ほくろ除去で後悔しないために知っておくべき全知識

はじめに

「ほくろを取ったけれど、後悔している…」

美容クリニックでは、こうした声を時折耳にします。顔や体のほくろが気になって除去を決意したものの、思わぬ結果に悩む方は少なくありません。一方で、ほくろ除去によって長年のコンプレックスから解放され、前向きな人生を歩み始める方も数多くいらっしゃいます。

この差はいったい何から生まれるのでしょうか。

本記事では、ほくろ除去で後悔する主な理由から、後悔しないための具体的な対策、施術方法の選び方、クリニック選びのポイントまで、徹底的に解説します。これから施術を検討している方はもちろん、すでに施術を受けて不安を感じている方にも役立つ情報をお届けします。


ほくろ除去で後悔する7つの主な理由

1. 傷跡が目立ってしまった

ほくろ除去後の後悔で最も多いのが、傷跡の問題です。

施術前に「跡は残りません」と説明されたにもかかわらず、実際には白っぽい跡が残ったり、周囲の皮膚と色が違ったりするケースがあります。特に顔のほくろを除去した場合、わずかな跡でも非常に目立ってしまい、「ほくろがあった時の方がまだ良かった」と感じる方も少なくありません。

傷跡が目立つ原因としては以下が考えられます:

  • 施術方法の選択ミス:ほくろの大きさや深さに対して不適切な方法を選んだ
  • 術後のケア不足:紫外線対策や保湿が不十分だった
  • 体質的な要因:ケロイド体質や色素沈着しやすい体質
  • 施術の技術力:医師の経験不足や技術的な問題

傷跡の程度は個人差が大きいものの、事前の適切な評価と術後ケアで多くは予防可能です。

2. 思っていた仕上がりと違った

「自然な仕上がりになる」と期待していたのに、実際には:

  • 除去部分が凹んでしまった
  • 周囲の皮膚と質感が異なる
  • 複数のほくろを取ったことでバランスが崩れた
  • 顔の印象が予想外に変わってしまった

これらは、カウンセリング時のイメージ共有不足や、医師による仕上がり予測の甘さが原因となることが多いです。特に顔のほくろは、たった一つでも印象を大きく左右するため、除去後の顔のバランスまで考慮する必要があります。

3. 再発してしまった

ほくろ除去後、数ヶ月から数年経って同じ場所に再びほくろが出現することがあります。これは施術の失敗というよりも、ほくろの細胞が深い部分に残っていたことが原因です。

再発しやすいケース:

  • 深いほくろを浅く削った場合
  • 切除範囲が不十分だった場合
  • 元々のほくろが非常に大きかった場合

再発すると、再度の施術が必要になり、費用も時間も二重にかかってしまいます。さらに、一度施術した部分は傷跡が残りやすくなるため、慎重な判断が求められます。

4. 痛みや炎症が長引いた

通常、ほくろ除去後の痛みや炎症は数日から1週間程度で落ち着きます。しかし、場合によっては:

  • 施術後1ヶ月以上も赤みや腫れが続く
  • 感染症を起こしてしまった
  • 痛みが予想以上に強く、日常生活に支障が出た

これらは術後ケアの不備や、体質的な問題、あるいは施術時の不適切な処置が原因となります。特に感染症は重症化すると大きな傷跡を残すリスクがあるため、早期の対処が重要です。

5. 費用が想定以上にかかった

ほくろ除去は保険適用と自費診療があり、同じ施術でもクリニックによって費用が大きく異なります。

後悔につながる費用面のトラブル:

  • 事前に聞いていた金額と請求額が異なった
  • アフターケア用品や追加施術で費用がかさんだ
  • 複数のほくろを取る場合の総額を把握していなかった
  • 再発時の再施術に別料金がかかった

特に「1個○○円」と表示されていても、薬代や診察料、アフターケア費用が別途かかることがあるため、総額の確認が不可欠です。

6. ダウンタイムが予想以上に長かった

「翌日からメイク可能」「すぐに日常生活に戻れる」といった説明を受けていたのに、実際には:

  • 1週間以上テープを貼り続ける必要があった
  • 赤みが引かず、人前に出るのが憂鬱だった
  • 仕事や予定に支障が出てしまった

ダウンタイムは施術方法や個人の体質によって大きく変わります。特に顔のほくろ除去では、社会生活への影響を十分考慮する必要があります。

7. 本当は取る必要がなかった

カウンセリングで勧められるがまま、実はそれほど気にしていなかったほくろまで除去してしまい、後から「やっぱり残しておけば良かった」と後悔するケースです。

特にチャームポイントになっていたほくろを取ってしまい、「個性が失われた」「周りからも前の方が良かったと言われた」という声も聞かれます。


後悔しないための事前チェックリスト

ほくろ除去で後悔しないためには、施術前の準備と判断が最も重要です。以下のチェックリストを活用してください。

除去の必要性を見極める

✓ 本当に取りたいほくろか自問する

  • 鏡を見るたびに気になるほくろか
  • 他人から指摘されたことがあるか
  • ほくろがなくなった顔をイメージできるか
  • 一時的な感情ではなく、長期的に取りたいと思っているか

判断のコツ:数週間から数ヶ月間、本当に取りたいかどうか考える期間を設けましょう。一時的な感情で決断すると後悔のリスクが高まります。

✓ 医学的に除去が推奨されるか確認する

以下のような場合は、美容目的というより医療的観点から除去を検討すべきです:

  • 急に大きくなってきた
  • 形が左右非対称になってきた
  • 色が濃くなったり、まだらになったりしている
  • かゆみや出血がある
  • 6mm以上の大きさがある

これらは悪性化の可能性を示唆する兆候です。皮膚科専門医による診察を受けることをお勧めします。

カウンセリングで確認すべき10のポイント

優良なクリニックかどうかを見極めるには、カウンセリングでの対応が重要です。

1. 複数の施術方法を提示してくれるか

一つの方法だけを勧めるのではなく、レーザー、電気メス、切除縫合など、複数の選択肢を提示し、それぞれのメリット・デメリットを説明してくれるクリニックを選びましょう。

2. リスクや副作用について詳しく説明があるか

「簡単に取れます」「傷跡は残りません」といった安易な説明だけでなく、起こりうるリスクについてしっかり説明してくれるかが重要です。

3. 再発の可能性について言及があるか

ほくろの種類や深さによって再発リスクは異なります。このリスクについて正直に話してくれるかチェックしましょう。

4. 傷跡のリスクと対策について具体的に教えてくれるか

個人の体質(ケロイド体質など)や、ほくろの位置によるリスクの違いを評価し、術後の傷跡ケアについて具体的な指導があるかを確認します。

5. 費用の総額が明確か

施術費用だけでなく、初診料、薬代、アフターケア用品、再診料など、すべて含めた総額を確認しましょう。

6. ダウンタイムについて現実的な説明があるか

最短のケースだけでなく、平均的なダウンタイムや、長引く可能性についても説明があるかチェックします。

7. 医師の経験や実績を確認できるか

年間どのくらいの症例を扱っているか、医師の専門分野や経歴を確認できると安心です。

8. 症例写真を見せてもらえるか

似たようなほくろの除去事例を見せてもらい、仕上がりのイメージを具体的に持つことができるかが重要です。

9. 質問に対して誠実に答えてくれるか

どんな些細な質問にも丁寧に答え、不安を解消しようとする姿勢があるかを見ましょう。

10. 無理に契約を勧めてこないか

その場での即決を迫ったり、不要なほくろまで取ることを勧めたりしないかチェックします。


施術方法別:メリット・デメリット比較

ほくろ除去には主に4つの方法があります。それぞれの特徴を理解し、自分のほくろに最適な方法を選びましょう。

炭酸ガス(CO2)レーザー

仕組み:レーザーでほくろを蒸散させて除去する方法

メリット

  • 施術時間が短い(1個あたり数分程度)
  • 出血が少ない
  • 縫合が不要
  • 小さなほくろに適している
  • ダウンタイムが比較的短い

デメリット

  • 深いほくろは取りきれず再発の可能性がある
  • 凹みが残ることがある
  • 大きなほくろには不向き
  • 色素沈着のリスクがある

適しているケース

  • 直径5mm以下の小さなほくろ
  • 盛り上がりの少ない平らなほくろ
  • 複数の小さなほくろを一度に取りたい場合

費用の目安

  • 1個あたり5,000円〜15,000円程度(自費診療)

電気メス(電気分解法)

仕組み:電気メスでほくろを削り取る方法

メリット

  • やや深めのほくろにも対応可能
  • 施術時間が短い
  • 大きめのほくろにも使える
  • 止血効果がある

デメリット

  • 熱による周囲組織へのダメージがある
  • 深く削ると凹みが残る可能性
  • 再発のリスクがレーザーより高め
  • 術後の赤みが続くことがある

適しているケース

  • 盛り上がったほくろ
  • 5mm程度までのほくろ
  • レーザーで取りきれなかったほくろ

費用の目安

  • 1個あたり8,000円〜20,000円程度(自費診療)

