温度差で咳が出る原因とは?寒暖差による咳の症状と対処法を医師が解説

暖かい室内から急に寒い屋外に出たときや、冷房の効いた部屋から暑い外に出たときに咳が出る経験をしたことはありませんか。「風邪を引いているわけでもないのに、なぜ咳が出るのだろう」と疑問に思う方も多いでしょう。実は、温度差による咳は多くの人が経験する症状であり、その背景には気道の敏感な反応や寒暖差アレルギーなどの要因が関わっています。本記事では、温度差で咳が出るメカニズムから、具体的な対処法、予防策まで詳しく解説します。

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目次

  1. 温度差で咳が出る基本的なメカニズム
  2. 寒暖差アレルギー(血管運動性鼻炎)との関係
  3. 温度差による咳の特徴的な症状
  4. 温度差咳を引き起こしやすい環境と状況
  5. 温度差咳の対処法と応急措置
  6. 日常生活でできる予防策
  7. 他の病気との見分け方
  8. 医療機関を受診すべきタイミング
  9. 治療法と薬物療法
  10. まとめ

🎯 1. 温度差で咳が出る基本的なメカニズム

温度差で咳が出る現象は、私たちの呼吸器系が外部環境の変化に敏感に反応することで起こります。この反応は生理的なものであり、多くの場合は正常な身体の防御反応と考えられています。

🦠 気道の温度センサーの働き

私たちの気道には温度を感知するセンサーが備わっており、吸い込む空気の温度変化を敏感に察知します。急激な温度変化が起こると、これらのセンサーが刺激され、気道の筋肉が収縮したり、粘液の分泌が増加したりします。この反応により、異物から気道を守ろうとする防御機能が働き、咳として現れるのです。

特に、冷たい空気は気道に刺激を与えやすく、急激な温度低下により咳反射が誘発されることが知られています。これは、冷たい空気によって気道の表面が乾燥し、粘膜が刺激されることが主な原因です。

👴 迷走神経の関与

温度差による咳の発生には、迷走神経も深く関わっています。迷走神経は、呼吸器系をはじめとする多くの臓器をコントロールする重要な神経です。温度変化により迷走神経が刺激されると、気管支の収縮や粘液分泌の増加が起こり、結果として咳が誘発されます。

この迷走神経の反応は個人差があり、敏感な人ほど軽微な温度変化でも咳が出やすくなります。また、多汗症と自律神経の関係でも説明されているように、自律神経のバランスが崩れている場合、温度変化に対する反応がより強く現れることがあります。

🔸 気道の炎症状態との関係

普段から気道に軽微な炎症がある場合、温度差による刺激に対してより敏感に反応します。アレルギー体質の方や、過去に呼吸器系の疾患を患った方は、気道の炎症が残存していることがあり、そのような状態では少しの温度変化でも咳が誘発されやすくなります。

📋 2. 寒暖差アレルギー(血管運動性鼻炎)との関係

温度差による咳は、寒暖差アレルギーと密接な関係があります。寒暖差アレルギーは正式には血管運動性鼻炎と呼ばれ、アレルゲンが原因ではない非アレルギー性の鼻炎の一種です。

💧 寒暖差アレルギーの基本的な仕組み

寒暖差アレルギーは、温度差(一般的に7℃以上の差)により自律神経のバランスが乱れることで発症します。自律神経は交感神経と副交感神経から構成されており、この2つのバランスが崩れると、鼻粘膜の血管が拡張し、鼻水や鼻づまり、そして咳などの症状が現れます。

この症状は、特定のアレルゲンに対する反応ではないため、従来のアレルギー検査では陽性反応が出ません。そのため、症状があってもアレルギーではないと診断されることも多く、適切な治療を受けられないケースもあります。

✨ 寒暖差アレルギーの症状

寒暖差アレルギーの主な症状には以下があります:

  • 透明でサラサラした鼻水
  • 鼻づまり
  • くしゃみ
  • 咳(特に乾いた咳)
  • のどの違和感
  • 頭痛
  • 倦怠感

これらの症状は季節の変わり目や、冷房・暖房の効いた室内と屋外を行き来する際に特に現れやすくなります。

📌 後鼻漏との関連性

寒暖差アレルギーにより鼻水の分泌が増加すると、その鼻水がのどの奥に流れ落ちる「後鼻漏」という状態になることがあります。後鼻漏により、のどに絶えず刺激が加わることで、慢性的な咳の原因となることも少なくありません。

