「最近、胸や腕に小さな赤いできものが増えてきた」「これって何かの病気?」そんな心配をお持ちの方も多いのではないでしょうか。その赤いできものは、老人性血管腫(ろうじんせいけっかんしゅ)かもしれません。
老人性血管腫は、皮膚に現れる小さな赤色の良性腫瘍で、「チェリースポット」や「赤ほくろ」とも呼ばれています。名前に「老人性」とついていますが、実は20代から現れることもあり、多くの人に見られる一般的な皮膚症状です。
本記事では、アイシークリニック池袋院の専門医の視点から、老人性血管腫ができやすい人の特徴、原因、診断、治療法について詳しく解説いたします。

老人性血管腫とは
定義と特徴
老人性血管腫(Cherry angioma)は、皮膚表面に現れる良性の血管性腫瘍です。毛細血管が拡張・増殖することによって形成され、以下のような特徴を持ちます:
- 大きさ:通常1~5mm程度(粟粒大から豆粒大)
- 色調:鮮やかな赤色からルビー色
- 形状:平坦なものから、わずかに盛り上がったドーム状まで様々
- 表面:なめらかで光沢がある
- 好発部位:顔、首、胸部、背中、腕など、特に上半身
別名・呼称
老人性血管腫は、19世紀のイギリスの外科医キャンベル・ド・モルガンによって初めて報告されたため、「キャンベル・ド・モルガン斑」とも呼ばれます。また、チェリーのような鮮やかな赤色をしていることから「チェリースポット」「チェリーアンジオーマ」「ルビースポット」「赤ほくろ」とも称されています。
発生率・年代別特徴
老人性血管腫の発生率は年齢とともに著しく増加します。皮膚科臨床での観察研究によると:
- 20代:約5-10%
- 30代:約15-25%
- 40代:約35-45%
- 50代:約50-60%
- 60代:約65-70%
- 70歳以上:約78%
このデータから分かるように、30代を境に急激に発生率が上昇し、70歳以上では約78%もの人に少なくとも1つの老人性血管腫が認められます。
老人性血管腫ができやすい人の特徴
年齢的要因
「老人性」という名称にもかかわらず、実際には幅広い年代に発症します:
- 早期発症:20代から出現することがある
- 中年期以降の増加:40代頃から現れ始め、年齢とともに数や大きさが増加
- 高齢期:70歳以上では約8割の人に認められる
加齢に伴って発症しやすくなる理由として、血管や皮膚組織の老化、長年にわたる環境因子への曝露などが考えられています。
遺伝的要因
遺伝的体質は老人性血管腫の発症に重要な役割を果たします:
- 家族歴:家族に老人性血管腫が多い場合、遺伝的な体質が関係している可能性
- 皮膚血管の拡張しやすさ:遺伝による体質で皮膚の血管が拡張しやすい傾向があると、若い年齢でも出現することがある
- 遺伝子変異:研究によると、GNAQ(Q209H、Q209R、R183G)およびGNA11(Q209H)遺伝子の体細胞ミスセンス変異が報告されている
肌の色による違い
老人性血管腫は、肌の色に関係なく発生しますが、以下のような特徴があります:
- 色白の肌:血管腫がより目立ちやすく、紫外線に対する感受性が高い
- 色黒の肌:血管腫は同様に発生するが、見た目には目立ちにくい場合がある
色白の方は紫外線による影響を受けやすく、結果として老人性血管腫ができやすい傾向があります。
紫外線曝露
老人性血管腫の発生には紫外線が大きく関与していると考えられています:
- 職業的曝露:農業、建設業、スポーツ指導者など屋外で働く人
- レジャー:ゴルフ、マリンスポーツなど屋外活動を好む人
- 日焼け習慣:定期的に日焼けサロンを利用する人
- 紫外線対策不足:日焼け止めの使用が不十分な人
ただし、背中や腹部など日光にほとんど当たらない部位にも発生することから、紫外線以外の要因も重要であることが分かっています。
ホルモンバランスの変化
ホルモンの変動も老人性血管腫の発生に影響することが知られています:
女性ホルモンとの関係
女性ホルモンの変動が血管新生に影響することが知られており、以下の時期に老人性血管腫が増加することがあります:
- 妊娠期:エストロゲンとプロゲステロンの増加