切除縫合法

仕組み:メスでほくろを切除し、周囲の皮膚を縫い合わせる方法

メリット

  • 深いほくろも確実に除去できる
  • 再発のリスクが最も低い
  • 病理検査が可能(悪性の有無を確認できる)
  • 大きなほくろにも対応可能

デメリット

  • 線状の傷跡が残る
  • 抜糸が必要(7〜14日後)
  • ダウンタイムが長い
  • 施術時間がやや長い(1個あたり30分程度)

適しているケース

  • 6mm以上の大きなほくろ
  • 非常に深いほくろ
  • 悪性が疑われるほくろ
  • 確実に再発を防きたいほくろ

費用の目安

  • 保険適用の場合:5,000円〜15,000円程度(3割負担)
  • 自費診療の場合:20,000円〜50,000円程度

くりぬき法

仕組み:円筒形のメスでほくろをくり抜く方法

メリット

  • 深いほくろも除去できる
  • 病理検査が可能
  • 顔以外の部位に適している
  • 再発リスクが低い

デメリット

  • 円形の傷跡が残る
  • 治癒に時間がかかる(数週間〜数ヶ月)
  • 顔には不向きとされることが多い
  • 縫合しない場合は凹みが残りやすい

適しているケース

  • 体のほくろ(特に足の裏など)
  • 6mm程度までのほくろ
  • 悪性が疑われるほくろ

費用の目安

  • 保険適用の場合:3,000円〜10,000円程度(3割負担)

施術方法の選び方まとめ表

ほくろの特徴推奨される施術方法
小さい(5mm以下)・平らCO2レーザー
小さい・盛り上がり電気メス、CO2レーザー
大きい(6mm以上)切除縫合法
非常に深い切除縫合法
悪性が疑われる切除縫合法、くりぬき法
顔以外の部位くりぬき法、切除縫合法

信頼できるクリニックの選び方

施術の成否は、クリニックと医師の質に大きく左右されます。以下のポイントを参考に、慎重に選びましょう。

医師の資格と専門性

皮膚科専門医の資格

日本皮膚科学会が認定する「皮膚科専門医」の資格を持つ医師であることを確認しましょう。専門医は一定の研修と試験を経て認定されるため、皮膚に関する深い知識と経験を持っています。

専門医の検索は、日本皮膚科学会のウェブサイトで可能です。

形成外科の知識

ほくろ除去後の傷跡を美しく仕上げるには、形成外科的な知識と技術が必要です。形成外科専門医の資格を持つ、あるいは形成外科での研修経験がある医師だとより安心です。

設備と衛生管理

最新の医療機器

ほくろ除去に使用するレーザーや電気メスは、定期的にメンテナンスされた最新のものであることが望ましいです。

衛生管理体制

  • 使い捨て器具の使用
  • 器具の適切な滅菌処理
  • 清潔な施術室
  • 感染対策の徹底

これらが適切に行われているかをカウンセリング時に確認しましょう。

アフターケア体制

術後のフォロー体制

  • 術後の診察は無料か、有料か
  • 緊急時の連絡先があるか
  • トラブル発生時の対応方針は明確か
  • 再発時の対応について事前に説明があるか

保証制度の有無

一部のクリニックでは、再発時の再施術を無料または割引で行う保証制度を設けています。こうした制度があると安心です。

口コミと評判の見極め方

参考になる口コミ

  • 具体的な体験談が書かれている
  • メリットだけでなくデメリットにも言及している
  • 施術から一定期間経過後の状態について書かれている
  • 写真付きの投稿

注意すべき口コミ

  • 過度に褒めているものや、逆に極端に批判的なもの
  • 具体性に欠ける内容
  • 同じような文章が複数投稿されている
  • 施術直後の投稿のみ

口コミは参考程度にとどめ、最終的には自分の目で確かめることが大切です。

避けるべきクリニックの特徴

  • 初回カウンセリングが極端に短い(10分未満など)
  • その場での即決を強く勧める
  • リスクについてほとんど説明しない
  • 料金体系が不透明
  • 医師ではなくカウンセラーだけが説明する
  • 質問に対して曖昧な回答しかしない
  • 症例写真を見せることを拒む

