
💦 「汗が止まらない…これって病気?」
その悩み、体質のせいにして放置していませんか?
多汗症は、適切な治療で大きく改善できる「病気」です。原因を知らないまま放置すると、日常生活・人間関係・メンタルにまで影響が広がります。この記事を読めば、原因・セルフケア・医療機関での治療法まですべてわかります。
目次
- 多汗症とはどんな病気か
- 多汗症の種類(原発性・続発性)
- 多汗症の主な原因
- 多汗症の症状と影響
- 多汗症の診断基準
- 日常生活でできる多汗症の対策
- 医療機関での多汗症の治療法
- 多汗症を放置するリスク
- 多汗症の受診タイミングと選び方
- まとめ
この記事のポイント
多汗症は自律神経の過剰反応や遺伝・基礎疾患が原因で起こる疾患であり、イオントフォレーシスやボツリヌストキシン注射など症状・部位に応じた治療で改善が可能。体質ではなく医療で対処すべき病気として、アイシークリニック池袋院では適切な診断と個別治療を提供している。
💡 多汗症とはどんな病気か
汗をかくことは、体温を調節するための正常な生理現象です。しかし、体温調節に必要な量をはるかに超えた発汗が起こる場合、それは多汗症(hyperhidrosis)と呼ばれる疾患として扱われます。
多汗症は、手のひら・足の裏・脇・顔・頭部など、特定の部位に集中して起こることが多いほか、全身に及ぶこともあります。汗の量が多いだけでなく、シーツや衣服が濡れるほどの量になる場合や、夜間も発汗が続く場合など、生活に支障をきたすレベルの症状が見られます。
日本における多汗症の有病率は、全人口の約5〜10%程度と言われており、決して珍しい病気ではありません。しかし、「汗っかきな性格」「気にしすぎ」として自己解決しようとする方が多く、適切な治療を受けずに長年悩み続けているケースも多くあります。
多汗症は、精神的な苦痛や社会的な制限につながる疾患であり、生活の質(QOL)に大きな影響を与えます。そのため、医療機関では適切に診断・治療が行われるべき疾患として認識されています。
Q. 多汗症とはどのような疾患ですか?
多汗症とは、体温調節に必要な量を超えた過剰な発汗が起きる疾患です。手のひら・脇・足の裏・顔など特定部位に集中して発症することが多く、日本では全人口の約5〜10%に見られます。単なる汗っかき体質ではなく、医療機関で適切に診断・治療を受けるべき病気として認識されています。
📌 多汗症の種類(原発性・続発性)
多汗症は大きく「原発性多汗症」と「続発性多汗症」の2種類に分けられます。それぞれ原因や特徴が異なるため、正しく区別することが治療の第一歩となります。
✅ 原発性多汗症
原発性多汗症とは、他の疾患や薬剤などの影響によるものではなく、はっきりとした原因疾患が確認されない多汗症のことを指します。多汗症全体の約90%以上を占めるとも言われており、最も一般的なタイプです。
原発性多汗症は、手のひら・足の裏・腋窩(わきの下)・顔面・頭部など、特定の部位に限局して発症することが多く、「局所性多汗症」とも呼ばれます。思春期や若年成人に多く見られ、緊張や不安などの精神的な刺激が引き金になりやすい傾向があります。
遺伝的な要因も関与していると考えられており、家族に同様の症状を持つ方がいる場合も少なくありません。原発性多汗症の場合、睡眠中の発汗は少ないことが一般的な特徴のひとつです。
📝 続発性多汗症
続発性多汗症とは、何らかの基礎疾患や薬剤の副作用、ホルモンバランスの乱れなどを原因として発症する多汗症のことです。原発性多汗症とは異なり、全身性の発汗が起こりやすく、就寝中(夜間発汗)にも症状が現れることが特徴です。
続発性多汗症の原因となる主な疾患・状態としては、甲状腺機能亢進症、糖尿病、更年期障害、パーキンソン病、感染症、悪性腫瘍(リンパ腫など)、肥満などが挙げられます。また、抗うつ薬や一部の降圧薬・解熱鎮痛剤などの薬剤が原因となることもあります。
続発性多汗症の場合、原因となっている基礎疾患を治療することが根本的な解決につながります。そのため、多汗症の背景にある疾患を見逃さないためにも、医療機関での適切な検査・診断が重要です。
✨ 多汗症の主な原因
多汗症がなぜ起きるのか、そのメカニズムについて理解しておくことは、効果的な対策を考えるうえで役立ちます。
