
「子どもの体に小さな水ぶくれのようなものができた」「これは水いぼ?それとも水疱瘡?」と悩んだことのある親御さんは多いのではないでしょうか。水いぼと水疱瘡は、どちらも子どもに多く見られる皮膚の疾患で、外見が似ている部分もあることから混同されがちです。しかし、原因となるウイルスはまったく異なり、感染経路や治療法、日常生活での注意点も大きく違います。この記事では、水いぼと水疱瘡それぞれの特徴をわかりやすく整理し、正しく見分けるためのポイントや受診のタイミングについて詳しくお伝えします。
目次
- 水いぼとは?原因と特徴
- 水疱瘡とは?原因と特徴
- 水いぼと水疱瘡の症状の違い
- 感染経路の違い
- 発症しやすい年齢と季節
- 治療法の違い
- 日常生活での注意点・感染対策
- 受診すべきタイミングと診療科
- 予防接種・ワクチンについて
- まとめ
この記事のポイント
水いぼ(伝染性軟属腫ウイルス・接触感染)と水疱瘡(水痘・帯状疱疹ウイルス・空気感染)は原因・症状・治療法が異なり、発疹の光沢・発熱の有無・頭皮への発疹拡大が見分けのポイント。水疱瘡はワクチンで約90〜95%予防可能。
🎯 水いぼとは?原因と特徴
水いぼは、正式には「伝染性軟属腫(でんせんせいなんぞくしゅ)」と呼ばれる皮膚疾患です。その名前のとおり、伝染性(感染力)があり、ウイルスによって引き起こされます。
🦠 原因ウイルス:ポックスウイルス科の伝染性軟属腫ウイルス
水いぼの原因となるのは、「伝染性軟属腫ウイルス(Molluscum contagiosum virus)」というウイルスです。このウイルスはポックスウイルス科に属しており、天然痘ウイルスと同じ仲間ですが、天然痘とは病状がまったく異なります。水疱瘡の原因となるヘルペスウイルス科とは別系統のウイルスです。
👴 水いぼの見た目の特徴
水いぼは、直径1〜5ミリ程度の半球状に盛り上がった小さなできもので、表面がなめらかで光沢があります。中央がわずかにくぼんでいる(臍窩:さいか)のが典型的な特徴で、内部には白色や乳白色の粒状の内容物が詰まっています。色は皮膚と同色か、わずかに白みを帯びていることが多いです。
かゆみを伴うことがありますが、痛みはほとんどありません。かゆくて引っかいてしまうと、内容物が飛び散って周囲に広がる原因になります。発疹の数は数個から数十個、場合によっては100個以上になることもあります。
🔸 水いぼができやすい場所
水いぼは体のどこにでもできますが、特に皮膚が薄くてやわらかい部位(わきの下、肘の内側、膝の裏、首まわりなど)に多く見られます。また、アトピー性皮膚炎など皮膚のバリア機能が低下している子どもでは、より広範囲に広がりやすい傾向があります。顔や頭皮に出ることは比較的少ないですが、まれに見られることもあります。
💧 水いぼの経過
水いぼは免疫が正常であれば、6か月〜数年かけて自然に消えていくことがほとんどです。治癒後に跡が残ることは少なく、重篤な合併症につながることも基本的にはありません。ただし自然治癒まで時間がかかること、その間に周囲へ感染が広がる可能性があることから、早めの治療を選ぶ親御さんも多いです。
