食あたりは何時間後に症状が出る?潜伏期間や原因別の特徴を医師が解説

「食事の後にお腹が痛くなったけど、これって食あたり?」「食あたりの症状は食べてから何時間後に出るの?」といった疑問をお持ちの方は多いのではないでしょうか。食あたり(食中毒)は、原因となる細菌やウイルスによって症状が現れるまでの時間(潜伏期間)が大きく異なります。早いものでは30分程度で症状が出ることもあれば、数日経ってから発症するケースもあるため、原因の特定が難しいこともあります。

本記事では、食あたりの主な症状や潜伏期間、原因物質別の特徴、そして病院を受診すべき目安について詳しく解説します。正しい知識を身につけて、万が一の際に適切な対応ができるようにしましょう。

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目次

  1. 食あたり(食中毒)とは
  2. 食あたりの症状が出るまでの時間(潜伏期間)
  3. 原因物質別の潜伏期間と症状の特徴
  4. 食あたりの主な症状
  5. 重症化のサインと病院を受診すべき目安
  6. 食あたりになったときの対処法
  7. 食中毒を予防するための三原則
  8. 特に注意が必要な方
  9. よくある質問
  10. まとめ

🦠 食あたり(食中毒)とは

食あたり(食中毒)とは、有害な微生物(細菌やウイルスなど)や化学物質、自然毒などが含まれた飲食物を摂取することによって起こる健康障害のことです。厚生労働省のデータによると、2024年の食中毒発生件数は1,000件以上に上り、患者数は14,000人を超えています。

食中毒の原因は大きく分けて、以下の5つに分類されます:

  • 細菌性食中毒
  • ウイルス性食中毒
  • 寄生虫による食中毒
  • 自然毒(フグやキノコなど)による食中毒
  • 化学物質による食中毒

このうち、発生件数として最も多いのはアニサキスなどの寄生虫によるもので、次いでノロウイルス、カンピロバクターと続いています。

食中毒は夏場に多いイメージがありますが、実際には年間を通じて発生しています。細菌性の食中毒は高温多湿の夏季に多く発生する傾向がありますが、ノロウイルスなどのウイルス性食中毒は冬季に流行することが知られています。したがって、季節を問わず食品の取り扱いには十分な注意が必要です。

⏰ 食あたりの症状が出るまでの時間(潜伏期間)

食中毒の症状が出るまでの時間は、原因となる細菌やウイルスによって大きく異なります。これを「潜伏期間」と呼び、食べてから何時間後に症状が出るかは一概には言えません。潜伏期間は数十分から数日、場合によっては1週間以上かかることもあります。

⚡ 潜伏期間が短いタイプ(30分〜6時間程度)

黄色ブドウ球菌やセレウス菌(嘔吐型)などの毒素型食中毒は、細菌が食品中で産生した毒素を摂取することで発症するため、潜伏期間が非常に短いのが特徴です。食後30分から数時間で激しい嘔吐や吐き気などの症状が現れます。

また、ヒスタミンによる食中毒(アレルギー様食中毒)も数分から1時間程度と短時間で発症します。

🕐 潜伏期間が中程度のタイプ(6時間〜48時間程度)

サルモネラ菌や腸炎ビブリオ、ノロウイルスなどは、体内で菌やウイルスが増殖してから症状が現れるため、潜伏期間は半日から2日程度となります。

  • サルモネラ菌:通常8〜48時間
  • 腸炎ビブリオ:8〜24時間
  • ノロウイルス:24〜48時間

🕘 潜伏期間が長いタイプ(2日〜1週間以上)

カンピロバクターや腸管出血性大腸菌(O157など)は、潜伏期間が比較的長いのが特徴です。

  • カンピロバクター:2〜7日
  • 腸管出血性大腸菌:3〜8日程度

このため、原因となった食品を特定することが難しく、食べたことを忘れた頃に症状が出ることも少なくありません。

また、摂取した食品の量や個人の体調、免疫力などによっても潜伏期間は変動します。同じものを食べても症状が出る人と出ない人がいるのは、こうした個人差によるものです。

高桑康太 医師・当院治療責任者

食中毒の潜伏期間は原因物質によって大きく異なるため、症状が出たタイミングだけで原因を特定することは困難です。特にカンピロバクターのように1週間後に発症するケースでは、患者さんも原因食品を思い出せないことが多いです。重要なのは、症状の重さと持続期間を観察し、適切なタイミングで医療機関を受診することです。