🔸 自律神経の過剰反応
汗の分泌は、自律神経(特に交感神経)によってコントロールされています。原発性多汗症では、この交感神経が過敏に反応しやすい状態になっており、ちょっとした刺激でも大量の汗が分泌されると考えられています。特に緊張・不安・興奮などの精神的な刺激は、交感神経を活性化させるため、汗が出やすくなります。
汗腺(エクリン腺)は全身に分布していますが、手のひら・足の裏・脇・顔面などには特に高密度に集中しています。これらの部位が多汗症の好発部位となる背景には、自律神経との関係が深く絡んでいます。
⚡ 遺伝的要因
多汗症は遺伝的な素因も関係していると言われており、家族性に発症するケースが報告されています。研究によると、原発性多汗症の患者さんの30〜60%程度に家族歴があるとされており、遺伝的な体質が発症リスクを高める可能性があります。ただし、遺伝だけで発症が決まるわけではなく、環境要因や精神的なストレスなども重要な役割を果たします。
🌟 ホルモンバランスの変化
思春期・妊娠・更年期などのホルモンバランスが大きく変化する時期には、発汗量が増加しやすくなります。特に更年期には、エストロゲンの減少によって体温調節機能が乱れ、ほてりや発汗(いわゆる「ホットフラッシュ」)が起きやすくなります。これが多汗症の発症または悪化につながることがあります。
💬 ストレスや精神的緊張
精神的なストレス・緊張・不安は、交感神経を刺激し、汗腺の活動を高めます。多汗症の方の中には、人前に出る場面や緊張を感じる場面で特に症状が強くなることを経験している方も多く、「汗をかいてしまうかもしれない」という不安そのものが発汗をさらに誘発するという悪循環が生まれることもあります。
✅ 基礎疾患・薬剤の影響
前述のとおり、甲状腺機能亢進症・糖尿病・感染症・悪性腫瘍など、さまざまな基礎疾患が多汗症の原因になり得ます。また、一部の薬剤(抗うつ薬・抗精神病薬・オピオイド系鎮痛剤など)は、副作用として発汗を増加させることが知られています。
📝 肥満・生活習慣の乱れ
肥満の方は体温が上がりやすく、体温を下げようとして発汗量が増加する傾向があります。また、アルコールの摂取や辛い食べ物(カプサイシン)・カフェインの多量摂取なども、一時的に汗を促進させる要因となります。生活習慣が乱れることで自律神経のバランスが崩れ、多汗症の症状が悪化する可能性があります。
Q. 原発性多汗症と続発性多汗症の違いは何ですか?
原発性多汗症は明確な原因疾患がなく、手のひら・脇・足の裏など特定部位に限局して発症し、全体の90%以上を占めます。続発性多汗症は甲状腺機能亢進症・糖尿病・更年期障害などの基礎疾患や薬剤の副作用が原因で、全身性の発汗や夜間発汗が特徴的に現れます。
🔍 多汗症の症状と影響
多汗症の症状は、発症部位によって異なります。主な症状の特徴と、それが日常生活に与える影響について整理してみましょう。
🔸 手のひら(手掌多汗症)
手のひらからの過剰な発汗は、「手掌多汗症」と呼ばれます。緊張していなくても汗がたれるほど出る場合があり、握手・ペンを持つ・スマートフォンの操作・楽器演奏・書類への記入など、日常的な動作に支障をきたします。
仕事や学業においても影響は大きく、紙が濡れてしまう、タッチパネルが正常に反応しない、人との接触を避けるようになるなど、生活面での制限が生じやすいです。精神的な苦痛を感じている方も多く、人前で手を出すことへの強い抵抗感を持つ方もいます。
⚡ 脇(腋窩多汗症)
腋窩(わき)の多汗症は、衣服への汗染みや臭いの問題が生じやすく、日常生活や社会生活において心理的なストレスを引き起こしやすい部位です。夏場に限らず、冬でも汗が衣服に染み出してしまうことがあり、色の濃い服や薄い服を着ることへの不安から、ファッションの選択肢が狭まることもあります。
🌟 足の裏(足底多汗症)
足の裏の多汗症は、靴の中が常に湿った状態になりやすく、白癬(水虫)などの皮膚感染症を引き起こすリスクが高まります。また、靴が滑りやすくなる、足の臭いが強くなるといった問題も伴います。
💬 顔・頭部(顔面・頭部多汗症)
顔や頭部からの発汗は、他者から見えやすいため、特に強い心理的な苦痛を伴います。食事中に顔から汗が流れ落ちる「味覚性発汗」が見られる場合もあります。メイクが崩れやすい、人前で話すときに汗が流れるなど、日常的な場面での困難が生じます。