Q. 水いぼと水疱瘡の見た目の違いは何ですか?
水いぼは真珠のような光沢があり、中央にくぼみのある半球状のしこりで、発熱などの全身症状は伴いません。水疱瘡は赤い斑点から透明な水ぶくれへと変化し、頭皮や口の中にも発疹が広がり、発熱・倦怠感などの全身症状を伴うのが大きな違いです。
📋 水疱瘡とは?原因と特徴
水疱瘡(みずぼうそう)は、正式には「水痘(すいとう)」と呼ばれる感染症です。子どもがかかる代表的な発疹性疾患のひとつで、非常に感染力が強いことで知られています。
✨ 原因ウイルス:水痘・帯状疱疹ウイルス
水疱瘡の原因は「水痘・帯状疱疹ウイルス(Varicella-Zoster Virus:VZV)」です。このウイルスはヘルペスウイルス科に属しており、単純ヘルペスウイルス(口唇ヘルペスや性器ヘルペスの原因)とは別の種類です。初めてVZVに感染すると水疱瘡を発症し、治癒後もウイルスは体内の神経節に潜伏し続けます。免疫が低下したときに再活性化することで、帯状疱疹(たいじょうほうしん)を引き起こします。
📌 水疱瘡の症状の経過
水疱瘡の潜伏期間はおよそ14〜16日(10〜21日)です。発症の初期には発熱(37〜38度台)や倦怠感、頭痛などのかぜに似た症状が現れ、その後数日以内に発疹が出始めます。
発疹は最初に赤みを帯びた小さな斑点(紅斑)として始まり、すぐに水ぶくれ(水疱)へと変化します。その後、水疱は破れて乾燥し、かさぶた(痂皮)になって治癒します。特徴的なのは、これらの各段階の発疹(斑点・水疱・かさぶた)が同時に体中に混在して見られる点です。発疹は体幹(胸・背中・お腹)から始まり、顔・頭皮・四肢へと広がり、口の中や目の周りにもできることがあります。
▶️ 水疱瘡のかゆみと痛み
水疱瘡の発疹はかゆみが非常に強く、かき壊してしまうと細菌の二次感染を起こしてとびひ(伝染性膿痂疹)になったり、跡(瘢痕)が残ったりすることがあります。発熱による体のだるさや、口の中の発疹による痛みで食欲が落ちることも多く見られます。
🔹 水疱瘡の重症化リスク
健康な子どもでは多くの場合、1〜2週間で自然に回復しますが、まれに細菌性二次感染(皮膚感染・肺炎など)、脳炎、小脳炎などの合併症を起こすことがあります。成人が罹患した場合や、免疫が低下している方(白血病や免疫抑制剤を使用中の方など)、新生児、妊婦などは重症化しやすいため特に注意が必要です。
💊 水いぼと水疱瘡の症状の違い
水いぼと水疱瘡は似たような名前を持ち、どちらも発疹が現れますが、症状にははっきりとした違いがあります。以下に主な違いをまとめます。
📍 発疹の形と色の違い
水いぼの発疹は、真珠のような光沢があり、中央にくぼみのある半球状の小さなしこりです。色は皮膚色から白色で、周囲の皮膚と明確に境界があります。一方、水疱瘡の発疹は最初は赤い斑点として始まり、透明な水ぶくれ(水疱)になり、やがて濁った水疱になって、最終的にかさぶたになります。発疹の見た目が時間とともに大きく変化するのが水疱瘡の特徴です。
💫 発疹が出る場所の違い
水いぼは主に体幹や皮膚がやわらかい部位(わきの下・肘の内側・膝の裏など)に集中して出る傾向がありますが、顔や頭皮にはあまり現れません。水疱瘡は体幹から始まって顔・頭皮・口の中・目の周りも含む全身に広がるのが特徴で、頭皮に発疹が出るかどうかは両者を見分ける重要なポイントになります。
🦠 全身症状の有無
水いぼでは発熱などの全身症状は基本的に見られません。子どもは元気に過ごしていることが多く、発疹のかゆみがあっても全身状態が悪くなることはほとんどありません。水疱瘡では発疹が出る前後から発熱・倦怠感・食欲不振などの全身症状が現れます。特に高熱が続く場合や食欲が著しく落ちる場合は、受診が必要です。
👴 発症の速さ
水いぼは急に大量の発疹が出るわけではなく、徐々に数が増えていくことが多いです。水疱瘡は急激に発疹が全身に広がり、2〜4日で最も多くなります。急に体中に発疹が広がった場合は、水疱瘡を疑って早めに受診することが大切です。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では、「子どもの体に気になるできものがある」とご来院される親御さんの中で、水いぼと水疱瘡を混同されているケースは少なくありません。最近の傾向として、発熱などの全身症状がないまま発疹が増えているお子さんは水いぼであることが多く、早期に正確な診断をつけることで適切なケアや感染対策をすみやかにご案内できます。お子さんの皮膚の変化に少しでも不安を感じられた際は、一人で悩まずお気軽にご相談ください。」
