「生まれたての子どもにある赤あざを綺麗にしてあげたい」
「身体にできた腫瘍の病名や正体が知りたい」
など、お子さまもしくは自身の肌でお悩みを抱えてはいませんか。
赤あざの原因は、血管腫と呼ばれる皮膚疾患である可能性があります。血管腫は6つの種類に分かれ、それぞれ治療法が異なります。
血管腫は自然治癒が難しい場合もあるので、クリニックの受診を検討しましょう。
本ページでは、血管腫の原因や種類、クリニックの治療法を紹介していきます。血管腫と疑われる赤あざの対処法まで分かるので、当ページをぜひご一読ください。
なお当院では血管腫や赤あざに関して12歳以下のお子様の治療は行っておらず、総合病院への紹介となります。
血管腫・血管奇形とは?6つの種類の原因や症状を解説

血管腫とは「赤あざ」の症状が現れる血管の異常です。血管の拡張や増殖によってできる良性の腫瘍で、出生時から大きさが変わらない血管腫を「血管奇形」とも言います。
血管腫は血管内皮細胞の増殖による良性腫瘍で、その病態生理は複雑です(参考文献9)。現在、国際血管異常学会(ISSVA)の分類では、血管腫(血管腫瘍)と血管奇形に大別されています(参考文献1)。血管腫は内皮細胞の増殖期と退縮期を特徴とし、血管奇形は血管構造の先天的異常によるものです(参考文献2)。
血管腫は6つの種類に分類できます。
現在の標準的分類は、国際血管異常学会(International Society for the Study of Vascular Anomalies: ISSVA)による分類で、血管異常を血管腫瘍(腫瘤を形成し増殖・退縮する)と血管奇形(血管構造の異常で成長とともに拡大)の2つに大別しています(参考文献1)。この分類により、より適切な診断・治療選択が可能になりました。
症状 | 特徴 |
---|---|
単純性血管腫 | 生まれつきある平たい赤あざ |
いちご状血管腫 | 半分にカットしたいちごのような赤あざ |
毛細血管奇形 | 加齢に伴い、濃くなる赤あざ |
静脈奇形 | 静脈の血管に異常が生じたためにできる腫瘍 |
動静脈奇形 | 動静脈の血管に異常が生じたためにできる腫瘍 |
リンパ管腫 | リンパ液が皮膚の内部に溜まることでできる腫瘍 |
ここからは、血管腫の種類ごとの特徴や治療法を解説します。
1.単純性血管腫|生まれつきある赤あざ
単純性血管腫は、生まれつき存在する平たい赤あざです。
色の濃さは人によって異なり、加齢に伴い褐色に変化する可能性があります。成長し体が大きくなると、あざの範囲も拡大することが多いです。
サーモンパッチと呼ばれる一部の症例を除き、単純性血管腫は自然に消失するものではないため、あざを消したい場合はクリニックで治療を受けなければなりません。
血管腫の治療法はレーザー治療や放射線療法、冷凍療法などです。中でも副作用が少ないレーザー治療を用いる場合が多いです。
2.いちご状血管腫 |赤ちゃんにできやすい(当院では治療を行っておりません)
いちご状血管腫は、生後間もない赤ちゃんが発症する、皮膚にふくらみを伴う赤あざです。
半分にカットしたいちごを皮膚にはり付けたような見た目から「いちご状」という名称がついています。
患部の赤あざは半年ほどかけて大きくなっていきます。赤あざの成長が止まった後は自然に症状がおさまり、5~10歳の間に自然消滅するケースが多いです。
乳児血管腫の約60%は5歳までに自然退縮しますが、10-15%の症例では機能的・美容的問題を残すため、適切な時期での治療介入が重要です(参考文献11, 12)。近年はプロプラノロールによる内服治療が第一選択とされています(参考文献4)。しかしあざが消失した後にたるみや傷跡が生じやすいことから、治療を行うケースが多いです。
いちご状血管腫を改善するためには主にレーザー治療が用いられます。レーザー治療で血管腫の成長をストップさせることが可能です。
3.毛細血管奇形|加齢とともに濃くなる
毛細血管奇形は、皮膚に広がる細かい毛細血管が異常に増えて、拡張している状態です。
加齢に伴って濃くなる特徴があり、皮膚から盛り上がることもある赤あざです。
毛細血管奇形は生まれつきの毛細血管の異常で、ゆっくりと症状が進行して、色が濃くなったり腫瘍が大きくなったりしていきます。
レーザーや外科的な施術によって治療が行われます。
