はじめに
「やけどをしたらすぐに冷やす」というのは、多くの方がご存知の応急処置です。しかし、インターネット上では「やけどに冷水はダメ」という情報を目にすることがあり、混乱されている方も少なくありません。
この記事では、やけどの応急処置における「冷水」の使い方について、誤解を解きながら正しい知識をお伝えします。なぜ「冷水がダメ」と言われることがあるのか、本当に避けるべきことは何か、そして最も効果的な冷却方法について、専門医の視点から詳しく解説していきます。
やけどは日常生活で最も頻繁に起こる外傷の一つです。料理中の油跳ね、熱い飲み物をこぼす、ヘアアイロンでの接触など、誰もが経験する可能性があります。正しい知識を持つことで、やけどの重症化を防ぎ、きれいに治すことができます。

やけど(熱傷)の基礎知識
やけどとは何か
やけどは医学用語で「熱傷(ねっしょう)」と呼ばれ、熱によって皮膚や粘膜が損傷を受けた状態を指します。熱源には、熱湯や油などの高温液体、火炎、熱い物体への接触、蒸気、化学物質、電気、放射線などがあります。
日本では年間約50万人がやけどで医療機関を受診しており、そのうち約1万人が入院治療を必要とすると推定されています。特に小さなお子様や高齢者は、やけどのリスクが高く、また重症化しやすい傾向があります。
やけどの深さによる分類
やけどの重症度は、主に「深さ」と「広さ」によって判断されます。深さによる分類は以下の通りです。
Ⅰ度熱傷(表皮熱傷)
皮膚の最も表面にある表皮のみが損傷された状態です。日焼けがこれに該当します。
- 症状:赤くなる、ヒリヒリする痛み、軽い腫れ
- 水ぶくれ:できない
- 治癒期間:3〜4日程度
- 痕:残らない
浅達性Ⅱ度熱傷(真皮浅層熱傷)
表皮を超えて、その下の真皮の浅い層まで損傷が及んだ状態です。
- 症状:強い痛み、赤み、水ぶくれ
- 水ぶくれ:できる(薄い水疱)
- 治癒期間:1〜2週間程度
- 痕:適切に処置すれば残りにくい
深達性Ⅱ度熱傷(真皮深層熱傷)
真皮のより深い層まで損傷が及んだ状態です。
- 症状:痛みは浅達性Ⅱ度より軽い場合も、赤から白っぽい色、厚い水ぶくれ
- 水ぶくれ:できる(厚い水疱)
- 治癒期間:3〜4週間以上
- 痕:瘢痕(はんこん)として残りやすい
Ⅲ度熱傷(全層熱傷)
皮膚の全層が損傷され、皮下組織にまで達した最も重症の状態です。
- 症状:痛みを感じない(神経が損傷されているため)、白色または黒く焦げた外観、乾燥
- 水ぶくれ:できない
- 治癒期間:自然治癒は困難、手術が必要
- 痕:必ず残る、皮膚移植が必要な場合も
やけどの広さと重症度
やけどの広さは「体表面積の何%を占めるか」で評価されます。一般的に、成人では手のひら1枚分が体表面積の約1%に相当するとされています。
広範囲のやけど(成人で10%以上、小児や高齢者で5%以上)は、全身状態に影響を及ぼし、ショック状態を引き起こすことがあります。この場合は緊急の医療処置が必要です。
「やけどに冷水はダメ」の誤解と真実
なぜ「冷水がダメ」と言われるのか
「やけどに冷水はダメ」という情報が広まっている背景には、いくつかの誤解と、特殊な状況での注意点が混同されています。
誤解1:冷たすぎる水は凍傷を起こす
「氷水や冷水で冷やしすぎると凍傷になる」という情報から、「冷水はダメ」と解釈されることがあります。確かに、氷を直接患部に当てたり、極端に冷たい水で長時間冷やし続けることは、血流障害や低体温を引き起こす可能性があります。
しかし、これは「流水での適切な冷却」を否定するものではありません。15〜20℃程度の流水であれば、凍傷のリスクはほとんどありません。
誤解2:広範囲のやけどでは体温低下が危険
広範囲のやけど(体表面積の20%以上)や、小児・高齢者の場合、長時間の冷却は体温を著しく低下させ、ショック状態を悪化させる可能性があります。
このため、救急医療の現場では「広範囲熱傷では過度な冷却を避ける」という指針があります。しかし、これは「一般的な小範囲のやけどでも冷やしてはいけない」という意味ではありません。
誤解3:水ぶくれができるから冷やさない方がいい
