起こす疾患で、目やにの増加、充血、かゆみなどの症状が現れます。
軟膏(ゲンタシン軟膏など)の適応疾患としては、毛包炎(毛穴の感染症)、おでき(癤)、膿皮症、感染を伴った湿疹・皮膚炎、表在性皮膚感染症などがあります。細菌性の皮膚感染症に対して患部に直接塗布することで効果を発揮します。
注射薬は、肺炎、尿路感染症、腹膜炎、敗血症、感染性心内膜炎など、より重篤な全身性の細菌感染症に使用されます。特に緑膿菌による感染症や多剤耐性菌感染症の治療において重要な役割を果たすことがあります。ただし、注射薬の使用は入院施設での厳重な管理のもとで行われるのが一般的です。
また、眼科手術の前後に感染予防として使用されることもあります。白内障手術や緑内障手術などの眼科手術では、術後感染を防ぐために抗菌点眼薬が処方されることが多く、ゲンタマイシンもそのような場面で使われることがあります。
なお、ゲンタマイシンはすべての細菌に効くわけではなく、嫌気性菌(酸素のない環境で増殖する細菌)や一部のグラム陽性菌には効果が低いとされています。そのため、感染症の種類によっては他の抗菌薬が選択されます。
Q. ゲンタマイシンを個人輸入で入手することは問題ありますか?
ゲンタマイシンの個人輸入は避けるべきです。品質が保証されない、使用方法が不明確、日本の薬事法に抵触する可能性があるなど多くのリスクを伴います。アイシークリニックでも、個人輸入した薬を自己判断で使用し症状が悪化した患者を経験しており、必ず医師の診察・処方を経て入手することが重要です。
📝 7. ゲンタマイシンの使用方法と注意点
ゲンタマイシンを処方された場合は、医師や薬剤師の指示に従って正しく使用することが重要です。以下では、主に点眼薬と軟膏の使用方法についてまとめます。
点眼薬を使用する際は、まず手をしっかりと洗ってから行います。下まぶたを軽く引き下げてポケットを作り、そこに1滴を点眼します。点眼後は目を軽く閉じ、まぶたの内側(目頭付近)を指で軽く押さえることで、薬液が鼻涙管を通って体内に吸収されることを防ぎ、目の中に薬液をとどめる効果が高まります。点眼後は少なくとも2〜3分間は目をこすらないようにしましょう。
他の目薬と同時に使用する場合は、5分以上の間隔を空けて点眼します。複数の点眼薬を使用する順序については、医師や薬剤師に確認してください。一般的には、水性点眼薬を先に使用し、その後に懸濁性点眼薬や眼軟膏を使用する順序が推奨されます。
軟膏を使用する際は、患部を清潔にしてから適量を薄く塗布します。塗る量は医師の指示に従い、過剰に塗布しないように注意します。感染部位に直接触れた手でチューブの口を汚染しないように注意し、使用後はキャップをしっかり閉めて保管します。
使用期間については、症状が改善しても医師の指示通りの期間使用を続けることが大切です。症状が和らいだからといって自己判断で使用をやめると、細菌が完全に除去されずに再燃したり、耐性菌が生じたりするリスクがあります。一方で、必要以上に長期間使用することも副作用のリスクを高めるため、指示された使用期間を守ることが重要です。
保管については、直射日光や高温多湿を避け、涼しい場所に保管します。開封後は薬液が汚染されやすくなるため、一般的に点眼薬は開封後4週間以内に使い切ることが推奨されます(製品によって異なるため、添付文書を確認してください)。
💡 8. 副作用と使用を避けるべきケース
ゲンタマイシンの使用に際しては、副作用について正しく理解しておくことが重要です。副作用の種類と程度は、製剤の種類(点眼薬・軟膏・注射薬)や使用方法によって異なります。
点眼薬を使用した場合の局所的な副作用としては、点眼後の一時的なしみる感じ、かゆみ、目の充血、結膜炎の悪化などが挙げられます。これらは比較的軽度で一過性のことが多いですが、アレルギー反応が生じた場合は使用を中止して医師に相談する必要があります。
軟膏の使用では、皮膚のかゆみ、発疹、接触性皮膚炎などが生じることがあります。これらも軽度であることが多いですが、症状が悪化したり広がったりする場合は使用を中止して医師に相談してください。
注射薬として全身投与される場合は、腎毒性と耳毒性が最も重要な副作用です。腎毒性は腎機能を低下させる可能性があり、腎機能が低下している患者や高齢者では特に注意が必要です。耳毒性は内耳の聴覚細胞や前庭細胞に影響を与え、聴力低下や耳鳴り、めまいなどを引き起こす可能性があります。これらの副作用は不可逆的(回復しない)なこともあるため、注射薬の使用中は定期的な血液検査や聴力検査が行われます。
ゲンタマイシンの使用を避けるべきケースとしては、以下のものが挙げられます。ゲンタマイシンや他のアミノグリコシド系抗生物質に対するアレルギー歴がある方は使用できません。また、注射薬については腎機能障害がある方、重症筋無力症の方(神経筋接合部への影響があるため)なども使用に慎重さが求められます。
妊婦や授乳中の方への使用については、注射薬は胎盤を通過して胎児に達する可能性があり、胎児の耳毒性が報告されているため、原則として使用が避けられます。点眼薬や軟膏については全身への吸収量が少ないとされていますが、使用の必要性と安全性を医師が慎重に判断します。いずれにせよ、妊娠中や授乳中の方は自己判断で使用せず、必ず医師に相談してください。