術後ケアで差がつく:傷跡を残さないためのポイント

施術が成功しても、術後ケアが不適切だと傷跡が残ってしまいます。美しい仕上がりのためには、術後ケアが極めて重要です。

施術直後〜1週間:最も重要な時期

テープ保護の徹底

施術部位には保護テープが貼られます。このテープには以下の役割があります:

  • 傷の保護
  • 感染予防
  • 適度な湿潤環境の維持
  • 紫外線からの保護

テープは医師の指示通りの期間、しっかりと貼り続けましょう。自己判断で早く剥がすと、傷の治りが悪くなったり、感染のリスクが高まります。

洗顔・入浴の注意点

  • 施術部位を直接こすらない
  • 洗顔料や石鹸が施術部位に長時間触れないようにする
  • 温度の高い湯は避ける
  • タオルで優しく押さえるように水分を取る

触らない・掻かない

  • 傷が気になっても触らない
  • かゆくても掻かない(かゆみは治癒過程の正常な反応)
  • 無意識に触ってしまう場合は、就寝時に手袋を着用

1週間〜3ヶ月:色素沈着予防期

紫外線対策が最重要

この時期の紫外線対策が、色素沈着を防ぐ最大のポイントです。

具体的な対策

  • 日焼け止めをしっかり塗る(SPF50+、PA++++推奨)
  • 2〜3時間ごとに塗り直す
  • 帽子や日傘を活用
  • できるだけ直射日光を避ける
  • 曇りの日も紫外線対策を怠らない

保湿の徹底

乾燥は傷跡を目立たせる原因になります。

  • 朝晩の保湿を欠かさない
  • 刺激の少ない保湿剤を使用
  • 施術部位は特に念入りに保湿

処方薬の正しい使用

  • ハイドロキノンなどの美白剤:医師の指示通りに使用
  • 抗生物質軟膏:処方された期間、適切に使用
  • テープ剤や被覆材:指示された期間継続

3ヶ月〜1年:経過観察期

傷跡の変化を記録

  • 定期的に写真を撮る
  • 色や形の変化を観察
  • 気になる変化があれば早めに受診

必要に応じて追加ケア

傷跡が気になる場合は、医師に相談して追加の治療を検討しましょう:

  • シリコンゲルシートの使用
  • ビタミンC誘導体の塗布
  • レーザー治療による色素沈着の改善

してはいけないNG行動

施術後1ヶ月間は特に注意

  • × 激しい運動(血流が増えて腫れや出血のリスク)
  • × サウナや岩盤浴(傷の治りを遅らせる)
  • × 飲酒(血行促進により出血や腫れのリスク)
  • × プールや海(感染リスク)
  • × 自己判断での化粧品使用(刺激により色素沈着のリスク)

長期的なNG行動

  • × 紫外線対策を怠る
  • × 傷跡をこする
  • × 定期検診を受けない

よくある質問と回答

Q1. ほくろ除去は痛いですか?

A. 施術時は局所麻酔を使用するため、ほとんど痛みはありません。麻酔の注射時にチクッとした痛みを感じる程度です。麻酔が効いている間(施術中)は痛みを感じません。
術後は個人差がありますが、軽いヒリヒリ感や違和感を感じる程度のことが多いです。痛みが強い場合は、処方される鎮痛剤で対処できます。

Q2. 傷跡は絶対に残らないのですか?

A. 完全に跡が残らないとは言い切れません。ただし、適切な方法で施術し、術後ケアをしっかり行えば、ほとんど目立たない程度に仕上がることが多いです。
傷跡の残りやすさは以下の要因に影響されます:

ほくろの大きさと深さ
施術方法
施術部位
個人の体質(ケロイド体質、色素沈着しやすい体質など)
術後ケアの徹底度

カウンセリング時に、自分の体質とほくろの状態に基づいた傷跡リスクをしっかり確認しましょう。

Q3. 保険は適用されますか?

A. ほくろ除去が保険適用になるかどうかは、除去の理由によって異なります。

保険適用となるケース
悪性の疑いがある
日常生活に支障がある(引っかかる、痛みがあるなど)
医学的に除去が必要と判断される

保険適用とならないケース
純粋に美容目的
本人が気にしているだけで医学的に問題がない

保険適用の場合、3割負担で数千円〜1万円程度で済むことが多いです。美容目的の場合は全額自己負担となり、1個あたり5,000円〜数万円かかります。

Q4. ほくろは再発しますか?