「冷やすと水ぶくれができる」と考える方もいますが、これは因果関係が逆です。水ぶくれは、やけどの深さがⅡ度以上に達した場合にできるものであり、冷却によって引き起こされるものではありません。むしろ、適切な冷却は組織損傷の進行を抑え、水ぶくれの形成を最小限にする効果があります。
医学的に正しい見解
日本熱傷学会や日本皮膚科学会の治療ガイドラインでは、やけどの初期対応として「流水での冷却」を明確に推奨しています。総務省消防庁が発行する救急処置のガイドラインでも、やけどの応急処置の第一歩として冷却が記載されています。
適切な冷却には以下の効果があります:
- 痛みの軽減:冷却によって神経の興奮が抑えられ、痛みが和らぎます
- 組織損傷の進行抑制:やけど直後も、熱によって組織の損傷は進行し続けます。冷却することで、この二次的な損傷を最小限に抑えられます
- 炎症反応の抑制:冷却は炎症性物質の放出を減らし、腫れや赤みを軽減します
- 感染リスクの低減:早期の適切な冷却は、創傷の治癒を促進し、感染のリスクを下げます
「冷水がダメ」な特殊なケース
以下のような特殊な状況では、冷却方法に注意が必要、または冷却を避けるべき場合があります:
広範囲の重度熱傷
- 体表面積の20%以上に及ぶやけど
- この場合は体温低下のリスクが高いため、救急車を呼び、医療従事者の指示に従います
化学熱傷
- 化学物質によるやけどの場合、物質によっては水と反応して発熱するものもあります
- 化学物質の種類を確認し、適切な処置が必要です
低温熱傷
- カイロや湯たんぽなど、それほど高温でない熱源に長時間接触して起こるやけど
- この場合も基本的には冷却しますが、すでに深いやけどになっている可能性が高いため、早期の受診が重要です
極端な低体温状態
- すでに低体温症の状態にある場合
- 冬季の屋外など、周囲温度が極端に低い環境
正しいやけどの冷却方法
基本原則:「すぐに、流水で、十分に」
やけどの応急処置で最も重要なのは、できるだけ早く冷却を開始することです。時間が経つほど、熱による組織損傷は進行してしまいます。
具体的な冷却手順
1. すぐに熱源から離れる
やけどをした瞬間、まずは熱源から体を離します。衣服に熱湯がかかった場合なども、すぐに熱源を除去することが優先です。
2. 流水で冷やす(15〜30分間)
- 水道水を流しっぱなしにして、患部に直接当てます
- 水温は15〜20℃程度が理想的です(通常の水道水で問題ありません)
- 冷却時間は少なくとも15分間、できれば20〜30分間続けます
- 水流は強すぎないように調整します(患部を痛めないため)
3. 衣服の上からのやけどの場合
- 無理に脱がさず、衣服の上から冷やします
- 服を脱ごうとすると、皮膚も一緒に剥がれてしまう危険があります
- 十分に冷やした後、慎重に衣服を脱がすか、医療機関で処置してもらいます
4. 指輪や時計は早めに外す
- やけどの部位が腫れる前に、指輪や時計などのアクセサリーは外します
- 腫れてからでは外せなくなり、血流障害を起こす可能性があります
5. 冷却後の対応
- 清潔なガーゼやタオルで優しく覆います
- 水ぶくれは破らないようにします
- 必要に応じて医療機関を受診します
部位別の冷却方法
顔や頭部のやけど
- 洗面器やボウルに水を張り、清潔なタオルやガーゼを浸して患部に当てます
- タオルが温かくなったら、冷たい水で冷やし直して再度当てます
- 直接流水をかけるのが難しい部位です
手や腕のやけど
- 洗面器やバケツに水を張り、患部を浸します
- または流水を直接当てます
- 広範囲の場合はシャワーも活用できます
体幹部のやけど
- 広範囲の場合、シャワーで冷やすか、濡れタオルを当てます
- 全身が濡れて体温が下がりすぎないよう注意します
口の中のやけど
- 冷たい水を含んでゆすぎます
- 氷を口に含むのも効果的です
やってはいけない冷却方法
氷を直接当てる
- 凍傷のリスクがあります
- 血流が悪くなり、治りが遅くなる可能性があります
- どうしても氷を使う場合は、タオルで包んで使用します
氷水に長時間浸す
- 極端に冷たい水は血管を収縮させすぎます
- 15℃以下の水は避けるべきです
冷却シートやアイスノンを直接貼る