✅ 全身性多汗症の場合
続発性多汗症では全身からの過剰な発汗が起こる場合があり、夜間の発汗(寝汗)が顕著に見られることもあります。全身性の多汗症は背景に重篤な疾患が潜んでいる可能性があるため、医療機関への受診が特に重要です。
💪 多汗症の診断基準
多汗症は自己申告だけで診断されるわけではなく、一定の診断基準に基づいて判断されます。原発性局所多汗症の診断基準として広く用いられているものを紹介します。
まず、明らかな原因なく、局所的に過剰な発汗が6か月以上続いていることが前提となります。そのうえで、以下の6つの項目のうち2つ以上を満たす場合に原発性多汗症と診断されます。
- 両側性かつ比較的対称的な発汗が認められる
- 少なくとも週に1回以上、日常生活に支障をきたす発汗エピソードがある
- 発症年齢が25歳以下である
- 家族歴がある
- 睡眠中は発汗が止まる(夜間発汗がない)
- ADL(日常生活動作)や精神的健康に悪影響が出ている
また、発汗の量を客観的に評価するために、ヨウ素デンプン反応(マイナーテスト)と呼ばれる検査が用いられることもあります。患部にヨウ素液を塗布してデンプン末を散布し、汗が出ている部位が青紫色に変色することで発汗部位と量を確認する方法です。
さらに、HDSS(Hyperhidrosis Disease Severity Scale)という発汗の重症度を評価するスコアが使用されることもあります。4段階で自覚症状を評価するもので、治療前後の比較にも活用されます。
Q. 多汗症にはどのような治療法がありますか?
多汗症の治療法は症状の部位や重症度に応じて選択されます。手掌・足底にはイオントフォレーシス(微弱電流治療)、腋窩には保険適用のボツリヌストキシン注射が有効です。そのほか高濃度塩化アルミニウム外用療法、抗コリン薬の内服、ミラドライ(マイクロ波治療)、重症例には外科的な交感神経遮断術も選択肢となります。

🎯 日常生活でできる多汗症の対策
多汗症の症状を軽減するために、日常生活の中でできる工夫や対策があります。医療機関での治療と組み合わせることで、より高い効果が期待できます。
📝 制汗剤・デオドラント製品の活用
市販の制汗剤には、塩化アルミニウムや塩化アルミニウム六水和物を成分として含むものがあります。これらの成分は汗腺の開口部に働きかけて汗の分泌を抑える効果があり、軽度から中等度の多汗症に対して一定の効果が期待できます。
特に就寝前に清潔な皮膚に塗布し、翌朝洗い流すという使用方法が一般的です。ただし、高濃度のものは皮膚への刺激が強く、かぶれや炎症を引き起こす場合があるため、皮膚が弱い方は注意が必要です。
🔸 衣類・素材の選び方
吸湿性・速乾性に優れた素材(綿や吸汗機能付きの素材)の衣類を選ぶことで、発汗による不快感を軽減できます。脇汗パッドや汗取りインナーの活用も有効です。衣服の色は、汗染みが目立ちにくい色(黒・白・ネイビーなど)を選ぶことも一つの方法です。
⚡ 食事・生活習慣の見直し
アルコール・カフェイン・辛い食べ物は発汗を促進する作用があるため、これらの過剰摂取を控えることが症状の軽減につながる場合があります。また、規則正しい生活リズムを整え、十分な睡眠をとることで自律神経のバランスを保ちやすくなります。
肥満がある場合は、適切な体重管理を行うことで発汗量が改善することがあります。運動習慣をつけることで自律神経機能が整い、日常的な過剰発汗が軽減されることもあります。
🌟 ストレスマネジメント
精神的な緊張やストレスが多汗症を悪化させるため、リラクゼーション法を取り入れることが有効です。深呼吸・瞑想・ヨガ・軽い運動など、自分に合ったストレス解消法を見つけることが大切です。
また、多汗症に対する不安や恥ずかしさを感じることで緊張が高まり、さらに発汗が増えるという悪循環が生じやすいため、心理的なアプローチも重要です。認知行動療法が効果的なケースもあり、精神科・心療内科との連携が有効な場合もあります。
💬 手浴・足浴の習慣
手のひらや足の裏の多汗症に対しては、ぬるめのお湯に10〜15分程度手や足を浸ける習慣が一定の効果を示す場合があります。これは水道水電気泳動法(イオントフォレーシス)の原理に近いもので、継続することで発汗量の軽減が期待できます。