Q. 水疱瘡はなぜ感染力が非常に強いのですか?
水疱瘡は空気感染・飛沫感染・接触感染の3つの経路で広がるため、感染力が極めて強い疾患です。免疫のない人が感染者と同じ空間にいるだけで、約90%の確率で感染するとされており、これは麻疹に次ぐほどの高い感染力です。発疹が出る1〜2日前からすでに感染力を持ちます。
🏥 よくある質問
主に5つのポイントで見分けられます。①発疹に光沢とくぼみがある(水いぼ)、②発疹が赤みから水ぶくれへと変化する(水疱瘡)、③頭皮や口の中にも発疹がある(水疱瘡)、④発熱などの全身症状がある(水疱瘡)、⑤発疹が急速に全身へ広がった(水疱瘡)かどうかを確認しましょう。ただし自己判断には限界があるため、皮膚科や小児科への受診をおすすめします。
水いぼは学校保健安全法上、登園・登校を禁止する感染症には指定されていないため、基本的に日常生活は送れます。ただしプールについては、タオルや浮き輪の共有による接触感染のリスクがあります。参加の可否は各施設のルールに従いつつ、担当医師にご相談のうえ判断することをおすすめします。
日本では2014年から水痘ワクチンが定期接種となっており、生後12〜15か月に1回目、その3〜6か月後に2回目の合計2回接種します。2回接種を完了することで水疱瘡の発症を約90〜95%予防できるとされています。定期接種の年齢を過ぎた場合でも、任意接種として自費で接種可能ですので、医師にご相談ください。
水疱瘡の発熱にアスピリン系の解熱剤を使用すると、「ライ症候群」という重篤な合併症を引き起こす危険性があるため、使用は禁忌とされています。解熱剤が必要な場合は、アセトアミノフェン成分のものを使用してください。市販薬を選ぶ際は成分をよく確認し、不安な場合は医師または薬剤師にご相談ください。
水いぼは免疫が正常であれば6か月〜数年で自然治癒しますが、感染拡大防止やかゆみ軽減のために積極的な治療を選ぶこともできます。最も一般的な治療法は専用ピンセットによる摘除で、痛みを和らげるため麻酔テープを事前に使用するクリニックも多くあります。その他、液体窒素による冷凍凝固療法や硝酸銀ペースト療法なども選択肢です。当院でも水いぼの診療を行っておりますので、お気軽にご相談ください。
🔸 症状を見分けるためのポイントまとめ
水いぼか水疱瘡かを見分けるうえで注目すべきポイントは、「発疹に光沢とくぼみがあるか(水いぼの特徴)」「発疹が赤みから水ぶくれへと変化しているか(水疱瘡の特徴)」「頭皮や口の中にも発疹があるか(水疱瘡の特徴)」「発熱などの全身症状があるか(水疱瘡の特徴)」「発疹が急速に全身に広がったか(水疱瘡の特徴)」の5点です。ただし、自己判断には限界がありますので、発疹が出た際は皮膚科や小児科を受診して確認することを強くおすすめします。
⚠️ 感染経路の違い
水いぼと水疱瘡では、ウイルスが伝わる経路にも大きな違いがあります。感染経路を知っておくことは、家庭や保育園・幼稚園・学校での感染対策にも役立ちます。
💧 水いぼの感染経路
水いぼは主に「接触感染(接触感染)」によって広がります。具体的には、水いぼのできている皮膚に直接触れること、または水いぼを引っかいた手で触ったタオルやスポンジ、衣類などを介した間接的な接触によって感染します。プールでの感染が問題になることがありますが、水そのものよりも、タオルの共有やスキンシップによる接触が主な感染経路と考えられています。飛沫感染や空気感染はしないため、同じ空間にいるだけでは感染しません。
✨ 水疱瘡の感染経路
水疱瘡は感染力が非常に強く、「空気感染」「飛沫感染」「接触感染」の3つの経路で広がります。空気感染とは、ウイルスを含んだ微小な粒子(飛沫核)が空気中を漂い、離れた場所にいる人にも感染するものです。このため、同じ部屋にいるだけでも感染リスクがあり、水疱瘡にかかったことのない人や免疫のない人がいる場所への外出は控える必要があります。発疹が出る1〜2日前から、すべての発疹がかさぶたになるまでの期間が感染力を持ちます。
📌 感染力の強さの違い
水疱瘡は水いぼと比べてはるかに感染力が強く、免疫のない人が感染者と同じ空間にいた場合、約90%の確率で感染するといわれています。これは麻疹(はしか)に次ぐほどの高い感染力です。一方、水いぼは直接または間接的な接触がなければ感染しないため、適切な衛生管理で感染を防ぎやすいといえます。