🔬 原因物質別の潜伏期間と症状の特徴

ここでは、代表的な食中毒の原因物質ごとに、潜伏期間や症状の特徴、原因となりやすい食品について詳しく解説します。

🦠 ノロウイルス

ノロウイルスは、食中毒患者数が最も多い原因ウイルスで、特に冬季(11月〜翌年1月頃)に流行します。10〜100個という非常に少量のウイルスでも感染が成立するほど感染力が強く、二次感染も起こりやすいのが特徴です。

  • 潜伏期間:24〜48時間
  • 主な症状:吐き気、嘔吐、下痢、腹痛
  • 発熱:37〜38℃程度と比較的軽度
  • 回復期間:通常は1〜2日で症状が治まる
  • 原因食品:カキなどの二枚貝の生食、感染した調理者の手を介して汚染された食品

症状が治まった後も1〜2週間はウイルスを排出し続けるため、二次感染に注意が必要です。

🐔 カンピロバクター

カンピロバクターは、細菌性食中毒の中で最も発生件数が多い原因菌です。主に鶏肉に多く含まれており、鶏刺しや鶏たたき、加熱不十分な焼き鳥などが原因となることが多いです。

  • 潜伏期間:2〜7日と他の食中毒菌と比べて長い
  • 主な症状:腹痛、下痢(ときに血便)、発熱(38℃以下が多い)、吐き気、頭痛、倦怠感
  • 回復期間:多くは1週間程度
  • 原因食品:鶏肉(特に生や加熱不十分なもの)

初期症状が風邪と間違われることもあります。まれに感染後1〜3週間でギラン・バレー症候群という神経疾患を発症することがあり、手足の脱力や麻痺、呼吸困難などが起こる可能性があります。

🥚 サルモネラ菌

サルモネラ菌は、鶏・豚・牛などの動物の腸管や、河川・下水などに広く生息している細菌です。乾燥に強いという特徴があり、鶏卵や食肉、その加工品が主な原因食品となります。

  • 潜伏期間:通常8〜48時間(遅い場合は72時間程度)
  • 主な症状:激しい腹痛、下痢、発熱(38℃前後)、嘔吐
  • 下痢の特徴:1日数回から十数回程度で、3〜4日持続
  • 原因食品:鶏卵、食肉、その加工品

特に乳幼児や高齢者では重症化しやすく、脱水症状により命に関わることもあるため注意が必要です。

🧪 黄色ブドウ球菌

黄色ブドウ球菌は、人や動物の皮膚、鼻腔、のど、傷口などに広く生息しており、健康な人の約40%が保菌しているとされています。この菌が食品中で増殖する際に産生する「エンテロトキシン」という毒素が食中毒の原因となります。

  • 潜伏期間:30分〜6時間と非常に短い
  • 主な症状:激しい吐き気、嘔吐、腹痛、下痢
  • 特徴:嘔吐は必発症状、通常24時間以内に回復
  • 原因食品:おにぎり、寿司、弁当、サンドイッチなど素手で調理する機会の多い食品

重要な点として、この毒素は100℃で30分加熱しても分解されないため、一度毒素が産生されると加熱調理しても食中毒を防ぐことができません。

🩸 腸管出血性大腸菌(O157など)

腸管出血性大腸菌は、ベロ毒素という強力な毒素を産生する大腸菌で、O157やO111などの血清型が知られています。少量の菌でも感染が成立し、重症化すると命に関わることもあります。

  • 潜伏期間:3〜8日程度
  • 主な症状:激しい腹痛、水様性下痢、その後の血便(鮮血様)
  • 合併症:溶血性尿毒症症候群(HUS)や脳症
  • 原因食品:加熱不十分な牛肉、生野菜、井戸水