- 更年期:ホルモンバランスの急激な変化
- 月経周期:定期的なホルモン変動
妊娠中はホルモンバランスの変化により老人性血管腫が新しく出現したり、既存のものが大きくなったりすることがあります。これは生理的な現象であり、多くの場合、産後に自然に軽快します。
生活習慣との関連
生活習慣の乱れも老人性血管腫の発生に影響する可能性があります:
- 睡眠不足:皮膚の修復機能の低下
- 栄養バランスの偏り:特にビタミンC、ビタミンE不足
- 過度な飲酒:血管への負担
- ストレス:免疫機能の低下
- 喫煙:血管への直接的ダメージ
これらの要因が皮膚の毛細血管に影響を与え、老人性血管腫の発生を促進する可能性があります。
摩擦による刺激
物理的な刺激も発症要因の一つとして考えられています:
- 衣類による摩擦:タイトな服や下着による慢性的な刺激
- アクセサリー:ネックレスや時計による摩擦
- 習慣的な掻破:無意識に皮膚を掻く習慣
太陽光が当たりにくい背中や腹部にも老人性血管腫が見られることから、衣類などによる摩擦が原因となっている可能性があります。
発症メカニズムと原因
病理学的メカニズム
老人性血管腫の発症メカニズムは完全には解明されていませんが、現在考えられているメカニズムは以下の通りです:
毛細血管の異常増殖
老人性血管腫は皮膚表層の毛細血管が異常に拡張し、増殖することによって形成されます。正常な皮膚では、血管新生は厳密にコントロールされていますが、何らかの原因でこのバランスが崩れることで血管腫が形成されます。
血管新生因子の関与
血管新生を促進する因子と抑制する因子のバランスが崩れることで、異常な血管増殖が起こります。特に以下の因子が関与していると考えられています:
- **VEGF(血管内皮増殖因子)**の過剰発現
- **bFGF(塩基性線維芽細胞増殖因子)**の増加
- アンジオスタチンなどの血管新生抑制因子の減少
分子生物学的メカニズム
2010年に発表された研究では、老人性血管腫の組織において:
- **マイクロRNA-424(miR-424)**の発現量が正常皮膚に比べて大幅に低下
- MEK1とサイクリンE1の蛋白質発現が上昇
これらの分子レベルでの変化が、血管腫の形成に関与している可能性があります。
血管新生の機序
老人性血管腫は、以下の2つの異なる機序によって形成される可能性があります:
- 血管新生:既存の血管から新しい血管が形成される
- 脈管形成:まったく新しい血管の形成(通常は胚発生時に起こる)
未解明な点
老人性血管腫の発症について、以下の点はまだ完全には解明されていません:
- なぜ特定の部位により多く発生するのか
- 個体差による発症率の違い
- 自然退縮するものと持続するものの違い
- 環境因子と遺伝因子の相互作用
症状と見た目の特徴
典型的な外観
老人性血管腫は以下のような特徴的な外観を示します:
色調
- 鮮やかな赤色:「チェリーレッド」と表現される鮮やかな赤
- ルビー色:やや暗い赤色調
- 紫がかった赤:一部では紫色調を示すことも
形状・大きさ
- サイズ:1~5mm程度(多くは1~3mm)
- 形状:円形から楕円形
- 高さ:平坦なものから、わずかに盛り上がったドーム状まで
- 表面:なめらかで光沢がある
境界
- 明確な境界:周囲の正常皮膚との境界は比較的明瞭
- 不整形:一部では不整形を示すこともある
好発部位
老人性血管腫は全身の皮膚に発生する可能性がありますが、特に以下の部位によく見られます:
上半身
- 胸部:前胸部、特にデコルテライン
- 背中:肩甲骨周辺
- 腕:上腕から前腕にかけて
- 首:首の前面から側面
顔面
- 額
- 頬
- 鼻翼周囲
その他の部位
- 腹部
- 太もも(比較的少ない)
自覚症状
老人性血管腫は基本的に無症状です:
- 痛み:通常なし
- かゆみ:通常なし
- 出血:軽微な外傷で出血することがある
- 引っかかり:衣類に引っかかることがある
経時的変化
老人性血管腫の多くは以下のような経時的変化を示します:
- 初期:平坦で小さな赤い点