特に就寝時や起床時に咳が出やすい場合は、後鼻漏による影響が考えられます。横になることで重力の影響により鼻水がより流れやすくなるためです。

💊 3. 温度差による咳の特徴的な症状

温度差による咳には特徴的なパターンがあります。これらの特徴を理解することで、他の病気による咳との区別がつきやすくなります。

▶️ 咳の性質と特徴

温度差による咳は、多くの場合乾いた咳(乾性咳嗽)として現れます。痰を伴わず、「コンコン」という乾いた音が特徴的です。この咳は突発的に起こることが多く、温度変化が起こった直後から数分以内に始まることが一般的です。

また、咳の持続時間は比較的短く、温度に慣れるにつれて徐々に落ち着いてくることが多いです。ただし、個人差があり、敏感な方では30分以上咳が続くこともあります。

🔹 発症のタイミング

温度差による咳が起こりやすいタイミングには以下があります:

  • 暖房の効いた室内から寒い屋外に出たとき
  • 冷房の効いた建物から暑い屋外に出たとき
  • お風呂から出て脱衣所に移ったとき
  • 朝起きて寝室から出たとき
  • 電車やバスの冷暖房の効いた車内に入ったとき

これらの状況では、7℃以上の急激な温度変化が起こりやすく、気道が敏感に反応して咳が誘発されます。

📍 併発する症状

温度差による咳は、単独で起こることもありますが、多くの場合他の症状を伴います:

  • 鼻水・鼻づまり
  • くしゃみ
  • のどの違和感・かゆみ
  • 軽度の頭痛
  • 胸の圧迫感
  • 息苦しさ

これらの症状は、通常一時的なものであり、温度に慣れるか環境が安定すると改善することが多いです。

🏥 4. 温度差咳を引き起こしやすい環境と状況

温度差による咳は、特定の環境や状況で起こりやすいことが知られています。これらの条件を理解することで、予防や対策が立てやすくなります。

💫 季節的要因

温度差咳は一年中起こりうる症状ですが、特に以下の時期に多く見られます:

春:昼夜の寒暖差が大きくなり、暖かい日中から急に冷え込む夜間への変化で症状が出やすくなります。また、花粉症により気道が過敏になっている場合、温度差に対する反応もより強く現れることがあります。

夏:冷房の効いた室内と暑い屋外の温度差が大きく、頻繁な出入りにより咳が誘発されやすくなります。特に、外気温が35℃を超える猛暑日に、20℃程度に設定された室内との差は15℃以上になることもあります。

秋:夏の暑さから急に涼しくなる時期で、体がまだ気温の変化に対応しきれていない状況で症状が現れやすくなります。

冬:暖房の効いた室内から寒い屋外への移動時に最も症状が現れやすい季節です。また、乾燥した空気により気道が刺激されやすい状態になっているため、温度差による影響をより受けやすくなります。

🦠 建物や施設の特徴

以下のような建物や施設では、温度差咳が起こりやすい環境が作られます:

  • 大型商業施設:強力な冷暖房システムにより外気温との差が大きい
  • オフィスビル:密閉性が高く、外気との温度差が顕著
  • 地下街:年間を通して一定温度に保たれているため、地上との差が大きい
  • 電車・バス:車内の温度管理により外気との差が生じやすい
  • 病院・クリニック:感染症対策で換気が活発で温度変化が起こりやすい

👴 個人的要因

温度差に対する感受性は個人差があり、以下のような要因が影響します:

年齢:高齢者や乳幼児は体温調節機能が低下しているため、温度変化に対して敏感に反応しやすくなります。

体質:もともとアレルギー体質の方や、気道が敏感な方は温度差による刺激を受けやすい傾向があります。

健康状態:風邪を引いた後や体調不良時には、気道が過敏な状態になっているため、普段よりも温度差に反応しやすくなります。また、ストレスにより自律神経のバランスが崩れている場合も、症状が出やすくなることがあります。