Q. 水疱瘡のワクチンは何回接種すればよいですか?
日本では2014年から水痘ワクチンが定期接種となっており、生後12〜15か月に1回目、その3〜6か月後に2回目の合計2回接種します。2回接種を完了することで水疱瘡の発症を約90〜95%予防できるとされています。定期接種の年齢を過ぎた場合でも、任意接種として自費での接種が可能です。
🔍 発症しやすい年齢と季節
▶️ 水いぼが多い年齢と季節
水いぼは主に乳幼児から小学校低学年の子どもに多く見られます。特に1〜5歳の子どもに多い傾向があり、免疫が十分に発達していないことや、スキンシップが多い年代であることが理由として挙げられます。季節的には、夏(6〜9月)に多く見られます。これは、プールなどの水場での肌の接触が増えること、汗で皮膚が湿潤になりウイルスが侵入しやすくなること、薄着による皮膚の露出が多くなることなどが関係していると考えられています。
🔹 水疱瘡が多い年齢と季節
水疱瘡はワクチン接種が定期接種化される前は、ほぼすべての子どもが小学校入学前にかかる「子どもの病気」の代表格でした。現在もワクチン未接種の1〜6歳の子どもに多く見られますが、ワクチン接種率の向上に伴い発症数は大幅に減少しています。成人でも未罹患・未接種の場合は発症します。季節的には、冬から春(12〜5月)にかけて流行する傾向があります。
📝 治療法の違い
水いぼと水疱瘡では、治療の考え方や具体的な治療法も異なります。
📍 水いぼの治療法
水いぼの治療については「経過観察(自然治癒を待つ)」か「積極的な治療を行う」かについて、医師の間でも意見が分かれています。日本皮膚科学会のガイドラインでは、水いぼは自然治癒が期待できるため、必ずしも積極的な治療が必要とは述べていませんが、感染拡大の防止や本人のかゆみの軽減のために治療を選ぶことも選択肢のひとつとしています。
積極的な治療法として最も一般的なのは、「ピンセット(摘除法)による除去」です。専用のピンセットで水いぼをひとつひとつつまんで取り除く方法で、確実性が高い反面、痛みを伴います。痛みを和らげるために、処置の30〜60分前に麻酔のテープ(リドカイン含有貼付剤:ペンレステープなど)を貼ってから行うクリニックも多くあります。
その他の治療法として、「硝酸銀ペースト療法(硝酸銀を塗布する方法)」「液体窒素による冷凍凝固療法」「ヨウ素チンキ塗布」などがあります。また、免疫を高めることで水いぼの消退を促す「イミキモドクリーム(保険適用外)」を用いることもあります。いずれの方法も、一度ですべての水いぼが完治するわけではなく、複数回の処置が必要になるケースがほとんどです。
💫 水疱瘡の治療法
水疱瘡の治療は「対症療法」が基本です。発熱に対する解熱剤の使用、かゆみに対する抗ヒスタミン薬の内服やかゆみ止めのローション(カラミンローションなど)の塗布が行われます。なお、水疱瘡の解熱にアスピリンを使用すると「ライ症候群」という重篤な合併症を引き起こす可能性があるため、アスピリン系解熱剤の使用は禁忌とされています。解熱剤はアセトアミノフェンを使用します。
抗ウイルス薬(アシクロビルなど)が処方されることもあります。抗ウイルス薬は発症から24〜72時間以内に服用することで、症状の重症化を抑え、発疹の数を減らし、回復を早める効果が期待できます。特に重症化リスクの高い成人・免疫低下者・新生児などでは積極的に使用されます。軽症の健康な子どもへの使用については医師の判断によります。
発疹をかき壊して細菌感染(二次感染)を起こした場合は、抗菌薬(抗生物質)が必要になることもあります。かゆくても爪でかかないよう、爪を短く切っておくことや、必要に応じてミトンを使用することも有効です。