- 十分な冷却効果が得られません
- 密着しすぎて、皮膚を痛める可能性もあります
間欠的な冷却
- 冷やしたり止めたりを繰り返すと効果が半減します
- 最初の15〜30分間は連続して冷やし続けることが重要です
やけどにやってはいけない民間療法
適切な冷却以外に、やけどに対して民間で信じられている処置の中には、医学的に推奨されないものが多くあります。これらは治療を遅らせたり、感染のリスクを高めたり、医師の診察を困難にする可能性があります。
絶対に避けるべき処置
アロエを塗る
昔から「やけどにはアロエ」という言い伝えがありますが、これは医学的には推奨されません。
- 滅菌されていないため感染のリスクがあります
- 医師が創面を観察する際の妨げになります
- アレルギー反応を起こす可能性もあります
味噌、醤油、油を塗る
これも民間療法として知られていますが、絶対に行ってはいけません。
- 感染症の原因になります
- 組織の損傷を悪化させる可能性があります
- 医療機関での処置前に洗い流す必要が生じ、患者様に負担がかかります
消毒薬を使用する
一般的な消毒薬(マキロンなど)も、やけどには使用しないでください。
- 組織を傷つけ、治癒を遅らせる可能性があります
- 医師の診察の妨げになります
- 痛みが強くなることもあります
軟膏やクリームを自己判断で塗る
市販の軟膏やクリームも、医師の指示なく使用するのは避けましょう。
- 適切でない薬剤は治癒を妨げます
- 医師が創面を評価できなくなります
- 感染のリスクが高まる場合もあります
水ぶくれを破る
水ぶくれ(水疱)は自然な保護層の役割を果たしています。
- 破ると感染のリスクが大幅に高まります
- 痛みが増します
- 治癒が遅くなり、痕が残りやすくなります
水ぶくれの処置は医療機関で適切に行ってもらうべきです。
なぜ民間療法が危険なのか
これらの民間療法が危険である理由は、主に以下の3点です:
- 感染症のリスク:滅菌されていない物質を創面に塗ることで、細菌感染を引き起こす可能性が高まります
- 治癒の遅延:適切でない処置は、組織の再生を妨げ、治るまでの期間を長引かせます
- 医療処置の妨げ:医師が創面の状態を正確に評価することを困難にし、適切な治療の開始が遅れます
やけどの深さ別:対処法と受診の目安
Ⅰ度熱傷(軽度)の対処法
特徴
- 赤くなっているだけ
- 水ぶくれはない
- ヒリヒリとした痛み
- 日焼けと同程度
対処法
- 15〜20分間、流水で冷やします
- 冷却後、清潔なガーゼで軽く覆うか、そのまま様子を見ます
- 市販の保湿剤やワセリンを薄く塗っても構いません(医師に確認することが望ましい)
- 数日で自然に治癒します
受診の目安
- 基本的には自宅での経過観察で問題ありません
- ただし、広範囲(手のひら10枚分以上)の場合は受診を検討してください
- 痛みが強い、数日経っても改善しない場合も受診をおすすめします
Ⅱ度熱傷(中等度)の対処法
特徴
- 赤みが強い
- 水ぶくれができる
- 強い痛み
- 料理中のやけどで多い
対処法
- 20〜30分間、流水でしっかり冷やします
- 清潔なガーゼや布で覆います
- 水ぶくれは絶対に破らないでください
- できるだけ早く医療機関を受診します
受診の目安
- 浅達性Ⅱ度でも、医療機関での処置が望ましいです
- 深達性Ⅱ度の可能性がある場合(白っぽい、感覚が鈍い)は必ず受診してください
- 水ぶくれが大きい、複数ある場合も受診が必要です
Ⅲ度熱傷(重度)の対処法
特徴
- 白色または黒く焦げている
- 痛みを感じない(神経が損傷しているため)
- 乾燥している
- 深い組織まで損傷
対処法
- 流水で冷やしますが、長時間は避けます(体温低下のリスク)
- 清潔なシーツや布で覆います
- すぐに救急車を呼ぶか、緊急で医療機関を受診してください
- 水分補給ができる場合は、水を飲ませます(意識がはっきりしている場合のみ)
受診の目安
- すべてのⅢ度熱傷は緊急医療が必要です
- 入院治療や手術が必要になる可能性が高いです
緊急で受診すべき状況
以下の場合は、迷わず救急車を呼ぶか、すぐに医療機関を受診してください:
やけどの状態による判断
- 広範囲のやけど(成人で体表面積の10%以上、小児や高齢者で5%以上)
- Ⅲ度熱傷が疑われる
- 顔、首、手、足、関節、性器のやけど
- 気道熱傷の可能性(火災現場にいた、煙を吸った、声がかすれるなど)
- 化学熱傷、電気熱傷
患者様の状態による判断
- 強い痛みが続いている
- 呼吸が苦しい
- 意識がもうろうとしている
- ショック状態(冷や汗、顔面蒼白、脈が弱いなど)
- 吐き気、嘔吐がある
- 高齢者、乳幼児、妊婦、持病がある方
その他の判断基準
- 子どもや高齢者のやけど(重症化しやすいため)
- 受傷後24時間以内に症状が悪化してきた
- 発熱、膿が出るなど感染の兆候がある
やけどの治療と経過
医療機関での治療
初期治療
医療機関では、まずやけどの深さと広さを正確に評価します。その上で、以下のような治療が行われます:
- 創部の洗浄:滅菌された生理食塩水などで丁寧に洗浄します
- デブリードマン:壊死組織がある場合は、適切に除去します
- 外用薬の塗布:症状に応じた軟膏やクリームを使用します
- ドレッシング:適切な創傷被覆材で保護します
- 痛み止めの処方:内服薬や外用薬で疼痛管理を行います
浅達性Ⅱ度熱傷の治療
- 湿潤環境を保つドレッシング材を使用
- 抗菌作用のある外用薬
- 通常1〜2週間で上皮化(皮膚が再生すること)
深達性Ⅱ度〜Ⅲ度熱傷の治療
- より高度な創傷管理が必要
- 場合によっては皮膚移植などの手術が検討されます
- 専門的な熱傷センターへの紹介が必要な場合もあります
経過中の注意点
感染予防
やけどの創部は感染しやすい状態です。以下の点に注意してください:
- 処方された薬を指示通りに使用する
- 包帯交換の頻度と方法を守る
- 創部を不潔な手で触らない
- 入浴やシャワーについて医師の指示に従う
痕を残さないために
- 医師の指示通りに通院し、適切な処置を受ける
- 紫外線対策を徹底する(日焼け止め、衣類での保護)
- 痕が残った場合は、早期からのケアが重要
- 色素沈着や肥厚性瘢痕のリスクに応じた治療を受ける
日常生活での注意
- 患部に刺激を与えない
- 保湿を心がける
- ビタミンCなど、創傷治癒を助ける栄養素を摂取する
- 十分な休息と睡眠をとる
痕が残った場合の治療
適切な初期治療を行っても、深いやけどでは痕が残ることがあります。アイシークリニック池袋院では、以下のような瘢痕治療にも対応しています:
色素沈着への対応
- ハイドロキノンなどの美白剤
- レーザー治療
- ケミカルピーリング
肥厚性瘢痕・ケロイドへの対応
- ステロイド注射
- シリコンジェルシート
- 圧迫療法
- 外科的切除(必要な場合)
これらの治療は、受傷後できるだけ早期から開始することで、より良い結果が期待できます。
やけどの予防:日常生活での注意点
家庭内でのやけど予防
キッチンでの予防
日本では、家庭内のやけど事故の多くがキッチンで発生しています。
- 調理中の注意
- 油の飛び跳ねに注意する
- 鍋やフライパンの取っ手を内側に向ける
- 熱い料理を運ぶときは周囲に声をかける
- 子どもを調理中のキッチンに近づけない
- 熱い飲食物の扱い
- コップやカップは縁から数センチ下まで注ぐ(こぼれにくくする)
- テーブルの縁に置かない
- 熱いものを持って移動するときは慎重に
- 電気ポット・ケトル
- 子どもの手の届かない場所に置く
- コードに足を引っかけないよう配置を工夫する
- 転倒防止機能のある製品を選ぶ
入浴時の予防
- 給湯温度の設定
- 給湯器の設定温度を42℃以下に設定する
- 高齢者や子どものいる家庭では40℃程度が安全
- 入浴前の確認
- 必ず手や足で温度を確認してから入浴する
- 追い焚き後は温度が上がっていることがあるので注意
- 小さな子どもの入浴
- 浴槽の温度は38〜40℃程度に
- 大人が必ず付き添う
- 浴槽の縁に座らせるときは滑り落ちないよう注意
暖房器具の使用
- ストーブ・ヒーター
- 周囲に柵やガードを設置する
- 就寝時は消す
- 衣類や布団を近くに置かない
- 湯たんぽ・カイロ
- 直接肌に触れないようにする