💡 医療機関での多汗症の治療法
セルフケアで改善が見られない場合や、症状が重度の場合は医療機関での治療が効果的です。多汗症に対して現在用いられている主な治療法を紹介します。
✅ 塩化アルミニウム外用療法
医療機関では、市販の制汗剤よりも高濃度の塩化アルミニウム溶液が処方されることがあります。主に腋窩多汗症や手掌・足底多汗症に用いられ、継続的な使用によって発汗量を減らす効果があります。皮膚への刺激があるため、医師の指示に従って使用することが重要です。
📝 イオントフォレーシス(水道水電気泳動法)
イオントフォレーシスとは、水を入れた容器に手や足を浸け、微弱な電流を流すことで発汗を抑制する治療法です。手掌・足底多汗症に対して特に有効性が認められており、週2〜3回の治療を繰り返すことで効果が現れます。その後は維持療法として間隔を空けた治療が継続されます。
副作用が少なく安全性が高い治療法ですが、皮膚の乾燥・軽い刺激感・皮膚炎などが起こる場合があります。ペースメーカーを装着している方や妊娠中の方には使用できないため、事前に医師への相談が必要です。
🔸 ボツリヌストキシン注射療法
ボツリヌストキシン(ボトックス)の注射は、多汗症の治療において非常に高い効果が期待できる方法のひとつです。ボツリヌストキシンは、汗腺を支配する神経終末からのアセチルコリンの放出を阻害することで、発汗を抑制します。
効果の持続期間は個人差がありますが、一般的に4〜6か月程度とされており、その後再び注射を行うことで効果を維持します。腋窩多汗症に対してはとても高い効果が示されており、手掌・足底・顔面などにも用いられることがあります。
日本では、腋窩多汗症に対するボツリヌストキシン注射が保険適用となっています(一定の診断基準を満たす場合)。手掌などへの注射は痛みを伴うため、局所麻酔を使用することもあります。副作用としては、注射部位の内出血・腫れ・一時的な筋力低下などが報告されていますが、一般的には安全性の高い治療法です。
⚡ 抗コリン薬(内服薬)

抗コリン薬は、汗腺を刺激するアセチルコリンの作用を全身的に抑制することで、発汗量を減らす薬剤です。全身性多汗症や、複数部位に多汗症がある場合に用いられることがあります。
日本では、2020年にプロバンサイン(臭化プロパンテリン)が原発性手掌多汗症に対する治療薬として承認されています。口の乾き・便秘・尿閉・視力障害などの副作用が生じることがあり、緑内障や前立腺肥大のある方には使用が制限されます。
🌟 外科的治療(胸腔鏡下交感神経遮断術)
他の治療法で十分な効果が得られなかった重症の手掌多汗症に対して、胸腔鏡を用いた交感神経遮断術が行われることがあります。交感神経を遮断することで、手のひらへの発汗を根本的に抑制する効果が期待できます。
ただし、術後に代償性発汗(手のひらの汗が減る代わりに、背中・お腹・太ももなどから大量に汗が出るようになる現象)が多くの患者に起こることが課題とされており、手術を受ける際にはこのリスクについて十分に理解したうえで決断する必要があります。手術は全身麻酔下で行われるため、入院が必要です。
💬 ミラドライ(マイクロ波治療)
ミラドライは、マイクロ波(電磁波)を用いて腋窩の汗腺を破壊する治療法です。皮膚の外側から非侵襲的にアプローチできるため、メスを使わずに治療できることが特徴です。腋窩多汗症・わきが・脱毛を同時にアプローチできることもあり、一定の人気を集めています。
1〜2回の治療で効果が持続するとされており、ダウンタイムも比較的少ない治療法です。ただし、治療部位の腫れ・内出血・一時的なしびれなどが生じることがあり、完全に症状がなくなるわけではないため、事前のカウンセリングで医師と十分に相談することが大切です。
✅ 漢方薬
西洋医学的な治療が難しい場合や、副作用を避けたい場合に、漢方薬が用いられることもあります。防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)は、体に余分な水分がたまりやすい体質の方の多汗症に対して使われることがある漢方薬です。個人の体質や症状に合わせて選ばれるため、漢方専門医や漢方に詳しい医師に相談することが望ましいです。