⚠️ 5. 温度差咳の対処法と応急措置

温度差による咳が起こった際の対処法を知っておくことで、症状を早期に改善し、不快感を軽減することができます。

🔸 即座にできる応急処置

温度差咳が起こった際の応急処置として、以下の方法が効果的です:

口呼吸から鼻呼吸への切り替え:鼻呼吸により空気が温められ加湿されるため、気道への刺激を軽減できます。意識的にゆっくりと鼻から息を吸い、口から静かに吐くよう心がけましょう。

温かい飲み物の摂取:温かいお茶や白湯を少しずつ飲むことで、のどを温めて刺激を和らげることができます。特に、生姜湯やはちみつレモンティーなどは、のどの炎症を抑える効果も期待できます。

マフラーやスカーフの活用:首回りを温めることで、冷たい空気の直接的な刺激を避けることができます。外出時には常に携帯しておくと良いでしょう。

マスクの着用:マスクにより吸い込む空気が温められ、湿度も保たれるため、気道への刺激を軽減できます。特に冬場の外出時には効果的です。

💧 呼吸法による症状緩和

正しい呼吸法を実践することで、温度差による咳を軽減することができます:

腹式呼吸:4秒かけて鼻から息を吸い、8秒かけて口から静かに吐き出すリズムで行います。お腹を意識してゆっくりと深く呼吸することで、自律神経を整え、気道の過敏性を抑える効果があります。

段階的呼吸法:急激な温度変化に遭遇した際は、まず浅い呼吸から始め、徐々に深い呼吸に移行することで、気道への負担を軽減できます。

✨ 環境調整

可能な限り環境を調整することも重要です:

  • 段階的な温度変化:急激な温度変化を避け、段階的に慣らしていく
  • 湿度の調整:加湿器を使用して室内湿度を40-60%に保つ
  • 換気のタイミング:急激な外気の流入を避けるため、窓の開閉は段階的に行う

📌 のど飴の効果的な活用

温度差咳の対処法として、のど飴の活用も効果的です。のど飴により唾液の分泌が促進され、のどの乾燥を防ぐことができます。特に、メントール入りのものは気道を開く作用もあるため、咳の軽減に役立ちます。

🔍 6. 日常生活でできる予防策

温度差による咳は、日常生活の工夫により予防することが可能です。継続的な予防策を実践することで、症状の頻度や程度を大幅に軽減できます。

▶️ 服装による温度調節

適切な服装選びは、温度差咳の予防において最も重要な要素の一つです:

重ね着の活用:薄手の衣類を複数枚重ねることで、温度変化に応じて調節しやすくなります。特に、カーディガンやベストなど、着脱が容易なアイテムを活用しましょう。

首周りの保護:スカーフやマフラー、ネックウォーマーにより首周りを保温することで、冷たい空気の直接的な刺激を防げます。特に首の後ろは重要な血管が通っているため、この部分を温めることで全身の血流が改善されます。

素材の選択:天然繊維(綿、ウール、シルクなど)は温度調節機能に優れているため、化学繊維よりも温度変化に対応しやすくなります。

🔹 室内環境の整備

住環境を整えることで、温度差による刺激を最小限に抑えることができます:

適切な室温設定:夏場は外気温との差を5℃以内、冬場は18-22℃程度に設定することで、急激な温度変化を避けられます。

湿度管理:加湿器や除湿器を使用して、室内湿度を40-60%に保つことで、気道の乾燥を防げます。特に冬場の暖房使用時は湿度が低下しやすいため、注意が必要です。

段階的な換気:窓を一気に開けるのではなく、少しずつ開けて段階的に空気を入れ替えることで、急激な温度変化を避けられます。

📍 生活習慣の改善

以下の生活習慣の改善により、温度変化に対する身体の適応能力を向上させることができます:

規則正しい睡眠:理想的には7-8時間の睡眠を確保しましょう。十分な睡眠により自律神経のバランスを整えることで、温度変化に対する過敏性を軽減できます。

適度な運動:定期的な運動により血流を改善し、体温調節機能を向上させることができます。ウォーキングやヨガなど、軽い運動から始めることが推奨されます。

バランスの取れた食事:ビタミンCやE、亜鉛などの栄養素を十分に摂取することで、粘膜の健康を維持し、気道の防御機能を高めることができます。

ストレス管理:慢性的なストレスは自律神経のバランスを崩し、温度変化に対する過敏性を高めます。瞑想や深呼吸、趣味の時間など、ストレス軽減法を取り入れましょう。

💫 水分補給の重要性

適切な水分補給は、気道の粘膜を潤し、温度変化に対する抵抗力を高めます。1日1.5-2リットルを目安に、こまめに水分を摂取しましょう。特に、温かい飲み物は気道を温める効果もあるため、冬場には積極的に摂取することが推奨されます。

📝 7. 他の病気との見分け方

温度差による咳は、他の疾患による咳と混同されることがあります。適切な対処のためには、これらを正しく見分けることが重要です。

🦠 風邪・インフルエンザとの区別

風邪やインフルエンザによる咳との主な違いは以下の通りです:

発症のタイミング:温度差咳は温度変化の直後に起こりますが、風邪やインフルエンザの咳は感染から数日後に現れます

随伴症状:風邪やインフルエンザでは発熱、全身倦怠感、筋肉痛などの全身症状を伴いますが、温度差咳では通常これらの症状は見られません。

持続期間:温度差咳は一時的なものが多いですが、感染症による咳は数日から数週間持続します。

痰の性状:風邪では粘性の痰を伴うことが多いですが、温度差咳は主に乾性咳嗽です。

👴 気管支喘息との区別

気管支喘息による咳との見分け方:

呼吸音:喘息では「ゼイゼイ、ヒューヒュー」という喘鳴を伴うことが多いですが、温度差咳では通常見られません。

発作の頻度:喘息は温度変化以外にもアレルゲンや運動などで誘発されますが、温度差咳は主に温度変化時のみに起こります。

治療への反応:喘息は気管支拡張薬で改善しますが、温度差咳は環境の改善や時間経過で自然に軽快します。

🔸 アレルギー性咳嗽との区別

アレルギー性の咳との違い:

誘因:アレルギー性咳嗽は特定のアレルゲン(花粉、ダニ、ペットの毛など)により誘発されますが、温度差咳は温度変化が主な誘因です。

季節性:花粉症による咳は特定の季節に限定されますが、温度差咳は一年中起こりえます。

検査結果:アレルギー検査で特定のアレルゲンに対する反応が陽性となりますが、温度差咳では通常陰性です。

💧 後鼻漏による咳との区別

後鼻漏による咳の特徴:

  • 就寝時や起床時に悪化することが多い
  • のどに何かが張り付く感覚がある
  • 痰がからむことが多い
  • 鼻づまりや鼻水を伴う

温度差咳では、これらの症状は軽度であることが多く、主に温度変化時に限定されます。

💡 8. 医療機関を受診すべきタイミング

温度差による咳の多くは一時的なもので、適切なセルフケアにより改善しますが、以下の場合には医療機関を受診することが推奨されます。

✨ 早急な受診が必要な症状

以下の症状がある場合は、速やかに医療機関を受診してください

  • 呼吸困難や激しい息切れを伴う咳
  • 血痰(血液が混じった痰)
  • 発熱(38℃以上)を伴う咳
  • 胸痛を伴う咳
  • 意識レベルの低下
  • 顔面や唇の青紫色(チアノーゼ)

これらの症状は、単純な温度差咳ではなく、より深刻な疾患の可能性を示唆しています。

📌 継続的な症状での受診タイミング

以下の状況では、早めの受診を検討しましょう:

症状の持続:温度変化後も30分以上咳が続く場合や、日常的に温度差咳が起こる場合は、気道の過敏性が高まっている可能性があります。

日常生活への影響:咳により睡眠が妨げられたり、仕事や学業に支障をきたしたりする場合は、専門的な治療が必要になることがあります。

症状の悪化:セルフケアを行っても症状が改善せず、むしろ悪化している場合は、他の疾患の可能性も考慮する必要があります。

▶️ 受診する診療科

温度差による咳で受診する際は、以下の診療科が適しています:

呼吸器内科:咳や呼吸器症状の専門的な診療を行います。気管支の状態や肺機能の評価が可能です。

耳鼻咽喉科:鼻づまりや後鼻漏など、上気道の問題が関与している場合に適しています。

アレルギー科:寒暖差アレルギーが疑われる場合や、アレルギー体質の方に適しています。

内科:まず一般的な評価を受け、必要に応じて専門科へ紹介してもらえます。

🔹 受診前の準備

受診時により適切な診断を受けるために、以下の情報を整理しておきましょう:

  • 症状が起こる具体的な状況(温度差の程度、場所、時間帯など)
  • 症状の持続時間と頻度
  • 併発する症状(鼻水、鼻づまり、頭痛など)
  • 現在服用中の薬剤
  • 既往歴(アレルギー、喘息、呼吸器疾患など)
  • 家族歴

✨ 9. 治療法と薬物療法

温度差による咳の治療は、症状の程度や原因により様々なアプローチがあります。医師による適切な診断のもと、個々の状況に応じた治療法が選択されます。

📍 薬物療法の種類

温度差咳の治療に用いられる主な薬剤には以下があります:

抗ヒスタミン薬:寒暖差アレルギーが関与している場合に使用されます。第一世代の抗ヒスタミン薬(ジフェンヒドラミンなど)は鎮咳作用もありますが、眠気の副作用があります。第二世代(ロラタジン、セチリジンなど)は眠気が少なく、日中の活動に影響しにくい特徴があります。

鎮咳薬:咳中枢に作用して咳を抑制します。デキストロメトルファンやジヒドロコデインなどがあり、乾性咳嗽に対して効果的です。ただし、痰がある場合は使用を避ける場合があります。

気管支拡張薬:気道の収縮が関与している場合に使用されます。サルブタモールやテオフィリンなどがあり、吸入薬や内服薬として処方されます。

抗炎症薬:気道の炎症を抑制するために使用されます。吸入ステロイド(ブデソニド、フルチカゾンなど)は、慢性的な症状がある場合に長期使用されることがあります。

💫 漢方薬による治療

東洋医学的なアプローチとして、漢方薬も温度差咳の治療に用いられることがあります:

小青竜湯:鼻水や薄い痰を伴う咳に対して使用されます。寒暖差アレルギーによる症状に特に効果的とされています。

麦門冬湯:乾性咳嗽や慢性的な咳に対して使用されます。気道の潤いを保つ作用があります。

麻黄附子細辛湯:体が冷えやすく、寒冷刺激により症状が悪化する場合に使用されます。

漢方薬の選択は、個人の体質や症状の特徴により決定されるため、漢方専門医による診察が推奨されます。

🦠 非薬物療法

薬物療法と並行して、以下の非薬物療法も効果的です:

環境療法:住環境や職場環境の改善により、温度差による刺激を最小限に抑えます。加湿器の設置、適切な換気システムの導入、個人用の温度調節器具の使用などが含まれます。

呼吸リハビリテーション:正しい呼吸法を学ぶことで、気道の過敏性を軽減し、症状の予防や軽減を図ります。腹式呼吸や段階的呼吸法の習得が含まれます。

生活指導:生活習慣の改善により、自律神経のバランスを整え、温度変化に対する適応能力を向上させます。

👴 治療の個別化

温度差咳の治療は、患者個々の状況に応じて個別化されます:

症状の重症度:軽度の場合は環境調整や生活指導が中心となり、重度の場合は薬物療法が必要になることがあります。

基礎疾患の有無:喘息やアレルギー性鼻炎などの基礎疾患がある場合は、これらの治療も並行して行われます

年齢や職業:高齢者では副作用に注意した薬剤選択が必要で、職業により環境調整の可能性が異なることも考慮されます。

📌 10. まとめ

温度差による咳は、現代社会において多くの人が経験する症状です。冷暖房の普及により室内外の温度差が大きくなったことで、この症状に悩む方は増加傾向にあります。

温度差咳の主な原因は、急激な温度変化により気道が刺激を受け、防御反応として咳が誘発されることです。この反応には、気道の温度センサー、迷走神経、自律神経系が複雑に関与しており、個人の体質や健康状態により反応の程度は大きく異なります。

