花粉症の根本的治療として注目されている舌下免疫療法ですが、治療を検討する際に多くの方が気になるのが費用の問題です。舌下免疫療法は3~5年という長期間の治療が必要なため、総費用がどの程度になるのか事前に把握しておくことは重要です。本記事では、舌下免疫療法の費用について、保険適用の範囲から自己負担額の詳細まで詳しく解説します。

目次
- 舌下免疫療法とは何か
- 舌下免疫療法の費用の基本構造
- 保険適用での自己負担額
- 治療期間中の総費用
- 初診から治療開始までの費用
- 治療継続中の費用
- 費用を抑える方法
- 他の花粉症治療法との費用比較
この記事のポイント
花粉症の舌下免疫療法は保険適用(3割負担)で月額約2,500〜3,500円、3〜5年の総費用は約9万〜21万円。長期的には従来の薬物療法より経済的で、医療費控除の活用で負担をさらに軽減できる。
🎯 舌下免疫療法とは何か
舌下免疫療法は、アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)を舌の下に投与して体を慣れさせることで、アレルギー症状を軽減する治療法です。現在、日本では花粉症の原因として最も多いスギ花粉とダニアレルギーに対する舌下免疫療法が保険適用となっています。
この治療法の最大の特徴は、単に症状を抑えるのではなく、アレルギーの根本的な改善を目指せることです。従来の花粉症治療では、抗ヒスタミン薬やステロイド薬などで症状を軽減することが主でしたが、舌下免疫療法では体質改善により長期的な効果が期待できます。
治療は自宅で行うことができ、患者さんの負担も軽減されています。毎日決まった時間に薬剤を舌の下に置き、約1分間保持してから飲み込むという簡単な方法で実施します。ただし、治療効果を得るためには3~5年という長期間の継続が必要です。
舌下免疫療法の効果は臨床試験でも確認されており、約70~80%の患者さんで症状の改善が認められています。完全に症状がなくなる方は約20%程度ですが、多くの方で症状の軽減や薬の使用量の減少が期待できます。
Q. 舌下免疫療法の月額費用はどのくらいですか?
花粉症の舌下免疫療法は保険適用(3割負担)の場合、薬剤費約1,800円と診察料約500〜800円を合わせ、月額約2,500〜3,500円程度の自己負担となります。高齢者は1割負担で月約800〜1,200円とさらに軽減されます。
📋 舌下免疫療法の費用の基本構造
舌下免疫療法の費用構造を理解するためには、まず治療の流れを把握する必要があります。治療は大きく分けて「初期治療期間」と「維持治療期間」の2つの段階に分かれており、それぞれで費用が異なります。
初期治療期間では、体をアレルゲンに慣れさせるために徐々に薬剤の濃度を上げていきます。この期間は約1週間で、低濃度の薬剤から開始して段階的に濃度を上げていきます。この期間中は副作用のリスクが高いため、医師の厳重な管理下で治療を行います。
維持治療期間では、一定の濃度の薬剤を3~5年間継続して服用します。この期間が治療の中心となり、効果の判定や副作用の監視を行いながら治療を継続します。定期的な受診が必要で、通常は月に1回程度の通院が推奨されています。
費用の内訳としては、薬剤費、診察料、検査費用が主要な要素となります。舌下免疫療法は2014年からスギ花粉症に対して、2015年からダニアレルギーに対して保険適用となったため、患者さんの自己負担は大幅に軽減されています。
保険適用により、医療費の3割負担(高齢者の場合は1割または2割負担)で治療を受けることができます。ただし、治療開始前の検査費用や、治療効果を確認するための定期的な検査費用も考慮する必要があります。
💊 保険適用での自己負担額
舌下免疫療法の保険適用による自己負担額について、具体的な金額を見ていきましょう。3割負担の場合の月額費用は、薬剤費と診察料を合わせて約2,000円~3,000円程度となります。
薬剤費については、スギ花粉症治療薬「シダキュア」の場合、1ヶ月分の薬価が約6,000円となっており、3割負担では約1,800円の自己負担となります。ダニアレルギー治療薬「ミティキュア」も同様の価格設定です。
診察料については、初診料、再診料、処方箋料などが含まれます。月1回の定期受診の場合、診察料として約500円~800円程度の自己負担が発生します。薬局での調剤技術料なども含めると、月額の総自己負担額は約2,500円~3,500円程度となることが一般的です。
高齢者の場合は1割または2割負担となるため、さらに負担額は軽減されます。1割負担の場合は月額約800円~1,200円程度、2割負担の場合は月額約1,600円~2,400円程度となります。
年間の自己負担額を計算すると、3割負担の場合は約30,000円~42,000円程度となります。3~5年の治療期間を考慮すると、総自己負担額は9万円~21万円程度となる計算です。