Q. 多汗症を放置するとどのようなリスクがありますか?
多汗症を放置すると主に3つのリスクがあります。皮膚が湿潤した状態が続くことで水虫・湿疹などの皮膚トラブルが生じやすくなります。また対人関係や仕事での困難が積み重なり、うつ病・不安障害を発症するリスクが高まります。さらに続発性多汗症の場合、背景にある甲状腺疾患や悪性腫瘍などの基礎疾患が進行する危険性があります。
📌 多汗症を放置するリスク
多汗症は命に関わる病気ではありませんが、放置することでさまざまなリスクが生じます。以下に主なリスクを挙げます。
📝 皮膚トラブルの悪化
長期間にわたって皮膚が湿潤した状態が続くと、白癬(水虫)・カンジダ症・湿疹・接触性皮膚炎などの皮膚疾患が起こりやすくなります。特に足の裏や指の間、脇の下など、湿気がこもりやすい部位は注意が必要です。皮膚バリア機能が低下し、細菌や真菌が繁殖しやすい環境が生まれます。
🔸 精神的ダメージ・社会的孤立
多汗症を放置することで、仕事・学校・対人関係での困難が積み重なり、うつ病・不安障害・社会恐怖症を発症するリスクが高まります。「汗をかくかもしれない」という予期不安が、行動範囲や対人関係を制限させ、孤立感や自己否定感につながるケースもあります。
⚡ 続発性多汗症の見逃し
多汗症の背景に甲状腺疾患・悪性腫瘍・糖尿病などの基礎疾患が隠れている場合、治療せずに放置することで基礎疾患が進行してしまう危険性があります。特に夜間の発汗・急激な体重減少・発熱などを伴う発汗がある場合は、早急に医療機関を受診することが重要です。
✨ 多汗症の受診タイミングと選び方
多汗症は、軽度であれば市販の制汗剤や生活習慣の見直しで対応できることもありますが、以下のような場合は医療機関への受診を検討しましょう。
🌟 受診を検討すべき状況
日常生活(仕事・学業・人間関係)に支障をきたすほどの発汗がある場合は、医療機関への受診が推奨されます。また、市販の制汗剤を使用してもまったく改善しない場合、夜間の発汗が続く場合、急に発汗量が増えてきた場合、体重減少・発熱・倦怠感などの全身症状を伴う場合も同様です。
💬 受診する診療科の選び方
多汗症の診療は、主に皮膚科で行われます。腋窩多汗症のボツリヌストキシン注射については美容皮膚科・美容外科でも対応していることが多く、ミラドライなどの機器治療は美容クリニックで受けることになります。重症の手掌多汗症で外科的治療を希望する場合は、呼吸器外科や胸部外科への受診が必要になります。
背景に精神的な問題が大きい場合は、心療内科・精神科との連携も有効です。続発性多汗症が疑われる場合は、内科や内分泌科など原因疾患に合わせた診療科への受診が優先されます。
✅ 受診時に伝えるべきこと
医療機関を受診する際には、症状が始まった時期・発汗が起こる部位・発汗のタイミング(緊張時・常時・就寝中など)・日常生活への影響の程度・現在服用中の薬や既往歴・家族に同様の症状を持つ人がいるかどうか、といった情報を整理しておくと診察がスムーズになります。
アイシークリニック池袋院では、多汗症に関するご相談を承っています。症状のつらさや日常生活への影響について、まずはお気軽にご相談ください。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では、「汗が多くて恥ずかしい」と長年ひとりで悩んでこられた末にご来院される患者さんが多く、多汗症は体質ではなく適切な治療で改善できる疾患であることをまずお伝えするよう心がけています。原発性・続発性の鑑別をしっかり行ったうえで、イオントフォレーシスやボツリヌストキシン注射など、お一人おひとりの症状の部位や重症度に合わせた治療法をご提案していますので、どうか一人で抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。」