Q. ゲンタマイシン注射薬にはどのような重大な副作用がありますか?
ゲンタマイシン注射薬の重大な副作用として、腎毒性と耳毒性が挙げられます。腎毒性は腎機能を低下させ、高齢者や腎機能障害のある方で特に注意が必要です。耳毒性は聴力低下・耳鳴り・めまいを引き起こす可能性があり、不可逆的になる場合もあるため、使用中は定期的な血液検査や聴力検査による厳重な管理が不可欠です。
✨ 9. 自己判断での使用が危険な理由
目の症状や皮膚の感染症が疑われるとき、医師の診察を受けずに抗菌薬を自己判断で使用することには多くの危険が伴います。ゲンタマイシンに限らず、抗菌薬全般について言えることですが、適切な診断なしでの使用は以下のような問題を引き起こす可能性があります。
第一に、誤った診断による治療の遅れです。目の充血や目やには細菌性感染症だけでなく、ウイルス性結膜炎、アレルギー性結膜炎、ドライアイ、角膜異物など、さまざまな原因で生じます。細菌以外の原因による症状に抗菌薬を使用しても改善は見込めず、本当に必要な治療を受ける機会を逃すことになります。特にウイルス性の流行性角結膜炎(アデノウイルスによる)は感染力が非常に強く、早期に適切な対処をしないと感染が広がるリスクがあります。
第二に、薬剤耐性菌の問題です。不必要な場面での抗菌薬使用や、不適切な量・期間での使用は、細菌が薬に対して耐性を獲得するきっかけとなります。耐性菌が増えると、将来的に本当に抗菌薬が必要な感染症が生じたときに治療が難しくなります。これは個人の問題だけでなく、社会全体の公衆衛生上の問題でもあります。
第三に、副作用のリスクです。特に注射薬のゲンタマイシンを適切な管理なしに使用した場合、腎毒性や耳毒性という重大な副作用が生じる可能性があります。点眼薬や軟膏であっても、アレルギー反応などが生じる可能性があり、自己判断での使用では副作用への対処が遅れる危険があります。
第四に、適切な薬剤の選択ができない問題があります。どの細菌がどの抗菌薬に感受性があるかは、培養検査や感受性試験によって確認されます。医師はこうした情報をもとに最適な抗菌薬を選択します。自己判断では、有効ではない抗菌薬を使い続けて症状が悪化するリスクがあります。
これらの理由から、感染症が疑われる症状が現れたときは、自己判断での対処に頼らず、医療機関を受診することが最善です。
📌 10. 目の感染症が疑われるときにすべきこと

目やにが増えた、目が充血している、目が痛い・しみるといった症状が現れたとき、何をすべきかを理解しておくことは大切です。
まず、目をこすることは避けましょう。目をこすると感染が広がったり、角膜を傷つけたりする恐れがあります。特に片方の目に症状が出ている場合、もう一方の目やほかの人へ感染を広げるリスクがあるため、手を頻繁に洗い、タオルや枕カバーなどを共用しないようにしてください。
次に、眼科を受診することを優先してください。眼科では細隙灯顕微鏡(スリットランプ)という専用の機器を使って目の状態を詳しく観察し、感染の種類や程度を判断します。涙や分泌物の培養検査を行うこともあり、原因菌を特定してから適切な抗菌薬を選択することができます。
受診が難しい状況の場合には、一時的な応急処置として市販の人工涙液(防腐剤フリーのもの)で目を洗い流すことは、異物感の軽減に役立つことがあります。ただし、これはあくまでも応急処置であり、症状が改善しない場合や悪化した場合はできるだけ早く医療機関を受診してください。
特に以下の場合は緊急性が高く、速やかに眼科を受診する必要があります。視力の低下や視野の異常がある場合、目の痛みが強い場合、角膜(目の黒い部分)に白い濁りが見える場合、症状が急激に悪化している場合などです。これらは重篤な眼疾患のサインである可能性があり、早期の治療が重要です。
また、コンタクトレンズを使用している方は、目に症状が出ている間はコンタクトレンズの使用を中止してください。感染が悪化したり、コンタクトレンズが感染巣となったりするリスクがあります。眼科を受診する際は、コンタクトレンズを外した状態で来院することが望ましいです。
子供の場合は、自分で症状を的確に訴えることが難しいことがあります。目をよくこする、目が赤くなっている、目やにが多い、まぶたが腫れているなどの様子が見られたら、早めに小児科や眼科を受診させてあげてください。
皮膚の感染症についても同様で、皮膚が赤くなって熱を持っている、膿が出ている、痛みや腫れがある、症状が広がっているといった場合は、皮膚科を受診することを勧めます。特に発熱を伴う場合や感染が急速に広がっていると感じる場合は、より重篤な感染症の可能性があるため、速やかに医療機関へ行くことが大切です。