重症化すると、溶血性尿毒症症候群(HUS)や脳症などの合併症を引き起こし、死亡することもあります。

🌊 腸炎ビブリオ

腸炎ビブリオは海水中に生息する細菌で、魚介類が主な原因食品となります。増殖スピードが非常に速いのが特徴ですが、真水や酸、熱に弱いという性質があります。

  • 潜伏期間:8〜24時間(短い場合は2〜3時間)
  • 主な症状:激しい腹痛、水様性下痢、発熱(37〜38℃)、吐き気、嘔吐
  • 発生時期:特に夏季に発生が多い
  • 原因食品:刺身や寿司などの生食

🍛 ウエルシュ菌

ウエルシュ菌は土壌や水中、人や動物の腸管内に広く生息する細菌で、熱に強い芽胞を形成します。大量調理された食品を室温で放置した際に増殖しやすく、「給食病」とも呼ばれています。

  • 潜伏期間:6〜18時間(ほとんどが12時間以内)
  • 主な症状:腹痛、下痢(下腹が張ることが多い)
  • 症状の程度:比較的軽症
  • 原因食品:カレー、シチュー、スープなど大量に調理して作り置きする食品

🍚 セレウス菌

セレウス菌は土壌など自然界に広く生息し、熱に強い芽胞を形成する細菌です。「嘔吐型」と「下痢型」の2種類の食中毒を引き起こします。

嘔吐型:

  • 潜伏期間:1〜5時間と短い
  • 主症状:吐き気、嘔吐
  • 原因食品:チャーハン、ピラフ、焼きそば、パスタなどの米飯・麺類

下痢型:

  • 潜伏期間:8〜15時間
  • 主症状:下痢、腹痛
  • 原因食品:肉類や野菜を使った料理

🐟 アニサキス

アニサキスは長さ2〜3cmの白色の寄生虫で、サバ、アジ、サンマ、カツオ、イワシ、イカなどの海産魚介類に寄生しています。近年、食中毒発生件数として最も多い原因物質となっています。

胃アニサキス症:

  • 潜伏期間:数時間〜十数時間
  • 主症状:みぞおちの激しい痛み、悪心、嘔吐

腸アニサキス症:

  • 潜伏期間:十数時間〜数日
  • 主症状:激しい下腹部痛や腹膜炎症状

予防には十分な加熱(60℃で1分以上)または冷凍(-20℃で24時間以上)が有効です。

⚠️ ボツリヌス菌

ボツリヌス菌は土壌などに広く分布し、缶詰、瓶詰、真空パック食品など酸素のない環境で増殖して毒素を産生します。この毒素は神経毒で、非常に強力です。

  • 潜伏期間:8〜36時間
  • 主な症状:吐き気、嘔吐、視力障害、言語障害、嚥下困難などの神経症状
  • 重篤な症状:呼吸筋の麻痺により死亡することも
  • 注意点:1歳未満の乳児にはちみつを与えると乳児ボツリヌス症を発症する危険

🤒 食あたりの主な症状

食中毒の一般的な症状は、下痢、腹痛、嘔吐、発熱などです。ただし、食中毒特有の症状というものはなく、風邪や他の胃腸疾患と間違われることもよくあります。食事後、数時間から数日してからこれらの症状が起きた場合には、食中毒が疑われます。

🏥 消化器症状

最も一般的な症状は消化器系の症状です。具体的には以下があります:

  • 下痢(水様便、粘液便、血便など)
  • 腹痛(差し込むような痛み、持続的な痛みなど)
  • 吐き気・嘔吐
  • 食欲不振
  • 腹部膨満感

原因物質によって症状の特徴が異なり、黄色ブドウ球菌では嘔吐が必発症状となる一方、ウエルシュ菌では下痢が主症状となります。

🌡️ 全身症状

消化器症状に加えて、以下のような全身症状を伴うこともあります:

  • 発熱
  • 頭痛
  • 倦怠感
  • 筋肉痛
  • 悪寒

サルモネラ菌やカンピロバクターによる食中毒では、比較的高い熱(38℃前後)が出ることがあります。また、カンピロバクター食中毒の初期症状は風邪と間違われることもあるため注意が必要です。

🧠 神経症状

フグやキノコなどの自然毒による食中毒や、ボツリヌス菌による食中毒では、神経症状が現れることがあります:

  • しびれ
  • 麻痺
  • 視力障害
  • 言語障害
  • 嚥下困難
  • 呼吸困難

これらの症状が見られた場合は、命に関わる可能性があるため、直ちに救急車を呼んで病院を受診してください

🐟 アレルギー様症状

ヒスタミンによる食中毒では、以下のようなアレルギーに似た症状が現れます:

  • じんましん
  • 発疹
  • 顔面の紅潮
  • 頭痛
  • 発熱

マグロやカツオなどの赤身魚に含まれるヒスチジンが、細菌によってヒスタミンに変換されることで起こります。通常は症状が軽く、6〜10時間程度で回復します。

🚨 重症化のサインと病院を受診すべき目安

食中毒の多くは自然に回復しますが、中には重症化して命に関わるケースもあります。以下のような症状がある場合は、早急に医療機関を受診してください。

🏥 すぐに病院を受診すべき症状

以下の症状がある場合は、速やかに医療機関を受診しましょう:

  • 1日10回以上の激しい下痢や嘔吐が続く
  • 便に血が混じる(血便)
  • 激しい腹痛が持続する
  • 高熱(38.5℃以上)が続く
  • 水分が摂取できない、または摂取しても吐いてしまう
  • 意識がもうろうとする、ぐったりしているなどの意識障害

🚑 救急車を呼ぶべき症状

以下の症状がある場合は、命に関わる可能性があります。迷わず救急車を呼んでください:

  • フグやキノコを食べた後のしびれ、麻痺、呼吸困難、視力障害
  • 呼吸困難
  • 意識消失
  • けいれん

💧 脱水症状のサイン

下痢や嘔吐が続くと、体内の水分や電解質が失われ、脱水症状を起こす危険があります。脱水症状のサインとしては以下があります:

  • 尿の量が減る
  • 尿の色が濃くなる
  • 口や唇が乾く
  • 皮膚の弾力がなくなる
  • めまいや立ちくらみがする
  • 頭痛がする
  • ぐったりする

特に乳幼児や高齢者は脱水症状を起こしやすく、重症化しやすいため、早めの対応が重要です。

📝 受診時に伝えるべきこと

医療機関を受診する際は、以下の情報を伝えられるように準備しておくと、診断の助けになります:

  • 過去2〜3日間に食べた食事の内容
  • 症状が始まった時間と経過
  • 現在の症状(下痢の回数、嘔吐の回数、発熱の有無など)
  • 同じものを食べた家族や友人に同様の症状があるかどうか

🏠 食あたりになったときの対処法

食中毒になってしまった場合、症状が軽いうちは自宅で適切に対処することで回復を促すことができます。ただし、症状が重い場合や改善しない場合は、必ず医療機関を受診してください。

💧 水分補給を心がける

下痢や嘔吐によって体内の水分や電解質が失われるため、脱水症状を防ぐための水分補給が最も重要です。

適切な水分補給のポイント:

  • 水よりも経口補水液やスポーツドリンク(水で薄めたもの)が適している
  • 少量ずつこまめに摂取する(一度に大量に飲むと嘔吐を誘発)
  • 冷たすぎる飲み物は避け、常温か少し温めたものがおすすめ

💊 下痢止めや解熱剤は自己判断で使用しない

下痢や嘔吐は、体内に侵入した細菌やウイルス、毒素を排出しようとする体の防御反応です。下痢止めを自己判断で服用すると、これらの有害物質が体内に留まってしまい、かえって症状が長引いたり悪化したりする可能性があります。

同様に、解熱鎮痛剤も症状を悪化させることがあるため、自己判断での使用は避けましょう。薬の使用については、必ず医師に相談してください。

🛏️ 安静にして体を休める

食中毒になったら、無理をせず安静にして体を休めることが大切です。

安静時の注意点:

  • 横になる際は、仰向けではなく横向きで寝る(嘔吐物がのどに詰まるのを防ぐため)
  • 乳幼児や高齢者の場合は、吐いたものが口の中にあれば取り除く

🍚 消化の良い食事を少量ずつ

嘔吐や下痢がひどい間は無理に食事をする必要はありません。症状が落ち着いてきたら、消化の良い食べ物を少量ずつ摂取するようにしましょう。

おすすめの食品:

  • おかゆ
  • うどん
  • 白身魚
  • バナナ
  • りんごのすりおろし

避けるべき食品:

  • 脂っこいもの
  • 刺激の強いもの
  • 乳製品
  • アルコール
  • カフェイン

🧼 二次感染を防ぐ

ノロウイルスなど感染力の強い病原体による食中毒の場合、家族への二次感染を防ぐことも重要です。

感染防止対策:

  • トイレの後や嘔吐物・便の処理後は石けんで丁寧に手を洗う
  • 嘔吐物や便の処理は使い捨て手袋とマスクを着用して行う
  • 汚染された場所は次亜塩素酸ナトリウム(塩素系漂白剤)で消毒する
  • タオルや食器は共用しない

🛡️ 食中毒を予防するための三原則

食中毒を予防するためには、「つけない」「ふやさない」「やっつける」の三原則を守ることが大切です。これらを日常的に実践することで、食中毒のリスクを大幅に減らすことができます。

🧽 つけない(清潔)

食中毒菌を食品につけないようにすることが第一歩です。

清潔を保つポイント:

  • 調理前、食事前、トイレの後、生肉や生魚を触った後は必ず石けんで手を洗う
  • 生肉や生魚を切った包丁やまな板は、他の食品に使用する前によく洗浄・消毒する
  • 生肉を扱う箸やトングと、焼けた肉を取り分ける箸は別々にする

手洗いは、手指に付着した細菌やウイルスを減らす最も有効な方法です。

❄️ ふやさない(迅速・冷却)

多くの細菌は10〜60℃の温度帯で増殖しやすいため、この温度帯に食品を長時間置かないことが重要です。

適切な温度管理:

  • 生鮮食品は購入後すぐに冷蔵庫(10℃以下)や冷凍庫(-15℃以下)に入れる
  • 冷蔵庫の詰め過ぎは冷却効率を下げるため、7割程度を目安にする
  • 調理済みの食品も室温に長時間放置せず、早めに食べるか冷蔵庫で保存する
  • 特に夏場は細菌が増殖しやすいので注意が必要

🔥 やっつける(加熱・消毒)

多くの細菌やウイルスは加熱によって死滅します。

効果的な加熱・消毒方法:

  • 肉や魚は中心部まで十分に加熱(中心温度75℃以上で1分以上)
  • 二枚貝はノロウイルスのリスクがあるため、中心温度85〜90℃で90秒以上加熱
  • 調理器具は使用後によく洗浄し、熱湯消毒や塩素系消毒剤で消毒する

🦠 ノロウイルス予防の追加ポイント

ノロウイルスは感染力が非常に強く、アルコール消毒では十分に不活化できないという特徴があります。そのため、「持ち込まない」「ひろげない」を加えた予防4原則が推奨されています。

追加の予防策:

  • 下痢や嘔吐などの症状がある場合は、食品を取り扱う作業を控える
  • 感染者の嘔吐物や便の処理には次亜塩素酸ナトリウム(塩素系漂白剤を薄めたもの)を使用

⚠️ 特に注意が必要な方

食中毒は誰でもかかる可能性がありますが、以下のような方は重症化しやすいため、特に注意が必要です。

👶 乳幼児

乳幼児は免疫機能が未発達であり、体内の水分量も多いため、下痢や嘔吐による脱水症状を起こしやすいです。

乳幼児への注意点:

  • 自分で症状を訴えることができないため、保護者が注意深く観察する必要がある
  • 1歳未満の乳児には、ボツリヌス症のリスクがあるため、はちみつは絶対に与えない

👴 高齢者

高齢者は免疫機能や身体機能が低下しているため、食中毒にかかりやすく、また重症化しやすい傾向があります。

高齢者への注意点:

  • 脱水症状を起こしやすい
  • 誤嚥(嘔吐物がのどに詰まること)のリスクが高い
  • 食事の際は十分な加熱を心がけ、生ものや半生の食品は避ける

🤱 妊婦

妊婦は免疫機能が変化しているため、リステリア菌などの一部の細菌に感染しやすくなっています。

妊婦への注意点:

  • リステリア症は流産や早産、新生児への感染を引き起こす可能性がある
  • 生ハム、ナチュラルチーズ、スモークサーモンなどの食品は避ける
  • ノロウイルスに感染しても胎児への直接的な影響はないとされているが、脱水症状には注意が必要

🩺 免疫機能が低下している方

以下のような方は、食中毒にかかりやすく、また重症化しやすいです:

  • がんの治療中の方
  • 臓器移植を受けた方
  • HIV感染者
  • 免疫抑制剤を服用している方

生ものを避け、十分に加熱した食品を摂取するよう心がけてください。

🩺 免疫機能が低下している方

❓ よくある質問

食あたりの症状は食べてから何時間後に出ますか?