- 同じ場所に長時間当て続けない
- 就寝時の使用は特に注意(低温熱傷のリスク)
- こたつ・電気毛布
- 長時間の使用を避ける
- 温度設定は控えめに
- 高齢者は感覚が鈍くなっていることがあるので特に注意
子どものやけど予防
子どもは大人よりも皮膚が薄く、やけどしやすいだけでなく、重症化しやすい特徴があります。
年齢別の注意点
乳児期(0〜1歳)
- 抱っこしながらの飲食は避ける
- 哺乳瓶の温度を必ず確認する
- 入浴時の温度管理を徹底する
幼児期(1〜6歳)
- テーブルクロスを使わない(引っ張って熱いものをこぼす危険)
- ライターやマッチを手の届く場所に置かない
- 好奇心で触る可能性があるため、熱い物から遠ざける
学童期(6歳以上)
- 調理への参加は段階的に
- やけどの危険性について教育する
- アイロンやドライヤーなどの正しい使い方を指導する
高齢者のやけど予防
高齢者もやけどのハイリスク群です。特に低温熱傷に注意が必要です。
注意すべきポイント
- 感覚の低下
- 温度感覚が鈍くなっている場合がある
- 湯たんぽやカイロの長時間使用に注意
- 入浴温度の確認を習慣化する
- 判断力・反応速度の低下
- 熱いものに触れた際の反応が遅れることがある
- 調理器具の扱いにより慎重を期す
- 転倒によるやけどのリスクもある
- 認知機能の低下がある場合
- 危険の認識が難しくなることがある
- 見守りや介助が必要
- 安全装置のある器具を選ぶ
職場・外出先での注意
職場
- 業務用の高温機器の取り扱い研修を受ける
- 適切な保護具(手袋、エプロンなど)を着用する
- 緊急時の対応手順を確認しておく
外出先
- 熱い料理が運ばれてくる際は注意する
- バーベキューなど屋外での火の取り扱いに注意
- 花火は大人の監督下で行う

まとめ:やけどの応急処置で覚えておきたいポイント
やけどをしたら、まず行うべきこと
- 熱源からすぐに離れる
- すぐに流水で冷やし始める(15〜30分間)
- 衣服の上からでも冷やす(無理に脱がさない)
- 清潔なガーゼや布で覆う
- 必要に応じて医療機関を受診する
「冷水がダメ」という誤解について
- 流水での冷却は医学的に推奨されています
- 15〜20℃程度の水道水で問題ありません
- 氷を直接当てたり、極端に冷たい水を長時間使うのは避けるべきです
- 広範囲の重度熱傷や特殊なケースでは注意が必要ですが、一般的な小範囲のやけどには冷却が必須です
絶対にやってはいけないこと
- 氷を直接当てる
- 民間療法(アロエ、味噌、醤油、油など)を使う
- 消毒薬を使う
- 市販の軟膏を自己判断で塗る
- 水ぶくれを破る
こんな時はすぐに医療機関へ
- 水ぶくれができた
- 広範囲のやけど
- 深いやけど(白っぽい、痛みを感じないなど)
- 顔、首、手、足、関節、性器のやけど
- 子どもや高齢者のやけど
- 痛みが強い
- 化学物質や電気によるやけど
予防の重要性
やけどは日常生活で起こりやすい外傷ですが、多くは予防可能です:
- キッチンでの注意
- 入浴時の温度管理
- 暖房器具の安全な使用
- 子どもや高齢者への配慮
- 職場での安全対策
最後に
やけどは、適切な初期対応と早期の医療機関受診により、重症化を防ぎ、痕を残さずに治せる可能性が高まります。「冷水がダメ」という誤解にとらわれず、正しい知識に基づいて行動することが大切です。
少しでも不安がある場合は、自己判断せずに医療機関を受診してください。
皆様の健康と安全をお守りするため、この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。
参考文献
この記事は、以下の信頼できる医療情報源を参考に作成しました:
※本記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、個別の症状に対する診断や治療の代替となるものではありません。やけどをされた際は、必ず医療機関を受診してください。
監修者医師
高桑 康太 医師
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務