👨⚕️ 【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「目やにや充血を訴えて来院された患者様の中に、市販薬や個人輸入で入手した薬を自己判断で使用されてから症状が悪化したケースを少なからず経験しております。ゲンタマイシンはアミノグリコシド系の有効な抗菌薬ですが、ウイルス性やアレルギー性の結膜炎には全く効果がなく、正確な診断なしに使用することは治療の遅れや耐性菌の問題につながる恐れがあります。」
🎯 よくある質問
いいえ、ゲンタマイシンは日本国内では市販されていません。医師の処方箋が必要な「医療用医薬品」に分類されており、ドラッグストアや薬局で処方箋なしに購入することはできません。入手するには、眼科・皮膚科などの医療機関を受診し、医師に処方してもらう必要があります。
市販の抗菌目薬はサルファ剤(スルファメトキサゾール)を主成分とし、軽度の細菌性結膜炎への使用が認められています。一方、ゲンタマイシンはアミノグリコシド系抗生物質で、緑膿菌など難治性の細菌にも効果を発揮する強力な抗菌薬です。その分副作用のリスクも高く、医師の管理のもとでの使用が必要です。
避けるべきです。個人輸入による医薬品の入手は、品質が保証されていない、使用方法が不明確、日本の薬事法に抵触する可能性があるなど多くのリスクを伴います。アイシークリニックでも、個人輸入した薬を自己判断で使用し症状が悪化したケースを経験しています。必ず医師の診察・処方を経て入手してください。
いいえ、自己判断での使用は危険です。目の充血や目やには、細菌性のほかにウイルス性・アレルギー性など原因が多岐にわたります。原因が細菌でない場合、抗菌薬を使用しても効果はなく、適切な治療が遅れる恐れがあります。正確な診断のために、まず眼科を受診することをおすすめします。
点眼薬では点眼後のしみる感じ・かゆみ・充血などが起こる場合があります。軟膏では皮膚のかゆみや接触性皮膚炎が生じることがあります。注射薬では腎毒性(腎機能低下)と耳毒性(聴力低下・耳鳴り)が重大な副作用であり、不可逆的になる場合もあるため、使用中は定期的な検査による厳重な管理が必要です。
📋 まとめ
ゲンタマイシンはアミノグリコシド系の抗生物質で、細菌性の目の感染症や皮膚感染症、全身性の感染症など幅広い疾患の治療に使われる重要な薬です。しかし、日本国内ではゲンタマイシンを含む製剤は市販されておらず、医師の処方箋がなければ入手できない医療用医薬品です。
市販薬として購入できる抗菌目薬にはサルファ剤を主成分とするものがありますが、ゲンタマイシンとは異なる成分であり、適応や抗菌力も異なります。重篤な感染症や市販薬で改善しない場合は、必ず医療機関を受診することが重要です。
インターネットを通じた個人輸入など、正規ルート以外でのゲンタマイシンの入手は、品質の保証がなく安全性のリスクが高いため、避けるべきです。適切にゲンタマイシンを入手するためには、眼科・皮膚科・耳鼻咽喉科・内科などの医療機関を受診し、医師に処方してもらうことが唯一の正しい方法です。
目の症状や皮膚の感染症が疑われる場合は、自己判断での対処に頼らず、専門の医療機関を受診するようにしましょう。特に症状が強い場合や急激に悪化している場合は、早期受診が症状の改善や重症化予防に非常に重要です。適切な診断と治療を受けることで、回復を早め、薬剤耐性菌の増加という社会的な問題の防止にもつながります。
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📚 参考文献
- 厚生労働省 – 医療用医薬品と一般用医薬品(OTC医薬品)の分類、処方箋医薬品の規制、薬事法に関する情報。ゲンタマイシンが処方薬である根拠および市販されていない理由の裏付けとして参照。
- 国立感染症研究所 – 薬剤耐性菌(AMR)に関する情報。アミノグリコシド系抗菌薬の不適切使用による耐性菌出現リスク、抗菌薬適正使用の重要性について記事内容を裏付ける情報として参照。
- WHO(世界保健機関) – 抗菌薬耐性(AMR)に関するファクトシート。ゲンタマイシンを含む抗菌薬の自己判断使用が引き起こす耐性菌問題および公衆衛生上のリスクについて、国際的な観点から裏付ける情報として参照。
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務