食あたりの症状が出るまでの時間(潜伏期間)は、原因となる細菌やウイルスによって異なります。黄色ブドウ球菌では30分〜6時間、ノロウイルスでは24〜48時間、カンピロバクターでは2〜7日というように、数十分から1週間以上まで幅があります。同じ原因菌でも、摂取量や体調によって潜伏期間が変わることもあります。

食あたりはどのくらいで治りますか?

食中毒が治るまでの期間は原因物質によって異なりますが、多くの場合は数日から1週間程度で回復します。黄色ブドウ球菌による食中毒は通常24時間以内に回復し、ノロウイルスは1〜2日、サルモネラは3日〜1週間程度で症状が治まります。ただし、重症化した場合や高齢者・乳幼児では、回復に時間がかかることがあります。

食あたりで病院に行く目安は?

1日10回以上の激しい下痢や嘔吐が続く場合、血便がある場合、水分が摂取できない場合、高熱が続く場合、意識がもうろうとする場合などは、すぐに医療機関を受診してください。また、フグやキノコを食べた後にしびれや呼吸困難がある場合は、救急車を呼んでください。乳幼児や高齢者は重症化しやすいため、早めの受診をおすすめします。

食あたりのとき、下痢止めを飲んでもいいですか?

自己判断で下痢止めを服用することは避けてください。下痢は体内の細菌やウイルス、毒素を排出しようとする体の防御反応です。下痢止めを使うと、これらの有害物質が体内に留まり、かえって症状が長引いたり悪化したりする可能性があります。薬の使用については、必ず医師に相談してください。

食中毒は人にうつりますか?

食中毒の原因によっては人から人へ感染することがあります。特にノロウイルスは感染力が非常に強く、感染者の嘔吐物や便を介して二次感染が起こりやすいです。症状が治まった後も1〜2週間はウイルスを排出し続けるため、手洗いの徹底や嘔吐物の適切な処理が重要です。一方、黄色ブドウ球菌など毒素型の食中毒は人から人へは感染しません。

食中毒を予防するにはどうすればいいですか?

食中毒予防の基本は「つけない」「ふやさない」「やっつける」の三原則です。調理前後の手洗いを徹底し、生肉と他の食品を分けて扱うこと(つけない)、食品は適切な温度で保存し室温に長時間放置しないこと(ふやさない)、肉や魚は中心部まで十分に加熱すること(やっつける)を心がけましょう。特に肉類は中心温度75℃以上で1分以上加熱することが推奨されています。

📝 まとめ

食あたり(食中毒)は、原因となる細菌やウイルスによって症状が現れるまでの時間が大きく異なります。黄色ブドウ球菌のように食後30分程度で発症するものから、カンピロバクターのように1週間後に発症するものまで様々です。主な症状は下痢、腹痛、嘔吐、発熱などですが、原因物質によって特徴が異なります。

多くの食中毒は適切な水分補給と安静によって自然に回復しますが、激しい症状が続く場合、血便がある場合、水分が摂取できない場合などは、速やかに医療機関を受診してください。特に乳幼児や高齢者、免疫機能が低下している方は重症化しやすいため、早めの対応が重要です。

食中毒予防の基本は「つけない」「ふやさない」「やっつける」の三原則です。手洗いの徹底、適切な温度管理、十分な加熱調理を心がけることで、食中毒のリスクを大幅に減らすことができます。日頃から食品の取り扱いに注意し、安全で楽しい食生活を送りましょう。


参考文献

監修者医師

高桑 康太 医師

保有資格

ミラドライ認定医

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任
  • 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
  • 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
  • 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
  • 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報

佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
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