寒暖差アレルギー(血管運動性鼻炎)との関連も深く、7℃以上の温度差により自律神経のバランスが乱れることで、咳以外にも鼻水、鼻づまり、くしゃみなどの症状が現れることがあります。これらの症状は特定のアレルゲンによるものではないため、従来のアレルギー検査では原因を特定できないことも多くあります。

予防と対処の基本は、急激な温度変化を避けることです。適切な服装による温度調節、室内環境の整備、段階的な環境変化への適応などが重要です。また、規則正しい生活習慣により自律神経のバランスを整えることで、温度変化に対する過敏性を軽減することができます。

症状が起こった際の応急処置として、鼻呼吸への切り替え、温かい飲み物の摂取、マスクやスカーフの活用などが効果的です。これらの方法により、多くの場合症状を軽減することができます。

ただし、症状が重篤な場合や日常生活に大きな影響を与える場合は、医療機関での専門的な治療が必要になることがあります。抗ヒスタミン薬、鎮咳薬、気管支拡張薬などの薬物療法や、漢方薬による治療も選択肢の一つです。

温度差咳は完全に避けることは困難ですが、適切な理解と対策により、症状を大幅に軽減し、快適な日常生活を送ることが可能です。個人の状況に応じた適切な予防策と対処法を実践し、必要に応じて医療機関でのサポートを受けることで、この症状と上手に付き合っていくことができるでしょう。


よくある質問

温度差で咳が出るのは病気ですか?

温度差による咳は多くの場合、正常な身体の防御反応です。気道の温度センサーが急激な温度変化を感知し、異物から気道を守ろうとして咳が起こります。ただし、症状が重篤な場合や日常生活に支障をきたす場合は、医療機関での診察をおすすめします。

どのくらいの温度差で咳が出やすくなりますか?

一般的に7℃以上の急激な温度差で咳が起こりやすくなります。例えば、冷房の効いた20℃の室内から35℃の屋外に出る時や、暖房の効いた部屋から寒い屋外に出る時などです。個人差があるため、より小さな温度差でも反応する方もいます。

温度差による咳が出た時の応急処置は?

まず口呼吸から鼻呼吸に切り替え、温かい飲み物をゆっくり飲んでください。マスクやスカーフで首回りを温め、4秒吸って8秒で吐く腹式呼吸を行うと効果的です。多くの場合、温度に慣れるにつれて徐々に症状は落ち着きます。

寒暖差アレルギーと温度差による咳の関係は?

寒暖差アレルギー(血管運動性鼻炎)は、温度差により自律神経のバランスが乱れて起こります。咳以外にも透明な鼻水、鼻づまり、くしゃみなどの症状が現れます。特定のアレルゲンが原因ではないため、通常のアレルギー検査では陽性反応は出ません。

どんな時に病院を受診すべきですか?

血痰、38℃以上の発熱、呼吸困難、胸痛を伴う場合は速やかに受診してください。また、温度変化後30分以上咳が続く、日常生活に支障をきたす、セルフケアでも改善しない場合は、呼吸器内科やアレルギー科での診察をおすすめします。

📚 参考文献

  • 日本呼吸器学会 – 咳嗽に関するガイドラインおよび気道過敏性、温度変化による咳反射のメカニズムに関する学術的根拠
  • 日本アレルギー学会 – 血管運動性鼻炎(寒暖差アレルギー)の診断基準、症状、治療法に関する専門的情報
  • 国立感染症研究所 – 感染性咳嗽と非感染性咳嗽の鑑別診断、咳の病態生理学的メカニズムに関する医学的情報

👨‍⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】

高桑康太 医師(当院治療責任者)より

「当院では温度差による咳でお悩みの患者様が季節の変わり目や冷暖房を多用する時期に多くいらっしゃいますが、適切な環境調整と生活指導により約8割の方で症状の大幅な改善が見られています。特に首周りの保温とマスクの着用は即効性があり、多くの患者様から「こんな簡単な対策で楽になるとは思わなかった」とのお声をいただいております。症状が長引く場合や日常生活に支障をきたす場合は、個々の体質に合わせた治療法をご提案いたしますので、お気軽にご相談ください。」

監修者医師

高桑 康太 医師

保有資格

ミラドライ認定医

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任
  • 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
  • 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
  • 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
  • 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報

佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
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