4.静脈奇形|静脈の異常によりできる(当院では治療を行っておりません)
静脈奇形は、静脈の血管に異常があるために発症する血管腫です。
本来は管を形成している静脈が、いびつな形状に変化したもので、皮膚のふくらみや痛みを引き起こします。
人体にある多数の静脈は形状がそれぞれ違うため、静脈奇形の症状も人によって異なります。
例えばとぐろを巻いていたり、複数の静脈が絡み合ったりする場合があります。
血管異常の治療適応は、機能的障害の有無、美容的問題、患者・家族の希望などを総合的に評価して決定されます(参考文献7)。特に機能的問題(視覚・呼吸・摂食障害など)がある場合は緊急治療の適応となります。一般的な静脈奇形の治療法としては、手術や硬化療法が行われます。
硬化療法とは、血管の内部に薬剤を注射して血管内の細胞を破壊し、内部を癒着させる治療方法です。硬化療法により癒着した血管を潰すことで静脈奇形を改善させます。硬化療法を行う際は、まず内部の様子を観察するためにMRIや画像検査が行われます。
5.動静脈奇形|静脈の異常によりできる(当院では治療を行っておりません)
動静脈奇形は、動脈から静脈に血液が流れる過程で異常が生じたために発症します。
動静脈奇形は先天性によるものと考えられていますが、その原因は明らかになっておりません。
(参照:難病情報センター|公益財団法人 難病医学研究財団)
腫瘍が小さいうちは手術による切除が可能な場合があります。一方で、大きなものになると心臓の機能に影響を与える場合があるため、切除が困難になることが多いです。
動静脈奇形は進行性であることが多いため、腫瘍が大きくなって治療が困難になる前に、早めにクリニックに相談しましょう。
6.リンパ管奇形|良性のコブ(当院では治療を行っておりません)
リンパ管腫は、リンパ液を含む袋が作られたために腫瘍ができる病気です。
袋の大きさはさまざまで、1cmを超えるリンパ管腫は一般的に大きいものとされます。
リンパ管種は良性の腫瘍なので、患部が大きくなったり転移したりすることはありません。
ただし、腫瘍の内部で出血する場合があります。出血して腫瘍の内部に血液がたまると、患部が急速に肥大化します。
また腫瘍内で細菌感染を引き起こし、高熱が出る場合もあります。症状が悪化すると、入院し抗生剤の投与を受けなければなりません。
リンパ管腫は自然に消える可能性も少なくない病気です。治療には合併症のリスクもあるため症状がなければ治療を開始しないことも選択肢の一つです。
血管腫の3つの治療方法

血管腫の主な治療法と対応疾患をまとめました。
治療方法 | 対応疾患 | |
---|---|---|
手術 | あざやできものを切除 | 多くの症例に対応 |
Vビーム | レーザー光で血管を選択的に破壊 | ・単純性血管腫 ・いちご状血腫 ・毛細血管拡張症 |
硬化療法 | 特殊な薬剤を血管に注射 | ・リンパ管腫 ・静脈奇形 |
血管腫には「手術」「Vビーム」「硬化療法」の3つの治療法があり、腫瘍の種類によって治療法は異なります。
ここでは、各治療法の特徴や対応疾患を解説します。
1.手術
血管腫による赤あざや腫瘍は手術で切除できます。
手術では大量出血したり傷跡が残ったりするリスクがあるため、他の治療十分な効果が得られなかった際の最終手段に位置づけられます。
一方でさまざまな症状に対応でき、治療当日から効果を実感しやすいのがメリットです。たとえば、乳児血管腫で赤みが引いても皮膚の盛り上がりが残る場合は、手術で切除することもあります。
2.Vビーム
Vビームは、血液中のヘモグロビンにレーザーを照射して患部の血管を破壊する治療法です。
冷却装置がついているため、皮膚へのダメージや治療の痛みが少なく、麻酔なしで受けられます。パルスダイレーザー(Vビーム)は、単純性血管腫に対して70-90%の改善率を示し(参考文献14)、乳児血管腫の増殖期治療としても有効性が確立されています(参考文献15)。595nmの波長がヘモグロビンに選択的に吸収されることで、周囲組織への損傷を最小限に抑えます。
レーザー治療は他の方法に比べ、後遺症が残る可能性が少ない治療法です。ただしVビームによって内出血が起こり、患部が黒や紫色に変化する場合があります。
Vビームの特徴や治療方法、費用について詳しくは次のページをご確認ください。
Vビームの効果やダウンタイムとは?赤いニキビ跡・赤ら顔を保険診療で治す!