🔍 よくある質問
多汗症は、体温調節に必要な量を超えた過剰な発汗が起きる疾患です。日常生活や人間関係に支障をきたすレベルの発汗が続く場合は、単なる体質ではなく医療機関で適切に診断・治療を受けるべき病気として認識されています。日本では全人口の約5〜10%に見られ、決して珍しくありません。
原発性多汗症は明確な原因疾患がなく、手のひら・脇・足の裏など特定部位に限局して発症し、多汗症全体の90%以上を占めます。一方、続発性多汗症は甲状腺疾患・糖尿病・更年期障害などの基礎疾患や薬剤の副作用が原因で、全身性の発汗や夜間発汗が特徴です。続発性の場合は基礎疾患の治療が根本的な解決につながります。
症状の部位や重症度に応じて複数の治療法があります。軽度には高濃度塩化アルミニウム外用療法、手掌・足底にはイオントフォレーシス(微弱電流治療)、腋窩には保険適用のボツリヌストキシン注射が有効です。そのほか抗コリン薬の内服、ミラドライ(マイクロ波治療)、重症例には外科的な交感神経遮断術なども選択肢となります。
放置すると大きく3つのリスクがあります。①皮膚が湿潤した状態が続くことで水虫・湿疹などの皮膚トラブルが起こりやすくなる、②仕事や対人関係での困難が積み重なりうつ病・不安障害を発症するリスクが高まる、③続発性多汗症の場合、背景にある基礎疾患(甲状腺疾患・悪性腫瘍など)が進行する危険性があります。
日常生活(仕事・学業・人間関係)に支障をきたすほどの発汗がある場合は受診をおすすめします。また、市販の制汗剤で改善しない、夜間の発汗が続く、急に発汗量が増えた、体重減少・発熱・倦怠感などの全身症状を伴う場合も早めの受診が重要です。アイシークリニック池袋院では多汗症に関するご相談を承っておりますので、お気軽にご相談ください。
💪 まとめ
多汗症は、自律神経の過剰反応・遺伝的要因・ホルモンバランスの乱れ・精神的ストレス・基礎疾患など、さまざまな原因によって引き起こされる疾患です。体質や性格の問題ではなく、適切な診断と治療によって症状を大きく改善できる可能性があります。
日常生活でできる対策(制汗剤の活用・生活習慣の見直し・ストレスマネジメント)を取り入れながら、症状が改善しない場合や日常生活に支障をきたしている場合は、早めに医療機関を受診することをおすすめします。
医療機関では、イオントフォレーシス・ボツリヌストキシン注射・抗コリン薬・ミラドライ・外科的治療など、重症度や部位に合わせたさまざまな治療法が用意されています。「汗のことを相談するのが恥ずかしい」と思わず、専門家に相談することで、より快適な日常生活を取り戻すための第一歩を踏み出してください。
多汗症の症状や治療についてご不明な点がある方、症状に悩んでいる方は、アイシークリニック池袋院へお気軽にご相談ください。患者さん一人ひとりの状態に合わせた最適な治療法をご提案いたします。
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📚 参考文献
- 日本皮膚科学会 – 原発性局所多汗症の診断基準・重症度評価(HDSS)・各治療法(イオントフォレーシス、ボツリヌストキシン注射、塩化アルミニウム外用療法など)の有効性と推奨度に関する診療ガイドライン
- 厚生労働省 – ボツリヌストキシン注射(腋窩多汗症への保険適用)および抗コリン薬(プロバンサイン)の承認・薬事情報、医薬品の安全性に関する情報
- PubMed – 多汗症の有病率・遺伝的要因(家族歴30〜60%)・続発性多汗症の原因疾患・各治療法の臨床的エビデンスに関する国際的査読論文
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務