- 進行期:徐々に大きくなり、わずかに隆起
- 安定期:サイズが安定し、色調も一定
自然に消失することは稀で、多くの場合は徐々に数が増加し、既存のものもわずかずつ大きくなる傾向があります。
他の疾患との鑑別点
老人性血管腫と類似する他の疾患との鑑別点:
悪性黒色腫(メラノーマ)
- 色調:黒色調が強い
- 形状:不整形
- 変化:急速な変化
- 症状:出血、潰瘍形成
基底細胞癌
- 色調:黒褐色調
- 表面:真珠様光沢
- 形状:不整形
- 進行:徐々に拡大
脂漏性角化症
- 色調:褐色から黒色
- 表面:疣状(いぼ状)
- 質感:ざらつき
診断方法
視診による診断
老人性血管腫の診断は、多くの場合、皮膚科専門医による視診で可能です。診断のポイントは以下の通りです:
視診のチェックポイント
- 色調:鮮やかな赤色
- 大きさ:1~5mm程度
- 形状:円形から楕円形
- 表面:なめらか
- 境界:明瞭
- 分布:多発性
- 好発部位:胸部、背中、腕など
ダーモスコピー検査
より詳細な診断のため、ダーモスコピー(拡大鏡)を用いた観察を行うことがあります:
ダーモスコピー所見
- 血管パターン:拡張した毛細血管の観察
- 色素沈着:周囲の色素沈着の有無
- 構造:血管腫特有の構造パターン
病理組織検査
診断に迷う場合や、他の疾患との鑑別が必要な場合には、病理組織検査を行うことがあります:
組織学的特徴
- 表皮:正常から軽度肥厚
- 真皮:拡張した毛細血管の増殖
- 内皮細胞:腫大した内皮細胞
- 血管腔:拡張した血管腔
鑑別診断
老人性血管腫と鑑別すべき主な疾患:
良性疾患
- 毛細血管拡張症:線状の赤い血管
- 蜘蛛状血管腫:中心から放射状に広がる血管
- 化膿性肉芽腫:急速に増大し、易出血性
悪性疾患
- 血管肉腫:急速に拡大し、不整形
- カポジ肉腫:紫色調で多発性
- 悪性黒色腫:不整形で色調の変化
セルフチェックのポイント
患者様ご自身でチェックできるポイント:
- 大きさの変化:急速に大きくなっていないか
- 色調の変化:黒色調に変化していないか
- 形状の変化:不整形になっていないか
- 症状:痛みやかゆみはないか
- 出血:容易に出血しないか
これらの変化があった場合は、皮膚科専門医の診察を受けることをお勧めします。
治療法
老人性血管腫は良性腫瘍のため、必ずしも治療が必要ではありません。治療を検討する場合は以下の要因を考慮します:
治療適応
美容的理由
- 見た目が気になる部位にある
- 多発している
- 目立つ色調である
機能的理由
- 衣類に引っかかって出血を繰り返す
- 摩擦により炎症を起こしやすい
- 日常生活に支障がある
治療方法の種類
1. レーザー治療
色素レーザー(Vビーム)
- 原理:595nmの波長でヘモグロビンに選択的に吸収される
- 適応:小さな老人性血管腫に最適
- 治療回数:1~3回(大きさによって異なる)
- メリット:周囲組織への影響が少ない
- デメリット:保険適用外
ロングパルスYAGレーザー
- 原理:1064nmの波長で深部血管にも到達
- 適応:やや大きめの血管腫
- 治療回数:1~2回
- メリット:深部血管にも効果的
- デメリット:色素沈着のリスク
炭酸ガスレーザー
- 原理:10,600nmの波長で組織を蒸散
- 適応:大きな血管腫や隆起性病変
- 治療回数:通常1回
- メリット:確実な除去が可能
- デメリット:瘢痕のリスク
2. 外科的切除
適応
- 大きな血管腫
- レーザーが効きにくい病変
- 病理診断が必要な場合
方法
- 局所麻酔下での切除
- パンチ生検による除去
- 縫合による創閉鎖
メリット
- 確実な除去
- 病理診断が可能
- 再発率が低い
デメリット
- 瘢痕が残る可能性
- ダウンタイムが長い
3. 液体窒素による凍結療法
原理
- -196℃の液体窒素で組織を凍結
- 凍結融解により細胞を破壊
適応
- 比較的小さな血管腫
- 保険適用を希望する場合
メリット
- 保険適用
- 比較的簡便
デメリット
- 色素沈着のリスク
- 水疱形成の可能性
- 複数回の治療が必要な場合がある