3.硬化療法(当院では治療を行っておりません)
硬化療法は、患部に薬剤を注射してあえて炎症を起こし、治癒させて血管を潰す治療方法です。
硬化療法はリンパ管腫や静脈奇形の他、皮膚の奥深くにある腫瘍の治療としても効果が期待できます。
手術と比較して傷が残りにくい点が硬化療法のメリットです。一方で治療の効果を実感するまでに時間がかかったり、一回の治療では症状を改善しきれなかったりします。
血管腫に関するよくある質問

ここでは、血管腫の治療の必要性や費用に関するよくある質問に回答しています。悪性の血管肉腫に関することにもお答えするので、ぜひご確認ください。
Q.血管腫の治療費は保険適用されますか?
切除手術や硬化療法による治療には保険が適用されます。
Vビームは「単純性血管腫」「いちご状血管腫」「毛細血管拡張症」に対する治療の場合のみ、保険が適用されます。
患部を確認し血管腫以外の症状であることが分かった場合、保険適用外の治療方法を提案させていただくこともあります。
まずは一度当院を受診ください。
Q.赤ちゃんの血管腫は放置すれば自然に治りますか?
赤ちゃんにできたいちご状血管腫(乳児血管腫)は、放置すれば自然に治る場合が多いです。
ただし、たるみや傷跡が残るリスクがあるため、見た目を考慮して早めに治療するケースもあります。
腫瘍ができた部位やサイズによっては、身体機能や成長に悪影響を与えることも考えられます。例えば呼吸器や首に腫瘍ができた場合、呼吸や食事の妨げになるかもしれません。
また、目や耳などに腫瘍ができた場合、血管腫の急激な成長によってただれや出血が生じる可能性もあります。
血管腫による二次障害を防ぐためにも、クリニックへの相談を検討してみてください。
Q.血管腫が悪性と診断されることはありますか?
悪性の腫瘍(がん)である「血管肉腫」と診断される場合があります。
血管肉腫は血管内皮細胞由来の悪性腫瘍で、軟部肉腫の約2%を占める稀な疾患です。頭頸部、特に高齢者の頭皮に好発し、予後不良であることが多く、早期診断・治療が重要です。多学的治療(手術・放射線・化学療法)が推奨されています。
血管肉腫の代表的な症状は、皮膚の赤みや青あざです。進行すると皮膚が盛り上がったり、血豆のような固まりが現れたりします。
血管肉腫は全身にできる可能性がありますが、特に頭や首に発症します。痛みやかゆみが現れないので、自覚症状がないまま病気が進行する可能性も高いです。
初期症状の赤みや青あざが現れた時点で、クリニックへの相談を検討してみてください。
患者様からご好評いただいている当院の6つの特長
チーム医療日本形成外科学会形成外科専門医のもと、形成外科、皮膚科、整形外科など複数の科の専門の医師が所属しています。
痛みをケア幅広い手術方法から専門の医師が適した方法を選択し、痛みが少ない治療を目指します。
肌に負担をかけない治療冷却ガスで皮膚表面を冷やしながらレーザー光を照射し、肌への負担を減らします。
入院不要で日帰り手術もOK診察から手術までがとてもスムーズ。日帰り手術が可能です。
アクセス良好JR新宿南口、JR渋谷駅といった都心ターミナル駅から徒歩3分の好立地です。
保険診療が可能当院の血管腫治療は、除去手術および美容目的以外のレーザー治療の場合に保険適用で費用面も安心です。
当院には下記のようなお悩みを抱える患者様が多数来院されています。
思い当たることはありませんか?
- 顔などににできた赤あざにお困りの方
- 生まれたばかりの赤ちゃんに赤あざが見つかって不安な方
- できる限り傷跡を残さずにできものを切除したい方
大人にできた血管腫は自然治癒が難しく、改善するためにはクリニックで治療を受ける必要があります。また、血管腫の診断や治療法の選択には診察が必要です。
当院では各専門医の豊富な知見を結集し、痛みが少なく傷跡が残りにくい治療を提供しています。
赤あざの症状でご不安やお困りの方は、まずはお気軽に当院へご相談ください。
参考文献
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監修者医師
高桑 康太 医師
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務