Q. 水いぼの治療法にはどのような選択肢がありますか?
水いぼは免疫が正常であれば6か月〜数年で自然治癒しますが、感染拡大防止やかゆみ軽減のため積極的な治療を選ぶこともできます。最も一般的な方法は専用ピンセットによる摘除で、麻酔テープを事前に使用するクリニックもあります。他に液体窒素による冷凍凝固療法や硝酸銀ペースト療法などの選択肢もあります。
💡 日常生活での注意点・感染対策

🦠 水いぼのときの日常生活
水いぼにかかっている場合、学校保健安全法上は「学校を休む必要がある感染症」には指定されていないため、基本的に登園・登校は可能です。ただし、プールへの参加については各施設のルールに従いつつ、医師と相談して決めましょう。
日常生活での感染対策としては、タオルや衣類の共有を避ける、入浴時に同じスポンジを使いまわさない、水いぼを素手で触らない(触れた後は手を洗う)などが重要です。かゆみが強い場合は掻き壊しを防ぐために半袖ではなく長袖を着用したり、医師からかゆみ止めを処方してもらったりすることも有効です。アトピー性皮膚炎がある場合は、皮膚の状態を整えることで水いぼの広がりを抑えることにもつながります。
👴 水疱瘡のときの日常生活
水疱瘡は学校保健安全法で「第2種感染症」に指定されており、すべての発疹がかさぶたになるまで(通常、発疹出現から6〜7日程度)は出席停止が義務付けられています。保育園・幼稚園・学校への報告と医師の治癒証明(登校許可書)が必要になる場合もありますので、事前に確認しておきましょう。
家庭内では、患者と同居する未感染・未接種の家族(特に妊婦、免疫低下者、新生児)への感染を防ぐため、できる限り患者を別の部屋で過ごさせ、タオルや食器の共有を避けることが大切です。空気感染するため換気をしっかり行うことも重要です。また、感染拡大を防ぐため、発症中は公共の場所(特に医療機関の待合室)への外出は最小限にとどめ、やむを得ず受診する場合は事前に電話で連絡してから来院するようにしましょう。
🔸 入浴について
水いぼがある場合の入浴は基本的に問題ありません。ただし、強くこすると水いぼが破れて広がる可能性があるため、やさしく洗うようにしましょう。水疱瘡がある場合も、発熱がなく全身状態が良ければシャワーや入浴は可能です。水疱を強くこすらないよう注意しながら、清潔を保つことが大切です。
✨ 受診すべきタイミングと診療科
💧 水いぼで受診すべき場合
水いぼは自然治癒することも多いですが、以下の場合には早めに受診を検討しましょう。発疹の数が急激に増えている場合、アトピー性皮膚炎などの基礎疾患があり広がりやすい状態の場合、患部が赤くはれたり膿が出たりして二次感染が疑われる場合、水いぼかどうかの診断を確認したい場合などが受診の目安です。診療科は皮膚科が適切ですが、小児科でも診てもらえます。
✨ 水疱瘡で受診すべき場合
水疱瘡は基本的に早めの受診が推奨されます。特に以下の状況では緊急性が高いと考えられます。高熱(39度以上)が続く場合、発疹が口の中や目の周りに多数できて食事ができない・見えにくい状態の場合、呼吸が苦しい・息切れがある場合、強い頭痛や嘔吐がある場合(脳炎の可能性)、発疹部位に強い赤みや腫れ・痛みが出てきた場合(細菌性二次感染)、免疫が低下している家族(がん治療中・臓器移植後など)が同居している場合、妊婦が感染した疑いがある場合などです。
診療科は小児科(子どもの場合)または内科・皮膚科が適切です。受診時には感染予防のため、事前に電話で水疱瘡の疑いがある旨を伝えてから来院するようにしてください。
📌 予防接種・ワクチンについて
📌 水いぼに対するワクチン
現在、水いぼ(伝染性軟属腫)に対するワクチンは存在しません。予防のためには、感染経路(接触感染)を断つことが唯一の対策です。肌の清潔を保つこと、タオルや衣類の共有を避けること、傷や湿疹のある皮膚を適切にケアしてバリア機能を保つことが予防に役立ちます。