Q. 舌下免疫療法の治療期間全体にかかる総費用は?
舌下免疫療法は3〜5年の継続治療が必要で、3割負担の場合の総費用は3年間で約9〜12万円、5年間で約15〜21万円が目安です。治療開始前のアレルギー検査費用(約3,000〜5,000円)や年1回の効果判定検査費用も含めた計算となります。
🏥 治療期間中の総費用
舌下免疫療法の総費用を正確に把握するためには、治療開始から終了までの全期間を通した計算が必要です。治療期間は最低3年、推奨期間は3~5年となっているため、期間別の費用シミュレーションを行います。
3年間治療を継続した場合の総費用(3割負担)は、約9万円~12万円程度となります。これには月額の薬剤費と診察料、定期的な検査費用が含まれています。4年間継続した場合は約12万円~16万円程度、5年間継続した場合は約15万円~21万円程度となります。
検査費用については、治療開始前のアレルギー検査(血液検査)で約3,000円~5,000円(3割負担)、治療効果を確認するための年1回の検査で約2,000円~3,000円程度の自己負担が発生します。
副作用が発生した場合の追加治療費も考慮する必要があります。軽微な副作用であれば追加費用はほとんど発生しませんが、重篤な副作用の場合は入院治療が必要になることもあり、その場合の医療費は別途発生します。
治療の中断や再開があった場合も費用に影響します。治療を中断した場合、その期間の薬剤費は不要ですが、再開時には再度初期治療から開始する必要があり、結果的に治療期間が延長される可能性があります。
⚠️ 初診から治療開始までの費用
舌下免疫療法を開始するまでには、いくつかの段階を経る必要があり、それぞれで費用が発生します。まず初診では、詳細な問診、身体診察、アレルギー検査などが行われます。
初診料は約2,800円(3割負担で約840円)となります。さらに、アレルギーの原因を特定するための血液検査(特異的IgE抗体検査)が必要で、スギ花粉とダニの両方を調べる場合は約5,000円~7,000円程度の検査費用がかかり、3割負担では約1,500円~2,100円の自己負担となります。
検査結果が出るまで約1週間程度かかるため、結果説明のための再診が必要です。再診料は約720円(3割負担で約220円)となります。治療適応が確認されれば、治療開始に向けた詳しい説明と同意書の取得が行われます。
治療開始時には、初回投与を医療機関で行い、副作用の有無を確認します。この際の費用は通常の診察料に含まれますが、初期治療用の薬剤費として約500円~800円(3割負担)が必要です。
初診から治療開始までの総費用は、約2,500円~3,500円程度(3割負担)となります。検査項目が多い場合や、追加の検査が必要な場合はさらに費用が加算される可能性があります。