4. 電気焼灼術
原理
- 高周波電流による組織の焼灼
- 止血効果も期待できる
適応
- 出血しやすい血管腫
- 比較的大きな病変
メリット
- 止血効果が高い
- 比較的安価
デメリット
- 瘢痕のリスク
- 色素沈着の可能性
保険適用について
老人性血管腫の治療に関する保険適用は以下の通りです:
保険適用となる場合
- 手術による切除(生活に支障がある場合)
- 液体窒素による凍結療法(一部の場合)
- 出血を繰り返すなど機能的問題がある場合
保険適用外となる場合
- レーザー治療全般
- 美容目的の治療
- 症状のない血管腫の除去
費用の目安
保険適用の場合(3割負担)
- 手術による除去:約10,000円(1個あたり)
- 液体窒素治療:約1,000~2,000円
自費診療の場合
- Vビームレーザー:3,000~8,000円(1個あたり)
- ロングパルスYAGレーザー:3,000~5,000円(1個あたり)
- 炭酸ガスレーザー:5,000~15,000円(1個あたり)
治療後のケア
直後のケア
- 保護:治療部位をガーゼで保護
- 冷却:腫れや痛みがある場合は冷却
- 清潔:感染予防のため清潔に保つ
1週間後まで
- 洗浄:優しく洗浄し、清潔に保つ
- 保湿:適度な保湿を心がける
- 日光避ける:紫外線を避ける
1ヶ月後まで
- 紫外線対策:日焼け止めの使用
- 摩擦を避ける:強い摩擦を避ける
- 経過観察:色素沈着や瘢痕の有無をチェック
治療の選択指針
患者様の状況に応じた治療選択の指針:
小さな血管腫(1~2mm)
- 第一選択:色素レーザー(Vビーム)
- 代替案:液体窒素(保険適用希望の場合)
中程度の血管腫(3~4mm)
- 第一選択:色素レーザー(複数回)
- 代替案:炭酸ガスレーザー
大きな血管腫(5mm以上)
- 第一選択:外科的切除
- 代替案:炭酸ガスレーザー
多発性の場合
- 第一選択:色素レーザー(同日複数個治療可能)
- 代替案:分割して治療
予防について
紫外線対策
老人性血管腫の発生には紫外線が大きく関与しているため、適切な紫外線対策が重要です:
日焼け止めの使用
- SPF30以上:日常生活ではSPF30以上を使用
- SPF50以上:屋外活動時やレジャー時
- こまめな塗り直し:2~3時間おきに塗り直し
- 部位別対策:首、胸、腕など露出部位を忘れずに
物理的遮光
- 帽子:つばの広い帽子で顔や首を保護
- 衣服:長袖や襟付きの衣服
- 日傘:UVカット機能付きの日傘
- サングラス:目の周りの保護
時間的配慮
- 紫外線の強い時間を避ける:10時~14時の外出を控える
- 日陰の活用:屋外では可能な限り日陰を利用
- 季節の考慮:春から秋にかけて特に注意
生活習慣の改善
栄養面での対策
- 抗酸化物質の摂取:ビタミンC、ビタミンE、ポリフェノール
- バランスの良い食事:野菜、果物を豊富に摂取
- 適度な水分摂取:皮膚の保湿を内側から
睡眠・休養
- 質の良い睡眠:7~8時間の十分な睡眠
- 規則正しい生活:生活リズムを整える
- ストレス管理:適度な運動やリラクゼーション
皮膚への刺激軽減
- 摩擦を避ける:きつい衣服やアクセサリーを避ける
- 優しいスキンケア:強い摩擦を避けた洗顔・保湿
- 適切な保湿:皮膚のバリア機能を維持
定期的なスキンチェック
セルフチェックの方法
- 月1回の全身チェック:鏡を使って全身をチェック
- 変化の記録:新しくできたものや変化したものを記録
- 写真による記録:気になる部位は写真で経過を記録
専門医による定期チェック
- 年1回の皮膚科受診:40歳以降は年1回の皮膚科受診を推奨
- 気になる変化があった場合:迷わず皮膚科専門医に相談
- 家族歴がある場合:より頻繁なチェックを検討
注意すべきポイント
自己処理の危険性
老人性血管腫を自分で除去しようとすることは絶対に避けてください:
- 感染のリスク:不適切な処理により細菌感染
- 出血のリスク:止血困難な出血
- 瘢痕のリスク:醜い瘢痕の形成
- 悪化のリスク:かえって目立つ状態になる
民間療法への注意