▶️ 水疱瘡に対するワクチン
水疱瘡に対しては、「水痘ワクチン(生ワクチン)」があり、日本では2014年から定期接種として公費で接種できるようになりました。接種スケジュールは生後12〜15か月に1回目、3〜6か月後に2回目の合計2回接種です。
水痘ワクチンの2回接種を完了することで、水疱瘡の発症を約90〜95%予防できるとされています。また、万が一かかったとしても症状が軽くなる効果(修飾水痘)が期待できます。さらに、将来的な帯状疱疹の発症リスクを下げる効果も報告されており、重要な予防接種のひとつです。
🔹 ワクチン未接種・未罹患の場合の緊急接種
水疱瘡の患者と接触した可能性がある未接種・未罹患の方は、接触後72時間(3日)以内にワクチンを接種することで、発症を予防または軽症化できる場合があります(曝露後接種)。接触の可能性がある場合は、できる限り早く医療機関に相談することをおすすめします。
なお、免疫が低下している方や妊婦はワクチン(生ワクチン)を接種できないため、抗体製剤(水痘・帯状疱疹免疫グロブリン)の投与などの対応が検討されます。このような場合は早急に医師に相談してください。
📍 定期接種の対象外となった場合(任意接種について)
定期接種の年齢(生後12〜36か月)を過ぎてしまった場合や、成人で水疱瘡にかかったことがなく未接種の方は、任意接種として自費でワクチンを接種することができます。特に医療従事者や保育・教育関係者など感染リスクの高い職業に就いている方、免疫が低下している方と同居している方などには接種が推奨されます。接種の可否や回数については医師にご相談ください。
🎯 まとめ
水いぼと水疱瘡は名前こそ似ていますが、原因ウイルス・症状・感染経路・治療法・予防法のすべてにおいて大きく異なる疾患です。改めて主な違いを整理すると、水いぼは伝染性軟属腫ウイルスによる接触感染で、光沢のある半球状のできものが特徴で全身症状はなく、治療はピンセット除去などで対応します。水疱瘡は水痘・帯状疱疹ウイルスによる空気感染・飛沫感染・接触感染で、発熱とともに全身に水ぶくれが広がり、抗ウイルス薬や対症療法で治療し、ワクチンで予防が可能です。
子どもの皮膚に変化を見つけたとき、「これは何だろう?」と不安になるのは当然のことです。自己判断で対処しようとすると、適切な治療のタイミングを逃したり、周囲への感染が広がったりするリスクがあります。発疹の見た目や全身状態を注意深く観察しながら、少しでも不安を感じたら早めに皮膚科や小児科を受診してください。正確な診断と適切なアドバイスを受けることが、子どもの早い回復と周囲への感染防止につながります。アイシークリニック池袋院では、水いぼをはじめとした皮膚疾患の診療を行っておりますので、お気軽にご相談ください。
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📚 参考文献
- 日本皮膚科学会 – 水いぼ(伝染性軟属腫)の診断・治療方針、ピンセット摘除法や経過観察の選択基準など、皮膚科診療ガイドラインに基づく治療法の根拠として参照
- 国立感染症研究所 – 水痘(水疱瘡)の原因ウイルス(VZV)・感染経路(空気感染・飛沫感染・接触感染)・潜伏期間・感染力・合併症リスクに関する疫学情報の根拠として参照
- 厚生労働省 – 水痘ワクチンの定期接種スケジュール(2014年定期接種化)・接種回数・予防効果(約90〜95%)、学校保健安全法における出席停止基準など公的制度・予防接種情報の根拠として参照
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務