Q. 舌下免疫療法と従来の花粉症薬はどちらが費用的にお得ですか?
従来の薬物療法は年間約5,000〜8,000円(3割負担)と短期的には安価ですが、毎年継続が必要なため10年間の総費用は約5〜8万円になります。一方、舌下免疫療法は治療終了後も効果が持続する可能性が高く、長期的には経済的なメリットが大きいと考えられます。
🔍 治療継続中の費用
舌下免疫療法の治療継続中にかかる費用について、詳細な内訳を説明します。維持治療期間中は、定期的な受診と薬剤の処方が中心となり、これらが継続的な費用の主要部分を占めます。
月1回の定期受診では、再診料約720円、処方箋料約680円がかかり、3割負担では合計約420円の自己負担となります。薬局での調剤技術料や薬学管理料も含めると、診察関連費用として月額約600円~800円程度となります。
薬剤費については、維持期用の舌下錠1ヶ月分で約6,000円(薬価)となり、3割負担では約1,800円の自己負担です。ただし、薬局での調剤基本料なども加算されるため、実際の薬剤費負担は約2,000円~2,200円程度となることが一般的です。
年1回の効果判定検査では、アレルギー検査(特異的IgE抗体検査)を実施します。この検査費用は約3,000円~4,000円(薬価)で、3割負担では約900円~1,200円の自己負担となります。
副作用が発生した場合の追加受診費用も考慮する必要があります。軽微な副作用であれば通常の再診料のみですが、症状が強い場合は処置料や薬剤費が追加で発生する可能性があります。
花粉シーズン中は症状の変化を確認するため、受診頻度が増える場合があります。通常の月1回に加えて追加受診が必要になった場合、その分の診察費用も発生します。
📝 費用を抑える方法
舌下免疫療法の費用を抑えるためには、いくつかの方法があります。まず、高額療養費制度の活用です。月額の医療費が一定額を超えた場合、超過分が払い戻される制度で、舌下免疫療法単独では適用されにくいですが、他の医療費と合算して計算されます。
医療費控除の活用も重要です。年間の医療費が10万円を超えた場合、確定申告により所得税の還付を受けることができます。舌下免疫療法の費用も医療費控除の対象となるため、領収書は必ず保管しておきましょう。
ジェネリック医薬品の使用も費用削減の方法の一つです。ただし、舌下免疫療法に使用される薬剤は比較的新しい薬のため、現在のところジェネリック医薬品は存在しません。将来的にジェネリック医薬品が発売された場合は、費用削減の選択肢となる可能性があります。
定期受診を確実に受けることも、長期的には費用削減につながります。副作用の早期発見や治療効果の適切な評価により、不要な検査や治療の回避が可能になります。また、治療の中断を避けることで、再治療による追加費用を防ぐことができます。
複数の医療機関での重複検査を避けることも重要です。検査結果は他の医療機関でも活用できるため、紹介状や検査結果のコピーを適切に活用することで、不要な検査費用を削減できます。
Q. 舌下免疫療法の費用を抑える方法はありますか?
舌下免疫療法の費用負担を軽減する主な方法として、年間医療費が10万円を超えた場合に所得税の還付を受けられる「医療費控除」の活用が効果的です。また高額療養費制度の利用や、定期受診による治療中断の回避、重複検査を避けることも長期的な費用削減につながります。領収書の保管が重要です。
💡 他の花粉症治療法との費用比較
舌下免疫療法の費用を他の花粉症治療法と比較することで、治療選択の参考にすることができます。従来の薬物療法、注射による免疫療法、レーザー治療などとの費用比較を行います。
従来の薬物療法では、抗ヒスタミン薬や点鼻薬などを使用します。花粉シーズン中の約3ヶ月間の治療費は、3割負担で約3,000円~5,000円程度となります。年間では約5,000円~8,000円程度の負担で、舌下免疫療法と比較すると年額では安価です。
しかし、従来の薬物療法は対症療法であるため、毎年継続する必要があります。10年間継続した場合の総費用は約5万円~8万円程度となり、舌下免疫療法の3~5年間の総費用と比較すると、長期的には舌下免疫療法の方が経済的になる可能性があります。
注射による免疫療法(皮下免疫療法)は、現在日本では保険適用外となっているため、全額自費での治療となります。治療期間は舌下免疫療法と同様に3~5年程度で、総費用は約50万円~100万円程度となり、舌下免疫療法と比較して大幅に高額です。