A. 再発の可能性はあります。再発率は施術方法によって異なります:

  • 切除縫合法:5%以下(最も再発率が低い)
  • CO2レーザー:10〜20%程度
  • 電気メス:10〜30%程度

再発は、ほくろの細胞が深い部分に残っていた場合に起こります。深いほくろを浅く削った場合や、元々のほくろが非常に大きかった場合に再発リスクが高まります。

再発した場合は、再度除去することが可能ですが、同じ部位の再施術は傷跡が残りやすくなるため、最初の施術で確実に取りきることが重要です。

Q5. 顔のほくろを除去したら、印象が変わりすぎないか心配です

A. 顔のほくろは、その人の印象に大きく影響することがあります。除去前に以下を検討しましょう:

  • 写真加工アプリで、ほくろがない状態をシミュレーション
  • 信頼できる人に意見を聞く
  • カウンセリング時に医師に仕上がりイメージを確認

特に「泣きぼくろ」や「口元のほくろ」など、チャームポイントとなっているほくろは、除去後に「前の方が良かった」と感じることもあります。本当に取るべきかどうか、慎重に判断することが大切です。

Q6. 何歳から除去できますか?

A. 医学的には年齢制限はありませんが、多くのクリニックでは以下のような基準を設けています:

  • 未成年の場合:保護者の同意が必要
  • 小学生以下:全身麻酔が必要な場合もあり、慎重な判断が必要
  • 推奨年齢:18歳以上(自己判断ができる年齢)

小児期のほくろは、成長とともに変化することがあるため、緊急性がない限り、ある程度の年齢まで待つことを勧められることもあります。

Q7. 複数のほくろを一度に取れますか?

A. 可能ですが、数には限度があります。

考慮すべき点

  • 麻酔の使用量には限界がある
  • 術後のケアが複雑になる
  • ダウンタイムが長くなる可能性
  • 感染リスクが増える

一般的には、1回の施術で5〜10個程度までとされることが多いです。多数のほくろを取りたい場合は、数回に分けて施術することをお勧めします。

Q8. 妊娠中や授乳中でも施術を受けられますか?

A. 基本的には避けることが推奨されます。

理由

  • 局所麻酔薬が胎児や母乳に影響を与える可能性
  • ホルモンバランスの変化により、色素沈着しやすい
  • 妊娠中・授乳中はほくろが変化することがある

緊急性がない場合は、出産・授乳が終わってから施術を受けることをお勧めします。どうしても必要な場合は、産婦人科医と相談の上、慎重に判断しましょう。

Q9. 除去後、すぐにメイクはできますか?

A. 施術方法と部位によって異なります。

一般的な目安

  • 施術部位以外:翌日から可能
  • 施術部位:1週間〜10日後から(医師の許可が出てから)
  • テープ保護期間中:テープの上からのメイクは避ける

無理に早くメイクをすると、感染や色素沈着のリスクが高まります。医師の指示に従いましょう。

メイクが必要な方は、施術時期を長期休暇や連休に合わせるなど、計画的にスケジュールを組むことをお勧めします。

Q10. 除去したほくろが悪性だった場合はどうなりますか?

A. 切除縫合法やくりぬき法で除去した場合、病理検査を行います。万が一悪性と判断された場合は:

  1. 追加の切除が必要になることがある
  2. 専門医療機関への紹介
  3. 定期的な経過観察
  4. 必要に応じて追加治療

悪性が疑われるほくろを美容目的のレーザーで除去してしまうと、病理検査ができず、診断が遅れるリスクがあります。気になるほくろは、まず皮膚科専門医の診察を受けることが重要です。


後悔してしまった場合の対処法

すでにほくろ除去をして後悔している方へ、状況別の対処法をお伝えします。

傷跡が目立つ場合

すぐにできる対処

  • 徹底した紫外線対策:これ以上色素沈着を悪化させない
  • 保湿の継続:肌のターンオーバーを正常に保つ
  • ビタミンC誘導体の使用:色素沈着の改善に効果的

医療機関での治療

  • レーザー治療:色素沈着や赤みの改善
  • ステロイド注射:盛り上がった傷跡(肥厚性瘢痕)の改善
  • 切除修正術:傷跡が大きい場合の再手術

施術を受けたクリニックに相談するのが第一ですが、対応が不十分な場合は、形成外科専門医のいる別の医療機関でセカンドオピニオンを受けることも検討しましょう。

再発してしまった場合

再発したほくろは、以下の方法で対処できます:

  1. 切除縫合法で確実に除去:再発リスクを最小限に
  2. 深めのレーザー治療:ただし再発リスクは残る
  3. 経過観察:小さく目立たない場合は様子を見る選択肢も

再発したからといって必ずしも再除去する必要はありません。再施術のリスクも考慮して判断しましょう。

精神的なダメージを受けた場合

ほくろ除去の後悔は、単なる美容上の問題ではなく、精神的な苦痛を伴うことがあります。

誰かに相談する

  • 家族や友人に話を聞いてもらう
  • 同じ経験をした人のコミュニティを探す
  • 心療内科やカウンセリングの利用も選択肢に

客観的に状況を見る

  • 自分が思うほど他人は気にしていないことが多い
  • 時間とともに傷跡は目立たなくなる可能性がある
  • 100%の仕上がりを求めすぎない

前向きな行動

  • できる範囲での改善策を実行する
  • 同じ失敗を繰り返さないよう学ぶ
  • 他の部分の自己肯定感を高める

どうしても辛い場合は、専門家のサポートを受けることも大切です。


まとめ:後悔しないほくろ除去のための7つの鉄則

ほくろ除去で後悔しないために、以下の7つのポイントを必ず押さえましょう。

1. 除去の必要性を十分に検討する

一時的な感情ではなく、長期的な視点で本当に除去が必要か考えましょう。数週間から数ヶ月、考える時間を持つことをお勧めします。

2. 複数のクリニックでカウンセリングを受ける

最低でも2〜3箇所のクリニックで意見を聞き、比較検討しましょう。施術方法、費用、リスクの説明内容を比較することで、より適切な判断ができます。

3. 医師の説明を鵜呑みにせず、自分で調べる

医師の説明だけでなく、自分でも施術方法やリスクについて調べましょう。信頼できる医療情報サイトや、医学文献を参考にすることをお勧めします。

4. リスクを理解し、最悪のケースも想定する

「傷跡は残りません」という説明があっても、可能性はゼロではありません。最悪のケースも想定した上で、それでも除去したいかを考えましょう。

5. 適切な施術方法を選ぶ

安さや手軽さだけで選ばず、自分のほくろに最適な方法を選びましょう。医師としっかり相談し、納得のいく方法を選択することが大切です。

6. 術後ケアを徹底する

施術の成功は、術後ケアで決まると言っても過言ではありません。医師の指示を守り、特に紫外線対策と保湿を徹底しましょう。

7. 定期的なフォローアップを受ける

施術後も定期的に医師の診察を受け、経過を確認してもらいましょう。異常があれば早期に対処できます。


最後に:あなたにとって最良の選択を

ほくろ除去は、多くの人にとって前向きな変化をもたらす施術です。長年のコンプレックスから解放され、自信を持って生活できるようになる方は少なくありません。

一方で、十分な準備や理解なく施術を受けると、後悔につながる可能性もあります。大切なのは、正しい知識を持ち、慎重に判断することです。

  • 焦って決断しない
  • 複数の専門家の意見を聞く
  • メリットだけでなくリスクも理解する
  • 自分の体質や生活環境を考慮する
  • 術後ケアを徹底する覚悟を持つ

これらを守れば、ほくろ除去で後悔するリスクは大きく減らせます。

もし迷っているなら、まずは信頼できる専門医に相談することから始めましょう。あなたにとって最良の選択ができることを願っています。


参考文献・情報源

本記事の作成にあたり、以下の信頼できる情報源を参考にしています。

医学的根拠に基づく情報源

  1. 日本皮膚科学会
  2. 日本形成外科学会
  3. 日本美容外科学会(JSAPS)
  4. 厚生労働省「医療安全情報」
  5. 日本医師会「健康の森」

参考とした医学的知見

  • 色素性母斑(ほくろ)の診断と治療に関する皮膚科学的知見
  • レーザー治療の適応と限界に関する研究
  • 瘢痕形成と色素沈着のメカニズム
  • 局所麻酔の安全性と副作用
  • 悪性黒色腫の早期発見と鑑別診断

注意事項:本記事の情報は2025年1月時点のものであり、医療は日々進歩しています。最新の情報や個別の症状については、必ず医療機関で直接確認してください。本記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、特定の医療行為を推奨または否定するものではありません。

監修者医師

高桑 康太 医師

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任

佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
PAGE TOP