インターネット上で紹介される民間療法には科学的根拠がないものが多く、かえって皮膚トラブルを起こす可能性があります。

よくある質問(FAQ)
A1: 老人性血管腫が悪性化(癌化)することはありません。これは良性の血管性腫瘍であり、健康に害を及ぼすことはありません。ただし、急に大きくなったり、色調が変化したりした場合は、他の疾患の可能性もあるため、皮膚科専門医の診察を受けることをお勧めします。
A2: 絶対に自分で除去しようとしないでください。以下のリスクがあります:
重篤な感染症
制御困難な出血
醜い瘢痕の形成
より目立つ状態への悪化
必ず専門医による適切な治療を受けてください。
A3: 現在のところ、老人性血管腫に対して効果的な内服薬や外用薬はありません。一般的なイボ治療薬や漢方薬でも効果は認められていません。治療を希望する場合は、レーザー治療や外科的治療が必要です。
A4: 適切に治療された老人性血管腫が同じ場所に再発することは稀です。ただし、体質的に血管腫ができやすい方は、別の場所に新しい血管腫が出現することがあります。これは再発ではなく、新規発症として理解してください。
A5: 老人性血管腫の治療は、基本的に自費診療(保険適用外)となります。美容目的の治療と判断されるためです。ただし、以下の場合は保険適用となることがあります:
出血を繰り返すなど日常生活に支障がある場合
手術による切除を行う場合
液体窒素による凍結療法(一部のクリニック)
A6: はい、妊娠中はホルモンバランスの変化により老人性血管腫が新しく出現したり、既存のものが大きくなったりすることがあります。これは生理的な現象であり、多くの場合、産後に自然に軽快します。妊娠中の治療は基本的に推奨されません。
A7: 完全な予防は困難ですが、以下の方法で発症リスクを軽減できます:
適切な紫外線対策
バランスの取れた食事
規則正しい生活習慣
皮膚への過度な刺激を避ける
定期的なスキンチェック
A8: 老人性血管腫は主に成人に発症しますが、稀に20代以下でも発症することがあります。若年発症の場合は遺伝的要因が強く関与している可能性があります。
まとめ
老人性血管腫は多くの成人に見られる一般的な皮膚症状で、年齢とともに発生率が増加する良性の血管性腫瘍です。「老人性」という名称にもかかわらず、20代から発症することもあり、遺伝的要因、紫外線曝露、ホルモンバランス、生活習慣など複数の要因が関与しています。
ができやすい人の特徴として:
- 中年以降の年齢
- 家族歴のある方
- 色白の肌質
- 長期間の紫外線曝露
- ホルモンバランスの変化(妊娠期・更年期)
- 生活習慣の乱れ
診断と治療について: 老人性血管腫は皮膚科専門医による視診で診断可能です。治療は必須ではありませんが、美容的理由や機能的問題がある場合には、レーザー治療、外科的切除、凍結療法などの選択肢があります。
予防と管理: 完全な予防は困難ですが、適切な紫外線対策、健康的な生活習慣、定期的なスキンチェックにより発症リスクを軽減できます。
老人性血管腫は健康に害を及ぼすものではありませんが、見た目が気になる場合や急な変化がある場合は、アイシークリニック池袋院の専門医にご相談ください。患者様一人ひとりの状況に応じた最適な治療法をご提案いたします。
参考文献
- 日本皮膚科学会編:皮膚科学(改訂10版)、金芳堂、2020
- 清原祥夫ほか:老人性血管腫の疫学的研究、皮膚科の臨床、2019; 61: 1245-1250
- 山本明史:血管腫・血管奇形の診断と治療、日本医事新報、2020; 4998: 26-31
- 宮地良樹監修:最新皮膚科学大系、中山書店、2018
- 古川福実:皮膚病理組織診断学、文光堂、2019
- 日本皮膚科学会ガイドライン:血管腫・血管奇形診療ガイドライン、2017
- 田中俊宏:レーザー治療の実際、医学書院、2020
- 小野友道:皮膚腫瘍アトラス(第4版)、文光堂、2018
監修者医師
高桑 康太 医師
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務