レーザー治療は鼻の粘膜をレーザーで焼灼する治療で、1回の治療費は約1万円~3万円程度(自費)となります。効果は1~2年程度持続するため、定期的な治療が必要です。長期的な費用対効果を考慮すると、舌下免疫療法の方が経済的な場合が多いです。
治療効果の持続性も考慮すると、舌下免疫療法は治療終了後も効果が持続する可能性が高く、長期的な医療費削減効果が期待できます。従来の薬物療法では治療を中止すると症状が再発するため、継続的な医療費が必要になります。
QOL(生活の質)の改善効果も費用対効果の評価に含めるべき要素です。舌下免疫療法により花粉症症状が改善されることで、仕事や学業への影響が軽減され、間接的な経済効果も期待できます。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院でも舌下免疫療法を希望される患者様が年々増加しており、費用面での不安を抱えて受診される方が多くいらっしゃいます。保険適用により月額3,000円程度のご負担で根本治療が可能となったことで、長期間花粉症にお悩みの患者様にとって現実的な選択肢となりました。治療開始前には必ず費用面も含めた詳しいご説明を行い、患者様お一人お一人のライフスタイルに合わせた治療計画を一緒に検討させていただいております。」
✨ よくある質問
保険適用(3割負担)の場合、薬剤費と診察料を合わせて月額約2,500円~3,500円程度です。高齢者の場合は1割負担で約800円~1,200円、2割負担で約1,600円~2,400円となります。薬剤費が約1,800円、診察料が約500円~800円が主な内訳です。
3割負担の場合、3年間で約9万円~12万円、5年間で約15万円~21万円程度の総費用となります。これには月額の薬剤費・診察料に加え、治療開始前の検査費用(約3,000円~5,000円)や年1回の効果判定検査費用も含まれます。
短期的には従来の薬物療法が安価です(年間約5,000円~8,000円)。しかし舌下免疫療法は根本治療のため、10年間で比較すると舌下免疫療法の方が経済的になる可能性が高く、治療終了後も効果が持続するメリットがあります。
医療費控除の活用(年間医療費10万円超で所得税還付)、高額療養費制度の利用、定期受診による副作用の早期発見・治療中断の回避などで費用を抑えられます。また重複検査を避けることも重要です。領収書の保管をお忘れなく。
初診から治療開始までは約2,500円~3,500円程度(3割負担)です。内訳は初診料約840円、アレルギー検査約1,500円~2,100円、結果説明の再診料約220円、初期治療薬剤費約500円~800円となります。検査結果が出るまで約1週間かかります。
📌 まとめ
舌下免疫療法の費用について総合的に評価すると、保険適用により患者さんの負担は大幅に軽減されており、月額約2,500円~3,500円程度(3割負担)で根本的な花粉症治療を受けることができます。3~5年間の治療期間を通した総費用は約9万円~21万円程度となり、長期的な視点では従来の薬物療法と比較して経済的である可能性が高いです。
治療費用の内訳は薬剤費が最も大きな割合を占めますが、診察料や定期検査費用も含めて総合的に検討する必要があります。また、高額療養費制度や医療費控除の活用により、実質的な負担をさらに軽減することも可能です。
他の花粉症治療法との比較では、舌下免疫療法は初期費用は高めですが、根本的な治療効果と長期的な費用対効果を考慮すると、多くの患者さんにとって有益な選択肢となります。特に、毎年重篤な花粉症症状に悩まされている方や、長期間にわたって薬物療法を継続している方にとっては、経済的メリットが大きいと考えられます。
治療を検討する際は、費用面だけでなく、治療効果、副作用のリスク、生活への影響なども総合的に評価することが重要です。医療機関での十分な相談を通じて、個々の患者さんに最適な治療選択を行うことをお勧めします。
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📚 参考文献
- 厚生労働省 – 舌下免疫療法の保険適用に関する制度情報、高額療養費制度、医療費控除制度についての公式見解
- 日本アレルギー学会(※利用可能なソースから最も関連性の高いものとして厚生労働省) – アレルギー疾患対策基本法に基づく舌下免疫療法を含むアレルギー治療の標準的な診療ガイドラインや治療指針
- PubMed – 舌下免疫療法(sublingual immunotherapy)の臨床効果、費用対効果分析、治療期間と効果持続性に関する国際的な研究論文
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務